JP2825441B2 - 差動装置 - Google Patents

差動装置

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JP2825441B2
JP2825441B2 JP6164074A JP16407494A JP2825441B2 JP 2825441 B2 JP2825441 B2 JP 2825441B2 JP 6164074 A JP6164074 A JP 6164074A JP 16407494 A JP16407494 A JP 16407494A JP 2825441 B2 JP2825441 B2 JP 2825441B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主に自動車の駆動力伝達
系に用いられる差動装置に関し、特に差動制限機能を持
った差動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の駆動力伝達系に用いられ
る差動装置は、カーブを走行する際の左右駆動輪の回転
差、または四輪駆動車における前後駆動輪の回転差を許
容する装置であるが、一方の駆動輪のみが雪や砂等、摩
擦係数の極端に少ない路面に乗り上げると、その車輪が
空転して全体の駆動力が失われ、その場から脱出できな
くなるという状態に陥り易かった。また、カーブを高速
走行する際に遠心力によって内側の車輪の荷重が極端に
減少した場合にも、その車輪が空転し、カーブを高速で
走行するための駆動力が失われ易いという欠点もある。
【0003】このような欠点を補うために、従来の差動
装置には差動制限機能を備えたものがあり、これにはピ
ニオンギヤから構成された一般的な差動伝達機構に、ビ
スカス・カップリングからなる回転数感応型の差動制限
機構を追加したものが知られている。ビスカス・カップ
リングは一種の粘性クラッチであり、粘性流体(シリコ
ンオイル等)の剪断抵抗を利用してトルクを伝えるよう
になっているため、回転差に応じてスムーズな差動制限
効果を得ることができる。
【0004】また、差動制限機能を持った差動装置とし
ては、例えば特開平4−271926号に記載されてい
るように、ウォームギヤの組合わせによるトルク感応型
のものも知られている。このタイプでは、同軸上を互い
に独立して回転可能な一対のネジ状のウォームと、これ
に直角な回転軸を有する複数のウォームホイールとが噛
み合わされており、各ウォームを回転させるとウォーム
ホイールはスムーズに回転するが、逆にウォームホイー
ル側から回転させようとした場合は回転が困難であると
いうウォームギヤ特有の性質を利用しており、これによ
り条件に応じた差動及び差動制限効果が得られるという
特徴を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビスカ
ス・カップリングに代表される回転数感応型の差動制限
機構付き差動装置では、トルクの伝達率が流体の粘性に
依存するため、温度が変化すると流体の粘性が変わり、
常に安定した差動制限効果が得られないという欠点があ
った。また、このタイプでは、回転差が生じてから差動
制限が行われるまでに時間差があり、このため走行動作
の変化に瞬時に対応することができないという問題点も
あった。一方、ウォームギヤを用いた差動装置では、差
動制限が機械的に行われるので差動制限効果は安定して
いるが、その反面、部品点数が多く構造が複雑であると
ともに、部品の加工及び組立に極めて高い精度が要求さ
れる。このため、許容トルクに比べて装置全体が大型に
なるとともに、製造コストも高くつくという問題点があ
った。
【0006】本発明は前記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、簡単な構造によって
確実な差動制限効果を得ることのできる差動装置を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、請求項1では、外部から入力された駆動力
によって軸心回りに回転する入力側回転体と、入力側回
転体の回転軸上に配置された一対の出力側回転体と、各
出力側回転体の回転差を許容しながら入力側回転体の回
転力を各出力側回転体に伝達する差動伝達機構とを備え
た差動装置において、前記出力側回転体の少なくとも一
方を、互いに軸方向に対向する第1及び第2回転体と、
第1及び第2回転体の間に介在する多数の転動体とから
構成し、第1及び第2回転体の対向面には各転動体に係
合する多数の溝を各転動体に回転力の作用する方向に対
して所定の傾斜角で接するように設けている。
【0008】また、請求項2では、請求項1記載の差動
装置において、前記各転動体を保持する多数の孔を前記
第1及び第2回転体の一方または第1及び第2回転体の
間に介在させた他の部材に入力側回転体の回転軸から距
離の異なる位置にそれぞれ同数ずつ設け、各転動体を任
意の位置の孔に保持させている。
【0009】また、請求項3では、請求項1記載の差動
装置において、前記各転動体に対する傾斜角の異なった
複数の溝を互い違いにそれぞれ同数ずつ設け、各転動体
を任意の傾斜角の溝に係合させている。
【0010】
【0011】また、請求項では、請求項1、2または
記載の差動装置において、前記第1及び第2回転体に
軸方向の予圧を付与する付勢手段を備えている。
【0012】
【作用】請求項1の差動装置によれば、入力側回転体が
外部からの駆動力によって軸心回りに回転すると、この
回転力は差動伝達機構を介して各出力側回転体に伝達さ
れる。ここで、各出力側回転体に回転差が生ずると、こ
の回転差は差動伝達機構によって許容され、各出力側回
転体の差動が達成される。また、各出力側回転体の間に
トルクの変動が生ずると、出力側回転体を構成する第1
回転体と第2回転体では一方が他方に回転力を伝えよう
とし、第1及び第2回転体間の各転動体には溝が回転力
の作用する方向に対して所定の傾斜角で接しているた
め、第1回転体と第2回転体との間に軸方向の反力が生
じ、これが抵抗となって差動が制限される。
