JP2000320645A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

Info

Publication number
JP2000320645A
JP2000320645A JP13157699A JP13157699A JP2000320645A JP 2000320645 A JP2000320645 A JP 2000320645A JP 13157699 A JP13157699 A JP 13157699A JP 13157699 A JP13157699 A JP 13157699A JP 2000320645 A JP2000320645 A JP 2000320645A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
retainers
retainer
pinion shaft
pair
differential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13157699A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeharu Saeki
丈晴 佐伯
Tetsushi Tomita
哲史 富田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tochigi Fuji Sangyo KK filed Critical Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority to JP13157699A priority Critical patent/JP2000320645A/ja
Publication of JP2000320645A publication Critical patent/JP2000320645A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Retarders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 イニシャルトルク用の付勢手段を位置決め
し、同一のリテ−ナを一対用いて付勢手段を保持する。 【解決手段】 ピニオンシャフト17に支承されたピニ
オンギヤ19と出力側サイドギヤ21、23とが噛み合
ったベベルギヤ式の差動機構5と、デフケ−ス3とギヤ
21、23との間に配置された摩擦クラッチ7、7と、
リテ−ナ9、9を介して各摩擦クラッチ7を押圧する付
勢手段11とを備え、付勢手段を位置決めしながら保持
する支持部51と、シャフト17に係合して廻り止めさ
れる係合部55が設けられた突き出し部49とを有する
一対のリテ−ナ9を、それぞれの突き出し部49を対向
させて配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両のデファレ
ンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特公昭47−10484号公報に図8の
ようなデファレンシャル装置201が記載されている。
【0003】このデファレンシャル装置201は、デフ
ケ−ス203、ベベルギヤ式の差動機構205、一対の
コ−ンクラッチ207、207、これらにイニシャルト
ルクを与える複数個のコイルスプリング209、各コイ
ルスプリング209を支持するリテ−ナ211、213
などから構成されている。
【0004】ベベルギヤ式差動機構205は、外側の端
部がデフケ−ス203に固定されたピニオンシャフト2
15、ピニオンシャフト215上に回転自在に支承され
たピニオンギヤ217、それぞれがピニオンギヤ217
と噛み合った一対の出力側サイドギヤ219、221な
どから構成されている。
【0005】各サイドギヤ219、221はそれぞれの
出力軸223、225にスプライン連結されており、デ
フケ−ス203を回転させるエンジンの駆動力はサイド
ギヤ219、221から出力軸223、225を介して
各車輪に配分される。
【0006】各コ−ンクラッチ207は、各出力軸22
3、225に連結されたクラッチ部227、227とデ
フケ−ス203との間に形成されており、サイドギヤ2
19、221の噛み合い反力を受けて締結され、差動機
構205の伝達トルクに感応するトルク感応型差動制限
機能によって差動を制限する。
【0007】このトルク感応型差動制限機能は、車両の
発進時や加速時に各車輪の空転を制限して車体の安定性
を高めるが、悪路などで片輪が大きく空転すると、空転
側の車輪に駆動トルクが逃げて差動制限機能を失い、発
進性、加速性、悪路走破性などが低下する恐れがある。
【0008】リテ−ナ211、213は、サイドギヤ2
19、221の軸方向内側に配置されており、コイルス
プリング209は、リテ−ナ211、213の間に支持
され、リテ−ナ211、213とサイドギヤ219、2
21とクラッチ部227、227を介して各コ−ンクラ
ッチ207を押圧し、イニシャルトルクを与える。
【0009】このイニシャルトルクにより、上記のよう
にトルク感応型差動制限機能が低下したときの、発進
性、加速性、悪路走破性などを向上させる。
【0010】図9は、従来のリテ−ナ229を示してい
る。
【0011】このリテ−ナ229は、基板231とこの
基板231に設けられた一対の突き出し部233、23
3とを備えており、各突き出し部233には貫通孔23
5が設けられている。又、基板231にはコイルスプリ
ングを支持し、センタ−リングする支持部237が設け
られている。
【0012】両リテ−ナ229は、図10と図11のよ
うに、それぞれの突き出し部233を重ねて組み合わせ
た状態で用いられる。各リテ−ナ229にはサイドギヤ
との摩擦トルクが掛かるから、それぞれの貫通孔235
