JP2000313979A - 酸濃度自動制御装置および酸濃度自動制御方法 - Google Patents

酸濃度自動制御装置および酸濃度自動制御方法

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JP2000313979A JP11120416A JP12041699A JP2000313979A JP 2000313979 A JP2000313979 A JP 2000313979A JP 11120416 A JP11120416 A JP 11120416A JP 12041699 A JP12041699 A JP 12041699A JP 2000313979 A JP2000313979 A JP 2000313979A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続酸洗設備を構成する複数酸洗槽における
最終槽の塩酸濃度を連続的に制御することのできる装置
を提供する。 【解決手段】 酸洗槽11に収容された酸洗液を連続的に
流すための流路2の一部を構成する本体3と、本体3に
設置されて流路2の一部を流れる酸洗液を連続的に測定
するための密度計4、温度計5および導電率計6と、演
算装置14とを有し、連続酸洗設備12を構成する酸洗槽11
a 〜11d のうちの第3槽11c および最終槽11d にそれぞ
れ設置される酸濃度連続測定装置1c、1dと、酸濃度連続
測定装置1c、1dにより得られる演算値に基づいた第3槽
11c および最終槽11d にそれぞれ収容された酸洗液の酸
濃度に関するフィードバック制御手段とを組み合わせて
備える酸濃度自動制御装置10である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸濃度自動制御装
置および酸濃度自動制御方法に関し、より具体的には、
鋼帯の連続酸洗設備における酸洗槽の酸濃度を連続的に
測定することができる酸濃度連続測定装置を用いて酸洗
槽の酸濃度を自動制御する酸濃度自動制御装置、例え
ば、下流側の酸洗槽に収容された酸洗液を、上流側に隣
接して配置された酸洗槽へ順次オーバーフローさせる型
の連続酸洗設備における酸濃度自動制御装置と、酸濃度
自動制御方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】酸洗とは、例えば、冷延鋼板、冷延鋼板
の圧延素材となる熱延鋼板または最終成品である熱延鋼
板等といった処理鋼板の表面に存在する酸化スケール
を、塩酸や硫酸等の酸洗液に浸漬すること、あるいは酸
洗液を噴霧することによって、除去する処理をいう。こ
の酸洗は、例えば、処理鋼板を、酸洗液を収容する酸洗
槽を通板方向へ複数並列した状態で備える連続酸洗設備
に、連続して通板させることにより、行われる。この連
続酸洗設備を用いた酸洗では、各酸洗槽とりわけ最終槽
における酸濃度が、酸化スケールの除去効率に大きく影
響する。このため、この連続酸洗設備を用いた酸洗に関
しては、酸濃度を正確に制御することが要求される。
【0003】従来より、鋼帯の連続酸洗設備では、卓上
測定器で酸洗液の酸濃度を測定し、この測定結果に基づ
いて手動で酸液を供給すること、もしくは、この卓上測
定器を連続酸洗設備の酸洗槽に設置して酸濃度を自動測
定し、この測定結果に基づいて酸液の供給量を自動制御
することによって、酸洗液の酸濃度測定および酸液供給
が行われてきた。
【0004】しかし、手動で酸液を供給すると、酸洗液
の酸濃度の変化に的確に対応できない。このため、酸洗
液の酸濃度の変動が大きくなり易く、また安全を見込む
ために酸液の供給量が過剰となり易い。このため、手動
で酸液を供給すると、酸の原単位が悪化する。
【0005】また、卓上測定器を酸洗槽に設置して酸洗
液の酸濃度を自動測定するには、試料用装置である滴定
式分析計を用いる。この滴定式分析計による測定は、サ
ンプル液、試薬および洗浄液を交互に測定セル内に導入
することにより、行われる。このため、測定セル内での
サンプル液の流れが断続的となるために滞留したサンプ
ル液が配管内で固化して配管が詰まってしまい、測定開
始後短時間で測定できなくなってしまう。
【0006】また、この滴定式分析計による測定では微
量のサンプル液を配送するため、配管系の微細チューブ
が詰まってしまう。詰まり防止のために濾過装置を設け
ると、切り換え機構を有する複雑な配管系となる。この
ため、切り換え機構の切換え回数の増加により、配管の
詰まりが誘発される。
【0007】また、滴定式分析計は高価である。そのた
め、サンプルが複数種存在する場合には、各サンプリン
グ配管を並列で一つの滴定式分析計に接続しておき、各
サンプリング配管を切り換えることによって、測定を行
う。このため、このサンプリング配管の切り換えによっ
ても、配管の詰まりが頻発する。
【0008】さらに、1回のサンプリングに際して、試
薬導入からデータ出力までに約15分間を要する。このた
め、複数回のサンプリングを行う場合、各データの出力
間隔は最低でも15分毎に1回程度と、かなり長くなる。
このため、連続酸洗設備の酸濃度制御系に滴定式分析計
を適用しても、連続的に酸洗液の酸濃度測定値を出力す
ることは事実上不可能である。
【0009】このように、滴定式分析計を用いた酸濃度
の測定は、薬液による反応時間、および前処理装置によ
る洗浄のための切り換え時間やサンプリング時間が長
い。このため、サンプリングタイミングに対する測定タ
イミングの時間遅れが不可避的に発生する。また、滴定
式分析計を用いた酸濃度の測定では、出力データもかな
りの間隔(15分間程度)を伴って断続的に出力される。
このため、制御の応答性が極めて低い。したがって、滴
定式分析計を用いて酸洗液の酸濃度を高精度で制御する
ことは、事実上困難であった。
【0010】このように、酸洗槽に収容された酸洗液の
酸濃度の測定には長時間を要する。このため、特に、各
酸洗槽が仕切り板により区画され、下流側の酸洗槽に収
容された酸洗液が上流側の酸洗槽へ順次オーバーフロー
するとともに、最終槽に対して酸を供給する型の連続酸
洗設備では、通常、最終槽に収容された酸洗液の酸濃度
だけを測定して酸液の供給量を決定することにより、酸
濃度に応じて酸液の供給量を管理していた。
【0011】しかし、この型の連続酸洗設備において酸
洗液による鋼帯のスケール層との反応が活発に行われて
いるのは、実際には、最終槽よりも上流側の酸洗槽であ
る。このため、最終槽よりも上流側の酸洗槽に収容され
た酸濃度の変動が大きい場合には、鋼帯にスケール残り
が発生する。
【0012】鋼帯にスケール残りが発生すると、ライン
速度を低下することにより各酸洗槽の酸濃度を安定させ
る必要が生じる。また、スケール残りの発生を防止する
ために、各酸洗槽の酸濃度を通常時よりも高目に管理す
る必要も生じる。このため、たとえ、酸濃度をリアルタ
イムで計測して酸液の供給量を制御することができたと
しても、酸原単位すなわちコストの上昇は避けられな
い。
【0013】一方、複数の酸洗槽とともに酸洗液の循環
槽(メイクアップタンク)を有する連続酸洗設備におい
ても、酸洗槽に収容された酸洗液の酸濃度を測定しよう
とすると、測定に長時間を要するために酸洗槽に収容さ
れた酸洗液の酸濃度を目標値に制御するのに長時間を要
し、結局、循環槽に収容された酸洗液の酸濃度も大きく
変動してしまう。そこで、循環槽を有する連続酸洗設備
では、循環槽に収容された酸洗液の酸濃度だけを測定
し、この測定結果に基づいて酸洗槽への酸液の供給量を
決定していた。しかし、この手段では、酸洗槽に収容さ
れた酸洗液の酸濃度を測定しないために、酸洗処理され
た鋼帯にスケール残りや過酸洗等の不具合が不可避的に
発生していた。
【0014】そのため、従来より、酸洗槽に収容された
酸洗液の濃度を連続的に測定することができないことを
補って酸濃度を高い応答性で迅速に制御するために、様
々な提案がなされてきた。
【0015】例えば、特公昭57−2275号公報には、酸濃
度のフィードバック制御ではゲイン(精度) を大きくす
るとハッチングし、また小さくすると検出器の精度が低
下して使用できないことから、液温度、酸濃度、酸反応
時間および反応表面積の間の関係式を用いたフィードフ
ォワード制御を行うことによって、酸濃度の制御の応答
性を改善する発明が開示されている。
【0016】また、特開平6−126322号公報には、噴流
酸洗設備において、最上流の循環槽における酸濃度を調
整するとともにそのときの投入酸量に対応する量を一つ
下流の循環槽に供給し、この酸濃度調整および酸供給を
下流の循環槽に対して順次行っていくことにより、各循
環槽の酸濃度を制御する発明が開示されている。
【0017】また、特開平9−125270号公報には、酸濃
度および液面レベルの測定値を求め、それらの測定値が
目標値を外れる場合に、排酸、給酸そして給水を行う発
明が開示されている。
【0018】また、特開平10−147895号公報には、各酸
洗槽毎に酸洗液の循環装置を個別に有するとともに隣接
する酸洗槽間での酸洗液のオーバーフローを伴わない型
の連続酸洗設備に関して、酸濃度を制御する方法が開示
されている。
【0019】さらに、特開平7−54175 号公報には、連
続酸洗設備による酸洗の前後における板厚差から酸洗減
量を求め、求めた酸洗減量に基づいて酸供給量および酸
濃度を制御する方法が開示されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公昭57−22
75号公報により開示された発明で必要となる酸濃度の測
定は、連続的に行うことはできない。このため、この発
明によっても酸濃度を高精度で制御することはできな
い。また、この発明の実施に際し、酸濃度を長時間測定
すると、サンプリング配管において酸による詰まりが発
生し、測定器の稼働率を低下させてしまう。
【0021】また、特開平6−126322号公報により開示
された発明により酸濃度を連続的に制御するには、最終
循環槽に収容された酸洗液の酸濃度を連続的に測定する
必要がある。しかし、前述したように、酸濃度の連続的
な測定は不可能である。このため、この発明によって
