JP2000327570A - 皮膚外用剤 - Google Patents

皮膚外用剤

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JP2000327570A
JP2000327570A JP14289899A JP14289899A JP2000327570A JP 2000327570 A JP2000327570 A JP 2000327570A JP 14289899 A JP14289899 A JP 14289899A JP 14289899 A JP14289899 A JP 14289899A JP 2000327570 A JP2000327570 A JP 2000327570A
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JP14289899A
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Nobuo Fukuda
信雄 福田
Kunio Shimada
邦男 島田
Kazuhiko Ishihara
一彦 石原
Norio Nakabayashi
宣男 中林
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Original Assignee
NOF Corp
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アトピー性皮膚炎等に有効で、副作用の少な
い皮膚外用剤を提供する。 【解決手段】皮膚外用剤100重量%中に、A成分とし
て尿素2〜30%重量%、B成分としてホスホリルコリ
ン類似基含有重合体0.01〜10重量%、C成分とし
てコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、α−リノ
レン酸、リノール酸からなる群より選択される1種以上
の脂肪酸を含有する油脂類3〜35重量%およびD成分
としてマスキング剤0.01〜2重量%とを含有する皮
膚外用剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚外用剤に関す
る。更に詳細には、尿素、ホスホリルコリン類似基含有
重合体、さらに特定の脂肪酸を含有する油脂類およびマ
スキング剤とを特定量含有することを特徴とする皮膚外
用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】現代社会において人々の生活環境の変化
や悪化、食生活の変化、ストレスなどによってアレルギ
ー性疾患が増加している。このために疾患に伴う皮膚障
害が、特にその中でもアトピー性皮膚炎、魚鱗癬、老人
性乾皮症、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足
蹠部皮裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔性苔癬、頭部粃糠
疹等の患者が最近急増している。その病歴も非常に長く
なっている。これらの患者の治療には、高い薬理効果が
期待できるステロイド剤などの薬剤が用いられている。
しかしこのようなステロイド剤の副作用が問題となって
おり、患者は治療期間中は、副作用の危険にさらされて
いる。さらに、ステロイド剤の使用停止により悲惨なリ
バウンド(薬物の使用停止後に起こる劇的な患部の増
悪)が生ずることもよく知られている。このような副作
用の対策として、ステロイド剤などのホルモンを含まな
い非ステロイド性の抗炎症剤や抗ヒスタミン剤などが使
用されている。
【0003】<A成分・尿素について>従来から尿素は
皮膚の角層溶解剤や吸保湿性を有する素材を配合した軟
膏やクリームが治療に用いられている。 [1]特開平10−152428号公報には尿素と植物
油脂と植物抽出物(多種のエキス)との配合による肌荒
れ改善効果に優れた、皮膚外用剤が開示されている。
【0004】<B成分・MPCの単独重合体又はMPC
と疎水性モノマーとの共重合体について>2−(メタ)
アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下MP
Cと略す)を構成単位として有する重合体が化粧料や皮
膚外用剤として優れていることは既に知られている。例
えば [2]特開平5−70321号公報には、MPCの共重
合体が吸湿性、保湿性に優れ、水分保持能の優れた化粧
料が示されている。
【0005】<C成分・油脂類>一方、ドコサヘキサエ
ン酸(以下DHAと略す)、エイコサペンタエン酸(以
下EPAと略す)を含む魚油、肝油、ビタミンA油、そ
の他の油脂等とDHAやEPAを含有する組成物あるい
は皮膚外用剤が知られている。 [3]特開平6−247852号公報には、ビタミンE
とサメ肝油に含まれるスクワレンを配合する外用剤がア
トピー性皮膚炎や接触皮膚炎などの炎症性皮膚炎に有効
であることが開示されている。 [4]特開平7−82162号公報には肝油に含まれる
不飽和脂肪酸の二重結合を水素添加した水添肝油を用い
た皮膚外用剤が開示されている。
【0006】また、DHA、EPA、アラキドン酸(以
下ArAと略す)、α−リノレン酸(以下ALAと略
す)、リノール酸(LAと略す)については次の技術が
知られている。 <DHA、EPAについて> [5]特開平3−90022号公報には、アトピー性皮
膚炎をはじめとしたアレルギー性皮膚炎に対するEPA
の効果について、EPAエチルエステルを用いて、乾癬
・湿疹治療薬として優れた効果があることが開示されて
いる。 [6]特開平5−43456号公報や特開平6−408
87号公報、特開平7−112913号公報、特開平9
−143067号公報にはDHAを用いたアトピー性皮
膚炎やアレルギー性皮膚炎に対する外用剤や洗浄剤が開
示されている。 [7]特開平7−173060号公報にはDHAやEP
Aを含有する魚油の経口摂取がアトピー性皮膚炎治療に
効果があることが記載されている。
【0007】<ArAについて> [8]臨床栄養Vol.84(2)1994、p14
8、臨床と研究Vol.70(6)1993,263、
特開平9−143067号公報などには、ω−6高度不
飽和脂肪酸であるArAはアレルギー炎症の発症には重
要な働きを持ち炎症を誘導するプロスタグランジン(P
GE2)やロイコトリエン(LTB4、LTC4、LT
E4)などに変換されることが示されている。この変換
(アラキドンカスケード)を行う酵素はω−3高度不飽
和脂肪酸であるDHA、EPAがPG3系統、LT5系
統(炎症を誘導する活性を有しない)に変換される場合
に使われる酵素と同じものであって両者は拮抗的に作用
する。特にω−3高度不飽和脂肪酸の方がω−6高度不
飽和脂肪酸よりも親和性が高いといわれているので両者
が共存した場合はω−3高度不飽和脂肪酸の方が優先的
に反応するといわれている。
【0008】<ALAについて>ALA、EPA、DH
A等のω−3系高度不飽和脂肪酸が経口で摂取してもほ
とんど副作用がなく抗アレルギー作用を呈することが知
られている。これまで、このような高度不飽和脂肪酸を
用いるアレルギーを治療した報告については次のものが
知られている。 [9]特開昭59−152324号公報にはω−3系高
度不飽和脂肪酸とω−6系高度不飽和脂肪酸の適切な組
み合わせがアレルギー性鼻炎やアトピーなどの治療に有
効であることが開示されている。 [10]日本小児アレルギー学会誌 Vol.6,pp
87−91(1992)には、ALAを豊富に含むエゴ
マ油を小児アトピー性皮膚炎患者に投与して改善効果を
あげている。 [11]臨床栄養Vol.87,pp185−189
(1995)、日本小児アレルギー学会誌 Vol.
