JPH0791520A - 差動装置 - Google Patents

差動装置

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JPH0791520A
JPH0791520A JP8325594A JP8325594A JPH0791520A JP H0791520 A JPH0791520 A JP H0791520A JP 8325594 A JP8325594 A JP 8325594A JP 8325594 A JP8325594 A JP 8325594A JP H0791520 A JPH0791520 A JP H0791520A
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JP
Japan
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ball
ring
side rotating
rotating body
axis
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JP8325594A
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Inventor
Kenji Mimura
建治 三村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造によって確実な差動制限効果を得
ることができ、しかも小型で低コストな差動装置を提供
する。 【構成】 ギヤケース1の軸心上に対向して配置された
一対の出力シャフト10に回転差が生ずると、多数のボ
ール溝10b及びこれに嵌合する多数のボール6によっ
て各出力シャフト10の回転運動が連動し、各出力シャ
フト10の差動が達成される。その際、各出力シャフト
10に回転差を発生させる力が一方の出力シャフト10
のみから加わると、他方の出力シャフト10では差動時
に従動側となるボール6が主動側であるボール溝10b
を自らの動きに追従させようとするため、この時に生ず
る反力が抵抗となって各出力シャフト10の差動が制限
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主に自動車の左右駆動輪
または前後駆動輪の回転差を許容する差動装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の駆動力伝達系に用いられ
る差動装置は、カーブを走行する際の左右駆動輪の回転
差、または四輪駆動車における前後駆動輪の回転差を許
容する装置であるが、一方の駆動輪のみが雪や砂等、摩
擦係数の極端に少ない路面に乗ると、その車輪が空転し
て全体の駆動力が失われ、その場から脱出できなくなる
という状態に陥り易かった。また、カーブを高速走行す
る際に遠心力によって内側の車輪の荷重が極端に減少し
た場合にも、その車輪が空転し、カーブを高速で走行す
るための駆動力が失われ易いという欠点もある。従っ
て、このような欠点を補うために、例えばクラッチディ
スク圧着式等の差動制限機構を備えたものがあり、各駆
動輪の差動を所定の条件下で制限している。しかしなが
ら、このタイプでは回転差の増加に伴って急激な差動制
限効果を示したり、差動制限時はエンジン側から駆動力
が入力されていない非駆動時においても各駆動輪同士が
拘束されるため、アンチロックブレーキシステムのよう
に各車輪の回転に独立性が要求される装置との組合わせ
に難点があった。
【0003】そこで、駆動時には所定の条件下で差動を
制限する一方、非駆動時における各駆動輪の回転に独立
性を保ち得るものとして、最近ではビスカス・カップリ
ングを用いた回転数感応型の差動制限機構が多く使われ
ている。ビスカス・カップリングは一種の粘性クラッチ
であり、粘性流体(シリコンオイル等)の剪断抵抗を利
用してトルクを伝えるようになっているため、回転差に
応じてスムーズな差動制限効果が得られる。
【0004】また、非駆動時は各駆動輪を拘束せずに駆
動時のみ差動を制限する機構を持った差動装置として
は、例えば日本国特許出願公開公報の特開平4−271
926号に記載されているように、ウォームギヤの組合
わせによるトルク感応型のものも知られている。このタ
イプでは、同軸上を互いに独立して回転可能な一対のネ
ジ状のウォームと、これに直角な回転軸を有する複数の
ウォームホイールとが噛み合わされており、各ウォーム
を回転させるとウォームホイールはスムーズに回転する
が、逆にウォームホイール側から回転させようとした場
合は回転が困難であるというウォームギヤ特有の性質を
利用しており、これにより条件に応じた差動及び差動制
限効果が得られるという特徴を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビスカ
ス・カップリングに代表される回転数感応型の差動制限
機構付き差動装置では、トルク伝達率が流体の粘性に依
存するため、温度が変化すると流体の粘性が変わり、常
に安定した差動制限効果が得られないという欠点があっ
た。また、このタイプでは、回転差が生じてから差動制
限が行われるまでに時間差があり、走行動作の変化に瞬
時に対応することができないという問題点もあった。一
方、ウォームギヤを用いた差動装置では、差動制限が機
械的に行われるため差動制限効果は安定しているが、そ
の反面、部品点数が多く構造が複雑であるとともに、部
品の加工及び組立に極めて高い精度が要求され、しかも
許容トルクに比べて装置全体が大型になるという問題点
があった。
【0006】本発明は前記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、簡単な構造によって
確実な差動制限効果を得ることができ、しかも小型で低
コストな差動装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、請求項1では、外部から入力された駆動力
によって軸心回りに回転する入力側回転体と、入力側回
転体の軸心上に配置された一対の出力側回転体とを備
え、各出力側回転体の相互の回転運動により各出力側回
転体に生じた回転差を許容する差動装置において、前記
各出力側回転体の相互の回転運動を連動させる多数の溝
及びこれに転動自在に嵌合する多数のボールを備えてい
る。
【0008】また、請求項2では、外部から入力された
駆動力によって軸心回りに回転する入力側回転体と、入
力側回転体の軸心に直交する軸を中心に周方向に回転可
