JPH10115360A - 車両用平行軸型差動装置 - Google Patents
車両用平行軸型差動装置Info
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- JPH10115360A JPH10115360A JP28918796A JP28918796A JPH10115360A JP H10115360 A JPH10115360 A JP H10115360A JP 28918796 A JP28918796 A JP 28918796A JP 28918796 A JP28918796 A JP 28918796A JP H10115360 A JPH10115360 A JP H10115360A
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Abstract
きくとることを可能にして摺動部の耐摩耗性や耐焼き付
け性がすぐれバックラッシも低減することができ、かつ
また小さなねじれ角で必要とするトルク分配比を出すこ
とができるとともにねじれ角の設定幅を広く取ることが
できる小型で軽量な車両用平行軸型差動装置を提供す
る。 【解決手段】円筒部にヘリカル状内歯を設けた1対のカ
ップ状サイドギヤと、複数組の保持用孔を有し外径側が
前記1対のカップ状サイドギヤの円筒部端間に挟まれる
ように内在するキャリヤと、前記キャリヤの保持用孔に
配され前記カップ状サイドギヤのヘリカル状内歯と噛み
合うとともに互いに噛み合う遊星ギヤとを備え、前記キ
ャリヤがリングギヤと一体回転可能になっている。
Description
わけ平行軸型差動装置に関する。
右いずれかがスリップを始めたときに他方の車輪はスリ
ップ側の車輪の回転力以上の回転力を出せないため、ぬ
かるみや雪道、凍結面で走行不能になったり、タイヤの
早期摩耗を起こしたりする。この対策として、片側車輪
がスリップしたときにスリップを起こしていない車輪に
的確に回転力を伝達することができるようにした差動装
置が種々提案されており、その一つの形式として、遊星
歯車の軸線がハウジングの軸線と平行な円筒歯車式の車
両用差動装置が知られている。
ものが知られており、その一つのタイプは、特公昭61
−51696号公報、特開昭60−175843号公報
で代表されるように、比較的長さの短いヘリカル遊星歯
車対を中央部材の穴に納め、ハウジング軸線上のヘリカ
ルサイドギヤと噛み合わせた形式(以下Aタイプとい
う)がある。また、他のタイプは、米国特許第5169
370号で代表されるように、左右のヘリカルサイドギ
ヤに渡る長いヘリカル遊星歯車対を有し、それらヘリカ
ル遊星歯車対が端部領域でのみ噛み合う形式(以下タイ
プBという)である。さらにいま一つのタイプは、特開
平5−280596号公報で代表されるように、ヘリカ
ル遊星歯車対が短尺と長尺のものからなっていて、そう
した長短の遊星歯車が1か所で噛み合う形式(以下タイ
プCという)である。
のねじれ角により遊星歯車にスラスト力が発生され、遊
星歯車とこれを収容している孔の底との間に摩擦抵抗を
生じさせ、サイドギヤの歯に作用する軸方向の力によっ
て中央のスペーサピンまたはウェッジブロックにスラス
ト力が作用し、ピニオンのスラスト力は最終的にエンド
カバーの端面に作用する。そして、異なる路面抵抗によ
り一方のサイドキヤが大きなトルク抵抗を遊星歯車に作
用させると、遊星歯車はサイドギヤから離れて孔に押し
込まれ、トルク伝達が増すと遊星歯車がますます押し込
まれることによりトルク配分が制御される。タイプBと
Cによれば、異なる路面抵抗により遊星歯車が回転した
時に各遊星歯車と収容孔との間に摩擦が発生するととも
に、各遊星歯車同士が押付けられるため、スリップ側の
車輪に対応するサイドギヤの回転力が制限され、その反
力としてスリツプしていない車輪のサイドギヤに回転力
が伝達されるため、前記したような状況での円滑な走行
性を確保でき、また、わだちなどの走行に際して左右に
ハンドルが取られにくい利点が得られる。
いずれのタイプにおいても、出力シャフトに連結された
