JP2000323011A - 電界放出型電子源 - Google Patents

電界放出型電子源

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JP2000323011A
JP2000323011A JP12912299A JP12912299A JP2000323011A JP 2000323011 A JP2000323011 A JP 2000323011A JP 12912299 A JP12912299 A JP 12912299A JP 12912299 A JP12912299 A JP 12912299A JP 2000323011 A JP2000323011 A JP 2000323011A
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Japan
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emitter
electron source
field emission
emission type
type electron
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JP12912299A
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English (en)
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Toshiro Yamagishi
敏郎 山岸
Masakazu Nanba
正和 難波
Saburo Okazaki
三郎 岡崎
Yoshiyuki Hirano
喜之 平野
Norio Okamura
憲伯 岡村
Yukinori Katsuhara
幸典 勝原
Shigeru Inoue
茂 井上
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Hitachi Denshi KK
Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Hitachi Denshi KK
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便なプロセスによりサブミクロン以下のゲ
ート電極開口径が得られ、高性能の電界放出型電子源を
ローコストで提供すること。 【解決手段】 絶縁層を挟んで対向するカソード電極2
とゲート電極6の間に電圧を印加してエミッタ5から電
子を放出させる電界放出型電子源において、絶縁層とし
て陽極酸化法により厚さ方向に向かって延びる微細孔4
が多数形成された多孔質絶縁層3を用い、微細孔4内部
にエミッタ5を形成させたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、照明光源、表示デ
バイス、撮像デバイスなどに用いる電界放出型の冷陰極
電子源に係り、特に高い分解能を要するデバイスに好適
な電界放出型電子源に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の微細加工技術が進展して
微小な素子の製造が可能になり、真空マイクロエレクト
ロニクス技術の開発に大きく貢献している。ここで、こ
のような微細加工を要する半導体デバイスの1種に電界
放出型電子源があるが、これは、金属又は半導体の表面
に印加される電界を108〜109〔V/m〕程度まで大
きくしたとき、トンネル効果により電子が障壁を通過し
て真空中に放出されるという現象を利用したもので、上
記したように、特に微小断面の電子ビームを必要とする
撮像デバイスなどの電子源として近年注目を集めてい
る。
【0003】そして、このため、このような電界放出型
電子源に必要なゲート電極開口部径及び陰極の微細化、
陰極先端部の急峻化や、低仕事関数材料を用いた陰極の
作成など各種のLSI技術を駆使したアプローチが行な
われており、このとき、ビーム電流の増加に極めて有効
な陰極の高密度化の向上が大きな目標となっている。
【0004】ところで、この電界放出型電子源の代表例
としては、例えば次の文献1により開示されているコー
ン型電子放出型電子源がある。 文献1:C.A.Spindt“J.Appl.Phys.”Vol.47 No.12 p.5
248(1976) そこで、このコーン型の電子放出型電子源の一例につい
て、図6により説明する。
【0005】図6に示すように、このコーン型の電子放
出型電子源は、Si (シリコン)基板111の一方の表面
にすり鉢状の孔を有するSi O2 (二酸化シリコン)の絶
