JPH09285855A - Ni含有鋼の製造方法 - Google Patents
Ni含有鋼の製造方法Info
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- JPH09285855A JPH09285855A JP10227696A JP10227696A JPH09285855A JP H09285855 A JPH09285855 A JP H09285855A JP 10227696 A JP10227696 A JP 10227696A JP 10227696 A JP10227696 A JP 10227696A JP H09285855 A JPH09285855 A JP H09285855A
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Abstract
n:1.0 %以下、Ni:5.5〜10%、P:0.002 %以下、
S:0.002 %以下、Al:0.02%以下及びN: 0.001〜0.
004 %を含有する鋼鋳片を湾曲又は垂直曲げ型連鋳機を
用いて製造する際に、鋳型内に供給する溶鋼の過熱度を
30℃以下とし、2次冷却ゾーンで全てのロール間につい
て鋳造速度Vc と式(1) の水量密度Wとの関係式(2) を
満たし、鋳片表層の柱状γ粒層厚さを25mm以下とする方
法。 W=VL /S・・・(1) 、0.02Vc >W・・・(2) (2)上記(1) の方法で鋳片とし、次いで熱間直送で粗圧
延を施して鋼片を製造する際に、2次冷却及び加熱炉装
入前の鋳片温度を600 ℃以上とする方法。 【効果】割れを防止又は軽減することができる。
Description
好適なNi含有鋼の連続鋳造方法および連続鋳造−熱間直
送圧延方法に関する。
上することが知られており、Niを2〜10%程度含有する
鋼が低温用材料として使用されている。なかでもNiを9
%程度含有する鋼は−160 ℃以下での使用に耐えること
から、液化天然ガスなどのタンク材などに用いられてい
る。
歩留まりの向上、省力化および高生産性化などに大きな
効果をあげている。現在、鋼鋳片の製造では、特殊な材
質の場合や寸法上の制約がある場合などを除けば、ほぼ
100 %が連続鋳造化されている。しかし、Niを 5.5〜10
%含有する鋼は、普通の炭素鋼や低合金鋼に比べて表面
横割れ、表皮下割れおよびコーナー割れの発生が激し
く、連続鋳造による製造が困難である。
鋳片表面温度が熱間延性の低下する600〜850 ℃にな
り、このとき熱応力や矯正応力を受けることにより生じ
る。Niを 5.5〜10%含有する鋼はγ相を初晶として凝固
するため、粒界へのSやPなどの偏析が顕著になり、そ
の結果、普通の炭素鋼や低合金鋼に比べて 600〜850 ℃
における延性が低下し、連続鋳造時の割れ感受性も高ま
ると考えられている。
に、冷却方法を改善する提案がいくつかなされている。
前述の矯正点での表面温度が延性の低下する温度域を高
温側に回避できるような弱冷却の冷却パターンをとり、
かつ鋳片表面温度の均一化を図るものである。上記公報
にはその他にも、2次冷却水ノズルにオーバルタイプノ
ズルや気水ノズル(ミストノズル)を用いることにより
鋳片表面温度が均一化し、鋳片表面に発生する熱応力が
低減され、その結果、鋳片表面疵を防止することが可能
となると記載されている。しかし、これらの対策をとっ
ても鋳片幅方向の端部(鋳片コーナー部分)では冷却さ
れやすく、鋳片内部からの復熱の効果も少ないために、
矯正点における表面温度を延性の低下する温度以上に安
定して維持することが困難である。
0 ℃の温度領域で冷却速度を20℃/分以下に制御すれば
延性が向上するという知見をもとに、連続鋳造時の冷却
速度を1150〜950 ℃の温度領域で20℃/分以下に制御す
