JP2000318608A - 鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造 - Google Patents

鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造

Info

Publication number
JP2000318608A
JP2000318608A JP11129472A JP12947299A JP2000318608A JP 2000318608 A JP2000318608 A JP 2000318608A JP 11129472 A JP11129472 A JP 11129472A JP 12947299 A JP12947299 A JP 12947299A JP 2000318608 A JP2000318608 A JP 2000318608A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deformation
face plates
slit
pair
buckling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11129472A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshinori Marunaka
俊則 丸中
Makoto Taguchi
真 田口
Toshinobu Kimura
敏宣 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Heavy Industries Ltd filed Critical Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority to JP11129472A priority Critical patent/JP2000318608A/ja
Publication of JP2000318608A publication Critical patent/JP2000318608A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vibration Dampers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した座屈荷重を得て、高い吸収エネルギ
ーを期待できる、鉄道車両などにおけるエネルギー吸収
構造を提供する。 【解決手段】 中空四角筒部材1の一方の端部から一定
距離離れた部位の各コーナー部1a〜1dに対して周期
をずらせて、直線形状のスリット5a,5b,5c,5
dを、隣り合う面板4A〜4D間に亘って軸線方向に対
して傾斜して形成する。座屈変形の連続性を保ちなが
ら、塑性座屈変形を進行させるために、スリット5a〜
5dは、対称に配置する。前記スリット5a〜5dを、
軸線方向に対する傾斜角度が45°であり、隣り合う各
面板4A〜4Dにおいて、ほぼ同じ長さだけ延びてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄道車両などに
おけるエネルギー吸収構造に関する。特に、鉄道車両な
どの車両の衝突時におけるショックを吸収緩和するため
に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄道車両などの車両の衝突時
において、その衝突エネルギーを吸収緩和することで、
衝突により乗員が受けるショックを和らげる構造は種々
提案されている。
【0003】そのような構造として、例えば米国特許第
5732801号明細書及び図面に記載されるように、
軸線方向において衝撃荷重を受ける中空円筒部材の筒壁
表面に、軸線方向において潰れるときにダイヤモンド形
状の変形を引き起こすように、多数の菱形形状のぎざぎ
ざパターン及び潰れるのを制御する穴を形成し、衝突時
に規則的な座屈変形を生じさせようとするものが提案さ
れている。
【0004】また、例えば欧州特許第621416号明
細書及び図面に記載されるように、薄いシート材料から
形成され共通の頂点において交差する断面三角形状の柱
状部材を設け、この柱状部材に高い座屈荷重を持たせた
ものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
構造では、中空円筒部材に多数の菱形形状のぎざぎざパ
ターン及び潰れるのを制御する穴を設ける必要があるの
で、それらの加工が面倒である。また、前記菱形形状の
ぎざぎざパターンや穴を設けるために、座屈荷重を高く
確保することができず、その寸法の割に吸収エネルギー