も、酸濃度を連続的に制御することはできない。
【0022】また、特開平9−125270号公報により開示
された発明においても、上述したように酸濃度を連続的
に測定することはできない。このため、この発明によっ
ても酸濃度を連続的に制御することは困難である。さら
に、この発明では、給水を行うと廃酸の酸濃度が低下す
る。このため、この発明によると、廃酸の回収時に酸原
単位が悪化する。
【0023】また、特開平10−147895号公報により開示
された型の連続酸洗設備では、各酸洗槽の酸濃度を独立
して制御することができるため、高精度で酸濃度を制御
することが可能である。しかし、この提案にかかる制御
を、何らの設備改造を伴うことなく、隣接する酸洗槽間
で酸洗液のオーバーフローが発生する型の連続酸洗設備
に適用することはできない。つまり、特開平10−147895
号公報に開示された方法を、隣接する酸洗槽間で酸洗液
のオーバーフローが発生する型の連続酸洗設備に対して
適用するには、酸液の循環槽、循環ポンプ、廃酸・給酸
配管等を各酸洗槽の全てに設置する必要がある。このた
め、相当な設備投資や設置スペースが必要となり、この
発明を実施することは現実には極めて難しい。
【0024】さらに、酸洗でのスケールロスはスケール
厚によっても変動し、このスケール厚は例えば熱間圧延
時の巻取温度によって変動する。このため、特開平7−
54175 号公報により開示された発明では、酸濃度の変化
量と酸洗ロス量とは必ずしも等しくならない。このた
め、偏差が発生した分だけ酸濃度の制御精度が低下して
しまう。
【0025】このように、従来の技術には、そのいずれ
にも、酸洗槽に収容された酸洗液の酸濃度を連続的に測
定することができないという、共通かつ致命的な課題が
あった。このため、酸液の供給量を手動で制御する場合
のみならず、自動制御する場合においても、酸濃度の制
御の応答遅れや精度低下を甘受しなければならなかっ
た。
【0026】ここに、本発明の目的は、酸洗槽に収容さ
れた酸洗液の酸濃度を連続的に測定することができる酸
濃度連続測定装置を用いて、連続酸洗設備を構成する酸
洗槽に収容された酸洗液の酸濃度を、連続的かつ高精度
で自動制御することができる酸濃度自動制御装置および
酸濃度自動制御方法を提供することである。
【0027】具体的には、本発明の目的は、酸洗槽にお
いて常時サンプル液を測定することによって非測定時間
を短縮して酸濃度の変動および偏析を連続かつ的確に測
定でき、さらにサンプリング方法も単純であるとともに
メンテナンス性にも優れた酸濃度連続測定装置を用い
て、連続酸洗設備を構成する酸洗槽に収容された酸洗液
の酸濃度を、連続的かつ高精度で自動制御することがで
きる酸濃度自動制御装置および酸濃度自動制御方法を提
供することである。
【0028】さらに具体的には、本発明の目的は、上記
の酸濃度連続測定装置を用いて、下流側の酸洗槽に収容
された酸洗液を上流側に隣接する酸洗槽へ順次オーバー
フローさせる型の連続酸洗設備における酸洗槽の酸濃度
を連続的に測定し、この測定結果を酸液の供給量にフィ
ードバックさせることにより、各酸洗槽の酸濃度を適正
に保つことができるとともに酸洗液の原単位を改善する
ことができる酸濃度自動制御装置および酸濃度自動制御
方法を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目
的を達成するために種々検討を重ねた。そして、酸洗槽
および循環槽の少なくとも一方に収容された酸洗液の一
部を絶えず流しておき、この酸洗液の酸濃度を連続的に
測定することに着目した。従来は、このように酸洗液を
絶えず流そうとしても、流速が低下する部分が必ず発生
し、この流速が低下する部分で酸洗液が短時間で詰まっ
てしまうと考えられていた。したがって、これまでは、
このようにして酸洗液の酸濃度を連続的に測定すること
は、全く検討されなかった。
【0030】その結果、本発明者らは、酸洗液の酸濃度
以外の物性値を連続的に測定することができる測定装置
を酸洗液の流路に配置し、この測定装置から出力される
連続的な測定データを用いて演算を行うことによって、
酸洗液の詰まりを事実上解消しながら酸洗液の酸濃度を
連続的かつ正確に求めることができることを知見した。
【0031】また、本発明者らは、これらの酸濃度の連
続的な演算値に基づいて、酸液を供給される酸洗槽およ
び循環槽の少なくとも一方の酸濃度に対して、フィード
バック制御、またはフィードバック制御とフィードフォ
ワード制御との組合せを行うことにより、絶えず変動す
る酸濃度に迅速かつ的確に対応でき、酸洗槽の酸濃度を
高精度で制御できることを知見した。
【0032】さらに、本発明者らは、酸液を供給される
酸洗槽と、この酸液を供給される酸洗槽以外の少なくと
も一つの酸洗槽とのそれぞれにおける酸洗液の連続的な
演算値に基づいて、酸液を供給される酸洗槽の酸濃度に
対してフィードバック制御を行うことにより、下流側の
酸洗槽に収容された酸洗液を上流側に隣接する酸洗槽へ
順次オーバーフローさせる型の連続酸洗設備に関して
も、酸液を供給される酸洗槽の酸濃度を高精度で制御で
きることを知見した。
【0033】本発明者らは、これらの知見に基づいてさ
らに検討を重ねた結果、本発明を完成した。ここに、本
発明は、酸洗槽に収容された酸洗液を連続的に流すため
の流路の一部を構成する本体と、この本体に設置されて
流路の一部を流れる酸洗液を連続的に測定するための密
度計と、流路または酸洗槽における酸洗液を連続的に測
定するための温度計および導電率計と、密度計、温度計
および導電率計それぞれの測定結果に基づいて流路の一
部を流れる酸洗液の酸濃度を演算する演算装置とを有
し、連続酸洗設備を構成する複数の酸洗槽のうちの少な
くとも酸液を供給される複数の酸洗槽にそれぞれ設置さ
れる酸濃度連続測定装置と、この酸濃度連続測定装置に
より得られる演算値に基づいた、酸液を供給される複数
の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗液の酸濃度に関する
フィードバック制御手段とを組み合わせて備えることを
特徴とする酸濃度自動制御装置である。
【0034】別の観点からは、本発明は、酸洗槽に収容
された酸洗液を連続的に流すための流路の一部を構成す
る本体と、この本体に設置されて流路の一部を流れる酸
洗液を連続的に測定するための密度計と、流路または酸
洗槽における酸洗液を連続的に測定するための温度計お
よび導電率計と、密度計、温度計および導電率計それぞ
れの測定結果に基づいて流路の一部を流れる酸洗液の酸
濃度を演算する演算装置とを有し、連続酸洗設備を構成
する複数の酸洗槽のうちの少なくとも酸液を供給される
1または2以上の酸洗槽、および連続酸洗設備を構成す
る循環槽にそれぞれ設置される酸濃度連続測定装置と、
この酸濃度連続測定装置により得られる演算値に基づい
た、酸液を供給される複数の酸洗槽にそれぞれ収容され
た酸洗液の酸濃度および循環槽に収容された酸洗液の酸
濃度のうちの少なくとも一方に関するフィードバック制
御手段とを組み合わせて備えることを特徴とする酸濃度
自動制御装置である。
【0035】これらの本発明にかかる酸濃度自動制御装
置では、酸液を供給される複数の酸洗槽が、少なくとも
最終槽を含むことが例示される。これらの本発明にかか
る酸濃度自動制御装置では、酸濃度連続測定装置が、酸
液を供給される複数の酸洗槽以外の少なくとも一つの酸
洗槽に設置されることが例示される。
【0036】これらの本発明にかかる酸濃度自動制御装
置が、さらに、酸濃度連続測定装置により得られる演算
値に基づいた、酸液を供給される複数の酸洗槽にそれぞ
れ収容された酸洗液の酸濃度、および循環槽に収容され
た酸洗液の酸濃度のうちの少なくとも一方に関するフィ
ードフォワード制御手段を備えることが例示される。
【0037】さらに、これらの本発明にかかる酸濃度自
動制御装置では、連続酸洗設備が、下流側の酸洗槽に収
容された酸洗液を上流側に隣接する酸洗槽へ順次オーバ
ーフローさせる型の連続酸洗設備であることが、例示さ
れる。これらの本発明にかかる酸濃度自動制御装置で
は、温度計および導電率計が、本体に設置され、流路の
一部を流れる酸洗液を測定することが、望ましい。
【0038】また、これらの本発明にかかる酸濃度自動
制御装置では、密度計が、少なくとも二つの検出部を有
する差圧センサー方式の密度計であることが望ましい。
この場合、二つの検出部は、本体における流路の形成方
向について少なくとも500mm離間して設置されること
が、所望の測定精度を維持するために望ましい。
【0039】また、これらの本発明にかかる酸濃度自動
制御装置では、温度計および導電率計が、ともに、本体
における流路の出側に設けられることが、所望の測定精
度を維持するために望ましい。
【0040】また、これらの本発明にかかる酸濃度自動
制御装置では、本体における流路をできるだけ直線状に
形成して部分的な流速低下部を発生させないようにし、
または、流路のうちで流速が低下して酸洗液が詰まり易
い部分には、酸洗液の滞留を抑制することによる詰まり
防止機構を設けておくことが、酸洗液による詰まりを防
止するために望ましい。
【0041】これらの酸濃度自動制御装置の制御対象と
しての酸洗槽は、浸漬方式ばかりでなく、噴霧方式であ
ってもよい。これらの本発明にかかる酸濃度自動制御装
置における酸濃度連続測定装置による「連続的な測定」
とは、例えば公知の滴定式分析計を用いた場合の測定ピ
ッチ(約15分間)に比べて極めて短い測定ピッチでの測
定を意味しており、例えば、測定ピッチが1分間以下、
望ましくは10秒間以下である酸濃度測定を意味する。
【0042】また、別の観点からは、本発明は、連続酸
洗設備を構成する複数の酸洗槽のうちの少なくとも酸液
を供給される複数の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗液
を連続的に流しておき、連続的に流れる酸洗液の密度、
温度および導電率それぞれの測定結果に基づいて酸洗液
の酸濃度を連続的に求め、求めた酸濃度に基づいて、酸
液を供給される複数の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗
液の酸濃度をフィードバック制御することを特徴とする
酸濃度自動制御方法である。
【0043】さらに、本発明は、連続酸洗設備を構成す
る複数の酸洗槽のうちの少なくとも酸液を供給される1
または2以上の酸洗槽、および連続酸洗設備を構成する
循環槽にそれぞれ収容された酸洗液を連続的に流してお
き、連続的に流れる酸洗液の密度、温度および導電率そ
れぞれの測定結果に基づいて酸洗液の酸濃度を連続的に
求め、求めた酸濃度に基づいて、酸液を供給される複数
の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗液の酸濃度および循
環槽の少なくとも一方に収容された酸洗液の酸濃度をフ
ィードバック制御することを特徴とする酸濃度自動制御
方法である。
【0044】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)次に、酸洗液とし
て塩酸を使うとともに、最終槽およびその一つ上流側の
酸洗槽にいずれも酸液を供給する場合を例にとって、本
発明にかかる酸濃度自動制御装置および酸濃度自動制御
方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0045】まず、本実施形態で用いる酸濃度連続測定
装置を説明する。図1は、本実施形態で用いる酸濃度連
続測定装置1の内部構造を示す説明図である。図1中の
破線矢印は酸洗液の流れを示す。また、図2は、密度計
4の設置部近傍を抽出して示す断面図である。
【0046】図1に示すように、この酸濃度連続測定装
置1は、ポンプ13により酸洗槽から圧送された酸洗液を
連続的に一方向へ流すための循環流路2の一部を内蔵す
る筒状の酸濃度連続測定装置本体3と、循環流路2の一
部を流れる酸洗液を連続的に測定する密度計4、温度計
5および導電率計6とを備える。
【0047】本実施形態における酸濃度連続測定装置本
体3は、筒型状のものであってサンプルである酸洗液を
酸洗槽11から連続的に流して酸洗槽11へ戻すことができ
る構造であればよく、特定の構造には限定されない。
【0048】酸濃度連続測定装置本体3の材質は、酸洗
液に浸食されない程度の耐酸性を有するものであればよ
く、本実施形態ではポリプロピレン製とした。また、酸
濃度連続測定装置本体3の内部に形成される循環流路2
の一部は、できるだけエルボ等の流速低下部が少ないス
トレート状に形成してある。これにより、酸濃度連続測
定装置本体3の内部において、酸洗液の流れが低下する
ことによる詰まりの発生が可及的抑制される。
【0049】さらに、循環流路2の一部を流れる酸洗液
の流速は、密度計4、温度計5および導電率計6それぞ
れの測定精度を維持するために、2m/sec 以下であるこ
とが望ましい。本実施形態では、酸洗液の流速は1m/se
c に設定した。
【0050】また、本実施形態では、密度計4には、二
つの検出部4−1 、4−2 を有する公知の差圧センサー
方式の密度計を用いた。二つの検出部4−1 、4−2
は、所望の密度測定精度を確保するために、循環流路2
の一部の形成方向に関する距離d1 が少なくとも500mm
となるように離して、酸濃度連続測定装置本体3の長手
方向略中央の胴部に設置される。
【0051】本実施形態では、温度計5には公知の白金
抵抗体式の温度計を用いた。また、導電率計6にも公知
の電磁誘導型の導電率計を用いた。温度計5および導電
率計6は、ともに、循環流路2の一部の出側で測定を行
うことができるように、酸濃度連続測定装置本体3の頭
部に設置される。
【0052】なお、本実施形態では、温度計5および導
電率計6は、いずれも、酸濃度連続測定装置本体3に設
けた。これは、温度計5および導電率計6をともに密度
計4の近傍に配置することにより、測定誤差を可及的低
減するためである。しかし、温度計5、導電率計6は、
必ずしも酸濃度連続測定装置本体3に配置する必要はな
い。温度計5、導電率計6を、酸洗槽11の内部または、
酸洗槽11と酸濃度連続測定装置本体3との間の循環流路
2を構成する配管等に設置して、循環する酸洗液の温
度、導電率を測定することとしてもよい。この場合、密
度計4の設置部近傍における温度、導電率の値と、温度
計5、導電率計6の設置部における測定データとの偏差
を予め求めておき、これらの偏差を用いて温度計5、導
電率計6の設置部における測定データを補正すればよ
い。これにより、温度計5および導電率計6を密度計4
の近傍に配置しなくとも、測定誤差が可及的低減され
る。
【0053】この酸濃度連続測定装置1は、後述する図
4に示すように、本実施形態では、酸洗槽11の外壁面近
傍に設置される。そして、酸濃度連続測定装置1は、酸
洗槽11の近傍に設置したポンプ13により酸洗槽11に収容
された酸洗液を一方向へ流す。これにより、酸濃度連続
測定装置1は、連続的に酸洗液の密度、温度および導電
率をいずれも測定することが可能である。
【0054】図2に示すように、酸濃度連続測定装置1
には、密度計4の二つの検出部4−1 、4−2 へ酸洗液
を導くための分流部8が不可避的に形成される。この分
流部8は、循環流路2の一部を構成するものの、酸洗液
の流速が低下して塩化鉄結晶7が堆積して詰まり易い部
分である。そこで、本実施形態では、詰まり防止機構と
してパージ管9を分流部8に設置してある。パージ管9
を介して詰まり易い部分へ向けて酸洗液を噴出する。こ
れにより、詰まり易い部分における酸洗液の滞留が抑制
され、酸洗液の詰まりが確実に防止される。
【0055】このように、本実施形態の酸濃度連続測定
装置1で用いる密度計4、温度計5および導電率計6に
は、いずれも、高い使用実績を有する公知の工業計器を
使用する。このため、本実施形態の酸濃度連続測定装置
1は、極めて高い精度で正確に、酸洗液の密度、温度お
よび導電率を求めることができる。
【0056】また、本実施形態の酸濃度連続測定装置1
には、密度計4により連続的に測定された密度と、温度
計5により連続的に測定された温度と、導電率計6によ
り連続的に測定された導電率とに基づいて、酸洗液の酸
濃度を演算する演算装置14が設置される。この演算装置
14により酸洗液の酸濃度が連続的に演算される。演算装
置14による酸濃度の演算内容は、図3および図4を参照
しながら後述する。
【0057】また、本実施形態の酸濃度連続測定装置1
では、酸濃度連続測定装置本体3を筒型状単管式とす
る。このため、以下に列記する効果(i) 〜(vii) が奏せ
られる。
【0058】(i) 循環流路2の形状をできるだけ直線状
とし、またパージ管9を分流部8に設ける。このため、
循環流路2内、特に密度計4、温度計5および導電率計
6それぞれの近傍における酸洗液の滞留が防止され、酸
洗液を連続的に流すことができる。
【0059】(ii)酸洗液は、循環流路2内を連続的に流
れる。このため、循環流路2内における酸洗液の偏析が
防止され、別々に採取した複数種の酸洗液をも同一条件
で正確に測定することができる。
【0060】(iii) ポンプ13により酸洗液を常時流すと
ともに、流速低下部をできるだけ少なくした循環流路2
の分流部8にパージ管9を設置する。このため、酸濃度
連続測定装置本体3のメンテナンス性および内部洗浄性
がいずれも著しく向上し、酸洗液の詰まりを解消しなが
ら連続測定を行うことができる。
【0061】(iv)酸洗液の密度、温度および導電率を連
続的に測定するため、酸洗液の酸濃度を連続的に測定す
ることができる。これにより、この酸濃度連続測定装置
1を、例えば連続酸洗設備の最終槽およびその一つ上流
側の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗液の酸濃度に関す
るフィードバック制御、または、フィードバック制御お
よびフィードフォワード制御と組合せることにより、最
終槽およびその一つ上流側の酸洗槽にそれぞれ収容され
た酸洗液の酸濃度を、連続的かつ高精度で自動制御する
ことが可能となる。
【0062】(v) 酸濃度連続測定装置1は、図1に示す
ように、極めて簡単な外部形状を有する。このため、例
えば連続酸洗設備等への設置の自由度が高い。
【0063】(vi)酸濃度連続測定装置1の内部は、図1
に示すように、簡単な内部構造を有する。このため、循
環流路2を流れる酸洗液の流速を、密度計4、温度計5
および導電率計6の測定精度の観点から望ましい流速で
ある2m/sec 以下に、容易に設定・管理することができ
る。したがって、酸濃度連続測定装置1は、測定精度の
維持が容易である。
【0064】(vii) 酸濃度連続測定装置1は簡単な構造
であるため、酸洗槽の近傍に容易に設置することができ
る。このため、酸洗槽から酸洗液を分流させる循環流路
2を構成する配管の長さを可及的短くすることができ
る。これにより、酸洗液が酸洗槽を出てから酸濃度連続
測定装置1に到達して測定されるまでの間のタイムロス
を可及的短縮することができる。このため、酸濃度連続
測定装置1は、制御精度の低下を抑制できる。
【0065】次に、この酸濃度連続測定装置1を用い
た、本実施形態の酸濃度自動制御装置を説明する。図3
は、連続酸洗設備12へ適用した本実施形態の酸濃度自動
制御装置10の制御系の一例を模式的に示す説明図であ
る。また、図4は、本発明にかかる酸濃度自動制御装置
10を構成する最終槽11d の概略を示す説明図である。
【0066】この連続酸洗設備12では、酸洗槽を連続し
て4槽設けてある。第4槽11d が最終槽である。第4槽
11d より上流側に第3槽11c 、第2槽11b そして第1槽
11aが順次設けられている。酸洗処理される鋼帯 (本例
では熱延鋼帯) は、図示していないが、図面向かって右
側から左側に向かって搬送される。これにより、鋼帯
は、各槽11a 〜11d に順次浸漬されながら酸洗される。
なお、図3および図4の説明では、第1槽11a に付帯す
る設備には符号aを付し、以下、第2槽11b には符号b
を、第3槽11a には符号cを、第4槽11d には符号dを
それぞれ付すこととする。
【0067】この連続酸洗設備12の各酸洗槽11a 〜11d
には、各酸洗槽11a 〜11d それぞれにおいて酸洗液の密
度、温度および導電率を連続的に測定するために、ポン
