JP2000319542A - 高分子被覆粉体の製造方法 - Google Patents

高分子被覆粉体の製造方法

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JP2000319542A JP11132502A JP13250299A JP2000319542A JP 2000319542 A JP2000319542 A JP 2000319542A JP 11132502 A JP11132502 A JP 11132502A JP 13250299 A JP13250299 A JP 13250299A JP 2000319542 A JP2000319542 A JP 2000319542A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 高分子化合物の被膜で被覆された粉体を
互いに相分離を起こす2種類以上の混合液体中に混合、
分散させた後、上記液体を同時に留去し、上記粉体を乾
燥することを特徴とする高分子被覆粉体の製造方法。 【効果】 本発明の高分子被覆粉体の製造方法によれ
ば、粒子同士の凝集がほとんどない高分子化合物で被覆
され、特に導電性や触媒能を持つ充填剤や抗菌剤等に有
用な金属被覆粉体の原料として好適な粉体を工業的に有
利に製造できる。特に、本発明方法でケイ素系高分子被
覆粉体を原料として製造した金属被覆粉体は、熱処理等
の後処理の条件を変えることにより、酸化ケイ素、炭化
ケイ素といった優れた耐熱性を持つ膜を形成した金属被
覆粉体にすることができ、広い応用をもっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、凝集がほとんどな
い高分子被覆粉体、特にケイ素系高分子被覆粉体の製造
方法に関し、特に導電性や触媒能を持つ充填剤、抗菌剤
等として有用な金属被覆粉体の原料として好適な高分子
被覆粉体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】粉体、
特に非導電性の粉体を種々の金属でコートして製造した
金属被覆粉体は、べースフィラーとなる素材の選択の自
由度が大きく、導電性フィラーや抗菌剤として、塗料、
充填剤、コーティング剤等の広い分野に応用が期待でき
るため、様々な製造手法が検討され、中でも無電解メッ
キ法を利用した方法などにより実用化されていた。
【0003】しかしながら、無電解メッキ法は、メッキ
金属と粉体との間の密着性に問題があり、より密着性の
よい金属被膜を持つ粉体を製造するため、シランカップ
リング剤(例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン)のようなシランモノマーを用いる方法(特開昭61
−257479号公報、特開昭62−297471号公
報)、NaBH4のような還元剤を使用したパラジウム
コロイドゾルを使用する方法(特開昭63−79975
号公報)、粉体表面をエッチング処理する方法などが提
案されている。しかし、これら方法では必ずしも良好な
金属被覆粉体が得られていないのが現状であった。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、高分子化合物被膜、特にケイ素系高分子化合物被膜
で密着性良く被覆され、粉体同士の凝集がほとんどな
く、導電性や触媒能を持つ充填剤、抗菌剤等として有用
な金属被覆粉体の原料として好適な高分子被覆粉体を安
価で簡便な工程により得ることができる高分子被覆粉体
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、粉体を、有機溶剤に溶解した分子中にSi−Si結
合又はSi−H結合を有するケイ素系高分子化合物で処
理し、粉体表面を該ケイ素系高分子化合物からなる被膜
で被覆する工程を行った後、この第一工程でケイ素系高
分子化合物からなる被膜で被覆された粉体を分散した有
機溶剤に、この有機溶剤と互いに相分離を起こす他の溶
剤を添加混合した後、これら溶剤を同時に留去して乾固
させることにより、非凝集のケイ素系高分子化合物で被
覆されたケイ素系高分子被覆粉体を形成させることがで
きること、即ち、このように安価で簡便な工程で、粉体
表面がケイ素系高分子化合物からなる被膜で強固に密着
性よく被覆され、しかもこのようにケイ素系高分子被覆
粉体を互いに相分離を起こす2種類以上の溶剤を含む混
合溶剤中に分散させたものから溶剤を留去、乾固するこ
とで、粒子同士の接触が防止された非凝集のケイ素系高
分子被覆粉体が得られること、このケイ素系高分子被覆
粉体は、導電性や触媒能を持つ充填剤、抗菌剤等に利用
される金属被覆粉体の原料として幅広く利用可能である
ことを見出した。
【0006】この場合、ケイ素系高分子化合物は、炭素
に比べてケイ素の持つ金属性、電子非局在性、高い耐熱
性と柔軟性、良好な薄膜形成特性から、非常に興味深い
ポリマーであり、中でもポリシラン又はケイ素原子に直