縁層112と、例えば直径が1μmの開口を持ったゲー
ト電極113をフォトリソグラフィ法により形成させ、
この開口内部の孔の中に露出した基板111上に、Mo
(モリブデン)の蒸着により、コーン型(円錐形)のエミッ
タ114を形成させたものである。
【0006】このエミッタ114には、それに対向し
て、図示してないがアノード電極が設けてあり、全体と
して真空封止される。ここでゲート電極113とエミッ
タ114の間に電圧を印加すると、このエミッタ114
の先端から電子がビーム状に真空中に引き出され、電子
源として動作することになる。このとき充分な量の電子
を引き出すのに必要な電圧は、おおよそ100Vであっ
た。
【0007】ところで、このときエミッタ114の先端
部は可能な限り急峻にするのが望ましい。そこで、次の
文献2では、図7に示すように、Si 基板121を用
い、サイドエッチングが生じる条件のもとでのSi のド
ライエッチングと熱酸化を組み合わせ、SiN(窒化シリ
コン)の絶縁層122とCr (クローム)のゲート電極1
23に設けた穴の中に、尖った円錐形のSi エミッタ1
24を形成する方法について提案している。 文献2:別井 著“1990秋季信学全大論文集5”SC-
8-2(1990)
【0008】一方、文献3では、ゲート電極開口部径お
よび陰極の微細化を図るため、タワー型の電界放出型電
子源について提案している。 文献3:古賀 他著“信学技報”ED95-132、p.25(1995) このタワー型の電子源は、図8に示すように、Si 基板
131にSi O2 の絶縁層132とNb (ニオブ)のゲー
ト電極133を設け、これらに形成した孔の中にタワー
型をしたSi のエミッタ134を形成したものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、ゲー
ト電極開口部径とエミッタ径の更なる微細化について配
慮がされておらず、電界放出型電子源の性能向上に問題
があった。すなわち、電界放出型電子源では、低い印加
電圧で大電流が得られるのが望ましいが、このためには
ゲート電極開口部径とエミッタ径を極力小さくし、高密
度に配置する必要がある。
【0010】しかし、従来技術では、微細加工技術で形
成されるエッチングマスクの径で決定されるため、ゲー
ト電極開口部径とエミッタ径の最小限界が約1μmであ
り、これ以下の径を得るためには、電子ビーム露光法や
X線露光法などを使用しなければならなかった。
【0011】しかしながら、これら電子ビーム露光法や
X線露光法によっても、例えば上記した撮像デバイス用
としては微細化の点では充分であるとはいえず、しかも
コストの面からは到底満足できるものではなかった。こ
こでタワー型とコーン型を比較した場合、タワー型のほ
うがエミッタ先端部における電界強度が強く、印加電圧
を低くできることが知られているが、再現性よく実現す
る手段がない点で問題があった。
【0012】本発明の目的は、簡便なプロセスによりサ
ブミクロン以下のゲート電極開口径が得られ、高性能の
電界放出型電子源をローコストで提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】従来技術の問題は、現在
のフォトエッチング工法での限界によるものであり、本
発明は、この点で発想の転換を図った結果、なし得たも
のである。すなわち、本発明は、フォトエッチングによ
り微細加工をするのではなく、特定の材料に対して特定
の処理を行なうことにより、基板上に微細孔が高密度で
形成されるようにし、特定の工法の適用により、その微
細孔の内部にエミッタが形成されるようにしたものであ
る。
【0014】このための特定の材料とは、例えばAl
(アルミニウム)、Ti (チタン)、Ta(タンタル)、Nb
(ニオブ)、Hf (ハフニウム)、Zr (ジルコニウム)、Z
n (亜鉛)それにSi (シリコン)などであり、特定の処理
とは陽極酸化処理のことである。
【0015】ある種の材料は、陽極酸化処理することに
より多孔質の酸化皮膜が形成されることが古くから知ら
れており、特にAl については、厚み方向に向かって延
びるナノメーターオーダーからサブミクロンオーダーの
微細孔を有するハニカム構造をした陽極酸化皮膜が形成
されることが知られている。
【0016】そして、このことは、例えば、次の文献4
に開示されている通り、これが微細パターン形成用蒸着
マスクや精密濾過用フィルタの作成などに利用されつつ
あることから明らかである。 文献4:益田 著“固体物理”Vol.31 No.5 p.57(1996) 図9は、この文献4に開示されているアルミニウムの陽
極酸化膜の一例で、次の文献5に、その形成方法につい
て詳しく述べられている。 文献5:H.Masuda and M.Satoh “Jpn.J.Appl.Phys.”V