ることにより、連続鋳造時の表面割れを防止する方法が
提案されている。
止することはできるが、現実には実操業での連続鋳造鋳
片の冷却を安定してコントロールすることは困難であ
る。
なるため、これらの含有量を低減するのがよいことが知
られており、特公平5−4169号公報には前記冷却速
度の制御に加えて、S:0.003 %以下、P:0.010 %以
下、N:0.004 %以下に高純度化することにより、割れ
防止効果が安定すると記載されている。
報において、鋼中のPやS含有量を従来要求されていた
レベルよりも一段と低いレベルまで高純度化することに
加えて、NおよびAlの含有量を一定範囲に限定すること
により、高温延性をさらに向上させた低温用Ni含有鋼お
よびその連続鋳造鋳片の2次冷却方法を開示した。
善や組成の変更など多様な方法が試みられているが、な
お表面割れの発生を軽減または完全に防止することはで
きず、連続鋳造化は困難である。
点を解決し、低温靭性に優れたNi含有鋼の連続鋳造およ
び連続鋳造−熱間直送圧延による製造方法を提供するこ
とにある。
(1)および(2) のNi含有鋼の製造方法にある。
%以下、Mn:1.0 %以下、Ni: 5.5〜10%、P:0.002
%以下、S:0.002 %以下、Al:0.02%以下および
N: 0.001〜0.004 %を含有する鋼鋳片を湾曲型または
垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する方法であっ
て、鋳型内に供給する溶鋼の過熱度を30℃以下とし、2
次冷却ゾーンにおいて、鋳造速度Vc (m/min)と下記
(1) 式で定義される水量密度W〔リットル/(min・c
m2)〕との間に、鋳造方向における全てのロール間につ
いて下記(2) 式の関係が成立するように冷却を行い、鋳
片表層の柱状γ粒層の厚さを25mm以下とすることを特徴
とするNi含有鋼鋳片の製造方法。以下、本発明の第1方
法という。
2)〕 VL :2次冷却ゾーンのロールとロールとの間で鋳片表
面に噴射する水量(リットル/min) S:ロール間の鋳片表面積(cm2) Vc :鋳造速度Vc (m/min) (2)上記(1) のNi含有鋼鋳片の製造方法によりNi含有鋼
鋳片とし、次いで熱間のまま圧延工程に直送して粗圧延
を施し、鋼片を製造する方法であって、連続鋳造中の鋳
片を600 ℃以上の温度まで2次冷却し、次いでこの鋳片
を600 ℃以上の温度に保持したまま加熱炉に装入して加
熱した後、粗圧延を行うことを特徴とするNi含有鋼片の
製造方法。以下、本発明の第2方法という。
は垂直曲げ型の連続鋳造機(以下、連鋳機という)を用
いて、鋳型内に供給する溶鋼の過熱度(以下、ΔTと記
す)および2次冷却条件を適切にして鋳造し、前記組成
のNi含有鋼鋳片の表層において柱状γ粒層の厚さを25mm
以下とするものである。
ための検討内容およびその結果を説明する。以下、化学
組成の表記における%は重量割合を意味する。
5.5〜10%含有する鋼は、通常の炭素鋼、低合金鋼に比
べて鋳片表面割れの発生が激しく、連続鋳造による製造
が困難である。この割れは、鋳片の曲げまたは矯正時の
歪に起因してγ粒界に沿って発生し、この粒界に析出し
た微細なAlN は割れに影響を与える。さらに、Niを約5
%以上含有すると極端に割れ感受性が上昇する。Fe-Ni
系の状態図ではNiが5.5 %以上でγ凝固であることか
ら、γ相を初晶として凝固することが原因となって割れ
感受性が上昇することは明白である。
鋼材の高温延性を調査することはよく行われており、よ
い相関があることが明らかとなっている。また、γ粒を
微細化すれば高温延性が向上することは、例えば鉄と
鋼、67(1981)、P.1180にも示されているように公知であ
る。しかしながら、γ初晶で凝固する鋼種の連続鋳造プ
ロセスにおけるγ粒の成長の制御方法は明らかではな
い。
