JPH08109958A - 回転伝動機構及びこれを用いた差動装置 - Google Patents

回転伝動機構及びこれを用いた差動装置

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JPH08109958A
JPH08109958A JP24770494A JP24770494A JPH08109958A JP H08109958 A JPH08109958 A JP H08109958A JP 24770494 A JP24770494 A JP 24770494A JP 24770494 A JP24770494 A JP 24770494A JP H08109958 A JPH08109958 A JP H08109958A
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ball
rotating body
differential
gear
side rotating
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JP24770494A
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Kenji Mimura
建治 三村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 差動時の回転速度差に比例して徐々に大きく
なる特性を持った回転感応の差動制限効果を得ることの
できる差動装置を提供する。 【構成】 各ドライブシャフト3,4に回転差が生ずる
と、各ピニオンギヤ12が自転し、サイドギヤ5及びハ
ウジングギヤ11の逆転により差動が達成される。その
際、第1ボールディスク6は一方のドライブシャフト3
と一体に回転し、第2ボールディスク7は他方のドライ
ブシャフト4と一体に回転するので、各ボールディスク
6,7は互いに反対方向に回転する。これにより、各ボ
ール8は第1ボールディスク6の溝6bに案内されなが
ら第2ボールディスク7の溝7b内を往復移動する。そ
の際、各ボール8は粘性流体13中を転動するため、各
ボール8に粘性流体13による抵抗が作用し、この抵抗
は回転速度差に応じて大きくなり、回転感応の差動制限
効果として作用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主に自動車の駆動力伝達
系に用いられる回転伝動機構及びこれを用いた差動装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の駆動力伝達系に用いられ
る差動装置は、カーブを走行する際の左右駆動輪の回転
差、または四輪駆動車における前後駆動輪の回転差を許
容する装置であるが、一方の駆動輪が雪や砂等、摩擦係
数の極端に少ない路面に乗り上げると、その車輪が空転
して全体の駆動力が失われ、その場から脱出できなくな
るという状態に陥り易かった。また、カーブを高速で走
行する際、遠心力により内側の車輪の荷重が極端に減少
した場合にも、その車輪が空転して駆動力が失われ易い
という欠点もある。
【0003】このような欠点を補うために、従来の差動
装置には差動制限機能を備えたものがあり、これにはピ
ニオンギヤから構成された一般的な差動伝達機構に、ビ
スカス・カップリングからなる回転感応型の差動制限機
構を追加したものが知られている。ビスカス・カップリ
ングは一種の粘性クラッチであり、粘性流体(シリコン
オイル等)の剪断抵抗を利用してトルクを伝えるように
構成され、回転差に感応した差動制限効果を得ることが
できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビスカ
ス・カップリングのように粘性流体の剪断抵抗のみを利
用した差動制限機構では、各駆動輪の回転速度差に対し
て急激な差動制限効果を示し、その後は徐々に差動制限
効果が低下するという特性を持っているため、例えば四
輪アンチロック・ブレーキのように各車輪が互いに拘束
されない条件の下で有効に機能する装置と組み合わせる
場合には、差動制限効果は回転速度差に応じて徐々に大
きくなる方が理想的であり、ビスカス・カップリングを
用いた差動制限機構との組み合わせには適していないと