【0013】また、請求項2の差動装置によれば、請求
項1の作用に加え、入力側回転体の回転軸から各転動体
までの距離が異なると、差動制限時の反力の大きさが変
わるため、各転動体を任意の孔に保持させることによ
り、効き具合の異なる差動制限効果が選択的に得られ
る。
【0014】また、請求項3の差動装置によれば、請求
項1の作用に加え、各転動体に接する溝の傾斜角が異な
ると、差動制限時の反力の大きさが変わるため、各転動
体を任意の溝に係合させることにより、効き具合の異な
る差動制限効果が選択的に得られる。
【0015】
【0016】また、請求項の差動装置によれば、請求
項1、2または3の作用に加え、第1及び第2回転体に
は軸方向に所定の強さの予圧が付与されていることか
ら、第1回転体と第2回転体との反力に加えて差動制限
効果が増大する。
【0017】
【実施例1】図1乃至図5は本発明の第1の実施例を示
すもので、図1は差動装置の側面断面図、図2はそのA
−A線方向矢視断面図、図3はその分解斜視図である。
【0018】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース1と、ギヤケース1の一端を閉塞するギヤケース
カバー2と、一方の出力側回転体の第1回転体をなすギ
ヤディスク3と、一方の出力側回転体の第2回転体をな
す出力ディスク4と、他方の出力側回転体をなすサイド
ギヤ5と、ギヤディスク3及び出力ディスク4の間に配
置されたボールホルダ6と、ボールホルダ6に保持され
た多数の転動体をなすボール7と、ギヤケース1の回転
力をギヤディスク3及びサイドギヤ5に伝達する計4つ
のピニオンギヤ8とから構成されている。
【0019】ギヤケース1は一端を開口した筒形をな
し、その中央にはサイドギヤ5を支持する軸受け1aが
設けられている。ギヤケース1の周囲にはフランジ1b
が設けられ、フランジ1bにはボルト挿通用の多数の孔
1cが設けられている。また、ギヤケース1の内周面に
は軸方向に延びる計4つの溝1dが設けられ、各溝1d
にはピニオンギヤ8が固定される。
【0020】ギヤケースカバー2は円盤状に形成され、
その中央には出力ディスク4を支持する軸受け2aが設
けられている。ギヤケースカバー2の周囲にはフランジ
2bが設けられ、フランジ2bにはボルト挿通用の多数
の孔2cが設けられている。即ち、ギヤケースカバー2
は各フランジ1b,2bを締結するボルト2dによって
ギヤケース1に組付けられる。
【0021】ギヤディスク3は一端面を平坦に形成さ
れ、この面を出力ディスク4の一端面に対向させてい
る。ギヤディスク3の一端面には径方向に所定角度、即
ちギヤケース1の軸心回りに作用する回転力の方向に対
して傾斜した角度をなして直線状に延びる多数の溝3a
が周方向に等間隔で設けられ、その他端面には傘歯車3
bが形成されている。また、ギヤディスク3の他端面と
ギヤケース1内の段差との間にはスラストワッシャ3c
が介装されている。
【0022】出力ディスク4は一端面を平坦に形成さ
れ、この面をギヤディスク3の一端面に対向させてい
る。出力ディスク4の一端面にはギヤディスク3と同
様、径方向に所定角度をなして直線状に延びる多数の溝
4aが周方向に等間隔で設けられ、この溝4aとギヤデ
ィスク3の溝3aとは軸方向に重ねると互いに反対方向
に傾斜するように形成されている。また、出力ディスク
4の他端には車輪側のドライブシャフト9との連結部4
bが設けられ、連結部4bはギヤケースカバー2の軸受
け2aに挿入されている。更に、出力ディスク4の他端
面とギヤケースカバー2の内面との間にはスラストワッ
シャ4cが介装されている。
【0023】サイドギヤ5は一端をギヤケース1の軸受
け1aに回動自在に支持され、その他端には傘歯車5a
が形成されている。また、サイドギヤ5には車輪側のド
ライブシャフト9との連結部5bが設けられている。更
に、サイドギヤ5とギヤケース1との間にはワッシャ5
cが介装されている。
【0024】ボールホルダ6は円盤状に形成され、その
両端面をギヤディスク3及び出力ディスク4に対向させ
ている。ボールホルダ6には軸方向に貫通する多数の孔
6a,6bがそれぞれ異なった二つの円周上に等間隔で
設けられている。
【0025】各ボール7はボールホルダ6の内側の孔6
aに保持され、その一部をギヤディスク3及び出力ディ
スク4の対向面側に突出させて各溝3a,4aに転動自
在に係合している。
【0026】各ピニオンギヤ8は互いに直交する支軸を
有するピニオンシャフト8aに回動自在に支持され、そ
れぞれギヤディスク3及びサイドギヤ5の傘歯車3b,
5aに噛み合わされている。ピニオンシャフト8aはワ
ッシャ8bを介してギヤケース1の各溝1dに固定さ
れ、ギヤケース1と一体に回転するようになっている。
即ち、各ピニオンギヤ8及びピニオンシャフト8aによ
って差動伝達機構が構成され、各ピニオンギヤ8の自転
によりギヤディスク3及びサイドギヤ5が互いに反対方
向に回転するようになっている。
【0027】以上のように構成された差動装置において
は、ギヤケース1のフランジ1bにエンジンからの駆動
力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けられ、装
置全体がギヤケース1の軸心回りに回転するようになっ
ている。
【0028】ここで、前記差動装置の動作を、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じていない場合と、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じた場合と、一方のドライブ
シャフト9のみが空転し易い状態に陥った場合について
それぞれ説明する。
【0029】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト9に回転差が生じ
ていない場合は、駆動力によってギヤケース1が回転す
るとギヤケース1と一体にピニオンシャフト8aが回転
し、この回転力は各ピニオンギヤ8を介してギヤディス
ク3及びサイドギヤ5に伝達される。この場合、各ドラ