サイドギヤは円柱体の外周に外歯車を形成し、このサイ
ドギヤの半径方向外側に遊星歯車が位置していた。この
ため、サイドギヤは小さいものとなり、噛み合いの径が
小さくなるので、歯面にかかる荷重が大きくなり、これ
により各摺動部分のスラスト成分が大きくなり、摺動部
の摩耗や焼付きが起こりやすくなるという問題があっ
た。詳述すると、円筒歯車形式の車両用差動装置では、
限られたスペースの中で大きな強度を必要とするため、
歯車のモジュールは大きく歯数は少なく、圧力角は大き
く設定される。また、歯車の外周を摺動させるためトッ
プランド面積を大きくする目的で歯丈は低く設定され
る。その結果、歯車は正常に噛み合うだけの噛み合い率
を確保することが難しくなってくる。歯車の噛み合い率
は正面噛み合い率と重なり噛み合い率の2種類に分類さ
れるが、現実的には正面噛み合い率だけでは正常な噛み
合い率を確保できない場合が多く、歯車をヘリカル歯と
して重なり噛み合い率を稼ぐ必要がある。このような重
なり噛み合い率を稼ぐ方法として、先行技術では、ねじ
れ角を大きく取るか、あるいは長さを長くとる方法しか
なかった。しかし、ねじれ角を大きくとった場合、各摺
動部のスラスト力成分が大きくなり、摺動部の摩耗や焼
付きに不利になる。一方、長さを長く取った場合には、
歯車部品のねじれ剛性が減るため、特に加工性や精度に
不利となり、また重量増加につながるという問題があっ
たのである。
めに創案されたもので、その目的とするところは、噛み
合い率と噛み合い点径及び摩擦有効径を大きくとること
を可能にして摺動部の耐摩耗性や耐焼き付け性がすぐれ
バックラッシも低減することができ、かつまた小さなね
じれ角で必要とするトルク分配比を出すことができると
ともにねじれ角の設定幅を広く取ることができる小型で
軽量な車両用平行軸型差動装置を提供することにある。
本発明は、プロペラシャフトの駆動トルクをリングギヤ
を経由して軸方向に離間した一対の同心の出力軸に伝達
するための1組のサイドギヤと、出力軸と平行な複数対
の遊星ギヤを有する形式の差動装置にして、該差動装置
が、円筒部にヘリカル状内歯を設けた1対のカップ状サ
イドギヤと、複数組の保持用孔を有し外径側が前記1対
のカップ状サイドギヤの円筒部端間に挟まれるように内
在するキャリヤと、前記キャリヤの保持用孔に配され前
記カップ状サイドギヤのヘリカル状内歯と噛み合うとと
もに互いに噛み合う遊星ギヤとを備え、前記キャリヤが
リングギヤと一体回転可能になっている構成としたもの
である。
状サイドギヤ、遊星ギヤおよびキャリヤはデフケースに
収納され、キャリヤは外周にデフケースに対する固定用
部を有している。また、本発明の他の態様では、キャリ
ヤがカップ状サイドギヤの円筒部を外囲する筒部を有す
るとともに、半径方向に伸びるフランジを有し、該フラ
ンジにリングギヤが直接取り付けられている。本発明
は、前記したタイプA,B,Cあるいは他の形式の車両
用平行軸型差動装置に適用される。
基いて説明する。図1ないし図5は本発明を前記タイプ
Aに適用した第1態様を示している。1,2は左右一対
のカップ状サイドギヤであり、各カップ状サイドギヤ
1,2は外面側中心にボス100,200を有する底部
10,20の外縁に円筒部11,21を一体に形成して
いる。前記ボス100,200にはスプラインが設けら
れ、このスプラインにより左右の一対の出力軸3,4が
固着的に連結されている。そして、前記円筒部11,2
1の内面には、所定のねじれ角をもったヘリカル状内歯
1a,2aが設けられている。
して機能するキャリヤであり、所定の厚さの円盤状ない
し円柱状体からなっており、軸線方向左右両端面には前
記左右のカップ状サイドギヤ1,2の円筒部内径よりや
や小さい外径の突台部51,52が形成されている。そ
してキャリヤ5の外縁部には半径方向に突出する少なく
とも2つの突部55,55が形成されている。前記キャ
リヤ5には、軸心から離隔した外径寄りの部位すなわち
前記左側の突台部51の周縁部位に、左のカップ状サイ
ドギヤ1側から出力軸と平行な2つの保持用孔5a,5