が小さくなる傾向があると考えられる。
【0006】また、後者の構造では、交差する2つの断
面三角形状の柱状部材を用いているため、隣り合う面板
間において座屈変形の周方向での凹凸の連続性が保たれ
ず、規則的な逐次座屈現象が生ずるという保証がない。
また、座屈変形が不規則であると、安定した座屈荷重を
保証することができない。
【0007】この発明は、安定した座屈荷重を得て、高
い吸収エネルギーを期待できる、鉄道車両などにおける
エネルギー吸収構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明に係る鉄道車両などにおけるエネルギー吸
収構造は、前後方向に延びる中空角筒部材を有する鉄道
車両などにおけるエネルギー吸収構造であって、前記中
空角筒部材は、偶数個のコーナー部を有する角筒部材と
して構成され、前記中空角筒部材のいずれかの端部から
一定距離離れた部位の各コーナー部に、前記中空角筒部
材の軸線方向に衝突荷重が作用したときに、特定の1対
の面板を座屈変形させる一方、それらと隣り合い互いに
対向する他の1対の面板を、前記座屈変形に対して周期
をずらせて座屈変形させる変形誘発手段が設けられてい
るものである。
【0009】この発明によれば、衝突時において、衝突
荷重が中空角筒部材の軸線方向に作用すると、変形誘発
手段によって、まず、ある特定の互いに対向する1対の
面板を座屈変形させる一方、それらと隣り合い互いに対
向する他の1対の面板を、前記座屈変形に対して周期を
ずらせて座屈変形させる。
【0010】すなわち、前記特定の1対の面板が凹変形
する部分では、前記他の1対の面板の部分は凸変形して
おり、前記特定の1対の面板が凸変形する部分では、前
記他の1対の面板が凹変形しているので、前記特定の1
対の面板と他の1対の面板とでは、座屈変形(凹凸変
形)の周期がずれて、隣り合う面板間における座屈変形
が無理なくマッチングする。また、例えば、前記特定の
1対の面板が凹変形する部分で断面において考えると、
周方向において、凹変形と凸変形とが交互に繰り返され
ていることとなり、凹凸変形が連続的になめらかに形成
されることになる。それから、前記特定の1対の面板に
おいて凹変形する部分に続いて凸変形する部分では、前
記他の1対の面板は凹変形しているので、その部分で断
面において考えると、前述した部分と同様に、周方向に
おいて凸変形と凹変形とが交互に繰り返えされ、凹凸変
形がなめらかに連続的に形成されることになる。
【0011】このように、衝突時に、対向する特定の面
板とそれらに隣り合う他の1対の面板との間で、前述し
たように周期をずらせて座屈変形を生じさせると、相互
になめらかに連続する屈曲変形となり、それが変形を開
始するきっかけとなって、衝突荷重が作用している限
り、前記特定の面板と他の1対の面板とにおいて、前記
最初の座屈変形に連続する形で、それに続く凹凸変形で
ある座屈変形が順次繰り返され、その座屈変形によって
衝突エネルギーが効率よく吸収され、衝突によるショッ
クが和らげられる。
【0012】このように連続して座屈変形(凹凸変形)
が繰り返されるのは、変形誘発手段によって形成される
最初の座屈変形が、中空角筒部材の、ある断面において
考えると、全周に亘って凹変形と凸変形とが交互に繰り
返されたものであり、その凹凸変形の連続性があること
から、その最初の座屈変形を変形開始のきっかけとし
て、各対向する面板同士がそれぞれ一定の周期で凹凸変
形を交互に繰り返すようになるためであると考えられ
る。そして、その凹凸変形が周方向において連続性を保
ちながら、塑性座屈変形が軸線方向に進行するようにな
り、安定した逐次座屈現象(progressive buckling)が
生じる。
【0013】このような逐次座屈現象のため、安定して
高い座屈荷重を得ることが可能となり、中空角筒部材の
寸法の割に大きいエネルギーを吸収することを期待する
ことができる。
【0014】また、この発明においては、前記変形誘発
手段を、前記互いに対向する特定の面板とそれと隣り合
う他の1対の面板との間に亘って設けられたスリットで
構成し、該スリットは、前記中空角筒部材の軸線方向に
対して傾斜し、前記互いに対向する特定の面板に形成さ
れる第1のスリット部分と、該第1のスリット部分と前
記コーナー部において連通し前記第1のスリット部分と
ほぼ同じ長さの第2のスリット部分とを備えるようにす
ることができる。ここで、第1及び第2のスリット部分
を有するスリットは、各面板の強度を、周方向において
部分的に低下させることで、逐次座屈現象が起こるきっ
かけとなる座屈変形(凹凸変形)を生じさせるものであ
る。
【0015】このようにすれば、第1のスリット部分が