イブシャフト9には回転差が生じていないので、各ピニ
オンギヤ8は自転しない。また、ギヤディスク3に伝達
された回転力は各溝3aから各ボール7を介して出力デ
ィスク4の各溝4aに伝達される。
【0030】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト9に回転差が生ずると、各
ピニオンギヤ8が自転し、ギヤディスク3及びサイドギ
ヤ5の逆転により差動が達成される。
【0031】また、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、各ドライブシャフト9間にトルクの変動
が生じた場合には、ギヤディスク3と出力ディスク4で
は一方が他方に回転力を伝えようとするため、各ボール
7と各溝3a,4aとの間に反力が生じ、これによりギ
ヤディスク3及び出力ディスク4が各スラストワッシャ
3c,4cに押し付けられ、これが摩擦抵抗となって差
動が制限される。
【0032】ここで、図4及び図5を参照し、前記差動
制限効果の原理について詳述する。まず、図4はボール
7と溝3a(4a)を差動装置の径方向から見た場合
で、同図に示すようにボール7の中心には主軸(ギヤケ
ース1の回転軸)回りにギヤディスク3及び出力ディス
ク4の一方から加わった回転力Aが作用している。ここ
に、 A≒A′ …(1) この時、溝3a(4a)にはボール7との接触面に垂直
な力Cが発生し、その分力はギヤケース1の回転軸を中
心とする回転力Aに平行なA′と、A′と垂直なBであ
る。Cはボール7との接触面に垂直であるので、ボール
7の中心を通る線分上に位置し、A′とCとのなす角度
をαとすると、Cの大きさは、 C=A′×1/cosα …(2) で表される。
【0033】次に、図5に示すようにボール7と各溝3
a,4aをギヤケース1の回転軸に直交する方向から見
ると、実際には各溝3a,4aとボール7との接触面に
作用する垂直方向の反力はDであり、その分力はギヤケ
ース1の回転軸に平行な力Eと、Eに垂直な力Cであ
る。ボール7は各溝3a,4aに斜めに接するため、C
及びEは転がり摩擦と滑り摩擦による力として作用し、
Eはスラスト力という。Dはボール7との接触面に垂直
であるので、ボール7の中心を通る線分上に位置し、D
とCとのなす角度をβとすると、面圧Dの大きさは、 D=C×1/cosβ …(3) で表される。また、スラスト力Eの大きさは、 E=C×tanβ …(4) で表される。式(1) 、式(2) 及び式(3) より、反力Dは
次式のとおりである。 D=A×1/cosα×1/cosβ …(5) Cは、式(1) 及び式(2) より、 C=A×1/cosα …(6) また、スラスト力Eは式(1) 、式(2) 及び式(4) より、 E=A×1/cosα×tanβ …(7) で表される。
【0034】即ち、ボール7が各溝3a,4aから受け
る反力DはC及びEの成分に分けられ、これらが転がり
摩擦と滑り摩擦による力として作用し、特にスラスト力
Eによってギヤディスク3及び出力ディスク4が各スラ
ストワッシャ3c,4cに押し付けられることにより差
動制限効果が得られる。その際、ボール7と各溝3a,
4aとの接触角α,βの大きさを任意に設定することに
より、必要に応じた差動制限効果を得ることができる。
【0035】また、前記実施例では各ボール7をボール
ホルダ6の内側の孔6aに保持させた場合を示したが、
これを外側の孔6bに入れて各溝3a,4aに係合する
ことも可能である。つまり、内側の孔6aと外側の孔6
bとでは、ギヤケース1の回転軸から各ボール7までの
距離が異なるため、差動制限時の反力の大きさが変わ
り、これにより効き具合の異なる差動制限効果を選択的
に得ることができる。
【0036】このように、本実施例の差動装置によれ
ば、ギヤディスク3及び出力ディスク4に設けた溝3
a,4aと、これに転動自在に係合する多数のボール7
との噛み合わせにより、ギヤディスク3及び出力ディス
ク4の一方から回転力が加わった場合は、各ボール7が
溝3a,4aとの接触面から受ける反力によって軸方向
のスラスト力を発生させ、ギヤディスク3及び出力ディ
スク4とスラストワッシャ3c,4cとの摩擦力によっ
て差動を制限するようにしたので、差動制限効果を得る
ための特別な機構を追加する必要がなく、しかも動作の
確実なトルク感応型の差動制限効果を得ることができ
る。また、各ボール7と各溝3a,4aとの接触角の大
きさを任意に設定することにより、必要に応じた差動制
限効果を得ることも可能である。
【0037】
【実施例2】図6乃至図8は本発明の第2の実施例を示
すもので、図6は差動装置の側面断面図、図7はそのA
−A線方向矢視断面図、図8はその分解斜視図である。
【0038】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース10と、ギヤケース10の一端を閉塞するギヤケ
ースカバー11と、出力側回転体の第1回転体をなす一
対のギヤディスク12と、出力側回転体の第2回転体を
なす一対の出力ディスク13と、各ギヤディスク12に
保持された多数の転動体をなすボール14と、各出力デ
ィスク13の回転に抵抗を付与する一対の多板クラッチ
15と、ギヤケース10内に収容されたインナーケース
16と、ギヤケース10の回転力を各ギヤディスク12
に伝達する計4つのピニオンギヤ17とから構成されて
いる。
【0039】ギヤケース10は一端を開口した筒形をな
し、その中央には一方の出力ディスク13を支持する軸
受け10aが設けられている。ギヤケース10の周囲に
はフランジ10bが設けられ、フランジ10bにはボル
ト挿通用の多数の孔10cが設けられている。また、ギ
ヤケース10の内周面には軸方向に延びる多数の溝10
dが設けられ、各溝10dにはインナーケース17が固
定される。更に、ギヤケース10の内面には一方の多板
クラッチ15を固定するための多数の溝10eが周方向
に間隔をおいて設けられている。
【0040】ギヤケースカバー11は円盤状に形成さ
れ、その中央には他方の出力ディスク13を支持する軸
