JP2000319010A - ヒドロキシアパタイト複合材及びその製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアパタイト複合材及びその製造方法

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JP2000319010A JP11126352A JP12635299A JP2000319010A JP 2000319010 A JP2000319010 A JP 2000319010A JP 11126352 A JP11126352 A JP 11126352A JP 12635299 A JP12635299 A JP 12635299A JP 2000319010 A JP2000319010 A JP 2000319010A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高分子成型体の表面に安定な形でヒドロキシア
パタイトの層が設けられた構造体であって、ヒドロキシ
アパタイトの層が剥離脱落しないヒドロキシアパタイト
複合材及びその製造方法の提供 【解決手段】 高分子成型体上にヒドロキシアパタイト
層が安定した結合状態で層として積層されている構造で
あって、高分子成型体上に形成された親水性ポリマー層
及びその上にヒドロキシアパタイト層が形成され、高分
子成型体と親水性ポリマー層とヒドロキシアパタイトの
結合力により安定した状態で層として積層されている積
層構造からなることを特徴とするヒドロキシアパタイト
複合材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表面にヒドロキ
シアパタイトの層を被覆した構造の高分子成型体からな
る複合材及びその製造方法に関する。この発明により得
られる表面にヒドロキシアパタイトの層を設けた高分子
成型体は、吸着材、生体代替材料、機能性繊維素材、バ
イオリアクター用基材等に利用できる機能性材料であ
る。
【0002】
【従来の技術】ヒドロキシアパタイトは、カルシウム塩
とリン酸水素アルカリ金属塩の各水溶液を適当な割合で
混合し、加熱することなく、攪拌処理を行う湿式法によ
り製造することができる。このようにして得られるヒド
ロキシアパタイトは親水性である。ヒドロキシアパタイ
トを基材の表面に付着担持しようとする際には、基材と
してその表面が親水性である高分子性のフィルムや繊維
等を基材として用いることが考えられる。これは両者の
親水性を利用して基材の表面上にヒドロキシアパタイト
層を付着させようとするものである。ヒドロキシアパタ
イトの層を付着させる際には、基材を、カルシウム塩の
水溶液とリン酸水素アルカリ金属塩水溶液からなる液に
交互に浸漬処理を行う湿式処理により、基材上にヒドロ
キシアパタイト層を形成することができる。また、基材
をカルシウム塩の水溶液とリン酸水素アルカリ金属塩水
溶液への浸漬処理を繰り返し行うこと、即ち交互に浸漬
する処理を繰り返して行えば、基材表面に所定の厚さの
ヒドロキシアパタイトの層を形成することができる。し
かしながら、このようにして得られるヒドロキシアパタ
イトの積層体は、ヒドロキシアパタイトの基材表面での
結合力が弱く、ヒドロキシアパタイト層が脱落しやす
く、実用的ではない。
【0003】高分子物からなる基材の表面に、ヒドロキ
シアパタイトからなる無機塩を付着担持するためには、
素材が少なくとも一定の親水性を持つ必要がある。基材
としては、抱水性があって十分に水を層中に含有できる
ことが望ましい。このような高分子物としては、架橋さ
れているゲルフィルムや親水性である絹や綿等の繊維の
利用が考えられる。しかしながら、基材として従来から
用いられてきた親水性や抱水性が十分ではない多数の高
分子からなる基材では、高分子から成る基材の表面にヒ
ドロキシアパタイトを付着担持させる複合化物を得るこ
とは困難であった。そして、複合化物が得られている場
合についても、その状態を十分観察してみると、一般的
には、単に表面に付着堆積している状態のものが得られ
ているに過ぎない。すなわち、基材表面とヒドロキシア
パタイト層の結合力は、必ずしも大きくなく、摩擦等の
機械的力によって比較的容易に剥離脱落しやすいもので
あった。
【0004】
【解決しようとする課題】本発明の課題は、高分子成型
体の表面に安定な形でヒドロキシアパタイトの層が設け
られた構造体であって、ヒドロキシアパタイトの層が剥
離脱落しないヒドロキシアパタイト複合材及びその製造
方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高分子成
型体上にヒドロキシアパタイト層が高分子成型体とヒド
ロキシアパタイトの結合力により安定した結合状態で層
として積層されている積層構造について検討を重ね、プ
ラズマ放電処理を施して得られる活性化された基体表面
を親水性モノマーによるグラフト重合して形成した親水
性ポリマー層により被覆した後、ヒドロキシアパタイト
の層を形成することにより、ヒドロキシアパタイトの層
が剥離脱落しないことを見出し、前記課題を解決できる
ことを見出した。より具体的には、プラズマ放電処理を
施された基材表面に、親水性有機モノマーを反応させて
グラフト重合を行い、この上に、ヒドロキシアパタイト
の層を形成すると、高分子基材表面に、ヒドロキシアパ
タイトが、結合力が安定した状態で積層されることを見
いだして、本発明を完成させた。
【0006】本発明によれば、以下の発明が提供され
る。高分子成型体上に、ヒドロキシアパタイト層が安定
した結合状態で積層されている構造からなることを特徴
とするヒドロキシアパタイト複合材。高分子成型体上に
形成された親水性ポリマー層及びその上にヒドロキシア
パタイト層が形成され、高分子成型体と親水性ポリマー
層とヒドロキシアパタイトの結合力により安定した状態
で積層されている積層構造からなることを特徴とするヒ
ドロキシアパタイト複合材。表面がプラズマ処理された
高分子成型体上にグラフト重合により積層された親水性
ポリマー層及びその上にヒドロキシアパタイト層が形成
され、高分子成型体と親水性ポリマーとヒドロキシアパ
タイトの結合力により安定した状態で積層されている積
層構造からなることを特徴とするヒドロキシアパタイト
複合材。高分子成型体に形成する親水性ポリマーを形成
するためのモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、ア
クリルアミド、N−モノメチルアクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリル
アミド、メタクリルアミド、メタクリル酸−2−ヒドロ
キシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−
ビニルピロリドン、及びこれらの複数成分である混合物
からなる群から選ばれるものであることを特徴とするヒ
ドロキシアパタイト複合材。高分子成型体上にプラズマ
グラフト重合によって形成されるグラフトポリマーの量
が、0.01mg/cm乃至10mg/cmである
ことを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材 高分子成型体が繊維状、フィルム状、ブロック状から選
ばれる形状からなる構造体であることを特徴とするヒド
ロキシアパタイト複合材。カルシウム塩濃度が20〜4
00mmol/lであり、リン酸水素二ナトリウム濃度
が20〜400mmol/lである各水溶液に、プラズ
マグラフト重合によって形成されるグラフトポリマーを