にピニオンシャフトを貫通させて廻り止めし、各リテ−
ナ229の相対回転を防止する。
【0013】こうしてコイルスプリングの捩じれが防止
され、正常なイニシャルトルクによる所定の差動制限力
が得られる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図10のよ
うに、同一のリテ−ナ229をそれぞれの突き出し部2
33を重ねて組み合わせると、突き出し部233の板厚
tだけそれぞれの支持部237の間で位置ずれが生じ、
センタ−リングが狂ってコイルスプリングに無理な力が
掛かる。
【0015】コイルスプリングに無理な力が掛かると、
所定のイニシャルトルクが得られないことがあり、又、
コイルスプリングの耐久性も低下する。
【0016】しかし、組み合わせた状態で各支持部の位
置ずれが生じないように異なった寸法のリテ−ナを2種
類用意すると、それだけ部品点数が増加し、部品コスト
が上昇する。
【0017】又、図11のように、ピニオンシャフトは
両リテ−ナ229の貫通孔235が重なった状態でこれ
らに貫通させなければならないが、この状態では矢印2
39のように各リテ−ナ229にコイルスプリングの大
きな力が働き、各貫通孔235がずれ易いから、ピニオ
ンシャフトと両リテ−ナ229の組付けは難しく、作業
性が極めて悪い。
【0018】又、両リテ−ナ229は、ピニオンシャフ
トによって廻り止めされてはいるが、ピニオンシャフト
の軸方向(図10の矢印241の方向)には位置決めさ
れていないから、例えば、遠心力や振動を受けると、各
リテ−ナ229が互いに離れる方向に移動する恐れがあ
る。
【0019】このように移動すると互いの支持部237
の間で位置ずれが生じ、上記のように、コイルスプリン
グに無理な力が掛かって所定のイニシャルトルクが得ら
れず、コイルスプリングの耐久性が低下する上に、ピニ
オンシャフトと各リテ−ナ229との間で摩擦が生じ、
発熱して耐久性が低下する恐れがある。
【0020】又、リテ−ナ229は、図11のように、
ピニオンシャフトからの荷重を受ける突き出し部233
の幅w1が狭いから、突き出し部233が破損する恐れ
がある。
【0021】突き出し部233が破損すると、リテ−ナ
209の廻り止め機能が失われ、大きな捩じれによって
コイルスプリングに無理な力が掛かり、所定のイニシャ
ルトルクが得られないばかりでなく、コイルスプリング
が破損することもある。
【0022】そこで、この発明は、イニシャルトルク用
の付勢手段を正常に位置決めしながら、同一のリテ−ナ
を一対用いて付勢手段を保持すると共に、ピニオンシャ
フトと各リテ−ナとの組付けが容易なデファレンシャル
装置の提供を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のデファレ
ンシャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動さ
れるデフケ−スと、デフケ−スと一体に回転するピニオ
ンシャフトと、このピニオンシャフト上に支承されたピ
ニオンギヤと、このピニオンギヤと噛み合い、それぞれ
の出力軸に連結された一対の出力側サイドギヤとを有す
るベベルギヤ式の差動機構と、デフケ−スと各サイドギ
ヤとの間に配置された一対の摩擦クラッチと、一対のリ
テ−ナの間に配置され、これらを介して各摩擦クラッチ
を押圧する付勢手段とを備え、付勢手段を位置決めしな
がら保持する支持部と、ピニオンシャフトに係合して廻
り止めされる係合部が設けられた突き出し部とを有する
一対の同一のリテ−ナが、突き出し部を互いに対向して
配置されていることを特徴とする。
【0024】摩擦クラッチは、サイドギヤの噛み合い反
力によって押圧され、トルク感応型の差動制限機能が得
られる。
【0025】又、付勢手段はリテ−ナを介して摩擦クラ
ッチを押圧し、イニシャルトルクを与える。トルク感応
型の差動制限機能が低下したときは、このイニシャルト
ルクによって、車両の発進性や加速性、あるいは、悪路
走破性などが向上する。
【0026】この付勢手段は両リテ−ナの支持部によっ
て正常な位置に保持されると共に、係合部でピニオンシ
ャフトに係合して廻り止めされ、相対回転が防止されて
いる。
【0027】こうして両リテ−ナの間で付勢手段が捩じ
れることが防止され、正常なイニシャルトルクによる所
定の差動制限力が得られると共に、各リテ−ナと付勢手
段との摺動と焼き付きが防止される。
【0028】又、本発明のデファレンシャル装置は、同
一のリテ−ナを2個用いて、これらの突き出し部を互い
に対向配置して組み合わせたことにより、異なった2個
のリテ−ナを用いる構成と較べて、それだけ部品点数が
減少し、部品コストを下げられる。
【0029】請求項2記載の発明は、請求項1記載のデ
ファレンシャル装置であって、突き出し部が、リテ−ナ
に一対設けられており、付勢手段の支持部を、突き出し
部の厚さtの方向にt/2だけオフセットして形成する
と共に、これらのオフセット量が打ち消される方向にそ
れぞれの突き出し部を互い違いに重ねて両リテ−ナを組
み合わせたことを特徴とし、請求項1の構成と同等の効
果を得る。
【0030】又、この構成では、リテ−ナに突き出し部
が一対設けられており、突き出し部の厚さをtとしたと
き、支持部の位置を突き出し部の厚さtの方向にt/2
だけオフセットし、両リテ−ナを組み合わせるときに、
これらのオフセット量が打ち消される方向にそれぞれの
突き出し部を互い違いに重ね合わせた。
【0031】従って、突き出し部を互い違いに重ね合わ
せても、両リテ−ナを組み合わせた状態でそれぞれの支
持部の間で位置ずれが生じない。
【0032】このように、両リテ−ナの支持部が正しく
位置決めされるから、付勢手段に捩じれのような無理な
力が掛かることが防止され、所定のイニシャルトルクが
得られると共に、付勢手段の耐久性が向上する。
【0033】又、支持部の位置ずれが生じないように、