8,pp18−26(1994)、およびアレルギーの
臨床 Vol.14,pp296−305(199
4)〕には、ALAを含むエゴマ油とEPA,DHAを
含む精製魚油の両者を粉末油脂とし、これをアトピー性
皮膚炎患者に投与して改善効果を観察している。
【0009】<過酸化物価(POV)について>一般に
脂質は、過酸化脂質中に存在するラジカルが脂質分子の
二重結合に作用し、連鎖反応で次々に過酸化するといわ
れている。脂質の過酸化によって生じる過酸化脂質は皮
膚を刺激し、皮膚の老化や炎症を起こす原因といわれて
いる。このため過酸化脂質は患部悪化の原因となった
り、新規な炎症病変の原因となる。したがって、脂質中
の過酸化脂質の指標となるPOVが低いものが望まれて
いる。
【0010】<アルデヒド価(AlV)について>アル
デヒド価(AlVと略す)は油脂の酸化によって生じる
過酸化脂質がさらに酸化が進み分解して生成するアルデ
ヒド量として定義されているものであり、油脂の過酸化
脂質の指標として用いられる。したがって、脂質中の過
酸化脂質の指標となるAlVが低いものが望まれてい
る。
【0011】<D成分・マスキング剤>DHA、EPA
等を含有する魚油、肝油、ビタミンA油等の高度不飽和
脂肪酸を含む油脂類は、皮膚に対する肌荒れ防止効果等
が知られているが、臭気が強く、そのためこれらの油脂
類とマスキング剤の配合が多く提案されている。一般に
これらの油脂の酸化や変質を防ぐには、油脂の精製度を
上げる方法、又は、マスキング剤や抗酸化剤を添加する
方法等が広く知られている。
【0012】しかし、DHAやEPAは、魚油、例えば
マグロ油、サバ油、サンマ油、イワシ油、タラ油、ニシ
ン油の中に多く含まれる高度不飽和脂肪酸である。これ
らの魚油中のDHAは約6〜15重量%、EPAは約4
〜20重量%含んでいる。そのため肝油、ビタミンA油
も魚油同様にDHAやEPAを含んでおり、魚臭の抑制
や変敗の防止を長期間に亙り発揮するマスキング剤は現
在のところ見出されていない。従って、高度不飽和脂肪
酸を含む魚油、肝油、ビタミンA油等の魚臭や変敗を抑
制する有効なマスキング剤の開発が望まれていた。
【0013】特開平10−152428号公報には、皮
膚外用剤や化粧料として、尿素、特定の植物油脂類、植
物抽出物の3種の配合組成物については知られている。
特開平6−157270号公報および特開平6−157
271号公報には、皮膚外用剤や化粧料として、ホスホ
リルコリン類似基含有重合体、特定の油脂類(例えばオ
リーブ油)、マスキング剤の香料の3種の配合組成物に
ついては知られている。しかし従来、皮膚外用剤や化粧
料として、尿素、ホスホリルコリン類似基含有重合体、
特定の油脂類、マスキング剤の4種の配合組成物につい
ては知られていない。また、不飽和脂肪酸含有量の多い
油脂類が特定のDHA、EPA、ArAの脂肪酸組成で
規定される記載も前記の文献にはない。さらに油脂類の
物性が過酸化物価(POV)、アルデヒド価(AlV)
で規定される記述もない。
【0014】
【発明が解決しょうとする課題】本発明の目的は、アレ
ルギー性疾患等に有効で、特にアトピー性皮膚炎等に有
効である、副作用の少ない皮膚外用剤を提供することに
ある。特に、ステロイド剤を配合しないで、副作用の少
ない皮膚外用剤を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み、皮膚外用剤の組成を種々検討した結果、ス
テロイド剤を含まないで、A成分として尿素、B成分と
してホスホリルコリン類似基含有重合体、C成分として
DHA、EPA、ALA、LAのいずれか1種を含む油
脂類と、D成分としてマスキング剤とを特定量配合した
皮膚外用剤が、各成分のそれぞれの効果を上回る効果が
あることを見出し、本発明を完成するに至った。その
上、DHA、EPA、ALA、LAのいずれか1種を含
む肝油、マグロ油、サバ油、サンマ油、イワシ油、タラ
油、ニシン油;ALA、LAを豊富に含有するひまわり
油、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油を用いることによって
更なる相乗効果が得られることを見出した。また、成分
を特定の割合で組み合わせることによって副作用が少な
く、効果が十分な皮膚外用剤を見出し、本発明を完成し
た。すなわち、本発明は、次のとおりである。
【0016】皮膚外用剤100重量%中にA成分として
尿素2〜30%重量%、B成分としてホスホリルコリン
類似基含有重合体0.01〜10重量%、C成分として
ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、α−リノ
レン酸およびリノール酸からなる群より選択される1種
以上の脂肪酸を含有する油脂類を3〜35重量%および
D成分としてマスキング剤0.01〜2重量%を含有す
る皮膚外用剤。
【0017】B成分のホスホリルコリン類似基含有重合
体が、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリ
ルコリン単量体を含有する単量体組成物を重合してなる
重合体であり、重量平均分子量が5,000〜5,00
0,000である前記の皮膚外用剤。
【0018】C成分の油脂類が、肝油とビタミンAまた
はその脂肪酸エステルを予め配合した肝油由来のビタミ
ンA油であり、肝油1gに対して1,000〜50,0
00ビタミンA単位(IU/g)を配合してなる前記の
皮膚外用剤。
【0019】C成分の油脂類が、脂肪酸基準で、ドコサ
ヘキサエン酸10〜40重量%、エイコサペンタエン酸
5〜20重量%、かつドコサヘキサエン酸の量が、エイ
コサペンタエン酸より多く、さらにアラキドン酸0.0
1〜5重量%を含んでなる動物油脂類である前記の皮膚
外用剤。
【0020】C成分の油脂類が、脂肪酸基準で、α−リ
ノレン酸0.1〜60重量%、リノール酸40〜70重
量%とを含んでなる植物油脂類である前記の皮膚外用
剤。
【0021】C成分の油脂類が、マグロ油、イワシ油、
サバ油、サンマ油、ニシン油およびタラ油からなる群よ
り選択される魚油を1種以上含有してなる前記の皮膚外
用剤。
【0022】C成分の油脂類が、ひまわり油、シソ油、
エゴマ油および亜麻仁油からなる群より選択される植物
油脂類を1種以上含有してなる前記の皮膚外用剤。
【0023】C成分の油脂類の物性値が、過酸化物価が
0.01〜30meq/kgでかつアルデヒド価が0.
