JP2000313796A - 引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法 - Google Patents

引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法

Info

Publication number
JP2000313796A
JP2000313796A JP11122493A JP12249399A JP2000313796A JP 2000313796 A JP2000313796 A JP 2000313796A JP 11122493 A JP11122493 A JP 11122493A JP 12249399 A JP12249399 A JP 12249399A JP 2000313796 A JP2000313796 A JP 2000313796A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
unsaturated polyester
pultrusion molding
resin
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11122493A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsugushige Iwaki
二滋 岩城
Takeshi Miyawaki
毅 宮脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP11122493A priority Critical patent/JP2000313796A/ja
Publication of JP2000313796A publication Critical patent/JP2000313796A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】速硬化性に優れ、かつ保存安定性が良好でポッ
トライフが長く、しかも繊維基材との接着性に優れ、靭
性や耐久性等の物性に優れた成形品を与えうる、引き抜
き成形に適した樹脂組成物を提供する。 【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂を含んでなる引き
抜き成形用樹脂組成物であって、重合禁止剤としてN−
オキシル化合物を含み、かつ、前記不飽和ポリエステル
樹脂を構成する不飽和ポリエステルがその骨格中にジシ
クロペンテニル基を有する不飽和ポリエステルを必須成
分として含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、引き抜き成形に適
した樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法に
関する。さらに詳しくは、引き抜き成形を生産性よく行
い、優れた特性の成形品を製造することができる不飽和
ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成
形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、釣り竿、農業・海洋用ロッドお
よびパイプ、ベンチシート、電気絶縁はしごの支柱、橋
梁添架用管等の繊維強化プラスチック(FRP)成形品
を製造するには、主に熱硬化性樹脂を用いた引き抜き成
形が行われている。引き抜き成形の方法は、一般に、加
熱硬化用触媒を加えた樹脂組成物を繊維基材に含浸させ
つつ、金型内で熱硬化させながら引き抜く工程を含む
が、引き抜き成形を工業的に生産性よく行うためには、
この工程を連続的かつ定常的に経過させることが重要で
ある。引き抜き成形の際、得られる成形品が平滑な表面
を有してスムースに金型内から引き抜かれるためには、
繊維基材に含浸した樹脂が十分に硬化するまで金型に密
着するか、あるいは、適当な圧力で押さえられているこ
とが、必要である。しかし、生産性の向上を目指して引
き抜き速度を上げると、樹脂組成物の硬化が不十分なま
ま金型から成形品が引き抜かれることとなり、ゲル化し
た樹脂の一部が金型内に残留して定常的な作業が困難と
なったり、引き抜き時に樹脂が切れてしまい得られた成
形品に欠陥が生じたりするという問題が起こりやすい。
このため、引き抜き成形において生産性向上を図るに
は、速い速度で引き抜かれても金型内あるいは金型を出
た直後に十分硬化しうるだけの優れた速硬化性を備えた
樹脂組成物を用いることが重要である。
【0003】従来、引き抜き成形に用いられる樹脂とし
ては、取扱いの容易性、すなわち常温においての触媒入
り樹脂のライフが長いことや、得られる成形品の優れた
機械的強度、耐水性等の特性から、不飽和ポリエステル
樹脂のようなラジカル硬化型の熱硬化性樹脂が汎用され
ている。しかし、従来の不飽和ポリエステル樹脂組成物
を用いて引き抜き成形を行った場合、速硬化性を有して
いても、得られた成形品にクラックが発生したり、曲げ
ストレスの状態で割れが発生したりするという欠陥を招
くことになる。
【0004】このような欠陥については、ジシクロペン
テニル基を含んでなる不飽和ポリエステル樹脂を使用す
ることによって解決できることが知られているものの、
保存安定性に問題があった。保存安定性を改良するため
に、従来汎用されているキノン系重合禁止剤を添加して
も、触媒によっては、硬化性を維持しうる範囲の添加量
では十分な効果を発揮せず、その目的を達成し得えな
い。他方、キノン系重合禁止剤の添加量を増加させれ
ば、保存安定性は向上するものの、重合禁止剤の添加量
増加に伴い、樹脂組成物の硬化が著しく低下し、完全硬
化に要する時間がかなり長くなってしまい、速硬化が要
求される引き抜き成形用樹脂組成物には適さない。
【0005】他方、従来の不飽和ポリエステル樹脂組成
物を用いた引き抜き成形においては、例えばガラス繊維
のような繊維基材と樹脂組成物との接着性が悪いため、
引き抜き時に剥離が生じやすく、ひいては得られた成形
品の欠陥を招くという問題もあった。ところで、従来の
プラスチック成形品の特性においては、堅さと伸度とは
相反するものであり、堅くてしかも多少伸びるといった
特性、いわゆる靭性を有するプラスチック成形品はあま
り知られていない。しかし、例えば釣り竿のような用途
においては、強度を有しながらしかも柔軟にしなるとい
