JP6098601B2 - 酸濃度制御方法、酸濃度制御装置、および金属板の製造方法 - Google Patents

酸濃度制御方法、酸濃度制御装置、および金属板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸洗槽に金属板を連続的に通過させることにより、金属板表面の酸化スケールを洗い落とす酸洗設備において、酸洗槽内の酸濃度を制御する酸濃度制御方法、酸濃度制御装置、および金属板の製造方法に関する。
金属板表面の酸化スケールを洗い落とすプロセスの一例として、例えば、鋼板の表面の酸化スケールを酸液(HCl等)との化学反応により除去する酸洗プロセスがある。鋼板の酸洗プロセスでは、酸洗槽における酸濃度が低すぎると、酸洗不足によって酸化スケールの除去不足が生じたり、減速操業を招くおそれがある。また、反対に酸濃度が高すぎると過酸洗となり、鋼板に肌荒れが発生する。そのため、減速操業を回避し、酸洗後の鋼板表面品質を安定に保つために、酸洗槽内の酸濃度を一定に保つことが必要となる。
しかしながら、酸洗槽内での化学反応による酸の消費速度は鋼板の幅やライン速度といった操業条件によって時々刻々変化することに加え、酸洗槽内の酸液量は単位時間当たりの酸の投入量に比べて非常に大きい。そのため、各酸洗槽内の酸濃度を測定し、その測定値に基づいて酸の投入量を操作するフィードバック制御では、遅れが大きく、操業条件の変更による酸濃度変動には対応できないという問題がある。
このような問題点に対し、例えば、特許文献1では、酸槽の濃度検出器による検出濃度値と設定濃度値から設定酸液流量を演算し、出力指令する酸液濃度制御系に、運転状態変化に基づき、酸槽内での濃度変化を相殺するように制御する演算装置を付加することが開示されている。
特許文献2では、現時点での酸濃度の検出値と、所定時間後の酸濃度の目標値とに基づいて、酸液および純水の投入量を操作する方法が開示されている。
特許文献3では、鋼板の板厚、板幅、スケール量等の鋼板状態量と、酸の投入量、ライン速度等の運転状態量をもとに、運転状態を決定する方法が開示されている。
特許文献4では、酸洗槽内の酸濃度を表すダイナミックモデルによって酸濃度推定値を求め、その推定値と酸濃度測定値との差から、酸濃度変動をもたらす外乱を推定し、それを打ち消すように酸の投入量を操作する方法が開示されている。
特開昭60−135587号公報 特開平7−258875号公報 特開平10−306391号公報 特開2007−321174号公報
図1に示すような、複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成した酸洗設備の酸濃度の制御方法について、特許文献1乃至4を適用した場合の問題点を考える。
酸洗設備は、オーバーフローがある3つの酸洗槽2A〜2Cが順に接続され、第3槽2Cからのオーバーフローした酸液が第2槽2Bに流入し、第2槽2Bからのオーバーフローした酸液が第1槽2Aに流入している。なお、酸洗槽2A、2B、2Cの現在の酸濃度をそれぞれc1、c2、c3とする。また、給酸タンク8から第3槽2Cに供給される酸液の投入量をu3とし、給酸タンク8から第2槽2Bに供給される酸液の投入量をu2とする。
特許文献1および2に開示された方法をこのような設備に適用すると、以下のような手順となる。
(1)現在の酸濃度c1、c2、c3を測定する。
(2)目標濃度r1、r2、r3と実績濃度c1、c2、c3の差である濃度偏差e1、e2、e3を計算する。
e1=r1−c1 (式1)
e2=r2−c2 (式2)
e3=r3−c3 (式3)
(3)鋼板の幅やライン速度といった操業条件のスケジュールから、濃度変動Δc1、Δc2、Δc3を計算する。
(4)現在の濃度偏差(FB)とある時点での濃度変動(FF)を補償する投入量u2、u3の酸液を投入する。
(5)以上の(1)〜(4)の手順を所定の時間間隔で繰り返す。
しかしながら、特許文献1および2に開示された方法では、オーバーフローがある酸洗槽の槽間の酸液の流れの影響を考慮していないため、例えば、後段の槽の酸濃度が一時的に過剰に高まるといった問題がある。
特許文献3に開示された方法をこのような設備に適用すると、以下のような手順となる。
(1)各槽の目標濃度r1、r2、r3と、現在の酸消費速度から、特許文献3の(12)〜(15)式にしたがって酸液の投入量u2、u3を決定することによって、定常状態での最適な酸液の投入量u2、u3を算出する。
(2)算出された投入量u2、u3の酸液を投入する。
(3)以上の(1)および(2)の手順を所定の時間間隔で繰り返す。
ここで、図1に示すような設備では、酸を投入してから、酸濃度に影響が現れるまでの時間が長く、また、酸の消費速度が操業条件に応じて刻々と変化するため、定常状態とみなせる状態が少なく、特許文献3の方法では、制御性能が悪くなるおそれがある。