形成した高分子成型体を交互に浸漬することによりヒド
ロキシアパタイト層を形成したことを特徴とするヒドロ
キシアパタイト複合材。積層されているヒドロキシアパ
タイトの量が、0.1 mg/cm乃至100m
g/cm であることを特徴とするヒドロキシアパタ
イト複合材。表面に親水性グラフトポリマー層を導入し
た高分子成型体を、カルシウム塩水溶液とリン酸水素ア
ルカリ金属塩水溶液からなる各水溶液中に交互に浸漬す
ることによって、親水性グラフトポリマー層を介してヒ
ドロキシアパタイト層を当該成型体表面に形成させるこ
とを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材の製造方
法。表面に親水性グラフトポリマー層を導入した高分子
成型体を、カルシウム塩濃度が20〜400mmol/
lであり、リン酸水素二ナトリウム濃度が20〜400
mmol/lである各水溶液中に交互に浸漬することに
よって、親水性グラフトポリマー層を介してヒドロキシ
アパタイト層を当該成型体表面に形成させることを特徴
とするヒドロキシアパタイト複合材の形成方法。高分子
成型体の表面をプラズマ処理し、次にプラズマ処理され
た表面に親水性グラフトポリマー層により被覆して製造
された高分子成型体を用いることを特徴とするヒドロキ
シアパタイト複合材の製造方法。高分子成型体に形成す
る親水性グラフトポリマーを形成するためのモノマー
が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−
モノメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル
アミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル
アミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、N−ビニルピロリドン、
及びこれらの複数成分の混合物からなる群から選ばれる
ものであることを特徴とするヒドロキシアパタイト複合
材の製造方法。高分子成型体上にプラズマグラフト重合
によって形成される親水性グラフトポリマーの量が、
0.01mg/cm乃至10mg/cmであること
を特徴とするヒドロキシアパタイト複合材の製造方法。
高分子成型体が、繊維状、フィルム状、ブロック状から
選ばれる形状からなる構造体であることを特徴とするヒ
ドロキシアパタイト複合材の製造方法。積層されるヒド
ロキシアパタイトの量が、0.1乃至100mg/cm
であることを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材
の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明では、高分子成型体からな
る基材が用いられる。基材を形成する高分子物は、各種
重合体からなるものが適宜選択して用いられる。これら
は単一成分から成るものであっても、2成分以上の成分
の混合物であっても差し支えない。これらには安定剤な
どを含んでいても問題ない。プラズマ処理はあらゆる高
分子に対して活性化の作用を持つので、いかなる高分子
素材に対しても応用できる。例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリア
クリロニトリル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリ
アミド、ポリカーボネートなどの高分子物、ABSなど
のこれらの複合物、さらにセルロースや絹などの天然物
由来の高分子物等を挙げることができる。また、これら
の高分子物からなる成型体の形状としては、繊維、フィ
ルム、ブロック状、フイルム状、布状、板状、線状、棒
状、球状、中空状等、必要に応じて、最終目的物の使用
形態に対応して適宜選択して用いることができる。ま
た、繊維などを組み合わせて編んだ織布などであっても
差し支えない。また、表面は平滑であっても多孔質であ
っても差し支えない。
【0008】本発明では、前記の高分子成型体にグロー
放電によるプラズマ処理を施す。このプラズマ処理を施
すことにより、高分子成型体の表面の活性を高くするこ
とができ、かつその浸透力が小さいために高分子基材の
内部まで作用を及ぼすことのない処理を行うことができ
る。高分子成型体をグロー放電によるプラズマ処理をほ
どこすことにより、成型体の表面をラジカル活性化し、
次の処理である、親水性の成分である極性基を持つモノ
マーを、グラフト重合させて親水性ポリマーを得るグラ
フト重合を行いやすくするためである。
【0009】本発明における高分子成型体のプラズマ処
理は、従来公知のプラズマ反応装置を用いて行うことが
できる。また、プラズマ処理の条件は特に限定されるも
のではなく、十分な放電出力を加えることによってプラ
ズマ放電が発生し、高分子成型体表面での相互作用を伴
う反応が進行する条件が満たされれば差し支えない。プ
ラズマ処理の具体的な条件としては、通常13.56M
Hzの、即ちメガヘルツオーダーのラジオ波を印加して
プラズマを発生させ、プラズマ処理が行われる。この
他、これよりも低周波数のキロヘルツオーダーのオーデ
ィオ波を用いることもできる。また、反応系にヘリウム
ガスを導入し、常圧条件下にキロヘルツオーダーの周波
数でプラズマ放電させ、これによってプラズマ前処理を
行うことも可能である。
【0010】プラズマ発生に適切な放電出力は供給無機
ガスの圧力等の条件の他、処理装置の形状等により定ま
るものである。用いる無機ガスとしては酸化エッチング
が優先して起こる酸素系のガスではエッチングが起こる
ので、好ましくないが、これ以外のガスであればはいず
れでも差し支えない。副反応を抑制する上からはアルゴ
ンガスやヘリウムガス等の不活性ガスが適切であり、更
に残留無機ガスの利用もできる。
【0011】これらのガスを1パスカル乃至10パスカ
ルで供給する真空条件下に、一般には2〜200Wの範
囲で放電を発生させると、プラズマ処理が可能となる。
このような条件下で前記の処理が行われる。処理時間と
しては、素材及どの程度にプラズマ処理を施すかを考慮
して、適宜選定すればよい。このような処理で高分子表
面には各種のラジカルが生成する。すなわち、放電のも
とで発生した電子が基材表面に衝突し、これがこれらの
高分子物を構成する化学結合を解離して、高分子ラジカ
ルを生成させる。
【0012】本発明では、基材表面のプラズマ処理後
に、モノマーを接触させることによりその表面にグラフ
ト重合による処理を施す。モノマーを接触させるにはモ
ノマーを含む溶液或いは水溶液中にプラズマ処理を施さ
れた基体を浸すことにより行うことができる。モノマー
としてアクリル酸、メタクリル酸のような蒸発可能なモ
ノマーを用いる場合には、気相でもグラフト重合を行わ
しめることができる。グラフト重合は、室温乃至80℃
程度の条件下に行う。このようなグラフト重合を施すこ
とにより、当該成型体表面に一定の厚さの親水性のポリ
マー層を形成することができる。
【0013】本発明のグラフト重合に用いられるモノマ
ーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミ
ド、N−モノメチルアクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メ
タクリルアミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−ビニルピ
ロリドン、及びこれらの複数成分の混合物を挙げること
ができる。さらに、これらのモノマーの単一成分だけで