プ13a 〜13d を介して、前述した本実施形態の酸濃度連
続測定装置1a〜1dが接続される。酸洗液は、ポンプ13a
〜13d により各酸洗槽11a 〜11d から循環流路2を介し
て圧送される。圧送された酸洗液は、酸濃度連続測定装
置1a〜1dの内部に形成された循環流路2a〜2dの一部を流
れ、各酸洗槽11a 〜11d へ戻される。循環する酸洗液
は、酸濃度連続測定装置1a〜1dの内部に形成された循環
流路2a〜2dの一部を流れる間に、密度計4a〜4d、温度計
5a〜5dおよび導電率計6a〜6dにより、密度、温度および
導電率がそれぞれ連続的に測定される。
【0068】なお、図3および図4に示すように、循環
流路2には、詰まり防止のための濾過装置は設けていな
い。本実施形態の酸濃度連続測定装置1では、循環流路
2に詰まり防止のために濾過装置を設けなくとも、酸洗
液の滞留に起因した詰まりは発生しない。したがって、
詰まり防止のために濾過装置を循環流路2に設けると、
却って、この濾過装置において詰まりが発生するおそれ
がある。
【0069】酸濃度連続測定装置1a〜1dは、演算装置で
あるDDC(直接デジタル制御)装置14に接続される。この
DDC 装置14からの制御信号が、第3槽11c 、最終槽11d
への酸液 (塩酸) 供給量を調整する弁機構15c 、15d の
開閉信号として独立して送られる。
【0070】このように、本実施形態の酸濃度自動制御
装置10は、酸液の供給を最終槽である第4槽11d と第3
槽11c とに対して行い、第1槽11a および第2槽11b へ
の酸液の供給は行わない。ただし、第4槽11d から第3
槽11c へ、第3槽11c から第2槽11b へ、第2槽11b か
ら第1槽11a へ、それぞれ酸洗液がオーバーフローす
る。このため、酸液を供給されない第1槽11a および第
2槽11b の酸濃度は、上昇および低下を繰り返しながら
も、略一定に保たれる。
【0071】本実施形態において、酸液を第4槽11d お
よび第3槽11c に供給する理由は、以下の通りである。
図5は、第1槽11a 〜第4槽11d それぞれでの脱スケー
ル率(%)の測定結果の一例を示すグラフである。な
お、図5に示すグラフにおいては、脱スケール率は、酸
洗槽を1m毎に区切ってその間での反応量を求め、求め
た反応量を順次積算することにより、算出しており、第
4槽11d における脱スケール率を100 %として示してあ
る。
【0072】図5に示すグラフから、図3に示す連続酸
洗設備12では、第3槽11c の脱スケール率が最も高いこ
とがわかる。このため、本実施形態では、酸液を第4槽
11dおよび第3槽11c に供給し、第1槽11a 〜第4槽11d
それぞれに収容された酸洗液の濃度変動をできるだけ
抑制する。これにより、第1槽11a 〜第4槽11d それぞ
れに収容された酸洗液の酸濃度を低く設定でき、また過
供給を抑制できるために酸液の原単位を向上できる。
【0073】なお、この例は、脱スケール率が最も高い
槽が第3槽11c である場合であるが、これに限定される
ものではなく、脱スケール率が最も高い酸洗槽を含む複
数の酸洗槽に酸液を供給すればよい。例えば、5槽の酸
洗槽を有する連続酸洗設備であって第3槽の脱スケール
率が最も高い場合には、第3槽と第5槽とに酸液を供給
すればよい。
【0074】この本実施形態の酸濃度自動制御装置10で
は、酸濃度連続測定装置1a〜1dにより連続的に得られた
密度、温度および導電率それぞれに関する測定値は、信
号データとしてDDC 装置14へ送られる。DDC 装置14は、
送られたデータのうちで最終槽11d および第3槽11c そ
れぞれに関するデータに基づいて、後述するようにし
て、最終槽11d および第3槽11c それぞれの酸濃度を演
算する。
【0075】なお、第1槽11a および第2槽11b に関す
る酸濃度のデータは、本実施形態の酸濃度自動制御装置
10ではフィードフォワード制御を行うために用いられ
る。このフィードフォワード制御については後述する。
【0076】DDC 装置14は、演算された最終槽11d およ
び第3槽11c それぞれの酸洗液の酸濃度と、予め決めら
れた最終槽11d および第3槽11c それぞれの酸濃度の目
標値とを比較する。そして、DDC 装置14は、測定値と目
標値との偏差をゼロにするべく、最終槽11d および第3
槽11c それぞれへの酸液の供給量を演算する。演算され
た酸液の供給量は、DDC 装置14から、給酸量制御信号と
して弁機構15d 、15cの開閉機構へ個別に送られる。こ
れにより、弁機構15d 、15c の開閉が個別に制御され、
最終槽11d および第3槽11c それぞれへの酸液の供給量
が個別に変更される。このようにして、最終槽11d およ
び第3槽11c それぞれの酸濃度がフィードバック制御さ
れる。
【0077】すなわち、図4において、本実施形態の酸
濃度自動制御装置10は、最終槽11dと、最終槽11d への
酸液供給系15と、演算器 (データ処理用コンピュータ)1
4 を有する酸濃度連続測定装置1dとから構成される。そ
して、最終槽11d の酸濃度は、酸濃度連続測定装置1dに
よって連続的に測定される酸洗液の密度、温度および導
電率のデータに基づいて、演算器14によって算出され
る。なお、図4における廃酸タンク16は、第1酸洗槽11
a からオーバーフローする廃酸を処理するためのタンク
であり、本実施形態では第1酸洗槽11a に直接接続され
ている。
【0078】図6(a) 、図6(b) は、それぞれ、塩酸濃
度、塩化鉄濃度の調整値とそれぞれの計算値との関係を
示す検量線に関するグラフである。図6(a) における横
軸B1 は塩酸濃度調整値を示し、縦軸C1 は塩酸濃度計
量値を示す。また、図6(b)における横軸B2 は塩化鉄
濃度調整値を示し、縦軸C2 は塩化鉄濃度計量値を示
す。検量線に関するこのグラフを予め作成してDDC 装置
14に記憶させておくことにより、DDC 装置14により、塩
酸濃度、塩化鉄濃度の調整値を容易に求めることができ
る。
【0079】図7は、密度計4d、温度計5dおよび導電率
計6dにより得られた測定値の処理の概要を示す説明図で
ある。同図に示すように、密度計4d、温度計5dおよび導
電率計6dの測定結果は、図4におけるアンプ盤 (変換
盤) 18を介して、アナログ信号で演算機14へ入力され
る。
【0080】演算機14により塩酸濃度および塩化鉄濃度
が演算される際の算出式は、例えば、次の通りである。 SA=S−a(T−25) ・・・ DA=D+b(T−25) ・・・ 塩酸濃度=c(d{e・SA+f・SA(DA−1)} −g{h・SA+i・SA(DA−1)}+j)+k・・・ 塩化鉄濃度=m(n・DA−SA) −p ・・・ ただし、Sは導電率実測値を、Tは温度実測値を、SA
は導電率温度補正値を、DAは密度実測値を、符号a〜
pは定数を、それぞれ示す。
【0081】このように連続的に測定した密度、温度お
よび導電率の値を上記の関係式〜に代入することに
より、各酸洗槽11a 〜11d において連続的に塩化鉄濃
度、塩酸濃度が求められる。本実施形態では、最終槽11
d および第3槽11c に関する測定値から、最終槽11d お
よび第3槽11c それぞれの塩酸濃度が連続的に求められ
る。
【0082】そして、このようにして得られた塩酸濃度
と目標とする塩酸濃度との偏差をゼロにするために、塩
酸供給系15に酸液の供給量を決定する制御信号が出力さ
れる。このようにして、本実施形態の酸濃度自動制御装
置10では、最終槽11d および第3槽11c それぞれの密
度、温度および導電率それぞれの実測値から酸洗液の酸
濃度を連続的に求め、求めた酸濃度を目標値に一致させ
るべく、最終槽11d および第3槽11c それぞれの酸濃度
をフィードバック制御する。
【0083】すなわち、本実施形態の酸濃度自動制御装
置10の第1の特徴は、最終槽11d および第3槽11c に対
して行う酸液の供給量の最適化を図るために、酸濃度連
続測定装置1d、1cと、最終槽11d および第3槽11c それ
ぞれに関する酸液の供給量のフィードバック制御とを組
み合わせて用いる点にある。これにより、酸濃度の連続
的な測定値、すなわち測定間隔が極めて小さく、略連続
した酸濃度の測定値を用いて、最終槽11d および第3槽
11c それぞれに対する酸液の供給量をフィードバック制
御することができる。このため、本実施形態の酸濃度自
動制御装置10によれば、酸濃度制御の応答性を顕著に向
上することができる。これにより、酸濃度の変動量を小
さくできるために、酸濃度の高濃度側へのばらつきを小
さく抑制でき、酸原単位の上昇を可及的に抑制すること
が可能となる。
【0084】さらに、本実施形態の酸濃度自動制御装置
10では、酸濃度制御の応答性をさらに向上させるため
に、最終槽11d および第3槽11c 以外の酸洗槽11a 、11
b に関する測定データを用いて、最終槽11d および第3
槽11c それぞれの酸洗液の酸濃度をフィードフォワード
制御する。以下、このフィードフォワード制御について
説明する。
【0085】図3において、最終槽11d および第3槽11
c 以外の酸洗槽11a 、11b にそれぞれ設けた酸濃度連続
測定装置1a、1bにより、酸洗槽11a 、11b に収容された
酸洗液の酸濃度が連続的に測定される。酸濃度連続測定
装置1a、1bによる測定は、酸濃度連続測定装置1c、1dに
よる測定と同じである。
【0086】酸濃度連続測定装置1a、1bによる測定結果
に基づいて、酸洗槽11a 、11b における単位時間当たり
の酸消費量の実績値が求められる。そこで、各酸洗槽11
a 、11b における単位時間当たりの酸消費量の実績値に
基づいて、最終槽11d および第3槽11c それぞれにおけ
る単位時間当たりの酸消費量を予測する。
【0087】すなわち、各酸洗槽11a 、11b における単
位時間当たりの酸消費量は、ストリップ持ち出し量によ
って急激に変動する。このストリップ持ち出し量は、通
板される鋼板の板厚、板幅およびラインスピードに略比
例する。このため、酸濃度連続測定装置1a、1cにより酸
洗槽11a 、11b における酸濃度の変化を連続的に測定し
