JP2000319641A - 膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法

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JP2000319641A
JP2000319641A JP11130737A JP13073799A JP2000319641A JP 2000319641 A JP2000319641 A JP 2000319641A JP 11130737 A JP11130737 A JP 11130737A JP 13073799 A JP13073799 A JP 13073799A JP 2000319641 A JP2000319641 A JP 2000319641A
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water
film
glass
repellent
hydrophilic
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JP11130737A
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Hideki Yamamoto
秀樹 山本
Seiji Yamazaki
誠司 山崎
Yoshihiro Nishida
佳弘 西田
Keiji Honjo
啓司 本城
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Central Glass Co Ltd
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Central Glass Co Ltd
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  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】特に、降雨時の運転における安全性を向上した
自動車用フロントドアガラスを得ること。 【解決手段】自動車用フロントドアガラスの表面に、水
に対する接触角が20°以下の親水性被膜の領域と水に
対する接触角が70°以上の撥水性被膜の領域とを形成
すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に親水処理およ
び撥水処理をした自動車用フロントドアガラスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、降雨時に自動車を運転している
と、ガラスに雨が付着し運転者や同乗者がそのガラスを
通して車外をみた場合、水滴によって像が歪んだり、太
陽光や街路灯やヘッドライトなどの光が散乱して該ガラ
スが白濁して見え、外の状況が確認できないことがよく
ある。また、雨が止んでガラスに付着した水滴が乾く
と、水滴中に取り込まれた空気中の塵埃や排気ガスなど
による油汚れなどが該ガラス上に残るため外観を大きく
損ねることがある。
【0003】これを解決するための一つの方法として、
ガラス全面に撥水処理を施すことにより、付着した水と
ガラスとの接触角を大きくし、風や振動により付着した
水滴を速やかに飛散させ走行時の良好な視界を確保する
ことが、特開平8−34973号公報等に記載されてい
る。
【0004】また、別の方法として、ガラス全面に親水
処理を施すことで、付着した水滴とガラスとの接触角を
小さくし、付着した水滴を速やかに広がらせ均一な水膜
を形成させ、停車時の良好な視界をが確保することが、
特開平9−227159号公報等に記載されている。
【0005】さらに、別の方法として、ガラス表面上に
液体との接触角を異にする撥水性面と親水性面を交互に
設け、降雨時の視界を確保することが、実開昭55−6
2533号公報あるいは実開昭60−161135号公
報に、さらに光触媒性酸化物粒子が外気と接するように
露出させた親水性を呈する部分と撥水性フッ素樹脂が外
気と接するように露出した撥水性を呈する部分とが微視
的に分散された構造を有し防汚性と水滴付着防止性を兼
ね備えた乗り物用窓ガラスについて、特開平10−45
431号公報に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、自動車用フロ
