JP2000321073A - ジャイロスコープとその製造方法 - Google Patents

ジャイロスコープとその製造方法

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JP2000321073A
JP2000321073A JP11127811A JP12781199A JP2000321073A JP 2000321073 A JP2000321073 A JP 2000321073A JP 11127811 A JP11127811 A JP 11127811A JP 12781199 A JP12781199 A JP 12781199A JP 2000321073 A JP2000321073 A JP 2000321073A
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Munemitsu Abe
宗光 阿部
Masaki Esashi
正喜 江刺
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、音叉と基板の接合部分を削減する
ことができ、製造歩留まりを向上させることができ、音
叉と基板との位置合わせ精度を高くすることができるジ
ャイロスコープとその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 本発明は、振動片5dと支持部からなる
音叉5と、音叉の表側または裏側に設けられた一対の基
材2を具備し、基材に形成された中間膜をエッチングに
より一部除去して形成された接続膜6が形成され、接続
膜上に音叉が支持部を接続膜に接合し振動片を基材との
間に微小間隙をあけて片持支持させて設けられ、前記振
動片に容量結合されて振動片を駆動するための駆動用電
極7と、振動片の少なくとも一面側に振動片の先端部と
対向して設けられた検出用電極8とが具備されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジャイロスコープ
とその製造方法に関し、特にジャイロスコープを製造す
る場合のプロセス数の削減によるプロセスの簡単化及び
歩留まり向上を図ることができる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、導電性を有するシリコン等の
材料で形成された音叉を用いたジャイロスコープが知ら
れている。この種のジャイロスコープは、音叉の脚を一
方向に振動させ、振動中に脚の長手方向を中心軸とする
角速度が入力された際にコリオリ力によって生じる前記
振動方向と垂直な方向の振動を検出するものである。前
記コリオリ力によって生じる振動の大きさは角速度の大
きさに対応するので、このジャイロスコープを角速度セ
ンサとして用いることができ、例えばパソコンの座標入
力装置等に適用することができる。
【0003】図21は、従来のジャイロスコープの主要
部である音叉の一構成例を示す図である。この図に示す
通り、この例の音叉100は、3本の脚部101と各脚
部101の基端側を連結する支持部102とから構成さ
れており、導電性を付与したSiで形成されている。音
叉100は、基板103の端部に音叉100の支持部1
02を接合することで基板103によって支持されると
ともに、基板103の上面に脚部101に対応して凹部
103aが形成されていて、各脚部101が振動自在に
方持状態で支持され、各脚部101の下方にあたる箇所
には駆動用電極(図示略)がそれぞれ配置されている。
従って、駆動用電極に電圧を印加した際に生じる静電引
力によって各脚部101が鉛直方向に振動自在とされた
構成とされている。また、各脚部101の先端側の左右
両側には検出用電極104が配置されている。
【0004】図21に示すジャイロスコープにおいて、
図21の鉛直方向に振動中に脚部101の長手方向を回
転軸とする角速度が入力されると水平方向の振動が生じ
るが、この水平方向の振動は各脚部101の両側の検出
用電極104が検出する。即ち、脚部101が水平方向
に変位した際、脚部101の一方向側に配置された検出
用電極104と脚部101との間隔が狭まると、他方側
に配置された検出用電極104と脚部101との間隔が
広がり、各検出用電極104と脚部101とで構成され
る2組の静電容量が変化する。この静電容量の変化か
ら、入力された角速度の大きさを検出することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図21に示
す構成のジャイロスコープは、各脚部101の両側に検
出用電極104が配置されているために、脚部101と
脚部101との間隔(ギャップ)を検出用電極104、
104の幅以上に狭くすることができない欠点があり、
小型化軽量化に限界を有する問題を有していた。例え
ば、検出用電極104を一般的な半導体デバイス製造技
術を用いてでき得る限り微細化したとしても、検出用電
極104、104の幅の分だけギャップは必要になるの
で、ギャップをこれ以上狭くすることはできない問題を
有していた。
【0006】また、音叉100をSiから構成し、基板
をガラス基板とする場合、両者を接着剤を用いて接合し
ているが、接着作業にあっては、音叉と基板との正確な
位置合わせ精度の確保が困難であり、極めて歩留まりの
悪い繁雑な工程であるので、図21に示す構成のジャイ
ロスコープを製造する工程における歩留まり向上が望ま
れていた。
【0007】更に、この種のジャイロスコープにおい
て、前述の如くコリオリ力を利用して角速度を正確に測
定するためには、音叉100と基板103との間隔を数
10μm程度の微細間隔とする必要があるが、前述の接
合時に作用するガラスとSi基板の静電引力などの影響
により、接合部分以外の部分が接合されてしまうおそれ
があり、接合時の接合不良によって製品歩留まりが低下
する問題を有していた。特にジャイロスコープが小型化
されたものにあっては、脚部101と基板103の凹部
103aとの間隙が10μm程度となるので、本来接合
するべき支持部102と基板103の端部側以外の部