接結合した水素原子を有するポリシロキサンは、還元性
を持つ高分子化合物として知られ、各種用途に利用され
ている。更に、ポリシランは炭化ケイ素セラミック材料
の前駆体として、ポリシロキサンは酸化ケイ素セラミッ
ク材料の前駆体として、熱処理等の後処理により非常に
耐熱性に優れる絶縁材料になることも良く知られてい
る。
【0007】本出願人は、このような還元作用を持つケ
イ素系高分子化合物を用いて表面を処理した粉体を金属
イオンを含む溶液と接触させると、粉体表面で金属コロ
イドが生成・保持されることを見出し、これを利用した
密着性のよい金属被膜粉体の製造方法を特願平10−1
21836号に提案したが、この方法は、ケイ素系高分
子化合物で表面処理した粉体が製造時に凝集するおそれ
があった。
【0008】そこで、本発明者は、ケイ素系高分子化合
物で表面処理された粉体の製造技術について更に研究を
重ね、ケイ素系高分子被覆粉体の製造時に、互いに相分
離を起こす2種類以上の溶剤を含む混合溶剤中に分散さ
せ、この液体を留去、乾燥させることにより、粒子同士
の接触が効果的に防止され、凝集のほとんどない良好な
ケイ素系高分子被覆粉体を簡単かつ安価に効率良く製造
できること、かかる方法は他の高分子被覆粉体にも有効
であることを見出し、本発明をなすに至ったものであ
る。
【0009】従って、本発明は、高分子化合物の被膜で
被覆された粉体を互いに相分離を起こす2種類以上の混
合液体中に混合、分散させた後、上記液体を同時に留去
し、上記粉体を乾燥することを特徴とする高分子被覆粉
体の製造方法を提供する。また、本発明は、特に非凝集
のケイ素系高分子被覆粉体を得る方法として、(1)粉
体を有機溶剤に溶解した分子中にSi−Si結合又はS
i−H結合を有するケイ素系高分子化合物で処理し、粉
体表面を該ケイ素系高分子化合物からなる被膜で被覆す
る工程、(2)前記第一工程でケイ素系高分子化合物か
らなる被膜で被覆された粉体が分散した有機溶剤に、こ
の有機溶剤と相分離を起こす他の溶剤を添加、混合した
後、上記両溶剤を同時に留去し、上記粉体を乾燥する工
程を含むことを特徴とするケイ素系高分子被覆粉体の製
造方法を提供する。
【0010】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明の高分子被覆粉体の製造方法は、高分子化合
物の被膜で被覆された粉体を互いに相分離を起こす2種
類以上の混合液体中に混合、分散させた後、上記液体を
同時に留去し、上記粉体を乾燥するもので、これによっ
て非凝集の高分子被覆粉体が得られる。
【0011】この場合、高分子化合物としては適宜選定
されるが、本発明は、特に非凝集のケイ素系高分子被覆
粉体を得る場合に好適に用いられる。
【0012】このような非凝集ケイ素系高分子被覆粉体
を得る場合は、特に、(1)粉体を有機溶剤に溶解した
分子中にSi−Si結合又はSi−H結合を有するケイ
素系高分子化合物で処理し、粉体表面を該ケイ素系高分
子化合物からなる被膜で被覆する工程、(2)前記第一
工程でケイ素系高分子化合物からなる被膜で被覆された
粉体が分散した有機溶剤に、この有機溶剤と相分離を起
こす溶剤を添加、混合した後、上記両溶剤を同時に留去
し、上記粉体を乾燥する工程により行うことができる。
【0013】まず、第一工程は、粉体を、有機溶剤に溶
解した分子中にSi−Si結合又はSi−H結合を有す
るケイ素系高分子化合物で処理し、粉体表面をケイ素系
ポリマーからなる被膜で被覆するものである。
【0014】本発明で使用される粉体としては、例えば
シリカ、アルミナ、ケイ酸アルミナ等の絶縁性粉体、酸
化チタン、酸化亜鉛等の半導電性粉体、カーボン、アル
ミ等の導電性粉体などが挙げられる。なお、形状は特に
制限はなく、粉末状、繊維状、フレーク状等の種々な形
状のものを用いることができる。
【0015】本発明では、還元作用を持つケイ素系高分
子化合物として分子中にSi−Si結合又はSi−H結
合を有するケイ素系高分子化合物を用いる。
【0016】ここで、分子中にSi−Si結合を有する
ケイ素系高分子化合物としては、ポリシランが好ましく
用いられ、下記一般式(1)で表されるポリシランが好
適である。
【0017】 (R1 m2 npSi)q (1) 上記式(1)中、R1、R2はそれぞれ水素原子、置換も
しくは非置換の一価炭化水素基であり、R1とR2とは互
いに同一であっても異なっていてもよいが、上記一価炭
化水素基としては、脂肪族、脂環式又は芳香族一価炭化
水素基が用いられる。脂肪族又は脂環式一価炭化水素基
としては、炭素数1〜12、特に1〜6のものが好まし
く、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基など
が挙げられる。また、芳香族一価炭化水素基としては、
炭素数6〜14、特に6〜10のものが好適であり、例
えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、