なく、混合系のグラフト重合によっても可能である。こ
れらのモノマーが有するカルボキシル基、アミド基、ヒ
ドロキシ基などがグラフト重合された後に、抱水性を付
与することに役立つものである。
【0014】これらの具体例から分かるように、ビニル
系の化合物でグラフト重合が可能であるが、重合活性は
モノマー種に依存し全てのモノマーでグラフト重合が進
むとは限らない。一般的には、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリルアミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル等の化合物は重合活性が高いということができる。
重合性は成型体として用いる高分子の種類やプラズマ前
処理条件等にも依存する。
【0015】グラフト重合の条件は、基材にどの程度の
プラズマ処理を施したかの条件となる放電出力等の前処
理条件、反応系に使用するモノマーの種類及び量、基材
表面の面積、及びグラフト重合させようとする量などが
影響する。モノマーによるグラフト重合の条件は、前処
理等これらの条件を考慮して設定される。
【0016】こうして得られたグラフトポリマー層は、
高分子成型体からなる基材表面で化学的に結合する形で
形成されているために、基材とは強固な結合をなし、以
下に述べるヒドロキシアパタイト形成のための浸漬処理
の際にも脱離することがないことはもちろんのこと、こ
の層は基材表面で安定に担持される。すなわち、ヒドロ
キシアパタイトは親水性グラフトポリマー層を介してよ
り強く結びつけられることとなる。
【0017】本発明においては、グラフト重合による高
分子成型体上へのグラフトポリマー量は特に限定される
ものではなく、目的に応じてその量を制御すればよい
が、或る限られた厚さのヒドロキシアパタイトの層を設
け、且つ成型体のバルクとしての性能を維持した形で複
合材としての機能の発揮を図るという見地からは、グラ
フトの量は0.1mg/cm乃至10mg/cm
より好ましくは0.1mg/cm乃至2.0mg/c
であることが望ましい。
【0018】グラフト重合で得られるポリマー層は、基
材となる高分子成型体と化学的な結合によって形成され
ており、この層を介して堆積するヒドロキシアパタイト
との安定性のある複合構造が得られる。堆積するヒドロ
キシアパタイトの量はグラフト重合ポリマーの量と相関
を有しており、グラフトポリマーの量が多ければそれに
応じてヒドロキシアパタイトの堆積量を多くすることが
できる。
【0019】こうして得られたグラフト重合層を設けた
高分子成型体表面へのヒドロキシアパタイト層を形成す
る際には、ヒドロキシアパタイトを生成させる既知の方
法を適用することができる。具体的には、グラフト重合
処理を施された高分子成型体を、カルシウム塩の水溶液
とリン酸水素塩水溶液からなる各溶液に交互に浸漬する
ことによって行う。このように処理することにより高分
子基材上にヒドロキシアパタイト層が形成されて、有機
−無機複合構造を持つ複合材を得ることができる。この
際に、ヒドロキシアパタイトはポリマー表面で必ずしも
化学的に結合しているわけではないので相互の密着力が
問題となる。もし、密着性が乏しければ基材表面から容
易に脱落することになり、材料としての利用の際に問題
となる。カルボン酸、アミド基、水酸基等の極性の構造
を持つグラフトポリマー層には抱水性があり、この上に
ヒドロキシアパタイト層を形成すると、密着性がある層
を形成することができる。それぞれ一定濃度のカルシウ
ム塩とリン酸水素アルカリ金属塩の水溶液からなる溶液
を利用する。pHの調節のために緩衝液が使用される。
【0020】ヒドロキシアパタイト形成のために用いら
れる無機系カルシウム塩としては、塩化カルシウム、炭
酸カルシウム等をあげることができる。また、リン酸水
素アルカリ金属塩としてはリン酸水素二ナトリウム、リ
ン酸水素二カリウム等をあげることができる。これら
に、バリウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、マンガン、ア
ルミニウム等の他の微量の金属塩成分を加えることによ
ってヒドロキシアパタイトの性能を変化させることも可
能である。ヒドロキシアパタイトを生成させるためのカ
ルシウム塩及びリン酸水素アルカリ金属塩の各溶液の濃
度は、以下の範囲の濃度のものを用いることが好まし
い。カルシウム塩(Ca塩)濃度は、20〜400mm
ol/l、リン酸水素アルカリ金属塩、具体的にはNa
HPOの濃度として、20〜400mmol/lの
範囲のものである。
【0021】これらのヒドロキシアパタイトの形成の際
の塩濃度、浸漬回数、及び反応温度等の条件は特に限定
されることはなく、目的に応じて処理し堆積量を制御す
ればよい。ヒドロキシアパタイトの積層される量は、
0.1〜100mg/cm 程度の範囲であれば十分
に目的を達成することができる。通常、室温程度の相対
的に低温で処理を行うことができる。温度としては、目
的によって、10℃から60℃程度の範囲の比較的低温
での処理が可能である。
【0022】前記の処理に従って、高分子成型体からな
る基材上にプラズマグラフト重合によって浸水性基を持
つポリマー鎖を持つグラフト層を介して、より密着力を
持つ安定なヒドロキシアパタイト層が設けられた構造の
複合体を形成することができる。この複合体は、とりわ
け、ポリプロピレンやポリエチレン等の疎水性のポリマ
ーを基材にして行うことができるものである。従来、こ
のような、ヒドロキシアパタイトの形成が全く不可能で
あった素材へ応用することができるので、基材の有する
機械的な強度を十分に発揮することができる。その結
果、バルクの特性を維持した状態で、表面に堆積形成さ
れたアパタイト層の機能が発揮される。このために基材
となる高分子成型体の機能が最大限に発揮された形で、
各種の吸着材料、生体代替材料、衣料用繊維素材の染色
性改善や風合い改善、バイオリアクター用基材等の機能
性材料として用いることができる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0024】実施例1 ポリプロピレンからなるフィルムを、予め13.56M
Hzのラジオ波を用いる誘導結合方式のプラズマ処理装
置を使用して残留無機ガスの条件下に20Wで60秒間
処理を行った。この後、脱気処理をした10%アクリル
酸水溶液を真空脱気下に60度にて1時間反応させた。
処理後に温水で洗浄し、未反応のモノマーを除去して秤
量した結果、1.57mg/cmのグラフトポリマー
層の形成が見られた。こうしてグラフト処理を行ったポ
リプロピレンフィルムに対して、pH7.4のリン酸緩
衝液中、200ミリモル/Lの炭酸カルシウム、及び1
00ミリモル/Lのリン酸水素二ナトリウム溶液に交互
に浸漬して処理した。浸漬処理した試料を絶乾した後、
重量増を追跡した結果、各3回の処理で3.03mg/
cm,同各6回の処理で3.86mg/cm,また
各10回の処理で4.94mg/cmのヒドロキシア
パタイト層に相当する重量増加が見られた。
【0025】比較例1 実施例1と同様の方法で、プラズマグラフト処理しない
未処理のポリプロピレンフィルムを各塩水溶液へ交互に
浸漬して処理を行った。しかしながら、撥水性の当該フ
ィルムは塩水溶液とは全くなじみがなく、これをはじい
てしまうために実質的にヒドロキシアパタイト層は形成
できなかった。
【0026】実施例2 実施例1と同様の方法でプラズマ前処理を経由してメタ
クリル酸のグラフト重合処理をを行い、ポリプロピレン
フィルム上に0.111mg/cmのグラフトポリマ
ー層を持つ基材を得た。これに対して、交互浸漬法によ