aが略180度対称関係で設けられており、また、前記
右側の突台部52の周縁部位に、同様に出力軸と平行な
2つの保持用孔5b,5bが略180度対称関係で設け
られている。前記各保持用孔5a,5a,5b,5bは
突台部51,52の外径面に一部がかかるように、かつ
左右で組をなすもの同士が連通しあうように形成されて
いる。そして、各保持用孔5a,5a,5b,5bの奥
端は図1のように袋孔状に閉止されている。
所定のねじれ角のヘリカル歯6a,7aが形成されてい
る。前記キヤリア5は左右のカップ状サイドギヤ1,2
間に位置されており、前記遊星ギヤ6,7は前記キャリ
ヤ5の保持用孔5a,5aと5b,5bにそれぞれ挿入
され、この状態で左右のカップ状サイドギヤ1,2をキ
ヤリア5に押しつけられることにより円筒部11,21
の端面がキヤリア5の周縁に近い左右両面に接し、かつ
突台部51,52が円筒部内に格納されている。前記遊
星ギヤ6,7は図1のように軸線方向前後端がそれぞれ
カップ状サイドギヤ1,2の底部10,20の内面と保
持用孔5a,5bの奥壁にそれぞれ接し、ヘリカル歯6
a,7aの外面が保持用孔5a,5bの内面に接して保
持される。この状態で、左側のカップ状サイドギヤ1に
臨んでいる各組の遊星ギヤ6のヘリカル歯6aはヘリカ
ル状内歯1aと噛み合うとともにヘリカル歯相互も噛み
合っている。また、同様に右側のカップ状サイドギヤ2
に臨んでいる各組の遊星ギヤ7のヘリカル歯7aもヘリ
カル状内歯2aと噛み合い、かつ遊星ギヤ6,7同士で
も噛み合っている。
回転可能に格納するデフケースであり、カップ状の本体
8aとエンドカバー8bからなっており、本体8aには
前記右側カップ状サイドギヤ2のボス200を内嵌する
有底筒部80と、底部20に密接する底壁部81と、円
筒部21と接する筒壁部82を有しており、筒壁部82
はまた前記左側のカップ状サイドギヤ1の円筒部11と
内接するようになってる。エンドカバー8bには前記左
側のカップ状サイドギヤ1のボス100を内嵌する有底
筒部83と、底部10に接する底壁部84とを有してい
る。したがって、本発明においては、カップ状サイドギ
ヤ1,2はボス部100,200の端面と外周面、底部
10,20の外面、円筒部11,21の外面がデフケー
ス8の対応する壁面との接触摺動面となる。
3のように円周上の一部に筒壁部の端に達するように溝
820,820が設けられており、この溝820,82
0に前記キヤリア5の突部55,55が係合することに
よりキヤリア5はデフケース8と一体に回転されるよう
になっている。前記溝820,820は原則として空間
のままでよい。しかし、必要に応じて、突部55,55
を嵌め込み後、溝820,820に則した形状の止め部
材を貫入してもよい。前記本体8aとエンドカバー8b
はフランジ86,87を有しており、それらフランジ8
6,87は重合されボルトによつて結合されており、フ
ランジ86には図1のようにリングギヤAが固定され、
このリングギヤAに駆動ピニオンBが噛み合わされてい
る。
る。この実施例においては、キヤリア5がデフケースを
も兼ね、したがってデフケースが廃止されている。すな
わち、キヤリア5はその直径がカップ状サイドギヤ1,
2の円筒部11,21の外径とほぼ一致するような大き
さの円柱状ないし円盤状部分を有し、これよりも内径側
に突台部51,52が形成されていることは前記第1態
様と同じであるが、円柱状ないし円盤状部分の外周に左
右軸線方向に伸びる筒部53が形成されており、筒部5
3の軸方向中間部に半径方向に突出するフランジ部54
が一体に形成されている。前記筒部53はカップ状サイ
ドギヤ1,2の円筒部外径と略一致する内径を有し、カ
ップ状サイドギヤ1,2は円筒部11,21の先端面が
円柱状ないし円盤状部分の両端面にそれぞれ当接するよ
うに筒部53に内嵌されている。そして、前記フランジ
部54にはリングギヤAが固定されている。また、カッ
プ状サイドギヤ1,2のボス100,200にはそれぞ
れベアリングC,Cが内レースを持って固定されてお
り、外レースが図示しない支持体に保持されるようにな