いう問題点があった。また、同様に粘性流体を用いた差
動制限機構としては、粘性流体をオリフィス等の狭い孔
を流通させることにより、その流動抵抗を利用して差動
制限効果を得るようにしたものもあるが、この場合は高
精度な加工を必要とする上に、孔が精密であるためゴミ
詰まりなどが発生し易く、実用化に際して極めて不利で
あった。
【0005】ところで、ビスカス・カップリングに代表
される回転感応型の差動制限機構においては、一方の駆
動輪が摩擦力の極端に小さい路面に乗り上げて空転した
場合など、各駆動輪の回転速度差が大きくなったときに
は有効な差動制限効果が得られるが、各駆動輪の回転速
度差が小さい場合には十分な差動制限効果は得られな
い。即ち、回転感応型の差動制限機構は雪道や悪路等の
オフロード走行における空転防止用には適しているが、
例えばカーブを高速で旋回する場合など、左右駆動輪に
対して路面からの反力の変動に応じてトルクの配分比を
変えるようなオンロード走行用には適さないという本質
的な難点があった。また、トルクの変動に対して瞬時に
応答する、いわゆるトルク感応型の差動制限機構(例え
ば特開平4−271926号)では、各駆動輪への駆動
トルク配分比が決まっており、路面からの反力の変化に
は的確な差動制限を行うが、トルクの変動が駆動トルク
配分比を越えると、それ以上の差動制限効果は得られ
ず、回転速度差の大きい場合には対応できない。従っ
て、トルク感応型の差動制限機構は、回転感応型とは逆
にオンロード走行用には適しているがオフロード走行用
には適さないという本質的な難点がある。
【0006】本発明は前記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、回転差に応じて動力
を伝達することのできる回転伝動機構を提供することに
ある。また、他の目的とするところは、前記目的に加
え、トルクの変動に応じて動力を伝達することのできる
回転伝動機構を提供することにある。また、他の目的と
するところは、差動時の回転速度差に比例して徐々に大
きくなる特性を持った回転感応の差動制限効果を得るこ
とのできる差動装置を提供することにある。また、他の
目的とするところは、前記目的に加え、各駆動輪のトル
クの変動に対しても有効な差動制限効果を得ることので
きる差動装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、請求項1では、互いに軸方向に対向して配置
された一対の回転体と、各出力側回転体の対向面に設け
た溝に係合していて各回転体に回転差が生ずると溝に沿
って転動する多数の転動体と、各回転体及び各転動体の
周囲に充填された粘性流体とを備えた回転伝動機構を構
成している。
【0008】また、請求項2では、請求項1記載の回転
伝動機構において、前記出力側回転体の少なくとも一方
を互いに軸方向に対向する第1及び第2回転体から構成
し、第1及び第2回転体の対向面には互いに係合する多
数の凹部及び凸部を互いに回転力の作用する方向に対し
て所定の傾斜角で接するように設けている。
【0009】請求項3では、外部から入力された駆動力
によって軸心回りに回転する入力側回転体と、入力側回
転体の回転軸上に互いに軸方向に対向して配置された一
対の出力側回転体と、各出力側回転体の回転差を許容し
ながら入力側回転体の回転力を各出力側回転体に伝達す
る差動伝達機構と、各出力側回転体の対向面に設けた溝
に係合していて各出力側回転体に回転差が生ずると溝に
沿って転動する多数の転動体と、各出力側回転体及び各
転動体の周囲に充填された粘性流体とを備えた差動装置
を構成している。
【0010】また、請求項4では、請求項3記載の差動
装置において、前記出力側回転体の少なくとも一方を互
いに軸方向に対向する第1及び第2回転体から構成し、
第1及び第2回転体の対向面には互いに係合する多数の
凹部及び凸部を互いに回転力の作用する方向に対して所
定の傾斜角で接するように設けている。
【0011】
【作用】請求項1の回転伝動機構によれば、各回転体に
回転差が生ずると、各回転体の対向面では各転動体が溝
に沿って粘性流体中を転動し、各回転体の回転速度差が
大きくなると、各回転体が粘性流体を剪断する抵抗と、
各転動体が粘性流体に抗して転動しようとする際に受け