分、即ち、凹部103aの底面と脚部101の部分とが
接合してしまう問題を有していた。
【0008】本発明は、前記の課題を解決するためにな
されたものであって、音叉の両側に基板を配置する構造
を採用しても音叉と基板の接合部分を削減することがで
き、製造歩留まりを向上させることができ、プロセス数
削減ができるとともに、音叉と基板との接合部分を正確
に形成することができ、更に音叉と基板との位置合わせ
精度を高くすることができるジャイロスコープとその製
造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決するために、導電材料からなる振動片と該振動片の
基端部を連結した支持部とを具備する音叉と、この音叉
の表側又は裏側の少なくとも一方に設けられた基材とを
具備してなり、前記基材にこの基材上に形成された中間
膜をエッチングにより一部除去して形成された接続膜が
形成され、この接続膜上に前記音叉が前記支持部を接続
膜に接合し前記振動片を前記基材との間に微小間隙をあ
けて片持支持させて設けられ、前記振動片に容量結合さ
れて前記振動片を駆動するための駆動用電極と、前記振
動片の少なくとも一面側に前記振動片の先端部と対向し
て設けられた検出用電極とが具備されてなることを特徴
とする。
【0010】中間膜をエッチングにより一部除去してな
る接続膜によって音叉が片持支持された構造であると、
音叉を片持支持する構造を実現する場合に音叉とその下
の基材との間の微小間隙を中間膜の膜厚を利用して規定
の値に均一かつ確実に設定することができる。よって、
音叉と基材との間隙を例えば10μm以下の、数μmオ
ーダーの微細間隙としても、音叉と基材が不要な部分で
接合することのない、音叉と基材との間隙が規定の値に
均一かつ確実に設定されたジャイロスコープが得られ
る。
【0011】本発明は、前記音叉の表側と裏側に音叉を
挟むように一対の基材が設けられ、前記基材のうち、少
なくとも一方が前記接続膜を介して音叉に接合されてな
ることを特徴とする。音叉の両側に基材が配置された構
造であると、音叉が基材で保護された構造となり、取り
扱いに優れる。その上、音叉の両側に基材を配してそれ
らを接着する場合よりも接合工程が簡単化される。ま
た、音叉の両側に基材を配する構造とするならば、基材
どうしを接合して音叉を真空封止する構造とすることも
可能となる。
【0012】本発明は、前記基材がSiからなり、前記
接続膜がSiO2膜とSi-B-O膜の少なくとも一方か
らなることを特徴とする。Siの基材の間に設けられる
接続膜がSiO2膜とSi-B-O膜の積層体であるウェ
ハは各層の密着性も良好であり、Siの基材をエッチン
グ加工して音叉を形成可能であるとともに、Siの基材
にガラスを陽極接合することができる。
【0013】本発明は、導電性材料からなる振動片およ
び該振動片の基端側を連結する支持部を有してなる音叉
と、前記各振動片と互いに容量結合されて前記複数の振
動片を駆動する複数の駆動用電極と、前記音叉の少なく
とも一面側に前記各振動片の先端部と対向して設けられ
た検出用電極であって前記各振動片と対応した少なくと
も1個の検出用電極との間に形成される容量を検出する
検出用電極とを有するジャイロスコープの製造方法であ
って、2層の基材層間に中間膜を介在させてなるウェハ
を用い、前記一方の基材層を所望のパターンを有するマ
スクを用いてエッチングすることで前記一方の基材層か
ら音叉を形成し、次に中間膜のエッチングを行なって前
記音叉の下部側に位置する前記中間膜の一部を除去して
前記中間膜の残余部分で前記音叉を片持支持させて音叉
の少なくとも振動片部分を振動自在に加工することを特
徴とする。
【0014】2層の基材層間に中間膜を介在させてなる
ウェハを用い、このウェハの一方の基材層をエッチング
により加工して音叉を形成し、この音叉をマスクとして
中間膜をエッチングするならば、他方の基材上に中間膜
を加工した接続膜により片持支持された音叉を得ること
ができる。そして、音叉と基材との間隙を中間膜の厚さ
に相当する間隙だけ確実に設定することができ、不要な
部分で基材と接していない片持支持させた音叉が得られ
る。このため、音叉と基材との間隙が10μm以下、例
えば、数μm程度の間隙の構成においても確実に振動可
能な音叉が得られる。
【0015】本発明は、前記中間膜のエッチング後に駆
動用電極と検出用電極を備えた基材を前記音叉の支持部
に陽極接合することを特徴とする。中間膜をエッチング
して音叉を片持支持した後に、駆動用電極と検出用電極
とを備えた基材を音叉に陽極接合するならば、駆動用電
極で音叉を振動加振できるとともに、この振動中の音叉
に付加される角速度に応じた振動を検出できる構造のジ
ャイロスコープを得ることができる。この構成のジャイ
ロスコープは音叉と基材との間隙が例えば10μm以下
のような微細構造に適用できるので、小型化軽量化した
ジャイロスコープが得られる。
【0016】本発明は、前記ウェハとして、2層のSi
の基材層間にシリコン酸化膜とシリコンホウ素酸素系の
絶縁膜の少なくとも1つが介在されたものを用いること
を特徴とする。前述のジャイロスコープを製造する場合
に用いるウェハとして、2層のSi基材層間にシリコン
酸化膜とシリコンホウ素酸素系の絶縁膜が介在されたも
のを適用することができる。2層のSi基材層のうち、
一方はエッチングにより加工して音叉を形成することが
でき、シリコン酸化膜とシリコンホウ素酸素系の絶縁膜
の少なくとも1つが介在された中間膜はエッチングによ
って容易に加工されて接続膜が形成され、この中間膜の
厚さに相当する間隙により音叉が振動自在とされる。
【0017】
【発明の実施の形態】先に記載の背景に基づき、本願発
明者らは、先の問題点の一部を解決することができるジ
ャイロスコープの構造と製造方法について研究した結
果、以下に説明するジャイロスコープの構造と製造方法
を検討している。図11と図12は本発明者らが検討し
ているジャイロスコープの一例を示すもので、この例の
ジャイロスコープ120は、上下のガラス基板121、