能な状態で入力側回転体に保持された少なくとも一つの
リングと、リングの周面に周方向に等間隔で設けられた
多数の孔に出没自在に保持された多数のボールと、リン
グを間にして入力側回転体の軸心上に対向して配置され
た一対の出力側回転体と、リングの周面に臨んで各出力
側回転体の対向部位にそれぞれ設けられた一対の球面部
と、リングに保持されたボールの一部をリングの周方向
所定位置においてリングの周面から突出させる案内部と
を備え、各出力側回転体の球面部には各出力側回転体が
互いに反対方向に回転すると各リングの周面から突出し
ているボールを案内して各リングを所定方向に回転させ
る多数の溝を設けた差動装置を構成している。
【0009】また、請求項3では、外部から入力された
駆動力によって軸心回りに回転する入力側回転体と、入
力側回転体の軸心に直交する軸を中心に回転可能な状態
で入力側回転体に保持された一対の球面体と、各球面体
を間にして入力側回転体の軸心上に対向して配置された
一対の出力側回転体と、周面を各球面体に臨ませて各出
力側回転体の対向部位にそれぞれ設けられた一対のリン
グ部と、各リング部の周面に周方向に等間隔で設けられ
た多数の孔に出没自在に保持された多数のボールと、各
リング部に保持されたボールの一部をリング部の周方向
所定位置においてリング部の周面から突出させる案内部
とを備え、各球面体には各出力側回転体が互いに反対方
向に回転すると各リング部の周面から突出しているボー
ルに案内されて各球面体を互いに反対方向に回転させる
多数の溝を設けた差動装置を構成している。
【0010】
【作用】請求項1の差動装置によれば、入力側回転体が
外部からの駆動力によって軸心回りに回転すると、この
回転力は各出力側回転体に伝達される。ここで、各出力
側回転体に回転差が生ずると、多数の溝及びこれに嵌合
する多数のボールによって各出力側回転体の相互の回転
運動が連動し、各出力側回転体の差動が達成される。そ
の際、各出力側回転体に回転差を発生させる力が一方の
出力側回転体のみから加わると、他方の出力側回転体で
は差動時に従動側となるボールまたは溝が主動側である
溝またはボールを自らの動きに追従させようとするた
め、この時に生ずる反力が抵抗となって各出力側回転体
の差動が制限される。この場合、ボールが溝から受ける
反力の大きさ、即ち差動制限効果の大きさはボールと溝
との接触角の大きさによって異なる。
【0011】また、請求項2の差動装置によれば、入力
側回転体が外部からの駆動力によって軸心回りに回転す
ると、各リングが入力側回転体の軸心を中心に回転し、
この回転力は各出力側回転体の溝に嵌合するボールを介
して各出力側回転体の球面部に伝達される。ここで、各
出力側回転体に回転差が生ずると、各出力側回転体の溝
がボールを転動させ、各リングがボールの転動に追従し
て入力側回転体の軸心に直交する軸を中心に互いに反対
方向に回転する。これにより、各出力側回転体の差動が
達成される。その際、各出力側回転体に回転差を発生さ
せる力が一方の出力側回転体のみから加わると、他方の
出力側回転体では差動時に従動側となるボールが主動側
である溝を自らの動きに追従させようとするため、この
ボールが溝から反力を受け、これが抵抗となって各出力
側回転体の差動が制限される。
【0012】また、請求項3の差動装置によれば、入力
側回転体が外部からの駆動力によって軸心回りに回転す
ると、各球面体が入力側回転体の軸心を中心に回転し、
この回転力は各球面体の溝に嵌合するボールを介して各
出力側回転体のリング部に伝達される。ここで、各出力
側回転体に回転差が生ずると、各リング部に保持された
各ボールが各球面体の溝を転動し、各ボールの転動に追
従して各球面体が入力側回転体の軸心に直交する軸を中
心に互いに反対方向に回転する。これにより、各出力側
回転体の差動が達成される。その際、各出力側回転体に
回転差を発生させる力が一方の出力側回転体のみから加
わると、他方の出力側回転体では差動時に従動側となる
溝が主動側であるボールを自らの動きに追従させようと
するため、この溝がボールから反力を受け、これが抵抗
となって各出力側回転体の差動が制限される。
【0013】
【実施例1】図1乃至図11は本発明の第1の実施例
で、図1は差動装置の側面断面図、図2はその平面断面
図、図3乃至図7はその要部分解斜視図である。
【0014】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース1と、ギヤケース1の一端を閉塞するギヤケース
カバー2と、ギヤケース1の外周に取付けられたリング
ギヤ3と、ギヤケース1内の中央に固定されたセンター
プレート4と、ギヤケース1の軸心に直交する方向に対
向する一対のボールリング5と、各ボールリング5に出
没自在に保持された多数のボール6と、各ボールリング
5を回動自在に保持するリングホルダ7と、リングホル
ダ7の両側を覆うリングカバー8と、リングホルダ7を
センタープレート4に固定するための計4個の固定ブロ
ック9と、各ボールリング5を間にしてギヤケース1の
軸心方向に対向する出力側回転体としての一対の出力シ
ャフト10とから構成されている。
【0015】ギヤケース1は一端を開口した筒形の部材
からなり、その他端には一方の出力シャフト10を貫通
する軸受け1aが設けられている。ギヤケース1の開口
部にはフランジ1bが形成され、フランジ1bにはボル
ト挿通用の多数の孔1cが設けられている。また、ギヤ
ケース1の内面にはセンタープレート4を受容する受け
部1dが設けられている。
【0016】ギヤケースカバー2は円板状に形成され、
その中央には他方の出力シャフト10を貫通する軸受け
2aが設けられている。ギヤケースカバー2の周縁には
フランジ2bが形成され、フランジ2bにはボルト挿通
用の多数の孔2cが設けられている。また、ギヤケース
カバー2の内側にはギヤケース1内に挿入される挿入部
2dが設けられている。
【0017】リングギヤ3は一端面を歯車によって形成
され、その他端面にはボルト螺着用の多数のネジ孔3a
が設けられている。また、リングギヤ3の内径はギヤケ
ース1の外径よりも大きく形成されている。
【0018】センタープレート4は円板状に形成され、
その外周面の一部はギヤケース1の受け部1dに対応し
た形状になっている。センタープレート4の中央にはリ
ングホルダ5を収容する開口部が設けられ、この開口部
の両端にはリングホルダ7を固定するための受け溝4a
が設けられている。また、各受け溝4aの近傍にはボル
ト挿通用の孔4bが設けられている。
【0019】各ボールリング5はボール6を収容する多