ol.35(1996) PP.L126-129その概略は次の通りである。
【0017】まず、アルミニウムをアセトンにより脱脂
洗浄した後、0.3mol/l の蓚酸溶液中で、17℃の温
度で40Vの電圧により10時間の陽極酸化を行ない、
その後、6 wt %のリン酸と、1.8 wt %のクロム酸
の混液中に60℃の温度で14時間放置して微細孔が不
揃いとなる膜の部分を除去する。
【0018】次に前記と同様の条件で5分間、再度陽極
酸化を行い、整列された微細孔を形成する。その後、酸
化されていないアルミニウムの部分をエッチングにより
除去し、孔径をエッチングににより拡大調整の処理を施
す。この結果、図示のように、陽極酸化被膜141に、
その厚さ方向に向かって延びる多数の微細孔142を持
ったセル143が高密度で形成されることが判る。
【0019】次に、上記した所定の工法とは鍍金法(メ
ッキ法)であり、これにより微細孔内部に金属を充填さ
せ、エミッタを形成させることができる。この鍍金法に
ついては、種々の金属を折出させて着色するようにした
アルミニウム建材の着色などに利用されており、また、
文献6によれば、強磁性金属の充填による磁気ディスク
の試作にも利用されている。 文献6:津屋 他著 “固体物理”Vol.21 No.11 p.38(19
86)
【0020】なお、この鍍金法とは、狭義には湿式電気
鍍金法、湿式化学鍍金法を指すが、広義には、この他に
も真空鍍金法(PVD)及び化学気相鍍金法(CVD)など
も含まれる。しかし、この明細書では、特に明記しない
限り、鍍金法と言えば狭義の鍍金法を意味するものとす
る。
【0021】陽極酸化法の最大の特徴は、形成される酸
化膜の微細孔径、細孔間隙、微細孔深さを比較的自由に
制御でき、高度なLSI技術や特殊な装置を必要とする
ことなく、フォトエッチング工程より微細な孔が形成で
きることである。
【0022】また、形成された微細孔内部に、鍍金法、
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング
法により種々の金属を微細孔底部から任意の高さまで折
出させることができるため、エミッタとして用いる材料
の自由度が高く、極微小な電子源を形成することができ
る。
【0023】具体的には、本発明の目的は、絶縁層を挟
んで対抗するカソード電極とゲート電極の間に電圧を印
加し、エミッタから電子を放出させる方式の電界放出型
電子源において、前記の絶縁層として、陽極酸化処理に
より厚さ方向に向かって延びる微細孔が多数形成された
多孔質絶縁層を用い、その微細孔内部にエミッタが形成
されるようにして達成される。
【0024】このとき、前記した多孔質絶縁層として
は、Al、Ti、Ta、Nb、Hf、Zr、Zn (亜鉛)、Mg
(マグネシウム)、Si などの金属や半導体又はそれらを
含む合金を陽極酸化処理により多孔質化したことを特徴
とする。特に、Al 又はAl 合金を陽極酸化処理してハ
ニカム構造状に多孔質化した絶縁層が好適である。
【0025】一方、エミッタについては、電界折出処理
が可能な材料、例えばC (炭素)、Mg、Al、Cr、Fe
(鉄)、Co (コバルト)、Ni (ニッケル)、Cu (銅)、Z
n、Zr、Mo、Rh (ロジウム)、Pd (パラジウム)、Ag
(銀)、W(タングステン)、Re (レニウム)、Pt (白
金)、Au (金)などの金属、又はそれらを含む合金乃至
は非晶質金属からなり、鍍金法によって形成されている
ことを特徴とする。
【0026】また、このとき、エミッタは、これらの金
属が溶解している鍍金法浴中に、炭化珪素、アルミナ、
ダイヤモンドなどの超微粒子、またはグラファイト、2
硫化モリブデンなどの潤滑性粒子などを分散させて鍍金
法処理することにより、これらを前記エミッタ表面ない
しは内部に共折させるようにしても良い。
【0027】さらに、エミッタについては、鍍金処理に
より形成させた後、その先端部に高融点で仕事関数の低
いMo、W、Nb などの金属膜層を形成させても良い。
同様に、ダイヤモンド乃至はDLC(ダイヤモンドライ
クカーボン)乃至はボロンナイトライドの層をエミッタ
先端部に形成させてもよい。勿論、このエミッタを広義
の鍍金法により形成しても良い。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明による電界放出型電
子源について、図示の実施の形態により詳細に説明す
る。図1は、本発明の第1の実施形態で、照明光源など
に用いる場合である。この実施形態では、まず基板1上
に、例えばCu などの導電性を有する材料により、厚さ
200nm〜1μmのカソード電極2を形成させる。
【0029】ここで、まず、基板1としては、ガラス、