ントドアガラスのガラス全面を撥水処理した場合には、
走行時は上記のように良好な視界が確保されるが、停車
時には水滴が風や振動により充分に飛散や落下せず、全
面に微細な水滴がガラス上に形成され、何も処理してい
ないガラスよりもかえって光の散乱が激しくなり視認性
が悪化することがよく生じる。また微小な水滴は乾燥が
遅く、雨が止んでもガラス上に水滴が残り視認性が悪い
状態が長く続く。さらに乾燥が遅いため空気中の粉塵や
排ガスなどの油類が水滴に取り込まれ易く、乾燥後に斑
点状の白い水垢が残り外観を損ねる。
【0007】また、該ガラス全面を親水処理した場合に
は、降雨の時に停車した場合には、表面に均一な水膜が
形成され、白濁や歪みが生じることなく良好な視界が確
保され、また、乾燥後は未処理や撥水処理に比べて汚れ
が残り難いという利点がある。一方、降雨の時に停車状
態から走行し始めた時には、図2に示す様に自動車用フ
ロントドアガラスの前半分およびサンバイザー近傍は良
好な視界が得られるが、該サイドガラスの後ろ半分は風
圧により水膜が歪み、良好な視界が得られているとは言
い難い状況にある。なお、その後の走行中は、雨はほと
んどガラスに当たらないため、降雨時でも水膜は乾燥し
全面良好な視界となる。
【0008】さらに、前記の撥水性面と親水性面を交互
に設けた場合、あるいは親水性を呈する部分と撥水性を
呈する部分とが微視的に分散された構造を有する場合に
は共に、霧雨等の細かい雨が降っている時に停車した場
合には、撥水性被膜部に細かい雨滴が付着してガラス全
面が白濁し視界が見えにくくなる恐れがある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のこのよ
うな事情に鑑みてなされたものであって、特に、自動車
用フロントドアガラスの約前半分の領域を親水処理し、
それ以外の全部または一部の領域を撥水処理することに
より、降雨時の走行状態においては撥水処理した領域で
良好な視界を確保し、また降雨時の停車状態あるいは停
車状態から走行し始めた時には親水処理した領域で良好
な視界を確保し、さらに雨が止んだのちに親水処理した
領域で速やかな良好な視界を確保することができる、撥
水性と親水性を兼備した自動車用フロントドアガラスを
提供するものである。
【0010】すなわち、本発明の膜付き自動車用窓ガラ
スは、自動車用フロントドアガラスの表面の一部に、水
に対する接触角が20°以下の親水性被膜の領域が形成
されてなることを特徴とする。
【0011】また、本発明の膜付き自動車用窓ガラス
は、水に対する接触角が20°以下の親水性被膜の領域
と、水に対する接触角が70°以上の撥水性被膜の領域
とが形成されてなることを特徴とする。
【0012】さらに、本発明の膜付き自動車用窓ガラス
は、該ガラスのおよそ前半分の領域は親水性被膜が形成
され、およそ後半分の領域は撥水性被膜が形成されてな
ることを特徴とする。
【0013】またさらに、本発明の親水性被膜は、親水
性無機膜および/または光触媒機能を有する半導体を含
む膜により形成されており、撥水性被膜はフルオロアル
キルシラン化合物および/またはシリコーン化合物を含
む撥水処理剤で撥水処理された膜で形成されていること
が好ましい。
【0014】さらに、本発明の膜付き自動車用窓ガラス
は、親水性被膜と撥水性被膜の境界部が、水に対する接
触角を約20°〜約70°以上に連続的に変化させてな
る境界領域を形成することもできる。
【0015】さらに、本発明の膜付き自動車用窓ガラス
の製造方法は、自動車用フロントドアガラスのおよそ前
半分の領域にに光触媒機能を有する半導体を含む親水性
膜を成膜したのち、該親水性膜が形成された領域も含め
てフルオロアルキルシラン化合物および/またはシリコ
ーン化合物を含む撥水処理剤で撥水処理し撥水性被膜を
形成してなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の親水処理方法としては、
カー用品店などで市販されている界面活性剤などの親水
剤を塗布する方法、市販されている親水性フィルムを貼
付する方法、ヒドロキシセルロースなどの吸水性有機物
の親水性を利用した親水性有機膜を形成する方法、燐酸
含有膜や微粒子アルミナ含有膜や多孔質シリカ膜のよう
に親水性の優れた親水性無機膜を形成する方法、アナタ
ース型チタニアなどの光触媒機能を利用した光触媒機能
を有する親水性膜を形成する方法、あるいはこれらを組