特許文献4に開示された方法をこのような設備に適用すると、以下のような手順となる。
(1)現在の酸濃度c1、c2、c3を測定する。
(2)現在の酸濃度c1、c2、c3と、操業条件と1制御周期前の濃度とから求められた現在の酸濃度を表すモデルに基づいて計算される濃度cm1、cm2、cm3との差から、外乱d1、d2、d3を推定する。
d1=c1−cm1 (式4)
d2=c2−cm2 (式5)
d3=c3−cm3 (式6)
(3)式(1)〜(3)に示される濃度偏差e1、e2、e3を補償すると共に、外乱d1、d2、d3を打ち消すように、酸液の投入量u2、u3を算出して投入する。
(4)以上の(1)〜(3)の手順を所定の時間間隔で繰り返す。
しかしながら、特許文献4に開示された方法では、オーバーフロー分を外乱として計算により求めることになり、制御に遅れが生じて適切な制御を行うことができない。
本発明は、上述のような問題点に対してなされたものであり、複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成した酸洗設備において、酸濃度をより適切に制御する酸濃度制御方法、酸濃度制御装置、および金属板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記のような目的を達成するために、以下のような特徴を有している。
[1] 複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成された、金属板のスケールを除去する酸洗設備の酸濃度制御方法であって、
検出された各酸洗槽の現時点での酸濃度と、各酸洗槽で化学反応により消費される酸の量と、仮決めした各酸洗槽へ投入する酸の量と、各酸洗槽へ後段槽から流入する酸の量と、各酸洗槽から前段槽へ流出する酸の量に基づいて、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度を予測し、
予測した各酸洗槽における酸濃度値と、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度の目標値とに基づいて、実際に各酸洗槽へ投入する酸の量を決定し、
決定した酸の量を投入することを特徴とする酸洗設備における酸濃度制御方法。
[2] 3つの酸洗槽A、B、Cが直列に接続され、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成され、酸洗槽BおよびCに酸が供給される酸洗設備において、酸濃度を予測する際に、下記の制御モデルを用いる請求項1に記載の酸濃度制御方法。
Figure 0006098601
[3] 複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成した酸洗設備の酸液の濃度を制御する酸濃度制御装置であって、
各酸洗槽の現時点での酸濃度を検出する酸濃度計と、
酸濃度計によって検出された各酸洗槽の現時点での酸濃度と、各酸洗槽で化学反応により消費される酸の量と、仮決めした各酸洗槽へ投入する酸の量と、各酸洗槽へ後段槽から流入する酸の量と、各酸洗槽から前段槽へ流出する酸の量に基づいて、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度を予測し、予測した各酸洗槽における酸濃度値と、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度の目標値とに基づいて、実際に各酸洗槽へ投入する酸の量を決定する制御装置と、
決定された酸の量に調整する流量調整弁と、を有することを特徴とする酸洗設備における酸濃度制御装置。
[4] 酸洗設備は、3つの酸洗槽A、B、Cが直列に接続され、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成され、酸洗槽BおよびCに酸が供給される酸洗設備であって、
制御装置は、酸濃度を予測する際に、下記の制御モデルを用いる[3]に記載の酸濃度制御装置。
Figure 0006098601
[5] 複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成した酸洗設備を用いて金属板のスケールを除去するにあたり、[1]または[2]に記載の酸濃度制御方法を用いることを特徴とする金属板の製造方法。
本発明に係る酸濃度制御方法、酸濃度制御装置、および金属板の製造方法によれば、複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成した酸洗設備において、酸濃度をより適切に制御することができる。