形成されている部分(互いに対向する特定の1対の面)
は、周方向について考えると、他の部分に比べて強度が
低下せしめられていることになる。よって、衝突時にお
いて、衝突荷重が中空角筒部材の軸線方向に作用する
と、変形は強度的に劣る部分から開始するので、まず、
前記特定の1対の面板において、前記第1のスリット部
分が形成されている部分から凹変形又は凸変形が生ず
る。その変形による反力を受けて、他の1対の面板にお
いて、前記凹変形又は凸変形に周方向において連続する
凸変形又は凹変形が生ずる。
【0016】それから、それらに続く部分は、他の1対
の面板に、第2のスリット部分が形成されているので、
他の1対の面板において、前記第2のスリット部分が形
成されている部分から凹変形又は凸変形が生ずる。その
変形による反力を受けて、前記特定の1対の面板におい
て、前記凹変形又は凸変形に周方向において連続する凸
変形又は凹変形が生ずる。この場合、他の1対の面板の
第2のスリット部分はコーナー部を経て特定の1対の面
板の第1のスリット部分と連通しているので、特定の1
対の面板における凹凸変形と、他の1対の面板における
凹凸変形とは、無理なく連続して、引き起こされる。
【0017】このようにして、前記特定の1対の面板と
他の1対の面板との間に、相互に関連づけられた最初の
座屈変形(凹凸変形)が誘発されるので、それを起点と
して、軸線方向において衝突エネルギを吸収するための
座屈変形が自然に繰り返されることになる。
【0018】また、変形誘発手段を、特定の互いに対向
する面板とそれと隣り合う面板との間に亘って設けたス
リットにて構成し、しかもスリットを中空角筒部材の軸
線方向に対して傾斜させるだけであるので、ポンチや型
抜きは不要で、ノコギリなどの簡単な工具でよく、加工
が容易である。
【0019】さらに、この発明においては、前記中空角
筒部材が、4個のコーナー部を有する断面正方形状で、
前記スリットが、軸線方向に対する傾斜角度が45°で
あることが望ましい。
【0020】このようにすれば、衝突時において、衝突
荷重が中空角筒部材の軸線方向に作用すると、中空角筒
部材において、スリットによって形成される座屈変形
(凹凸変形)を軸線方向における座屈変形開始のきっか
けとして、互いに対向する特定の1対の面板とそれと隣
り合う他の1対の面板において、安定した逐次座屈現象
が無理なく引き起こされる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に沿って説明する。
【0022】図1はエネルギー吸収構造の主たる構成要
素である中空四角筒部材の正面図、図2は同側面図、図
3は図2のIII-III線で示す方向の矢視図、図4は図3
のVI-VI線における断面図、図5は中空四角筒部材の取
付位置を示す鉄道車両の概略平面図である。
【0023】図1〜図4において、1は断面正方形状の
中空四角筒部材で、それの前後の各端部に矩形状の取付
プレート部材2,3が固着されている。中空四角筒部材
1は、前記プレート部材2,3を利用して、例えば図5
に示すように、端梁として、鉄道車両の台枠11の前端
部の横梁12の前側に、軸線方向が車両の前後方向にほ
ぼ一致して延びるように組み込まれる。すなわち、中空
四角筒部材1の軸線方向が予想される衝突方向に一致す
るように配設されることになる。前記取付プレート部材
2には、中心に取付用ねじ孔2aが、その周囲に4つの
空気抜き用貫通孔2bがそれぞれ形成されている。
【0024】このように、中空四角筒部材1を、車両の
台枠11の長手方向の部材の一部(端梁)として組み込
むことで、車体の特定の部分の変形で衝突エネルギを吸
収することができる。
【0025】前記中空四角筒部材1は、互いに直交する
ように連接されている4個の面板4A,4B,4C,4
Dを備え、それらの連接部分に、4個のコーナー部1
a,1b,1c,1dを形成している。各コーナー部1
a〜1dは、微小な湾曲部とされている。
【0026】前記中空四角筒部材1の一方の端部から一
定距離離れた部位の各コーナー部1a〜1dに、直線形
状のスリット5a,5b,5c,5dが、隣り合う面板
4A〜4D間に亘って軸線方向に対して傾斜して形成さ
れている。すなわち、各スリット5a〜5dは、互いに
対向する特定の1対の面板4A,4Cに形成される第1
のスリット部分5a1,5b1,5c1,5d1と、該
第1の部分5a1〜5d1とコーナー部1a〜1dにお
いて連通し前記特定の1対の面板4A.4Cと隣り合う
他の1対の面板4B,4Dに形成される第2のスリット
部分5a2,5b2,5c2,5d2とを有する。よっ
て、第1のスリット部分5a1〜5d1の方が、第2の
スリット部分5a2〜5d2よりも前側の取付プレート