寸法の異なった2種類のリテ−ナを用意する必要がない
から、部品点数の増加と部品コストの上昇が防止され
る。
【0034】請求項3記載の発明は、請求項2記載のデ
ファレンシャル装置であって、リテ−ナの係合部が、ピ
ニオンシャフト側に開口を有する切り欠きであることを
特徴とし、請求項2の構成と同等の効果を得る。
【0035】これに加えて、ピニオンシャフト側に開口
する切り欠きをリテ−ナに設け、この切り欠きをピニオ
ンシャフトに係合させて廻り止めするから、従来例と異
なり、付勢手段の力を受けずにリテ−ナとピニオンシャ
フトとを組付けることが可能になった。
【0036】従って、例えば、ピニオンシャフトをその
径方向から各リテ−ナの切り欠きに係合させた後、付勢
手段を挟んだ両リテ−ナをサイドギヤの間に組付けるこ
とが可能であり、あるいは、付勢手段を挟んだ両リテ−
ナをサイドギヤの間に組付けた後、ピニオンシャフトを
その軸方向から切り欠きに係合させることも可能であ
る。
【0037】いずれの組付けも従来例に較べて極めて容
易であると共に、このように組付けの自由度が高くなっ
た。
【0038】又、付勢手段の力を受けずにリテ−ナとピ
ニオンシャフトとを組付けることができるから、必要に
応じて付勢力の大きい付勢手段を用い、充分なイニシャ
ルトルクを得ることができる。
【0039】請求項4記載の発明は、請求項1記載のデ
ファレンシャル装置であって、リテ−ナの突き出し部
が、互いに対向する一対の高い突き出し部と、互いに対
向する一対の低い突き出し部とからなり、これら高い突
き出し部と低い突き出し部との間にピニオンシャフト側
に開口する切り欠きが形成されていると共に、両リテ−
ナが、それぞれの高い突き出し部と低い突き出し部の各
端部を互いに突き合わせて組み合わされていると共に、
このように組み合わせたとき、両リテ−ナの各切り欠き
の間にピニオンシャフトが係合することを特徴とし、請
求項1の構成と同等の効果を得る。
【0040】又、この構成では、リテ−ナの突き出し部
が、互いに対向する一対の高い突き出し部と、互いに対
向する一対の低い突き出し部とからなり、それぞれの高
い突き出し部と低い突き出し部の端部を互いに突き合わ
せて、両リテ−ナを組み合わせる。
【0041】このように、各突き出し部を厚さ方向に重
ねないから、付勢手段の支持部を各突き出し部の中心線
上に形成しておけば、従来例と異なって、組み合わせた
状態で両リテ−ナの支持部が正しく位置決めされる。
【0042】従って、付勢手段に捩じれなどの無理な力
が掛かることが防止され、所定のイニシャルトルクが得
られると共に、付勢手段の耐久性が向上する。
【0043】又、支持部の位置ずれが生じないように、
寸法の異なったリテ−ナを2種類用意する必要がないか
ら、部品点数の増加と部品コストの上昇が防止される。
【0044】又、各突き出し部の間に形成される切り欠
きでピニオンシャフトに係合するから、請求項3の構成
と同様に、付勢手段の力を受けない状態でリテ−ナとピ
ニオンシャフトとを組付けることが可能になり、ピニオ
ンシャフトを径方向から切り欠きに係合させる方法と、
付勢手段を挟んだ両リテ−ナをサイドギヤの間に組付け
た後、ピニオンシャフトを軸方向から切り欠きに係合さ
せる方法の両方が可能であり、組付けの自由度が高くな
る。
【0045】請求項5記載の発明は、請求項1記載のデ
ファレンシャル装置であって、突き出し部が、リテ−ナ
に1個設けられており、両リテ−ナが、それぞれの突き
出し部の端部と相手側とを互いに突き合わせて組み合わ
されており、このように組み合わせたとき、両リテ−ナ
の各突き出し部の間にピニオンシャフトが係合すること
を特徴とし、請求項1の構成と同等の効果を得る。
【0046】この構成では、突き出し部の端部と相手側
とを互いに突き合わせて、両リテ−ナを組み合わせ、こ
のように組み合わせたとき、両リテ−ナの各突き出し部
の間にピニオンシャフトが係合し、請求項4の構成と同
等の効果を得る。
【0047】請求項6記載の発明は、請求項2記載のデ
ファレンシャル装置であって、リテ−ナに、出力軸との
係合孔が設けられており、リテ−ナがこの係合孔を介し
て出力軸に位置決めされると共に、この係合孔を、突き
出し部の厚さtの方向にt/2だけオフセットして形成
すると共に、これらのオフセット量が打ち消される方向
にそれぞれの突き出し部を互い違いに重ねて両リテ−ナ
を組み合わせたことを特徴とし、請求項2の構成と同等
の効果を得る。
【0048】又、この構成では、リテ−ナに出力軸との
係合孔が設けられており、リテ−ナはこの係合孔を介し
て出力軸に位置決めされる。
【0049】又、突き出し部の厚さをtとしたとき、係
合孔を突き出し部の厚さtの方向にt/2だけオフセッ
トし、両リテ−ナを組み合わせるときに、これらのオフ
セット量が打ち消される方向にそれぞれの突き出し部を
互い違いに重ね合わせることによって両リテ−ナの係合
孔が正しく位置決めされる。
【0050】このように、突き出し部を互い違いに重ね
合わせても、両係合孔の間で位置ずれが生じないから、
各出力軸をそれぞれの係合孔に係合させることが可能で
あり、リテ−ナを位置決めすることができる。
【0051】この位置決めによって、従来例と異なり、
遠心力や振動を受けても両リテ−ナが互いに離れる方向
に移動することがなく、付勢手段の支持部が所定の位置
に保持されるから、付勢手段に捩じれなどの無理な力が
掛かることがない。
【0052】従って、所定のイニシャルトルクが得ら
れ、付勢手段の耐久性が向上する。
【0053】又、ピニオンシャフトと各リテ−ナとの摩
擦が防止され、摩耗と発熱によるこれらの耐久性低下が
防止される。
【0054】更に、係合孔の位置ずれが生じないよう
に、リテ−ナを2種類用意する必要がないから、部品点
数の増加と部品コストの上昇が防止される。
【0055】請求項7記載の発明は、請求項1又は請求
項3乃至請求項5のいずれか一項に記載のデファレンシ