っている。その他の構成は第1実施例と同じであるか
ら、同じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。
の態様は前記タイプBに適用した例を示しており、第1
態様と同じく、外面側中心にボス100,200を有す
る底部10,20の外縁に円筒部11,21を一体に形
成し、円筒部11,21にヘリカル状内歯1a,2aを
設けた左右一対のカップ状サイドギヤ1,2と、カップ
状サイドギヤ1,2に挟まれるように中間に位置された
キヤリア5と、複数組の遊星ギヤ6,7とを有してい
る。前記カップ状サイドギヤ1,2の円筒部11,21
は全体が第1態様と同一寸法の場合、第1態様のものに
比べて長く作られ、ヘリカル状内歯1a,2aは円筒部
11,21の開口部に近い領域にのみ形成され、奥側は
平坦面となっている。 キャリヤ5は円筒部11,21
の外径とほぼ一致し円筒部端面が当接されるべき円盤状
部分56を有するとともに、この円盤状部分56には円
筒部11,21に深く進出されるように円柱状の突台部
51,52が形成されており、その突台部51,52の
外周に臨む領域には、2個で1組をなす複数組の保持用
孔5a,5bが出力軸と平行に貫設されており、各組の
保持用孔は隣接する同士が連通しあうように形成されて
いる。
ヤ5を組み付けた状態で左右のカップ状サイドギヤ1,
2の底部10,20に接するような長さを有しており、
遊星ギヤ6,7はそれぞれ一端に近く第1ヘリカル歯6
0a,70aが設けられるとともに他端側には第1ヘリ
カル歯60a,70aよりも長さの大きな第2ヘリカル
ギヤ60b,70bが設けられている。各組の遊星ギヤ
6,7は一方のもの(この例では遊星ギヤ6)の第1ヘ
リカル歯60aが右側のカップ状サイドギヤ2に臨むよ
うに、そして他方のもの(この例では遊星ギヤ7)の第
1ヘリカル歯70aが左側のカップ状サイドギヤ1に臨
むように交互配置となっており、各遊星ギヤ6,7の軸
線方向両端面はカップ状サイドギヤ1,2の底部10,
20に接している。
同様に、隣接する一方の遊星ギヤの第1ヘリカル歯60
aが他方の遊星ギヤの第2ヘリカルギヤ70bと噛み合
い、一方の遊星ギヤの第2ヘリカルギヤ60bが他方の
遊星ギヤの第1ヘリカル歯70aと噛み合う関係となる
ように前記保持用孔5a,5bに挿入されている。そし
て、また、各遊星ギヤ6,7の第2ヘリカルギヤ60b
または70bはそれぞれ対応するカップ状サイドギヤ
1,2のヘリカル状内歯1aまたは2aに噛み合ってい
る。その他の構成は前記第1態様と同じであるから、同
じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。図8は第2
態様において、デフケース8を用いず前記キヤリア5で
ケースを兼ねさせた他の実施例を示しており、その構造
は図6の場合と同じである。したがって、図6と同じ部
分について同じ符号を付すにとどめ、説明は省略する。
の態様は前記タイプCに適用した例であり、第1態様と
同じく、外面側中心にボス100,200を有する底部
10,20の外縁に円筒部11,21を一体に形成し、
円筒部11,21にヘリカル状内歯1a,2aを設けた
左右のカップ状サイドギヤ1,2と、左右のカップ状サ
イドギヤ1,2に挟まれるように中間に位置されたキヤ
リア5と、複数組の遊星ギヤ6,7とを有している。こ
の第3態様では右側のカップ状サイドギヤ2の円筒部2
1が左側のカップ状サイドギヤ1の円筒部11よりも長
く構成されており、それぞれの円筒部11,21には開
口に近い領域にヘリカル状内歯1a,2aが形成されて
いる。右側の円筒部21はヘリカル状内歯2aより奥部
が平坦面となっている。また、キヤリア5は円筒部1
1,21の外径とほぼ一致し円筒部端面が当接されるべ
き円盤状部分56を有するとともに、この円盤状部分5
6には円筒部11,21に深く進出されるように円柱状
の突台部51,52が形成されている。前記突台部5
1,52は円筒部11,21の長さが異なるためそれに
対応して右側の突台部52が左側の突台部51よりも長
く構成されている。