受け11aが設けられている。ギヤケースカバー11の
周囲にはフランジ11bが設けられ、フランジ11bに
はボルト挿通用の多数の孔11cが設けられている。即
ち、ギヤケースカバー11は各フランジ10b,11b
を締結するボルト11dによってギヤケース10に組付
けられる。また、ギヤケースカバー11の内面には他方
の多板クラッチを固定するための多数の溝11eが周方
向に間隔をおいて設けられている。
【0041】各ギヤディスク12は一端面を平坦に形成
され、この面を各出力ディスク13の一端面に対向させ
ている。各ギヤディスク12の一端面には多数の孔12
aが同一円周上に等間隔で設けられるとともに、その他
端面には傘歯車12bが形成されている。
【0042】各出力ディスク13は一端面を平坦に形成
され、この面を各ギヤディスク12の一端面に対向させ
ている。各出力ディスク13の一端面には径方向に互い
に異なった角度、即ちギヤケース10の軸心回りに作用
する回転力の方向に対して傾斜した角度をなして直線状
に延びる多数の溝13a,13bが周方向に交互に設け
られ、これらの溝13a,13bは各出力ディスク13
を軸方向に重ねると互いに反対方向に傾斜するように形
成されている。また、各出力ディスク13の他端には車
輪側のドライブシャフト9との連結部13cが設けら
れ、各連結部13cはそれぞれギヤケース10及びギヤ
ケースカバー11の軸受け10a,11aに挿入されて
いる。更に、各出力ディスク13の他端面には多板クラ
ッチ15を固定するための多数の溝13dが周方向に間
隔をおいて設けられている。
【0043】各ボール14は各ギヤディスク12の孔1
2aに保持され、その一部を各出力ディスク13側に突
出させて一方の溝13aに転動自在に係合している。
【0044】各多板クラッチ15は環状に形成された第
1及び第2クラッチ板15a,15bからなり、各クラ
ッチ板15a,15bは二枚ずつ交互に重ね合わされて
いる。第1クラッチ板15aは外周に多数の突起15c
を有し、一方の多板クラッチ15の突起15cはギヤケ
ース10の溝10eに、他方の多板クラッチ15の突起
15cはギヤケースカバー11の溝11eにそれぞれ係
合されている。また、第2クラッチ板15bは内部周に
多数の突起15dを有し、突起15dは各出力ディスク
13の溝13dに係合されている。即ち、各多板クラッ
チ15では第1クラッチ板15aがギヤケース10また
はギヤケースカバー11に固定されるとともに、第2ク
ラッチ板15bは各出力ディスク13と共に回転し、こ
れにより各クラッチ板15a,15b同士の摩擦抵抗が
発生するようになっている。
【0045】インナーケース16は筒状に形成され、そ
の外周面に設けた多数の突条部16aをギヤケース10
の各溝10dに係合することによりギヤケース10に固
定されている。また、インナーケース16の内周面には
各ピニオンギヤ16を保持するための多数の溝16bが
周方向に間隔をおいて設けられている。
【0046】各ピニオンギヤ17は互いに直交する支軸
を有するピニオンシャフト17aに回動自在に支持さ
れ、それぞれ各ギヤディスク12の傘歯車12bに噛み
合わされている。ピニオンシャフト17aはワッシャ1
7bを介してインナーケース16の各溝16bに固定さ
れ、インナーケース16を介してギヤケース10と一体
に回転するようになっている。即ち、各ピニオンギヤ1
7及びピニオンシャフト17aによって差動伝達機構が
構成され、各ピニオンギヤ17の自転により各ギヤディ
スク12が互いに反対方向に回転するようになってい
る。
【0047】以上のように構成された差動装置において
は、ギヤケース10のフランジ10bにエンジンからの
駆動力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けら
れ、装置全体がギヤケース10の軸心回りに回転するよ
うになっている。
【0048】ここで、前記差動装置の動作を、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じていない場合と、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じた場合と、一方のドライブ
シャフト9のみが空転し易い状態に陥った場合について
それぞれ説明する。尚、差動制限効果の原理については
前記第1の実施例と同様なので説明を省略する。
【0049】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト9に回転差が生じ
ていない場合には、駆動力によってギヤケース10が回
転するとギヤケース10と一体にピニオンシャフト17
aが回転し、この回転力は各ピニオンギヤ17を介して
各ギヤディスク12に伝達される。この場合、各ドライ
ブシャフト9には回転差が生じていないので、各ピニオ
ンギヤ17は自転しない。また、各ギヤディスク12に
伝達された回転力は各ボール14を介して各出力ディス
ク13の溝13aに伝達される。
【0050】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト9に回転差が生ずると、各
ピニオンギヤ17が自転し、各ギヤディスク12の逆転
により差動が達成される。
【0051】また、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、各ドライブシャフト9間にトルクの変動
が生じた場合には、各ギヤディスク12では一方が他方
に回転力を伝えようとするため、各ボール14と溝13
aとの間に反力が生じ、これにより各ギヤディスク12
及び各出力ディスク13が各板クラッチ15を押圧
し、各クラッチ板15a,15bの摩擦抵抗が増大して
差動が制限される。この場合、各出力ディスク13には
板クラッチ15によって所定の強さの予圧が付与さ
れ、差動制限効果が増大するようになっている。
【0052】また、前記実施例では各ボール14を各出
力ディスク13の一方の溝13aに係合させた場合を示
したが、これを角度の異なる他方の溝13bに係合させ
ることも可能である。つまり、各ボール14が各溝13