ャル装置であって、リテ−ナに、出力軸との係合孔が設
けられており、リテ−ナがこの係合孔を介して出力軸に
位置決めされていることを特徴とし、請求項1又は請求
項3乃至請求項5のいずれかと同等の効果を得る。
【0056】これに加えて、リテ−ナに出力軸との係合
孔を設け、この係合孔を介してリテ−ナを出力軸に位置
決めしたことにより、請求項6の構成と同様に、付勢手
段の支持部が所定の位置に保持され、付勢手段に無理な
力が掛からないから、所定のイニシャルトルクが得ら
れ、付勢手段の耐久性が向上する。
【0057】又、ピニオンシャフトと各リテ−ナとの摩
擦が防止され、摩耗と発熱によるこれらの耐久性低下が
防止される。
【0058】又、係合孔の位置ずれが生じないように、
リテ−ナを2種類用意する必要がないから、部品点数の
増加と部品コストの上昇が防止される。
【0059】
【発明の実施の形態】図1乃至図4によって本発明の第
1実施形態を説明する。
【0060】図1はこの実施形態のデファレンシャル装
置1を示しており、このデファレンシャル装置1は請求
項1、2、3、6の特徴を備えている。又、左右の方向
は図1と図4での左右の方向であり、符号を与えていな
い部材等は図示されていない。
【0061】図1のように、デファレンシャル装置1
は、デフケ−ス3、ベベルギヤ式の差動機構5、一対の
コ−ンクラッチ7、7(摩擦クラッチ)、一対のリテ−
ナ9、9、コイルスプリング11、11(付勢手段)な
どから構成されている。
【0062】デファレンシャル装置1はオイル溜りが設
けられたデフキャリヤの内部に配置されている。デフケ
−ス3はボス部13、15をベアリングによってデフキ
ャリヤに支承されており、エンジンの駆動力によって回
転駆動される。
【0063】ベベルギヤ式の差動機構5は、一本のピニ
オンシャフト17と、このピニオンシャフト17上に回
転自在に支承された2個のピニオンギヤ19と、各ピニ
オンギヤ19と噛み合った一対の出力側サイドギヤ2
1、23とから構成されている。
【0064】ピニオンシャフト17は、先端部をデフケ
−ス3の貫通孔25に係合し、スプリングピン27によ
って抜け止めされ、廻り止めされている。
【0065】デフケ−ス3と各ピニオンギヤ19の間に
は球面ワッシャ29が配置されており、この球面ワッシ
ャ29はピニオンギヤ19の遠心力と、サイドギヤ2
1、23から受けるピニオンギヤ19の噛み合い反力と
を受けている。
【0066】サイドギヤ21、23の各ボス部31、3
3はデフケ−ス3の支承部で支承されていると共に、そ
れぞれの出力軸にスプライン連結され、各出力軸を介し
て左右の車輪側に連結されている。
【0067】各コ−ンクラッチ7は、各サイドギヤ2
1、23の外周に設けられたコ−ン部35とデフケ−ス
3の内周に設けられたコ−ン部37との間に形成されて
いる。各コ−ン部35、37の間には摩擦板39が配置
されており、各コ−ン部35、37の摺動速度と発熱を
軽減し、耐久性を向上させている。
【0068】又、各コ−ン部35、37と摩擦板39と
の間には適度な初期隙間が設けられている。
【0069】各リテ−ナ9は、サイドギヤ21、23の
軸方向内側にそれぞれ配置されている。
【0070】又、各コイルスプリング11は両リテ−ナ
9の間に配置されており、リテ−ナ9、9とサイドギヤ
21、23とを介し各コ−ンクラッチ7を押圧して締結
し、イニシャルトルクを与えている。
【0071】デフケ−ス3には開口41が設けられてお
り、又、ボス部13、15の内周にはそれぞれ螺旋溝4
3、45が設けられている。これらの開口41と螺旋溝
43、45とを介してデフキャリヤのオイル溜りからデ
フケ−ス3にオイルが流出入し、差動機構5の各ギヤの
噛み合い部、各コ−ンクラッチ7、球面ワッシャ29、
リテ−ナ9、9とサイドギヤ21、23との摺動部など
を潤滑し、耐久性を向上させている。
【0072】デフケ−ス3を回転させるエンジンの駆動
力は、ピニオンシャフト17とピニオンギヤ19からサ
イドギヤ21、23を介して左右の車輪側に分配され
る。悪路走行中、あるいは、急加速時や発進時に、車輪
間に駆動抵抗差が生じるとピニオンギヤ19の自転によ
ってエンジンの駆動力は各車輪側に差動分配される。
【0073】差動機構5がトルクを伝達している間、サ
イドギヤ21、23の噛み合い反力によって各コ−ンク
ラッチ7が押圧されて締結される。この噛み合い反力は
入力トルクに比例するから、各コ−ンクラッチ7の摩擦
抵抗によってトルク感応型の差動制限力が得られる。
【0074】このトルク感応型差動制限機能によって、
発進時や加速時に車輪の空転が防止され、車体の挙動が
安定し操縦性が向上する。
【0075】又、発進時や加速時、あるいは、悪路など
で片輪が大きく空転し、トルク感応型の差動制限力が低
下するような場合でも、コイルスプリング11によって
各コ−ンクラッチ7に与えられる上記のイニシャルトル
クが、トルク感応型差動制限機能の低下を補ち、車両の
発進性、加速性、悪路走破性などを高く保つ。
【0076】図2乃至図4のように、リテ−ナ9は、基
板47と、この基板47の両端に設けられた一対の突き
出し部49、49とを備えている。
【0077】基板47には、コイルスプリング11を支
持する2個の円形の凸部51(支持部)と、サイドギヤ
21、23の出力軸が係合する係合孔53とが設けられ
ている。又、各突き出し部49にはピニオンシャフト1
7が係合する切り欠き55(係合部)が設けられてい
る。
【0078】図2のように、突き出し部49の厚さはt
であり、各凸部51と係合孔53の位置は、この厚さ方
向にt/2だけオフセットして形成されている。
【0079】図4のように、両リテ−ナ9は、これらの
オフセット量が打ち消される方向にそれぞれの突き出し
部49を互い違いに重ね合わせて組み合わされており、
従って、組み合わせた状態で両リテ−ナ9の凸部51、
51及び係合孔53はそれぞれ互いに正しく対向するよ