る抵抗と、各転動体に押圧された粘性流体が各回転体を
軸方向に移動させることによる抵抗が複合的に発生し、
これらの抵抗は各回転体の回転速度差に伴って大きくな
ることから、回転差に応じた動力が伝達される。
【0012】また、請求項2の回転伝動機構によれば、
請求項1の作用に加え、各回転体の間にトルクの変動が
生ずると、第1回転体と第2回転体では一方が他方に回
転力を伝えようとし、第1及び第2回転体の各凹部及び
凸部は互いに回転力の作用する方向に対して所定の傾斜
角で接しているため、第1回転体と第2回転体との間に
軸方向の反力が生じ、これが抵抗となってトルクの変動
に応じた動力が伝達される。
【0013】請求項3の差動装置によれば、入力側回転
体が外部からの駆動力によって軸心回りに回転すると、
この回転力は差動伝達機構を介して各出力側回転体に伝
達される。ここで、各出力側回転体に回転差が生ずる
と、この回転差は差動伝達機構によって許容され、各出
力側回転体の差動が達成される。その際、各出力側回転
体の対向面では各転動体が溝に沿って粘性流体中を転動
するため、各出力側回転体の回転速度差が大きくなる
と、各出力側回転体が粘性流体を剪断する抵抗と、各転
動体が粘性流体に抗して転動しようとする際に受ける抵
抗と、各転動体に押圧された粘性流体が各出力側回転体
を軸方向に移動させることによる抵抗が複合的に発生
し、これらの抵抗は各出力側回転体の回転速度差に応じ
て大きくなり、回転感応の差動制限効果として作用す
る。
【0014】また、請求項4の差動装置によれば、請求
項3の作用に加え、各出力側回転体の間にトルクの変動
が生ずると、出力側回転体を構成する第1回転体と第2
回転体では一方が他方に回転力を伝えようとし、第1及
び第2回転体の各凹部及び凸部は互いに回転力の作用す
る方向に対して所定の傾斜角で接しているため、第1回
転体と第2回転体との間に軸方向の反力が生じ、これが
抵抗となってトルク感応の差動制限効果として作用す
る。
【0015】
【実施例】図1乃至図7は本発明の一実施例を示すもの
で、図1は差動装置の側面断面図、図2はその部分拡大
断面図、図3は図1におけるA−A線方向矢視断面図、
図4は図1におけるB−B線方向矢視断面図、図5は図
1におけるC−C線方向矢視断面図、図6及び図7は差
動装置の分解斜視図である。尚、図6及び図7における
一点鎖線は各図に対応する同一の番号で連続することを
示す。
【0016】この差動装置は、入力側回転体をなすギヤ
ケース1と、ギヤケース1の一端を閉塞するギヤケース
カバー2と、互いに同軸上に配置された一対のドライブ
シャフト3,4と、一方のドライブシャフト3と一体に
回転するサイドギヤ5と、同じく一方のドライブシャフ
ト3と一体に回転する第1ボールディスク6と、第1ボ
ールディスク6に対向する第2ボールディスク7と、各
ボールディスク6,7間に配置された多数のボール8
と、他方のドライブシャフト4と一体に回転する第1ス
ラストディスク9と、第1スラストディスク9に対向す
る第2スラストディスク10と、第2ボールディスク7
及び第2スラストディスク10と一体に回転するハウジ
ングギヤ11と、サイドギヤ5及びハウジングギヤ11
の回転差を許容しながらギヤケース1の回転力をサイド
ギヤ5及びハウジングギヤ11に伝達する計4つのピニ
オンギヤ12と、ギヤケース1内に充填された粘性流体
13とから構成されている。即ち、サイドギヤ5及び第
1ボールディスク6は一方の出力側回転体を、第2ボー
ルディスク7、第1スラストディスク9、第2スラスト
ディスク10及びハウジングギヤ11は他方の出力側回
転体をそれぞれ構成している。
【0017】ギヤケース1は一端を開口した筒形をな
し、その中央には一方のドライブシャフト3を支持する
軸受け1aが設けられている。ギヤケース1の周囲には
フランジ1bが設けられ、フランジ1bにはボルト挿通
用の多数の孔1cが設けられている。また、ギヤケース
1の内周面には各ピニオンギヤ8を固定するための溝1
dが設けられている。
【0018】ギヤケースカバー2は円盤状に形成され、
その中央には他方のドライブシャフト4を支持する軸受
け2aが設けられている。ギヤケースカバー2の周縁に
はフランジ2bが設けられ、フランジ2bにはボルト挿
通用の多数の孔2cが設けられている。即ち、ギヤケー
スカバー2は各フランジ1b,2bを締結するボルト2