122の間に音叉130を挟み込んだ構成とされてい
る。
【0018】この例のジャイロスコープ120には、3
本の脚部127(振動片)とこれらの基端側を連結する
支持部128とを有する音叉130が組み込まれてい
る。また、音叉130の周囲には枠部129が設けられ
ており、これら音叉130と枠部129は、元々は厚さ
200μm程度の導電性を有する1枚のSi基板から形
成されている。枠部129は上側ガラス基板121と下
側ガラス基板122との間に挟持されて固定され、2枚
のガラス基板121、122の内面のうち、音叉130
の上方および下方に位置する領域は10μm程度の深さ
の凹部121a、122aとされており、各ガラス基板
121、122と音叉130との間に10μm程度の間
隙が形成されることで音叉130の各脚部127が図1
1の上下方向に振動可能となっている。
【0019】図11に示すように、上側ガラス基板12
1の下面の各脚部127の基端側に対応する位置には、
各脚部127に1個ずつの駆動用電極123が脚部12
7の長手方向に延在するように設けられている。また、
上側ガラス基板121の下面において、駆動用電極12
3の形成位置よりも脚部127の先端部寄りの位置には
検出用電極124が設けられている。同様に、図11に
示すように、下側ガラス基板122の上面において、脚
部127の先端部寄りの位置にも、各脚部127に対し
て検出用電極124が設けられている。これらの駆動用
電極123および検出用電極124は、上側ガラス基板
121の凹部121aの下面および下側ガラス基板12
2の凹部122aの上面上に形成されたAl(アルミニ
ウム)膜あるいはCr(クロム)膜などの導電膜で構成
されている。そして、駆動用電極123、検出用電極1
24には電圧印加用または取り出し用の端子(図示略)
がそれぞれ設けられている。
【0020】さらに、ジャイロスコープの機能上は特に
必要ではなく、後述する製造上の都合により必要なもの
として、駆動用電極123および検出用電極124が設
けられた領域以外の両ガラス基板121、122の凹部
121a内と凹部122a内には、駆動用電極123お
よび検出用電極124と同一のAl膜あるいはCr膜な
どの導電膜からなる同電位パターン125a、125b
が設けられている。
【0021】次に、上記構成のジャイロスコープ120
を製造する方法について本願発明者らが検討している内
容の一例について説明する。まず、図13に示すよう
に、ガラス基板122を用意し、表面にクロム膜をスパ
ッタした後、レジストパターンを形成し、このレジスト
パターンをマスクとしてクロム膜をエッチングする。次
に、このレジストパターンおよびクロム膜をマスクとし
てガラス基板122の表面のフッ酸エッチングを行い、
ガラス基板122上において先の音叉130の位置に対
応する領域に、深さ10μm程度の凹部122aを形成
する。
【0022】その後、レジストパターンおよびクロムパ
ターンを除去する。次に、膜厚300nm程度のAl膜
あるいはCr膜などの導電膜を全面にスパッタした後、
周知のフォトリソグラフィー技術を用い、これをパター
ニングして検出用電極124および同電位パターン12
5aを形成し、下側ガラス基板122とする。同様の方
法により、上側ガラス基板125も作製しておく。上側
ガラス基板125の場合、膜厚300nm程度のアルミ
ニウム膜から、駆動用電極123、検出用電極124、
同電位パターン125bを形成する。
【0023】図14に示すように、Si基板131を用
意し、このSi基板131の下面と下側ガラス基板12
2とを陽極接合法を用いて接合する。この際、Si基板
131のうち、後で支持部128および枠部129とな
る部分が接合されることになる。陽極接合法ではSi基
板131に正、ガラス基板122に負の電位を印加して
Siとガラスを接合することができるが、Si基板13
1を加工して音叉130を形成する部分にあっては、ガ
ラス基板122との間隙が10μm程度しかないため、
陽極接合時の静電引力によりSi基板131が撓んでガ
ラス基板122と接触すると、この部分も接合されてし
まい、振動可能な音叉130を形成できなくなる。した
がって、ガラス基板122に接合すべきではない部分が
ガラス基板122に接合されてしまうことを防止する目
的でガラス基板122の表面をSi基板131と同電位
とするために、ガラス基板122表面の同電位パターン
125aを用いる。
【0024】次に、図15に示すように、Si基板13
1の表面にレジストパターン132を形成する。この
際、レジストパターン132の平面形状は、図16に示
すように、音叉、枠部等のSi部分を残す部分の形状と
なる。このレジストパターン132をマスクとして、反
応性イオンエッチングなどの異方性エッチングを用いて
Si基板131を貫通するエッチングを行う。これによ
り、音叉130、枠部129をそれぞれ形成し、音叉1
30の部分を下側ガラス基板122の上方で宙に浮いた
片持状態とする。その後、図17に示すようにレジスト
パターン132を除去する。
【0025】次に、図11に示すように、音叉130の
支持部128および枠部129、129の上面と上側ガ
ラス基板121とを陽極接合法を用いて接合する。この
際、Si基板131の枠部129および支持部128が
上側ガラス基板121に接合されることになる。以上の
工程により、図11に示すジャイロスコープ120を得
ることができる。以上のように得られたジャイロスコー
プ120にあっては、振動片127の左右両側に検出用
電極を配するのではなく、振動片127の上下に位置す
る基板121あるいは基板122に検出用電極124を
設けているので、振動片127の間隔を小さくすること
ができ、図21に示す従来のジャイロスコープよりも小
型化を実現できる構成と考えられる。
【0026】以上の如くジャイロスコープ120を製造
することを目標として本願発明者が更に研究を重ねた結
果、図11と図12に示すジャイロスコープ120を図
13〜図18を基に先に説明した方法で製造する場合、
更に解決するべき課題があることを知見した。まず、図