うに位置決めされる。
【0080】又、ピニオンシャフト17は各突き出し部
49の切り欠き55に係合することによって、各リテ−
ナ9の廻り止めをする。
【0081】各リテ−ナ9にはサイドギヤ21、23と
の摩擦トルクが掛かるが、この廻り止め機能によって各
リテ−ナ9の相対回転が防止されるから、コイルスプリ
ング11の捩じれが防止され、正常なイニシャルトルク
による所定の差動制限力が得られる。
【0082】又、出力軸は係合孔53に係合することに
よって、各リテ−ナ9を位置決めし、特に、各リテ−ナ
9がピニオンシャフト17の軸方向に移動することを防
止する。
【0083】この位置決め機能によって、遠心力や振動
を受けても両リテ−ナ9が互いに離れる方向に移動する
ことがなく、コイルスプリング11を支持する凸部51
が正しい位置に保持されるから、コイルスプリング11
に捩じれなどの無理な力が掛かることが防止される。
【0084】こうして、デファレンシャル装置1が構成
されている。
【0085】デファレンシャル装置1は、上記のよう
に、凸部51、51と係合孔53の位置を突き出し部4
9の厚さtの方向にt/2だけオフセットしたから、こ
れらのオフセット量が打ち消される方向に突き出し部4
9を重ね合わせて両リテ−ナ9を組み合わせたことによ
り、両リテ−ナ9の凸部51、51と係合孔53がそれ
ぞれ対向するように位置決めされる。
【0086】このように、突き出し部49を重ねても凸
部51の位置ずれが発生しない上に、係合孔53を出力
軸に係合させたときに両リテ−ナ9の間でも位置ずれが
生じないから、遠心力や振動を受けても出力軸による位
置決め機能によって両リテ−ナ9が互いに離れる方向に
移動することがない。
【0087】従って、コイルスプリング11に無理な力
が掛かることが防止されるから、所定のイニシャルトル
クが得られると共に、コイルスプリング11の耐久性が
向上する。
【0088】又、出力軸の位置決め機能によってピニオ
ンシャフト17と各リテ−ナ9との摩擦が防止されるか
ら、発熱と摩耗によるこれらの耐久性低下も防止され
る。
【0089】又、このように、同一のリテ−ナ9、9を
用いたことにより、2個の異なったリテ−ナを用いる構
成と較べて、それだけ部品点数が減少し、部品コストを
下げられる。
【0090】又、ピニオンシャフト17との係合部を切
り欠き55にしたから、従来例と異なって、コイルスプ
リング11の力を受けずにリテ−ナ9、9とピニオンシ
ャフト17とを組付けることが可能になった。
【0091】従って、ピニオンシャフト17をその径方
向から各リテ−ナ9の切り欠き55に係合させた後、コ
イルスプリング11を挟んだ各リテ−ナ9をサイドギヤ
21、23の間に組付けることが可能であり、あるい
は、コイルスプリング11を挟んだ各リテ−ナ9をサイ
ドギヤ21、23の間に組付けた後、ピニオンシャフト
17をその軸方向から各リテ−ナ9の切り欠き55に組
付けることも可能である。
【0092】いずれの組付けも従来例に較べて極めて容
易であると共に、このように組付けの自由度が高くなっ
た。
【0093】又、コイルスプリング11の力を受けずに
リテ−ナ9、9とピニオンシャフト17とを組付けるこ
とができるから、必要に応じて付勢力が充分に強いコイ
ルスプリング11を用い、更に大きいイニシャルトルク
を得ることが可能である。
【0094】次に、図5乃至図7によって本発明の第2
実施形態を説明する。
【0095】このデファレンシャル装置は請求項1、
4、7の特徴を備えている。各図は第2実施形態のデフ
ァレンシャル装置に用いられたリテ−ナ101を示して
おり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0096】なお、図5乃至図7及び第2実施形態の説
明の中で、第1実施形態のデファレンシャル装置1と同
機能の部材は同一の符号で引用すると共に、これら同機
能部材の重複説明は省略する。
【0097】リテ−ナ101は、サイドギヤ21、23
の軸方向内側に2個配置されている。
【0098】各コイルスプリング11は両リテ−ナ10
1の間に配置されており、各リテ−ナ101を介してサ
イドギヤ21、23を押圧し、各コ−ンクラッチ7を締
結してイニシャルトルクを与える。
【0099】図5乃至図7のように、リテ−ナ101
は、基板103と、基板103の両端に設けられ、互い
に対向した一対の高い突き出し部105、105と、互
いに対向した一対の低い突き出し部107、107とを
備えている。
【0100】基板103には、コイルスプリング11を
支持する2個の円形の凸部109(支持部)と、サイド
ギヤ21、23の出力軸が係合する係合孔111とが設
けられている。
【0101】図5のように、凸部109、109と係合
孔111は、高低の各突き出し部105、107の中心
線上に配置されている。
【0102】図7のように、両リテ−ナ101は、それ
ぞれの高い突き出し部105、105の各端部と、相手
側の低い突き出し部107、107の各端部とを互いに
突き合わせて組み合わされており、組み合わせた状態で
両リテ−ナ101の凸部109、109及び係合孔11
1はそれぞれ互いに正しく対向するように位置決めされ
る。
【0103】又、図7のように、両リテ−ナ101の高
い突き出し部105、105の間でピニオンシャフト1
7が係合する切り欠き113(係合部)が形成されてお
り、ピニオンシャフト17はこの切り欠き113に係合
することによって、各リテ−ナ101の廻り止めをして
いる。
【0104】各リテ−ナ101にはサイドギヤ21、2
3との摩擦トルクが掛かるが、この廻り止め機能によっ
て各リテ−ナ101の相対回転が防止されるから、コイ
ルスプリング11の捩じれが防止され、正常なイニシャ
ルトルクによる所定の差動制限力が得られる。
【0105】又、図7のように、ピニオンシャフト17
の荷重115を切り欠き113で受ける高い突き出し部