dによってギヤケース1に組付けられる。
【0019】各ドライブシャフト3,4は自動車の左右
駆動輪に接続するためのフランジ3a,4aをそれぞれ
有し、一方のドライブシャフト3は他方のドライブシャ
フト4よりも軸方向に長く形成されている。一方のドラ
イブシャフト3は周面の計2箇所にスプライン構成の連
結部3b,3cを有し、先端側の連結部3bは第1ボー
ルディスク6に連結され、中央側の連結部3cはサイド
ギヤ5に連結されている。また、他方のドライブシャフ
ト4は周面に同じくスプライン構成の連結部4bを有
し、連結部4bは第1スラストディスク9に連結されて
いる。
【0020】サイドギヤ5は一方のドライブシャフト3
に同軸状に連結され、他方のドライブシャフト4側の面
には傘歯車5aが形成されている。また、サイドギヤ5
の端面とギヤケース1との間にはワッシャ5bが介装さ
れ、サイドギヤ5とドライブシャフト3との間にはこれ
らを結合するCリング5cが介装されている。
【0021】第1ボールディスク6は軸方向に延びる筒
状部6aを有し、筒状部6aには一方のドライブシャフ
ト3が挿入連結されている。第1ボールディスク6はド
ライブシャフト3側の面を第2ボールディスク7に対向
させており、その対向面には各ボール8を係合する溝6
bが設けられている。この溝6bは第1ボールディスク
6の周方向に連続して延び、第1ボールディスク6の中
心及び外側に交互に向かうよう蛇行状に屈曲している。
また、溝6b内には第1ボールディスク6の裏側へ貫通
した複数の孔6cが設けられている。
【0022】第2ボールディスク7は環状に形成され、
その中央には第1ボールディスク6の筒状部6aを貫通
する孔7aが設けられている。第2ボールディスク7は
ドライブシャフト4側の面を第1ボールディスク6に対
向させており、その対向面には各ボール8を係合する多
数の溝7bが設けられている。各溝7bは第2ボールデ
ィスク7の径方向に放射状に延び、互いに等間隔をおい
て配置されている。また、第2ボールディスク7の外周
面にはハウジングギヤ11に固定するための多数のキー
7cが形成されている。
【0023】各ボール8はそれぞれ各ボールディスク
6,7の溝6b,7bに径方向半分ずつ係合しており、
各ボールディスク6,7に回転差が生ずると各溝6b,
7bに沿って転動するようになっている。
【0024】第1スラストディスク9は軸方向に延びる
筒状部9aを有し、筒状部9aには他方のドライブシャ
フト4が挿入連結されている。第1スラストディスク9
は一方のドライブシャフト3側の面を第2スラストディ
スク10に対向させており、その対向面には放射状に延
びる多数の凸部9bが周方向に等間隔で設けられてい
る。各凸部9bは、図2に示すように平坦状の頂部と、
所定角度で傾斜した両側の斜面とから形成され、各斜面
は若干外側に膨出している。また、第1スラストディス
ク9の端面とギヤケース1との間にはワッシャ9cが介
装され、第1スラストディスク9とドライブシャフト4
との間にはこれらを結合するCリング9dが介装されて
いる。更に、第1スラストディスク9と第1ボールディ
スク6との間にはオイルシール9e及びバックアップシ
ール9fが介装されている。
【0025】第2スラストディスク10は環状に形成さ
れ、その中央には第1ボールディスク6を貫通する孔1
0aが設けられている。第2スラストディスク10は他
方のドライブシャフト4側の面を第1スラストディスク
9に対向させており、その対向面には放射状に延びる多
数の凹部10bが周方向に等間隔で設けられている。各
凹部10bは、図2に示すように平坦状の頂部と、所定
角度で傾斜した両側の斜面とから形成され、第1スラス
トディスク9の各凸部9bに斜面同士を接触させて係合
している。また、第2スラストディスク10と第1ボー
ルディスク6との間にはスラストワッシャ10cが介装
されている。更に、各スラストディスク9,10間には
皿バネ10dが圧縮状態で介装され、皿バネ10dによ
り第2スラストディスク10はスラストワッシャ10c
に対して一定の予圧を付与されている。また、第2スラ
ストディスク10の外周面にはハウジングギヤ11に固
定するための多数のキー10eが形成されている。
【0026】ハウジングギヤ11は筒状に形成され、一