った特性は好適であり、靭性に優れた製品は待望されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、引き抜き成形を生産性よく行うべく、速硬化性に優
れ、かつ、保存安定性が良好でポットライフが長く、し
かも、繊維基材との接着性に優れ、靭性や耐久性等の物
性に優れた成形品を与える、引き抜き成形に適した樹脂
組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するべく鋭意検討を行った。その結果、骨格中にジ
シクロペンテニル基を有する不飽和ポリエステルを必須
成分として含有する不飽和ポリエステル樹脂と、重合禁
止剤としてN−オキシル化合物とを樹脂組成物中に共存
させることにより、速硬化性と良好な保存安定性とを併
せもち、しかも繊維基材との接着性に優れた、引き抜き
成形に適した樹脂組成物が得られることを見いだした。
また、引き抜き成形において前記樹脂組成物を用いるこ
とにより、生産性および作業効率の向上が図れるととも
に、優れた物性の成形品を得ることができることを見い
だした。そして、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明にかかる引き抜き成形用
樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂を含んでなる引
き抜き成形用樹脂組成物であって、重合禁止剤としてN
−オキシル化合物を含み、かつ、前記不飽和ポリエステ
ル樹脂を構成する不飽和ポリエステルがその骨格中にジ
シクロペンテニル基を有する不飽和ポリエステルを必須
成分として含有することを特徴としている。
【0009】また、本発明にかかる引き抜き成形方法
は、不飽和ポリエステル樹脂を含んでなる樹脂組成物を
硬化させつつ繊維基材とともに金型から引き抜く工程を
含む引き抜き成形方法であって、前記樹脂組成物が、重
合禁止剤としてN−オキシル化合物を含み、かつ、前記
不飽和ポリエステル樹脂を構成する不飽和ポリエステル
がその骨格中にジシクロペンテニル基を有する不飽和ポ
リエステルを必須成分として含有する樹脂組成物である
ことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の一形態に
ついて詳しく説明する。本発明における不飽和ポリエス
テルは、不飽和多塩基酸を必須とする酸成分と、多価ア
ルコール及び/又はエポキシ化合物からなる成分(以
下、アルコール成分と称する)とを縮合重合させて得ら
れる重合体である。前記酸成分は、さらに必要により芳
香族飽和多塩基酸や脂肪族飽和多塩基酸等の飽和多塩基
酸を含んでいても良い。また、多塩基酸の一部に代えて
1価の酸を用いても良い。また、前記アルコール成分
は、多価アルコールの一部に代えて1価のアルコールを
用いても良い。
【0011】不飽和ポリエステルの酸価は、特に制限は
ないが、一般的には酸価が40以下であるのが好まし
い。また、不飽和ポリエステルの分子量についても、特
に制限はないが、数平均分子量が500〜20000の
範囲内にあることが好ましい。酸成分に用いる不飽和多
塩基酸は、一分子中に、アルコール成分に含まれる水酸
基あるいはエポキシ基と反応してエステル結合を形成す
ることができる置換基を2つ以上と、重合可能な不飽和
結合とを有する化合物であれば良い。不飽和多塩基酸と
しては、具体的には、例えばマレイン酸、フマル酸、ア
コニット酸、イタコン酸等のα,β−不飽和多塩基酸
や、ジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和多塩基酸や、
これらの酸の無水物、これらの酸のハロゲン化物、これ
らの酸のアルキルエステル等が挙げられる。これら例示
の化合物は、それぞれ単独で使用しても良く、2種以上
を併用しても良い。
【0012】酸成分に必要に応じて用いられる飽和多塩
基酸としては、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、
2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク
酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタ
ル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタ
ル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチル
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸や、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸等の芳香族飽和多塩基酸や、ヘット
酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブ
タンジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等の脂環式飽和多塩基酸や、これらの酸
の無水物、これらの酸のハロゲン化物、これらの酸のア
ルキルエステル誘導体等が挙げられる。これら例示の化
合物は、それぞれ単独で使用しても良く、2種以上を併
用しても良い。
【0013】前記多価アルコールとしては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,
4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3
−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2
−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチル
グリコール)、2−エチル−1,4−ブタンジオール、
1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチ
ロールシクロヘキサン、2,2−ジエチル−1,3−プ
ロパンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオー
ル、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、4,
5−ノナンジオール、トリエチレングリコール、グリセ
リン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、水素化ビスフェノール