105の幅w2は、図11の従来例において同様にピニ
オンシャフトの荷重を受ける折り曲げ部233の幅w1
より大幅に広くされている。
【0106】従って、突き出し部105が破損しリテ−
ナ101の廻り止め機能が失われることはなく、コイル
スプリング11に無理な力が掛かることがないから、所
定のイニシャルトルクが得られると共に、コイルスプリ
ング11の破損も防止される。
【0107】又、出力軸は係合孔111に係合すること
によって、各リテ−ナ101を位置決めし、特に、各リ
テ−ナ101がピニオンシャフト17の軸方向に移動す
ることを防止する。
【0108】この位置決め機能により、遠心力や振動を
受けても両リテ−ナ101が互いに離れる方向に移動す
ることがなく、コイルスプリング11を支持する凸部1
09が正しい位置に保持されるから、コイルスプリング
11に無理な力が掛かることが防止される。
【0109】こうして、第2実施形態のデファレンシャ
ル装置が構成されている。
【0110】このデファレンシャル装置は、上記のよう
に、リテ−ナ101に設けた高い突き出し部105、1
05の各端部を、相手側の低い突き出し部107、10
7の各端部と突き合わせて両リテ−ナ101を組み合わ
せたから、両リテ−ナ101の凸部109、109及び
係合孔111がそれぞれ対向するように位置決めされ
る。
【0111】このように、凸部109の位置ずれが発生
しない上に、係合孔111を出力軸に係合させたとき両
リテ−ナ101の間でも位置ずれが生じないから、遠心
力や振動を受けても出力軸による位置決め機能によって
両リテ−ナ101が互いに離れる方向に移動することが
ない。
【0112】従って、コイルスプリング11に無理な力
が掛かることが防止され、所定のイニシャルトルクが得
られると共に、コイルスプリング11の耐久性が向上す
る。
【0113】又、出力軸の位置決めによってピニオンシ
ャフト17と各リテ−ナ101との摩擦が防止されるか
ら、摩耗と発熱によるこれらの耐久性低下も防止され
る。
【0114】又、このように、同一のリテ−ナ101、
101を用いたことにより、2個の異なったリテ−ナを
用いる構成と較べて、それだけ部品点数が減少し、部品
コストを下げられる。
【0115】又、ピニオンシャフト17との係合部を切
り欠き113にしたから、従来例と異なって、コイルス
プリング11の力を受けずにリテ−ナ101、101と
ピニオンシャフト17とを組付けることが可能である。
【0116】従って、ピニオンシャフト17を径方向か
ら各リテ−ナ101の切り欠き113に係合させた後、
コイルスプリング11を挟んだ各リテ−ナ101をサイ
ドギヤ21、23の間に組付けることが可能であり、コ
イルスプリング11を挟んだ両リテ−ナ101をサイド
ギヤ21、23の間に組付けた後、ピニオンシャフト1
7を軸方向から各リテ−ナ101間の切り欠き113に
係合させることも可能である。
【0117】いずれの組付けも従来例に較べて極めて容
易であると共に、このように組付けの自由度が高い。
【0118】又、コイルスプリング11の力を受けずに
リテ−ナ101、101とピニオンシャフト17とを組
付けることができるから、必要に応じて付勢力が充分に
強いコイルスプリング11を用い、更に大きいイニシャ
ルトルクを得ることができる。
【0119】なお、この第2実施形態は、リテ−ナ10
1に高い突き出し部105、105と低い突き出し部1
07、107とを設けた例であるが、突き出し部は一対
だけ設けてもよい。
【0120】請求項5の構成はこのような例であり、こ
の構成では、突き出し部の端部を相手側と突き合わせて
両リテ−ナを組み合わせると共に、このように組み合わ
せたとき、両リテ−ナの突き出し部の間でピニオンシャ
フトの係合部が形成され、第2実施形態と同等の効果を
得る。
【0121】なお、本発明において、摩擦クラッチはコ
−ンクラッチに限らず、例えば、多板クラッチのような
他の形式の摩擦クラッチでもよい。
【0122】又、付勢手段は、コイルスプリングに限ら
ず、例えば、皿ばねでもよい。
【0123】又、本発明のデファレンシャル装置は、各
実施形態のようにサイドギヤの噛み合い反力で摩擦クラ
ッチを押圧する構成に限らない。
【0124】例えば、デフケ−スに一対のプレッシャプ
レ−トを係合させ、各プレッシャプレ−トとピニオンシ
ャフトの間にカムを設け、このカムが伝達トルクを受け
て作動し、カムスラスト力によって摩擦クラッチを押圧
するように構成してもよい。
【0125】又、本発明のデファレンシャル装置は、フ
ロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分する
デファレンシャル装置)と、リヤデフ(エンジンの駆動
力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)と、
センタ−デフ(エンジンの駆動力を前輪と後輪に配分す
るデファレンシャル装置)のいずれにも用いることがで
きる。
【0126】
【発明の効果】本発明のデファレンシャル装置は、それ
ぞれの突き出し部を互いに対向配置して同一のリテ−ナ
を組み合わせたことにより、異なった2個のリテ−ナを
用いる構成と較べて、部品点数が減少し、部品コストを
下げられる。
【0127】請求項2記載の発明は、請求項1の構成と
同等の効果を得ると共に、付勢手段の支持部を突き出し
部の厚さtの方向にt/2だけオフセットし、突き出し
部を重ね合わせてこのオフセット量を打ち消すことによ
り、支持部を正しく位置決めするから、付勢手段に無理
な力が掛かることが防止され、所定のイニシャルトルク
が得られ、付勢手段の耐久性が向上する。
【0128】又、支持部の位置ずれが生じないようにリ
テ−ナを2種類用意する必要がないから、部品点数の増
加と部品コストの上昇が防止される。
【0129】請求項3記載の発明は、請求項2の構成と
同等の効果を得ると共に、ピニオンシャフトとの係合部