ってヒドロキシアパタイトの形成について検討した。p
H7.4のリン酸緩衝液中、200ミリモル/Lの炭酸
カルシウム、及び120ミリモル/Lのリン酸ナトリウ
ム溶液に交互に浸漬して処理した。浸漬処理した試料を
絶乾した後、重量増を追跡した結果、各3回の処理で
0.253mg/cm,同各6回の処理で0.508
mg/cm,また各10回の処理で0.928mg/
cmのヒドロキシアパタイト層に相当する重量増加が
見られた。
【0027】実施例3 実施例1と同様の方法でプラズマ前処理を経由してアク
リル酸とメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルの1:1
混合モノマー水溶液を使ってグラフト重合処理をを行
い、ポリプロピレンフィルム上に0.661mg/cm
のグラフト共重合ポリマー層を持つ基材を得た。これ
に対して、実施例1と同じ方法によってヒドロキシアパ
タイトの形成を検討した。浸漬処理した試料を絶乾した
後、重量増を追跡した結果、各3回の処理で0.719
mg/cm,同各6回の処理で1.23mg/c
,また各10回の処理で2.5mg/cmのヒド
ロキシアパタイト層に相当する重量増加が見られた。
【0028】実施例4 綿布を予め13.56MHzのラジオ波を用いる誘導結
合方式のプラズマ処理装置を使用して、残留無機ガスの
条件下に20Wで60秒間処理を行った。この後、脱気
処理をした10%アクリル酸水溶液を60度にて2時間
反応させた。処理後に温水で洗浄し、未反応モノマー及
びホモポリマー成分を除去して重量変化を調べた結果、
グラフト化ポリアクリル酸に相当する0.486mg/
cm重量増が見られた。このグラフト化繊維をpH
7.4のリン酸緩衝液中、200ミリモル/Lの炭酸カ
ルシウム及び120ミリモル/Lのリン酸水素二ナトリ
ウム溶液に交互に浸漬して処理した。絶乾重量にて重量
増を追跡した結果、各3回の処理で3.73mg/cm
,各6回の処理で7.28mg/cm,各10回の
処理で11.13mg/cmのヒドロキシアパタイト
層に相当する重量増加が見られた。走査電顕による観察
等から繊維表面に堆積していることが認められる。
【0029】比較例2 実施例4と同様の方法で、プラズマグラフト処理しない
未処理の綿布へのヒドロキシアパタイト堆積処理を行っ
た。その結果、それぞれ各3回、6回、10回の処理
で、それぞれ1.6mg/cm,3.3mg/c
,5.9mg/cmのヒドロキシアパタイト層に
相当する重量増加が見られた。実施例1におけるアクリ
ル酸グラフト化繊維における場合と比較すると、堆積量
が劣るのみならず堆積したヒドロキシアパタイト層が脱
落しやすい傾向があった。
【0030】実施例5 絹ちりめん布に対して実施例1と同様の方法にてアクリ
ル酸のグラフト重合を行い、1.43mg/cm
のポリアクリル酸グラフト繊維を得た。このグラフト加
工した繊維にヒドロキシアパタイトの堆積処理を行い、
各3回の処理で4.4mg/cm,各6回の処理で
7.49mg/cm,各10回の処理で10.19m
g/cmのヒドロキシアパタイト層に相当する重量増
加が見られた。
【0031】比較例3 実施例5と同様の方法で、プラズマグラフト処理しない
未処理の絹ちりめん布へのヒドロキシアパタイト堆積処
理を行った。その結果、それぞれ各3回、6回、10回
の処理で、それぞれ2.87mg/cm,5.59m
g/cm,7.86mg/cmのヒドロキシアパタ
イト層に相当する重量増加が見られた。実施例5におけ
るアクリル酸グラフト化繊維における場合と比較する
と、堆積量が劣るのみならず堆積したヒドロキシアパタ
イト層が脱落しやすい状態であった。
【0032】実施例6 アセテート布に対して実施例1と同様の方法にてアクリ
ル酸のグラフト重合を行い、0.0139mg/cm
のポリアクリル酸グラフト繊維を得た。このグラフト加
工した繊維にヒドロキシアパタイトの堆積処理を行い、
各3回の処理で1.56mg/cm,各6回の処理で
2.74mg/cm,各10回の処理で4.74mg
/cmのヒドロキシアパタイト層に相当する重量増加
が見られた。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高分子成型体からなる
基材上にプラズマグラフト重合によって親水性基を持つ
ポリマー鎖を持つグラフト層を介して、より密着力を持
つ安定なヒドロキシアパタイト層が設けられた構造の複
合体を得ることができる。とりわけ、ポリプロピレンや
ポリエチレン等の疎水性のポリマーでヒドロキシアパタ
イトの形成が全く不可能であった素材へ応用できること
ができ、基材における機械的な強度等のバルクの特性を
維持した状態で、表面に堆積形成されたアパタイト層の
機能が発揮される。このことは従来の技術では達成する
ことができなかったことである。このために基材となる
高分子成型体の機能が最大限に発揮された形で、吸着材
料、生体代替材料、染色性や風合いが改善された衣料用
繊維素材、バイオリアクター用基材等の機能性材料とし
て利用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月26日(2000.1.2
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ヒドロキシアパタイト複合材及び
その製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表面にヒドロキ
シアパタイトの層を被覆した構造の高分子成型体からな
る複合材及びその製造方法に関する。この発明により得
られる表面にヒドロキシアパタイトの層を設けた高分子
成型体は、吸着材、生体代替材料、機能性繊維素材、バ
イオリアクター用基材等に利用できる機能性材料であ
る。
【0002】
【従来の技術】ヒドロキシアパタイトは、カルシウム塩
とリン酸水素アルカリ金属塩の各水溶液を適当な割合で
混合し、加熱することなく、攪拌処理を行う湿式法によ
り製造することができる。このようにして得られるヒド
ロキシアパタイトは親水性である。ヒドロキシアパタイ
トを基材の表面に付着担持しようとする際には、基材と
してその表面が親水性である高分子性のフィルムや繊維
等を基材として用いることが考えられる。これは両者の
親水性を利用して基材の表面上にヒドロキシアパタイト
層を付着させようとするものである。ヒドロキシアパタ
イトの層を付着させる際には、基材を、カルシウム塩の
水溶液とリン酸水素アルカリ金属塩水溶液からなる液に
交互に浸漬処理を行う湿式処理により、基材上にヒドロ
キシアパタイト層を形成することができる。また、基材
をカルシウム塩の水溶液とリン酸水素アルカリ金属塩水
溶液への浸漬処理を繰り返し行うこと、即ち交互に浸漬
する処理を繰り返して行えば、基材表面に所定の厚さの
ヒドロキシアパタイトの層を形成することができる。し
かしながら、このようにして得られるヒドロキシアパタ
イトの積層体は、ヒドロキシアパタイトの基材表面での
結合力が弱く、ヒドロキシアパタイト層が脱落しやす
く、実用的ではない。
【0003】高分子物からなる基材の表面に、ヒドロキ
シアパタイトからなる無機塩を付着担持するためには、
素材が少なくとも一定の親水性を持つ必要がある。基材
としては、抱水性があって十分に水を層中に含有できる
ことが望ましい。このような高分子物としては、架橋さ
れているゲルフィルムや親水性である絹や綿等の繊維の
利用が考えられる。しかしながら、基材として従来から
用いられてきた親水性や抱水性が十分ではない多数の高
分子からなる基材では、高分子から成る基材の表面にヒ
ドロキシアパタイトを付着担持させる複合化物を得るこ