数のボール孔5aを有し、各ボール孔5aはボールリン
グ5の周方向一列に等間隔で配置されている。
【0020】各ボール6はボールリング5のボール孔5
aよりも若干小さい外径を有し、各ボール孔5aに自由
に転動できる状態で収容されている。
【0021】リングホルダ7は各ボールリング5の間に
配置され、その両面には各ボールリング5が回動自在に
保持される。リングホルダ7の両面にはボールリング5
に保持されたボール6の外側に接触する円弧状のガード
壁7aが形成されている。このガード壁7aはリングホ
ルダ7の周方向に間隔をおいて計2箇所ずつ設けられ、
リングホルダ7の両面において互い違いになっている。
また、リングホルダ7の両面にはボール6の内側に接触
するボールガイド7bが設けられ、ボールガイド7bの
外周は計2箇所の小径部7cと、各小径部7cの間に位
置する計2箇所の大径部7dとからなる。各小径部7c
及び各大径部7dは連続して形成され、各小径部7cは
ガード壁7aに対応する位置に設けられている。また、
各ボールガイド7bの中央には、センタープレート4の
受け溝4aに嵌合する角形の突起7eが設けられてい
る。
【0022】各リングカバー8は円板状に形成され、そ
れぞれリングホルダ7の両側に配置されている。各リン
グカバー8の中央には角形の孔8aが設けられ、孔8a
にはリングホルダ7の突起7dが挿入されている。
【0023】各固定ブロック9はセンタープレート4の
両側及びリングホルダ7の両側にそれぞれ配置され、セ
ンタープレート4の両側に位置する一方の固定ブロック
9にはボルト挿通用の孔9aが設けられ、他方の固定ブ
ロック9にはボルト螺着用のネジ孔9bが設けられてい
る。
【0024】各出力シャフト10はギヤケース1の軸心
方向に延び、それぞれの対向面には凹面状に形成された
球面部10aが設けられている。球面部10aにはボー
ル6に嵌合する多数のボール溝10bが形成され、各ボ
ール溝10bは同一方向に湾曲した所定曲率のカーブを
描いている。この場合、各出力シャフト10は単品では
同一形状の部品であり、組立後は互いに反対向きに配置
されることから、各出力シャフト10のボール溝10b
は各出力シャフト10の軸心に対して互いに反対方向に
湾曲した状態となる。
【0025】以上の構成においては、図3及び図4に示
すように、各ボール6を収容した各ボールリング5がリ
ングホルダ7の両面に保持され、各ボールリング5は各
リングカバー8によって覆われる。その際、各リングカ
バー8の孔8aからはリングホルダ7の各突起7eが突
出する。この状態でリングホルダ7がセンタープレート
4の内側に収容され、各突起7eが受け溝4aに嵌合
し、各固定ブロック9が計4本のボルト11によってセ
ンタープレート4に組付けられる。即ち、各ボルト11
は一方の固定ブロック9の孔9aに挿入されるととも
に、センタープレート4の孔4bを挿通し、他方の固定
ブロック9のネジ孔9bに螺着される。これにより、セ
ンタープレート4の受け溝4aに嵌合された突起7eが
各固定ブロック9に挟持され、リングホルダ7がセンタ
ープレート4に確実に固定される。その際、各ボール6
の内側にはボールガイド7bの外周が接触し、各ボール
6はボールリング5の径方向に対する位置をボールガイ
ド7bの小径部7c及び大径部7dによって規制され
る。即ち、ボールガイド7bの小径部7cに位置するボ
ール6はボールリング5の外周面よりも内側に位置する
とともに、ボールリング5の外周面はリングホルダ7の
ガード壁7aで覆われることから、ボール6がボールリ
ング5の外側に突出することはない。また、ボールガイ
ド7bの大径部7dに位置するボール6は大径部7dに
よってボールリング5の外側に偏位し、その一部がボー
ルリング5の外側に突出している。そして、センタープ
レート4の両側は各出力シャフト10の球面部10aに
よって覆われ、各球面部10aのボール溝10bにはボ
ールリング5の外側に突出しているボール6が嵌合す
る。
【0026】このようにして形成された組体は、図5に
示すようにギヤケース1内に収容される。即ち、一方の
出力シャフト10はスラストワッシャ12を介してギヤ
ケース1の軸受け1aに挿入され、センタープレート4
はギヤケース1の受け部1dに嵌合される。この状態で
ギヤケース1にギヤケースカバー2が組付けられ、他方
の出力シャフト10がスラストワッシャ12を介してギ
ヤケースカバー2の軸受け2aに挿入される。その際、
センタープレート4は受け部1dとギヤケースカバー2
の挿入部2dによって挟持され、センタープレート4が
ギヤケース1に確実に固定される。リングギヤ3はボル
ト13によってギヤケース1及びギヤケースカバー2の
フランジ1b,2bに組付けられる。即ち、ボルト13
はフランジ2bの孔2cに挿入されるとともに、フラン
ジ1bの孔1cを挿通し、リングギヤ3のネジ孔3aに
螺着される。
【0027】以上のように構成された差動装置は、例え
ば自動車の左右駆動輪の動力伝達機構に設けられる。即
ち、この差動装置は図1の一点鎖線で示すように動力伝
達機構のケース14(一部図示省略)内に収容され、ギ
ヤケース1の軸受け1a及びギヤケースカバー2の軸受
け2aがベアリング15を介してケース14に支持され
る。また、リングギヤ3にはエンジンからの駆動力を伝
達するピニオンギヤ16が噛合しており、各出力シャフ
ト10には左右駆動輪の駆動軸17が連結されている。
【0028】ここで、前記差動装置の動作を各駆動輪に
回転差が生じていない場合と、各駆動輪に回転差が生じ
た場合と、一方の駆動輪が空転し易い状態に陥った場合
についてそれぞれ説明する。
【0029】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各駆動輪に回転差が生じていない場合
は、ピニオンギヤ15の回転力がリングギヤ3を介して
ギヤケース1に伝達され、ギヤケース1が軸心回りに回
転する。また、ギヤケース1が回転すると、センタープ
レート4、リングホルダ7及び各ボールリング5がギヤ
ケース1の軸心を中心に回転し、この回転力は各出力シ
ャフト10のボール溝10bに嵌合するボール6を介し
て各出力シャフト10の球面部10aに伝達される。こ
の場合、図6に示すように一方のボールリング5を例に
とると、図中斜線で示すようにボールリング5の中心を
間にして対称に位置する計3個ずつのボール6(ボール
リング5の回転角によっては計2個ずつの場合もある)
を介して駆動力が各出力シャフト10に伝達され、各出
力シャフト10がギヤケース1と一体に回転する。