の成長に及ぼす鋳造条件の影響を検討するために、表1
に示す組成の9 %Ni鋼を溶製し、機長4mの垂直型の試
験連鋳機で幅40cm×厚さ18cmの断面を持つ鋳片を鋳造し
た後、2次冷却を行った。
Tおよび2次冷却パターン(温度履歴)をパラメータと
した。得られた鋳片を切断してエッチングを行い、鋳片
表層部のγ粒成長挙動を調査した。この結果を図1に示
す。
を1.0m/min、2次冷却の比水量を0.63リットル/(kg ・
steel)の条件とした場合における、鋳片表層部のマクロ
組織写真の模写図である。図1(a) はΔTが60℃、図1
(b) はΔTが15℃の場合である。なお、上記の2次冷却
の比水量は、後述するの2次冷却の水量密度Wに換算す
れば0.019 リットル/(min・cm2)となる。
場合には鋳片表面から30mm以上の領域まで柱状のγ粒の
層(柱状γ粒層)が生成している。これに対して、ΔT
が15℃と低い場合には図1(b) に示すように、柱状γ粒
層の厚さは明らかに薄く、鋳片表層にはチル状の微細な
γ粒の層(微細γ粒層)が生成していた。
γ粒からなる層であり、より鋳片内部側のγ粒が粒状に
なる部分とは明瞭に区別可能である。γ粒界は、たとえ
ばナイタルなどによるエッチングにより顕出させること
が可能である。この柱状γ粒層の厚さは、2次冷却ノズ
ルの配置などの影響を受けず、幅方向にほぼ均一の厚さ
で成長していた。ΔTを低下すると過冷が生じやすく、
凝固の核の生成頻度が高くなるために鋳片表層部ではチ
ル状の微細γ粒層が生成し、内部では柱状γ粒の成長が
抑制されたものである。
片に何ら機械的な応力を付与していないにもかかわら
ず、柱状のγ粒に沿ってγ粒界割れが発生していた。こ
のγ粒界割れは、柱状γ粒層のみに発生しており、鋳片
の内部やΔTが低い場合に発生した表層のチル状の微細
γ粒層などの他の部分には一切発生していなかった。こ
の割れが、鋳片の表面に現れた場合に表面割れとして問
題となるのである。
の厚さを薄くすれば、粒界割れを抑制することが可能と
なる。また、鋳片表層にチル状の微細γ粒が存在すれば
割れが表面に現れず、割れの抑制に効果的である。
変更し、表層の柱状γ粒層および微細γ粒層の厚さを調
査した。この結果を図2に示す。
び微細γ粒層の厚さに及ぼす溶鋼のΔTの影響を示す図
である。図示するように、ΔTを低下することにより柱
状のγ粒の成長が抑制され、30℃以下にすれば鋳片表層
にチル状の微細γ粒が生成することが明らかである。
条件の影響を調査した。すなわち、ΔTを25〜30℃とほ
ぼ一定とし、種々の鋳造速度で水量密度Wを種々に変化
させたときの柱状γ粒層の厚さを調査した。ただし、2
次冷却は鋳片の全長にわたり均等に行った。
(min・cm2)〕は、下記(1) 式で定義されるものである。
間で鋳片表面に噴射する水量(リットル/min) S:ロール間の鋳片表面積(cm2) 水量密度Wはノズル正面とロール部とでは変化するが、
簡便のために上記(1)式のように、2次冷却ゾーンのロ
ール間で鋳片表面に噴射する水量VL とロール間の鋳片
表面積Sとの比とした。この水量密度Wを用いた理由は
次のとおりである。
片の重量1kgあたりに使用する冷却水量を意味する比水
量を用いる。この比水量は、鋳片の断面平均温度のよう
な鋳片全体の冷却状況を表す指標としては適切である
が、鋳片厚さや鋳造速度などが異なる鋳片の表層近傍の
冷却状況を比較することが可能な指標ではない。よっ
て、本発明では単位面積あたりの水量を表す水量密度W
を用いることとした。柱状γ粒層の厚さの調査結果を図
3に示す。
ぼす水量密度Wおよび鋳造速度Vcの影響を示す図であ
る。図示するように、いずれの鋳造速度においても水量
密度Wを増加すると柱状γ粒層の厚さが増加し、同じ水
量密度Wでは鋳造速度Vc が遅い方が柱状のγ粒層が成
長した。一方、鋳造速度Vc や水量密度Wを変化させて