a,13bに接する角度が異なれば、各板クラッチ1
5を押圧する力、即ちスラスト力の大きさが変わるた
め、これにより効き具合の異なる差動制限効果を選択的
に得ることができる。
【0053】
【実施例3】図9乃至図11は本発明の第3の実施例を
示すもので、図9は差動装置の側面断面図、図10はそ
のA−A線方向矢視断面図、図11はその分解斜視図で
ある。
【0054】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース20と、ギヤケース20の一端を閉塞するギヤケ
ースカバー21と、一方の出力側回転体の第1回転体を
なすギヤディスク22と、一方の出力側回転体の第2回
転体をなす出力ディスク23と、他方の出力側回転体を
なすサイドギヤ24と、ギヤディスク22及び出力ディ
スク23の間に配置されたローラホルダ25と、ローラ
ホルダ25に保持された多数の転動体をなすローラ26
と、ギヤディスク22及び出力ディスク23に軸方向の
予圧を付与する多数のスプリング27と、ギヤケース2
0の回転力をギヤディスク22及びサイドギヤ24に伝
達する計4つのピニオンギヤ28とから構成されてい
る。
【0055】ギヤケース20は一端を開口した筒形をな
し、その中央にはサイドギヤ24を支持する軸受け20
aが設けられている。ギヤケース20の周囲にはフラン
ジ20bが設けられ、フランジ20bにはボルト挿通用
の多数の孔20cが設けられている。また、ギヤケース
20の内周面には軸方向に延びる計4つの溝20dが設
けられ、各溝20dにはピニオンギヤ28が固定され
る。
【0056】ギヤケースカバー21は円盤状に形成さ
れ、その中央には出力ディスク23を支持する軸受け2
1aが設けられている。ギヤケースカバー21の周囲に
はフランジ21bが設けられ、フランジ21bにはボル
ト挿通用の多数の孔21cが設けられている。即ち、ギ
ヤケースカバー21は各フランジ20b,21bを締結
するボルト21dによってギヤケース20に組付けられ
る。
【0057】ギヤディスク22は一端面を平坦に形成さ
れ、この面を出力ディスク23の一端面に対向させてい
る。ギヤディスク22の一端面には径方向に直交、即ち
ギヤケース20の軸心回りに作用する回転力の方向に対
して傾斜した角度をなす計3本の直線状の溝22aが互
いに三角形状を形成するように設けられ、その他端面に
は傘歯車22bが形成されている。また、ギヤディスク
22の他端面とギヤケース20内の段差との間にはスラ
ストワッシャ22cが介装されている。
【0058】出力ディスク23は一端面を平坦に形成さ
れ、この面をギヤディスク22の一端面に対向させてい
る。出力ディスク23の一端面にはギヤディスク22と
同様、径方向に直交する計3本の直線状の溝23aが互
いに三角形状をなすように設けられている。また、出力
ディスク23の他端には車輪側のドライブシャフト9と
の連結部23bが設けられ、連結部23bはギヤケース
カバー21の軸受け21aに挿入されている。更に、出
力ディスク23の他端面とギヤケースカバー21の内面
との間にはスラストワッシャ23cが介装されている。
【0059】サイドギヤ24は一端をギヤケース20の
軸受け20aに回動自在に支持され、その他端には傘歯
車24aが形成されている。また、サイドギヤ24には
車輪側のドライブシャフト9との連結部24bが設けら
れている。更に、サイドギヤ24とギヤケース20との
間にはワッシャ24cが介装されている。
【0060】ローラホルダ25は円盤状に形成され、そ
の両端面をギヤディスク22及び出力ディスク23に対
向させている。ローラホルダ25には軸方向に貫通する
楕円形の多数の孔25aと円形の多数の孔25bがそれ
ぞれ設けられている。
【0061】各ローラ26はローラホルダ25の楕円形
の孔25aに保持され、その一部をギヤディスク22及
び出力ディスク23の対向面側に突出させて各溝22
a,23aに計2個ずつ転動自在に係合している。
【0062】各スプリング27はローラホルダ25の円
形の孔25bに保持され、ギヤディスク22と出力ディ
スク23との間に圧縮状態で介装されている。
【0063】各ピニオンギヤ28は互いに直交する支軸
を有するピニオンシャフト28aに回動自在に支持さ
れ、それぞれギヤディスク22及びサイドギヤ24の傘
歯車22b,24aに噛み合わされている。ピニオンシ
ャフト28aはワッシャ28bを介してギヤケース20
の各溝20dに固定され、ギヤケース20と一体に回転
するようになっている。即ち、各ピニオンギヤ28及び
ピニオンシャフト28aによって差動伝達機構が構成さ
れ、各ピニオンギヤ28の自転によりギヤディスク22
及びサイドギヤ24が互いに反対方向に回転するように
なっている。
【0064】以上のように構成された差動装置において
は、ギヤケース20のフランジ20bにエンジンからの
駆動力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けら
れ、装置全体がギヤケース20の軸心回りに回転するよ
うになっている。
【0065】ここで、前記差動装置の動作を、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じていない場合と、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じた場合と、一方のドライブ
シャフト9のみが空転し易い状態に陥った場合について
それぞれ説明する。尚、差動制限効果の原理については
前記第1の実施例と同様なので説明を省略する。
【0066】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト9に回転差が生じ
ていない場合、駆動力によってギヤケース20が回転す
るとギヤケース20と一体にピニオンシャフト28aが
回転し、この回転力は各ピニオンギヤ28を介してギヤ
ディスク22及びサイドギヤ24に伝達される。この場
合、各ドライブシャフト9には回転差が生じていないの
で、各ピニオンギヤ28は自転しない。また、ギヤディ