ベンジル基等が挙げられる。なお、置換一価炭化水素基
としては、上記に例示した非置換の一価炭化水素基の水
素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、
アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例え
ばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−
ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0018】Xは、R1と同様の基、アルコキシ基、ハ
ロゲン原子、酸素原子又は窒素原子であり、アルコキシ
基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロ
ポキシ基等の好ましくは炭素数1〜4のもの、ハロゲン
原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げ
られる。Xとしては、これらの中でも通常メトキシ基、
エトキシ基が好適に用いられる。
【0019】mは0.1≦m≦1、好ましくは0.5≦
m≦1、nは0.1≦n≦1、好ましくは0.5≦n≦
1、pは0≦p≦0.5、好ましくは0≦p≦0.2で
あり、かつ1≦m+n+p≦2.5、好ましくは1.5
≦m+n+p≦2を満足する数であり、qは2≦q≦1
00,000、好ましくは10≦q≦10,000の範
囲の整数である。
【0020】また、ケイ素原子に直接結合した水素原子
(Si−H基)を有するケイ素系高分子化合物は、側鎖
にSi−H基、主鎖にSi−O−Si結合をもつ下記一
般式(2)で表されるポリシロキサンが好適に用いられ
る。
【0021】 (R3 a4 bcSiOde (2) 上記式中、R3、R4はそれぞれ水素原子、置換もしくは
非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原
子であり、R3とR4とは互いに同一であっても異なって
いてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂肪族、
脂環式又は芳香族一価炭化水素基が用いられる。脂肪族
又は脂環式一価炭化水素基としては、炭素数1〜12、
特に1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等
のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等
のシクロアルキル基等が挙げられる。芳香族一価炭化水
素基としては、炭素数6〜14、特に6〜10のものが
好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル
基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。なお、置
換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基として
は、上記に例示した非置換の一価炭化水素基の水素原子
の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ
基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノ
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチ
ルアミノフェニル基等が挙げられる。アルコキシ基とし
ては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ
基等の炭素数1〜4のものが好適であり、ハロゲン原子
としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が
挙げられ、通常メトキシ基、エトキシ基が好適に用いら
れる。
【0022】aは0.1≦a≦1、好ましくは0.5≦
a≦1、bは0.1≦b≦1、好ましくは0.5≦b≦
1、cは0.01≦c≦1、好ましくは0.1≦c≦1
であり、かつ1≦a+b+c≦2.5、好ましくは1≦
a+b+c≦2.2を満足する数である。dは1≦d≦
2である。eは2≦e≦100,000、好ましくは1
0≦e≦10,000の範囲の整数である。
【0023】ここで、粉体へのケイ素系ポリマー処理方
法としては、溶剤等の液体を用いる湿式法が採用され、
ポリマーを溶剤に溶解させ希釈した状態で粉体と混合
し、このスラリーを容器内で撹拌羽根を回転させ分散接
触させる撹拌式、また気流中にこのスラリーを分散させ
瞬時に乾燥させる噴霧式が好適に用いられる。
【0024】ケイ素系高分子化合物を溶解させる第一溶
剤としては、有機溶剤、特に炭素数6〜12の炭化水素