を切り欠きにしたから、付勢手段の力を受けない状態で
リテ−ナとピニオンシャフトとを極めて容易に組付ける
ことが可能になり、組付けの自由度が向上した。
【0130】又、付勢手段の力を受けずにリテ−ナとピ
ニオンシャフトとを組付けることができるから、必要に
応じて付勢力の大きい付勢手段を用い、充分なイニシャ
ルトルクを得ることができる。
【0131】請求項4記載の発明は、請求項1の構成と
同等の効果を得ると共に、高低の突き出し部の各端部を
突き合わせて両リテ−ナを組み合わせ、各突き出し部を
重ねないから、それぞれの支持部が正しく位置決めさ
れ、付勢手段に無理な力が掛かることが防止され、所定
のイニシャルトルクが得られると共に、付勢手段の耐久
性が向上する。
【0132】又、支持部の位置ずれが生じないようにリ
テ−ナを2種類用意する必要がないから、部品点数の増
加と部品コストの上昇が防止される。
【0133】又、ピニオンシャフトとの係合部を切り欠
きにしたから、請求項3の構成と同様に、リテ−ナとピ
ニオンシャフトとを付勢手段の力を受けない状態で極め
て容易に組付けることが可能になり、組付けの自由度が
向上した。
【0134】請求項5記載の発明は、請求項1の構成と
同等の効果を得ると共に、突き出し部を重ねないから、
両リテ−ナの支持部が正しく位置決めされ、請求項4の
構成と同等の効果を得る。
【0135】又、ピニオンシャフトとの係合部を切り欠
きにして、請求項3の構成と同等の効果を得る。
【0136】請求項6記載の発明は、請求項2の構成と
同等の効果を得ると共に、遠心力や振動を受けても、出
力軸による位置決め機能によって、両リテ−ナの移動が
防止され、ピニオンシャフトと各リテ−ナとの摩擦と、
発熱と摩耗によるこれらの耐久性低下が防止される。
【0137】又、付勢手段の支持部が正しく位置決めさ
れて所定のイニシャルトルクが得られると共に、付勢手
段の耐久性が向上する。
【0138】又、出力軸との係合孔を突き出し部の厚さ
tの方向にt/2だけオフセットし、突き出し部を重ね
合わせてこのオフセット量を打ち消し、各係合孔の位置
ずれを防止したから、出力軸との係合が可能になり、上
記のような位置決めが可能になる。
【0139】更に、係合孔の位置ずれが生じないように
リテ−ナを2種類用意する必要がないから、部品点数の
増加と部品コストの上昇が防止される。
【0140】請求項7記載の発明は、請求項1又は請求
項3乃至請求項5のいずれかと同等の効果を得ると共
に、出力軸によってリテ−ナを位置決めし、請求項5の
構成と同等の効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態に用いられたリテ−ナを示す図面
であり、図3のA矢視図である。
【図3】第1実施形態に用いられたリテ−ナの側面図で
ある。
【図4】第1実施形態に用いられた一対のリテ−ナを組
み合わせる状態を示す図面であり、各リテ−ナは図2の
B−B断面に相当する。
【図5】第2実施形態に用いられたリテ−ナを示す図面
であり、図6のC矢視図である。
【図6】第2実施形態に用いられたリテ−ナを示す図面
であり、図5のD−D断面図である。
【図7】第2実施形態に用いられた一対のリテ−ナを組
み合わせる状態を示す図面であり、各リテ−ナは図6の
E矢視に相当する。
【図8】第1の従来例を示す断面図である。
【図9】第2の従来例のリテ−ナを示す正面図である。
【図10】第2の従来例のリテ−ナを一対組み合わせた
状態を示す図面である。
【図11】図10のF矢視図である。
【符号の説明】
1 デファレンシャル装置 3 デフケ−ス 5 ベベルギヤ式差動機構 7、7 コ−ンクラッチ(摩擦クラッチ) 9、9 リテ−ナ 11 コイルスプリング(付勢手段) 17 ピニオンシャフト 19 ピニオンギヤ 21、23 出力側サイドギヤ 49 リテ−ナ9に設けられた突き出し部 51 凸部(付勢手段の支持部) 53 出力軸との係合孔 55 突き出し部49に設けられた切り欠き(ピニオン
ギヤとの係合部) 101、101 リテ−ナ 105、105 リテ−ナ101に設けられた高い突き
出し部 107、107 リテ−ナ101に設けられた低い突き
出し部 109 凸部(付勢手段の支持部) 111 出力軸との係合孔 113 突き出し部105、107の間に設けられた切
り欠き(ピニオンギヤとの係合部)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動力によって回転駆動され
    るデフケ−スと、デフケ−スと一体に回転するピニオン
    シャフトと、このピニオンシャフト上に支承されたピニ
    オンギヤと、このピニオンギヤと噛み合い、それぞれの
    出力軸に連結された一対の出力側サイドギヤとを有する
    ベベルギヤ式の差動機構と、デフケ−スと各サイドギヤ
    との間に配置された一対の摩擦クラッチと、一対のリテ
    −ナの間に配置され、これらを介して各摩擦クラッチを
    押圧する付勢手段とを備え、付勢手段を位置決めしなが
    ら保持する支持部と、ピニオンシャフトに係合して廻り
    止めされる係合部が設けられた突き出し部とを有する一
    対の同一のリテ−ナが、突き出し部を互いに対向して配
    置されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、突き出し
    部が、リテ−ナに一対設けられており、付勢手段の支持
    部を、突き出し部の厚さtの方向にt/2だけオフセッ
    トして形成すると共に、これらのオフセット量が打ち消
    される方向にそれぞれの突き出し部を互い違いに重ねて
    両リテ−ナを組み合わせたことを特徴とするデファレン
    シャル装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の発明であって、リテ−ナ