【0030】また、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各出力シャフト10に回転差が生ずると、各出
力シャフト10が互いに反対方向に回転するので、各出
力シャフト10のボール溝10bがボール6を転動さ
せ、図7に示すように各ボールリング5がボール6の転
動に追従して各出力シャフト10の回転軸X1 に直交す
る軸X2 を中心に互いに反対方向に回転する。これによ
り、各出力シャフト10の差動が達成される。この場
合、一方の出力シャフト10が時計回りに回転し、他方
の出力シャフト10が反時計回りに回転すれば、図8
(a) に示すように一方のボールリング5が時計回りに回
転し、図8(b) に示すように他方のボールリング5が反
時計回りに回転する。また、各ボールリング5が回転す
ると各ボール6はリングホルダ7のボールガイド7bに
沿って移動するが、ボールガイド7bはボールリング5
に対しては回転しないので、ボールガイド7bの大径部
7dに位置していたボール6が小径部7cに移動する
と、後続のボール6が小径部7cから大径部7dに移動
する。ここで注意しなければならないのは、一つの出力
シャフト10においてボール溝10bがボール6を移動
させる方向は球面部10aの中心が基点になるため、仮
に全てのボール6をボール溝10bに嵌合させると、ボ
ール溝10bがボール6を移動させる方向が同一のボー
ルリング5において球面部10aの中心を境に反対方向
になり、ボールリング5を回転させることができなくな
る。従って、同一のボールリング5においては、球面部
10aの中心の片側に位置するボール6のみをボール溝
10bに嵌合させることにより、ボールリング5の回転
が可能になる。また、ボールリング5が回転すると各ボ
ール6の位置が変わるので、駆動力を伝達しているボー
ル6の中心から各出力シャフト10の軸心までの垂直距
離は常に一定ではないが、図9に示すように駆動力を伝
達しているボール6から各出力シャフト10の軸心まで
の垂直距離を一方の出力シャフト10でL1 ,L2,L3
とし、他方の出力シャフト10でL1',L2',L3'と
すると、各出力シャフト10では各ボール6の位置が対
称的なので、ボールリング5が回転しても常にL1 =L
1'、L2 =L2'、L3 =L3'の関係が保たれる。従っ
て、各出力シャフト10に伝達されるトルクは、如何な
る差動状況においても常に等しくなる。
【0031】次に、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
ったときなど、片方の駆動輪のみが空転し易い状態に陥
った場合には、各出力シャフト10に回転差を発生させ
る力が一方の出力シャフト10のみから加わるので、他
方の出力シャフト10では差動時に従動側となるボール
6が主動側であるボール溝10bを自らの動きに追従さ
せようとする。このため、このボール6がボール溝10
bから反力を受け、これが抵抗となって各出力シャフト
10の差動が制限される。従って、一方の駆動輪に滑り
が生じても他方の駆動輪のトルクを減少させずに左右異
なった割合でトルクが伝達され、総駆動力の減少が防止
される。また、前述のようにボール6からボール溝10
bに力が加わると、各出力シャフト10が互いに離れる
方向にスラスト荷重が発生する。これにより、各出力シ
ャフト10がスラストワッシャ12に押し付けられ、出
力シャフト10とスラストワッシャ12との間に滑り摩
擦が生じ、この摩擦抵抗によっても各出力シャフト10
の差動が制限される。
【0032】ところで、各ボール溝10bはボール6の
移動方向(ボールリング5の回転方向)に対して所定の
角度をもってボール6に接しているが、この接触角が大
きいほど差動制限効果も大きい。即ち、図10に示すよ
うにボール6の移動方向をx軸、ボール溝10bの移動
方向をy軸、ボール溝10bの中心線をなす曲線とボー
ル6との接線をTとすると、x軸と接線Tがなす角度が
ボール6とボール溝10bとの接触角θとなる。また、
差動制限効果の大きさは、ボール6の動きにボール溝1
0bが追従しようとする際にボール6がボール溝10b
から受ける反力の大きさに比例する。即ち、図11(a)
に示すように、出力シャフト10がボール6から受ける
荷重をW(x軸方向)、ボール6とボール溝10bとの
接触角をθ1 、ボール6がボール溝10bから受ける反
力をF1 (y軸方向)とすると、 F1 =W・tanθ1 となる。また、図11(b) に示すように、ボール6とボ
ール溝10bとの接触角をθ2 (>θ1 )とすると、 F2 =W・tanθ2 となる。これにより、F1 <F2 が導かれることから、
接触角θが大きくなるとボール6がボール溝10bから
受ける反力、即ち差動制限効果が大きくなることが分か
る。従って、接触角θの大きさを任意に設定することに
より、用途に応じた差動制限効果を得ることができる。
【0033】このように、本実施例の差動装置は、各出
力シャフト10のボール溝10bにボールリング5に保
持されたボール6を嵌合し、各出力シャフト10の差動
をボールリング5の回転により連動させるという非常に
簡単な構造からなるので、製造が容易で部品点数も少な
く、生産性の向上並びに小型化に極めて有利である。ま
た、各出力シャフト10に回転差を発生させる力が一方
の出力シャフト10のみから加わった際、ボール6がボ
ール溝10bから受ける反力を利用して各出力シャフト
10の差動を制限するようにしたので、他に特別な機構
を追加することなく差動制限機構付き差動装置を実現す
ることができる。更に、本実施例による差動制限効果は
トルク感応型であるため、ビスカス・カップリングのよ
うな回転数感応型とは異なり常に安定した動作が得られ
る。また、ボール溝10bとボール6の接する角度の大
きさを任意に設定することにより、用途に応じた差動制
限効果を得ることができるので、汎用性に優れていると
いう利点もある。
【0034】尚、本実施例の動作は転がり摩擦を主体と
しており、しかも差動時のボール6の移動及び転動は極
めて低速及び低回転なものであるが、ボールリング5の
ボール孔5aにボールベアリングやローラベアリング等
を設けることにより、ボール6との摩擦抵抗を更に少な
くすることも可能である。
【0035】
【実施例2】図12乃至図15は本発明の第2の実施例
で、前記第1の実施例ではボールリングを出力側回転体
の内側に配置したのに対して、本実施例ではボールリン
グを出力側回転体の外側に配置している。即ち、図12
は差動装置の側面断面図、図13はその平面断面図、図
14及び図15はその要部分解斜視図である。