2個で1組をなす複数組たとえば3組ないし5組の保持
用孔5a,5bが出力軸と平行に形成されており、各組
の保持用孔は隣接する同士が連通しあうように形成され
ている。しかし、この第3態様においては、組をなす一
方の保持用孔5aは円盤状部分56および突台部51,
52を貫通するように形成されており、他方の保持用孔
5bは突台部52を貫通せずに円盤状部分56に対応す
る位置で止まる袋孔として構成されている。各組の一方
の遊星ギヤ6は、この態様の場合、長い寸法すなわちキ
ャリヤ5を組み付けた状態で軸線方向両端面が左右のカ
ップ状サイドギヤ1,2の底部10,20に接するよう
な長さを有し、遊星ギヤ6は両端に近い部位に第1ヘリ
カル歯60aと第2ヘリカル歯60bが設けられてい
る。他方の遊星ギヤ7は、前記保持用孔5bに対応して
短い寸法すなわち、キャリヤ5を組み付けた状態で右側
のカップ状サイドギヤ2の底部20と保持用孔5bの底
に当接するような長さとなっていて、ほぼ全長に渡って
共用ヘリカル歯7aが設けられている。
入され、公知の差動装置と同様に、隣接する一方の遊星
ギヤ6の第1ヘリカル歯60aが他方の遊星ギヤ7の共
用ヘリカル歯7aと噛み合い、かつ、その共用ヘリカル
歯7aが右側のカップ状サイドギヤ2のヘリカル状内歯
2aと噛み合うようになつており、かつ第2ヘリカル歯
60bが左側のカップ状サイドギヤ1のヘリカル状内歯
1aと噛み合っている。 その他の構成は前記第1態様
と同じであり、また遊星ギヤ6,7の噛み合いは第2態
様の図7(b)と同様である。それゆえ、同じ部分に同
じ符号を付し、説明は省略する。
を用いず前記キヤリア5でケースを兼ねさせた他の実施
例を示しており、その構造は図6の場合と同じである。
したがって、図6と同じ部分について同じ符号を付すに
とどめ、説明は省略する。
a,2aは円筒部11,21に直接刻設されていてもよ
いし、別体のリング部材に刻設され、そのリング部材を
円筒部11,21に焼き嵌め、圧入、接合など任意の手
法によって一体化してもよく、本発明はそれらいずれの
ものも含んでいる。第1態様ないし第3態様において、
遊星ギヤ6,7の組数は任意であり、図示するものに限
定されないことはもちろんである。また、デフケース8
を使用する各態様において、左右のカップ状サイドギヤ
1,2の底部外面とこれに対向するデフケース本体8a
およびエンドカバー8bの底壁面との間に皿ばねなどの
プリロード要素を介在させてもよく、これも本発明に含
まれる。
デフケース8に固定されており、このキャリヤ5の各組
の保持用孔5a,5bには遊星ギヤ6,7が納められて
いて、隣接している遊星ギヤ6,7は互いに噛み合うと
ともに一方の遊星ギヤは一方のカップ状サイドギヤのヘ
リカル状内歯と噛み合い、他方の遊星ギヤは他方のカッ
プ状サイドギヤのヘリカル状内歯と噛み合っている。い
まキャリヤ5を固定(回転数nS=0)として考えた場
合、左のカップ状サイドギヤ1にnCの回転を与えたと
き、歯数をzとすると、右のカップ状サイドギヤ2の回
転数nDはnD=nC×{−(zC/zD)}となる。
よって、本発明差動装置をリアもしくはフロント用とし
て使用する場合には、nD=−nCが必要条件となるた
め、これを前記式に代入するとzD=zCとなる。これ
はトルクの基本配分比が50:50の場合である。一
方、センターデフとして使用する場合には、トルクの基
本配分比を50:50以外の値とすることがあるが、こ
の場合には、カップ状サイドギヤ1,2の歯数を変える
ことで対応可能である。
ギヤ1,2はデフケース8を通った出力軸3,4と結合
されているため、図示しないプロペラシャフトを駆動回
転すると、駆動ピニオン−リングギヤA−デフケース8
−キヤリヤ5−遊星ギヤ6,7−カップ状サイドギヤ
1,2を介して出力軸3,4は回転する。本発明では、
リングギヤAに作用する駆動トルクは複数組の遊星ギヤ
とカップ状サイドギヤを通って伝達され、回転に起因す
る摩擦によって遊星ギヤ6,7のヘリカル歯にラジアル
方向の荷重が発生してバイアストルクを生じさせ、ま
た、遊星ギヤ6,7のヘリカル歯とカップ状サイドギヤ