方のドライブシャフト3側の面には傘歯車11aが形成
されている。また、この面の中央には第1ボールディス
ク6の筒状部6aを貫通する孔11bが設けられてい
る。ハウジングギヤ11内には第1ボールディスク6、
第2ボールディスク7、各ボール8、第1スラストディ
スク9及び第2スラストディスク10が収容され、第2
ボールディスク7のキー7c及び第2スラストディスク
10のキー10eはハウジングギヤ11の内周面に形成
した多数のキー溝11cに嵌合している。この場合、第
2スラストディスク10はスプライン結合により軸方向
に若干の摺動が可能になっている。また、ハウジングギ
ヤ11の内周面と第1スラストディスク9の外周面との
間にはシール用のOリング11dが介装されている。更
に、ハウジングギヤ11の内周面にはCリング11eが
嵌着され、Cリング11eには第1スラストディスク9
の端縁が当接している。また、ハウジングギヤ11と第
1ボールディスク6との間にはオイルシール11f及び
バックアップシール11gが介装されている。
【0027】各ピニオンギヤ12は支軸の直交したピニ
オンシャフト12aに回動自在に支持され、それぞれサ
イドギヤ5の傘歯車5a及びハウジングギヤ11の傘歯
車11aに噛み合わされている。ピニオンシャフト12
aはギヤケース1の溝1dに固定され、ギヤケース1と
一体に回転するようになっている。即ち、各ピニオンギ
ヤ12及びピニオンシャフト12aによって差動伝達機
構が構成され、各ピニオンギヤ12の自転によりサイド
ギヤ5とハウジングギヤ11が互いに反対方向に回転す
るようになっている。
【0028】粘性流体13はシリコンオイル等からな
り、ギヤケース1、ギヤケースカバー2及び各ドライブ
シャフト3,4によって密閉された空間内に充填されて
いる。この場合、粘性流体13は第1ボールディスク6
の各孔6cを通じて各溝6b,7b内にも万遍なく流入
している。
【0029】以上のように構成された差動装置において
は、ギヤケース1のフランジ1bにエンジンからの駆動
力を伝達するリングギヤ(図示省略)が取付けられ、装
置全体がギヤケース1の軸心回りに回転するようになっ
ている。
【0030】ここで、前記差動装置の動作を、各ドライ
ブシャフト3,4に回転差が生じていない場合と、各ド
ライブシャフト3,4に回転差が生じた場合と、各ドラ
イブシャフト3,4の一方が空転し易い状態に陥った場
合について説明する。
【0031】まず、車両が摩擦力の十分な路面を直進し
ているときなど、各ドライブシャフト3,4に回転差が
生じていない場合は、駆動力によってギヤケース1が回
転するとギヤケース1と一体にピニオンシャフト12a
が回転し、この回転力は各ピニオンギヤ12を介してサ
イドギヤ5及びハウジングギヤ11に伝達される。この
場合、各ドライブシャフト3,4には回転差が生じてい
ないので、各ピニオンギヤ12の自転は起こらない。ま
た、ハウジングギヤ11に伝達された回転力は第2スラ
ストディスク10を介して第1スラストディスク9に伝
達され、第1スラストディスク9から他方のドライブシ
ャフト4へ伝達される。
【0032】次に、車両が摩擦力の十分な路面を旋回し
ているときなど、各駆動輪にトルクが均等に伝わってい
る状態で各ドライブシャフト3,4に回転差が生ずる
と、各ピニオンギヤ12が自転し、サイドギヤ5及びハ
ウジングギヤ11の逆転により差動が達成される。その
際、第1ボールディスク6は一方のドライブシャフト3
と一体に回転し、第2ボールディスク7は他方のドライ
ブシャフト4と一体に回転するので、各ボールディスク
6,7は互いに反対方向に回転する。これにより、各ボ
ール8は各ボールディスク6,7の溝6b,7bに沿っ
て転動、即ち第1ボールディスク6の溝6bに案内され
ながら第2ボールディスク7の溝7b内を往復移動す
る。
【0033】次に、一方の駆動輪が路面との摩擦力を失
って空転が生じた場合など、各ドライブシャフト3,4
間の回転速度差が大きくなると、各ボールディスク6,
7及び各ボール8に粘性流体13の抵抗が発生し、これ
が差動制限効果として作用する。この場合、各ボールデ
ィスク6,7が粘性流体13を剪断することにより受け
る剪断抵抗と、各ボール8が粘性流体13に抗して転動
しようとする際に受ける推進抵抗と、各ボール8に押圧
された粘性流体13が第1ボールディスク6をスラスト