も、鋳片表層のチル状微細γ粒には何ら影響しない。水
量密度Wを増加した場合には、鋳片表面からの熱流速が
増加するためにγ粒の方向性凝固が顕著になり、鋳片表
層の柱状γ粒層の厚さが増加する。この結果を鋳造速度
Vc と水量密度Wとの関係で整理すると図4が得られ
る。
造速度Vc (m/min)と水量密度Wとの関係で整理して示
す図である。この図4によれば、鋳造速度Vc と水量密
度Wとの間にはよい直線関係があり、下記(2) 式の関係
が成立するように制御すれば、ΔTが25〜30℃の場合に
柱状γ粒層の厚さを25mm以下に抑制できることがわか
る。
さはΔTの増大にともない厚くなることから、上記(2)
式の関係が成立すれば、ΔTが30℃以下の場合にはこの
柱状γ粒層の厚さを25mm以下に抑制することができる。
抑制すれば、この粒界に析出した微細なAlN が多少存在
し、または鋳片表面温度が熱間延性の低下する領域にあ
っても、これらの影響を軽減し、鋳片の曲げまたは矯正
時の歪に起因してγ粒界に沿って発生する割れを軽減ま
たは防止することができる。
抑制するための、ΔTのさらに望ましい条件は20℃以
下、ノズル閉塞を回避することを考慮した望ましい下限
は5℃程度である。
の成長が抑制され、30℃以下にすれば鋳片表層にチル状
の微細γ粒が生成する。さらに、2次冷却の水量密度を
低下すると、柱状のγ粒の成長が抑制される。これはγ
初晶で凝固する場合に独特の挙動であり、通常の炭素鋼
などのようにδ初晶で凝固する鋼種に本発明の方法を適
用しても、γ粒成長の変化に対する影響はない。
に2次冷却を行ったが、通常の連続鋳造による実製造の
場合の水量密度分布では、鋳型直下から連鋳機端まで数
ゾーンに分けて水量制御を行い、鋳型直下からゾーンご
とに徐々に水量密度を減少するような分布とする。しか
し、凝固シェルの成長挙動からみて柱状γ粒の成長は鋳
型から鋳型直下部分までで終了しており、最も水量密度
の高い部分について0.02Vc >Wの関係が成立すれば、
柱状γ粒の成長は抑制できる。
の高い部分が生じると、熱応力が原因となって柱状γ粒
層に沿った割れが顕著に増加する。したがって、最も水
量密度の高い部分でも前記(2) 式の関係が成立すること
が必要となり、本発明方法では、全てのロール間につい
て前記(2) 式の0.02Vc >Wの関係が成立することと限
定した。
試験を行った。その結果、鋳片表層にチル状の微細γ粒
が存在し、柱状γ粒層の厚さが25mm以下であれば、熱間
圧延材の表面に疵が発生しないことが判明した。
ましいが、実際上は図2に示すように15mm程度以下にす
るのは困難であり、この程度であれば悪影響はない。
片の組成を、前記のように限定した理由を説明する。
ためにも必要な元素である。0.1 %を超えると強度が上
がりすぎ、低温靭性に悪影響を与える。望ましい下限は
0.02%程度である。
は0.1 %程度である。
と、低温靭性に悪影響を与える。
下限は0.4 %程度である。また、焼入性向上および強度
確保の効果があるが、1.0 %を超えて含有させるとこれ
らの効果が飽和する。
未満では凝固時の初晶はδ相であるため、凝固の形態が
異なり、ΔTによるγ粒径制御の効果が得られない。一
方、10%を超えても低温靭性の改善効果は認められな
い。
る。Niを 5.5〜10%含有する鋼のようにγ相を初晶とし
て凝固する鋼種は、最終凝固位置がγ粒界と一致する。
すなわち、Pが0.002 %を超えると、そのγ粒界におけ
る凝固時の偏析がγ粒界を著しく脆化させるため、その
上限は0.002 %とした。一方、P含有量は極力低減する
のが望ましい。0.001 %以下とすると柱状γ粒に沿った
割れが軽減し、高温延性も向上する。しかし、Pは不可
避不純物でもあり、コスト面からの望ましい下限は0.00
03%程度である。よって、P含有量の望ましい範囲は0.