み合わせた膜を形成する方法、プラズマ処理による表面
改質などの親水処理方法、などのあらゆる親水処理方法
が適用でき、これらの親水処理を自動車用フロントドア
ガラス表面に施すことにより、水に対する表面の接触角
が20°以下の親水性被膜を形成することが出来る。な
お、水に対する表面の接触角が20°以上の親水性被膜
は、透視性が悪くなるので好ましくない。
【0017】また、上記の親水処理方法のうち、親水性
無機膜および/または光触媒機能を有する半導体を含む
親水膜で被覆する親水処理方法は、親水維持能力や硬さ
などの耐久性から特に好ましい。なお、親水性無機膜
は、Si、B、P、Al、Li、Na、K、Rb、M
g、Ca、Taの酸化物を少なくとも1種含む膜であ
り、光触媒機能を有する半導体としては、TiO2、Z
nO、SnO、SrTiO3、WO3、Bi23、Fe2
3を少なくとも1種含む膜である。
【0018】また、本発明の撥水処理方法としては、カ
ー用品店などで市販されているシリコーンなどの撥水剤
を塗布する方法、ポリテトラフルオロエチレンなどのフ
ッ素樹脂の撥水性を利用した撥水性有機膜を形成する方
法、フルオロアルキルシラン化合物などを含むシリカ膜
のように撥水性の優れた撥水性有機−無機膜を形成する
方法、フルオロアルキルシラン化合物を蒸着し撥水性膜
を形成する方法、あるいはこれらを組み合わせた膜を形
成する方法、スパッタ処理による金属膜形成などの撥水
処理法、などのあらゆる撥水処理法が適用でき、これら
の撥水処理をガラス表面に施すことにより、水に対する
表面の接触角が70°以上とすることが出来る。なお、
水に対する表面の接触角が70°以下の撥水性被膜は、
透視性が悪くなり好ましくない。
【0019】また、これら撥水処理方法のうち、フルオ
ロアルキルシラン化合物および/またはアルキルシラン
化合物および/またはシリコーンを含む撥水処理剤で撥
水処理する方法は、撥水維持性や硬さなどの耐久性から
特に好ましい。
【0020】また、自動車用フロントドアガラスのおよ
そ前半分の領域に親水性被膜を形成し、およそ後半分の
領域に撥水性被膜を形成することは、膜付き自動車用ま
窓ガラスが、降雨時の走行状態においては撥水処理した
領域で良好な視界を確保し、また降雨時の停車状態ある
いは停車状態から走行し始めた時には親水処理した領域
で良好な視界を確保し、さらに雨が止んだ後では親水処
理した領域で速やかな良好な視界を確保することができ
るのでより好ましい。なお、場合によっては、前記領域
に限らず、場合によっては該ガラスのおよそ下の半分の
領域を親水性処理、およそ上の半分の領域を撥水性処理
を行うことは差し支えない。また、サンバイザーの陰に
なる部分は、走行中でもほとんど風圧が影響しないので
親水性処理のみでも構わない。
【0021】また、撥水処理の領域と親水処理の領域の
境界部を、水に対するガラス表面の接触角を段階的また
は連続的に変化させた境界領域を形成することにより、
透視性を向上させること、あるいは1枚の窓ガラスの中
に複数の親水処理領域と複数の撥水処理領域を設けるこ
と等、特に限定されるものではない。
【0022】さらに、光触媒機能を有する親水性被膜を
ガラス表面の一部に形成させたのち、前記の撥水処理法
で述べたシリコーン、あるいはフルオロアルキルシラン
化合物などを含む撥水性有機膜を該親水性被膜を形成し
た領域に重ねて被覆させることも出来る。すなわち、光
触媒機能を有する親水性被膜上に重ねて被覆させた撥水
性有機膜は、太陽光などの光触媒効果を発現する光を該
光触媒機能を有する親水性被膜に照射して置けば、光触
媒効果により撥水性有機膜が分解され消失されるので、
撥水処理を親水性被膜で被覆した領域を避けて被覆処理
をする必要がなく、自然に撥水処理した表面と親水処理
した被膜を形成することができ、マスキングを行う等の
面倒な作業も必要がなく、特に好ましい。
【0023】本発明に用いられるガラスとしては、乗り
物用の窓に使われる一般的なソーダライムシリケートガ
ラスの他、シリカガラスや硼珪酸ガラスなどのその他の
無機ガラス、およびポリカーボネートやポリメタクリル
酸メチルなどの有機ガラスをも用いることができる。ま
た、用途によっては無着色であっても、グリーンやグレ
ーなどの色に着色されていても差し支えない。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。
【0025】