001〜0.035mmol/gである前記の皮膚外用
剤。
【0024】D成分のマスキング剤が、チョウジ油、ウ
イキョウ油、ユーカリ油、カシア油、ハッカ油、オイゲ
ノール、プルーンおよびハーブからなる群より選ばれる
1種以上を含有する前記の皮膚外用剤。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明で用いるA成分の尿素は、
市販品をそのまま用いてもよい。尿素の配合量は通常軟
膏、クリーム製剤に配合される量、例えば2〜30重量
%好ましくは3〜20重量%が配合される。2重量%未
満では薬効が弱くなっていく傾向が認められ、30重量
%を越えると薬剤の物性の安定性が環境条件により損な
われていく傾向が認められるので好ましくない。本発明
で用いるB成分のホスホリルコリン類似基含有重合体
は、側鎖に次式[I]
【0026】
【化1】
【0027】{ただし、R1、R2、R3は炭素数1〜8
のアルキル基、R4は、−(AO)m−A−基(ここ
で、Aは炭素数1〜20の2価の炭化水素基であり、m
は0〜10の整数を示す。)、またR5は、水素原子、
メチル基である。}で表される基を有する重合体であ
り、以下PC重合体と略す。更に具体的には、例えば前
記の一般式[I]で表わされる基を有する単量体を単独
重合または他の単量体と共重合して得られる。前記の一
般式[I]で表わされる基を有する単量体としては、具
体的には分子中に重合性の二重結合と前記の一般式
[I]で表される基を有していればよい。
【0028】該単量体としては、具体的には例えば、2
−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメ
チルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモ
ニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイル
オキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチル
ホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチ
ル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェー
ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−
(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリエ
チルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)ア
クリロイルオキシブチル−2’−(トリエチルアンモニ
オ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオ
キシペンチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチル
ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェー
ト、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−
(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、4−
(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリプロ
ピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)ア
クリロイルオキシペンチル−2’−(トリプロピルアン
モニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチ
ルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェ
ート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−
(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−
(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリブ
チルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチル−3’−(トリメチルアンモニ
オ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイル
オキシエチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチル
エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホス
フェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−
4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリ
プロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリプロピル
アンモニオ)ブチルホスフェート、
【0029】さらに、2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホス
フェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−
4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェート、
3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(ト
リメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリメチル
アンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピル−3’−(トリエチルアンモニ
オ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイル
オキシプロピル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチ
ルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホス
フェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−
4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェー
ト、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−
(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリブ
チルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)ア
クリロイルオキシブチル−3’−(トリメチルアンモニ
オ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイル
オキシブチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチル
ホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル
−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルエチルホス
フェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−
4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、
4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリ
プロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メ
タ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリプロピル
アンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリ
ロイルオキシブチル−3’−(トリブチルアンモニオ)
プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキ
シブチル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホス
フェートが挙げられる。さらには、一般式[I]で示さ
れる基が1〜2個エステル化されたマレイン酸、フマル
酸、イタコン酸の単量体の誘導体等を挙げることができ
る。
【0030】前記の単量体は、これらの一種ないし二種
以上を混合して用いることができる。入手性等の点か
ら、下記の一般式[II]
【0031】
【化2】
【0032】(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異
なる基であって、炭素数1〜8のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す、また、R6は、水素原子又はメチル基
を示す。)で示される単量体が好ましい。なかでも前記
に示したように既に各種検討されていて、入手性等か
ら、前記の一般式[II]のR1=R2=R3がメチル基、
6がメチル基、nが2である2−メタクリロイルオキ
シエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホス
フェート(以下、MPCと略す)が好ましく挙げられ
る。
【0033】PC重合体は、前記の一般式[I]で表さ
れる基を有する単量体を100〜30モル%と、他の単
量体(b成分とする)を0〜70モル%を含む単量体混
合物をラジカル重合して得られる。その際に用いるb成
分の他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)
アクリレート;3−{(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピル}トリメトキシシラン、3−{(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピル}トリエトキシシラン、3−{(メ
タ)アクリロイルオキシプロピル}トリプロピルオキシ
シラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;2−
(ペルフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレー
ト、2−(ペルフルオロオクチル)エチル(メタ)アク
リレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル
(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフル
オロヘプチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリ
フルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)アク
リレート等のフッ素系(メタ)アクリレート;2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール
モノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アク
リレート;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチ
ル(メタ)アクリル酸アミド等のアミド系単量体;(メ
タ)アクリル酸を挙げることができる。
【0034】さらに他の単量体として、例えば、スチレ
ン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等の置換も
しくは無置換のスチレン系単量体;エチルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量
体;酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体;トリメト
キシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等のビニ
ルシラン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の置換もしくは無置
換の炭化水素系単量体;ジエチルフマレート、ジエチル
マレエート等の二塩基酸エステル系単量体;N−ビニル
ピロリドンを挙げることができる。これらの単量体のう
ち、より好ましくは、水酸基含有(メタ)アクリレー
ト、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系単量
体、ビニルシラン系単量体が挙げられる。その中でも炭
素数1〜8のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を
有するメタクリル酸エステルが特性上から好ましい。B
成分のPC重合体の配合量としては、例えば好適には
0.01〜10重量%であり、肌荒れ、艶不足を改善
し、水分の保持と蒸散を防止し美肌効果を有する。本発
明に用いるPC重合体は、重量平均分子量で5,000
〜5,000,000が望ましい。使用目的に応じて重
量平均分子量を種々調整することができるが、感触面、
ゲル化能等を勘案した場合、通常はポリエチレングリコ
ール換算で10,000〜1,000,000であり、
好ましくは、50,000〜500,000である。ま
た、共重合体中におけるホスホリルコリン類似基含有重
合体とその他の単量体に基づく構成単位のモル比は、3
0:70〜100:0が好適である。より好適には5
0:50〜97:3である。ホスホリルコリン類似基含
有単量体と疎水性(メタ)アクリル酸エステルに基づく
構成単位のモル比は、30:70よりPC単量体が少な
くなると、PC単量体に基づく保水効果や美肌の維持に
対して好ましくない。
【0035】C成分の油脂類としては、第1に、DH
A、EPAを含有する動物油脂類が挙げられる。その例
として、例えば、魚油、肝油、ビタミンA油が挙げられ
る。魚油としては例えば、マグロ油、イワシ油、サバ