1,2のヘリカル状内歯1a,2aのねじれ角により遊
星ギヤにスラスト力が発生し、遊星ギヤ6,7と保持用
孔5a,5bの孔底およびカップ状サイドギヤ1,2の
底部内面との間に摩擦抵抗が発生する。また、カップ状
サイドギヤ1,2のヘリカル状内歯1a,2aに作用す
る軸方向の力によってカップ状サイドギヤ1,2のスラ
スト力が底部10,20からデフケースの底壁部81,
84に作用する。
2は相対運動しないので、各組の遊星ギヤ6,7も相対
運動しない。デフケースを含む全体が反時計方向に回転
すると、遊星ギヤ7はキヤリヤ5の保持用孔5bから反
時計方向の力を受け、カップ状サイドギヤ2に伝達す
る。遊星ギヤ6は前記遊星ギヤ7から反時計方向の力を
受けてカップ状サイドギヤ1に力を伝達する。そしてカ
ップ状サイドギヤ1,2には同じ摩擦抵抗が作用するた
め、出力軸3,4は同じ回転数で回転する。
イドギヤ1,2は相対運動しようとする。いま、右カッ
プ状サイドギヤ2がデフケース8よりも早く反時計方向
に回転しようとすると、それに噛み合っている遊星ギヤ
7は反時計方向に、それと噛み合っている遊星ギヤ6は
時計方向にそれぞれ回転する。遊星ギヤ6と噛み合って
いる左カップ状サイドギヤ1はデフケース8とキヤリア
5に対して時計方向に回転し、それにより右カップ状サ
イドギヤ2よりも遅く回転できる。このため旋回しやす
くなる。
8(キヤリア5)と遊星ギヤ6,7及び左右のカップ状
サイドギヤ1,2の動きは前記車輌旋回時と同じであ
る。いま、右カップ状サイドギヤ2側のタイヤと路面の
摩擦係数が左カップ状サイドギヤ1側のタイヤと路面の
それよりも小さい場合、右カップ状サイドギヤ2はデフ
ケース8やキヤリア5より早く反時計方向に回転しよう
とすると、それに噛み合っている遊星ギヤ7も反時計方
向に回転しようとする。しかし、キャリア5の保持用孔
5a,5bの反時計方向に移動しようとする速度が遊星
歯車6,7の反時計方向に移動しようとする速度よりも
遅いので、遊星歯車6,7はそれぞれ保持用孔5a,5
bとの間に摩擦を生ずるとともに、噛み合った歯面を相
互に押合いながら回転する。これによるスラスト力で右
カップ状サイドギヤ2はデフケース8に対する接触圧が
強まりその摩擦抵抗により右カップ状サイドギヤ2の回
転が制限され、その反力として左カップ状サイドギヤ1
が回転する。これは、スリップしていないタイヤにはス
リップしているタイヤよりも前記反力分だけ大きい回転
力が伝達されることであるから、その牽引力により走行
が再開されて片側スリップ状態が解除される。なお、第
2態様と第3態様は、噛み合っている遊星ギヤ6,7の
位置が異なるだけで差動原理と作用そのものは第1態様
と同様であるから説明は省略する。
も、左右のカップ状サイドギヤ1,2の円筒部11,2
1にヘリカル状内歯1a,2aを設けてこれを遊星ギヤ
6,7のヘリカル歯と噛み合わせてトルク伝達を得てい
る。このため、第1に噛み合い率が大きくなり、これに
よりねじれ角を小さくすることができるとともに、歯車
の長さを短くすることができる。ねじれ角が小さくなる
ことは摺動部のスラスト力成分が小さくなることである
から、摩耗や焼付きを抑制することができる。また、歯
車の長さが短くなることによりねじれ剛性が向上するた
め、加工性や精度がよくなるとともに、短い歯車で済む
ことにより重量を低減することができる。第2に、噛み
合い点の径が大きくなるため歯面にかかる荷重が小さく
なり、これによつてもまた各摺動部のスラスト力成分が
小さくなるため、摩耗や焼付きを低減でき、さらにバッ
クラッシも低減することができる。第3にカップ状サイ
ドギヤ1,2の摺動径が大きくなり、すなわち摩擦有効
径が大きくなるため、より小さなねじれ角によって必要
とするトルク分配比を出すことができ、さらにまたねじ
れ角の設定幅(トルク分配比の幅)も広く取ることが可
能となる。また、カップ状サイドギヤ1,2が大きな底
部10,20を有していることからこれとデフケース8
の間にプリロードを入れることも容易であり、この場合
にはより小さな荷重で必要とするプリロードを出すこと