ワッシャ10cに押し付けることによる摩擦抵抗が発生
する。また、各ボール8の転動により粘性流体13が各
ボールディスク6,7の隙間や孔6c等の狭い部分を通
り抜ける際の流通抵抗も差動制限効果として作用する。
即ち、ここでは粘性流体13の剪断抵抗だけではなく、
粘性流体13に対する推進抵抗、摩擦抵抗及び流通抵抗
が複合的に発生するため、差動制限効果は各ドライブシ
ャフト3,4の回転速度差に応じて徐々に大きくなるよ
うな特性を示す。
【0034】また、一方の駆動輪と路面との摩擦力が低
下したときなど、各ドライブシャフト3,4間の回転速
度差は小さいが、トルクの変動が生じた場合には、各ス
ラストディスク9,10においては一方が他方に回転力
を伝えようとするため、それぞれの各凸部9bと各凹部
10bとの間に軸方向の反力が生じ、これにより第2ス
ラストディスク10がスラストワッシャ10cに押し付
けられ、この時の摩擦抵抗が差動制限効果として作用す
る。この場合、各凸部9b及び各凹部10bは斜面同士
が圧接して各スラストディスク9,10を互いに軸方向
に移動させようとするため、各凸部9b及び各凹部10
bの斜面が緩やかなほど、差動制限効果は大きく作用す
る。また、第2スラストディスク10は皿バネ10dに
よりスラストワッシャ10cに対して一定の予圧を付与
されているので、有効な差動制限効果を初期の時点から
得ることができる。尚、ここで作用する差動制限効果は
各ドライブシャフト3,4のトルクの変動に感応して発
生する。
【0035】このように、本実施例の差動装置によれ
ば、各ボールディスク6,7、各ボール8及び粘性流体
13によって得られる回転感応の差動制限効果を、粘性
流体13の剪断抵抗だけでなく、粘性流体13による推
進抵抗、摩擦抵抗及び流動抵抗が複合的に作用するよう
に構成したので、差動制限効果は各ドライブシャフト
3,4の回転速度差に応じて徐々に大きくなるという特
性を示す。従って、走行状況に応じて的確に差動を制限
することができ、しかも差動初期においては急激な差動
制限効果を示すことがないので、各駆動輪を拘束するこ
とがなく、アンチロック・ブレーキと組み合わせる場合
には極めて有利である。また、本実施例では各スラスト
ディスク9,10によってトルク感応の差動制限効果を
得ることができるので、回転感応の差動制限効果と相俟
って、オンロード,オフロードの如何なる走行条件にも
的確に対応可能な差動装置を実現することができる。
【0036】尚、前記実施例では差動装置を示したが、
各ボールディスク6,7、各ボール8及び粘性流体13
と同等の構成からなる回転感応の回転伝動機構を、差動
装置に限らず回転差に応じた動力を伝達する他の装置に
適用することも可能である。この場合、前記回転感応の
回転伝動機構に各スラストディスク9,10と同等の構
成からなるトルク感応の回転伝動機構を追加してもよ
い。
【0037】また、前記実施例では、回転感応の差動制
限において第1ボールディスク6がスラストワッシャ1
0cに押し付けられて摩擦抵抗を発生するようになって
いるが、このスラストワッシャ10cに代わって図8及
び図9に示す回転摩擦装置を用いてもよい。ここで、図
8は回転摩擦装置の分解斜視図、図9(a) はその径方向
の断面を示す要部拡大図、図9(b) はその軸方向から見
た要部拡大図を示すものである。
【0038】即ち、同図に示す回転摩擦装置20は、軸
心を中心に回転する回転体21と、回転体21の回転軌
道に沿って配列された多数のローラ22と、各ローラ2
2を間にして回転体21に軸方向に対向する受動体23
と、各ローラ22を互いに間隔をおいて転動自在に保持
するケージ24とから構成され、各ローラ2の転動軸A
は回転体1の回転軸を含む断面Bに対して所定角度θだ
け傾斜している。尚、各回転体21は前記実施例におけ
る第1ボールディスク6及び第1スラストディスク9の
対向面に相当する部材である。
【0039】この回転摩擦装置においては、各回転体2
1が軸方向の荷重を受けた状態で回転すると、各ローラ
22が回転体21及び受動体23に接しながら転動し、
これに追従してケージ24も回転する。その際、各ロー
ラ22は回転体21の回転軌道に対して角度θだけ傾斜
した方向に転動しようとするのをケージ24で規制され
ながら回転体21の回転軌道に沿って移動するため、各