【0036】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース20と、ギヤケース20の一端を閉塞するギヤケ
ースカバー21と、ギヤケース20の外周に設けられた
リングギヤ22と、ギヤケース20の軸心に直交する方
向に対向する一対のボールリング23と、各ボールリン
グ23に出没自在に保持された多数のボール24と、各
ボールリング23を回動自在に保持するリングホルダ2
5と、リングホルダ25に回動自在に保持された一対の
ボールリング23と、ギヤケース20の軸心方向に対向
する出力側回転体としての一対の出力シャフト26とか
ら構成されている。
【0037】ギヤケース20は一端を開口した筒形の部
材からなり、その他端には一方の出力シャフト27を貫
通する軸受け20aが設けられている。ギヤケース20
の開口部にはフランジ20bが形成され、フランジ20
bにはボルト挿通用の多数の孔20cが設けられてい
る。また、ギヤケース20の内面には各リングホルダ2
5を受容する受け溝20dが設けられている。
【0038】ギヤケースカバー21は円板状に形成さ
れ、その中央には他方の出力シャフト10を貫通する軸
受け21aが設けられている。ギヤケースカバー21の
周縁にはフランジ21bが形成され、フランジ21bに
はボルト挿通用の多数の孔21cが設けられている。
【0039】リングギヤ22は一端面を歯車によって形
成され、その他端面にはボルト螺着用の多数のネジ孔2
2aが設けられている。また、リングギヤ22の内径は
ギヤケース20の外径よりも大きく形成されている。
【0040】各ボールリング23はボール24を収容す
る多数のボール孔23aを有し、各ボール孔23aはボ
ールリング23の周方向一列に等間隔で配置されてい
る。
【0041】各ボール24はボールリング23のボール
孔23aよりも若干小さい外径を有し、各孔25aに自
由に転動できる状態で収容されている。
【0042】各リングホルダ25は各ボールリング23
を間にして対向し、その対向面には各ボールリング23
がそれぞれ回動自在に保持される。リングホルダ25の
内側にはボールリング23に保持されたボール24の外
側に接触する円弧状のガード壁25aが形成され、ガー
ド壁25aはリングホルダ25の周方向に間隔をおいて
計2箇所に設けられている。また、リングホルダ25の
内面には各ボール24の外側に接触するボールガイド2
5bが設けられ、ボールガイド25bの内周は計2箇所
の小径部25cと、各小径部25cの間に位置する計2
箇所の大径部25dとからなる。各小径部25c及び各
大径部25dは連続して形成され、各大径部25dはガ
ード壁25aに対応する位置に設けられている。また、
各リングホルダ25の外側の中央にはギヤケース20の
受け溝20dに嵌合する略角形の突起25eが設けられ
ている。
【0043】各出力シャフト26はギヤケース1の軸心
方向に延び、その一端側には凸面状に形成された球面部
26aが設けられている。球面部26aにはボール24
に嵌合する多数のボール溝26bが形成され、各ボール
溝26bは同一方向に湾曲した所定曲率のカーブを描い
ている。この場合、各出力シャフト26は単品では同一
形状の部品であり、組立後は互いに反対向きに配置され
ることから、各出力シャフト26のボール溝26bは各
出力シャフト26の軸心に対して互いに反対方向に湾曲
した状態となる。
【0044】以上の構成においては、図14に示すよう
に、各出力シャフト26の球面部26aの外側にボール
24を収容した各ボールリング23が配置され、各ボー
ルリング23は各リングホルダ25によって覆われる。
その際、各ボール24の外側にはボールガイド25bの
内周が接触し、各ボール24はボールリング23の径方
向に対する位置をボールガイド25bの小径部25c及
び大径部25dによって規制される。即ち、ボールガイ
ド25bの大径部25dに位置するボール24はボール
リング23の内周面よりも外側に位置するとともに、ボ
ールリング23の内周面はリングホルダ25のガード壁
25aで覆われることから、ボール24がボールリング
23の内側に突出することはない。また、ボールガイド
25bの小径部25cに位置するボール24は小径部2
5cによってボールリング23の内側に偏位し、その一
部がボールリング23の内側に突出している。これによ
り、各出力シャフト26のボール溝26bにはボールリ
ング23の内側に突出しているボール24が嵌合する。
【0045】このようにして形成された組体は、図15
に示すようにギヤケース20内に収容される。即ち、一
方の出力シャフト26はギヤケース20の軸受け20a
に挿入され、各リングホルダ25の突起25eはギヤケ
ース20の受け溝20dに嵌合される。この状態でギヤ
ケース20にギヤケースカバー21が組付けられ、他方
の出力シャフト26がギヤケースカバー21の軸受け2
1aに挿入される。そして、リングギヤ22はボルト2
7によってギヤケース20及びギヤケースカバー21の
フランジ20b,21bに組付けられる。即ち、ボルト
27はフランジ21bの孔21cに挿入されるととも
に、フランジ20bの孔20cを挿通し、リングギヤ2
2のネジ孔22aに螺着される。
【0046】以上の構成では、ギヤケース20が外部か
らの駆動力によって軸心回りに回転すると、各ボールリ
ング23がギヤケース20の軸心を中心に回転し、この
回転力は各出力シャフト26のボール溝26bに嵌合す
るボール24を介して各出力シャフト26の球面部26
aに伝達される。ここで、各出力シャフト26に回転差
が生ずると、各出力シャフト26のボール溝26bがボ
ール24を転動させ、各ボールリング23がボール24
の転動に追従してギヤケース20の軸心に直交する軸を
中心に互いに反対方向に回転する。これにより、各出力
シャフト26の差動が達成される。その際、各出力シャ
フト26に回転差を発生させる力が一方の出力シャフト
26のみから加わると、他方の出力シャフト26では差
動時に従動側となるボール24が主動側であるボール溝
26bを自らの動きに追従させようとするため、ボール
24がボール溝26bから反力を受け、これが抵抗とな
って各出力シャフト26の差動が制限される。この場
合、ボール24がボール溝26bから受ける反力の大き
さ、即ち差動制限効果の大きさは、前記実施例と同様、
ボール24とボール溝26bとの接触角の大きさを変え
ることにより任意に設定することが可能である。また、
本実施例の場合、各出力シャフト26の球面部26aを
互いに近づける方向にスラスト荷重が発生するので、各