ができ、摺動部の耐久性や焼付き防止に有利となる。
外周に筒部53を形成するとともに半径方向に突出する
フランジ54を設けてこれにリングギヤAを直接固定し
た場合には、プロペラシャフトを駆動回転すると、駆動
ピニオン−リングギヤA−キヤリヤ5−遊星ギヤ6,7
−カップ状サイドギヤ1,2を介して出力軸3,4は回
転する。そして、この場合には、リングギヤAに作用す
る駆動トルクは複数組の遊星ギヤ6,7とカップ状サイ
ドギヤ1,2を通って伝達され、回転に起因する摩擦に
よって遊星ギヤ6,7のヘリカル歯にラジアル方向の荷
重が発生してバイアストルクを生じさせ、また、遊星ギ
ヤ6,7のヘリカル歯とカップ状サイドギヤ1,2のヘ
リカル状内歯1a,2aのねじれ角により遊星ギヤにス
ラスト力が発生し、遊星ギヤ6,7と保持用孔5a,5
bの孔底およびカップ状サイドギヤ1,2の底部内面と
の間に摩擦抵抗が発生する。この態様の場合、キヤリヤ
5がカップ状サイドギヤ1,2の円筒部外周と接するよ
うに外囲し、デフケース8が不要となるため、部品数を
減じて構造が簡単になる。また、デフケース8がないこ
とによりカップ状サイドギヤ1,2,遊星ギヤ6,7等
の各部分の肉厚を大きく取ることができるため、強度を
高くすることができる。
れば、円筒部11,21にヘリカル状内歯を設けたカッ
プ状の1対のカップ状サイドギヤ1,2と、遊星ギヤ
6,7の保持用孔5a,5bを有し外径側が前記1対の
カップ状サイドギヤ1,2の円筒部間に挟まれるように
内在するキャリヤ5と、前記キャリヤ5の保持用孔5
a,5bに配され前記カップ状サイドギヤ1,2のヘリ
カル状内歯1a,2aと噛み合うとともに互いに噛み合
う遊星ギヤ6,7とを備え、前記キャリヤ5がリングギ
ヤAと一体回転可能になっているため、噛み合い率と噛
み合い点径及び摩擦有効径を大きくとることができ、こ
れにより摺動部の耐摩耗性や耐焼き付け性がすぐれバッ
クラッシも低減することができ、かつまた小さなねじれ
角で必要とするトルク分配比を出すことができるととも
にねじれ角の設定幅を広く取ることができる小型で軽量
な車両用平行軸型差動装置とすることができるというす
ぐれた効果が得られる。請求項3によれば、キャリヤ5
がカップ状サイドギヤ1,2の円筒部11,21を外囲
する筒部53を有するとともに、半径方向に伸びるフラ
ンジ54を有し、該フランジ54にリングギヤAが直接
取り付けられているため、デフケースを省略することが
できる。このため部品数が少なく、構造も簡単となり、
またデフケースを使用しない分だけカップ状サイドギヤ
1,2や遊星ギヤ6,7の肉厚を増すことができるた
め、高強度の車両用平行軸型差動装置とすることができ
るというすぐれた効果が得られる。
面図であり、図3におけるZ−Zに沿う断面を示してい
る。
状態の斜視図である。(a)は同じくその分解斜視図で
ある。
る。
(b)は(a)のZ−Z線に沿う断面図である。
る。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】プロペラシャフトの駆動トルクをリングギ
ヤを経由して軸方向に離間した一対の同心の出力軸に伝
達するための1組のサイドギヤと、出力軸と平行な複数
対の遊星ギヤを有する形式の差動装置にして、 該差動装置が、円筒部にヘリカル状内歯を設けた1対の
カップ状サイドギヤと、複数組の保持用孔を有し外径側
が前記1対のカップ状サイドギヤの円筒部端間に挟まれ
るように内在するキャリヤと、前記キャリヤの保持用孔
に配され前記カップ状サイドギヤのヘリカル状内歯と噛
み合うとともに互いに噛み合う遊星ギヤとを備え、前記
キャリヤがリングギヤと一体回転可能になっていること
を特徴とする車両用平行軸型差動装置。 - 【請求項2】カップ状サイドギヤ、遊星ギヤおよびキャ
リヤがデフケースに収納されており、キャリヤが外周に
デフケースに対する固定用部を有している請求項1に記
載の車両用平行軸型差動装置。 - 【請求項3】キャリヤがカップ状サイドギヤの円筒部を
外囲する筒部と半径方向に伸びるフランジを有し、該フ
ランジにリングギヤが直接取り付けられている請求項1