ておくことにより、最終槽11d および第3槽11c におけ
る酸濃度の変化、すなわち酸消費量を高精度で予測する
ことができる。
【0088】すなわち、図4において、前述したフィー
ドバック制御を行う際に、連続酸洗設備プロセスコンピ
ュータ20には、板厚、板幅およびラインスピードの実績
値が入力される。このため、これらのデータを DDC装置
19へ取り込めるように、連続酸洗設備プロセスコンピュ
ータ20を接続しておく。
【0089】つまり、演算装置14によりフィードバック
制御によって演算された酸液の供給量を DDC装置19へ入
力する。また、連続酸洗設備プロセスコンピュータ20か
らの板厚、板幅およびラインスピードそれぞれに関する
実績値と、演算装置14により演算された酸洗槽11a 、11
b における酸濃度の変化とを DDC装置19へ入力する。そ
して、DDC 装置19により、酸洗槽11a 、11b における酸
濃度の低下率に基づいて最終槽11d および第3槽11c に
おける酸消費量を予測し、フィードバック制御により演
算された酸液の供給量を、フィードフォワード制御によ
り、さらに補正・変更する。
【0090】板厚、板幅およびラインスピードの実績値
から塩酸濃度の低下分を予測するには、例えば次のよう
にして行えばよい。図3および図4において、酸洗槽11
a 、11b の塩酸濃度は、前述の式および式を用いる
ことにより求められる。このようにして求めた塩酸濃度
に、図6(a) および図6(b) に示した、板厚、板幅およ
びラインスピードを関数として予め求めてある相関関係
式(検量線)により、塩酸消費量、つまり低下分を予測
する。ここで、フィードフォワード制御関数FFは、例え
ば下記式により、求められる。
【0091】 FF =KF・W・f(d)・g(Ls) ・・・・・ ただし、式において、KF は濃度変動係数を、Wは板
幅を、f(d) は板厚を、さらにg(Ls)はラインスピード
を、それぞれ示す。
【0092】すなわち、フィードバック制御による加算
および減算により、最終槽における酸濃度の目標値に対
しての偏差を抑制する。さらに、フィードバック制御に
より求められた酸液の供給量を、フィードフォワード制
御による乗算および加算により酸液の供給量を予測的に
導き出すことにより、補正する。これにより、最終槽11
d および第3槽11c それぞれに対する塩酸供給量を、極
めて高精度で制御することができる。
【0093】このようにして、酸洗槽11a 、11b におけ
る酸消費量の実績値に基づいて、最終槽11d および第3
槽11c における酸液の供給量を変更するフィードフォワ
ード制御を、前述したフィードバック制御に重畳させ
て、行う。これにより、最終槽11d および第3槽11c そ
れぞれの酸濃度だけを用いるフィードバック制御だけで
は迅速に応答できない、ストリップ持ち出しによる最終
槽11d および第3槽11cの酸濃度の急激な低下に対して
も、極めて少ないタイムラグで酸濃度を高精度で制御す
ることができる。
【0094】以上説明したように、本実施形態の酸濃度
自動制御装置10によれば、酸濃度連続測定装置1d、1c
と、最終槽11d および第3槽11c の酸濃度の連続測定値
を用いるフィードバック制御手段とを組み合わせる。こ
のため、酸液を供給される酸洗槽である最終槽11d およ
び第3槽11c それぞれに対する酸液の供給量を連続的に
求めることができ、最終槽11d および第3槽11c それぞ
れの酸濃度を目標値に迅速かつ高精度で制御することが
できる。
【0095】さらに、酸洗槽11a 、11b の酸濃度の変動
値を用いて最終槽11d および第3槽11c それぞれの酸消
費量を予測するフィードフォワード制御を重畳させるこ
とにより、ストリップ持ち出しによる最終槽11d および
第3槽11c それぞれの酸濃度の急激な低下に対しても迅
速に応答して、適正な酸液の供給量を求めることができ
る。
【0096】このように、本実施形態の酸濃度自動制御
装置10では、(i) 連続酸洗設備12を構成する最終槽11d
、第3槽11c のそれぞれにおいて酸洗液の密度、温度
および導電率を連続的に測定する酸濃度連続測定装置1
d、1cと、(ii)得られた測定値から予め求めたそれらの
値の相関関係式に基づき最終槽11dおよび第3槽11c に
おける塩酸濃度および塩化鉄濃度、つまり鉄イオン濃度
を導き出し、それらの結果を連続的に出力して、最終槽
11d および第3槽11c それぞれの塩酸濃度値と目標値と
の比較を行い、その差異がゼロとなるように最終槽11d
および第3槽11c それぞれへの酸液の供給量を変更する
フィードバック制御手段と、(iii) 板厚、板幅およびラ
インスピードと、酸洗槽11a 、11b の塩酸および塩化鉄
の各濃度測定結果とを用いて酸洗槽11a 、11b における
酸消費量を求め、これに基づいて最終槽11d および第3
槽11c それぞれの酸液の供給量を変更するフィードフォ
ワード制御手段とを組み合わせて備える。このため、最
終槽11d および第3槽11c における酸液の供給量の自動
制御における酸濃度制御の応答遅れや精度低下を、いず
れも解消できる。
【0097】(第2実施形態)図8(a) は、下流側の酸洗
槽に収容された酸洗液を上流側に隣接する酸洗槽へ順次
オーバーフローさせる型の連続酸洗設備21の説明図であ
る。また、図8(b)は、本実施形態の酸濃度自動制御装
置22を連続酸洗設備21に適用した状況を示す説明図であ
る。
【0098】図8(a) に示すように、この連続酸洗設備
21では、酸洗槽を連続して5槽設けてある。この連続酸
洗設備21では第5槽21e が最終槽となる。第5槽21e よ
り上流側に第4槽21d 、第3槽21c 、第2槽21b そして
第1槽21a が順次設けられる。図示するように、酸洗処
理される鋼帯23 (本例では熱延鋼帯) は図面向かって右
側から左側に向かって搬送される。鋼帯23は、各槽21a
〜21e に順次浸漬されながら酸洗される。なお、図8
(a) および図8(b) の説明では、第1槽21a に付帯する
設備には符号aを付し、以下、第2槽21b には符号b
を、第3槽21c には符号cを、第4槽21d には符号d
を、さらに第5槽 (最終槽)21eには符号eを、それぞれ
付すこととする。
【0099】図8(b) に示すように、この連続酸洗設備
21の各酸洗槽21a 〜21e には、各酸洗槽21a 〜21e それ
ぞれにおいて酸洗液の密度、温度および導電率を連続的
に測定するために、図示しない5基のポンプをそれぞれ
介して、前述した図1および図2に示す酸濃度連続測定
装置1a〜1eが接続される。酸洗液は、5基のポンプによ
り各酸洗槽21a 〜21e から圧送される。圧送される酸洗
液は、循環流路2を介して、酸濃度連続測定装置1a〜1e
の内部に形成された循環流路2a〜2eの一部を流れて各酸
洗槽21a 〜21e へ循環する。酸洗液は、循環流路2a〜2e
の一部を流れる間に、密度計4a〜4e、温度計5a〜5eおよ
び導電率計6a〜6eにより、密度、温度および導電率がそ
れぞれ連続的に測定される。
【0100】酸濃度連続測定装置1a〜1eは、演算装置で
あるDDC(直接デジタル制御)装置24に接続される。この
DDC装置24からの制御信号は、最終槽21e および第4槽
21dそれぞれへの酸液の供給量を調整する弁機構25e 、2
5d の開閉信号として送られる。
【0101】このように、本実施形態の酸濃度自動制御
装置22では、酸液の供給を最終槽である第5槽21e およ
び第4槽21d に対して行い、第1槽21a 〜第3槽21c へ
の酸供給は行わない。ただし、この連続酸洗設備21で
は、第5槽21e から第4槽21dへ、第4槽21d から第3
槽21c へ、第3槽21c から第2槽21b へ、第2槽21b か
ら第1槽21a へ、それぞれ酸洗液がオーバーフローす
る。このため、酸濃度自動制御装置22の各酸洗槽21a 〜
21c の酸濃度は、上昇および低下を繰り返しながらも、
略一定に保たれる。
【0102】この本実施形態の酸濃度自動制御装置22で
は、酸濃度連続測定装置1a〜1eにより連続的に得られた
密度、温度および導電率それぞれに関する測定値は、信
号データとして DDC装置24へ送られる。DDC 装置24は、
送られたデータのうちで最終槽21e および第4槽21d に
関するデータに基づいて、後述するようにして、最終槽
21e および第4槽21d それぞれの酸濃度を算出する。
【0103】DDC 装置24は、算出された最終槽21e およ
び第4槽21d それぞれの酸濃度値と、予め決められたそ
れぞれの目標値とを比較する。そして、DDC 装置24は、
最終槽21e および第4槽21d それぞれへの酸液の供給量
を演算する。
【0104】図9は、DDC 装置24における酸液の供給量
の決定演算の流れを示すフロー図である。以下、図9に
示すフロー図を参照しながら、DDC 装置24における酸液
の供給量の決定演算の流れを説明する。
【0105】ステップ (以下、「S」と記す。) 1にお
いて、DDC 装置24が起動されてフィードバック制御が開
始される。DDC 装置24の起動後にS2へ移行する。S2
において、酸濃度連続測定装置1a〜1eそれぞれにより、
各酸洗槽21a 〜21e に収容された酸洗液の密度、温度お
よび導電率がそれぞれ連続的に測定される。測定完了後
にS3へ移行する。
【0106】S3において、酸濃度連続測定装置1a〜1e
それぞれにより連続的に測定された酸洗液の密度、温度
および導電率に基づき、前述した式〜式を用いて、
各酸洗槽21a 〜21e に収容された酸洗液の酸濃度が演算
される。酸濃度の演算後にS4へ移行する。
【0107】S4において、1回目の濃度測定結果の判
定が行われる。すなわち、最終槽である第5槽21e の
酸濃度の演算値C5が、第5槽21e の酸濃度の管理下限値
C5min より小さく、かつ第4槽21d の酸濃度の演算値
C4が、第4槽21d の酸濃度の管理下限値C4min より小さ
いか、否かが判定される。小さい場合にはS5へ移行
し、小さくない場合にはS6へ移行する。
【0108】S5において、弁機構25e からの第5槽21