出力シャフト26の端面同士が圧接して滑り摩擦が生
じ、この摩擦抵抗による差動制限効果も得ることができ
る。この場合、各出力シャフト26の端面間に第1の実
施例のようなスラストワッシャと同等の部材を介装して
もよい。
【0047】
【実施例3】図16は本発明の第3の実施例で、前記第
1の実施例では各ボールリングにボールを一列ずつ設け
たのに対して、本実施例では各ボールリングにボールを
計2列ずつ設けている。即ち、この差動装置は、第1の
実施例と同様、センタープレート30、リングホルダ3
1、一対のボールリング32、多数のボール33、一対
のリングカバー34及び計4個の固定ブロック35を有
するとともに、各ボールリング32を覆う一対のガード
カバー36を備えている。尚、ギヤケース、キャリアカ
バー、リングギヤ及びドライブシャフトは第1の実施例
と同等のものが用いられることから図示は省略する。
【0048】センタープレート30の内側に設けられた
開口部は第1の実施例よりも幅が広く形成され、その両
端にはリングホルダ31を固定する受け溝30aが設け
られている。また、各受け溝30aの近傍にはボルト挿
通用の孔30bが計2箇所ずつ設けられている。
【0049】リングホルダ31の両側には計2段に形成
されたボールガイド31a,31bがそれぞれ設けら
れ、外側のボールガイド31aの外径は内側のボールガ
イド31bよりも小さく形成されている。また、外側の
ボールガイド31aの中央にはセンタープレート30の
受け溝30aに嵌合する角形の突起31cが設けられて
いる。
【0050】各ボールリング32にはボール33を収容
するボール孔32aが計2列ずつ設けられ、各列のボー
ル孔32aは計14個ずつ互い違いにずれている。
【0051】各ボール33は各ボールリング32のボー
ル孔32aに収容され、その数は片方のボールリング3
2で計28個ずつになる。
【0052】各リングカバー34の中央にはリングホル
ダ31の突起31cを挿入するための角形の孔34aが
設けられている。
【0053】各固定ブロック35の一方にはボルト挿通
用の孔35aが設けられ、他方の固定ブロック35には
ボルト螺着用のねじ孔35bが設けられている。
【0054】各ガードカバー36は第1の実施例のガー
ド壁5aに相当するもので、肉圧の薄い椀形に形成され
ている。各ガードカバー36には、各ボールガイド31
a,31bの大径部に対応する孔36aと、リングホル
ダ31の突起31cを挿入するための角形の孔36bが
設けられている。
【0055】以上の構成においては、各ボール33を収
容した各ボールリング32がリングホルダ31の両側に
嵌着され、その上を各リングカバー34及び各ガードカ
バー36によって覆われる。その際、各リングカバー3
4の孔34a及び各ガードカバー36の孔36bからは
リングホルダ31の各突起31cが突出する。この状態
でリングホルダ31がセンタープレート30の内側に収
容され、各突起31cが受け溝30aに嵌合し、各固定
ブロック35が計4本のボルト37によってセンタープ
レート30に組付けられる。即ち、各ボルト37は一方
の固定ブロック35の孔35aに挿入されるとともに、
センタープレート30の孔30bを挿通し、他方の固定
ブロック35のねじ孔35bに螺着される。また、各ガ
ードカバー36の孔36aからは各ボールガイド31
a,31bの大径部によってボールリング32の外側に
偏位したボール33が突出し、このボール33が図示し
ないドライブシャフトのボール溝に嵌合する。
【0056】このような構成により、本実施例の差動装
置においても前記第1の実施例と同様の作用が得られ
る。また、駆動力を伝えるボールの数が第1の実施例の
2倍になるので、強度を高めることができ、大型の車両
等に有効である。尚、動作の原理については、第1の実
施例と同様であることから説明は省略する。
【0057】
【実施例4】図17は本発明の第4の実施例で、前記第
1の実施例では計2個のボールリングを備えたものを示
したが、本実施例では単一のボールリングを備えてい
る。即ち、この差動装置は、第1の実施例と同様、セン
タープレート40、リングホルダ41、ボールリング4
2、多数のボール43、リングカバー44及び計4個の
固定ブロック45を備えている。尚、ギヤケース、キャ
リアカバー、リングギヤ及びドライブシャフトは第1の
実施例と同等のものが用いられることから図示は省略す
る。
【0058】センタープレート40の内側に設けられた
開口部は第1の実施例よりも幅が狭く形成され、その両
端にはリングホルダ41を固定する受け溝40aが設け
られている。また、各受け溝40aの近傍にはボルト挿
通用の孔40bが計2箇所ずつ設けられている。
【0059】リングホルダ41の片側にはガード壁41
a及びボールガイド41bがそれぞれ設けられ、その中
央にはセンタープレート40の受け溝40aに嵌合する
角形の突起41cが両側に設けられている。
【0060】ボールリング42にはボール43を収容す
る計14個のボール孔42aが一列に設けられている。
【0061】各ボール43はボールリング42の各ボー
ル孔42aに自由に転動できる状態で収容されている。
【0062】リングカバー44の中央にはリングホルダ
41の突起41cを挿入するための角形の孔44aが設
けられている。
【0063】各固定ブロック45の一方にはボルト挿通
用の孔45aが設けられ、他方の固定ブロック45には
ボルト螺着用のねじ孔45bが設けられている。
【0064】以上の構成においては、各ボール43を収
容したボールリング42がリングホルダ41の片側に嵌
着され、その上をリングカバー44によって覆われる。
その際、リングカバー44の孔44aからはリングホル
ダ41の一方の突起41cが突出する。この状態でリン
グホルダ41がセンタープレート40の内側に収容さ
れ、各突起41cが受け溝40aに嵌合し、各固定ブロ
ック45が計4本のボルト46によってセンタープレー
ト40に組付けられる。即ち、各ボルト46は一方の固
定ブロック45の孔45aに挿入されるとともに、セン
タープレート40の孔40bを挿通し、他方の固定ブロ
ック45のねじ孔45bに螺着される。そして、ボール
リング42の外側に突出しているボール43が図示しな
いドライブシャフトのボール溝に嵌合する。
【0065】このような構成により、本実施例の差動装
置においても前記第1の実施例と同様の作用が得られ
る。また、第1の実施例に比べて構造が簡単なため、小
型の車両等に有効である。尚、動作の原理については、
第1の実施例と同様であることから説明は省略する。
【0066】
【実施例5】図18乃至図21は本発明の第5の実施例