ローラ22と回転体21及び受動体23との間に軸方向
の荷重に比例した摩擦力が発生する。その際、各ローラ
22は転動しながら滑り摩擦を発生させるので、スティ
ック・スリップの原因となる静摩擦を発生させることが
なく、常に安定した抵抗力を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の回転伝
動機構によれば、回転差に応じた動力を伝達することが
できるので、このような動作を目的とする各種機械、例
えば自動車の動力伝達系に有効に利用することができる
のは勿論のこと、構造が簡単であるためコストの低減及
び小型化に極めて有利である。
【0041】請求項2の差動装置によれば、請求項1の
効果に加え、トルクの変動に応じた動力を伝達すること
ができるので、利用分野をより拡大することができる。
【0042】また、請求項3の差動装置によれば、差動
時の回転速度差に比例して徐々に大きくなる特性を持っ
た回転感応の差動制限効果を得ることができるので、走
行状況に応じて的確に差動を制限することができるとと
もに、差動初期においては各駆動輪を拘束することが少
ないので、アンチロック・ブレーキと組み合わせる場合
には極めて有利である。
【0043】また、請求項4の差動装置によれば、請求
項3の効果に加え、トルク感応の差動制限効果を得るこ
とができるので、前記回転感応の差動制限効果と相俟っ
て、オンロード,オフロードの如何なる走行条件にも的
確に対応可能な差動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す差動装置の側面断面図
【図2】差動装置の要部拡大断面図
【図3】図1のA−A線矢視方向断面図
【図4】図1のB−B線矢視方向断面図
【図5】図1のC−C線矢視方向断面図
【図6】差動装置の分解斜視図
【図7】差動装置の分解斜視図
【図8】回転摩擦装置の分解斜視図
【図9】回転摩擦装置の要部拡大図
【符号の説明】
1…ギヤケース、5…サイドギヤ、6…第1ボールディ
スク、7…第2ボールディスク、8…ボール、9…第1
スラストディスク、10…第2スラストディスク、10
d…皿バネ、11…ハウジングギヤ、12…ピニオンギ
ヤ、13…粘性流体。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに軸方向に対向して配置された一対
    の回転体と、 各出力側回転体の対向面に設けた溝に係合していて各回
    転体に回転差が生ずると溝に沿って転動する多数の転動
    体と、 各回転体及び各転動体の周囲に充填された粘性流体とを
    備えたことを特徴とする回転伝動機構。
  2. 【請求項2】 前記回転体の少なくとも一方を互いに軸
    方向に対向する第1及び第2回転体から構成し、 第1及び第2回転体の対向面には互いに係合する多数の
    凹部及び凸部を互いに回転力の作用する方向に対して所
    定の傾斜角で接するように設けたことを特徴とする請求
    項1記載の回転伝動機構。
  3. 【請求項3】 外部から入力された駆動力によって軸心
    回りに回転する入力側回転体と、 入力側回転体の回転軸上に互いに軸方向に対向して配置
    された一対の出力側回転体と、 各出力側回転体の回転差を許容しながら入力側回転体の
    回転力を各出力側回転体に伝達する差動伝達機構と、 各出力側回転体の対向面に設けた溝に係合していて各出
    力側回転体に回転差が生ずると溝に沿って転動する多数
    の転動体と、 各出力側回転体及び各転動体の周囲に充填された粘性流
    体とを備えたことを特徴とする差動装置。
  4. 【請求項4】 前記回転体の少なくとも一方を互いに軸
    方向に対向する第1及び第2回転体から構成し、 第1及び第2回転体の対向面には互いに係合する多数の
    凹部及び凸部を互いに回転力の作用する方向に対して所
    定の傾斜角で接するように設けたことを特徴とする請求
    項3記載の差動装置。
JP24770494A 1994-10-13 1994-10-13 回転伝動機構及びこれを用いた差動装置 Pending JPH08109958A (ja)

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