A、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付
加物等が挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ
単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0014】前記エポキシ化合物としては、エチレンオ
キシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチ
レンオキシド、グリシジルアクリレート、グリシジルメ
タアクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエー
テル等を用いることができる。これら例示の化合物は、
それぞれ単独で使用しても良く、2種以上を併用しても
良い。
【0015】本発明における不飽和ポリエステルは、そ
の骨格中にジシクロペンテニル基を有する不飽和ポリエ
ステルを必須成分として含有するものでなければならな
い。すなわち、本発明の不飽和ポリエステルは、全部あ
るいは少なくとも一部が、ジシクロペンテニル基含有不
飽和ポリエステルであれば良く、ジシクロペンテニル基
含有不飽和ポリエステルと前記の通常の不飽和ポリエス
テルとが共存するものであっても良い。なお、本発明に
おけるジシクロペンテニル基含有不飽和ポリエステル
は、前記不飽和ポリエステルの原料の少なくとも一部を
ジシクロペンテニル基を有する化合物に置き換えて不飽
和ポリエステルにジシクロペンテニル基を導入すること
によって得られるものである。
【0016】なお、本発明において、ジシクロペンテニ
ル基とは、
【0017】
【化1】
【0018】で表される置換基、および/または、
【0019】
【化2】
【0020】で表される置換基を言う。本発明において
は、少なくとも一部の不飽和ポリエステルの骨格中にジ
シクロペンテニル基を含有することによって、樹脂組成
物の速硬化性に優れ、引き抜き成形の際の樹脂の硬化速
度ひいては生産性を大幅に向上させることができる。こ
れは、ジシクロペンテニル基の不飽和結合が空気中の酸
素と反応することによって硬化が促進され、空気硬化特
性を有する樹脂となるからである。また、少なくとも一
部の不飽和ポリエステルの骨格中にジシクロペンテニル
基を含有することによって、特にガラス繊維のような繊
維基材と樹脂組成物との接着性が向上し、引き抜き時に
剥離が生じたりすることなく、機械的強度等に優れた成
形品を得ることができる。
【0021】本発明において、不飽和ポリエステルの骨
格中にジシクロペンテニル基を含有せしめる方法として
は、具体的には、例えば、前記不飽和ポリエステルの原
料たる酸成分の少なくとも一部をジシクロペンタジエン
の不飽和多塩基酸付加物で置き換える方法、および/ま
たは、アルコール成分の少なくとも一部をジシクロペン
タジエンのグリコール付加物類やヒドキシジシクロペン
タジエン等で置き換える方法が挙げられる。
【0022】ジシクロペンタジエンの不飽和多塩基酸付
加物としては、前記例示の不飽和多塩基酸をジシクロペ
ンタジエンに付加させてなる付加物、例えばジシクロペ
ンタジエンのマレイン酸付加物等のようなジシクロペン
タジエンの不飽和2価カルボン酸付加物や、ジシクロペ
ンタジエンのマレイン酸半エステル付加物等を用いるこ
とができる。これらのジシクロペンテニル基を有する化
合物のうち、ジシクロペンタジエンの不飽和2価カルボ
ン酸付加物が好ましく、ジシクロペンタジエンのマレイ
ン酸付加物が特に好ましい。これは、引き抜き成形を施
した成形物としたときに、優れた表面平滑性、寸法安定
性、耐熱水性を示すものとなるからである。なお、ジシ
クロペンタジエンのマレイン酸付加物は、水の存在下、
ジシクロペンタジエンと無水マレイン酸との付加反応を
行うことによって製造することができる。
【0023】不飽和ポリエステルの骨格中にジシクロペ
ンテニル基を含有せしめる他の方法としては、例えば前
記不飽和ポリエステルにおける酸成分とアルコール成分
との縮合重合時に同時に、酸成分あるいはアルコール成
分とジシクロペンタジエンとの付加によってジシクロペ
ンテニル基を有する化合物を生成させる方法が挙げられ
る。すなわち、不飽和ポリエステルの合成に用いる酸成
分およびアルコール成分にジシクロペンタジエンを混合
して縮合重合を行うか、あるいは、酸成分とアルコール
成分とを混合して縮合重合を開始させた後にジシクロペ
ンタジエンを添加するのである。
【0024】本発明において、ジシクロペンテニル基含
有不飽和ポリエステルのジシクロペンテニル基含有率
は、不飽和ポリエステルの骨格に対して5〜30重量%
であることが好ましい。ジシクロペンテニル基含有率
が、5重量%未満であると、例えば繊維基材としてガラ
ス繊維を用いた場合に基材との接着性が損なわれること
となり、30重量%を越えると、樹脂組成物が硬くなり
成形クラックが生じやすくなる。それに対し、ジシクロ
ペンテニル基含有率が前記好適範囲内であると、速硬化
性に極めて優れ、しかも例えば繊維基材としてガラス繊
維を用いた場合に、反りやガラス繊維パターンの発生が
なく、表面平滑性に優れたものを得ることができる。
【0025】なお、本発明におけるジシクロペンテニル
基含有不飽和ポリエステルのジシクロペンテニル基含有
率は、次のようにして計算されるものである。すなわ
ち、まず、エステル鎖を形成する成分である酸成分およ
びアルコール成分(ジシクロペンテニル基を有する化合
物を含む)の総重量から、酸成分とアルコール成分との
縮合によって脱離する成分の重量を差引き、得られた値
をジシクロペンテニル基含有不飽和ポリエステルの全体
重量とする。また、使用したジシクロペンテニル基を有
する化合物のモル数にジシクロペンテニル基の分子量
(133)を掛けて、得られた値をジシクロペンテニル
基の重量とする。そして、ジシクロペンテニル基の重量
をジシクロペンテニル基含有不飽和ポリエステルの全体
重量で割った値を、ジシクロペンテニル基含有率とす
る。なお、縮合重合時にジシクロペンテニル基を有する
化合物を生成させた場合には、ジシクロペンテニル基を
有する化合物の重量は、ジシクロペンテニル基を有する
化合物の生成に用いた原料の重量から計算した理論量と
すればよい。
【0026】本発明において、不飽和ポリエステルの各
原料の配合条件等は、所望する不飽和ポリエステルの物
性等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるもの
ではない。また、不飽和ポリエステルを得るための縮合
重合の際の反応温度や反応時間も特に限定されるもので
はなく、原料の種類や組み合わせ、使用量等に応じて、
反応を効率良く行うことができるよう適宜設定すればよ
い。
【0027】前記縮合重合の際には、必要に応じて公知
の重合禁止剤を用いてもよい。このときの重合禁止剤と
しては、具体的には、例えばハイドロキノン、メチルハ
イドロキノン、メトキシハイドロキノン、t−ブチルハ
イドロキノン、ベンゾキノン、カテコール、ナフテン酸
銅、銅粉等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。
【0028】前記縮合重合は、無溶媒で行うことができ
るが、溶媒を用いてもよい。溶媒を用いる場合の種類や
使用量については、特に限定されるものではなく、適宜
選択すればよい。なお、ジシクロペンテニル基含有不飽
和ポリエステル樹脂の合成方法としては、例えば、Te
chnical Proceedings,36th
Annual Conference,Reinfor
sed Plastics/Composites I
nstitute,The Society of t
he Plastics Industory In
c.,Session 7−E(1981)に示されて
いる公知の方法を用いることができる。
【0029】本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、前記
不飽和ポリエステル重合体からなる樹脂固形分と、適当
量の架橋性単量体とを含有してなっている。前記架橋性
単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、p
−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p
−クロロスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメ
チルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体
や、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ト
リアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等
のアリルエステル系単量体や、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキ
シプロピル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグ
リシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸系単量
体等が挙げられる。特に、アリル基等の不飽和結合を有
する化合物、例えばメチロールメラミンのアリルエーテ
ル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステ
ル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレ
インのアリルエーテル等を用いると、樹脂組成物に空気
硬化性をさらに付与することができるので好ましい。こ
れら架橋性単量体は1種類のみを用いてもよいし、適宜
2種類以上を混合して用いてもよい。これら架橋性単量
体は、不飽和ポリエステル合成の際の溶剤として用いて
もよく、高粘度の不飽和ポリエステルの溶剤として粘度
調節に用いてもよい。
【0030】本発明で用いる不飽和ポリエステル樹脂
は、前記不飽和ポリエステルからなる樹脂固形分に前記
架橋性単量体を加えることにより、所望の粘度に調整さ
れる。不飽和ポリエステル樹脂における樹脂固形分と架
橋性単量体との比率は、通常、重量比で10:90〜9
0:10の範囲がよい。本発明の引き抜き成形用樹脂組
成物は、N−オキシル化合物を含有するものでなければ
ならない。N−オキシル化合物は、本発明の樹脂組成物
に対して有効な重合禁止剤として作用するものであり、
N−オキシル化合物を含有することによって、本発明の
樹脂組成物は優れた保存安定性を示し、実用に供し得る
だけの長いポットライフを有するものとなる。N−オキ
シル化合物は、常温では非常に優れた重合禁止効果を発
揮し樹脂のゲル化を抑制するが、一方、成形時の金型温
度、具体的には80〜140℃、好ましくは90〜12
0℃においては、重合禁止作用を失い、樹脂の硬化を阻
害することなく、ジシクロペンテニル基含有不飽和ポリ
エステル樹脂本来の優れた硬化性を実現させるものであ
る。
【0031】本発明において、N−オキシル化合物と
は、分子鎖末端に、一般式(1)
【0032】
【化3】
【0033】(式中、X1 、X2 はそれぞれ独立して水
素原子、−OR5 基、−OCOR6 基、または−NR7
8 基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立
して炭素数1以上のアルキル基を表し、R5 、R6 、R
7 、R8 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜
16のアルキル基を表す)および一般式(2)
【0034】
【化4】
【0035】(式中、X3 、X4 、X5 はそれぞれ独立
して水素原子、−OR13基、−OCOR14基、または−
NR1516基を表し、R9 、R10、R11、R12はそれぞ
れ独立して炭素数1以上のアルキル基を表し、R13、R
14、R15、R16はそれぞれ独立して水素原子または炭素
数1〜16のアルキル基を表す)および一般式(3)
【0036】
【化5】
【0037】(式中、R17、R18はそれぞれ独立して炭
素数4以上のアルキル基を表す)で表される構造のうち
少なくとも1種の構造を有する化合物を言う。本発明に
おけるN−オキシル化合物としては、具体的には、例え
ば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−1−オキシル、ジ−t−ブチルニトロキシ
ル、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−4−イル−アセテート、1−オキシル−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−
2−エチルヘキサノエート、1−オキシル−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−ステアレ