油、サンマ油、ニシン油、タラ油等が挙げられる。肝油
としては例えば、サメ、エイ、ギンザメ類等の軟骨魚類
由来の肝油やサケ、イワシ、タラ類等の硬骨魚類由来の
肝油が挙げられる。ビタミンA油としては例えば、マダ
ラ又はスケトウダラの新鮮な肝臓及び幽門垂から得られ
た脂肪油が好ましく挙げられる。肝油中の脂肪酸成分と
しては、DHAが10〜40重量%、より好ましくは、
15〜30重量%である。DHAの含量が、10重量%
より少ないと皮膚疾患の治療効果が少なく、DHAの含
量が40重量%を越える場合は、皮膚疾患に対し治療効
果の著しい向上が認められないので好ましくない。EP
Aが5〜20重量%、より好ましくは、8〜15重量%
である。EPAの含量が、5重量%より少ないと皮膚疾
患の治療効果が少なく、EPAの含量が20重量%を越
える場合は、皮膚疾患に対し治療効果の著しい向上が認
められないので好ましくない。ArAが5重量%以下、
より好ましくは、1重量%以下である。ArAの含量が
5重量%を越える場合は、DHAやEPAの治療効果を
阻害するので好ましくない。
【0036】またさらに、C成分としては、第2に油脂
類として植物油脂類が挙げられる。植物油脂類として
は、ひまわり油、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油が挙げら
れる。ひまわり油(Sunflower oil)とし
ては、ひまわり種子から得られる油脂が挙げられる。シ
ソ油(perilla oil)としては、シソの葉、
種子等を含むシソを、通常水蒸気蒸留して得られる。品
種としては、チリメンジソ、アカジソ、アオジソ等が挙
げられる。エゴマ油としては、シソの原種であるエゴマ
(perilla frutescens)の種子から
得られる油脂が挙げられる。亜麻仁油(アマニ油とも記
載。)としては、アマの種子から得られる不飽和脂肪酸
を多く含む油脂が挙げられる。
【0037】本発明で用いる油脂類の過酸化物価は、3
0meq/kg以下ある油脂類を用いることが望まし
い。油脂類の過酸化物価は、日本油化学会が制定した基
準油脂分析試験法(2.5.2.1−1996)に従っ
て測定できる。
【0038】また、本発明で用いる油脂類のアルデヒド
価は(AlV)は0.035mmol/g以下が好まし
い。より好ましくは、0.030mmol/g以下であ
る。例えば、肝油のアルデヒド価が、0.035mmo
l/gより高いと過酸化脂質由来の臭いの発生や皮膚の
炎症の促進、特に太陽の光等による紫外線等によって引
き起こされる過酸化物の生成による紫外線過敏症が増長
されるので好ましくない。
【0039】C成分としての油脂類の配合量は、3〜3
5重量%であり、例えば肝油の配合量が3重量%より少
ないと皮膚疾患の治療効果の向上が認められないので好
ましくない。35重量%より多いと皮膚疾患に対し、添
加量に見合う著しい治療効果の向上が認められないので
好ましくない。より好ましくは5〜30重量%である。
【0040】本発明に用いるD成分のマスキング剤とし
ては、植物抽出物、香料油、合成香料等が挙げられる。
これらのマスキング剤は単独で用いてもよいし、併用し
てもよい。さらに具体的には、例えば、バニラフレーバ
ー、スペアミント油、甘草エキス、オレンジ油、チョウ
ジ油、ウイキョウ油、ユーカリ油、カシア油、ハッカ
油、オイゲノール、プルーン、ハーブが挙げられる。好
ましくは、チョウジ油、ウイキョウ油、ユーカリ油、カ
シア油、ハッカ油、オイゲノール、プルーン、ハーブで
あり、より好ましくは、チョウジ油、オイゲノール、プ
ルーン、ハーブ、ハッカ油、である。本発明のマスキン
グ剤として用いる植物抽出物としては、例えば以下のも
のが望ましく挙げられる。 a)チョウジ油は、チョウジのつぼみ、葉、花茎から得
られた精油である。 b)ウイキョウ油は、セリ科やシキミ科の植物より得ら
れる。 c)ユーカリ油は、Eucalyptus globu
lus Labillardiere又はその他近縁植
物の葉から得られる。 d)カシア油は、カシアの実からの抽出物である。 e)ハッカ油は、ハッカ又はその種間雑種の地上部を水
蒸気蒸留した精油である。 f)オイゲノールは、チョウジ油中のオイゲノール含量
が80%以上である。 g)プルーンは、プルーンの実からの抽出物である。 h)ハーブは、ハーブの葉からの抽出物である。ハーブ
としては、具体的には、例えば、カモミール、ミント、
ラベンダー等が挙げられる。市販品としてカモミール系
の配合物がより好ましく挙げられる。前記マスキング剤
の配合量は、皮膚外用剤100重量%に対して、0.0
1〜2重量%である。好ましくは0.1〜0.6重量%
である。
【0041】前記マスキング剤の配合量は、その量が
0.01重量%より少ないと油脂の臭気が残り、十分な
マスキング効果は得られない。またその量が2重量%よ
り多く配合すると、油脂臭はしないが強臭で不快な臭い
になったり、保存安定性が悪くなるので好ましくない。
【0042】本発明の皮膚外用剤は、肌荒れ、湿疹、か
ゆみ、ひび、ただれ、かぶれ、あかぎれ、あせも、皮膚
炎、しもやけ、アトピー性皮膚炎治療用に適する。特
に、魚鱗癬、老人性乾皮症、進行性指掌角皮症(主婦湿
疹の乾燥型)、足蹠部皮裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔
性苔癬、頭部粃糠疹等の皮膚炎治療用に適する。
【0043】次に一例として軟膏の配合品の処方、製造
方法について述べる。例えば油性成分として白色ワセリ
ン、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリ
ン、ポリオキシエチレン(60モル付加体)硬化ひまし
油を容器に採り、70℃に加温し、かき混ぜて均一化す
る。ここにあらかじめBHTなどの抗酸化剤を添加した
肝油を加える。一方、プロピレングリコールを70℃で
加温したところにパラオキシ安息香酸メチル、パラオキ
シ安息香酸プロピル等の防腐剤を添加混合する。ここ
に、ホスホリルコリン類似基含有重合体の単独重合体、
またはホスホリルコリン類似基含有重合体と疎水性モノ
マーとの共重合体及び精製水を添加し、混合してホモミ
キサーで乳液とする。この乳液と先に調製した肝油・白
色ワセリン混合物を混合し、この両者をパドルミキサー
でかき混ぜながら乳化した後、冷却し、固まるまでよく
かき混ぜることによって、軟膏を製造することができ
る。
【0044】本発明で用いる皮膚外用剤は、その他に通
常の皮膚外用基材を用いて適当な剤型にすることができ
る。すなわち、剤型としては、液状、ゲル状、ペースト
状、クリーム状あるいは粉末状、固体状などものが挙げ
られる。また、一般的に用いられる外用基材、界面活性
剤、油脂類、保湿剤、安定剤、安定化剤、防腐剤、増粘
剤、色素や香料、清涼剤などの成分を配合できる。外用
基材としては、白色ワセリン、セタノール、ステアリン
酸、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、流動
パラフィン、スクワレン、スクワラン、ラノリン、中鎖
脂肪酸トリグリセリドなどが挙げられる。保湿剤として
は、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸
ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムなどが
挙げられる。安定剤及び安定化剤としては、エチレンジ
アミンテトラ酢酸(EDTA)の4または2アルカリ
塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アルギニン、
水酸化カリウム、トコフェロール、シリコーン、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ
る。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、ビ
オゾール、ソルビン酸、フェノール、ベンジルアルコー
ルなどが挙げられる。清涼剤としては、カンフル、メン
トール、フルーツフレーバー、バニリンなどが挙げられ
る。増粘剤としては、アラビアガム、グアガム、カラギ
ーナン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチル
セルロース、酢酸ビニル樹脂エマルション、ポリアクリ
ル酸塩などが挙げられる。またさらに、かゆみ止めとな
るブフェキサマック、アラントイン、グリチルリチン酸
ジカリウム、リドカイン等を加えてもよい。
【0045】本発明で用いる皮膚外用剤は、軟膏、化粧
水、ミルクローション、ファンデーション、口紅、保湿
クリーム、コールドクリーム、ハンドクリーム、マッサ
ージ料等のスキンケア;化粧品基材、貼布剤等のボデイ
ケア;ローション、シャンプー等のヘアケア;アイライ
ナー、マスカラ、アイシャドウ等のアイケア;頬紅、マ
ニキュア、おしろい類等のメイクアップ化粧料に配合す
ることができる。
【0046】軟膏の使用方法としては、例えば、通常の
使用方法として、患者の患部の全体を覆うように広げて
症状により可能で有れば軽く刷り込む。軽く刷り込むこ
とが不可能な場合は、およそ1〜3回/日患部の症状に
応じて必要量の軟膏を塗ったガーゼ等を患部にテープ等
でとめるなどして使用することが好ましい。
【0047】
【発明の効果】本発明の皮膚外用剤は、A成分の尿素、
B成分のホスホリルコリン類似基含有単量体の単独重合
体、又はホスホリルコリン類似基含有単量体と疎水性モ
ノマーとの共重合体、C成分の油脂類およびD成分のマ
スキング剤を含有するので、皮膚炎症の治療効果が著し
く、また、炎症によるかゆみ止め、紫外線の影響を少な
くすることができる。さらに、B成分のホスホリルコリ
ン類似基含有単量体の単独重合体、又はホスホリルコリ
ン類似基含有単量体と疎水性モノマーとの共重合体を含
むので、皮膚の治療改善効果に加えて、D成分のマスキ
ング剤を長期にわたり安定化する効果がある。したがっ
て、酸化により生じる過酸化脂質由来の臭気成分の発生
に対して、好ましい結果を得ることができる。
【0048】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を更に詳しく
説明する。なお、過酸化物価(POV)、脂肪酸組成、
ビタミンAまたはその脂肪酸エステルおよびアルデヒド
価(AlV)測定は次の方法に従って行った。 1.DHA、EPA、ArA、ALA、LAの測定方法 約500mgの天然油脂を冷却管を付けたエステル化用
の50ml容共栓付きナス型フラスコに採り、1/2N
の水酸化ナトリウム−メタノール溶液6mlを添加す
る。油滴が消失して均一な溶液になるまで約7分間水浴
上で加熱する。次に三フッ化ほう素−メタノール試薬7
mlを添加して2分間沸騰後、冷却管頭頂部よりヘキサ
ン5mlを加え、さらに1分間沸騰させる。加熱を止
め、ヘキサン溶液がフラスコの首まで到達するまで精製
水を加え、ヘキサン溶液を採った。このヘキサン溶液に
精製水約10mlを加え、撹拌後静置し、分層する。水
槽を除去後、同じ操作を3回繰り返す。この洗浄操作の
後にヘキサン溶液に硫酸ナトリウムを加えて脱水した
後、硫酸ナトリウムを濾別してガスクロマトグラフィー
用の試料とした。この試料をガスクロマトグラフィー
(ヒューレットパッカード社5890)にDB−WAX
キャピラリーカラム(J&W Scientific社
製カラムで、厚さ0.25μmのポリエチレングリコー
ルを固定相液体とする。内径0.25mm、長さ30
m)を装着し、注入口、検出器の各温度を250℃と
し、カラム温度は140℃から210℃まで5℃/分で
昇温した。検出は水素炎イオン化検出器を用い、キャリ
アガスはヘリウムガスとした。DHA、EPAおよびA
rA、ALA、LAの各脂肪酸は、メチルエステル化し
たもののピーク面積%をそれぞれの脂肪酸の重量%とし
た。
【0049】2.過酸化物価(POV)の測定 POVの測定は日本油化学会が制定した基準油脂分析試
験法(2.5.2.1−1996)に従って測定でき
る。試料を共栓付き三角フラスコに採り、酢酸−イソオ
クタン(3・2,V/V)混合溶剤50mlを添加し、
試料が完全に溶解するように静かに撹拌する。窒素ガス
で三角フラスコ内の空気を置換する。更に、窒素ガスを
通じながら飽和ヨウ化カリウム溶液を0.1mlを加え
る。栓をして撹拌後、水30mlを加えて、10秒間激
しく撹拌する。この溶液を0.01ml/lチオ硫酸ナ
トリウム標準液で滴定する。この溶液が微黄色を呈した
ら、デンプン溶液を0.5ml加えて、滴定を続け、測
定液の青色が消失した時を終点とする。次式でPOVを
算出する。 POV(meq/kg)=Ap×F×10/Sp ここで Ap:0.01ml/lチオ硫酸ナトリウム標準溶液量
(ml) Sp:試料摂取量(g) F:チオ硫酸ナトリウム標準溶液のファクター である。
【0050】3.アルデヒド価(AlV)の測定 本発明におけるアルデヒド価の測定法について説明す
る。 (予備試料溶液の調整)試料1gを採り酢酸エチルで正
確に10mlとする。 (反応試液の調整)4−アミノ−3−ペンテン−2−オ
ン(Fluoral−P)40mgを採り酢酸エチルで
正確に10mlとする。 (予備標準溶液の調製)標準物質、2−ヘキセナール
0.1gをとり酢酸エチルで正確に10mlとする。 (方法)予備試料溶液1ml、反応試液1ml、酢酸5
mlを10ml共栓付試験管に採り、試料溶液とする。
窒素を10ml/分の流量で1分間バブリングし、次い
で液の上方の空隙部分を30ml/分の流量の窒素で1
分間置換しキャップをして密栓する。試験管を60℃の
水浴中で1時間反応させ、反応終了後、氷浴に浸し反応
を止め、測定直前に液を室温に戻す。層長、1cm×1
cmの石英セルに室温に戻した試料溶液を入れ、蛍光光
度分光計で励起波長410nm、蛍光波長500nmで
試料溶液の蛍光強度(FT)を測定する。別に、予備標
準溶液1ml、反応試液1ml、酢酸5mlを10ml
共栓付試験管に採り標準溶液として、同様の操作で測定
を行い、標準溶液の蛍光強度(FS)を測定する。対照
として、反応試液1ml、酢酸エチル1ml、酢酸5m
lからなる蛍光ブランク溶液、また、予備試料溶液1m
l、酢酸エチル1ml、酢酸5mlからなる試料ブラン
ク溶液、および予備標準溶液1ml、酢酸エチル1m
l、酢酸5mlからなる標準物質ブランク溶液を各々調
製して同様の操作を行い、蛍光ブランク溶液、試料ブラ
ンク溶液および標準物質ブランク溶液の蛍光強度(F
B、FTBおよびFSB)を測定する。測定結果から、
次式の計算式により算出した。 アルデヒド価(mmol/g)={(FT−FTB−F
B)/(FS−FSB−FB)}×{(WS)/(W
T)}×10×0.1018 ここで FT:試料溶液の蛍光強度(500nm) FS:標準溶液の蛍光強度(500nm) FB:蛍光ブランク溶液の蛍光強度(500nm) FTB:試料ブランク溶液の蛍光強度(500nm) FSB:標準物質ブランク溶液の蛍光強度(500n