部材2に近い側に形成されている。
【0027】ここで、座屈変形の連続性を保ちながら、
塑性座屈変形を無理なく進行させるために、スリット5
a〜5dは、中心軸線に対して対称に配置されており、
各面板4A〜4Dについて正面視すると、ほぼハの字形
状に配置されていることになる。また、前記スリット5
a〜5dを、軸線方向に対する傾斜角度が45°であ
る。前記スリット5a〜5dの第1のスリット部分5a
1〜5d1と第2のスリット部分5a2〜5d2とは、
コーナー部1a〜1dを境界として形成され、それらの
長さがほぼ同じ長さとなっている。
【0028】この4つのスリット5a〜5dが、互いに
対向する特定の1対の面板4A,4Cを凹凸変形させる
一方、それらと隣り合い互いに対向する他の1対の面板
4B,4Dを、前記凹凸変形に対して周期をずらせて凸
凹変形させる変形誘発手段として機能し、衝突時におけ
る衝突エネルギーを、逐次座屈現象により、部材寸法の
割に高い吸収エネルギーが期待できるエネルギー吸収構
造を構成している。すなわち、衝突時には、図6に示す
ように、互いに対向する1対の面板4A,4Cとそれら
と隣り合う他の1対の面板4B,4Dとの間で周期がず
れた座屈変形、つまり軸線方向において一定周期だけ凹
凸変形が形成される位置がずれている座屈変形を生じさ
せる一方、対向する面板4A,4C又は4B,4D同士
においては、ほぼ同一の周期で凹凸変形が繰り返される
ことになる。
【0029】上記のように構成すれば、車両の衝突時
に、衝突荷重が中空四角筒部材1の軸線方向に作用し、
前側の取付プレート部材2を通じて、中空四角筒部材1
の端部に衝突荷重が入力されると、例えば図5に示すよ
うに、特定の1対の面板4A,4Cにおいて内方へ突出
する凹変形S11が生じる。これは、特定の1対の面板
4A,4Cには、4つのスリット5a〜5dの第1のス
リット部分5a1〜5d1が形成されており、その部分
においては他の1対の面板4B,4Dよりも強度的に劣
るからである。このとき、他の1対の面板4B,4Dに
おいては、特定の1対の面板4A,4Cにおける内方へ
の凹変形S11に伴い、外方に突出する凸屈曲変形S2
1が生じる。
【0030】それから、他の1対の面板4B,4Dにお
いて、前記凸変形S21に連続して、内方へ突出する凹
変形S22が生じる一方、特定の1対の面板4A,4C
において、前記凹変形S11に連続して、外方に突出す
る凸変形S12が生ずる。これは、他の1対の面板4
B,4Dには、4つのスリット5a〜5dの第2のスリ
ット部分5a2〜5d2が形成されており、その部分に
おいては特定の1対の面板4A,4Cよりも強度的に劣
ることから、前述した場合とは逆転して、凹凸屈曲変形
が生じるからである。
【0031】このようにして、スリット5a〜5dを一
定の配置で形成することで、各面板4A〜4Dの強度関
係を調整し、各面板4A〜4Dにおいて、凹凸変形S1
1,S12又は凸凹変形S21,S22が生じさせるこ
とで、それらをきっかけとして、逐次座屈現象が無理な
く起こることになる。特に、他の1対の面板4B,4D
の第2のスリット部分5a2〜5d2はコーナー部1a
〜1dを経て特定の1対の面板4A〜4Dの第1のスリ
ット部分5a1〜5d1と連通しているので、各面板ご
とにスリット(変形誘発手段)を設ける場合とは異な
り、特定の1対の面板4A,4Cにおける凹凸変形と、
それと隣り合う他の1対の面板4B,4Dにおける凹凸
変形とが相互に簡単に関連づけられることとなり、無理
なく連続して、引き起こされる。
【0032】すなわち、図5に示すように、特定の1対
の面板4A,4Cにおける凹凸変形と、それらに隣り合
う他の1対の面板4B,4Dにおける凸凹変形とは、断
面周方向においてみれば、第1のスリット部分5a1〜
5d1においても、第2のスリット部分5a2〜5d2
においても、凹凸の連続性がある。また、1つの凹変形
と1つの凸変形とからなる凹凸変形を1周期とすれば、
特定の1対の面板4A,4Cとそれら隣り合う他の1対
の面板4B,4Dとの間では、第1のスリット部分5a
1〜5d1と第2のスリット部分5a2〜5d2とにお
いて、凹凸変形の周期が1/2周期だけずれており、各
面板4A〜4Dにおいて生ずる凹凸変形が軸線方向にお
いても連続性がある。
【0033】このように、スリット5a〜5dを設ける
だけで、衝突時に、軸線方向及び断面周方向において連
続する1周期分の凹凸変形S11,S12及び凸凹変形
S21,S22が生じるので、それらをきっかけとし
て、それらに連続して凹凸変形S13,S14,・・・
及びS23,S24,・・・が無理なく繰り返えされる
ようになり、連続性を保ちながら塑性座屈変形が軸線方
向に沿って進行することとなり、安定した逐次座屈現象