ート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−4−イル−4−t−ブチルベンゾエート、ビ
ス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン−4−イル)コハク酸エステル、ビス(1−オキ
シル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−
イル)アジピン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバ
ケート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロン酸エス
テル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン−4−イル)フタレート、ビス(1−オ
キシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4
−イル)イソフタレート、ビス(1−オキシル−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレ
フタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフ
タレート、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミ
ド、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−4−イル)カプロラクタム、N−(1−
オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−
4−イル)ドデシルサクシンイミド、2,4,6−トリ
ス−N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン−4−イル)−s−トリアジ
ン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。こ
れらN−オキシル化合物は、1種類のみを用いてもよい
し、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。
【0038】本発明においては、前記例示のN−オキシ
ル化合物のなかで、特に、4−ヒドロキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルを重合
禁止剤として用いることが好ましい。4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ
ルを添加することにより、さらに良好な保存安定性を示
し実用に供し得るだけのポットライフを維持することが
できる。
【0039】本発明において、N−オキシル化合物の含
有率は、樹脂組成物全体に対して重量比で10〜100
0ppmであることが好ましい。N−オキシル化合物の
含有率が10ppm未満であると、重合禁止剤としての
効果が顕著に現れにくく、一方、1000ppmを越え
ると、樹脂組成物の硬化性を低下させる恐れがあるから
である。本発明において、N−オキシル化合物は重合禁
止剤として非常に優れた効果を発揮するので、前記好適
範囲内のN−オキシル化合物を含有することによって、
樹脂組成物の速硬化性を損なうことなくより優れた保存
安定性を示すものとなる。
【0040】本発明において、N−オキシル化合物の添
加方法は、特に限定されるものではなく、不飽和ポリエ
ステル合成後、例えば架橋性単量体や他の添加物を混合
する前あるいは混合した後で添加する方法や、あらかじ
め不飽和ポリエステルの原料中にN−オキシル化合物を
混合してから重合させる方法等、種々の方法を用いるこ
とができる。
【0041】なお、本発明においては、成形時の速硬化
性を妨げない範囲内で、N−オキシル化合物と併せて、
前記の他の重合禁止剤を併用してもよい。本発明にかか
る引き抜き成形用樹脂組成物は、必要に応じて、硬化剤
や硬化促進剤、硬化促進助剤、充填剤、紫外線吸収剤、
顔料、増粘剤、低収縮化剤、老化防止剤、可塑剤、骨
材、難燃剤、安定剤、補強剤等の各種添加剤を含んでい
てもよい。なお、これら添加剤の使用量は、特に限定さ
れるものではない。
【0042】本発明の引き抜き成形用樹脂組成物は、硬
化促進剤と触媒とを添加混合した後に室温にて20時間
放置して硬化させた際に、JIS−K7113に記載の
方法に準じて測定された弾性率が3.5GPa以上であ
り、かつ、伸び率が1.5%以上である物性を有するこ
とが好ましい。弾性率および伸び率の測定方法について
さらに詳しくは、本発明の樹脂組成物に、硬化促進剤と
してオクテン酸コバルトを0.3重量%と、触媒として
メチルエチルケトンパーオキシドを1.0重量%とを添
加し、よくかき混ぜてから3mmの空隙の型に注入し、
これを室温にて20時間放置した後、110℃で2時間
アフターキュアーして得られた硬化物を用い、これをJ
IS−K7113に記載の方法、詳しくは厚み約3mm
の1号形の試験片で、つかみ具間距離を115mmと
し、5mm/分の速度でオートグラフ(島津製作所製)
を用いて測定を行う。このような物性の樹脂組成物を用
いて引き抜き成形を行うことにより、堅くしかもしなや
かに伸びるといった特性、いわゆる靭性に優れた引き抜
き成形品を得ることができる。前記弾性率が3.5GP
a未満であると、得られる引き抜き成形品の強度が不十
分となり、前記伸び率が1.5%未満であると、得られ
る引き抜き成形品は柔軟さに欠けるものとなる。本発明
によって得られる引き抜き成形品は、靭性に優れるもの
であり、特に釣り竿等の用途において有用なものであ
る。また、本発明によって得られる引き抜き成形品は、
樹脂の硬化が十分になされるので、耐久性等の物性にも
優れるものである。
【0043】本発明の引き抜き成形方法は、前記ジシク
ロペンテニル基含有不飽和ポリエステルを必須成分とし
て含有する不飽和ポリエステル樹脂と前記N−オキシル
化合物とを含んでなる本発明の引き抜き成形用樹脂組成
物を用い、この樹脂組成物を硬化させつつ繊維基材とと
もに金型から引き抜く工程を含む引き抜き成形方法であ
る。本発明の引き抜き成形用樹脂組成物を用いることに
よって、引き抜き成形の際の引き抜き速度を上げること
が可能となり、ひいては生産性および作業効率の向上を