0003%程度〜0.002 %、さらに望ましいのは0.0003%程
度〜0.001 %である。
相を初晶として凝固する鋼種では、Sが0.002 %を超え
るとγ粒界を著しく脆化させるため、その上限は0.002
%とした。一方、S含有量も極力低減するのが望まし
い。0.001 %以下とすると柱状γ粒に沿った割れが軽減
し、一層良好な延性が得られる。しかし、コスト面から
の望ましい下限は0.0003%程度である。よって、S含有
量の望ましい範囲は0.0003%程度〜0.002 %、さらに望
ましいのは0.0003%程度〜0.001 %である。
下限は0.003 %程度である。一方、Al含有量が0.02%を
超えるとAlはNと結合して過剰のAlN を生成し、粒界を
脆弱化させ、割れ感受性を高める。
量が0.004 %を超えると過剰のAlN が生成して粒界を脆
弱化させ、割れ感受性を高める。したがって、その含有
量は極力低減するのが好ましい。しかし、通常の鋼製造
プロセスでは或る程度のNの含有は避けられず、 0.001
%未満とするのは困難である。
的に応じてTi、Moなどを含有させることができる。Tiは
低温靭性を悪化させるものの、γ粒径を微細化する効果
を有する。Moも低温靭性を悪化させるものの、600 ℃か
ら700 ℃まででの延性 向上させるとともに強度も高め
る。TiとMoとの複合添加を選択することもできる。Tiお
よび/またはMoを含有させるときの望ましい含有量は、
Tiで 0.005〜0.02%、Moで0.02〜0.1 %である。
限定理由を説明する。
1方法の方法によりNi含有鋼鋳片を製造し、次いで熱間
のまま圧延工程に直送し、加熱および粗圧延を施して鋼
片を製造するものである。このとき、連続鋳造中に鋳片
温度が600 ℃以上を保つように2次冷却を施し、鋳片温
度を600 ℃以上に保持したまま加熱炉に装入し、所定の
温度に加熱する。
鋳造後の冷却過程で鋳片内部の割れが発生し、これが圧
延時に表面に現出することにより、鋼片の品質上の問題
となる場合がある。この発生原因を解明するために冷却
時の線膨張率を調査した。得られた結果を図5に示す。
5℃/minで昇降温させたときの線膨張率E(%)の温度
変化を示す図である。
するように約550 ℃で大きな線膨張率の変化が認めら
れ、連続鋳造中に鋳片がこの温度域を通過する際に大き
な変態応力が発生する。したがって、鋳片が約600 ℃に
至る前に圧延を加え、組織を微細化させれば、鋳片内部
の割れを防止することが可能となる。このためには、加
熱炉に装入する前の鋳片温度を600 ℃以上に保持すると
ともに、連続鋳造中にも鋳片温度が600 ℃以上に保持さ
れることが必要となる。この鋳片温度とは、表面温度を
指す。
する具体的方法は、次のとおりである。
度を制御するため、鋳片温度が600℃未満になることは
ない。下部では鋳片の断面平均温度が低下することか
ら、スプレーまたはミスト冷却により鋳片温度が600 ℃
未満となることがある。このような場合には、該当する
部分の2次冷却を停止することにより、鋳片温度を600
℃以上に保持することが可能となる。
上に保持する具体的方法は、次のとおりである。
で700 ℃以上ある。この鋳片を速やかに加熱炉に装入す
ることにより、鋳片温度を600 ℃以上に保持することが
可能である。または、必要に応じて連続鋳造後の鋳片に
カバーを掛けて徐冷し、600℃以上に保持したまま加熱
炉に装入する方法でもよい。
曲げまたは矯正時の歪みに起因することから、本発明方
法は湾曲型または垂直曲げ型の連鋳機を用いる際に有効
である。これらの連鋳機は、鋳型直下から鋳造方向に或
る範囲で通常の各種ロールおよび2次冷却ゾーンを備え