とは困難であった。そして、複合化物が得られている場
合についても、その状態を十分観察してみると、一般的
には、単に表面に付着堆積している状態のものが得られ
ているに過ぎない。すなわち、基材表面とヒドロキシア
パタイト層の結合力は、必ずしも大きくなく、摩擦等の
機械的力によって比較的容易に剥離脱落しやすいもので
あった。
【0004】
【解決しようとする課題】本発明の課題は、高分子成型
体の表面に安定な形でヒドロキシアパタイトの層が設け
られた構造体であって、ヒドロキシアパタイトの層が剥
離脱落しないヒドロキシアパタイト複合材及びその製造
方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高分子成
型体上にヒドロキシアパタイト層が高分子成型体とヒド
ロキシアパタイトの結合力により安定した結合状態で層
として積層されている積層構造について検討を重ね、プ
ラズマ放電処理を施して得られる活性化された基体表面
を親水性モノマーによるグラフト重合して形成した親水
性ポリマー層により被覆した後、ヒドロキシアパタイト
の層を形成することにより、ヒドロキシアパタイトの層
が剥離脱落しないことを見出し、前記課題を解決できる
ことを見出した。より具体的には、プラズマ放電処理を
施された基材表面に、親水性有機モノマーを反応させて
グラフト重合を行い、この上に、ヒドロキシアパタイト
の層を形成すると、高分子基材表面に、ヒドロキシアパ
タイトが、結合力が安定した状態で積層されることを見
いだして、本発明を完成させた。
【0006】本発明によれば、以下の発明が提供され
る。表面がプラズマ処理された高分子成型体上にグラフ
ト重合により積層された親水性ポリマー層及びその上に
ヒドロキシアパタイト層が形成され、高分子成型体と親
水性ポリマーとヒドロキシアパタイトの結合力により安
定した状態で積層されている積層構造からなることを特
徴とするヒドロキシアパタイト複合材。高分子成型体に
形成する親水性ポリマーを形成するためのモノマーが、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−モノ
メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
−2−ヒドロキシエチル、N−ビニルピロリドン、及び
これらの複数成分である混合物からなる群から選ばれる
ものであることを特徴とするヒドロキシアパタイト複合
材。高分子成型体上にプラズマグラフト重合によって形
成されるグラフトポリマーの量が、0.01mg/cm
乃至10mg/cmであることを特徴とするヒドロ
キシアパタイト複合材 高分子成型体が繊維状、フィルム状、ブロック状から選
ばれる形状からなる構造体であることを特徴とするヒド
ロキシアパタイト複合材。カルシウム塩濃度が20〜4
00mmol/lであり、リン酸水素二ナトリウム濃度
が20〜400mmol/lである各水溶液に、プラズ
マグラフト重合によって形成されるグラフトポリマーを
形成した高分子成型体を交互に浸漬することによりヒド
ロキシアパタイト層を形成したことを特徴とするヒドロ
キシアパタイト複合材。積層されているヒドロキシアパ
タイトの量が、0.1 mg/cm乃至100m
g/cm であることを特徴とするヒドロキシアパタ
イト複合材。表面に親水性グラフトポリマー層を導入し
た高分子成型体を、カルシウム塩水溶液とリン酸水素ア
ルカリ金属塩水溶液からなる各水溶液中に交互に浸漬す
ることによって、親水性グラフトポリマー層を介してヒ
ドロキシアパタイト層を当該成型体表面に形成させるこ
とを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材の製造方
法。表面に親水性グラフトポリマー層を導入した高分子
成型体を、カルシウム塩濃度が20〜400mmol/
lであり、リン酸水素二ナトリウム濃度が20〜400
mmol/lである各水溶液中に交互に浸漬することに
よって、親水性グラフトポリマー層を介してヒドロキシ
アパタイト層を当該成型体表面に形成させることを特徴
とするヒドロキシアパタイト複合材の形成方法。高分子
成型体の表面をプラズマ処理し、次にプラズマ処理され
た表面に親水性グラフトポリマー層により被覆して製造
された高分子成型体を用いることを特徴とするヒドロキ
シアパタイト複合材の製造方法。高分子成型体に形成す
る親水性グラフトポリマーを形成するためのモノマー
が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−
モノメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル
アミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル
アミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、N−ビニルピロリドン、
及びこれらの複数成分の混合物からなる群から選ばれる
ものであることを特徴とするヒドロキシアパタイト複合
材の製造方法。高分子成型体上にプラズマグラフト重合
によって形成される親水性グラフトポリマーの量が、
0.01mg/cm乃至10mg/cmであること
を特徴とするヒドロキシアパタイト複合材の製造方法。
高分子成型体が、繊維状、フィルム状、ブロック状から
選ばれる形状からなる構造体であることを特徴とするヒ
ドロキシアパタイト複合材の製造方法。積層されるヒド
ロキシアパタイトの量が、0.1乃至100mg/cm
であることを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材
の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明では、高分子成型体からな
る基材が用いられる。基材を形成する高分子物は、各種
重合体からなるものが適宜選択して用いられる。これら
は単一成分から成るものであっても、2成分以上の成分
の混合物であっても差し支えない。これらには安定剤な
どを含んでいても問題ない。プラズマ処理はあらゆる高
分子に対して活性化の作用を持つので、いかなる高分子
素材に対しても応用できる。例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリア
クリロニトリル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリ
アミド、ポリカーボネートなどの高分子物、ABSなど
のこれらの複合物、さらにセルロースや絹などの天然物
由来の高分子物等を挙げることができる。また、これら
の高分子物からなる成型体の形状としては、繊維、フィ
ルム、ブロック状、フイルム状、布状、板状、線状、棒
状、球状、中空状等、必要に応じて、最終目的物の使用
形態に対応して適宜選択して用いることができる。ま
た、繊維などを組み合わせて編んだ織布などであっても
差し支えない。また、表面は平滑であっても多孔質であ
っても差し支えない。
【0008】本発明では、前記の高分子成型体にグロー
放電によるプラズマ処理を施す。このプラズマ処理を施
すことにより、高分子成型体の表面の活性を高くするこ
とができ、かつその浸透力が小さいために高分子基材の
内部まで作用を及ぼすことのない処理を行うことができ
る。高分子成型体をグロー放電によるプラズマ処理をほ
どこすことにより、成型体の表面をラジカル活性化し、
次の処理である、親水性の成分である極性基を持つモノ
マーを、グラフト重合させて親水性ポリマーを得るグラ
フト重合を行いやすくするためである。