図ることができる。しかも、樹脂組成物のポットライフ
も十分に長く、原料を長期にわたって安定的に貯蔵する
ことができる。さらに、本発明の引き抜き成形用樹脂組
成物を用いることによって、樹脂組成物と繊維基材との
接着性を向上させることができ、靭性や耐久性等の物性
に優れた成形品を製造することができる。
【0044】本発明の引き抜き成形方法は、従来公知の
引き抜き成形装置を用いて行うことができる。また、金
型の形状や金型の加熱温度、さらには引き抜き速度等の
成形条件については、特に限定されるものではなく、得
られる引き抜き成形品の特性や用途に応じて適宜設定す
ればよい。本発明において繊維基材は、その素材、繊維
形状ともに特に限定されるものでないが、例えば、ガラ
ス、カーボン、アラミド等の素材が強化性の点から好適
に用いられ、繊維形状としては短繊維より長繊維が好ま
しい。本発明においては、繊維基材として特にガラス繊
維が好ましい。これは、本発明の引き抜き成形用樹脂組
成物が特にガラス繊維との接着性に優れるものであり、
ガラス繊維を用いることによって繊維基材と樹脂組成物
との接着性が著しく向上し、成形クラックを生じること
なく、優れた特性の成形品を製造することができるから
である。
【0045】また、繊維基材は、引き抜き成形時の引き
抜き力に耐えうるものであることが重要である。従っ
て、繊維基材の構成は、例えば棒材を成形しようとする
場合には、繊維基材のロービングを引き抜き方向に配向
させ、型材やパイプ材を成形しようとする場合には、さ
らにチョップドストランドマット等を併用したり、ロー
ビングを横巻きする等、適宜好適な構成として用いれば
よい。
【0046】
【実施例】以下、本発明に係る実施例および比較例につ
いて説明するが、本発明は該実施例により何ら制限され
るものではない。以下の実施例および比較例における樹
脂組成物の各種特性については、以下の方法にて評価し
た。
【0047】〔速硬化性〕樹脂組成物の速硬化性は、J
IS−K−6901に準じて測定した硬化特性により評
価した。すなわち、試料50±1gに過酸化ベンゾイル
0.5±0.01gを溶解し、これを内径18mmの試
験管に深さ100mmになるように入れた。試料の上端
から50mmの中央部に熱電対の先端をセットしたこの
試験管を、80±0.5℃の恒温槽中に保持した。そし
て、試料の温度が65℃から85℃になるまでの時間を
ゲル化時間(分)とし、最高を示した時の温度を最高発
熱温度(℃)とし、65℃から最高発熱温度になるまで
の時間を最小硬化時間(分)として測定した。所定の最
高発熱温度があって、ゲル化時間および最小硬化時間が
より短い樹脂組成物が、速硬化性に優れたものであると
言える。
【0048】〔保存安定性〕ガラス製容器に樹脂組成物
を入れ、これに触媒として2,4,4トリメチルペンチ
ル−2−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品
名「カヤエステルTMPO−70」3vol%、化薬ア
クゾ(株)製)を添加して30℃の恒温槽に保存し、ゲ
ル発生までの時間で評価した。すなわち、ゲル発生まで
の時間が長いほど保存安定性は良好であると言える。
【0049】〔繊維基材との接着性〕繊維基材との接着
性は、成形品を曲げた状態での寒熱繰り返し試験により
評価した。そして、クラック、剥離、欠け等の異常がな
いものを○とし、表面の一部に微小の剥離を生じたもの
を△とし、折れたものを×とした。 〔弾性率〕〔伸び率〕〔強度〕樹脂組成物に、硬化促進
剤としてオクテン酸コバルトを0.3重量%と、触媒と
してメチルエチルケトンパーオキシドを1.0重量%と
を添加し、よくかき混ぜてから3mmの空隙の型に注入
し、これを室温にて20時間放置した後、110℃で2
時間アフターキュアーして硬化物とした。この硬化物に
ついて、オートグラフ(島津製作所製)を用いて、厚み
約3mmの1号形の試験片で、つかみ具間距離を115
mmとし、5mm/分の速度でJIS−K−7057に
準じて測定を行った。
【0050】〔成形クラック〕探傷剤を切断面と表面に
塗り付けて、線状に染色した状態をクラックとした。そ
して、クラックのないものを○とし、微クラックを△と
し、クラックの多いものを×とした。 〔実施例1〜8〕マレイン酸303g、水11g、ジシ
クロペンタジエン82g、プロピレングリコール98
g、ネオペンチルグリコール149g、ジプロピレング
リコール19gに、ハイドロキノン150ppm(重量
比)を加え、合成して得られた、ジシクロペンテニル基
含有不飽和ポリエステルが60重量部と、架橋性単量体
であるスチレンモノマー40重量部とからなる不飽和ポ
リエステル樹脂に、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ
ル(4H・TEMPO)と、硬化触媒としてt−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「カヤ
エステルO−50」化薬アクゾ(株)製)2〜4重量
部、および、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「カヤエ
ステルTMPO−20」化薬アクゾ(株)製)2〜3重
量部とを添加し、ジシクロペンテニル基の含有率および
4H・TEMPOの含有率を表1に示すように変化させ
て、各々樹脂組成物を調製した。得られた各樹脂組成物
の各種特性を表1に示す。また、得られた樹脂組成物
を、金型温度80〜100℃、金型長800mm、ガラ
スロービング(「RSE220RL−510」ガラス含
有率80重量%、日東紡績(株)製)使用、引き抜き速
度0.2m/分の条件で各々引き抜き成形に供し、直径
6mmのFRPロッドを引き抜き成形品として得た。こ
のときの成形クラックについての評価も表1に併せ示
す。
【0051】〔比較例1〕ジシクロペンテニル基の含有
率を35重量%とし、4H・TEMPOの含有率を50
0ppm(重量比)としたこと以外は実施例1と同様に
して、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物の各
種特性および引き抜き成形に供した際の引き抜き速度お
よび成形クラックについての評価を表1に示す。
【0052】〔比較例2〕重合禁止剤としてハイドロキ
ノンを100ppm(重量比)用いること以外は実施例
1と同様にして、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂
組成物の各種特性および引き抜き成形に供した際の引き
