JP2000320620A - 自転車用チェーンの特殊な迅速結合可能なリンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チェーンの組み付け操作を容易、迅速、正確
に実施することができ、横方向の寸法が短いチェーンで
あっても、比較的単純で経済的な手段により組み付け操
作を実行することができる自転車用チェーンの特殊リン
クを提供する。 【解決手段】 一対のプレート（２、３）と、前記の一
方のプレート（２）に固定される一対の管状結合ピン
（５）と、管状ピン（５）に嵌り、その内部で固定され
て、前記他方のプレート（３）が前記管状結合ピン
（５）から外れることを防止する一対の迅速結合する抜
け止めピン（１２）と、からなる自転車用チェーンの特
殊な迅速結合可能なリンク。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、多数のリンクが相
互にヒンジ状に止められ、所定間隔を設けて相互に平行
な一対の細長プレートが外側と内側とに交互に配置さ
れ、それによって外側チェーンプレートからなる外側リ
ンクと、交互に配置される内側チェーンプレートからな
る内側リンクとを形成し、各外側リンクは、その両端部
で外側リンクのプレートに固定されるピンによって隣接
する２つの内側プレートとヒンジ状に止められる形式の
自転車用チェーンに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来技術による自転車のチェーンが、添
付の図１と２に示されている。図１はチェーンの一部を
示したもので、外側リンクＡと、交互に配置される内側
リンクＢからなり、両者は結合部材の軸Ｃを中心にヒン
ジ止めされている。図２は、外側リンクＡと内側リンク
Ｂとの結合部を、部分的に断面にした拡大図で示してい
る。外側リンクＡは、２つの外側プレートＤから構成さ
れている。結合部材の各軸Ｃに対応して、前記２つの外
側プレートＤは、結合ピンＦを規制して保持する同軸の
穴Ｅを有する。ピンＦは、内側リンクＢを構成する２つ
の内側プレートＧを、関節状に支持している。前記両内
側プレートＧは、ブッシュ状に形成された同軸部分Ｈを
有し、その上にローラＩが回転自在に取り付けられてい
る。自転車のチェーンは閉ループに構成され、自転車の
クランク軸に結合されたギアの１つ（チェーンリング）
と、自転車の後輪に結合されたピニオンの１つとに係合
している。例えば、チェーンリンクを追加したり、除い
たり、もしくはチェーンに注油する目的で、前記チェー
ンを取り外したいときには、図２の左部分に示すよう
に、ピンＦの１つを部分的に外す必要がある。一般に
は、前記ピンは完全には取り外されず、図２に示すよう
に、外側プレートＤに保持されたまま、突出した状態に
ある。チェーンを再組み付けするときには、内側チェー
ンリンクが２つのプレートＤの間に配置され、結合部材
によって連結され、ピンＦを当初の位置に戻し、図２の
上側に示すプレートＤに設けられた穴に規制された状態
で固定する。

【０００３】自転車の後輪に結合されるピニオン・アセ
ンブリの最近のデザイン進歩は、更に多くの数のピニオ
ンを用いる生産の方向に進んでいる。前記アセンブリの
軸方向の寸法を最小化するため、ピニオンはより薄く、
より接近させており、この結果、より狭い駆動チェーン
を製造する必要があり、このため、チェーンがピニオン
に係合しているときに、隣接するピニオンの一方の側面
に干渉しないようにする必要がある。更には、チェーン
が組み立てられた状態において、チェーンの前記結合ピ
ンが、チェーンの外側プレートに対してゼロもしくは非
常に小さい突出量となっていることが重要となる。した
がって、チェーンを取り外し、その後組み付けする操作
を実施する時には、図２の左側に示すピンＦは、チェー
ンの外側プレートの外側への突出量が最小となる正しい
組み付け状況に戻るよう、十分な注意が必要である。チ
ェーンが非常に小さな横寸法を持つときには、このよう
な操作の適切な実行は、困難となることがありうる。