セラミックスなどの絶縁体、少なくともカソード電極2
を形成する側の面にSi O2 などの絶縁体を形成したS
i などの半導体、又は少なくもカソード電極2を形成す
る側の面に絶縁層を形成したCu などの金属の何れでも
良い。
【0030】また、カソード電極2についてもCu に限
ることはなく、Mo、Ti、Au、Alなど良好な導電性が
ある金属なら何れでも良い。さらに基板1は前述した
他、Si 、Cu などの半導体や導体でもよく、半導体や
導体を使用した場合はカソード2は形成せず、基板1を
カソード電極として使用してもよい。
【0031】そして、このカソード電極2の形成には、
例えばスパッタリング法や真空蒸着法、MBE法(分子
線エピタキシ法)などを用いれば良い。
【0032】次に、カソード電極2上に厚さ500nm
〜2μmの多孔質絶縁層3を形成する。このため、まず
上記したカソード電極2と同様な成膜方法により、例え
ばAl膜をカソード電極2上に形成させる。次に、この
Al 膜を陽極酸化し、Al23 からなる多孔質絶縁層
3を形成するのである。
【0033】ここで、この多孔質絶縁層3の材質として
は、Al23 に限ることはなく、陽極酸化により多孔
質になる絶縁層が得られるものであれば何れでも良い。
こうして形成した多孔質絶縁層3には、陽極酸化の結
果、図示のように、多孔質絶縁層3の厚み方向に延びた
多数の微細孔4が内包されている。なお、このことは、
既に図9で説明した通りである。
【0034】そして、このとき、陽極酸化に用いる電解
液の組成や化成電圧の選択により、多孔質絶縁層3に内
包される微細孔4の大きさと、それらの密度が容易に制
御でき、この結果、内径が10〜200nm、相互間の
間隙が50〜500nmの範囲で任意に選択した微細孔
4を有する多孔質絶縁層3が容易に得られることにな
る。
【0035】また、このときの微細孔4の深さは、陽極
酸化のためにカソード電極2の上面に形成したAl 膜な
どの膜厚と、陽極酸化時での化成時間の選択により、こ
れも容易に制御できるので、前記したタワー型のような
アスペクト比の高いエミッタから前記コーン型のような
アスペクト比の低いエミッタまで、任意の形状のエミッ
タをもったものに適用することができる。
【0036】この他、基板1上に、上記の場合と同様に
してカソード電極2を形成後、このカソード電極2上に
CVD法、スパッタ法などにより、例えばSi O2 など
の絶縁層を形成させた後、別に陽極酸化法により、多孔
質化された例えばAl23膜をエッチングマスクとして
用い、反応性イオンエッチング法などによって前記Si
2 絶縁層を多孔質化することにより多孔質絶縁層3を
形成しても良く、これによっても同様の機能が得られ
る。
【0037】次に、多孔質絶縁層3の微細孔4中にエミ
ッタ5を形成する。このエミッタ5は、微細孔4の中
に、例えばMo、Wなどの金属を鍍金することにより形
成するのであるが、このとき、エミッタ5の材質として
は、Mo、Wの他に鍍金処理が可能なMg、Al、Cr、F
e、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Rh、Pd、Ag、Re、P
t、Au などの金属、又はそれらを含む合金、乃至は非
晶質金属の何れでも良い。
【0038】このとき、エミッタ5の高さは、多孔質絶
縁層3の上端より低い位置にすることが望ましいが、こ
のことは、エミッタ5の高さが鍍金処理時間により正確
に調整できることから、容易に実現することができる。
最後に、多孔質絶縁層3上面に厚さ10〜200nmの
ゲート電極6を形成する。
【0039】このゲート電極6は、真空蒸着法によりM
o などの導電性材料の蒸着により形成するのであるが、
このとき、斜め上方、例えば45度の斜め上方から蒸着
するようにし、これによりゲート電極用の金属が微細孔
4内部に蒸着されないようにする。このゲート電極6を
形成する材料も、上記したMo に限ることなく、W、N
bなど良好な導電性を有するものなら何れでも良い。
【0040】なお、上記したように、斜め上方から蒸着
することが望ましいが、エミッタ5の先端部がゲート電
極6と同種の金属で被覆されても、エミッタ5とゲート
電極6との間に絶縁性が保たれている限りは特に問題は
ないので、斜め上方からの蒸着が必要要件というわけで
はなく、任意の方法でゲート電極6を形成して構わな
い。
【0041】一方、上記したように、ゲート電極6とエ
ミッタ5を順次形成する代りに、真空蒸着法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法など広義の鍍金法を
用いることにより、これらを同時に形成するようにして
も良い。
【0042】従って、この第1の実施形態によれば、内