13〜図18を基に先に説明した方法では、ガラス基板
と音叉130を陽極接合するための工程を2回行なわな
くてはならないが、この陽極接合工程は極めて歩留まり
の悪い工程であり、歩留まりの悪い工程を2回行なう必
要があるので、不良品を生じやすい問題を有していた。
また、ジャイロスコープ120が小型化されている背景
から、振動片127と基板122とのギャップ、振動片
127と基板122とのギャップが10μm程度になっ
てくることが考えられるので、陽極接合時に不要な部分
で接合が起こり易く、ジャイロスコープ120の作製を
困難とする可能性を有する問題があった。
【0027】また、前記ジャイロスコープ120にあっ
ては、ガラス基板121、122と音叉130を陽極接
合する場合に、振動片127と検出用電極124、12
4との位置合わせを正確に行なう必要があるので、ガラ
ス基板122を音叉130に陽極接合する場合の位置合
わせ作業を厳格に行なう必要が生じる問題を有してい
た。特に振動片127の振動検出をその上下に位置する
検出用電極124、124によって検出する構成とする
と、検出用電極124と振動片127との位置合わせ精
度が低下すると、振動の検出精度の低下に結び付くおそ
れがある。
【0028】以上のような背景に鑑み、更に本発明者が
研究した結果を基に、先の図11と図12に示す構造の
ジャイロスコープ120を更に発展させることで本発明
のジャイロスコープとその製造方法に到達した。以下に
本発明の第1実施形態のジャイロスコープを説明する。
【0029】「第1実施形態」図1〜図3は本発明に係
る第1実施形態のジャイロスコープを示すもので、この
実施形態のジャイロスコープ1は、下側の基板(基材)
2と上側の基板(基材)3との間に音叉5を挟み込んで
なる構成とされている。前記基板2は、好ましくはSi
基板あるいはSi層から、あるいは、ガラス基板あるい
はガラス層から構成される。
【0030】基板2の上面には基板2の上面全部に一旦
形成した中間膜の一部を加工して除去した接続膜6が形
成されている。この接続膜6は、図3に示すように基板
2の一端部側に被着された矩形状の基部6aと、この基
部6aの両側に基板2の縁部に沿って延出形成された短
冊状の延出部6b、6bと、延出部6b、6b間に形成
された凹部6cとからなり、この凹部6cの部分に後述
する音叉の振動片を対向配置できるように構成されてい
る。この接続膜6の凹部6cは後述する製造方法におい
て詳述するように中間膜の一部分を等方性のエッチング
により除去することで形成された部分であり、凹部6c
の縁部において最奥側の縁部分は傾斜面6dとされてい
る。ここで接続膜6は、一例としてSi(シリコン)酸
化膜(例えばSiO2)とシリコンホウ素酸素系の絶縁
膜(Si-B-O系絶縁膜)との積層体から構成される。
接続膜6は前記Si酸化膜の単層構造でも良いし、シリ
コンホウ素酸素系の絶縁膜の単層構造でも差し支えな
い。
【0031】前記接続膜6の上には音叉5が積層されて
いる。この音叉5は、P型あるいはN型などのように導
電性を付与したSi基板などの導電材料とからなり、先
の接続膜6の基部6aに一体に積層された支持部5a
と、この支持部5aの両側から延出形成されて先の接続
膜6の延出部6b、6b上に一体に積層された支持枠5
b、5bと、支持枠5b、5bの間においてこれらと同
じ方向に延出された基端部5cと、基端部5cの先端側
にこの実施形態では3本延出形成された振動片5dとか
ら構成されている。そして、これらの3本の振動片5d
は接続膜6の凹部6cに臨ませて配置され、各振動片5
dは支持部5aにより片持支持されて凹部6c側に振動
自在にされるとともに、振動片5d、5d、5d間に間
隙5fが形成され、振動片5dと支持枠5bとの間にも
間隙5gが形成されているので、各振動片5dは左右方
向にも振動自在とされている。前記音叉5において、基
端部5cの幅をl1と設定し、支持枠5bの幅をl3とし
た場合、後述する製造工程において説明するエッチング
の関係からl3>(l1/2)の関係とする必要がある。
【0032】次に、音叉5の上には上側の基板3が接合
されている。この基板3は下側の基板2とほぼ同じ平面
形状をなし、その底面側に先の振動片5dを上下方向に
振動自在とするための凹部3aが形成され、この凹部3
aの奥側に駆動用の電極7が前記振動片5dの支持部側
と位置合わせさせて3個設けられ、駆動用の電極7、
7、7の近傍に先の振動片5dの先端部5eと位置合わ
せされて検出用の電極8が6個相互に離間して設けられ
ている。
【0033】前記駆動用の電極7は振動片5dよりも若
干幅広に形成され、互いに離間して凹部3aの奥側に並
設されている。なお、駆動用の電極7を振動片5dより
も若干幅狭に形成するならば、隣どうしの振動片5dの
静電引力の干渉を少なくすることができる。前記検出用
の電極8は、この実施形態では1本の振動片5dの先端
部5eに対して2個ずつ設けられている。ここで、1本
の振動片5dの先端側の2つの電極8がそれぞれ静止状
態の振動片5dの先端部と平面視において同じ面積だけ
オーバーラップするように配置されていることが好まし
い。これらの検出用の電極8はそれに対向する振動片5
dの対向面積の変化に起因して生じる静電力の変化を読
み取るためのものである。
【0034】次に、上記構成のジャイロスコープ1を製
造する方法の一例について以下に説明する。図1〜図3
に示すジャイロスコープ1を製造するには、図4に示す
構造のウェハ10を使用する。このウェハ10は、上下
2層のSiからなる基材層11、12とそれらの間に介
在された中間膜13から構成された3層構造のものであ
る。中間膜13としては、SiO2膜とSi-B-O膜の
積層体、あるいはこれらの内、少なくとも一方からなる
ものが好適に用いられる。ここで中間膜13の厚さとし
て、10〜20μm程度の厚さのものを好適に用いるこ
とができる。よって積層体構造とする場合は、例えば、
厚さ1〜2μmのSiO2膜と厚さ10〜20μmのS
i-B-O膜の積層体を用いることができる。このような
厚さ割合とするのは、厚いSiO2膜を得ることが一般