e への酸液の供給量と、弁機構25dからの第4槽21d へ
の酸液の供給量とを、いずれも、WからW+δW (ただ
し、δWは酸供給量の補正値を示す。) へと増加し、S
2へ移行する。
【0109】S6において、2回目の濃度測定結果の判
定が行われる。すなわち、最終槽である第5槽21e の
酸濃度の演算値C5が、第5槽21e の酸濃度の管理上限値
C5ma x より大きく、かつ第4槽21d の酸濃度の演算値
C4が、第4槽21d の酸濃度の管理上限値C4max より大き
いか、否かが判定される。大きい場合にはS7へ移行
し、大きくない場合にはS8へ移行する。
【0110】S7において、弁機構25e からの第5槽21
e への酸液の供給量と、弁機構25dからの第4槽21
d への酸液の供給量とを、いずれも、WからW−δW
(ただし、δWは酸供給量の補正値を示す。) へと減少
し、S2へ移行する。S8において、弁機構25からの第
5槽21e および第4槽21d への酸供給量がWとして決定
される。この後、S2へ進み、以降S2〜S8を繰り返
す。
【0111】このように、DDC 装置24における酸液の供
給量の決定演算では、酸濃度連続測定装置1d、1eそれぞ
れによる酸濃度の測定結果を、第4槽21d および第5槽
21eそれぞれについて予め設定した管理上限値および管
理下限値と比較する。
【0112】酸濃度連続測定装置1d、1eそれぞれによる
酸濃度の測定結果がともに管理下限値を下回る場合に
は、予め設定してある酸液の供給量Wに補正値δWを上
乗せする。一方、測定結果がともに管理上限値を上回る
場合には、逆に補正値δWを差し引く。これにより、弁
機構25からの第5槽21e および第4槽21d それぞれへの
酸液の供給量が変更され、供給される酸液の流量が変わ
る。
【0113】演算された酸液の供給量Wは、 DDC装置14
から、給酸量制御信号として弁機構15c 、15d の開閉機
構に送られて、弁機構15c 、15d の開閉を制御する。こ
れにより、最終槽11d および第4槽11d それぞれへの酸
液の供給量が変更されて、フィードバック制御が行われ
る。このため、酸濃度の測定値を用いた第5槽21e およ
び第4槽21d 以外の第3槽21c 〜第1槽21a についても
酸濃度が安定化し、全体の酸濃度も低下する。
【0114】このようにして、本実施形態によれば、各
酸洗槽21a 〜21e に収容された酸洗液の酸濃度の測定結
果を、酸液の供給量の決定に連続的にフィードバックさ
せることができる。
【0115】さらに、本実施形態では、最終槽である第
5槽21e のみならず、第5槽21e に隣接する第4槽21d
の酸濃度もフィードバック制御する。このため、第5槽
21eの酸濃度の測定結果だけを用いた場合に比較する
と、より安定的に各酸洗槽21a〜21e の酸濃度を
自動制御することができる。
【0116】このようにして、本実施形態の酸濃度自動
制御装置22では、最終槽21e および第4槽21d それぞれ
における酸洗液の密度、温度および導電率それぞれの実
測値から酸濃度を連続的に求め、求めた酸濃度を目標値
に一致させるべく、最終槽21e および第4槽21d それぞ
れへの酸液の供給量のフィードバック制御を行う。
【0117】すなわち、本実施形態の酸濃度自動制御装
置22の特徴は、第5槽21e および第4槽11d それぞれに
対して行う酸液の供給量をさらに最適化するため、酸濃
度連続測定装置1e、1dによる第5槽21e および第4槽21
d それぞれに対する酸濃度の連続測定と、第5槽21e お
よび第4槽11d に関する酸液の供給量のフィードバック
制御とを組み合わせて用いる点である。これにより、酸
濃度の連続的な測定値、すなわち測定間隔が極めて短
く、略連続した酸濃度の測定値を用いて、最終槽21e お
よび第4槽11d の酸洗液の酸濃度をフィードバック制御
することができ、酸濃度制御の応答性を顕著に向上する
ことができる。また、これにより、酸濃度の変動量を小
さくできるために、酸濃度の高濃度側へのばらつきを小
さくでき、酸原単位の上昇を可及的に抑制することが可
能となる。
【0118】なお、図9に示す酸液の供給量の決定演算
のS4およびS6において、第5槽21e および第4槽21
d それぞれの濃度区分をさらに細分化して判定してもよ
い。また、前述した第1実施形態と同様に、酸液の供給
量Wを決定する際に、酸洗ラインを管理するプロセスコ
ンピュータ等から、予め今後処理される鋼帯の情報に基
づいてフィードフォワード制御を行うことにより、酸液
の供給量をさらに変更することも可能である。
【0119】さらに、本実施形態において、第1槽21a
〜第3槽21c それぞれからの測定値を用いた演算値を、
同様に組み合わせてフィードバック制御を行ってもよ
い。ただし、下流側の酸洗槽に収容された酸洗液を上流
側に隣接する酸洗槽へ順次オーバーフローさせるととも
に最終槽に酸液を供給する場合、酸液の供給量による濃
度コントロールは第4槽21d と比較すると、第1槽21a
〜第3槽21c では非常に困難であるためにフィードバッ
ク制御に用いる意義は薄い。そのため、第1槽21a 〜第
3槽21c には、酸濃度連続測定装置1a〜1cを設けなくと
もよい。
【0120】(第3実施形態)図10は、本実施形態の酸濃
度連続測定装置の内部構造を示す説明図であり、図中の
破線矢印は酸洗液の流れを示す。なお、以降の本実施形
態の説明では、第1実施形態と相違する部分だけを説明
することとし、同一の構成部分には同一の図中符号を付
すことにより、重複する説明を省略する。
【0121】本実施形態の酸濃度連続測定装置1−1
が、第1実施形態の酸濃度連続測定装置1と相違するの
は、主に、酸濃度連続測定装置本体3−1の内部に形成
された循環流路2−1の一部の構造である。
【0122】図10に示すように、本実施形態の酸濃度連
続測定装置1−1の酸濃度連続測定装置本体3−1の内
部では、循環流路2−1の上部が、排出用配管2' と略
同じ高さ位置に形成されている。これにより、ポンプ13
により圧送されてきた酸洗液は、図中の破線矢印で示す
ように、酸濃度連続測定装置本体3−1の内部における
最上部付近において、一旦オーバーフローしてから、排
出用配管2' へ導かれる。
【0123】このため、本実施形態の酸濃度連続測定装
置1−1では、循環流路2−1を流れる酸洗液の流速
を、密度計4、温度計5および導電率計6の測定精度の
観点から望ましい流速である2m/sec 以下に、容易に設
定・管理することができる。したがって、本実施形態の
酸濃度連続測定装置1−1は、第1実施形態の酸濃度連
続測定装置1−1よりも、さらに測定精度の向上を図る
ことができる。
【0124】なお、本実施形態の酸濃度連続測定装置1
−1では、分流部8には、酸洗液の流通方向と直交する
方向 (図10における左右方向) に関する分流部8の突出
量d 2 を、できるだけ小さく設定してある。これによ
り、分流部8における酸洗液の滞留が抑制され、酸洗液
の詰まりが確実に防止される。したがって、本実施形態
では、第1実施形態で設けたパージ管9は設けていな
い。
【0125】(第4実施形態)図11は、本実施形態の酸濃
度自動制御装置32を、連続酸洗設備31に適用した状況を
示す説明図である。
【0126】図11に示すように、この連続酸洗設備31で
は、酸洗槽を連続して4槽設けてある。この連続酸洗設
備31では第4槽31d が最終槽となる。第4槽31d より上
流側に第3槽31c 、第2槽31b そして第1槽31a が順次
設けられる。図示するように、酸洗処理される鋼帯33
(本例では熱延鋼帯) は図面向かって右側から左側に向
かって搬送される。鋼帯33は、各槽31a 〜31d に順次浸
漬されながら酸洗される。
【0127】また、この連続酸洗設備31は、循環槽34を
備える。第1槽31a からオーバーフローした酸洗液は循
環槽34に一旦送られ、ポンプ35により、循環槽34から酸
洗槽31a へ狙いの濃度に調整するための量の酸液が、第
1槽31a に循環される。そして、第1槽31a に送られて
くる鋼帯33の表面に向けてスプレーされる。
【0128】図11に示すように、この連続酸洗設備31の
各酸洗槽31a 〜31d には、各酸洗槽31a 〜31d それぞれ
において酸洗液の密度、温度および導電率を連続的に測
定するために、図示しない4基のポンプをそれぞれ介し
て、前述した図1および図2に示す酸濃度連続測定装置
1a〜1dが接続される。酸洗液は、4基のポンプにより各
酸洗槽31a 〜31d から圧送される。圧送される酸洗液
は、循環流路2a〜2dを介して、酸濃度連続測定装置1a〜
1dの内部に形成された循環流路2a〜2dの一部を流れて各
酸洗槽31a 〜31d へ循環する。酸洗液は、循環流路2a〜
2dの一部を流れる間に、密度計4a〜4d、温度計5a〜5dお
よび導電率計6a〜6dにより、密度、温度および導電率が
それぞれ連続的に測定される。
【0129】酸濃度連続測定装置1a〜1dは、演算装置で
あるDDC(直接デジタル制御)装置36に接続される。この
DDC装置36からの制御信号は、最終槽31d および循環槽
34それぞれへの酸液の供給量を調整する弁機構37の開閉
信号として送られる。
【0130】このように、本実施形態の酸濃度自動制御
装置32では、酸液の供給を最終槽である第4槽31d に対
して行い、第1槽31a 〜第3槽31c への酸供給は行わな
い。ただし、この連続酸洗設備31では、第4槽31d から
第3槽31c へ、第3槽31c から第2槽31b へ、第2槽31
b から第1槽31a へ、それぞれ酸洗液がオーバーフロー
する。このため、酸濃度自動制御装置32の各酸洗槽31a
〜31d の酸濃度は、上昇および低下を繰り返しながら
も、略一定に保たれる。
【0131】なお、第1実施形態および第2実施形態と
同様に、第4槽31d 以外の他の酸洗槽31a 〜31c の少な
くとも一つの酸洗槽に対しても、酸液の供給を行うよう
にしてもよい。これにより、各酸洗槽31a 〜31d に収容
された酸洗液の酸濃度をより高精度で制御することがで
きる。
【0132】この本実施形態の酸濃度自動制御装置32で
は、酸濃度連続測定装置1a〜1dにより連続的に得られた