(progressive buckling)が生じる。この逐次座屈現象
のため、安定して高い座屈荷重を得ることができ、部材
寸法の割に高い吸収エネルギーが期待できる。
【0034】特に、構造的に、中空四角筒部材1の4つ
のコーナー部1a〜1dに、スリット5a〜5dを設け
るだけのシンプルな構造としているため、ポンチや型抜
きは不要で、ノコギリなどの簡単な工具を用いるだけで
よく、車両などの衝突時において、安定した座屈荷重を
得て、高い吸収エネルギーを期待できる構造とするため
の加工が容易である。
【0035】続いて、上記中空四角筒部材1のエネルギ
ー吸収効果を確認するために行った静的試験について説
明する。 (試験方法)幅100mm、板厚4mm、及びコーナー
部の曲率半径8mmである断面正方形状の鋼製の中空四
角筒部材を用い、荷重が作用する方向の変位と、作用す
る荷重及び吸収エネルギーとの関係を調べた。 (試験結果)作用する荷重と、その荷重の作用方向にお
ける変位との関係は、図7に示すとおりであり、最大荷
重は534.2kNで、変位が4.082mm付近で発
生した。
【0036】荷重の作用方向における変位と、それによ
って吸収される吸収エネルギーとの関係は、図8に示す
とおりであり、最大変位は362.238mmで、吸収
エネルギーは、88367Jとなった。
【0037】前記実施の形態においては、変形誘発手段
として、第1のスリット部分と第2のスリット部分とが
コーナー部において連通するスリットを用いているが、
中空角筒部材の軸線方向に衝突荷重が作用したときに、
特定の1対の面板を座屈変形させる一方、それらと隣り
合い互いに対向する他の1対の面板を、前記座屈変形に
対して周期をずらせて座屈変形させることができれば、
前記第1及び第2のスリット部分はコーナ部において連
通している必要はなく、また、変形誘発手段の形状も、
スリットに限定されることなく、長孔や切欠きなどの他
の形状とすることも可能である。
【0038】また、前記実施の形態においては、中空四
角筒部材を断面正方形状として、前記スリット5a〜5
dを、軸線方向に対する傾斜角度が45°であり、隣り
合う各面板4A〜4Dにおいてほぼ同じ長さだけ延びる
ようにしているが、本発明はそれに限定されるものでは
なく、スリットの傾斜角度や長さを調整することによ
り、断面長方形状のものにも適用することができるのは
もちろん、偶数個のコーナー部を有する中空角筒部材で
あれば、同様に適用することができる。すなわち、偶数
個のコーナー部を有する中空角筒部材であれば、いずれ
かの端部から一定距離離れた部位の各コーナー部に、例
えば前述した場合とスリットからなる変形誘発手段を設
けることで、衝突時に生じる凹凸変形を、断面周方向に
おいて、交互に連続的に繰り返えさせることができるの
で、この変形をきっかけとして、連続性を保ちながら塑
性座屈変形が進行することとなり、安定した逐次座屈現
象(progressive buckling)を生じさせるようにするこ
とができる可能となるからである。
【0039】前記実施の形態においては、本発明を主と
して鉄道車両に適用した場合について説明しているが、
本発明はそれに限定されるものではなく、例えば乗用車
においてバンパーを支持する部分などの衝突荷重が作用
する部分に本構造を適用することも可能である。同様
に、トラック、バスなどの他の交通機関においても適用
することができる。
【0040】
【発明の効果】この発明は、以上説明したような形態で
実施され、以下に記載するような効果を奏する。
【0041】この発明に係る、鉄道車両などにおけるエ
ネルギー吸収構造は、偶数個のコーナー部を有する中空
角筒部材において、変形誘発手段によって、車両などの
衝突時において、前記中空角筒部材の軸線方向に衝突荷
重が作用したときに、特定の1対の面板を座屈変形させ
る一方、それらと隣り合い互いに対向する他の1対の面
板を、前記座屈変形に対して周期をずらせて座屈変形さ
せるさせるようにしているので、逐次座屈現象の起点と
なる屈曲変形を簡単に生じさせることが可能となる。よ
って、衝突時に、座屈変形を無理なく繰り返させて、安
定して高い座屈荷重を得ることができるようになり、部
材寸法の割に高い吸収エネルギーを期待することが可能
となる。
【0042】また、前記変形誘発手段を、互いに対向す
る特定の1対の面板とそれと隣り合う他の1対の面板と
の間に亘って設けたスリットでもって構成し、該スリッ
トが、互いに対向する特定の面板に形成される第1のス
リット部分と、該第1のスリット部分と前記コーナー部
において連通し前記第1のスリット部分とほぼ同じ長さ
を有する第2のスリット部分を備えるようにしているの
で、前記スリットを、前記中空角筒部材のコーナー部に