径が10〜200nmの微細孔4が50〜500nmの
間隔で形成された多孔質絶縁層3が、陽極酸化処理によ
り簡単に形成され、この微細孔4の中にコーン型、或い
はタワー型のエミッタ5を形成することができるので、
フォトエッチング工程の限界を超えた微細なエミッタを
高密度で簡単に形成でき、この結果、前記コーン型に較
べ、1/10以下の低電圧で電子の放出が可能で、電子
ビーム径が極めて細い電界放出型電子源を容易に得るこ
とができる。
【0043】次に、本発明の第2の実施の形態につい
て、図2により説明する。この第2の実施形態は、エミ
ッタがMo、Wとダイヤモンド微粒子の共折により形成
されている点が異なるだけで、その他の点は、図1の実
施形態と同じである。すなわち、図2において、15
が、Mo、Wとダイヤモンド微粒子の共折により形成さ
れエミッタであり、その他、基板1、カソード電極2、
多孔質絶縁層3、微細孔4、それにゲート電極6は、図
1の実施形態と同じである。
【0044】このエミッタ15は、Mo、Wなどの鍍金
浴中に粒径10〜100nmのダイヤモンドの微粒子を
分散させた複合鍍金法を用い、微細孔4の中にMo、W
の金属とダイヤモンド微粒子17を共折させて形成した
ものである。このとき複合鍍金法で共折される材料とし
ては、ダイヤモンドの微粒子に限ることはなく、炭化珪
素、アルミナなどの超微粒子、またはグラファイト、2
硫化モリブデンなどの潤滑性材料の微粒子でも良い。
【0045】ダイヤモンド微粒子を共折させたエミッタ
を用いると、エミッタの仕事関数が低くなる。従って、
この図2の実施形態によれば、さらに低電圧で電子の放
出が可能な電界放出型電子源を得ることができる。
【0046】ここで、微粒子に代えて、エミッタの少な
くとも先端部分に、Mo、W、Nb、Cu、Al、Au、Pt
などの少なくとも1種の金属及び/又はダイヤモン
ド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、ボロンナイ
トライドの少なくとも1種を被覆してもよい。
【0047】次に、図3は本発明の第3の実施の形態
で、この実施形態は、エミッタを下部部分と上部部分と
に分けて形成したもので、その他の点は、図1の実施形
態と同じである。すなわち、図3において、25が、下
部部分と上部部分とに分けて形成したエミッタであり、
その他、基板1、カソード電極2、多孔質絶縁層3、微
細孔4、それにゲート電極6は、図1の実施形態と同じ
である。
【0048】このエミッタ25を形成しているのは、融
点の異なる金属からなるエミッタ下部25aとエミッタ
上部25bであり、ここで、エミッタ下部25aは、例
えばNi−B−P合金を用いて、鍍金法により形成した
もので、エミッタ上部25bは、エミッタ下部25aを
形成する材料よりも高融点の、例えばMo、W、Nb、P
t、Pd などの金属又はこれらの合金、或いは非晶質金
属を用いて、同じく鍍金法により形成したものである。
【0049】このように、低融点のエミッタ下部25a
と高融点のエミッタ上部25bにより形成したエミッタ
25によれば、Ni−B−P合金によるエミッタ下部2
5aが、過電流が流れた際のヒューズとしての役目を果
たすことになり、従って、この実施形態によれば、過電
流防止機能を備えた電界放出型電子源を得ることができ
る。
【0050】なお、エミッタ上部25bの形成について
は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法などの広義の鍍金法で形成しても良い。すなわ
ち、鍍金法によりエミッタ下部25aを形成後、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など
の広義の鍍金法によりエミッタ上部25bを形成するの
であり、この場合でも同様の効果を得ることができる。
【0051】次に、図4は、本発明の第4の実施の形態
で、この実施形態は、エミッタ5を多孔質絶縁層3の微
細孔4の中に形成した後、このエミッタ5が形成された
微細孔4の内壁を再度陽極酸化することにより、微細孔
34a、34b、34cで示すように、その内壁を広げ
たものであり、その他の点は、図1の実施形態と同じで
ある。
【0052】従って、この図4の実施形態によれば、エ
ミッタ5が多孔質絶縁層3に接触している部分が少なく
されているので、エミッタ5から多孔質絶縁層3へのリ
ーク電流が抑えられた電界放出型電子源を得ることがで
きる。
【0053】次に、本発明の第5の実施の形態につい
て、図5により説明する。この図5に示した電界放出型
電子源は、以下のようにして作られる。まず基板1上に
スパッタ法、CVD法などによりSi O2 などの絶縁層
43を形成後、図示しないフォトレジスト膜を用い、フ