的には難しく、Si-B-O膜であるならば10〜20μ
mのものが容易に得られることに起因している。
【0035】このウェハ10の好ましい一例として、日
本セラミックス株式会社製SOI(Sillicon On Insula
tor)基板を用いることができる。この基板は、例え
ば、SiO2層を表面に形成したSi基板を用いてその
表面上にSi-B-Oガラス(別名:Flame Hydrolysis D
eposited Grass)層を形成し、その上に更にSiO2
を表面に形成したSi基板を貼り合わせた構造とされて
いる。前記Si-B-Oガラスは例えばスート堆積法(火
炎加水分解堆積法)で形成されるので、10〜100μ
mのものが容易に得られるので、先の目的に供すること
ができる。
【0036】このウェハ10の上側の基材層12の上面
に図5と図6に示すようにレジストパターン15を形成
する。この際、レジストパターン15の平面形状は、図
2と図3に示すような平面形状の音叉5と同じ形状とす
る。このレジストパターン15をマスクとして、異方性
エッチングを用いてSiの基材層12を貫通するエッチ
ングを行い、図7と図8に示すように音叉5を形成す
る。
【0037】次に、中間膜13を等方性エッチングする
ために、中間膜13を構成する材料のエッチングが可能
な、フッ酸を用いたウエットエッチング、あるいはCH
3ガス、C48ガス等を用いたドライエッチングなど
の等方性エッチングにより中間膜13をエッチングす
る。ここで、等方性エッチングを行なうと、音叉5によ
って覆われていない部分は速やかにエッチング除去され
るとともに、音叉5によって覆われてる部分において
も、音叉5を構成する振動片5dと支持枠5bとの間の
間隙部分からエッチング液またはエッチングガスが中間
膜13に到達してこれをエッチングするので、音叉5の
下側に位置する中間膜13が徐々にエッチングされて除
去される。そして、エッチングの進行により、音叉5の
振動片5dと基端部5cとが基材層11上において宙に
浮いた図9と図10に示す状態となったならばエッチン
グを停止する。
【0038】この状態では、音叉5の基端部5cの下側
の中間膜13が除去されるが音叉5の支持枠5bの下側
の中間膜13の一部はエッチングされずに残留し、支持
部5aの下側の中間膜13の大部分もエッチングされず
に残留するので、振動片5dと基端部5cを支持部5a
で片持ち支持した状態とすることができる。
【0039】以上のようにエッチング加工できるのは、
基端部5cの幅をl1と設定し、支持枠5bの幅をl3
した場合、先に説明の如くl3>(l1/2)の関係と設
定したことによる。この関係とすることで、振動片5d
と基端部5cの下側の幅の狭い中間膜13をエッチング
により除去しても幅の大きな支持部5aと支持枠5bの
下側の中間膜13を残留させることができる。この処理
によって、中間膜13の一部を除去してなる接続膜6に
接続された音叉5が得られるとともに、基材層11から
構成された基板(基材)2によって片持支持された音叉
5が得られる。図10に中間膜13においてエッチング
により除去された部分と残った部分の境界位置の一例を
鎖線で示す。
【0040】なお、エッチングにより中間膜13の一部
を除去して音叉5を片持支持状態に加工する場合、マス
クとして使用するSiの音叉5において基端部5cによ
って覆われた中間膜部分と音叉5の振動片5dによって
覆われた中間膜部分ではエッチングの進行状況により、
振動片5dの下の中間膜が全部除去されても基端部5c
の下の中間膜が一部残留するおそれもある。このような
場合は、図10の鎖線に示すように基端部5cに必要個
数の孔5hをあけておき、これらの孔5hを介してエッ
チングが進行するようにエッチング状況を制御し、基端
部5cの下の中間膜が確実に除去されるようにしても良
い。
【0041】この後、上側の基板3を音叉5に陽極接合
により接合する。上側の基板3は、先に図13を基に説
明した方法で製造することができる。即ち、ガラス基板
3を用意し、表面にクロム膜をスパッタした後、レジス
トパターンを形成し、このレジストパターンをマスクと
してクロム膜をエッチングする。次に、このレジストパ
ターンおよびクロム膜をマスクとしてガラス基板3の表
面のフッ酸エッチングを行い、ガラス基板3上において
先の音叉5の位置に対応する領域に、深さ10μm程度
の凹部3aを形成する。その後、レジストパターンおよ
びクロムパターンを除去する。次に、膜厚300nm程
度のAl膜あるいはCr膜などの導電膜を全面にスパッ
タした後、周知のフォトリソグラフィー技術を用い、こ
れをパターニングして検出用電極7および同電位パター
ン7を形成し、上側のガラスの基板3とする。
【0042】このように形成した基板3を裏返しにして
音叉5に重ね合わせ凹部3aの周囲部分を音叉5の支持
部5aと枠部5bに重ねるとともに、検出用電極8・・・
と音叉5の振動片5d・・・との位置合わせをした上でS
iの音叉5に正、ガラスの基板3に負の電位を印加して
両者の当接部分を陽極接合する。この陽極接合において
は、300℃ないし400℃の高温に加熱した状態で正
負の電圧を印加する。よって用いる基材と中間膜13と
の耐熱温度は300℃以上であることが必要であり、加
熱後においても基材膜と中間膜との密着性が損なわれな
いものである必要がある。先に説明したSiO2膜とS
i-B-O膜の積層体であるならば、あるいは後述する例
としてのポリイミドであるならば、このような条件を満
足し、基材層11との密着性に優れ、音叉5に対する密
着性にも優れる。
【0043】陽極接合工程においては、音叉5の振動片
5dと検出用電極8との位置合わせを数μmオーダーで
正確に行なう必要があり、陽極接合工程において不要部
分の接合を生じ易いということもあって、陽極接合工程
は極めて歩留まりの悪い工程であるが、この製造方法に
よれば先に説明の従来方法とは異なり、陽極接合工程が
1回で済むので歩留まり向上に寄与する。また、図21
に示す従来構造において仮に音叉100の両側に基板を
設ける場合、音叉100の接合時にそれぞれ位置合わせ