傾斜させて設けるという簡単な構成で、安定した逐次座
屈現象を生じさせるきっかけとなる屈曲変形を簡単に生
じさせることができる。しかも、前記中空角筒部材のコ
ーナー部に、スリットを設けるだけの構造としているた
め、ポンチや型抜きは不要で、ノコギリなどの簡単な工
具を用いるだけでよく、加工が容易である。
【0043】さらに、中空角筒部材を、断面正方形状と
して、前記スリットを、軸線方向に対する傾斜角度が4
5°とすることで、互いに対向する1対の面板とそれと
隣り合い互いに対向する他の1対の面板において、交互
に外方に突出する屈曲変形が繰り返される逐次座屈現象
を無理なく生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギー吸収構造の主たる構成
要素である中空四角筒部材の正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】図2のIII-III線で示す方向の矢視図である。
【図4】図3のVI-VI線における断面図である。
【図5】中空四角筒部材の取付位置を示す鉄道車両の概
略平面図である。
【図6】本発明に係る中空四角筒部材が逐次座屈変形し
た状態を説明するための概略斜視図である。
【図7】本発明に係る構造における変位と荷重との関係
を示す図である。
【図8】同構造における変位と吸収エネルギーとの関係
を示す図である。
【符号の説明】
1 中空四角筒部材 1a〜1d コーナー部 2,3 取付プレート部材 4A〜4D 面板 5a〜5d スリット 5a1〜5d1 第1のスリット部分 5a2〜5d2 第2のスリット部分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月24日(2000.3.2
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明に係る鉄道車両などにおけるエネルギー吸
収構造は、前後方向に延び偶数個のコーナー部を有す
中空角筒部材を備え、前記中空角筒部材のいずれかの端
部から一定距離離れた部位の各コーナー部に、前記中空
角筒部材の軸線方向に衝突荷重が作用したときに、特定
の1対の面板を座屈変形させる一方、それらと隣り合い
互いに対向する他の1対の面板を、前記座屈変形に対し
て周期をずらせて座屈変形させる変形誘発手段が設けら
れている鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造であ
って、前記変形誘発手段は、前記特定の1対の面板とそ
れらと隣り合う他の1対の面板との間に亘って設けられ
たスリットであり、該スリットは、前記中空角筒部材の
軸線方向に対して傾斜し、前記特定の1対の面板に形成
される第1のスリット部分と、該第1のスリット部分と
前記コーナー部において連通し前記第1のスリット部分
とほぼ同じ長さの第2のスリット部分とを備えているも
のである。ここで、第1及び第2のスリット部分を有す
るスリットは、各面板の強度を、周方向において部分的
に低下させることで、逐次座屈現象が起こるきっかけと
なる座屈変形(凹凸変形)を生じさせるものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】1のスリット部分が形成されている部分
(互いに対向する特定の1対の面)は、周方向について
考えると、他の部分に比べて強度が低下せしめられてい
ることになる。よって、衝突時において、衝突荷重が中
空角筒部材の軸線方向に作用すると、変形は強度的に劣
る部分から開始するので、まず、前記特定の1対の面板
において、前記第1のスリット部分が形成されている部
分から凹変形又は凸変形が生ずる。その変形による反力
を受けて、他の1対の面板において、前記凹変形又は凸
変形に周方向において連続する凸変形又は凹変形が生ず
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】削除
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】前記実施の形態においては、中空四角筒部
材を断面正方形状として、前記スリット5a〜5dを、
軸線方向に対する傾斜角度が45°であり、隣り合う各
面板4A〜4Dにおいてほぼ同じ長さだけ延びるように
しているが、本発明はそれに限定されるものではなく、
スリットの傾斜角度や長さを調整することにより、断面
長方形状のものにも適用することができるのはもちろ
ん、偶数個のコーナー部を有する中空角筒部材であれ
ば、同様に適用することができる。すなわち、偶数個の
コーナー部を有する中空角筒部材であれば、いずれかの
端部から一定距離離れた部位の各コーナー部に、例えば