ているものであればよい。また、本発明方法のいずれに
おいても、連続鋳造の曲げまたは矯正の位置での鋳片表
面温度が脆化温度域を回避するように操業することが、
より好適である。したがって、連続鋳造時の鋳片表面温
度の望ましい下限は800 ℃程度である。
は次のとおりである。
望ましい手段はスプレーである。望ましい冷却材は水ま
たは空気−水ミストであるが、幅方向の均一冷却の観点
からこのミストの方がより好適である。空気−水ミスト
を用いる場合、空気が冷却能に及ぼす影響は水に比較し
て小さいため、水量密度Wのみを規定すればよい。
(min・cm2) 鋳造速度Vc の範囲:0.5 〜 3.0 m/min 鋳片サイズの範囲:幅; 1000〜2500mm、厚さ;100〜350m
m
Niの添加、脱Pおよび脱Sのための2次精錬〔LF(Lad
le furnace) 処理〕の工程で行い、その後、機長23m の
3点矯正の湾曲型連鋳機を用いて幅2300mm、厚さ240mm
の鋳片とした。鋳造した鋼鋳片の化学組成を前記の表1
および次の表2に示す。表2に示す鋼鋳片の符号Bおよ
びCは、PおよびSの含有量を増加または低減させた鋼
種である。
度を850 ℃に確保できるような冷却条件を設定し、かつ
冷却手段は鋳片表面が均一に冷却されるようにミスト冷
却とした。連続鋳造時の鋳片表面温度測定には放射温度
計を用いた。その結果、矯正点で鋳片のコーナー近傍の
表面温度は約850 ℃であることを確認した。
するため徐冷した後、表面を研削し、割れの発生状況を
調査した。割れの発生状況の評価は、0を全く割れが発
生しなかった場合、5を全面に深い割れが発生し手入れ
が不可能の場合とした6段階の割れコード指数を用いて
行った。
断した後、鏡面研磨し、硝酸でエッチングしたサンプル
を対象として、目視により鋳片表層の柱状γ粒層の厚さ
を測定した。
例〕表3に示すように、ΔT、鋳造速度Vc および2次
冷却の水量密度Wの各鋳造条件を変化させた。表3に柱
状γ粒層の厚さおよび割れ発生状況を併せて示す。
2次冷却の水量密度Wは鋳片の2次冷却過程で最も多い
部分の値を示した。
れの発生状況とよい相関があり、前述の鋳造試験結果と
もよく対応した。鋳造条件を本発明方法で定める条件の
範囲内とした本発明例では、いずれも比較例より明らか
に柱状γ粒層の厚さが薄く、割れも軽減した。ΔTが30
℃以下の条件で鋳造した鋳片の表層には、微細γ粒層が
生成していた。
2では、割れが発生しなかった。したがって、ΔTを20
℃以下とすれば、より高い割れ抑制効果が得られること
が明らかとなった。ΔTが30℃を超える比較例1では、
明らかに柱状γ粒層が厚く成長し、表層の微細γ粒層も
生成しなかったことにより、重度の割れが発生した。
より、0.02Vc <Wとした比較例2および3では、柱状
γ粒層が厚くなり、割れも悪化した。
い、ともに0.001 %未満とした鋼Cを対象とした本発明
例3では、割れは、PおよびS含有量の高い鋼Aを対象
とした本発明例1よりも明らかに軽減された。割れは、
一方、P含有量が0.0028%と高い鋼Bを対象とした比較
例4では悪化しており、極低Pおよび極低S化が明らか
に割れの抑制に効果を示した。
例〕表1に示す鋼Cを対象として、表4に示す条件(本
発明の第1方法)にしたがって鋳造した鋼鋳片を熱間で
圧延工程に送り、粗圧延を加えて厚さ180mm の鋼片とす
る試験を実施し、加熱炉装入温度と粗圧延後の鋼片割れ
発生状況との関係を調査した。
鋳片の加熱炉への装入タイミングを変更することにより
行った。圧延鋼片の疵発生状況の評価は、手入れによる
歩留まり低下率で行った。表4に歩留まり低下状況を併
せて示す。
700 ℃に保ったまま熱間で加熱炉に装入した本発明例4