抜き速度および成形クラックについての評価を表1に示
す。
【0053】〔比較例3〕ジシクロペンテニル基を含有
しない不飽和ポリエステル、すなわち、無水フタル酸3
70g、無水マレイン酸245g、プロピレングリコー
ル285g、エチレングリコール100gに、ハイドロ
キノン100ppm(重量比)を加え、合成して得られ
た不飽和ポリエステルを用い、重合禁止剤としてヒドロ
キノンを100ppm(重量比)用いること以外は実施
例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。得られた樹
脂組成物の各種特性および引き抜き成形に供した際の引
き抜き速度および成形クラックについての評価を表1に
示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、引き抜き成形用樹脂組
成物の速硬化性と良好な保存安定性とを両立させること
ができるため、引き抜き成形の際の生産性および作業効
率の向上が図れるとともに、樹脂組成物の長期安定保存
が可能であり、しかも、靭性や耐久性等の物性に優れた
成形品を提供することができる。
【0056】さらに、本発明によれば、繊維基材と樹脂
組成物との間に優れた接着性を発揮するため、成形クラ
ックを生じることなく優れた特性の成形品を得ることが
できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不飽和ポリエステル樹脂を含んでなる引き
    抜き成形用樹脂組成物であって、重合禁止剤としてN−
    オキシル化合物を含み、かつ、前記不飽和ポリエステル
    樹脂を構成する不飽和ポリエステルがその骨格中にジシ
    クロペンテニル基を有する不飽和ポリエステルを必須成
    分として含有することを特徴とする引き抜き成形用樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】前記N−オキシル化合物が、4−ヒドロキ
    シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オ
    キシルである、請求項1に記載の引き抜き成形用樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】前記N−オキシル化合物の含有率が、樹脂
    組成物全体に対して重量比で10〜1000ppmであ
    り、かつ、前記ジシクロペンテニル基の含有率が、不飽
    和ポリエステル骨格に対して5〜30重量%である、請
    求項1または2に記載の引き抜き成形用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】硬化促進剤と触媒とを添加した後に室温に
    て20時間放置して硬化させた際に、JIS−K711
    3に記載の方法に準じて測定された弾性率が3.5GP
    a以上であり、かつ、伸び率が1.5%以上である硬化
    物となる、請求項1から3までのいずれかに記載の引き
    抜き成形用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】不飽和ポリエステル樹脂を含んでなる樹脂
    組成物を硬化させつつ繊維基材とともに金型から引き抜
    く工程を含む引き抜き成形方法であって、前記樹脂組成
    物が、重合禁止剤としてN−オキシル化合物を含み、か
    つ、前記不飽和ポリエステル樹脂を構成する不飽和ポリ
    エステルがその骨格中にジシクロペンテニル基を有する
    不飽和ポリエステルを必須成分として含有する樹脂組成
    物であることを特徴とする引き抜き成形方法。
  6. 【請求項6】前記繊維基材としてガラス繊維を用いる、
    請求項5に記載の引き抜き成形方法。
JP11122493A 1999-04-28 1999-04-28 引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法 Pending JP2000313796A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11122493A JP2000313796A (ja) 1999-04-28 1999-04-28 引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11122493A JP2000313796A (ja) 1999-04-28 1999-04-28 引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000313796A true JP2000313796A (ja) 2000-11-14

Family

ID=14837221

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11122493A Pending JP2000313796A (ja) 1999-04-28 1999-04-28 引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000313796A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1441003A1 (en) * 2003-01-22 2004-07-28 Atofina Chemicals, Inc. Unsaturated polyester resin compositions with improved processing and storage stability
WO2008096713A1 (ja) * 2007-02-05 2008-08-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. 粒子状吸水剤およびその製造方法
JP2009197129A (ja) * 2008-02-21 2009-09-03 Japan Composite Co Ltd 不飽和ポリエステル樹脂組成物、これを含有する成形材料及び成形品
JP2010150484A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形体
US8048942B2 (en) 2008-10-08 2011-11-01 Evonik Stockhausen Gmbh Process for the production of a superabsorbent polymer