スク22に伝達された回転力は溝22aから各ローラ2
6を介して出力ディスク23の溝23aに伝達される。
【0067】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト9に回転差が生ずると、各
ピニオンギヤ28が自転し、ギヤディスク22及びサイ
ドギヤ24の逆転により差動が達成される。
【0068】また、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、各ドライブシャフト9間にトルクの変動
が生じた場合には、ギヤディスク22と出力ディスク2
3では一方が他方に回転力を伝えようとするため、各ロ
ーラ26と各溝22a,23aとの間に反力が生じ、こ
れによりギヤディスク22及び出力ディスク23が各ス
ラストワッシャ22c,23cに押し付けられ、これが
摩擦抵抗となって差動が制限される。この場合、ギヤデ
ィスク22及び出力ディスク23には各スプリング27
によって各スラストワッシャ22c,23cを押圧する
方向に所定の強さの予圧が付与され、差動制限効果が増
大するようになっている。
【0069】
【実施例4】図12乃至図16は本発明の第4の実施例
を示すもので、図12は差動装置の側面断面図、図13
はその部分拡大断面図、図14はそのA−A線方向矢視
断面図、図15はそのB−B線方向矢視断面図、図16
はその分解斜視図である。
【0070】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース30と、ギヤケース30の一端を閉塞するギヤケ
ースカバー31と、一方の出力側回転体の第1回転体を
なすギヤディスク32と、一方の出力側回転体の第2回
転体をなす出力ディスク33と、他方の出力側回転体を
なすサイドギヤ34と、ギヤケース30の回転力をギヤ
ディスク32及びサイドギヤ34に伝達する計4つのピ
ニオンギヤ35とから構成されている。
【0071】ギヤケース30は一端を開口した筒形をな
し、その中央にはサイドギヤ34を支持する軸受け30
aが設けられている。ギヤケース30の周囲にはフラン
ジ30bが設けられ、フランジ30bにはボルト挿通用
の多数の孔30cが設けられている。また、ギヤケース
30の内周面には軸方向に延びる計4つの溝30dが設
けられ、各溝30dにはピニオンギヤ35が固定され
る。
【0072】ギヤケースカバー31は円盤状に形成さ
れ、その中央には出力ディスク33を支持する軸受け3
1aが設けられている。ギヤケースカバー31の周囲に
はフランジ31bが設けられ、フランジ31bにはボル
ト挿通用の多数の孔31cが設けられている。即ち、ギ
ヤケースカバー31は各フランジ30b,31bを締結
するボルト31dによってギヤケース30に組付けられ
る。
【0073】ギヤディスク32は一端面を出力ディスク
33の一端面に対向させており、この面には径方向に延
びる多数の凹部32aが周方向に等間隔で設けられてい
る。各凹部32aは、図13に示すように平坦状の底面
と、所定角度で傾斜した両側の斜面とから形成されてい
る。また、ギヤディスク32の他端面には傘歯車32b
が形成されるとともに、この面とギヤケース30内の段
差との間にはスラストワッシャ32cが介装されてい
る。
【0074】出力ディスク33は一端面をギヤディスク
32の一端面に対向させており、この面には径方向に延
びる多数の凸部33aが周方向に等間隔で設けられてい
る。各凸部33aは、図13に示すように平坦状の頂部
と、所定角度で傾斜した両側の斜面とから形成され、各
斜面は若干外側に膨出している。即ち、出力ディスク3
3の各凸部33aとギヤディスク32の各凹部32aと
は互いに係合しており、それぞれ斜面同士を接触させて
いる。また、出力ディスク33の他端には車輪側のドラ
イブシャフト9との連結部33bが設けられ、連結部3
3bはギヤケースカバー31の軸受け31aに挿入され
ている。更に、出力ディスク33の他端面とギヤケース
カバー31の内面との間にはスラストワッシャ33cが
介装されている。
【0075】サイドギヤ34は一端をギヤケース30の
軸受け30aに回動自在に支持され、その他端には傘歯
車34aが形成されている。また、サイドギヤ34には
車輪側のドライブシャフト9との連結部34bが設けら
れている。更に、サイドギヤ34とギヤケース30との
間にはワッシャ34cが介装されている。
【0076】各ピニオンギヤ35は互いに直交する支軸
を有するピニオンシャフト35aに回動自在に支持さ
れ、それぞれギヤディスク32及びサイドギヤ34の傘
歯車32b,34aに噛み合わされている。ピニオンシ
ャフト35aはワッシャ35bを介してギヤケース30
の各溝30dに固定され、ギヤケース30と一体に回転
するようになっている。即ち、各ピニオンギヤ35及び
ピニオンシャフト35aによって差動伝達機構が構成さ
れ、各ピニオンギヤ35の自転によりギヤディスク32
及びサイドギヤ34が互いに反対方向に回転するように
なっている。
【0077】以上のように構成された差動装置において
は、ギヤケース30のフランジ30bにエンジンからの
駆動力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けら
れ、装置全体がギヤケース30の軸心回りに回転するよ
うになっている。
【0078】ここで、前記差動装置の動作を、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じていない場合と、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じた場合と、一方のドライブ
シャフト9のみが空転し易い状態に陥った場合について
それぞれ説明する。尚、差動制限効果の原理については
前記第1の実施例と同様なので説明を省略する。
【0079】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト9に回転差が生じ
ていない場合、駆動力によってギヤケース30が回転す
るとギヤケース30と一体にピニオンシャフト35aが