ォトリソグラフィ法により絶縁層43にストライプ状の
開口部48を設ける。
【0054】次いで、この開口部48内部に、例えばM
o、Cu などの導電性を有する材料によりストライプ状
のカソード電極2を形成し、続いてこのカソード電極2
上面に陽極酸化可能な例えばAl 膜を形成する。次に、
同じく図示しないフォトレジスト膜を用い、フォトリソ
グラフィ法によりカソード電極2と直交するようにゲー
ト電極47aを形成する。
【0055】その後、図示しないフォトレジスト膜を用
い、ゲート電極47aとカソード電極2が交わる領域内
のゲート電極47aの一部又は全体を矩形、円形など任
意の形状に除去し、Al 膜を表面に露出させる。次に、
この露出したAl 膜を陽極酸化処理することにより、微
細孔4が多数内包されたAl23 からなる多孔質絶縁
層3を形成する。
【0056】この後、さらに多孔質絶縁層3の微細孔4
の中に、電界折出法によりエミッタ5を形成し、その
後、真空蒸着法などにより、例えばMo、W、Nb など
の高融点金属からなるゲート電極47bとストライプ状
のゲート電極6を形成するのである。以上の構成におい
て、カソード電極2とゲート電極6の間に電圧が印加さ
れると、カソード電極2とゲート電極6が交わる領域の
エミッタ5から電子が真空中に放出されることになり、
従って、この実施形態によれば、アレイ構造の電界放出
型電子源構造体が得られ、ディスプレイや撮像素子への
適用が可能になる。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、エミッタを設けるため
の絶縁層として、厚さ方向に向かう微細孔が陽極酸化に
より多数内包された多孔質絶縁層を用いているので、高
度なフォトリソグラフィ技術を用いることなく、サブミ
クロンからナノオーダーのエミッタが高密度に形成され
た電界放出型電子源を容易に、且つローコストで提供す
ることができる。
【0058】また、本発明によれば、鍍金法によりエミ
ッタが形成されているので、電界折出が可能な様々金属
とダイヤモンドなどの超微粒子を共折させることがで
き、この結果、低電圧で電子を放出することができる電
界放出型電子源を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電界放出型電子源の第1の実施形
態を示す断面図である。
【図2】本発明による電界放出型電子源の第2の実施形
態を示す断面図である。
【図3】本発明による電界放出型電子源の第3の実施形
態を示す断面図である。
【図4】本発明による電界放出型電子源の第4の実施形
態を示す断面図である。
【図5】本発明による電界放出型電子源の第5の実施形
態を示す断面図である。
【図6】従来技術による電界放出型電子源の一例を示す
断面図である。
【図7】従来技術による電界放出型電子源の他の一例を
示す断面図である。
【図8】従来技術による電界放出型電子源のさらに別の
一例を示す断面図である。
【図9】ハニカム構造をもった陽極酸化被膜の説明図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2 カソード電極 3 多孔質絶縁層 4、34a、34b、34c 微細孔 5、15、25 エミッタ 6、47、47a、47b ゲート電極 25a エミッタ下部 25b エミッタ上部 17 超微粒子 43 絶縁層 48 開口部
フロントページの続き (72)発明者 難波 正和 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 (72)発明者 岡崎 三郎 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 (72)発明者 平野 喜之 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 (72)発明者 岡村 憲伯 山梨県北巨摩郡小渕沢町上笹尾3434−1 日立電子株式会社小渕沢工場内 (72)発明者 勝原 幸典 山梨県北巨摩郡小渕沢町上笹尾3434−1 日立電子株式会社小渕沢工場内 (72)発明者 井上 茂 山梨県北巨摩郡小渕沢町上笹尾3434−1 日立電子株式会社小渕沢工場内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁層を挟んで対抗するカソード電極と
    ゲート電極の間に電圧を印加し、エミッタから電子を放
    出させる方式の電界放出型電子源において、 前記絶縁層として、陽極酸化処理により厚さ方向に向か
    って延びる微細孔が多数形成された多孔質絶縁層を用
    い、 前記微細孔内部に前記エミッタが形成されていることを
    特徴とする電界放出型電子源。