US8063121B2 (en) 2008-10-08 2011-11-22 Evonik Stockhausen Gmbh Process for the production of a superabsorbent polymer
US8357766B2 (en) 2008-10-08 2013-01-22 Evonik Stockhausen Gmbh Continuous process for the production of a superabsorbent polymer

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1441003A1 (en) * 2003-01-22 2004-07-28 Atofina Chemicals, Inc. Unsaturated polyester resin compositions with improved processing and storage stability
WO2008096713A1 (ja) * 2007-02-05 2008-08-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. 粒子状吸水剤およびその製造方法
JPWO2008096713A1 (ja) * 2007-02-05 2010-05-20 株式会社日本触媒 粒子状吸水剤およびその製造方法
JP5669354B2 (ja) * 2007-02-05 2015-02-12 株式会社日本触媒 粒子状吸水剤およびその製造方法
US9187579B2 (en) 2007-02-05 2015-11-17 Nippon Shokubai Co., Ltd. Particle-shaped water absorbing agent and method for producing the same
JP2009197129A (ja) * 2008-02-21 2009-09-03 Japan Composite Co Ltd 不飽和ポリエステル樹脂組成物、これを含有する成形材料及び成形品
US8048942B2 (en) 2008-10-08 2011-11-01 Evonik Stockhausen Gmbh Process for the production of a superabsorbent polymer
US8063121B2 (en) 2008-10-08 2011-11-22 Evonik Stockhausen Gmbh Process for the production of a superabsorbent polymer
US8357766B2 (en) 2008-10-08 2013-01-22 Evonik Stockhausen Gmbh Continuous process for the production of a superabsorbent polymer
US8653210B2 (en) 2008-10-08 2014-02-18 Evonik Degussa Gmbh Continuous process for the production of a superabsorbent polymer
US9085648B2 (en) 2008-10-08 2015-07-21 Evonik Degussa Gmbh Superabsorbent polymer process
JP2010150484A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000313796A (ja) 引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法
US5395866A (en) Modified acrylic unsaturated polyester resin
US4245068A (en) Low profile additives for unsaturated polyester resins
JP2001011328A (ja) 硬化性樹脂組成物
US5741448A (en) Shrink-controlled resin composition
JP2010150352A (ja) ラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤及びそれを含む成形材料
KR100522272B1 (ko) 퍼옥시드 블렌드 조성물 및 폴리에스테르 수지의 경화 방법
JP7458191B2 (ja) 成形材料および成形品
JP4291016B2 (ja) 加熱圧縮成形用ラジカル重合性樹脂組成物
CN109265618A (zh) 一种改性不饱和聚酯树脂杂化材料的制备方法
JP2794802B2 (ja) 低収縮性不飽和ポリエステル樹脂組成物
TW200401798A (en) Liquid duroplastics
JP2001115000A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物、シートモールディングコンパウンド及びそれを用いた成形品
JPH11279238A (ja) 樹脂組成物および樹脂硬化物
JP2002338640A (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物、硬化方法およびその製造方法
JPS6327554A (ja) Frp用成形材料
JPH11106446A (ja) 速硬化性不飽和ポリエステル樹脂組成物
JPS6234248B2 (ja)
WO2024052454A1 (en) Composite glass fiber material comprising a thermosetting polymer
JP3279778B2 (ja) 低収縮化剤組成物
KR100411751B1 (ko) 불포화 폴리에스테르 수지 조성물 및 이를 이용한자외선경화형 도료
JPH11172092A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂組成物
JPH0212248B2 (ja)
JP2010235668A (ja) 成形材料の硬化方法
JP2002338639A (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物および硬化方法