【実施例1】親水性被膜および撥水性被膜の形成 洗剤を用いてよく水洗し、乾燥した自動車用フロントド
アガラス(厚さ;5mm)のソーダライムガラスの車外
面に、コルコートP(コルコート(株) 製シリカゾ
ル)とエタノールとヘキシレングリコールからなる下地
膜用塗布液をロールコーターで塗布したのち、300℃
で乾燥した。次いで図1に示すようなガラスの所定領域
(車に装着された時にドアミラーを見る部分およびその
周辺部分:窓ガラスのおよそ前半分)以外をテープでマ
スキングした後、該下地膜表面にCSG−DI−060
0(チッソ(株)製シリカゾル)とST−K01(石原
テクノ(株)製チタニア含有光触媒薬液)とエタノール
からなる親水処理液をディッピング法により塗布した。
マスキングしたテープを剥がした後、300℃で乾燥
し、さらに曲げ強化温度(約640℃)で焼成すること
で膜厚100nmのシリカ下地膜の表面に部分的に膜厚
100nmの30TiO2・70SiO2の光触媒機能を
有する親水性膜で被覆された膜付き自動車用窓ガラスを
得た。さらに30TiO2・70SiO2で被覆された領
域以外(窓ガラスのおよそ後半分)にTSL8233
(東芝シリコーン(株)製フルオロアルキルシラン化合
物)と水と硝酸とエタノールからなる撥水処理液を塗布
した後、ネルでムラのないところまで塗り込み、さらに
一昼夜放置することで撥水処理を行い、撥水性被膜を形
成した。
【0026】親水性および撥水性の品質評価 上記処理が完了した膜付き自動車用窓ガラスの親水性お
よび撥水性の品質評価を次の方法で評価した。快晴の日
中の南向きと同等の紫外線強度(ミノルタ(株)製UM
−360で2mW/cm2)に設定した紫外線ランプ
(松下電器産業(株)製ブラックライトブルー蛍光灯F
L15BL−B)下に被膜を形成した膜付き自動車用窓
ガラスを4時間放置したのち、被膜処理したガラス表面
の水に対する接触角を3μlの水を用いて評価した。
【0027】結果、撥水処理液で処理した領域の接触角
は109°と優れた撥水性を示し、また、親水処理液で
処理した領域の接触角も2°以下と優れた親水性を示し
た。
【0028】自動車に装着時の性能評価 膜付き自動車用窓ガラスを実際に車のフロント側ドアに
装着し、降雨時に停車した状態→走行した状態→続いて
再度1時間ほど停車した状態→車庫に入れて放置した状
態を経た後の該ガラスについて、付着した水滴の乾燥状
態を評価した。
【0029】結果、停車時は撥水処理領域は水滴が球状
に付着し外光が散乱して白濁して車内から外が見通せな
かったが、親水処理領域は付着した水が速やかに膜状に
広がり良好な視界が確保されており、ドアミラーや車の
斜め前方が良く見通せ、車を発進させるときの安全性が
格段に向上した。走行時は親水処理領域の水膜が歪み充
分な視界が確保されなかったが、撥水処理領域は付着し
ていた水滴が飛散し良好な視界が確保されており、車線
変更など運転者が直接側面の安全性を確認する必要があ
る場合において全く支障が無かった。車庫に入れて水滴
の乾燥状態を観察したところ、撥水処理領域の水滴は5
分後も残っていたが、親水処理領域は5分後には水膜は
乾燥し良好な視界が確保された。さらに撥水処理領域の
水滴が乾燥するまで放置しておいたところ、撥水処理領
域は斑点状に水垢後が残っていたが、親水処理領域はほ
とんど汚れがなかった。
【0030】以上のように、撥水−親水処理膜付き自動
車用窓ガラスは、全ての運転状況において安全性が飛躍
的に向上し、かつ防汚性もあり、非常に良好であった。
【0031】
【実施例2】親水性被膜および撥水性被膜の形成 自動車用フロントドアガラスの親水処理する部分(実施
例1と同じ領域)以外をテープでマスキングし、CSG
−DI−0600(チッソ(株)製シリカゾル)とIP
A−ST−S(日産化学工業(株)製超微粒子シリカ)
とHPC−M(日本曹達(株)製ヒドロキシセルロー
ス)とエタノールを用いて、CSG−DI−0600か
らなるシリカ成分とIPA−ST−Sからなるシリカ成
分の比が重量比で8:2とし、CSG−DI−0600
からなるシリカ成分とHPC−Mの比が重量比で30:
1とした親水処理液を調合し、これをディッピング法で
塗布し、マスキングしたテープを剥がした後、100℃
で乾燥し、次いで曲げ強化温度で焼成し、所定領域を膜
厚150nmを有する親水性無機膜で被覆した。続い
て、スーパーレインXプラス((株)錦之堂製撥水処理
剤)を用いて上記親水性被膜以外の領域を撥水処理し、