化合物が好適であり、例えばベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族系炭化水素、ヘキサン、オクタン、シク
ロヘキサン等の脂肪族系炭化水素溶剤などが好適に用い
られる。ポリマー溶液の濃度は0.01〜50%(重量
%、以下同様)、特に1〜20%が好適である。
【0025】次に、第二工程では、第一工程でケイ素系
高分子化合物からなる被膜で被覆された粉体を分散した
有機溶剤に、この溶剤と互いに相分離を起こす他の溶剤
を添加混合した後、これらの溶剤を同時に留去して乾固
させるもので、これにより非凝集のケイ素系高分子被覆
粉体を得ることができる。
【0026】この場合、第二工程では、第一工程でケイ
素系高分子化合物を溶解させた有機溶剤中でケイ素系高
分子化合物で粉体を被覆処理した後、この有機溶剤を完
全に留去することなく、この有機溶剤中にケイ素系高分
子被覆粉体を分散させた状態で、これにこの溶剤と相分
離を起こし得る他の溶剤を添加、混合することが好まし
い。この工程を行うことにより、有機溶剤に分散したケ
イ素系高分子に表面が覆われた粉体が、前記溶剤と相分
離を起こしている液体により分離され、粒子同士の接触
が防止された状態で乾固されるため、粉体の凝集を防止
することができる。
【0027】上記有機溶剤としては、第一工程で挙げた
ものを用いることができ、この有機溶剤と相分離を起こ
し得る他の溶剤としては、水やアセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メタ
ノール、エタノール等のアルコール類などの極性溶媒な
どの1種を単独で、又は2種以上を併用して用いること
ができるが、中でも水あるいはメタノール、エタノール
等のアルコール類を好適に用いることができる。
【0028】これら他の溶剤の添加量は、上記有機溶剤
100重量部に対して10〜1,000重量部、特に5
0〜200重量部が好適であり、添加量が少なすぎても
多すぎても、2相に分離が起こらないため、凝集を防止
する効果が得られない場合がある。
【0029】なお、これら他の溶剤の添加後は、十分撹
拌、混合することが好ましい。
【0030】この後、温度を上げたり、減圧にするなど
により、分散媒となっている溶剤を同時に留去させる
が、通常、減圧下で分散媒の沸点以上の温度、具体的に
は1〜100mmHgという減圧下で40〜200℃程
度で撹拌しながら乾燥することが効果的である。
【0031】処理後は、しばらく乾燥雰囲気下、あるい
は減圧下で40〜200℃程度の温度で静置すること
で、溶剤が完全に留去して処理粉体が乾燥し、ケイ素系
高分子処理粉体を製造できる。
【0032】本発明では、必要に応じて、上記ケイ素系
高分子被覆粉体を金属塩処理することができる。これ
は、ケイ素系高分子処理粉体の表面を金属塩を含む溶液
と接触させるもので、この処理では、ケイ素系高分子化
合物の還元作用により金属コロイドがケイ素系高分子化
合物の被膜表面に形成され、金属被膜が形成されるもの
である。
【0033】ここで、金属塩としては、標準酸化還元電
位0.54V以上の金属の塩が好適である。より具体的
には、金(標準酸化還元電位1.50V)、パラジウム
(標準酸化還元電位0.99V)、銀(標準酸化還元電
位0.80V)等の塩が好適に用いられる。なお、標準
酸化還元電位が0.54Vより低い銅(標準酸化還元電
位0.34V)、ニッケル(標準酸化還元電位0.25
V)等の塩では、ケイ素系高分子化合物で還元し難い。
【0034】金塩としては、Au+又はAu3+を含んで
なるもので、具体的には、NaAuCl4、NaAu
(CN)2、NaAu(CN)4等が例示される。パラジ
ウム塩としては、Pd2+を含んでなるもので、通常Pd
−Z2の形で表すことができる。Zは、Cl、Br、I
等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、
アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレー
ト、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の塩で
ある。具体的には、PdCl2、PdBr2、PdI 2
Pd(OCOCH32、Pd(OCOCF32、PdS
4、Pd(NO32、PdO等が例示される。銀塩と
しては、溶剤に溶解し、Ag+を生成させ得るもので、
通常Ag−Z(Zはパークロレート、ボレート、ホスフ
ェート、スルフォネート等の塩とすることができる)の
形で表すことができる。具体的には、AgBF4、Ag
ClO4、AgPF6、AgBPh4、Ag(CF3
3)、AgNO3等が例示される。
【0035】粉体を金属塩を含む溶液で処理する接触方
法としては、ケイ素系ポリマーを溶解せず、かつ金属塩
を溶解又は分散させることができる溶剤を用いて金属塩
を含む溶液を調製し、この溶液にケイ素系ポリマー被膜
で被覆された粉体を投入して金属塩と接触させる方法が
好適である。このように処理することにより、ケイ素系