密度、温度および導電率それぞれに関する測定値は、信
号データとして DDC装置36へ送られる。DDC 装置36は、
送られたデータのうちで最終槽31d に関するデータに基
づいて、後述するようにして、最終槽31d の酸濃度を算
出する。
【0133】DDC 装置36は、算出された最終槽31d の酸
濃度値と、予め決められた目標値とを比較する。そし
て、DDC 装置36は、最終槽31d それぞれへの酸液の供給
量を演算する。
【0134】また、本実施形態では、循環槽34にも酸濃
度連続測定装置1eが設けられており、循環槽34に収容さ
れた酸洗液の酸濃度が連続的に測定される。測定値は、
DDC装置36へ送られる。この DDC装置36からの制御
信号は、循環槽34への酸液の供給量を調整する弁機構37
の開閉信号として送られる。
【0135】本実施形態の酸濃度自動制御装置32は、以
上のように構成される。図12は、DDC 装置36による酸液
の供給量の決定演算の流れを示すフロー図である。以
下、図12に示すフロー図を参照しながら、酸液の供給量
の決定演算の流れを説明する。
【0136】ステップ (以下、「S」と記す。) 1にお
いて、DDC 装置36が起動され、酸洗槽31d に収容された
酸洗液の酸濃度の目標濃度 (狙いの濃度) が、酸濃度連
続測定装置1dにより測定された、酸洗槽31d に収容され
た酸洗液の酸濃度 (ラインタンク濃度) よりも大きい
か、否かが判定される。大きい場合にはS2に移行し、
大きくない場合にはS3に移行する。
【0137】S2において、狙いの濃度とラインタンク
濃度との偏差を0にするべく、酸洗槽31d への酸液の供
給量が決定され、S4に移行する。S4において、決定
された酸洗槽31d への酸液の供給量に基づいて、循環槽
34に収容された酸洗液の酸濃度が決定され、S6とS8
とへ移行する。
【0138】一方、S3において、循環槽34へ純水を投
入する (手段A) か、または循環槽34への酸液の投入を
停止する (手段B) ことにより、循環槽34に収容された
酸洗液の酸濃度を低下させることが決定され、さらに、
S5において、手段Aおよび手段Bのいずれを採用する
かが、決定される。そして、手段Aおよび手段Bのいず
れが決定されたかがS4に入力され、循環槽34に収容さ
れた酸洗液の酸濃度の決定に用いられる。
【0139】S6において、酸洗槽31d に収容された酸
洗液の酸濃度と、循環槽34に収容された酸洗液の酸濃度
との偏差が求められる。すなわち、酸洗槽31d に収容さ
れた酸洗液の酸濃度が、循環槽34に収容された酸洗液の
酸濃度の決定にフィードバックされる。そして、S7に
移行する。
【0140】S7において、S6において求められた循
環槽34に収容された酸洗液の酸濃度とともに、ラインス
ピード、鋼帯寸法、鋼帯材質さらには酸洗液温度等の操
業条件が入力される。そして、これらの因子は、S2に
フィードフォワードされて酸洗槽31d への酸液の供給量
の決定に用いられるとともに、S3にフィードフォワー
ドされて循環槽34に収容された酸洗液の酸濃度の低下を
決定することに、それぞれ用いられる。
【0141】S8において、酸洗槽31d に収容された酸
洗液の酸濃度が測定され、S1に移行する。以下、この
S1〜S8を繰り返す。このように、本実施形態では、
酸液の供給量の決定演算では、連続的に最終槽31d に収
容された酸洗液の酸濃度の連続測定値をフィードバック
することにより、循環槽34に収容された酸洗液の酸濃度
を設定し、次いでこの循環槽34に収容された酸洗液の酸
濃度を連続的に測定し、さらにラインスピード、鋼帯材
質さらには鋼帯寸法等の操業条件とともに、最終槽31d
へフィードフォワード制御を行う。より具体的に説明す
ると、本実施形態によれば、連続酸洗設備を構成する酸
洗槽31a 〜31d のうちの少なくとも酸液を供給される最
終槽31d と循環槽34とにそれぞれ酸濃度連続測定装置1
d、1eを設置し、酸濃度連続測定装置1d、1eにより得ら
れる演算値に基づいて、最終槽31d および循環槽34とに
それぞれ収容される酸洗液の酸濃度を、フィードバック
制御およびフィードフォワード制御する。
【0142】これにより、最終槽31d に収容された酸洗
液の酸濃度制御の応答性を顕著に向上することができ
る。また、これにより、酸濃度の変動量を小さくできる
ために、酸濃度の高濃度側へのばらつきを小さくでき、
酸原単位の上昇を可及的に抑制することが可能となる。
【0143】また、本実施形態によれば、これまで即応
性を要する測定が困難であった最終槽31d の酸洗スプレ
ー部の近傍における塩酸濃度や、酸洗槽31d の入側とス
プレー部の近傍での微妙な濃度差等を、短時間でかつ精
度よく、常時連続的に測定することができる。このた
め、循環槽を有する連続酸洗設備の酸濃度制御の応答性
を向上し、酸洗品質の向上と酸洗コストの低減とを、と
もに図ることができる。
【0144】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながらより
詳細に説明する。 (実施例1)図1〜図7に示す連続酸洗設備12の各酸洗
槽11a 〜11d に、図1に示す酸濃度連続測定装置1a〜1d
を設置した。また、酸濃度連続測定装置1a〜1dから出力
される測定値を演算器14により、塩酸濃度および塩化鉄
濃度に変換するとともに、 DDC装置19からの信号によ
り、酸液 (塩酸) の供給量のフィードバック制御および
フィードフォワード制御を行った。このようにして、連
続酸洗設備12の最終槽11d および第3槽11d それぞれに
おける酸洗液の酸濃度を管理した。
【0145】すなわち、最終槽11d および第3槽11c そ
れぞれの濃度値でのフィードバック制御と、酸洗される
鋼帯の板厚、板幅およびライン速度と酸洗槽11a 、11b
における酸濃度の変化率とを加味したフィードフォワー
ド制御とを組み合わせて、最終槽11d および第3槽11c
それぞれにおける酸液の供給量を連続的かつ自動で制御
した。
【0146】なお、図1に示すように、本実施例におい
ても、酸濃度連続測定装置1a〜1dは、実績のある市販の
密度計4a〜4d、温度計5a〜5dおよび導電率計6a〜6dを内
蔵した。これにより、ポリプロピレン製の酸濃度連続測
定装置本体3a〜3dに内蔵された循環流路2a〜2dを流れる
酸洗液の密度、温度および導電率を、連続的に測定し
た。
【0147】本実施例では、各センサーで測定した結果
を、図6(a) および図6(b) に示す塩酸濃度および塩化
鉄濃度それぞれの相関関係式 (検量線) を用いて、演算
器20により連続的に常時出力するように構成した。
【0148】また、図4に示すように、酸濃度連続測定
装置1a〜1dは、酸洗槽11a 〜11d の側壁近傍に設置し
た。そして、ポンプ13a 〜13d により酸洗液を一方向へ
連続的に1m/sec の流速で流すことにより配管詰まりを
抑制した。さらに図2に示すように、密度計4a〜4dへの
分流部8a〜8dにパージ管9a〜9dを設置して、詰まり易い
分流部8a〜8dを定期的に洗浄した。
【0149】さらに、図4に示したとおり各酸洗槽11a
〜11d の側壁近傍に酸濃度連続測定装置1a〜1dを設置し
て一方向に酸洗液を流した。これにより、酸洗液の配管
内での詰まりを防止した。また、洗浄性およびメンテナ
ンス性を考え、できるだけ簡単な配管機構とした。な
お、本実施例では、図3および図4に示すように、各配
管には、詰まり防止のために濾過装置は設けなかった。
【0150】図13は、第4槽11d に収容された酸洗液の
酸濃度の目標値が16%であって第3槽11c には酸液を供
給しない比較例における酸濃度の経時的な変化の結果を
示すグラフである。また、図14は、第4槽11d に収容さ
れた酸洗液の酸濃度の目標値が15.5%であって第3槽11
c に収容された酸洗液の酸濃度の目標値が11%である場
合の本発明例の結果を示すグラフである。
【0151】図13にグラフで示すように、比較例では、
第4槽11d で酸濃度が±0.5 %変動し、第3槽11c では
酸濃度が±1%変動した。このため、第4槽11d への酸
液の供給量は、最大6m3/Hr から最小0m3/Hr の範囲で
大きく変動した。
【0152】これに対し、図14にグラフで示すように、
本発明例によれば、第4槽11d および第3槽11c それぞ
れでの酸濃度の変動量を、いずれも±0.5 %に抑制でき
た。このため、第4槽11d および第3槽11c それぞれへ
の酸液の供給量を、比較例よりも低減できた。
【0153】図15は、比較例および本発明例それぞれに
ついての酸原単位を示すグラフである。図15にグラフで
示すように、本発明例により、酸原単位を比較例よりも
約15%向上することができた。
【0154】このように、本発明例によれば、連続的に
測定された酸濃度に基づいて酸液の供給を連続してアナ
ログ的に行うことができる。このため、酸液の過剰な供
給を防ぎ、かつ酸液の供給不足による未処理を完全に防
ぐことができた。これにより、各酸洗槽の酸濃度を所望
の設定値により近づけて、その変動を、可及的に抑制す
ることができた。
【0155】(実施例2)図11および図12に示す本発明
例の連続酸洗設備31と、この本発明例の連続酸洗設備31
から酸濃度連続測定装置1a〜1eを取り除いた従来例の連
続酸洗設備とを用いて、鋼帯の酸洗を行った。
【0156】図16は、従来例の連続酸洗設備による酸濃
度の変動状況の一例を示すグラフであり、図17は、本発
明例の連続酸洗設備31による酸濃度の変動状況の一例を
示すグラフである。いずれも、最終槽31d に収容された
酸洗液の酸濃度を示す。
【0157】図16および図17を対比することにより、本
発明例によれば、従来例よりも、酸液の供給ピッチが縮
小するとともに、1回の酸液の供給量が著しく低減され
たことがわかる。
【0158】これにより、本発明例によれば、目標値で
ある設定酸濃度a (%)に対する変動量が低減され、酸
原単位が改善されたことがわかる。また、酸洗槽31d に
収容された酸洗液の酸濃度が、設定酸濃度a (%)を大
きく下回ることがなくなり、酸洗不良の発生率も低減さ
れ、酸洗品質も向上したことがわかる。