【０００４】自転車用チェーンの特殊リンク（もしくは
「間違ったリンク」）は、すでに提案されたものがあり、
これらが、チェーンの迅速で正確な組み立てを可能にす
る目的をもっていることは指摘しておくべきことである
(米国特許第５,３６２,２８２号参照)。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、チェ
ーンの組み付けの操作を容易に、迅速に実施することが
でき、組み付け作業の正確な実施を保証し、横方向の寸
法が非常に小さいチェーンであっても、比較的単純で経
済的な手段により組み付け操作を実行することが可能な
自転車用チェーンの特殊リンクを提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成すること
から、本発明の対象は、上述のような形式の自転車チェ
ーン用の特殊な迅速結合可能なリンクであって、前記特
殊リンクは、一対の外側プレートからなり、第１の外側
プレートには、リンクの２つの結合部材の内の少なくと
も１つに対応する管状の結合ピンを備え、この結合ピン
は、前記第１の外側プレートに保持される第１の端部を
有し、内側チェーンリンクを受け入れてヒンジ状に保持
し、前記第１の端部の反対側の端部が前記内側リンクを
越えて延び、第２の外側プレートの穴に嵌っており、前
記特殊リンクは更に、前記管状ピンに係合することがで
きるロック要素を備え、前記第２の外側プレートが前記
管状ピンから外れることを防いでいることを特徴とする
特殊リンクに関する。

【０００７】好ましい実施の形態では、本発明にかかる
前記特殊リンクは、上述の管状ピンと、２つの結合部材
のそれぞれに対応する各ロック要素が設けられている。

【０００８】上述の好ましい実施の形態においては、前
記ロック要素が迅速接合する抜け止めピン（ペグ）であ
り、各管状ピンに嵌り、前記管状ピンから前記第２の外
側プレートが外れるのを防ぐヘッドを備え、前記迅速接
合する抜け止めピンと前記管状ピンには、管状ピン内で
抜け止めピンの軸方向の動きを規制するために相互係合
する手段が設けられている。

【０００９】１つの応用例は、上述の相互係合する手段
が、管状ピンの内側表面から突出する円周状リブと、縮
小された径によって前記抜け止めピンの中央部分に定め
られる前記抜け止めピンを止める輪状表面とからなる。

【００１０】更に、上述の応用例において、前記抜け止
めピンは、上述のリブに加えて前記抜け止めピンの端部
での係合を容易にするため、上述の円周状リブの傾斜エ
ッジと相互作用可能な円錐形状部を備える。

【００１１】上述した特性により、チェーンが従来の方
法によって取り外されると、外側リンクを本発明にかか
る特殊リンクに交換することによって、チェーンを組み
付けることが可能となる。

【００１２】上述の実施の形態の例では、各管状ピンの
固定抜け止めピンの相互係合は解除不能となるため、前
記特殊リンクが取り付けられたときには、チェーンの取
り外しは従来型のリンクを対象にして従来の方法で取り
外すことにより可能であり、その後新しい特殊リンクが
追加して取り付けられる。

【００１３】１つの、そして同一のチェーンに、いくつ
特殊リンクを使用してもよく、実際、本発明にかかる特
殊リンクのみで構成されたチェーンとすることも勿論可
能である。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明にかかる更なる特性と利点
は、非限定的な例示目的のみに添付されている図面を参
照した以下の説明によって明らかとなる。

【００１５】図３から５において、符号１は、自転車チ
ェーン用の特殊な迅速接合するリンクの全体を示し、こ
れは、例えば図１や２に示す形式のチェーンなどにも使
用することができる。リンク１は、チェーンの外側リン
クＡの１つと取り替えられ、一対の内側プレートＧと各
ローラＩとからなる２つの内側リンクＢにヒンジ状に固
定される。前記特殊リンク１は、一対の外側プレート、
すなわち、第１の外側プレート２と第２の外側プレート
３からなる。