ポリマーで被覆された粉体のケイ素系ポリマー被膜表面
に金属塩が吸着されると共に還元され、金属被覆粉体が
形成される。
【0036】ここで、ケイ素系ポリマーを溶解せず、か
つ金属塩を溶解又は分散させることができる溶媒として
は、水や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル
ホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒など
が挙げられ、中でも水が好適に用いられる。
【0037】金属塩の濃度は、塩を溶解させる溶媒によ
って異なるが、0.01%〜塩の飽和溶液までが好まし
い。濃度が0.01%未満では、メッキ触媒の効果が十
分でない場合があり、飽和溶液を超えると、固体塩の析
出がある場合があり、好ましくない。なお、溶媒が水の
場合は金属塩の濃度が0.01〜20%、特に0.1〜
5%の範囲であることが好ましい。上記粉体を室温から
70℃の温度で0.1〜120分、より好ましくは1〜
15分程度、ケイ素系高分子処理粉体を金属塩溶液に浸
漬すればよい。これにより、ケイ素系高分子化合物の還
元作用により金属をこの膜表面に形成させることがで
き、金属コロイド処理粉体が製造できる。
【0038】上記処理後は、金属塩を含まない上記と同
様の溶剤で処理し、粉体に担持されなかった不要な金属
塩を除き、最後にこの粉体から不要な溶媒を乾燥除去す
ることが好ましく、これにより金属被覆粉体を得ること
ができる。乾燥は、通常0〜150℃で常圧又は減圧下
で行うのが好ましい。
【0039】更に、本発明方法では、必要に応じて、上
記工程を行った後、金属被覆粉体を無電解メッキ処理す
ることができる。上記工程で生成した金属コロイドを触
媒として無電解メッキ処理を行うことにより、より完全
に多彩な金属で被覆された粉体を得ることができる。
【0040】この場合、無電解メッキ液としては、銅、
ニッケル、コバルト、パラジウム、金、白金、ロジウム
等の金属を含むものが好適に用いられるが、特に金、
銅、ニッケルを含むものが好適である。なお、無電解メ
ッキ液は、通常、金属塩に次亜リン酸ナトリウム、ヒド
ラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナト
リウム、フェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウ
ム等の錯化剤を含む。通常、銅、ニッケル、銀、金等の
金属を含むものは、無電解メッキ液として市販されてお
り、安価に入手することができる。
【0041】メッキ温度は15〜120℃、特に25〜
85℃、接触時間は1分〜16時間、特に10〜60分
が好適である。なお、無電解メッキ処理後は、最後に不
要な界面活性剤を除くため水洗を行うことが望ましい。
【0042】また必要に応じて、この金属被覆粉体を高
温処理することによりセラミック層からなる絶縁層を形
成させることができる。高温処理は、通常200〜12
00℃、特に300〜900℃で1分〜24時間、特に
30分〜4時間が好適である。この高温処理により、粉
体と金属間にあるケイ素系ポリマーがセラミックに変化
し、より高い耐熱性と絶縁性と密着性を持つことにな
る。特にポリシランを高温処理すると、Si−Si結合
が切断され、様々な元素が入り安定化するため、このと
きの雰囲気を空気中のような酸化系で行うと酸化ケイ素
のセラミック、アンモニアガスのような還元性雰囲気下
で行うと窒化ケイ素のセラミック、アルゴンのような不
活性雰囲気下や真空系で行うと炭化ケイ素のセラミック
を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】本発明の高分子被覆粉体の製造方法によ
れば、粒子同士の凝集がほとんどない高分子化合物で被
覆され、特に導電性や触媒能を持つ充填剤や抗菌剤等に
有用な金属被覆粉体の原料として好適な粉体を工業的に
有利に製造できる。特に、本発明方法でケイ素系高分子
被覆粉体を原料として製造した金属被覆粉体は、熱処理
等の後処理の条件を変えることにより、酸化ケイ素、炭
化ケイ素といった優れた耐熱性を持つ膜を形成した金属
被覆粉体にすることができ、広い応用をもっている。
【0044】
【実施例】以下、合成例、実施例及び比較例を示して本
発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。
【0045】〔合成例〕 フェニルポリシラン(以下、PPHSと略記する)の製
造:アルゴン置換したフラスコ内に、ビス(シクロペン
タジエニル)ジクロロジルコノセンにメチルリチウムの
ジエチルエーテル溶液を添加することで、系内で触媒で
あるビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコノセ
ンを調製した。これにフェニルシランを触媒の50倍モ
ル添加し、150℃で24時間加熱撹拌を行った。この