【0159】
【変形形態】以上説明した各実施形態および各実施例の
説明は、酸洗液が塩酸である場合を例にとった。しか
し、本発明はかかる態様に限定されるものではない。本
発明は、硫酸等の他の酸洗液についても等しく適用する
ことができる。
【0160】また、各実施形態および各実施例の説明
は、酸洗処理される鋼帯が熱延鋼帯である場合を例にと
った。しかし、本発明はかかる態様に限定されるもので
はない。本発明は、冷延鋼帯についても等しく適用する
ことができる。
【0161】また、各実施形態および各実施例の説明
は、流路が、本発明の酸濃度連続測定装置および酸洗槽
を循環する循環流路である場合を例にとった。しかし、
本発明は、かかる態様に限定されるものではない。本発
明の流路は、酸洗槽に収容された酸洗液を連続的に流す
ための流路であればよく、例えば、酸洗槽と、廃酸槽や
循環槽等の酸収容槽との間に設置され、酸洗槽に収容さ
れた酸洗液を酸収容槽へ連続的に流すための流路も、等
しく包含される。
【0162】さらに、第1実施形態〜第3実施形態およ
び実施例1の説明は、最終槽および第3槽に酸液が供給
される場合を例にとった。しかし、本発明はかかる態様
に限定されるものではない。本発明は、複数の酸洗槽に
酸液がそれぞれ供給される場合についても等しく適用す
ることができる。
【0163】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる酸
濃度自動制御装置によれば、酸液を供給される複数の酸
洗槽に収容された酸洗液の酸濃度、または、酸液を供給
される1または2以上の酸洗槽および循環槽それぞれに
収容された酸洗液の酸濃度を、高精度かつ安定的に制御
することができる。これにより、酸洗における酸原単位
が向上する。
【0164】本発明にかかる酸濃度自動制御装置によれ
ば、特に、酸濃度の連続測定にフィードバック制御を組
み合わせることを基本とし、さらにフィードフォワード
制御を重畳させる。このため、制御精度およびレスポン
スをいずれも著しく向上することができる。
【0165】さらに、本発明にかかる酸濃度自動制御装
置によれば、下流側の酸洗槽に収容された酸洗液を上流
側に隣接する酸洗槽へ順次オーバーフローさせる型の連
続酸洗設備における酸洗槽の酸濃度を連続的に測定し、
この測定結果を酸液の供給量にフィードバックする。こ
のため、各酸洗槽の酸濃度を適正に保つことができると
ともに酸洗液の原単位を低減することもできる。かかる
効果を有する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態で用いる酸濃度連続測定装置の内部構
造を示す説明図である。
【図2】密度計の設置部近傍を抽出して示す断面図であ
る。
【図3】連続酸洗設備へ適用した第1実施形態の酸濃度
自動制御装置の制御系の一例を模式的に示す説明図であ
る。
【図4】第1実施形態の酸濃度自動制御装置を構成する
最終槽の概略を示す説明図である。
【図5】第1槽〜第4槽それぞれでの脱スケール率の測
定結果の一例を示すグラフである。
【図6】図6(a) 、図6(b) は、それぞれ、塩酸濃度、
塩化鉄濃度の調整値とそれぞれの計算値との関係を示す
検量線に関するグラフである。
【図7】密度計、温度計および導電率計により得られた
測定値の処理の概要を示す説明図である。
【図8】図8(a) は、第2実施形態で用いる、下流側の
酸洗槽に収容された酸洗液を上流側に隣接する酸洗槽へ
順次オーバーフローさせる型の連続酸洗設備の説明図で
あり、図8(b) は、第2実施形態の酸濃度自動制御装置
を連続酸洗設備に適用した状況を示す説明図である。
【図9】DDC 装置における酸液の供給量の決定演算の流
れを示すフロー図である。
【図10】第3実施形態の酸濃度連続測定装置の内部構
造を示す説明図である。
【図11】第4実施形態の酸濃度自動制御装置を、連続
酸洗設備に適用した状況を示す説明図である。
【図12】DDC 装置による酸液の供給量の決定演算の流
れを示すフロー図である。
【図13】実施例1において、第4槽に収容された酸洗
液の酸濃度の目標値が16%であって第3槽には酸液を供
給しない比較例における酸濃度の経時的な変化の結果を
示すグラフである。
【図14】実施例1において、第4槽に収容された酸洗
液の酸濃度の目標値が15.5%であって第3槽に収容され
た酸洗液の酸濃度の目標値が11%である場合の本発明例
の結果を示すグラフである。
【図15】実施例1において、比較例および本発明例そ
れぞれについての酸原単位を示すグラフである。
【図16】実施例2において、従来例の連続酸洗設備に
よる酸濃度の変動状況の一例を示すグラフである。
【図17】実施例2において、本発明例の連続酸洗設備
による酸濃度の変動状況の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 酸濃度連続測定装置 2 循環流路 3 酸濃度連続測定装置本体 4 密度計 4−1 、4−2 検出部 5 温度計 6 導電率計 11 酸洗槽 13 ポンプ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸洗槽に収容された酸洗液を連続的に流
    すための流路の一部を構成する本体と、該本体に設置さ
    れて前記流路の一部を流れる酸洗液を連続的に測定する
    ための密度計と、前記流路または前記酸洗槽における酸
    洗液を連続的に測定するための温度計および導電率計
    と、前記密度計、前記温度計および前記導電率計それぞ
    れの測定結果に基づいて前記流路の一部を流れる酸洗液
    の酸濃度を演算する演算装置とを有し、連続酸洗設備を
    構成する複数の酸洗槽のうちの少なくとも酸液を供給さ
    れる複数の酸洗槽にそれぞれ設置される酸濃度連続測定
    装置と、 該酸濃度連続測定装置により得られる演算値に基づい
    た、前記酸液を供給される複数の酸洗槽にそれぞれ収容
    された酸洗液の酸濃度に関するフィードバック制御手段
    とを組み合わせて備えることを特徴とする酸濃度自動制
    御装置。
  2. 【請求項2】 酸洗槽に収容された酸洗液を連続的に流
    すための流路の一部を構成する本体と、該本体に設置さ
    れて前記流路の一部を流れる酸洗液を連続的に測定する
    ための密度計と、前記流路または前記酸洗槽における酸
    洗液を連続的に測定するための温度計および導電率計
    と、前記密度計、前記温度計および前記導電率計それぞ
    れの測定結果に基づいて前記流路の一部を流れる酸洗液
    の酸濃度を演算する演算装置とを有し、連続酸洗設備を
    構成する複数の酸洗槽のうちの少なくとも酸液を供給さ
    れる1または2以上の酸洗槽、および前記連続酸洗設備
    を構成する循環槽にそれぞれ設置される酸濃度連続測定
    装置と、 該酸濃度連続測定装置により得られる演算値に基づい
    た、前記酸液を供給される複数の酸洗槽にそれぞれ収容
    された酸洗液の酸濃度、および/または前記循環槽に収
    容された酸洗液の酸濃度に関するフィードバック制御手
    段とを組み合わせて備えることを特徴とする酸濃度自動
    制御装置。
  3. 【請求項3】 前記酸液を供給される複数の酸洗槽は、
    少なくとも最終槽を含む請求項1または請求項2に記載
    された酸濃度自動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記酸濃度連続測定装置は、前記酸液を
    供給される複数の酸洗槽以外の少なくとも一つの酸洗槽
    に設置される請求項1から請求項3までのいずれか1項
    に記載された酸濃度自動制御装置。
  5. 【請求項5】 さらに、前記酸濃度連続測定装置により
    得られる演算値に基づいた、前記酸液を供給される複数
    の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗液の酸濃度、および
    /または前記循環槽に収容された酸洗液の酸濃度に関す
    るフィードフォワード制御手段を備えることを特徴とす
    る請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載され
    た酸濃度自動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記連続酸洗設備は、下流側の酸洗槽に
    収容された酸洗液を上流側に隣接する酸洗槽へ順次オー
    バーフローさせる型の連続酸洗設備である請求項1から
    請求項5までのいずれか1項に記載された酸濃度自動制
    御装置。
  7. 【請求項7】 連続酸洗設備を構成する複数の酸洗槽の
    うちの少なくとも酸液を供給される複数の酸洗槽にそれ
    ぞれ収容された酸洗液を連続的に流しておき、 連続的に流れる該酸洗液の密度、温度および導電率それ
    ぞれの測定結果に基づいて前記酸洗液の酸濃度を連続的
    に求め、 求めた該酸濃度に基づいて、前記酸液を供給される複数
    の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗液の酸濃度をフィー
    ドバック制御することを特徴とする酸濃度自動制御方
    法。
  8. 【請求項8】 連続酸洗設備を構成する複数の酸洗槽の
    うちの少なくとも酸液を供給される1または2以上の酸
    洗槽、および前記連続酸洗設備を構成する循環槽にそれ
    ぞれ収容された酸洗液を連続的に流しておき、 連続的に流れる該酸洗液の密度、温度および導電率それ
    ぞれの測定結果に基づいて前記酸洗液の酸濃度を連続的
    に求め、 求めた該酸濃度に基づいて、前記酸液を供給される複数
    の酸洗槽にそれぞれ収容された酸洗液の酸濃度、および
    /または前記循環槽に収容された酸洗液の酸濃度をフィ
    ードバック制御することを特徴とする酸濃度自動制御方
    法。
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