本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法を適用する酸洗設備を示す図である。 本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法の制御モデルを示す図である。 本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法を適用した酸濃度および酸投入量と、手動制御を行った酸濃度および酸投入量を示す図である。 本発明の実施の形態に係る酸液制御方法を適用したシミュレーション結果を示す図である。
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法を適用する酸洗設備であって、複数の酸洗槽が直列に接続され、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成されている。
この酸洗設備は、鋼板1を酸洗する酸洗槽(第1槽2A、第2槽2B、第3槽2C)と、酸洗槽2A、2B、2C内の酸濃度を測定する酸濃度計4A、4B、4Cと、酸洗槽2B、2Cへ投入する酸液を貯蔵する給酸タンク8と、給酸タンク8から酸洗槽2B、2Cに投入する酸液量を調整する流量調整弁6A、6Bと、流量調整弁6A、6Bの開度調整により酸の投入量を制御する酸濃度制御装置5と、酸の投入量を測定する流量計7A、7Bと、給酸タンク8から酸洗槽へ酸液を送り出すポンプ9を有している。
酸洗槽2A、2B、2Cは、オーバーフローにより酸液が後段槽から前段槽に流入するように構成されている。具体的には、第3槽2Cからオーバーフローにより流出した酸液は、第2槽2Bに流入し、第2槽2Bからオーバーフローにより流出した酸液は、第1槽2Aに流入する。なお、第1槽2Aからオーバーフローにより流出した酸液は排出される。
酸濃度制御装置5は、給酸タンク8内の酸液を、流量調整弁6A、6Bの開度調整を行って、酸洗槽2B、2Cに投入するよう制御する。
次に、本発明の実施の形態に係る酸濃度制御について説明する。はじめに、本実施の形態に係る酸濃度制御方法では、各酸洗槽2A、2B、2Cの現時点での酸濃度c1、c2、c3を検出する。そして、検出した酸濃度c1、c2、c3と、各酸洗槽2A、2B、2Cで化学反応により消費される酸の量と、仮決めの各酸洗槽2B、2Cへ投入する酸の量と、各酸洗槽2A、2Bへ後段槽から流入する酸の量と、各酸洗槽2B、2Cから前段槽へ流出する酸の量と、酸洗槽2Aから外部に排出される酸の量の関係を表す制御モデルに基づき、所定時間後の各酸洗槽2A、2B、2Cにおける酸濃度を予測する。
酸濃度を予測する際に、現時点から所定時間後にかけての酸の投入量をさまざまに変化させることにより、それぞれの投入量に対して予測値を計算して、これらの予測値と、所定時間後の各酸洗槽2A、2B、2Cにおける酸濃度の目標値とに基づいて、任意の評価関数のもとで最適な酸液の実際の投入量を求める。
これを、具体的な制御モデルを用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法の制御モデルを示す図である。各酸洗槽2A、2B、2Cの酸濃度をc1、c2、c3[kg/m3]とし、給酸タンク8から酸洗槽2Bおよび2Cに投入される酸液の酸濃度を給酸濃度c0[kg/m3]とする。
第2槽2Bへの投入量[m3/h]をu2、第3槽2Cへの投入量[m3/h]をu3とすると、給酸タンク8から第2槽2Bおよび第3槽2Cに投入される酸の量は、それぞれc0u2[kg/h]、c0u3[kg/h]となる。
第3槽2Cから第2槽2Bにオーバーフローにより流入する流入量[m3/h]は、給酸タンク8から第3槽2Cへの投入量u3[m3/h]と等しい。そのため、酸洗槽2Cから2Bにオーバーフローにより流入する酸の量は、第3槽2Cの酸濃度c3に投入量u3を乗じたc3u3[kg/h]となる。
第2槽2Bから第1槽2Aにオーバーフローにより流入する酸液の流入量[m3/h]は、第3槽2Cから第2槽2Bへの流入量u3[m3/h]と、給酸タンク8から第2槽2Bに投入される酸液の投入量u2[m3/h]の和と等しい。そのため、第2槽2Bから第1槽2Aにオーバーフローにより流入する酸の量は、第3槽2Bの酸濃度c2に流入量(u2+u3)を乗じたc2(u2+u3)となる。また、第1槽2Aからオーバーフローにより排出される酸液の排出量[m3/h]は、第2槽2Bから第1槽2Aへの流入量(u2+u3)[m3/h]と等しい。そのため、第1槽2Aからオーバーフローにより外部に排出される酸の量は、第1槽2Aの酸濃度c1に流出量(u2+u3)を乗じたc1(u2+u3)となる。
各酸洗槽2A、2B、2C内の酸濃度c1、c2、c3は、各酸洗槽2B、2Cへ投入する酸の量(仮決め)と、各酸洗槽へ後段槽から流入する酸の量と、各酸洗槽から前段槽へ流出する酸の量と、さらに図示しない各酸洗槽2A、2B、2Cで化学反応により消費される酸の量の関係から、以下の制御モデル(式7)〜(式9)により表現することができる。
Figure 0006098601