m) WS:標準物質採取量(g) WT:試料採取量(g) とする。
【0051】合成例1;(MPC/BMA=50/50
重合体):(重合体PC−1の合成) MPC14.85g(50mmol)、N−ブチルメタ
クリレート(BMA)7.1g(50mmol)をガラ
ス製重合管に秤量し、重合開始剤としてアゾビスイソブ
チルニトリル0.82gを加え、エタノール100ml
に溶解した。溶液中にアルゴンガスを5分間吹き込んだ
後、重合管を熔封し60℃で6時間重合反応を行った。
反応終了後、反応混合物をエーテル中に滴下し、沈殿し
た共重合体をろ別し、未反応の単量体を除去した後減圧
乾燥し、MPC−BMA共重合体を得た。以下、重合体
PC−1とする。得られた共重合体は、リン定量によ
り、共重合体のMPCの組成比を求めた。さらにゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標
準ポリエチレングリコールを用いて分子量を求めた。分
析結果は次の通りである。 収率;65% モル比率MPC/BMA;49/51 重量平均分子量;14.6×104 結果を表1に示した。
【0052】合成例2;(MPC/BMA=80/20
重合体):(重合体PC−2の合成) 合成例1で用いたMPC14.85g(50mmol)
を23.80g(80mmol)に、BMA7.1g
(50mmol)から2.82g(20mmol)に変
更し、さらに反応時間、重合開始剤量を調整して合成例
1と同様に反応を行い、MPC−BMA共重合体を得
た。以下、重合体PC−2とする。分析結果は次の通り
であった。 収率;68% モル比率MPC/BMA;79/21 重量平均分子量;15.3×104 結果を表1に示した。
【0053】合成例3;(MPC/BMA=100/0
重合体):(重合体PC−3の合成)表1で示したよう
に、BMAを用いずに、合成例1で用いたMPCの量を
変更し、さらに反応時間、重合開始剤量を調整して合成
例1と同様に反応を行い、MPC単独重合体を得た。分
析結果を表1に示した。
【0054】合成例4〜7;(MPC/EA、MPC/
EHA、MPC/St重合体):(重合体PC−4〜7
の合成) 合成例1で用いたBMAの代わりに、エチルアクリレー
ト(EA)、2−エチルヘキシルアクリレート(EH
A)、スチレン(St)を表1に示したように用いて、
それぞれ重合した、分析結果を表1に併せて示した。
【0055】
【表1】
【0056】実施例1;軟膏処方1 軟膏基材であるモノミリスチン酸デカグリセリル18
g、水添大豆レシチン6g、テトラオレイン酸ポリオキ
シエチレン(30)ソルビット40g、ベヘニルアルコ
ール25g、スクワラン80g、ミリスチン酸オクチル
ドデシル80g、パルミチン酸セチル20g、パラオキ
シ安息香酸メチル1gおよびパラオキシ安息香酸プロピ
ル1gを容器に秤採り、70℃に加熱して溶融した。C
成分の肝油50g及び香料(ハッカ油/プルーン=1g
/0.1g)混合したものを添加した。次にこの配合物
に予め精製水621.9g、尿素50g、L−アルギニ
ン1g、B成分の合成例1で得られた重合体PC−1を
5g混和して70℃に加温したものを加えてパドルミキ
サーで、50rpmの回転数でかき混ぜながら徐々に冷
却して軟膏を製造した。この軟膏は30gづつの小瓶に
充填して試料とした。配合処方を表2に示した。
【0057】実施例2〜27、比較例1〜14 表2〜8に示した配合処方で実施例1に準じて、尿素と
重合体PCと動植物油脂とマスキング剤の量を替えた以
外は実施例1と同様にして軟膏を製造した。配合処方を
表2〜8に示した。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】なお表中の記号はつぎのとおりである。:
POVの単位は、meq/kg、AlVの単位は、mm
ol/gを示す。脂肪酸は、DHA(=ドコサヘキサエ
ン酸)、EPA(=エイコサペンタエン酸)、ArA
(=アラキドン酸)、ALA(=α−リノレン酸)、L
A(=リノール酸)を示し、数値は、それぞれガクスロ
純度(重量%)を示す。なお軟膏基材の配合は、A、
B、CおよびD成分を除いたその他の成分をまとめて示
した。即ち、例えば実施例1においては、軟膏基材成分
はつぎのとおりであり、ABCおよびD成分と軟膏基材
成分の合計が1000gとなる。
【0066】 その他の例においては、ABCD成分の量にしたがい、
精製水の量を調節した。
【0067】試験例1〜40 肌荒れ、乾癬症の皮膚疾患を有する各々延べ被験者40
0名をパネルとしてそれぞれ40群に分け(1群10
名)、実施例2〜27および比較例1〜14の配合処方
で製造した軟膏を用いて試験した。 <試験方法1>被験者の患部に軟膏を1日2回塗りで8
週間連続塗布した。4週間後と8週間後に使用前後の肌
荒れ、乾癬症の改善度を肉眼で観察して判定した。症状
の悪化は途中中止も含む。8週間で改善効果を示したも
のをやや改善、4週間で改善効果を示したものをかなり
改善として人数で示した。また、改善評価の平均値=
(やや改善の人数+かなり改善の人数)/合計人数で数
値化して示した。結果を表9〜表22に示した。
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
【表16】
【0076】
【表17】
【0077】
【表18】
【0078】
【表19】
【0079】
【表20】
【0080】
【表21】
【0081】
【表22】
【0082】試験例39、40、41 アトピー性皮膚炎と判定された患者30名に皮膚外用剤
組成物として各々実施例1、10および19に示した軟
膏を用いて試験した。 <試験方法2>被験者の患部に軟膏を1日2回〜3回患
部に塗布し、8週間連続塗布した。2、4、6および8
週間後に使用前後の紅斑、丘疹、鱗屑、掻痒、肥厚、痂
皮、糜爛の改善度を肉眼で観察して判定した。判定は、
皮膚の症状を、紅斑、丘疹、鱗屑、掻痒、肥厚、痂皮、
糜爛の項目に分けた。各項目の症状の程度を重度を3
点、中程度を2点、軽度を1点、症状なしを0点とし
た。塗布前と塗布後での点数の増減で評価し10名の皮
膚症状の点数の平均値で評価した。結果を表23、24
および25に示した。
【0083】
【表23】
【0084】
【表24】
【0085】
【表25】
【0086】実施例28:製剤例1(クリーム剤1)の
配合処方 次に実施例1に準じて、下記の処方により配合品を製造
した。
【0087】<配合方法>白色ワセリン、ステアリルア
ルコール、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエ
チレン(60)硬化ひまし油を所定量採り、水浴上で7
0℃に加温し、かき混ぜて均一化した。ここに予め、B
HTを所定量添加した肝油を所定量加えた。一方、プロ
ピレングリコールと重合体PC−4の単独重合体を所定
量とり70℃で加温し、それにパラオキシ安息香酸メチ
ル、パラオキシ安息香酸プロピルを所定量添加混合し
た。さらに、精製水所定量を添加し、混合してホモミキ
サーで乳液とした。この乳液と先に調製した肝油・白色
ワセリン混合物を混合し、この両者をパドルミキサーで
乳化した後、冷却し、油性成分が固まるまでよくかき混
ぜた。
【0088】実施例29;製剤例2(クリーム剤2)の
配合処方 下記の配合処方で実施例28に準じた方法で配合品を製