で、図18は差動装置の平面断面図、図19はその側面
断面図、図20は図19のA−A線方向矢視断面図、図
21は差動装置の分解斜視図である。
【0067】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース50と、ギヤケース50の一端を閉塞するギヤケ
ースカバー51と、ギヤケース50内の中央に固定され
たセンタープレート52と、センタープレート52を間
にしてギヤケース50の軸心に直交する方向に対向する
一対の球面体53と、各球面体53をセンタープレート
52に回動自在に保持させる計2つの固定プレート54
と、各球面体53を間にしてギヤケース50の軸心方向
に対向する出力側回転体としての一対の出力シャフト5
5と、各出力シャフト55のリング部55aに保持され
た多数のボール56と、各リング部55aを回動自在に
保持する一対のリングホルダ57と、各リング部55a
を各リングホルダ57に組付けるための計2つの固定プ
レート58と、各リング部55aの内側に配置された一
対のボールガイド59とから構成されている。
【0068】ギヤケース50は一端を開口した筒形の部
材からなり、その他端には一方のボールリング55の一
部を貫通する軸受け50aが設けられている。ギヤケー
ス50の開口部にはフランジ50bが形成され、フラン
ジ50bにはボルト挿通用の多数の孔50cが設けられ
ている。また、ギヤケース50の側面にはセンタープレ
ート52を受容する受け溝50dと、各球面体53を受
容する受け溝50eがそれぞれ設けられている。
【0069】ギヤケースカバー51は円板状に形成さ
れ、その中央には他方のボールリング55の一部を貫通
する軸受け51aが設けられている。ギヤケースカバー
51の周縁にはフランジ51bが形成され、フランジ5
1bにはボルト挿通用の多数の孔51cが設けられてい
る。
【0070】センタープレート52は一方の球面体53
側に一部を分割された分割部52aを有し、その中央に
は固定プレート54の一部が嵌合する孔52bが設けら
れている。また、センタープレート52にはギヤケース
50の受け溝50eに嵌合する突片52cと、各ボール
ガイド59を固定するためのネジ孔52dがそれぞれ設
けられている。
【0071】各球面体53はギヤケース50の軸心に直
交する方向に延びるシャフト55aを有し、その一端側
を凸面状に形成されている。各球面体53には各ボール
56に嵌合する多数のボール溝55bが形成され、各ボ
ール溝55bは同一方向に湾曲した所定曲率のカーブを
描いている。この場合、各球面体53は単品では互いに
同一形状の部品であり、組立後は互いに反対向きに配置
されることから、各球面体53のボール溝55bは各球
面体53の軸心に対して互いに反対方向に湾曲した状態
となる。また、各球面体53の対向面側には各固定プレ
ート54を締結するための複数のネジ孔55cが設けら
れている。
【0072】各固定プレート54は円板状に形成され、
その周面にはフランジ54aが設けられている。各固定
プレート54にはボルト挿通用の孔54bが設けられ、
この孔54bに挿通されたボルト54cを球面体53の
ネジ孔55cに螺合することにより、一方の球面体53
と一方の固定プレート54とがセンタープレート52の
孔52bを介して締結され、他方の球面体53と他方の
固定プレート54とがセンタープレート52の分割部5
2aの孔52bを介して締結される。これにより、各固
定プレート54のフランジ54aが孔52bの周縁に係
止し、各球面体53がセンタープレート52及び分割部
52aに回動自在に保持される。また、センタープレー
ト52及び分割部52aは各球面体53を保持した状態
で互いに合体され、その内側に配置される各固定プレー
ト54の端面同士を互いに対向させている。
【0073】各出力シャフト55はギヤケース50の軸
心方向に延び、その一端側には筒状に拡大したリング部
55aが設けられている。リング部55aには各ボール
56を収容する多数のボール孔55bが設けられ、各ボ
ール孔55bはリング部55aの周方向一列に等間隔で
配置されている。また、リング部55aの背面側には各
固定プレート58を締結するための複数のネジ孔55c
が設けられている。
【0074】各ボール56はリング部55aのボール孔
55bよりも若干小さい外径を有し、各孔55bに自由
に転動できる状態で収容されている。
【0075】各リングホルダ57は筒状に形成され、そ
の一端側の中央にはリング部55aの一部が嵌合する孔
57aが設けられている。各リングホルダ57の内面に
は各ボール56の外側に接触する小径のボール案内部5
7b及び大径のボール案内部57cが設けられ、各ボー
ル案内部57b,57cは交互に計2箇所ずつ周方向に
連続して形成されている。また、各リングホルダ57の
開口縁にはセンタープレート52の突片52cを受容す
る受け溝57dと、各球面体53のシャフト55aを受
容する受け溝57eがそれぞれ設けられている。
【0076】各固定プレート58は円板状に形成され、
その中央には出力シャフト55を挿通する孔58aが設
けられている。各固定プレート58にはネジ挿通用の複
数の孔58bが設けられ、この孔58bに挿通されたネ
ジ58cをリング部55aのネジ孔55cに螺合するこ
とにより、各リング部55aと固定プレート58とがリ
ングホルダ57の孔57aを介して締結される。これに
より、固定プレート58がリングホルダ57の孔57a
の周縁に係止し、リング部55aがリングホルダ57内
に回動自在に保持される。
【0077】各ボールガイド59は各球面体53を間に
して対向しており、各球面体53の外周面の一部を覆っ
ている。各ボールガイド59の周縁には切り欠き部59
aが周方向に間隔をおいて計2箇所に設けられ、各切り
欠き部59aはリングホルダ57の小径のボール案内部
57bに対応する位置に形成されている。また、各ボー
ルガイド59にはネジ挿通用の複数の孔59bが設けら
れ、この孔59bに挿通されたネジ59cをセンタープ
レート52のネジ孔52dに螺合することにより、各ボ
ールガイド59がセンタープレート52に締結される。
【0078】以上の構成では、ギヤケース50が外部か
らの駆動力によって軸心回りに回転すると、各球面体5
3がギヤケース50の軸心を中心に回転し、この回転力
は各球面体53のボール溝55bに嵌合するボール56
を介して各出力シャフト55のリング部55aに伝達さ
れる。ここで、各出力シャフト55に回転差が生ずる
と、各リング部55aに保持された各ボール56が各球
面体53のボール溝55bを転動し、各ボール56の転