【0009】本発明における高分子成型体のプラズマ処
理は、従来公知のプラズマ反応装置を用いて行うことが
できる。また、プラズマ処理の条件は特に限定されるも
のではなく、十分な放電出力を加えることによってプラ
ズマ放電が発生し、高分子成型体表面での相互作用を伴
う反応が進行する条件が満たされれば差し支えない。プ
ラズマ処理の具体的な条件としては、通常13.56M
Hzの、即ちメガヘルツオーダーのラジオ波を印加して
プラズマを発生させ、プラズマ処理が行われる。この
他、これよりも低周波数のキロヘルツオーダーのオーデ
ィオ波を用いることもできる。また、反応系にヘリウム
ガスを導入し、常圧条件下にキロヘルツオーダーの周波
数でプラズマ放電させ、これによってプラズマ前処理を
行うことも可能である。
【0010】プラズマ発生に適切な放電出力は供給無機
ガスの圧力等の条件の他、処理装置の形状等により定ま
るものである。用いる無機ガスとしては酸化エッチング
が優先して起こる酸素系のガスではエッチングが起こる
ので、好ましくないが、これ以外のガスであればはいず
れでも差し支えない。副反応を抑制する上からはアルゴ
ンガスやヘリウムガス等の不活性ガスが適切であり、更
に残留無機ガスの利用もできる。
【0011】これらのガスを1パスカル乃至10パスカ
ルで供給する真空条件下に、一般には2〜200Wの範
囲で放電を発生させると、プラズマ処理が可能となる。
このような条件下で前記の処理が行われる。処理時間と
しては、素材どの程度にプラズマ処理を施すかを考慮
して、適宜選定すればよい。このような処理で高分子表
面には各種のラジカルが生成する。すなわち、放電のも
とで発生した電子が基材表面に衝突し、これがこれらの
高分子物を構成する化学結合を解離して、高分子ラジカ
ルを生成させる。
【0012】本発明では、基材表面のプラズマ処理後
に、モノマーを接触させることによりその表面にグラフ
ト重合による処理を施す。モノマーを接触させるにはモ
ノマーを含む溶液或いは水溶液中にプラズマ処理を施さ
れた基体を浸すことにより行うことができる。モノマー
としてアクリル酸、メタクリル酸のような蒸発可能なモ
ノマーを用いる場合には、気相でもグラフト重合を行わ
しめることができる。グラフト重合は、室温乃至80℃
程度の条件下に行う。このようなグラフト重合を施すこ
とにより、当該成型体表面に一定の厚さの親水性のポリ
マー層を形成することができる。
【0013】本発明のグラフト重合に用いられるモノマ
ーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミ
ド、N−モノメチルアクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メ
タクリルアミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−ビニルピ
ロリドン、及びこれらの複数成分の混合物を挙げること
ができる。さらに、これらのモノマーの単一成分だけで
なく、混合系のグラフト重合によっても可能である。こ
れらのモノマーが有するカルボキシル基、アミド基、ヒ
ドロキシ基などがグラフト重合された後に、抱水性を付
与することに役立つものである。
【0014】これらの具体例から分かるように、ビニル
系の化合物でグラフト重合が可能であるが、重合活性は
モノマー種に依存し全てのモノマーでグラフト重合が進
むとは限らない。一般的には、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリルアミド、メタクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル等の化合物は重合活性が高いということができる。
重合性は成型体として用いる高分子の種類やプラズマ前
処理条件等にも依存する。
【0015】グラフト重合の条件は、基材にどの程度の
プラズマ処理を施したかの条件となる放電出力等の前処
理条件、反応系に使用するモノマーの種類及び量、基材
表面の面積、及びグラフト重合させようとする量などが
影響する。モノマーによるグラフト重合の条件は、前処
理等これらの条件を考慮して設定される。
【0016】こうして得られたグラフトポリマー層は、
高分子成型体からなる基材表面で化学的に結合する形で
形成されているために、基材とは強固な結合をなし、以
下に述べるヒドロキシアパタイト形成のための浸漬処理
の際にも脱離することがないことはもちろんのこと、こ
の層は基材表面で安定に担持される。すなわち、ヒドロ
キシアパタイトは親水性グラフトポリマー層を介してよ
り強く結びつけられることとなる。
【0017】本発明においては、グラフト重合による高
分子成型体上へのグラフトポリマー量は特に限定される
ものではなく、目的に応じてその量を制御すればよい
が、或る限られた厚さのヒドロキシアパタイトの層を設
け、且つ成型体のバルクとしての性能を維持した形で複
合材としての機能の発揮を図るという見地からは、グラ
フトの量は0.1mg/cm乃至10mg/cm
より好ましくは0.1mg/cm乃至2.0mg/c
であることが望ましい。
【0018】グラフト重合で得られるポリマー層は、基
材となる高分子成型体と化学的な結合によって形成され
ており、この層を介して堆積するヒドロキシアパタイト
との安定性のある複合構造が得られる。堆積するヒドロ
キシアパタイトの量はグラフト重合ポリマーの量と相関
を有しており、グラフトポリマーの量が多ければそれに
応じてヒドロキシアパタイトの堆積量を多くすることが
できる。
【0019】こうして得られたグラフト重合層を設けた
高分子成型体表面へのヒドロキシアパタイト層を形成す
る際には、ヒドロキシアパタイトを生成させる既知の方
法を適用することができる。具体的には、グラフト重合
処理を施された高分子成型体を、カルシウム塩の水溶液
とリン酸水素塩水溶液からなる各溶液に交互に浸漬する
ことによって行う。このように処理することにより高分
子基材上にヒドロキシアパタイト層が形成されて、有機
−無機複合構造を持つ複合材を得ることができる。この
際に、ヒドロキシアパタイトはポリマー表面で必ずしも
化学的に結合しているわけではないので相互の密着力が
問題となる。もし、密着性が乏しければ基材表面から容
易に脱落することになり、材料としての利用の際に問題
となる。カルボン酸、アミド基、水酸基等の極性の構造
を持つグラフトポリマー層には抱水性があり、この上に
ヒドロキシアパタイト層を形成すると、密着性がある層
を形成することができる。それぞれ一定濃度のカルシウ
ム塩とリン酸水素アルカリ金属塩の水溶液からなる溶液
を利用する。pHの調節のために緩衝液が使用される。
【0020】ヒドロキシアパタイト形成のために用いら
れる無機系カルシウム塩としては、塩化カルシウム、炭
酸カルシウム等をあげることができる。また、リン酸水
素アルカリ金属塩としてはリン酸水素二ナトリウム、リ
ン酸水素二カリウム等をあげることができる。これら
に、バリウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、マンガン、ア
ルミニウム等の他の微量の金属塩成分を加えることによ
ってヒドロキシアパタイトの性能を変化させることも可
能である。ヒドロキシアパタイトを生成させるためのカ
ルシウム塩及びリン酸水素アルカリ金属塩の各溶液の濃
度は、以下の範囲の濃度のものを用いることが好まし
い。カルシウム塩(Ca塩)濃度は、20〜400mm
ol/l、リン酸水素アルカリ金属塩、具体的にはNa
HPOの濃度として、20〜400mmol/lの
範囲のものである。
【0021】これらのヒドロキシアパタイトの形成の際