では、手入れによる歩留まりの低下は認められなかっ
た。歩留まりは、一方、600 ℃未満で加熱炉に装入した
比較例5および6の場合には悪化した。このように歩留
まりは、加熱炉に室温または400 ℃で装入しても低下
し、両者間に低下率の差はほとんど認められなかった。
軽減されたNi含有鋼鋳片または鋼片を連続鋳造または連
続鋳造−熱間直送圧延により製造することが可能であ
る。
リットル/(kg ・steel)の条件とした場合における鋳片
表層部のマクロ組織写真の模写図である。(a) はΔTが
60℃、(b) はΔTが15℃の場合である。
の厚さに及ぼすΔTの影響を示す図である。
Wおよび鋳造速度Vc の影響を示す図である。
水量密度Wとの関係で整理して示す図である。
降温させたときの線膨張率Eの温度変化を示す図であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】重量割合で、C:0.1 %以下、Si:0.5 %
以下、Mn:1.0 %以下、Ni: 5.5〜10%、P:0.002 %
以下、S:0.002 %以下、Al:0.02%以下およびN:
0.001〜0.004 %を含有する鋼鋳片を湾曲型または垂直
曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する方法であって、鋳
型内に供給する溶鋼の過熱度を30℃以下とし、2次冷却
ゾーンにおいて、鋳造速度Vc (m/min)と下記(1) 式で
定義される水量密度W〔リットル/(min・cm2)〕との間
に、鋳造方向における全てのロール間について下記(2)
式の関係が成立するように冷却を行い、鋳片表層の柱状
γ粒層の厚さを25mm以下とすることを特徴とするNi含有
鋼鋳片の製造方法。 W=VL /S・・・・・・・・・(1) 0.02Vc >W・・・・・・・・・(2) ただし、W:2次冷却の水量密度〔リットル/(min・cm
2)〕 VL :2次冷却ゾーンのロールとロールとの間で鋳片表
面に噴射する水量(リットル/min) S:ロール間の鋳片表面積(cm2) Vc :鋳造速度Vc (m/min) - 【請求項2】請求項1記載のNi含有鋼鋳片の製造方法に
よりNi含有鋼鋳片とし、次いで熱間のまま圧延工程に直
送して粗圧延を施し、鋼片を製造する方法であって、連
続鋳造中の鋳片を600 ℃以上の温度まで2次冷却し、次
いでこの鋳片を600 ℃以上の温度に保持したまま加熱炉
に装入して加熱した後、粗圧延を行うことを特徴とする
Ni含有鋼片の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|---|
KR100897143B1 (ko) * | 2002-07-26 | 2009-05-14 | 주식회사 포스코 | 표면품질이 우수한 고 니켈 합금의 연속주조방법 |
CN102151814A (zh) * | 2010-12-30 | 2011-08-17 | 中冶连铸技术工程股份有限公司 | 连铸生产中的粘结报警方法和系统 |
JP2011218403A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Nippon Steel Corp | 鋼の連続鋳造方法 |
JP2016078076A (ja) * | 2014-10-16 | 2016-05-16 | 新日鐵住金株式会社 | クロムニッケル系ステンレス鋼の連続鋳造方法 |
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1996
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