を行なう必要があって極めて繁雑な位置合わせ作業とな
るが、本実施形態の方法ではこの位置合わせ作業が1回
で済むので位置合わせ時の不良の発生も削減できる特徴
を有する。また、陽極接合する場合の基板3の凹部3a
の最奥部の位置a(図1参照)と接続膜6の傾斜面6d
との位置合わせは特に不要であり、最奥部の位置aより
も図1において左側に傾斜面6dが存在するようにエッ
チングすれば音叉5の振動に悪影響はない。
【0044】なお、ここでは音叉5と基板3の凹部3a
内面との間隙が10μm程度しかないために、陽極接合
時の静電引力により音叉5または基板3が撓んで両者が
部分的に接触すると、この接触部分も接合されてしま
い、振動可能な音叉5を形成できなくなるおそれがあ
る。従って、基板3に接合すべきではない部分が接合さ
れてしまうのを防止する目的で基板3の表面をSiの音
叉5と同電位とするために、基板3の駆動用電極7を同
電位パターンとして用いても良い。以上の工程により、
本実施の形態のジャイロスコープ1が完成する。
【0045】本実施の形態のジャイロスコープ1を使用
する際には、駆動用の電極7にオシレータを接続すると
ともに、検出用の電極8・・・に容量検出器を接続し、音
叉5は接地しておく。オシレータを駆動して駆動用の電
極7に数kHz程度の周波数の電圧を印加すると、音叉
5の脚部5dが鉛直方向に振動する。その状態で、脚部
5dの長手方向を回転軸とする角速度が入力されると、
入力された角速度の大きさに応じた水平方向の振動が生
じる。この時、音叉5の各脚部5dの上面と各検出用電
極8・・・が対向した状態にあり、脚部5dの振動に伴っ
て脚部5dの上面と各検出用電極8・・・との対向面積が
変化するため、容量変化が生じる。この容量変化を容量
検出器で検出することにより角速度を検出することがで
きる。
【0046】したがって、本実施の形態のジャイロスコ
ープ1では、図21に示した従来のジャイロスコープよ
うに脚部と脚部の間に検出用電極を設ける必要がなくな
る。その結果、脚部間ギャップをSi基板の加工限界近
く、例えば数10μm程度にまで小さくすることがで
き、Q値を大きくすることができる。例えば脚部幅が2
00μmのジャイロスコープにおいて、脚間ギャップが
300μm〜400μm程度であるとQ値は1000前
後であるが、脚間ギャップを数十μm程度にまで狭める
とQ値は2000前後と、約2倍に増大することができ
る。このQ値の増大により、角速度センサとしての検出
感度の向上、駆動電圧の低減を図ることができる。さら
に、デバイスの小型化を図ることもできる。
【0047】特に本実施形態の場合、音叉5の各脚部5
dに対応して2個の検出用の電極8が設けられ、各脚部
5d毎に2個のキャパシタが構成されている。そして、
各脚部5dが水平方向に振動した際に2個のキャパシタ
のうちの一方のキャパシタの容量が増加すると、その容
量増加分だけ他方のキャパシタの容量が減少することに
なる。したがって、2つの容量変化の差分を検出すれ
ば、同じ振動であっても2倍の容量変化が得られ、検出
感度をより向上することができる。さらに、検出用の電
極8が脚部5dの先端側に設けられているので、振動時
の変位が最大の最も感度が高い状態で容量変化を検出す
ることができる。
【0048】また、本実施の形態のジャイロスコープ1
は、音叉5が基材層2と基板3の間に挟持されているた
め、基材層2と基板3とによって音叉5の振動片5d部
分が保護され、取り扱いやすいものとなっている。さら
に、音叉5の部分に塵埃が入りにくい構造であるから、
外乱が抑制され、センサとしての感度低下を防止するこ
とができる。
【0049】また、基材層2と基板3とで音叉5を挟み
込んでなる構成を採用し、更に基材層2と基板3の周辺
部分どうしを音叉5の周囲を囲むように構成し、基板3
の外周部を音叉5の枠部19に重なるように形成すると
同時に音叉5の振動片5dの先方側において基材層2に
接触するように基板3の端部に突部を設けて真空中にお
いて陽極接合するならば、振動片5dを真空封止したジ
ャイロスコープ構造とすることもできる。
【0050】「第2実施形態」以下、本発明の第2実施
形態について図19と図20を参照して説明する。図1
9は、先の第1実施形態のジャイロスコープ1と同等の
構造のジャイロスコープを用いた入力装置の一例であ
り、具体的にはパソコンの座標入力装置であるペン型マ
ウスに本発明を適用した例である。
【0051】本実施形態のペン型マウス30は、図19
に示すように、ペン型のケース31の内部に第1実施形
態で示したようなジャイロスコープ1と同一構造のジャ
イロスコープ32a、32bが2個収容されて構成され
ている。2個のジャイロスコープ32a、32bは、図
20に示すように、ペン型マウス30を上から見たとき
(図19の矢印A方向)に各ジャイロスコープ32a、
32bの音叉の脚部の延在方向が直交するように配置さ
れている。また、ケース31の内部に各ジャイロスコー
プ32a、32bを駆動し、回転角を検出するための駆
動検出回路33が設けられている。その他、ケース31
内に電池34が収容されるとともに、一般のマウスのク
リックスイッチに相当する2つのスイッチ35a、35
b、マウス本体の起動スイッチ36が備えられている。
【0052】マウスの使用者は、このペン型マウス30
を持ち、所望の方向にペン先を移動させることによっ
て、パソコン画面上のカーソル等をペン先の移動方向に
応じて動かすことができる。即ち、ペン先を図19中の
紙面37のX軸方向に沿って移動させると、ジャイロス
コープ32bが回転角θ1を検出し、紙面37のY軸方
向に沿って移動させると、ジャイロスコープ32aが回
転角θ2を検出する。それ以外の方向に移動させた場合
には回転角θ1と回転角θ2の組み合わせとなる。したが
って、パソコン側では回転角θ1および回転角θ2に対応
した信号をペン型マウス30から受け取って、パソコン
画面上のカーソルの移動前の点から画面上において先の
回転角θ1、θ2の大きさに対応する距離だけカーソルを
移動させる。このようにして、このペン型マウス30
は、光学式エンコーダ等を用いた一般のマウスと同様の