撥水性被膜を形成した。
【0032】親水性および撥水性の品質評価 上記処理が完了した膜付き自動車用窓ガラス表面の水に
対する接触角を評価した。
【0033】結果、撥水処理した領域の接触角は98°
と優れた撥水性を示すとともに、親水処理した領域の接
触角も2°以下と同様に優れた親水性を示した。
【0034】自動車装着における性能評価 膜付き自動車用窓ガラスを実際に車のフロント側ドアに
装着し、実施例1と同様の状態を経たのち該ガラスにつ
いて、付着した水滴の乾燥状態を評価した。
【0035】結果、実施例1と同様に良好な結果が得ら
れ、全ての運転状況において安全性が飛躍的に向上し
た。
【0036】
【実施例3】親水性被膜および撥水性被膜の形成 自動車用フロントドアガラスの形状に切断したのち強化
加工したソーダライムガラス板(厚さ;5mm)を洗剤
を用いて水洗し、乾燥した後、車外面の所定領域(実施
例1と同じ領域)を実施例1と同じ撥水処理液を用いて
塗布し、120℃で10分間熱処理した後、ネルでムラ
のないところまで塗り込み撥水処理を行い、撥水性被膜
を形成した。次いで、撥水処理のしていない残りの領域
を酸化セリウムを用いて水洗した後、ニューレインカッ
トフィルム((株)ワコー製防曇フィルム)を用いて貼
付することで親水性被膜を形成した。
【0037】親水性および撥水性の品質評価 膜付き自動車用窓ガラス表面の水に対する接触角を調べ
た。
【0038】結果、撥水処理した領域の接触角は110
°と優れた撥水性を示すとともに、親水フィルムを貼り
付けた領域の接触角も10°と良好な親水性を示した。
【0039】自動車に装着時の性能評価 膜付き自動車用窓ガラスを実際に車のフロント側ドアに
装着したのち、実施例1と同様の状態を経た該ガラスに
ついて、付着した水滴の乾燥状態を評価した。
【0040】結果、実施例1と同様に良好な結果が得ら
れ、全ての運転状況において安全性が飛躍的に向上する
とともに防汚性能もあった。
【0041】
【比較例1】通常の自動車用フロントドアガラスを洗剤
を用いてよく水洗し、乾燥した後のガラス表面の水に対
する接触角を評価した結果、接触角は30°〜60°で
あった。
【0042】次に、該ガラスを実際に車のフロント側ド
アに装着し、実施例1と同じ状態を経た該ガラスについ
て、付着した水滴の乾燥状態を評価した結果、全ての状
態で水滴による歪みまたは白濁があり、良好な視界が確
保されておらず、また車庫入れ後の水滴の乾燥は遅く、
これによる白濁があり、良好な視界が確保されなかっ
た。さらに乾燥後の汚れは実施例に比べて全面水垢跡が
残った。
【0043】
【比較例2】実施例1と同じ撥水処理方法により、ガラ
ス全面に撥水処理した自動車用フロントドアガラスを作
製した。該撥水処理ガラス表面の水に対する接触角を評
価した結果、接触角は全面109°と優れた撥水性を示
した。次いで、該ガラスを実際に車のフロント側ドアに
装着し、実施例1と同じ状態を経た該ガラスについて、
付着した水滴の乾燥状態を評価した。
【0044】結果、走行時は視認性が良好であったが、
停車時は球状に水滴が全面に付着し、外光により全面が
白濁し良好な視界が確保されず、良好な視界が確保され
ていなかった。また車庫入れ後の水滴の乾燥は遅く、こ
れによる白濁が長時間続き、視界が全く確保できなかっ
た。さらに乾燥後の汚れは比較例1の通常フロントドア
ガラスよりは汚れは目立たなかったが実施例に比べて全
面水垢跡が残った。
【0045】
【比較例3】実施例1と同じ親水処理方法により、ガラ
ス全面に親水処理を施した自動車用フロントドアガラス
を作製した。実施例1と同様に快晴の日中屋外に4時間
放置した後の水に対する接触角を評価した結果、接触角
は2°以下と優れた親水性を示した。該親水処理ガラス
を実際に車のフロント側ドアに装着し、実施例1と同じ
状態を経た該ガラスについて、付着した水滴の乾燥状態
を評価した。
【0046】結果、停車および車庫入れ後の視認性、乾
燥状態と汚れの付き難さは良好であったが、走行時は歪
みが生じ良好な視界が確保されず、良好な視界が確保さ
れていなかった。
【0047】
【発明の効果】自動車用フロントドアガラスの一部を親
水処理し、それ以外の全部または一部を撥水処理するこ
とにより、降雨時の走行状態では撥水処理した領域で良
好な視界を確保出来、また降雨時の停車状態では親水処
理した領域で良好な視界を確保出来、さらに雨が止んだ