前述した場合とスリットからなる変形誘発手段を設ける
ことで、衝突時に生じる凹凸変形を、断面周方向におい
て、交互に連続的に繰り返えさせることができるので、
この変形をきっかけとして、連続性を保ちながら塑性座
屈変形が進行することとなり、安定した逐次座屈現象
(progressive buckling)を生じさせるようにすること
ができる可能となるからである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 敏宣 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番18 号 川崎重工業株式会社兵庫工場内 Fターム(参考) 3J066 AA08 AA23 BA03 BB01 BC01 BD07 BF02 BG05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前後方向に延びる中空角筒部材を有する
    鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造であって、 前記中空角筒部材は、偶数個のコーナー部を有する角筒
    部材として構成され、 前記中空角筒部材のいずれかの端部から一定距離離れた
    部位の各コーナー部に、前記中空角筒部材の軸線方向に
    衝突荷重が作用したときに、特定の1対の面板を座屈変
    形させる一方、それらと隣り合い互いに対向する他の1
    対の面板を、前記座屈変形に対して周期をずらせて座屈
    変形させる変形誘発手段が設けられていることを特徴と
    する鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造。
  2. 【請求項2】 前記変形誘発手段は、前記特定の1対の
    面板とそれらと隣り合う他の1対の面板との間に亘って
    設けられたスリットであり、 該スリットは、前記中空角筒部材の軸線方向に対して傾
    斜し、前記特定の1対の面板に形成される第1のスリッ
    ト部分と、該第1のスリット部分と前記コーナー部にお
    いて連通し前記第1のスリット部分とほぼ同じ長さの第
    2のスリット部分とを備えている請求項1記載の鉄道車
    両などにおけるエネルギー吸収構造。
  3. 【請求項3】 前記中空角筒部材は、4個のコーナー部
    を有する断面正方形状であり、 前記スリットは、軸線方向に対して略45°の角度でも
    って傾斜している請求項2記載の鉄道車両などにおける
    エネルギー吸収構造。
JP11129472A 1999-05-11 1999-05-11 鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造 Pending JP2000318608A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11129472A JP2000318608A (ja) 1999-05-11 1999-05-11 鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11129472A JP2000318608A (ja) 1999-05-11 1999-05-11 鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000318608A true JP2000318608A (ja) 2000-11-21

Family

ID=15010344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11129472A Pending JP2000318608A (ja) 1999-05-11 1999-05-11 鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000318608A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007137288A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Inoac Corp 車両用衝撃吸収部材
CN105151072A (zh) * 2015-10-16 2015-12-16 中南大学 一种轨道车辆用防爬器
US9242655B2 (en) 2010-11-19 2016-01-26 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Crash energy absorber of railcar