なお、鋼板単位面積当たりの酸液消費量ρ1、ρ2、ρ3については、例えば、ライン速度、酸液温度、酸液濃度、鋼種などの操業条件をもとにテーブルを設ける方法や、各酸洗槽2A、2B、2Cでの消費量を、操業条件を含む数式で表し、計算する方法などによって値の設定を行えばよい。
ここで、微分方程式(式7)〜(式9)と、時刻t0での各酸洗槽2A、2B、2Cの酸濃度c1(t0)、c2(t0)、c3(t0)と、時刻t0からある時刻t1までの酸投入量u2(t)、u3(t)、ライン速度v(t)、鋼板の幅w(t)、酸液消費量ρ1(t)、ρ2(t)、ρ3(t)、とから、時刻t1での酸洗槽2A、2B、2Cの酸濃度の予測値c1(t1)、c2(t1)、c3(t1)を計算することができる。
そして、時刻t1での各槽の酸濃度目標値をr1(t1)、r2(t1)、r3(t1)として、例えば(式10)の評価関数を最小化する時刻t0からある時刻t1までの酸投入量u2(t)、u3(t)を、適当な数値最適化手法を用いて求めることができる。
Figure 0006098601
本発明例では、上記の方法によって時刻t0から時刻t1において、(式10)に示すような評価関数のもとで最適な酸の投入量を求めることができ、酸の投入量が求めた最適値となるように操作することで、任意の時刻t1での各槽の酸濃度を目標値に近づけることができる。
本発明では、上記のような制御モデルを用いた予測値に基づき、各酸洗槽への酸の投入量を決定するようにしたため、操業条件の変更による酸濃度への影響と、酸洗槽間の酸液の流出および流入による酸濃度への影響とを抑制できるようになり、品質不良や減速操業の原因となる酸濃度変動を低減することができる。
また、本発明におけるモデルは、操業条件の変化などにより酸濃度バランスが過渡的に変化した過渡状態をも表現できるダイナミックモデルであるから、そのような過渡状態においても効果的な酸濃度制御が行えるという効果もある。また、本発明では、所定時間後の酸濃度予測値と、所定時間後の目標値とから酸の投入量を決定し、操作するようにしたから、現時点から所定時間後までの操業条件の変化が所定時間後の酸濃度に与える影響を予測し、それが実際に酸濃度変動として表れる前に対応できる。
本発明の効果を検証するために、図1に示すような酸洗設備において、本発明に係る酸液制御方法を適用した場合のシミュレーション結果と、実際に手動制御を行った場合の結果とを比較した。
図3は、本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法をシミュレーションにより適用した酸濃度および酸投入量と、手動制御を行った酸濃度および酸投入量を示す図である。図3では、本発明の実施の形態に係る酸濃度制御方法をシミュレーションにより適用した酸濃度および酸投入量が実線(本発明例)で示され、手動制御を行った際の酸濃度および酸投入量が点線(比較例)で示されている。なお、各酸洗槽の酸濃度目標値は、細い点線で示すような一定値としている。
手動制御を行った場合には、酸濃度目標値に対して最大2%程度の酸濃度外れが発生しているのに対し、本発明例を適用した場合には、酸濃度変動を最大1%程度に低減することができた。
さらに、本発明例の結果を用いて、本発明と従来の方法との相違点について説明する。図4は、本実施の形態に係る酸液制御方法を適用したシミュレーション結果を示す図である。
図4に示すように、時刻Aから、第3槽の酸濃度が目標値を下回っていることがわかる。このとき、従来のフィードバック制御による方法では、第3槽の酸濃度を目標値に近づけるため、第3槽への投入量を増加させることになる。
一方、本発明例でも同様に、同時刻から第3槽への投入量を増加させているが、時刻B以降、第3槽の酸濃度は目標値に達していないにもかかわらず、第3槽への投入量が減少しており、従来の方法と明らかに相違する。
ここで、時刻B以降、第1槽の酸濃度が上昇して目標値から外れていることがわかる。従来のフィードバック制御による方法では、時刻B以降も第3槽への投入が継続されるため、副次的に第3槽から第2槽、第1槽へと順次酸液の流出を生じることになり、本発明例よりも第1槽の酸濃度がさらに大きく外れる結果となる。
一方、本発明例においては、オーバーフロー分を考慮することにより、操業条件の変化に伴って時刻B以降で第1槽の酸濃度が高くなることを予測することができ、同時刻から第3槽2Cおよび第2槽への投入量を減らすことにより、第1槽への酸液の流入量をコントロールすることができ、第1槽の酸濃度上昇を抑制することができた。
また、図4に示した時刻Cから時刻D間において、第2槽、第3槽の酸濃度は、おおむね一定に保たれた状態で、第1槽の酸濃度のみが始めは低下し、後に上昇して、時刻Dにおいて目標値に復帰している。
この間における酸の投入量の推移から、本発明例では、第1槽の酸濃度低下を補償しつつ、第2槽、第3槽の酸濃度を一定に保つよう投入量をコントロールしていることがわかる。すなわち、本発明例では、酸濃度バランスが悪化した過渡状態においても、他槽に与える影響を抑えつつ、酸濃度バランスを改善できていることがわかる。