の塩濃度、浸漬回数、及び反応温度等の条件は特に限定
されることはなく、目的に応じて処理し堆積量を制御す
ればよい。ヒドロキシアパタイトの積層される量は、
0.1〜100mg/cm 程度の範囲であれば十分
に目的を達成することができる。通常、室温程度の相対
的に低温で処理を行うことができる。温度としては、目
的によって、10℃から60℃程度の範囲の比較的低温
での処理が可能である。
【0022】前記の処理に従って、高分子成型体からな
る基材上にプラズマグラフト重合によって浸水性基を持
つポリマー鎖を持つグラフト層を介して、より密着力を
持つ安定なヒドロキシアパタイト層が設けられた構造の
複合体を形成することができる。この複合体は、とりわ
け、ポリプロピレンやポリエチレン等の疎水性のポリマ
ーを基材にして行うことができるものである。従来、こ
のような、ヒドロキシアパタイトの形成が全く不可能で
あった素材へ応用することができるので、基材の有する
機械的な強度を十分に発揮することができる。その結
果、バルクの特性を維持した状態で、表面に堆積形成さ
れたアパタイト層の機能が発揮される。このために基材
となる高分子成型体の機能が最大限に発揮された形で、
各種の吸着材料、生体代替材料、衣料用繊維素材の染色
性改善や風合い改善、バイオリアクター用基材等の機能
性材料として用いることができる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0024】実施例1 ポリプロピレンからなるフィルムを、予め13.56M
Hzのラジオ波を用いる誘導結合方式のプラズマ処理装
置を使用して残留無機ガスの条件下に20Wで60秒間
処理を行った。この後、脱気処理をした10%アクリル
酸水溶液を真空脱気下に60度にて1時間反応させた。
処理後に温水で洗浄し、未反応のモノマーを除去して秤
量した結果、1.57mg/cmのグラフトポリマー
層の形成が見られた。こうしてグラフト処理を行ったポ
リプロピレンフィルムに対して、pH7.4のリン酸緩
衝液中、200ミリモル/Lの炭酸カルシウム、及び1
00ミリモル/Lのリン酸水素二ナトリウム溶液に交互
に浸漬して処理した。浸漬処理した試料を絶乾した後、
重量増を追跡した結果、各3回の処理で3.03mg/
cm,同各6回の処理で3.86mg/cm,また
各10回の処理で4.94mg/cmのヒドロキシア
パタイト層に相当する重量増加が見られた。
【0025】比較例1 実施例1と同様の方法で、プラズマグラフト処理しない
未処理のポリプロピレンフィルムを各塩水溶液へ交互に
浸漬して処理を行った。しかしながら、撥水性の当該フ
ィルムは塩水溶液とは全くなじみがなく、これをはじい
てしまうために実質的にヒドロキシアパタイト層は形成
できなかった。
【0026】実施例2 実施例1と同様の方法でプラズマ前処理を経由してメタ
クリル酸のグラフト重合処理をを行い、ポリプロピレン
フィルム上に0.111mg/cmのグラフトポリマ
ー層を持つ基材を得た。これに対して、交互浸漬法によ
ってヒドロキシアパタイトの形成について検討した。p
H7.4のリン酸緩衝液中、200ミリモル/Lの炭酸
カルシウム、及び120ミリモル/Lのリン酸ナトリウ
ム溶液に交互に浸漬して処理した。浸漬処理した試料を
絶乾した後、重量増を追跡した結果、各3回の処理で
0.253mg/cm,同各6回の処理で0.508
mg/cm,また各10回の処理で0.928mg/
cmのヒドロキシアパタイト層に相当する重量増加が
見られた。
【0027】実施例3 実施例1と同様の方法でプラズマ前処理を経由してアク
リル酸とメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルの1:1
混合モノマー水溶液を使ってグラフト重合処理をを行
い、ポリプロピレンフィルム上に0.661mg/cm
のグラフト共重合ポリマー層を持つ基材を得た。これ
に対して、実施例1と同じ方法によってヒドロキシアパ
タイトの形成を検討した。浸漬処理した試料を絶乾した
後、重量増を追跡した結果、各3回の処理で0.719
mg/cm,同各6回の処理で1.23mg/c
,また各10回の処理で2.5mg/cmのヒド
ロキシアパタイト層に相当する重量増加が見られた。
【0028】実施例4 綿布を予め13.56MHzのラジオ波を用いる誘導結
合方式のプラズマ処理装置を使用して、残留無機ガスの
条件下に20Wで60秒間処理を行った。この後、脱気
処理をした10%アクリル酸水溶液を60度にて2時間
反応させた。処理後に温水で洗浄し、未反応モノマー及
びホモポリマー成分を除去して重量変化を調べた結果、
グラフト化ポリアクリル酸に相当する0.486mg/
cm重量増が見られた。このグラフト化繊維をpH
7.4のリン酸緩衝液中、200ミリモル/Lの炭酸カ
ルシウム及び120ミリモル/Lのリン酸水素二ナトリ
ウム溶液に交互に浸漬して処理した。絶乾重量にて重量
増を追跡した結果、各3回の処理で3.73mg/cm
,各6回の処理で7.28mg/cm,各10回の
処理で11.13mg/cmのヒドロキシアパタイト
層に相当する重量増加が見られた。走査電顕による観察
等から繊維表面に堆積していることが認められる。
【0029】比較例2 実施例4と同様の方法で、プラズマグラフト処理しない
未処理の綿布へのヒドロキシアパタイト堆積処理を行っ
た。その結果、それぞれ各3回、6回、10回の処理
で、それぞれ1.6mg/cm,3.3mg/c
,5.9mg/cmのヒドロキシアパタイト層に
相当する重量増加が見られた。実施例1におけるアクリ
ル酸グラフト化繊維における場合と比較すると、堆積量
が劣るのみならず堆積したヒドロキシアパタイト層が脱
落しやすい傾向があった。
【0030】実施例5 絹ちりめん布に対して実施例1と同様の方法にてアクリ
ル酸のグラフト重合を行い、1.43mg/cm
のポリアクリル酸グラフト繊維を得た。このグラフト加
工した繊維にヒドロキシアパタイトの堆積処理を行い、
各3回の処理で4.4mg/cm,各6回の処理で
7.49mg/cm,各10回の処理で10.19m
g/cmのヒドロキシアパタイト層に相当する重量増
加が見られた。
【0031】比較例3 実施例5と同様の方法で、プラズマグラフト処理しない
未処理の絹ちりめん布へのヒドロキシアパタイト堆積処
理を行った。その結果、それぞれ各3回、6回、10回
の処理で、それぞれ2.87mg/cm,5.59m
g/cm,7.86mg/cmのヒドロキシアパタ
イト層に相当する重量増加が見られた。実施例5におけ
るアクリル酸グラフト化繊維における場合と比較する
と、堆積量が劣るのみならず堆積したヒドロキシアパタ
イト層が脱落しやすい状態であった。
【0032】実施例6 アセテート布に対して実施例1と同様の方法にてアクリ
ル酸のグラフト重合を行い、0.0139mg/cm
のポリアクリル酸グラフト繊維を得た。このグラフト加
工した繊維にヒドロキシアパタイトの堆積処理を行い、
各3回の処理で1.56mg/cm,各6回の処理で
2.74mg/cm,各10回の処理で4.74mg
/cmのヒドロキシアパタイト層に相当する重量増加
が見られた。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高分子成型体からなる
基材上にプラズマグラフト重合によって親水性基を持つ
ポリマー鎖を持つグラフト層を介して、より密着力を持
つ安定なヒドロキシアパタイト層が設けられた構造の複
合体を得ることができる。とりわけ、ポリプロピレンや
ポリエチレン等の疎水性のポリマーでヒドロキシアパタ
イトの形成が全く不可能であった素材へ応用できること