動に追従して各球面体53がギヤケース50の軸心に直
交する軸を中心に互いに反対方向に回転する。これによ
り、各出力シャフト55の差動が達成される。その際、
各出力シャフト55に回転差を発生させる力が一方の出
力シャフト55のみから加わると、他方の出力シャフト
55では差動時に従動側となるボール溝55bが主動側
であるボール56を自らの動きに追従させようとするた
め、このボール溝55bがボール56から反力を受け、
これが抵抗となって各出力シャフト55の差動が制限さ
れる。この場合、ボール溝55bがボール56から受け
る反力の大きさ、即ち差動制限効果の大きさは、前記実
施例と同様、ボール56とボール溝55bとの接触角の
大きさを変えることにより任意に設定することが可能で
ある。また、本実施例の場合も第2の実施例と同様、各
球面体53を互いに近づける方向にスラスト荷重が発生
するので、各球面体53間に介在する各固定プレート5
4の端面同士が圧接して滑り摩擦が生じ、この摩擦抵抗
による差動制限効果も得ることができる。この場合、各
固定プレート54の端面間に第1の実施例のようなスラ
ストワッシャと同等の部材を介装してもよい。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1、2及び
3の差動装置よれば、差動制限効果を得るための特別な
機構を追加する必要がなく、しかもトルク感応型の極め
て安定した差動制限効果を得ることができるので、従来
では例を見ない極めて小型で低コストな差動装置を実現
することができる。更に、本発明では用途に応じた差動
制限効果を任意に設定することができるので、汎用性に
優れているという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す差動装置の側面断
面図
【図2】差動装置の平面断面図
【図3】差動装置の要部分解斜視図
【図4】差動装置の要部分解斜視図
【図5】差動装置の要部分解斜視図
【図6】駆動力の伝達状態を示す説明図
【図7】差動状態を示す動作説明図
【図8】差動状態における各ボールリングの動作説明図
【図9】トルクの伝達状態を示す説明図
【図10】ボール溝とボールの接触角を示す説明図
【図11】接触角の違いによる差動制限効果の対比説明
【図12】本発明の第2の実施例を示す差動装置の側面
断面図
【図13】差動装置の平面断面図
【図14】差動装置の要部分解斜視図
【図15】差動装置の要部分解斜視図
【図16】本発明の第3の実施例を示す差動装置の要部
分解斜視図
【図17】本発明の第4の実施例を示す差動装置の要部
分解斜視図
【図18】本発明の第5の実施例を示す差動装置の平面
断面図
【図19】差動装置の側面断面図
【図20】図19のA−A線方向矢視断面図
【図21】差動装置の分解斜視図
【符号の説明】
1…ギヤケース、5…ボールリング、5a…ボール孔、
6…ボール、10…出力シャフト、10a…球面部、1
0b…ボール溝、20…ギヤケース、24…ボールリン
グ、24a…ボール孔、25…ボール、26…出力シャ
フト、26a…球面部、26b…ボール溝、32…ボー
ルリング、32a…ボール孔、33…ボール、42…ボ
ールリング、42a…ボール孔、43…ボール、50…
ギヤケース、53…球面体、53b…ボール溝、55…
出力シャフト、55a…リング部、55b…ボール孔、
56…ボール。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部から入力された駆動力によって軸心
    回りに回転する入力側回転体と、入力側回転体の軸心上
    に配置された一対の出力側回転体とを備え、各出力側回
    転体の相互の回転運動により各出力側回転体に生じた回
    転差を許容する差動装置において、 前記各出力側回転体の相互の回転運動を連動させる多数
    の溝及びこれに転動自在に嵌合する多数のボールを備え
    たことを特徴とする差動装置。
  2. 【請求項2】 外部から入力された駆動力によって軸心
    回りに回転する入力側回転体と、 入力側回転体の軸心に直交する軸を中心に周方向に回転
    可能な状態で入力側回転体に保持された少なくとも一つ
    のリングと、 リングの周面に周方向に等間隔で設けられた多数の孔に
    出没自在に保持された多数のボールと、 リングを間にして入力側回転体の軸心上に対向して配置
    された一対の出力側回転体と、 リングの周面に臨んで各出力側回転体の対向部位にそれ
    ぞれ設けられた一対の球面部と、 リングに保持されたボールの一部をリングの周方向所定
    位置においてリングの周面から突出させる案内部とを備
    え、 各出力側回転体の球面部には各出力側回転体が互いに反
    対方向に回転すると各リングの周面から突出しているボ
    ールを案内して各リングを所定方向に回転させる多数の
    溝を設けたことを特徴とする差動装置。
  3. 【請求項3】 外部から入力された駆動力によって軸心
    回りに回転する入力側回転体と、 入力側回転体の軸心に直交する軸を中心に回転可能な状
    態で入力側回転体に保持された一対の球面体と、 各球面体を間にして入力側回転体の軸心上に対向して配
    置された一対の出力側回転体と、 周面を各球面体に臨ませて各出力側回転体の対向部位に
    それぞれ設けられた一対のリング部と、 各リング部の周面に周方向に等間隔で設けられた多数の
    孔に出没自在に保持された多数のボールと、 各リング部に保持されたボールの一部をリング部の周方
    向所定位置においてリング部の周面から突出させる案内
    部とを備え、 各球面体には各出力側回転体が互いに反対方向に回転す
    ると各リング部の周面から突出しているボールに案内さ
    れて各球面体を互いに反対方向に回転させる多数の溝を
    設けたことを特徴とする差動装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008121738A (ja) * 2006-11-09 2008-05-29 Gkn ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 回転駆動力を伝達する部材が固定されるフランジ構造
CN112628357A (zh) * 2021-02-15 2021-04-09 杭州天微基因科技有限公司 一种用于核酸提取的齿轮箱

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