動作を実現することができる。
【0053】ここで用いた本発明のジャイロスコープ3
2a、32bは、小型、低駆動電圧、高感度という特徴
を持っているため、本実施形態で説明したようなペン型
のマウス30のような小型の座標入力機器に好適に使用
することができる。
【0054】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。例
えば第1実施形態のジャイロスコープ1では、検出用の
電極8を上側のガラスの基板3に設けた例を示したが、
下側の基材2側に設けてもよい。また、片側の基材のみ
に設けるのみならず、両方の基材に設ける構成としても
良い。更に検出用の電極8に関し、第1実施形態のジャ
イロスコープ1では、各脚部5dの上側に2個ずつ、計
6個設けたが、少なくとも1個設ければ良い。その場
合、各脚部5dの上側、下側のいずれでもよいし、3本
の脚部5dに対して、例えば、上側と下側と上側という
ように交互になるように異なる側に配置しても良い。
【0055】次に、陽極接合法による張り合わせを考慮
すると、Siとガラスの相性がよいが、ガラス基材に関
しては任意の材料からなる基材の表面にガラスを融着し
たものでも代用できる。また、音叉の材料としてSiに
代えて、カーボンを用いることも可能である。その他、
各種構成部材の材料、寸法等の具体的な記載は上記実施
の形態に限ることなく、適宜変更が可能である。
【0056】また、ガラスの基板3とSiの音叉5とS
iの基材層2の組み合わせのジャイロスコープを製造す
る場合に用いるウェハの他の例として、下側の基板とし
てガラス基板を用い、この上にポリイミド層を介してS
iの基材層を配置した3層構造のウェハを採用すること
ができる。
【0057】ガラスの基板の上にはスピンコート法によ
りポリイミドを塗布してポリイミド層を形成することが
できる。そして、シリコン基板をこの上に圧着して3層
構造のウェハを得ることができる。このウェハ上にレジ
ストを塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてSiの
基材層をエッチング加工して音叉を形成し、この音叉を
マスクとしてポリイミド層をO2プラズマによりエッチ
ングして音叉を片持支持させるように加工し、駆動用の
電極と検出用の電極を備えたガラス基板を陽極接合する
ことで、両面ガラス基板型の接続膜がポリイミドのジャ
イロスコープを1回の陽極接合作業で製造することがで
きる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明のジャイロス
コープにあっては、従来構造のジャイロスコープのよう
に音叉の脚部と脚部の間に検出用電極を設ける必要がな
くなるため、脚部と脚部の間隔を小さくすることができ
るとともにQ値を大きくすることができ、検出感度の向
上、駆動電圧の低減、デバイスの小型化を図ることがで
きる。このジャイロスコープの使用により、例えばペン
型のパソコンの座標入力装置等の小型であっても検出感
度の優れた入力機器を実現することができる。
【0059】また、中間膜をエッチングにより一部除去
してなる接続膜によって音叉が片持支持された構造であ
ると、音叉を片持支持する構造を実現する場合に音叉と
その下の基材との間の微小間隙を中間膜の膜厚を利用し
て規定の値に均一かつ確実に設定することができる。よ
って、音叉と基材との間隙を例えば10μm以下の、数
μmオーダーの微細間隙としても、音叉と基材が不要な
部分で接合することのない、音叉と基材との間隙が規定
の値に均一かつ確実に設定されたジャイロスコープを得
ることができる。
【0060】本発明において、Siの基材の間に設けら
れる接続膜がSiO2膜とSi-B-O膜の積層体である
ものは、Siの基材をエッチング加工して音叉を形成可
能であるとともに、Siの基材にガラスを陽極接合する
ことができる。
【0061】本発明の製造方法は、2層の基材層間に中
間膜を介在させてなるウェハを用いこのウェハの一方の
基材層をエッチングにより加工して音叉を形成し、この
音叉をマスクとして中間膜をエッチングするので、他方
の基材上に中間膜を加工した接続膜により片持支持され
た音叉を得ることができる。そして、音叉と基材との間
隙を中間膜の厚さに相当する間隙だけ確実に設定するこ
とができ、不要な部分で基材と接していない片持支持さ
せた音叉が得られる。このため、音叉と基材との間隙が
10μm以下、例えば、数μm程度の間隙の構成におい
ても音叉の不要な部分接合を生じていない確実に振動可
能な音叉が得られる。
【0062】本発明の製造方法において、中間膜をエッ
チングして音叉を片持支持した後に、駆動用電極と検出
用電極とを備えた基材を音叉に陽極接合するならば、駆
動用電極で音叉を振動加振できるとともに、この振動中
の音叉に付加される加速度に応じた振動を検出できる構
造のジャイロスコープを得ることができる。この構成の
ジャイロスコープは音叉と基材との間隙が例えば10μ
m以下のような微細構造に適用できるので、小型化軽量
化したジャイロスコープが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係るジャイロスコープの第1
実施形態の断面図。
【図2】 図2は図1に示すジャイロスコープの一部を
断面とした平面図。
【図3】 図3は図1に示すジャイロスコープの分解斜
視図。
【図4】 図4は本発明に係るジャイロスコープの製造
工程を説明するためのもので、ジャイロスコープの製造
のために用いる3層構造のウェハの断面図。
【図5】 図5は前記ウェハの上にレジストを形成した
状態を示す断面図。
【図6】 図6は前記ウェハの上に形成したレジストを
示す平面図。
【図7】 図7は前記レジストを用いてウェハの一部を
エッチングすることで形成した音叉を示す断面図。
【図8】 図8は前記エッチングにより形成された音叉
の平面図。
【図9】 図9は音叉の下に位置する中間膜の一部を等
方性エッチングにより除去した状態を示す断面図。
【図10】 図10は図9に示す状態の平面図。
【図11】 図11は従来のジャイロスコープに対して