回転し、この回転力は各ピニオンギヤ35を介してギヤ
ディスク32及びサイドギヤ34に伝達される。この場
合、各ドライブシャフト9には回転差が生じていないの
で、各ピニオンギヤ35は自転しない。また、ギヤディ
スク32に伝達された回転力は各凹部32aから出力デ
ィスク33の各凸部33aに伝達される。
【0080】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト9に回転差が生ずると、各
ピニオンギヤ35が自転し、ギヤディスク32及びサイ
ドギヤ34の逆転により差動が達成される。
【0081】また、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、各ドライブシャフト9間にトルクの変動
が生じた場合には、ギヤディスク32と出力ディスク3
3では一方が他方に回転力を伝えようとするため、各凹
部32aと各凸部33aとの間に反力が生じ、これによ
りギヤディスク32及び出力ディスク33が各スラスト
ワッシャ32c,33cに押し付けられ、これが摩擦抵
抗となって差動が制限される。この場合、各凹部32a
及び各凸部33aの斜面が緩やかなほど、差動制限効果
は大きく作用する。
【0082】
【実施例5】図17乃至図20は本発明の第5の実施例
を示すもので、図17は差動装置の側面断面図、図18
はそのA−A線方向矢視断面図、図19はそのB−B線
方向矢視断面図、図20はその分解斜視図である。
【0083】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース40と、ギヤケース40の一端を閉塞するギヤケ
ースカバー41と、出力側回転体の第1回転体をなす一
対のギヤディスク42と、出力側回転体の第2回転体を
なす一対の出力ディスク43と、各ギヤディスク42及
び各出力ディスク43に軸方向の予圧を付与する一対の
スプリング44と、ギヤケース40の回転力を各ギヤデ
ィスク42に伝達する計4つのピニオンギヤ45とから
構成されている。
【0084】ギヤケース40は一端を開口した筒形をな
し、その中央には一方の出力ディスク43を支持する軸
受け40aが設けられている。ギヤケース40の周囲に
はフランジ40bが設けられ、フランジ40bにはボル
ト挿通用の多数の孔40cが設けられている。また、ギ
ヤケース40の内周面には軸方向に延びる多数の溝40
dが設けられ、各溝40dには各ピニオンギヤ45が保
持される。
【0085】ギヤケースカバー41は円盤状に形成さ
れ、その中央には他方の出力ディスク43を支持する軸
受け41aが設けられている。ギヤケースカバー41の
周囲にはフランジ41bが設けられ、フランジ41bに
はボルト挿通用の多数の孔41cが設けられている。即
ち、ギヤケースカバー41は各フランジ40b,41b
を締結するボルト41dによってギヤケース40に組付
けられる。
【0086】各ギヤディスク42は一端面を各出力ディ
スク43の一端面に対向させており、この面には径方向
に延びる多数の凹部42aが周方向に等間隔で設けられ
ている。各凹部42aは前記第4の実施例と同様、平坦
状の底面と、所定角度で傾斜した両側の斜面とから形成
されている。また、各ギヤディスク42の他端面には傘
歯車42bが形成されている。
【0087】各出力ディスク43は一端面を各ギヤディ
スク42の一端面に対向させており、この面には径方向
に延びる多数の凸部43aが周方向に等間隔で設けられ
ている。各凸部43aは前記第4の実施例と同様、平坦
状の頂部と、所定角度で傾斜した両側の斜面とから形成
されている。即ち、各出力ディスク43の各凸部43a
と各ギヤディスク42の各凹部42aとは互いに係合し
ており、それぞれ斜面同士を接触させている。また、各
出力ディスク43の他端には車輪側のドライブシャフト
9との連結部43bが設けられ、各出力ディスク43の
連結部43bはギヤケース40及びギヤケースカバー4
1の軸受け40a,41aにそれぞれ挿入されている。
更に、出力ディスク43の他端面とギヤケース40及
ギヤケースカバー41の内面との間にはスラストワッ
シャ43cがそれぞれ介装されている。
【0088】各スプリング44は各ギヤディスク42の
中央部分に巻回され、各ギヤディスク42と各出力ディ
スク43との間に圧縮状態で介装されている。
【0089】各ピニオンギヤ45は互いに直交する支軸
を有するピニオンシャフト45aに回動自在に支持さ
れ、それぞれ各ギヤディスク42の傘歯車42bに噛み
合わされている。ピニオンシャフト45aはワッシャ4
5bを介してギヤケース40の各溝40dに固定され、
ギヤケース40と一体に回転するようになっている。即
ち、各ピニオンギヤ45及びピニオンシャフト45aに
よって差動伝達機構が構成され、各ピニオンギヤ45の
自転により各ギヤディスク42が互いに反対方向に回転
するようになっている。また、ピニオンシャフト45a
と各ギヤディスク42との間にはそれぞれスラストワッ
シャ45cが介装されている。
【0090】以上のように構成された差動装置において
は、ギヤケース40のフランジ40bにエンジンからの
駆動力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けら
れ、装置全体がギヤケース40の軸心回りに回転するよ
うになっている。
【0091】ここで、前記差動装置の動作を、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じていない場合と、各ドライ
ブシャフト9に回転差が生じた場合と、一方のドライブ
シャフト9のみが空転し易い状態に陥った場合について
それぞれ説明する。尚、差動制限効果の原理については
第1の実施例と同様なので説明を省略する。
【0092】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト9に回転差が生じ
ていない場合には、駆動力によってギヤケース40が回
転するとギヤケース40と一体にピニオンシャフト45
aが回転し、この回転力は各ピニオンギヤ45を介して