後、モレキュラーシーブスを添加濾過することにより触
媒を除去したところ、ほぼ定量的に重量平均分子量2,
600のPPHSの固体を得た。
【0046】〔実施例〕粉体として、球状シリカUS−
10(三菱レーヨン(株)製;平均粒径10μm)を用
いた。PPHS5gをトルエン65gに溶解させ、この
溶液をUS−10 100gに加え、1時間撹拌し、ス
ラリーにした。ロータリーエバポレーターにて、温度8
0℃、45mmHgの圧力でトルエンを30g留去さ
せ、PPHS処理球状シリカを得た。この状態でPPH
S処理球状シリカは、トルエン中に均一に分散してお
り、流動性があった。
【0047】次に、これに水35gを加え、激しく撹拌
すると、水がPPHS処理球状シリカ含有トルエン相と
混ざり、流動性が無くなった。この状態を再びロータリ
ーエバポレーターにて80℃の温度、45mmHgの圧
力でトルエン35gと水30gを同時に留去させた。こ
の状態では、PPHS処理球状シリカは泡中に膨れ上が
った状態で分散しており、ローラー等により簡単に解砕
された。顕微鏡で粉体を観察したところ、ほとんど凝集
は見られず、球状の形状であった。
【0048】〔比較例〕トルエン中に均一に分散したP
PHS処理球状シリカに、水を全く加えない以外は実施
例と同様の操作を行ったところ、トルエン65gを留去
させた状態では、PPHS処理球状シリカは固化状態で
あり、ローラー等により解砕できず、少量を破砕して顕
微鏡で粉体を観察したところ、凝集により100μm以
上の不定形の形状であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H011 AA02 BA01 BB18 BC19 DA02 DA04 DG10 DG16 DH07 DH08 4J037 AA02 AA05 AA11 AA17 AA18 AA22 AA24 CA14 CC28 DD23 EE03 EE28 EE33 EE35 EE43 FF11 FF26 FF30 4K018 BA01 BA02 BA04 BA08 BC24 BC30 BD04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子化合物の被膜で被覆された粉体を
    互いに相分離を起こす2種類以上の混合液体中に混合、
    分散させた後、上記液体を同時に留去し、上記粉体を乾
    燥することを特徴とする高分子被覆粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 (1)粉体を有機溶剤に溶解した分子中
    にSi−Si結合又はSi−H結合を有するケイ素系高
    分子化合物で処理し、粉体表面を該ケイ素系高分子化合
    物からなる被膜で被覆する工程、(2)前記第一工程で
    ケイ素系高分子化合物からなる被膜で被覆された粉体が
    分散した有機溶剤に、この有機溶剤と相分離を起こす他
    の溶剤を添加、混合した後、上記両溶剤を同時に留去
    し、上記粉体を乾燥する工程を含むことを特徴とするケ
    イ素系高分子被覆粉体の製造方法。
  3. 【請求項3】 分子中にSi−Si結合を有するケイ素
    系高分子化合物が、下記一般式(1)で表されるもので
    ある請求項2記載のケイ素系高分子被覆粉体の製造方
    法。 (R1 m2 npSi)q (1) (式中、R1、R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非
    置換の一価炭化水素基、XはR1と同様の基、アルコキ
    シ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子である。m
    は0.1≦m≦1、nは0.1≦n≦1、pは0≦p≦
    0.5であり、かつ1≦m+n+p≦2.5を満足する
    数、qは2≦q≦100,000の整数である。)
  4. 【請求項4】 分子中にSi−H結合を有するケイ素系
    高分子化合物が、下記一般式(2)で表されるものであ
    る請求項2記載のケイ素系高分子被覆粉体の製造方法。 (R3 a4 bcSiOde (2) (式中、R3、R4はそれぞれ水素原子、置換もしくは非
    置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子
    である。aは0.1≦a≦1、bは0.1≦b≦1、c
    は0.01≦c≦1であり、かつ1≦a+b+c≦2.
    5、dは1≦d≦2を満足する数である。eは2≦e≦
    100,000の整数である。)
  5. 【請求項5】 互いに相分離する一方の有機溶剤が炭素
    数6〜12の炭化水素化合物であり、他方の溶剤が極性
    溶媒である請求項2,3又は4記載のケイ素系高分子被
    覆粉体の製造方法。
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