  2. 【請求項2】 絶縁層を挟んで対抗するカソード電極と
    ゲート電極の間に電圧を印加し、エミッタから電子を放
    出させる方式の電界放出型電子源において、 前記絶縁層として、陽極酸化処理により厚さ方向に垂直
    な微細孔が多数形成された多孔質酸化膜をエッチングマ
    スクとするエッチングにより、厚さ方向に向かって延び
    る微細孔が多数形成された多孔質絶縁層を用い、 前記多孔質絶縁層に形成された微細孔内部に前記エミッ
    タが形成されていることを特徴とする電界放出型電子
    源。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の発明において、 前記多孔質絶縁層が、少なくともアルミニウム、チタ
    ン、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜
    鉛、マグネシウム、シリコンの内の1種の金属又は1種
    の金属を含んだ合金の陽極酸化処理により形成されてい
    ることを特徴とする電界放出型電子源。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の発明において、 前記多孔質絶縁層が、陽極酸化によるアルミナで形成さ
    れていることを特徴とする電界放出型電子源。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4に記載の何れかの発
    明において、 前記エミッタが、炭素、マグネシウム、アルミニウム、
    クローム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコ
    ニウム、モリプデン、ロジウム、パラジウム、銀、タン
    グステン、レニウム、白金、金のうちの少なくとも1種
    の金属又は1種の金属を含んだ合金乃至は非晶質金属で
    形成されていることを特徴とする電界放出型電子源。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の発明において、 前記エミッタが鍍金法により前記微細孔内部に形成され
    ていることを特徴とする電界放出型電子源。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の発明において、 前記エミッタが、粒径1〜100nmの炭化珪素、アル
    ミナ、ダイヤモンドなどの超微粒子又はグラファイト、
    2硫化モリブデンなどの潤滑性粒子の内の少なくとも1
    種が分散された複合鍍金法により形成され、 これらの粒子が、前記エミッタの内部及び/又は前記エ
    ミッタの表面全体又は一部に含んだ状態で前記微細孔内
    部に形成されていることを特徴とする電界放出型電子
    源。
  8. 【請求項8】 請求項5又は請求項6に記載の発明にお
    いて、 前記エミッタが、融点の異なる複数の層から構成されて
    いることを特徴とする電界放出型電子源。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項8に記載の何れかの発
    明において、 前記エミッタの少なくとも先端部分が、モリブデン、タ
    ングステン、ニオブ、銅、アルミニウム、金、白金など
    の少なくとも1種の金属及び/又はダイヤモンド、ダイ
    ヤモンドライクカーボン、ボロンナイトライドの少なく
    とも1種により被覆されていることを特徴とする電界放
    出型電子源。
  10. 【請求項10】 請求項1又は請求項3或いは請求項4
    に記載の何れかの発明において、 前記微細孔内壁面の少なくとも一部が陽極酸化法或いは
    エッチング法により溶解処理され、 前記エミッタと前記微細孔内壁面の間に間隙が形成され
    ていることを特徴とする電界放出型電子源。
  11. 【請求項11】 請求項1〜請求項10に記載の何れか
    の発明において、 前記カソード電極が、ガラス、セラミックスなどの絶縁
    体又はシリコンなどの半導体或いはアルミニウムなどの
    導体又は表面に絶縁層が形成された半導体或いは導体か
    らなる基板上に形成されていることを特徴とする電界放
    出型電子源。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の発明において、 前記エミッタとカソード電極及びゲート電極からなる単
    位部分が前記基板に複数個形成されていることを特徴と
    する電界放出型電子源。
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