後では親水処理した領域で速やかな良好な視界を確保す
ることができる等、降雨時の運転における安全性を飛躍
的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のおよそ左右半分に親水性被膜と撥水
性被膜を形成した図を示す。
【図2】自動車用フロントドアガラスの全面に親水性被
膜を被覆した場合の、降雨時に停車時から走行しだした
時の水膜の状態を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09K 3/00 C09K 3/00 R (72)発明者 西田 佳弘 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内 (72)発明者 本城 啓司 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内 Fターム(参考) 3D025 AA01 AC20 AD02 AD04 AD09 4G059 AA01 AC22 FA05 GA01 4H020 AA01 AB02 BA32 BA36

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自動車用フロントドアガラスの表面の一部
    に、水に対する接触角が20°以下の親水性被膜の領域
    が形成されてなることを特徴とする膜付き自動車用窓ガ
    ラス。
  2. 【請求項2】水に対する接触角が20°以下の親水性被
    膜の領域と、水に対する接触角が70°以上の撥水性被
    膜の領域とが形成されてなることを特徴とする請求項1
    記載の膜付き自動車用窓ガラス。
  3. 【請求項3】該ガラスのおよそ前半分の領域は親水性被
    膜が形成され、およそ後半分の領域は撥水性被膜が形成
    されてなることを特徴とする請求項2記載の膜付き自動
    車用窓ガラス。
  4. 【請求項4】親水性被膜は、親水性無機膜および/また
    は光触媒機能を有する半導体を含む膜により形成されて
    おり、撥水性被膜はフルオロアルキルシラン化合物およ
    び/またはシリコーン化合物を含む撥水処理剤で撥水処
    理された膜で形成されていることを特徴とする請求項1
    乃至3記載の膜付き自動車用窓ガラス。
  5. 【請求項5】親水性被膜と撥水性被膜の境界部に、水に
    対する接触角が約20°〜約70°に連続的に変化させ
    てなる境界領域を形成させることを特徴とする請求項2
    乃至4記載の膜付き自動車用窓ガラス。
  6. 【請求項6】自動車用フロントドアガラスのおよそ前半
    分の領域に光触媒機能を有する半導体を含む親水性膜を
    成膜したのち、フルオロアルキルシラン化合物および/
    またはシリコーン化合物を含む撥水処理剤により該親水
    性膜が形成された領域も重ねて該ガラスの全領域を撥水
    処理し撥水性被膜を形成させてなることを特徴とする膜
    付き自動車用窓ガラスの製造方法。
JP11130737A 1999-05-12 1999-05-12 膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法 Pending JP2000319641A (ja)

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JP11130737A Pending JP2000319641A (ja) 1999-05-12 1999-05-12 膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008120505A1 (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Konica Minolta Holdings, Inc. 撥水性物品と建築用窓ガラス及び車両用窓ガラス
US8263228B2 (en) 2006-02-14 2012-09-11 Pilkington Automotive Limited Vehicle glazing
CN114103602A (zh) * 2020-08-27 2022-03-01 本田技研工业株式会社 车窗

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