また、図4に示した時刻C以前では、第1槽、第2槽、第3槽のいずれの酸濃度も目標値よりも高いにもかかわらず、第2槽、第3槽への酸の投入量はいずれも増加している。これは、本発明例では、モデルに基づき所定時間後の酸濃度を予測するようにしたため、時刻C以降で発生する操業条件の変化による第1槽の酸濃度低下を、第2槽からの酸液の流入を介して未然に防ぐよう、時刻C以前に第2槽、第3槽への投入量の調整を行ったためであり、本発明例では、操業条件の変動に対しても遅れなく対応できていることがわかる。
なお、本発明例では鋼板を例にとり説明したが、本発明を適用する金属板は、鋼板に限られたものではなく、銅、アルミニウムなどの金属板に適用してもよい。また、本発明を適用する酸洗プロセスは、塩酸酸洗に限られたものでなく、硫酸酸洗などでもかまわない。
また、上述の説明では、3つの酸洗槽を直列に接続した酸洗設備について説明したが、2以上の酸洗槽を直列に接続した酸洗設備であれば、本発明を適用することができる。
本発明は、酸濃度制御方法として説明したが、本発明は、酸濃度制御方法を実行する酸濃度制御装置として実施してもよい。この場合には、演算処理装置である酸濃度制御装置に所定のプログラムを実行させるように構成すればよい。
1 鋼板
2A 第1槽
2B 第2槽
2C 第3槽
4A、4B、4C 酸濃度計
5 酸濃度制御装置
6A、6B 流量調整弁
7A、7B 流量計
8 給酸タンク
9 ポンプ

Claims (5)

  1. 複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成された、金属板のスケールを除去する酸洗設備の酸濃度制御方法であって、
    検出された各酸洗槽の現時点での酸濃度と、各酸洗槽で化学反応により消費される酸の量と、仮決めした各酸洗槽へ投入する酸の量と、各酸洗槽へ後段槽から流入する酸の量と、各酸洗槽から前段槽へ流出する酸の量に基づく微分方程式で表現される制御モデルから、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度を予測し、
    予測した各酸洗槽における酸濃度値と、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度の目標値との誤差の2乗和を評価関数として、この評価関数を最小化する計算に基づいて、実際に各酸洗槽へ投入する酸の量を決定し、
    決定した酸の量を投入することを特徴とする酸洗設備における酸濃度制御方法。
  2. 3つの酸洗槽A、B、Cが直列に接続され、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成され、酸洗槽BおよびCに酸が供給される酸洗設備において、酸濃度を予測する際に、下記の制御モデルを用いる請求項1に記載の酸濃度制御方法。
    Figure 0006098601
  3. 複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成した酸洗設備の酸液の濃度を制御する酸濃度制御装置であって、
    各酸洗槽の現時点での酸濃度を検出する酸濃度計と、
    酸濃度計によって検出された各酸洗槽の現時点での酸濃度と、各酸洗槽で化学反応により消費される酸の量と、仮決めした各酸洗槽へ投入する酸の量と、各酸洗槽へ後段槽から流入する酸の量と、各酸洗槽から前段槽へ流出する酸の量に基づく微分方程式で表現される制御モデルから、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度を予測し、予測した各酸洗槽における酸濃度値と、所定時間後の各酸洗槽における酸濃度の目標値との誤差の2乗和を評価関数として、この評価関数を最小化する計算に基づいて、実際に各酸洗槽へ投入する酸の量を決定する制御装置と、
    決定された酸の量に調整する流量調整弁と、を有することを特徴とする酸洗設備における酸濃度制御装置。
  4. 酸洗設備は、3つの酸洗槽A、B、Cが直列に接続され、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成され、酸洗槽BおよびCに酸が供給される酸洗設備であって、
    制御装置は、酸濃度を予測する際に、下記の制御モデルを用いる請求項3に記載の酸濃度制御装置。
    Figure 0006098601
  5. 複数の酸洗槽を直列に接続し、後段槽から流出した酸液が前段槽へ流入するよう構成した酸洗設備を用いて金属板のスケールを除去するにあたり、請求項1または2に記載の酸濃度制御方法を用いることを特徴とする金属板の製造方法。
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