【００１６】特に、図４及び５において、前記第１の外
側プレート２は、プレート２及び３と同様に鉄などの金
属でできた管状ピン５の１つの端部が固定される２つの
円形穴４を、２つの結合部材の軸Ｃに対応して備えてい
る。各管状ピン５の前記端部は、溶接６により前記第１
のプレート２に固定される。各管状の結合ピン５は、円
筒状の内部表面５ａ（図５）を有し、そこから円周状リ
ブ７が突出し、プレート２に対向する側には軸Ｃに垂直
な輪状のショルダ部７ａを、反対の側には輪状の面取り
部７ｂを形成する。

【００１７】各管状ピン５は、内部リンクＢを構成する
プレートＧの一方の端部に設けられた２つのブッシュＨ
を受け入れ、ヒンジ状に支持することができる。

【００１８】図４からも明らかなように、２つの内側リ
ンクＢが２つの管状の結合ピン５に取り付けられること
で、各管状ピン５には、プレート２に溶接された側と反
対の側に、前記各内側リンクＢを越えて延びる端部があ
り、この端部は、第２の外側プレート３の対応する端部
に設けられた円形の穴９に嵌る。各穴９は、抜け止めピ
ン１２のヘッド１１を受け入れる拡大径部１０を有す
る。各抜け止めピン１２は、傾斜端部１４で終了する円
錐状の端部１３と、抜け止めピンの軸に垂直な輪状のシ
ョルダ１６を定める縮小された径の中間部１５を有する
（図５参照）。各抜け止めピン１２は、各管状ピン５の
円筒状の穴５ａに嵌り、抜け止めピンのショルダ１６の
表面が円周状のリブ７を通り越して係合することによっ
て抜け止めピン１２を軸方向に保持し、これによって抜
け止めピンを図４に示す状態に保持する。前記抜け止め
ピンの前側傾斜部１４及び円錐端部１３とリブ７の傾斜
端部７ａとの係合は、前記抜け止めピンの挿入操作を容
易にする。図６は、各前側のスロット２０を設けた変形
を示しており、この場合には、前記管状ピン５内でのス
ナップ効果は、図４に示すケースにおけるピン５の管壁
の変形ではなく、抜け止めピンの変形によって得られ
る。

【００１９】

【発明の効果】本発明にかかるリンクによれば、チェー
ンの組み付けを迅速に、簡便に実行することができ、組
み付けられた状態においては、リンクの両側において所
定寸法を越える突出部がないことを保証する。表示した
例では、各抜け止めピン１２のそれぞれのリブ７に対す
る係合は解除不能となるため、一度組み付けられた場合
には、従来型リンクの結合ピンの１つを従来の方法で取
り除くことによって、チェーンを再度取り外すことがで
きる。チェーンのその後の再組み付けは、組み付け操作
を迅速に正確にするには、これまでに述べたような形式
の特殊リンクを追加することで行うことができる。

【００２０】本発明にかかる原理に反することなく、単
に例示目的のために説明し、図示した上述の内容に対し
て構成の詳細や実施の形態を、本発明の範疇から外れる
ことなく広く変化させることは勿論可能である。例え
ば、各ロック抜け止めピン１２に対応する管状の結合ピ
ン５は、リンクの２つの結合部材のうちの一方のみに用
いることでもよい。更には、前記第２のプレート３のロ
ック要素は、抜け止めピンでなくてもよく、いずれにせ
よ、例示した抜け止めピン１２よりもはるかに小さいも
のであってもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従来技術によるチェーンの部分図である。