本発明者らが想定しているジャイロスコープの一例を示
す断面図。
【図12】 図12は図11に示す同ジャイロスコープ
を示す平面図。
【図13】 図11に示すジャイロスコープを製造する
ための工程を示すもので、基板に同電位パターンと検出
用の電極を形成した状態を示す断面図。
【図14】 図13に示す基板上にSiの基板を陽極接
合した状態を示す断面図。
【図15】 図14に示すSiの基板の上にレジストを
形成した状態を示す断面図。
【図16】 図16は図15に示すレジストの平面図。
【図17】 図15に示すレジストをマスクとしてSi
の基板のエッチングを行なって音叉を形成した状態を示
す断面図。
【図18】 図17に示す状態の平面図。
【図19】 図19は本発明に係るジャイロスコープの
一実施形態を組み込んでなるペン型の入力装置の一例を
示す図。
【図20】 図20は図19に示す入力装置に組み込ま
れた音叉の配置方向を示す図。
【図21】 図21は従来のジャイロスコープの一例を
示す斜視図。
【符号の説明】
1・・・ジャイロスコープ、2・・・基板(基材)、3・・・基
板(基材)、5・・・音叉、5a・・・支持部、5d・・・振動
片、6・・・接続膜、6d・・・傾斜面、7・・・駆動用電極、
8・・・検出用電極、10・・・ウェハ、11、12・・・基材
層、13・・・中間膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江刺 正喜 宮城県仙台市太白区八木山南一丁目11−9 Fターム(参考) 2F105 AA10 BB13 BB14 BB15 CC01 CC04 CC11 CD03 CD05 CD13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電材料からなる振動片と該振動片の基
    端部を連結した支持部とを具備する音叉と、この音叉の
    表側又は裏側の少なくとも一方に設けられた基材とを具
    備してなり、前記基材にこの基材上に形成された中間膜
    をエッチングにより一部除去して形成された接続膜が形
    成され、この接続膜上に前記音叉が前記支持部を接続膜
    に接合し前記振動片を前記基材との間に微小間隙をあけ
    て片持支持させて設けられ、前記振動片に容量結合され
    て前記振動片を駆動するための駆動用電極と、前記振動
    片の少なくとも一面側に前記振動片の先端部と対向して
    設けられた検出用電極とが具備されてなることを特徴と
    するジャイロスコープ。
  2. 【請求項2】 前記音叉の表側と裏側に音叉を挟むよう
    に一対の基材が設けられ、前記基材のうち、少なくとも
    一方が前記接続膜を介して音叉に接合されてなることを
    特徴とする請求項1記載のジャイロスコープ。
  3. 【請求項3】 前記基材がSiからなり、前記接続膜が
    SiO2膜とSi-B-O膜の少なくとも一方からなるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載のジャイロ
    スコープ。
  4. 【請求項4】 導電性材料からなる振動片および該振動
    片の基端側を連結する支持部を有してなる音叉と、前記
    各振動片と互いに容量結合されて前記複数の振動片を駆
    動する複数の駆動用電極と、前記音叉の少なくとも一面
    側に前記各振動片の先端部と対向して設けられた検出用
    電極であって前記各振動片と対応した少なくとも1個の
    検出用電極との間に形成される容量を検出する検出用電
    極とを有するジャイロスコープの製造方法であって、 2層の基材層間に中間膜を介在させてなるウェハを用
    い、前記一方の基材層を所望のパターンを有するマスク
    を用いてエッチングすることで前記一方の基材層から音
    叉を形成し、次に中間膜のエッチングを行なって前記音
    叉の下部側に位置する前記中間膜の一部を除去して前記
    中間膜の残余部分で前記音叉を片持支持させて音叉の少
    なくとも振動片部分を振動自在に加工することを特徴と
    するジャイロスコープの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記中間膜のエッチング後に駆動用電極
    と検出用電極を備えた基材を前記音叉の支持部に陽極接
    合することを特徴とする請求項4記載のジャイロスコー
    プの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ウェハとして、2層のSiの基材層
    間にシリコン酸化膜とシリコンホウ素酸素系の絶縁膜の
    少なくとも1つが介在されたものを用いることを特徴と
    する請求項4または請求項5記載のジャイロスコープの
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009216657A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Alps Electric Co Ltd ジャイロセンサの製造方法
JP2009216658A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Alps Electric Co Ltd ジャイロセンサの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009216657A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Alps Electric Co Ltd ジャイロセンサの製造方法
JP2009216658A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Alps Electric Co Ltd ジャイロセンサの製造方法

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