    の係合部が、ピニオンシャフト側に開口を有する切り欠
    きであることを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の発明であって、リテ−ナ
    の突き出し部が、互いに対向する一対の高い突き出し部
    と、互いに対向する一対の低い突き出し部とからなり、
    これら高い突き出し部と低い突き出し部との間にピニオ
    ンシャフト側に開口する切り欠きが形成されていると共
    に、両リテ−ナが、それぞれの高い突き出し部と低い突
    き出し部の各端部を互いに突き合わせて組み合わされて
    いると共に、このように組み合わせたとき、両リテ−ナ
    の各切り欠きの間にピニオンシャフトが係合することを
    特徴とするデファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の発明であって、突き出し
    部が、リテ−ナに1個設けられており、両リテ−ナが、
    それぞれの突き出し部の端部と相手側とを互いに突き合
    わせて組み合わされており、このように組み合わせたと
    き、両リテ−ナの各突き出し部の間にピニオンシャフト
    が係合することを特徴とするデファレンシャル装置。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の発明であって、リテ−ナ
    に、出力軸との係合孔が設けられており、リテ−ナがこ
    の係合孔を介して出力軸に位置決めされると共に、この
    係合孔を、突き出し部の厚さtの方向にt/2だけオフ
    セットして形成すると共に、これらのオフセット量が打
    ち消される方向にそれぞれの突き出し部を互い違いに重
    ねて両リテ−ナを組み合わせたことを特徴とするデファ
    レンシャル装置。
  7. 【請求項7】 請求項1又は請求項3乃至請求項5のい
    ずれか一項に記載の発明であって、リテ−ナに、出力軸
    との係合孔が設けられており、リテ−ナがこの係合孔を
    介して出力軸に位置決めされていることを特徴とするデ
    ファレンシャル装置。
JP13157699A 1999-05-12 1999-05-12 デファレンシャル装置 Pending JP2000320645A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13157699A JP2000320645A (ja) 1999-05-12 1999-05-12 デファレンシャル装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13157699A JP2000320645A (ja) 1999-05-12 1999-05-12 デファレンシャル装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000320645A true JP2000320645A (ja) 2000-11-24

Family

ID=15061294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13157699A Pending JP2000320645A (ja) 1999-05-12 1999-05-12 デファレンシャル装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000320645A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9022195B2 (en) Bi-directional overrunning clutch having split roll cage and drag mechanism
US8919513B2 (en) Bi-directional overrunning clutch having split roll cage
EP1712810A2 (en) Bi-directional clutch and vehicle with it
EP2971830A1 (en) Bi-directional overrunning clutch having split roll cage
KR101761930B1 (ko) 차동 잠금장치
JPH09210087A (ja) クラッチ組立体
US6014916A (en) Two part pinion pin for a differential assembly
CN108691926B (zh) 扭矩限制器
JP2000320645A (ja) デファレンシャル装置
US6257384B1 (en) Two-way differential clutch
JP2000274513A (ja) 予圧式差動制限装置
US11879533B2 (en) Differential device
JP2000110917A (ja) デファレンシャル装置
CN117795220A (zh) 用于超速离合器的滚子保持架组件
JPH08226510A (ja) 遊星ローラ式動力伝達装置
JP2003191769A (ja) 車輌用2輪4輪駆動切換装置
JP3874903B2 (ja) デファレンシャル装置
JP2004068904A (ja) デファレンシャル装置
JPH0658378A (ja) デファレンシャル装置
JPH1182682A (ja) デファレンシャル装置
JPH09291981A (ja) ベベルギヤ組及びこのベベルギヤ組を差動ギヤ機構に用いたデファレンシャル装置
JPS62194065A (ja) スピン防止差動装置
JPH10115360A (ja) 車両用平行軸型差動装置
JPH0720450U (ja) クラッチ装置
JP2002070986A (ja) デファレンシャル装置