に記載の車両用平行軸型差動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28918796A JP3866339B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | 車両用平行軸型差動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28918796A JP3866339B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | 車両用平行軸型差動装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10115360A true JPH10115360A (ja) | 1998-05-06 |
JP3866339B2 JP3866339B2 (ja) | 2007-01-10 |
Family
ID=17739909
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28918796A Expired - Fee Related JP3866339B2 (ja) | 1996-10-11 | 1996-10-11 | 車両用平行軸型差動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3866339B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7041026B2 (en) | 2004-02-10 | 2006-05-09 | Hideaki Okada | Differential assembly and transaxle including it |
JP2009508071A (ja) * | 2005-09-14 | 2009-02-26 | ホセ、ギメネス、ビダル | 車輛用ディファレンシャル装置 |
JP2011520075A (ja) * | 2008-05-09 | 2011-07-14 | シェフラー テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト | 省スペース型の変速機アッセンブリ |
-
1996
- 1996-10-11 JP JP28918796A patent/JP3866339B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7041026B2 (en) | 2004-02-10 | 2006-05-09 | Hideaki Okada | Differential assembly and transaxle including it |
US7357750B2 (en) | 2004-02-10 | 2008-04-15 | Kanzaki Kokyukoki Mfg. Co., Ltd. | Differential assembly and transaxle including it |
JP2009508071A (ja) * | 2005-09-14 | 2009-02-26 | ホセ、ギメネス、ビダル | 車輛用ディファレンシャル装置 |
KR101117514B1 (ko) * | 2005-09-14 | 2012-03-16 | 비달 조세 기메네즈 | 차량용 차동 장치 |
JP2011520075A (ja) * | 2008-05-09 | 2011-07-14 | シェフラー テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト | 省スペース型の変速機アッセンブリ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3866339B2 (ja) | 2007-01-10 |
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