造した。 クリーム剤2の配合処方配合組成 ;重量g、mg (A成分)尿素 3.0g (B成分)重合体PC−5 0.1g (C成分)シソ油 7.0g (D成分)香料(ハッカ油) 0.1g ブフェキサマック 3.0g 白色ワセリン 30.8g セタノール 7.9g サラシミツロウ 3.9g セスキオレイン酸ソルビタン 4.1g ラウロマクロゴール 0.38g パラオキシ安息香酸エチル 77mgパラオキシ安息香酸ブチル 77mg 精製水 残量 全量 100.0g
【0089】実施例30;製剤例3(クリーム剤3)の
配合処方 次のクリーム剤3の配合を実施例28に準じて配合し
た。
【0090】実施例31;製剤例4(油脂性軟膏)の配
合処方 下記の配合処方で実施例28に準じた方法で配合品を製
造した。 油脂性軟膏の配合処方配合組成 ;重量g、mg (A成分)尿素 5.0g (B成分)重合体PC−7 0.1g (C成分)マグロ油 5.0g (D成分)香料(プルーン) 0.015g 酸化亜鉛 15.9g 流動パラフィン 8.0g白色軟膏 残量 全量 100.0g
【0091】実施例32;製剤例5(クリーム剤4)の
配合処方 下記の配合処方で実施例28に準じた方法で配合品を製
造した。
【0092】実施例33;製剤例6(クリーム剤5)の
配合処方 下記の配合処方で実施例28に準じた方法で配合品を製
造した。 クリーム剤5の配合処方配合組成 ;重量g、mg (A成分)尿素 10.0g (B成分)重合体PC−2 1.0g (C成分)肝油 5.0g (D成分)香料(プルーン) 0.1g ステアリン酸 8.0g セタノール 3.4g モノステアリン酸プロピレングリコール 3.1g ミリスチン酸イソプロピル 6.0g プロピレングリコール 8.6g グリセリン 20.0g パラオキシ安息香酸メチル 0.05g パラオキシ安息香酸プロピル 0.05g 尿素 10.0g 水酸化カリウム 0.6g エタノール 0.7gカンフル 0.1g 精製水 残量 全量 100.0g
【0093】実施例34;製剤例7(ローション剤)の
配合処方 下記の配合処方で実施例28に準じた方法で配合品を製
造した。
【0094】実施例35;製剤例8(貼付剤)の配合処
方 下記の配合処方で実施例28に準じた方法で配合品を製
造した。
【0095】以上の結果、本発明の実施例2〜18は、
比較例1〜14が肌荒れ、皮膚炎(乾癬症)などの皮膚
炎治療に対する効果の相乗性が認められないのに対して
ω−3系脂肪酸の多い天然油脂、ホスホリルコリン類似
基含有単量体の単独重合体又はホスホリルコリン類似基
含有重合体と疎水性単量体との共重合体およびマスキン
グ剤の配合系においてのみ相乗効果があることがわか
る。また、アトピー性皮膚炎の患者の治療に対して、ω
−3系脂肪酸の多い天然油脂、ホスホリルコリン類似基
含有単量体の単独重合体とホスホリルコリン類似基含有
単量体と疎水性単量体との共重合体およびマスキング剤
を配合した実施例1、10および19は治療効果が優れ
ていることがわかる。また、本発明の組成物は実施例2
8〜35に示ようにクリーム剤、油脂性軟膏、貼付剤、
ローション剤などの外用剤として製剤化されることがわ
かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/80 A61K 31/80 (72)発明者 石原 一彦 東京都小平市上水本町3−16−37 (72)発明者 中林 宣男 千葉県松戸市小金原5−6−20 Fターム(参考) 4C076 AA07 AA16 AA72 BB31 CC05 CC18 DD34 DD37 DD46 EE53 FF52 4C086 AA01 AA02 FA05 FA06 MA03 MA21 MA28 MA32 NA05 ZA89 ZB13 4C206 AA01 AA02 DA03 DA04 DA05 DB02 DB48 HA27 MA03 MA41 MA48 MA52 MA83 NA05 ZA89 ZB13

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】皮膚外用剤100重量%中に、A成分とし
    て尿素2〜30%重量%、B成分としてホスホリルコリ
    ン類似基含有重合体0.01〜10重量%、C成分とし
    てドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、α−リ
    ノレン酸およびリノール酸からなる群より選択される1
    種以上の脂肪酸を含有する油脂類3〜35重量%および
    D成分としてマスキング剤0.01〜2重量%を含有す
    る皮膚外用剤。
  2. 【請求項2】B成分のホスホリルコリン類似基含有重合
    体が、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリ
    ルコリン単量体を含有する単量体組成物を重合してなる
    重合体であり、重量平均分子量が5,000〜5,00
    0,000である請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. 【請求項3】C成分の油脂類が、肝油とビタミンAまた
    はその脂肪酸エステルを予め配合した肝油由来のビタミ
    ンA油であり、肝油1gに対して1,000〜50,0
    00ビタミンA単位(IU/g)を配合してなる請求項
    1または2に記載の皮膚外用剤。
  4. 【請求項4】C成分の油脂類が、脂肪酸基準で、ドコサ
    ヘキサエン酸10〜40重量%、エイコサペンタエン酸
    5〜20重量%、かつドコサヘキサエン酸の量が、エイ
    コサペンタエン酸より多く、さらにアラキドン酸0.0
    1〜5重量%含んでなる動物油脂類である請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  5. 【請求項5】C成分の油脂類が、脂肪酸基準で、α−リ
    ノレン酸0.1〜60重量%、リノール酸40〜70重
    量%を含んでなる植物油脂類である請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  6. 【請求項6】C成分の油脂類が、マグロ油、イワシ油、
    サバ油、サンマ油、ニシン油およびタラ油からなる群よ
    り選択される魚油である請求項1または2に記載の皮膚
    外用剤。
  7. 【請求項7】C成分の植物油脂類が、ひまわり油、シソ
    油、エゴマ油および亜麻仁油からなる群より選択される
    1種以上を含有してなる植物油脂類である請求項1、2
    または5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  8. 【請求項8】C成分の油脂類の物性値が、過酸化物価が
    0.01〜30meq/kgでかつアルデヒド価が0.
    001〜0.035mmol/gである請求項1ないし
    7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  9. 【請求項9】D成分のマスキング剤が、チョウジ油、ウ
    イキョウ油、ユーカリ油、カシア油、ハッカ油、オイゲ
    ノール、プルーンおよびハーブからなる群より選ばれる
    1種以上である請求項1ないし8のいずれか1項に記載
    の皮膚外用剤。
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