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58116267A (ja) * 1981-12-28 1983-07-11 Mazda Motor Corp 自動車の車体フレ−ム構造
JPS6127334Y2 (ja) * 1981-12-18 1986-08-14
JPH06278646A (ja) * 1993-03-29 1994-10-04 Nissan Shatai Co Ltd 車体の前部フレーム構造
JPH06329019A (ja) * 1993-05-20 1994-11-29 Railway Technical Res Inst 鉄道車両構体
JPH08188174A (ja) * 1995-01-11 1996-07-23 Nissan Diesel Motor Co Ltd 車両の衝突緩衝装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6127334Y2 (ja) * 1981-12-18 1986-08-14
JPS58116267A (ja) * 1981-12-28 1983-07-11 Mazda Motor Corp 自動車の車体フレ−ム構造
JPH06278646A (ja) * 1993-03-29 1994-10-04 Nissan Shatai Co Ltd 車体の前部フレーム構造
JPH06329019A (ja) * 1993-05-20 1994-11-29 Railway Technical Res Inst 鉄道車両構体
JPH08188174A (ja) * 1995-01-11 1996-07-23 Nissan Diesel Motor Co Ltd 車両の衝突緩衝装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007137288A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Inoac Corp 車両用衝撃吸収部材
US9242655B2 (en) 2010-11-19 2016-01-26 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Crash energy absorber of railcar
CN105151072A (zh) * 2015-10-16 2015-12-16 中南大学 一种轨道车辆用防爬器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3763858B2 (ja) 自動車用ドアのガードビーム
US7896411B2 (en) Impact absorbing member for vehicle
JP4350731B2 (ja) 車両用衝撃吸収部材
EP2889188B1 (en) Crash box and automobile body
EP1653114B1 (en) Impact-absorbing member
JP4792036B2 (ja) 車両用衝撃吸収部材
US8287013B2 (en) Impact absorbing member for vehicle
US20150291115A1 (en) Scalable crush can for vehicle
JP5126503B2 (ja) クラッシュボックス及びその車体への取付け構造
JP2011051581A (ja) クラッシュボックス及び自動車車体
JP6184130B2 (ja) 自動車用フレーム構造体用の筒状構造体及び自動車用フレーム構造体
JP5561691B2 (ja) 衝撃吸収部材
JP2003516902A (ja) バンパーバー及びその製造方法
JPH08188174A (ja) 車両の衝突緩衝装置
CN108778846B (zh) 冲击能量吸收结构
JP2016112904A (ja) 車体前部構造
US3983963A (en) Multifacially formed panel impact absorber
JP2000318608A (ja) 鉄道車両などにおけるエネルギー吸収構造
JP2009107445A (ja) 車体前部構造
JP2005178710A (ja) 衝撃吸収部材
JP2001124128A (ja) 衝撃吸収用多角形中空材
JPH08216917A (ja) 衝撃吸収性能に優れた構造部材
JP2007017003A (ja) クラッシュボックス及び衝撃吸収方法
JP3701884B2 (ja) エネルギー吸収部材
JP2002012106A (ja) バンパステイ