ができ、基材における機械的な強度等のバルクの特性を
維持した状態で、表面に堆積形成されたアパタイト層の
機能が発揮される。このことは従来の技術では達成する
ことができなかったことである。このために基材となる
高分子成型体の機能が最大限に発揮された形で、吸着材
料、生体代替材料、染色性や風合いが改善された衣料用
繊維素材、バイオリアクター用基材等の機能性材料とし
て利用することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA02B AA04B AK01A AK01C AK02C AK07 AK25C AK26C AL04B AL04C AL05C AT00A BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B DC23A DG01A EH902 EJ012 EJ61A EJ611 EJ822 GB66 GB72 GB90 JB05C JK01 JK06 YY00B YY00C

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子成型体上に、ヒドロキシアパタイト
    層が安定した結合状態で積層されている構造からなるこ
    とを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材。
  2. 【請求項2】高分子成型体上に形成された親水性ポリマ
    ー層及びその上にヒドロキシアパタイト層が形成され、
    高分子成型体と親水性ポリマー層とヒドロキシアパタイ
    トの結合力により安定した状態で積層されている積層構
    造からなることを特徴とするヒドロキシアパタイト複合
    材。
  3. 【請求項3】表面がプラズマ処理された高分子成型体上
    にグラフト重合により積層された親水性ポリマー層及び
    その上にヒドロキシアパタイト層が形成され、高分子成
    型体と親水性ポリマーとヒドロキシアパタイトの結合力
    により安定した状態で積層されている積層構造からなる
    ことを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材。
  4. 【請求項4】高分子成型体上に形成する親水性ポリマー
    を形成するためのモノマーが、アクリル酸、メタクリル
    酸、アクリルアミド、N−モノメチルアクリルアミド、
    N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルア
    クリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸−2−
    ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチ
    ル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの複数成分であ
    る混合物からなる群から選ばれるものであることを特徴
    とする請求項2乃至3項記載のいずれかであるヒドロキ
    シアパタイト複合材。
  5. 【請求項5】高分子成型体上にプラズマグラフト重合に
    よって形成されるグラフトポリマーの量が、0.01m
    g/cm乃至10mg/cmであることを特徴とす
    る請求項1乃至4項記載のいずれかであることを特徴と
    するヒドロキシアパタイト複合材
  6. 【請求項6】高分子成型体が、繊維状、フィルム状、ブ
    ロック状から選ばれる形状からなる構造体であることを
    特徴とする請求項1乃至5項記載のいずれかであるヒド
    ロキシアパタイト複合材。
  7. 【請求項7】カルシウム塩濃度が20〜400mmol
    /lであり、リン酸水素二ナトリウム濃度が20〜40
    0mmol/lである各溶液に、プラズマグラフト重合
    によって形成されるグラフトポリマーを形成した高分子
    成型体を交互に浸漬することによりヒドロキシアパタイ
    ト層を形成したことを特徴とする請求項1乃至3記載の
    いずれかであるヒドロキシアパタイト複合材。
  8. 【請求項8】積層されているヒドロキシアパタイトの量
    が、0.1 mg/cm乃至100mg/cm
    であることを特徴とする請求項1乃至3項記載のいず
    れかであるヒドロキシアパタイト複合材。
  9. 【請求項9】表面に親水性グラフトポリマー層を導入し
    た高分子成型体を、カルシウム塩水溶液とリン酸水素ア
    ルカリ金属塩水溶液からなる各水溶液中に交互に浸漬す
    ることによって、親水性グラフトポリマー層を介してヒ
    ドロキシアパタイト層を当該成型体表面に形成させるこ
    とを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材の製造方
    法。
  10. 【請求項10】表面に親水性グラフトポリマー層を導入
    した高分子成型体を、カルシウム塩濃度が20〜400
    mmol/lであり、リン酸水素二ナトリウム濃度が2
    0〜400mmol/lである各水溶液に交互に浸漬す
    ることによって、親水性グラフトポリマー層を介してヒ
    ドロキシアパタイト層を当該成型体表面に形成させるこ
    とを特徴とするヒドロキシアパタイト複合材の形成方
    法。
  11. 【請求項11】高分子成型体の表面をプラズマ処理し、
    次にプラズマ処理された表面に親水性グラフトポリマー
    層により被覆して製造された高分子成型体を用いること
    を特徴とする請求項9又は10記載のいずれか記載のヒ
    ドロキシアパタイト複合材の製造方法。
  12. 【請求項12】高分子成型体に形成する親水性グラフト
    ポリマーを形成するためのモノマーが、アクリル酸、メ
    タクリル酸、アクリルアミド、N−モノメチルアクリル
    アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプ
    ロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル
    酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキ
    シエチル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの複数成
    分である混合物からなる群から選ばれるものであること
    を特徴とする請求項11記載のヒドロキシアパタイト複
    合材の製造方法。
  13. 【請求項13】高分子成型体上にプラズマグラフト重合
    によって形成される親水性グラフトポリマーの量が、
    0.01mg/cm乃至10mg/cmであること
    を特徴とする請求項12記載のヒドロキシアパタイト複
    合材の製造方法。
  14. 【請求項14】高分子成型体が、繊維状、フィルム状、
    ブロック状から選ばれる形状からなる構造体であること
    を特徴とする請求項13記載のヒドロキシアパタイト複
    合材の製造方法。
  15. 【請求項15】積層されるヒドロキシアパタイトの量
    が、0.1乃至100mg/cm であることを特徴
    とする請求項9又は10記載のいずれかであるヒドロキ
    シアパタイト複合材の製造方法。
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