【図２】 従来技術による図１に示すチェーンを取り外
した状態の詳細拡大断面図である。

【図３】 本発明にかかる特殊リンクの斜視図である。

【図４】 図３のＩＶ−ＩＶ線に沿った拡大断面図であ
る。

【図５】 本発明にかかるリンクの分解断面図である。

【図６】 図４の変形を示す。

【符号の説明】

１．特殊リンク、 ２．第１の外側プレート、 ３．第
２の外側プレート、 ５．管状（結合）ピン、 ７．円
周状リブ（相互係合手段）、 １２．抜け止めピン、
１５．中間部分、 １６．輪状ロック表面（相互係合手
段）、 １３．円錐状部分、 ２０．スロット、Ａ．外
側リンク、 Ｂ．内側リンク、 Ｄ．外側プレート、
Ｆ．結合ピン、Ｇ．内側プレート。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数のリンク（Ａ、Ｂ）が相互にヒンジ
   状に止められ、所定間隔を設けて相互に平行な一対の細
   長プレート（Ｄ、Ｇ）が外側と内側とに交互に配置さ
   れ、それによって外側チェーンプレート（Ｄ）からなる
   外側リンク（Ａ）と、交互になる内側チェーンプレート
   （Ｇ）からなる内側リンク（Ｂ）とをそれぞれ形成し、
   各外側リンク（Ａ）は、その両端部で外側リンク（Ａ）
   のプレート（Ｄ）に固定されるピン（Ｆ）によって隣接
   する２つの内側プレート（Ｂ）とヒンジ状に止められ、
   前記外側のチェーンリンクの少なくとも１つは、チェー
   ンの迅速な組み付けのために使用することができる特殊
   リンク（１）からなる自転車用チェーンの特殊な迅速結
   合するリンクであって、 前記特殊リンク（１）は、一対の外側プレート（２、
   ３）を含み、第１の外側プレート（２）は、リンク
   （１）の２つの結合部材の少なくとも１つに対応する管
   状の結合ピン（５）を備え、この結合ピン（５）は、前
   記第１の外側プレート（２）に固定される第１の端部を
   有し、内側チェーンリンク（Ｂ）を受け入れてヒンジ状
   に支持し、前記第１の端部の反対側の端部は、前記内側
   リンク（Ｂ）を越えて延びて第２の外側プレート（３）
   の穴（９）に嵌っており、前記特殊リンク（１）は更
   に、前記管状ピン（５）に係合することができるロック
   要素（１２）を備え、前記第２の外側プレート（３）が
   前記管状ピン（５）から外れることを防いでいることを
   特徴とする特殊リンク。
2. 【請求項２】 前記ロック要素(１２)が迅速結合する抜
   け止めピンであり、前記管状ピン（５）に嵌り、前記第
   ２の外側プレート（３）が前記管状ピン（５）から外れ
   ることを防止するためのヘッド（１１）が設けられ、前
   記迅速結合する抜け止めピン（１２）と前記管状ピン
   (５)とには、管状ピン(５)内で抜け止めピン（１２）の
   軸方向の動きを規制するための相互係合手段（７、１
   ６）が設けられていることを特徴とする、請求項１にか
   かる特殊リンク。
3. 【請求項３】 前記相互係合の手段が、管状ピン（５）
   の内周表面（５ａ）から突出する円周状リブ（７）と、
   抜け止めピン（１２）の縮小された径を有する中間部分
   (１５)によって定められる抜け止めピン（１２）の輪状
   ロック表面(１６)と、からなることを特徴とする請求項
   １にかかる特殊リンク。
4. 【請求項４】 前記抜け止めピン（１２）が、リブ
   （７）を越えた箇所での抜け止めピン（１２）の端部
   （１３）の係合を容易にするため、前記円周状リブ
   （７）の傾斜エッジ（７ａ）と相互作用することができ
   る円錐状部分（１３、１４）を有することを特徴とす
   る、請求項３にかかる特殊リンク。
5. 【請求項５】 前述の管状ピン（５）と、２つの結合部
   材（Ｃ）にそれぞれ対応するロック要素（１２）とを備
   えていることを特徴とする、請求項１にかかる特殊リン
   ク。
6. 【請求項６】 管状ピン（５）が、特殊リンク（１）の
   第１のプレート（２）に溶接されていることを特徴とす
   る、請求項１にかかる特殊リンク。
7. 【請求項７】 請求項１から請求項６にかかる特殊リン
   クを少なくとも１つ備えていることを特徴とする自転車
   用チェーン。
8. 【請求項８】 前記抜け止めピン（１２）が、各管状ピ
   ン(５)内部における容易な係合のために、前側スロット
   （２０）を有することを特徴とする請求項４にかかる特
   殊リンク。