各ギヤディスク42に伝達される。この場合、各ドライ
ブシャフト9には回転差が生じていないので、各ピニオ
ンギヤ45は自転しない。また、各ギヤディスク42に
伝達された回転力は各凹部42aから各出力ディスク4
3の各凸部43aに伝達される。
【0093】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト9に回転差が生ずると、各
ピニオンギヤ45が自転し、各ギヤディスク42の逆転
により差動が達成される。
【0094】また、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、各ドライブシャフト9間にトルクの変動
が生じた場合には、各ギヤディスク42では一方が他方
に回転力を伝えようとするため、各凹部42aと各凸部
43aとの間に反力が生じ、各ギヤディスク42が各ス
ラストワッシャ45cに、各出力ディスク43が各スラ
ストワッシャ43cにそれぞれ押し付けられ、これが摩
擦抵抗となって差動が制限される。この場合、各ギヤデ
ィスク42及び各出力ディスク43には各スプリング4
4によって各スラストワッシャ45c,43cを押圧す
る方向に所定の強さの予圧が付与され、差動制限効果が
増大するようになっている。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の差動装
置によれば、従来の差動伝達機構のみの差動装置に簡単
な構造を追加するだけで差動制限機能を付加することが
でき、小型で安価な差動装置を実現することができる。
また、トルク感応型の極めて安定した差動制限効果を得
ることができるので、実用性に優れているという利点も
ある。
【0108】また、請求項2及び3の差動装置によれ
ば、請求項1の効果に加え、効き具合の異なる差動制限
効果を用途に応じて選択的に得ることができるので、汎
用性に優れているという利点がある。
【0109】
【0110】また、請求項の差動装置によれば、請求
項1、2または3の効果に加えて、差動制限効果を増大
させることができるので、実用性をより高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す差動装置の側面断
面図
【図2】図1のA−A線矢視方向断面図
【図3】差動装置の分解斜視図
【図4】ボールから溝に加わる力の作用説明図
【図5】ボールから溝に加わる力の作用説明図
【図6】本発明の第2の実施例を示す差動装置の側面断
面図
【図7】図6のA−A線矢視方向断面図
【図8】差動装置の分解斜視図
【図9】本発明の第3の実施例を示す差動装置の側面断
面図
【図10】図9のA−A線矢視方向断面図
【図11】差動装置の分解斜視図
【図12】本発明の第4の実施例を示す差動装置の側面
断面図
【図13】差動装置の部分拡大断面図
【図14】図12のA−A線矢視方向断面図
【図15】図12のB−B線矢視方向断面図
【図16】差動装置の分解斜視図
【図17】本発明の第5の実施例を示す差動装置の側面
断面図
【図18】図17のA−A線矢視方向断面図
【図19】図17のB−B線矢視方向断面図
【図20】差動装置の分解斜視図
【符号の説明】
1…ギヤケース、3…ギヤディスク、3a…溝、4…出
力ディスク、4a…溝、5…サイドギヤ、6…ボールホ
ルダ、6a,6b…孔、7…ボール、8…ピニオンギ
ヤ、10…ギヤケース、12…ギヤディスク、12a,
12b…溝、13…出力ディスク、14…ボール、15
…多板クラッチ、17…ピニオンギヤ、20…ギヤケー
ス、22…ギヤディスク、22a…溝、23…出力ディ
スク、23a…溝、24…サイドギヤ、25…ローラホ
ルダ、26…ローラ、27…スプリング、28…ピニオ
ンギヤ、30…ギヤケース、32…ギヤディスク、32
a…凹部、33…出力ディスク、33a…凸部、34…
サイドギヤ、35…ピニオンギヤ、40…ギヤケース、
42…ギヤディスク、42a…凹部、43…出力ディス
ク、43a…凸部、44…スプリング、45…ピニオン
ギヤ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 48/20 - 48/22 F16D 43/00 - 43/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部から入力された駆動力によって軸心
    回りに回転する入力側回転体と、入力側回転体の回転軸
    上に配置された一対の出力側回転体と、各出力側回転体
    の回転差を許容しながら入力側回転体の回転力を各出力
    側回転体に伝達する差動伝達機構とを備えた差動装置に
    おいて、 前記出力側回転体の少なくとも一方を、互いに軸方向に
    対向する第1及び第2回転体と、第1及び第2回転体の
    間に介在する多数の転動体とから構成し、 第1及び第2回転体の対向面には各転動体に係合する多
    数の溝を各転動体に回転力の作用する方向に対して所定
    の傾斜角で接するように設けたことを特徴とする差動装
    置。
  2. 【請求項2】 前記各転動体を保持する多数の孔を前記
    第1及び第2回転体の一方または第1及び第2回転体の
    間に介在させた他の部材に入力側回転体の回転軸から距
    離の異なる位置にそれぞれ同数ずつ設け、 各転動体を任意の位置の孔に保持させたことを特徴とす
    る請求項1記載の差動装置。
  3. 【請求項3】 前記各転動体に対する傾斜角の異なった
    複数の溝を互い違いにそれぞれ同数ずつ設け、 各転動体を任意の傾斜角の溝に係合させたことを特徴と
    する請求項1記載の差動装置。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2回転体に軸方向の予圧
    を付与する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項
    1、2または3記載の差動装置。
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