JP2000310457A - 蓄冷式冷凍機 - Google Patents

蓄冷式冷凍機

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JP2000310457A JP11119796A JP11979699A JP2000310457A JP 2000310457 A JP2000310457 A JP 2000310457A JP 11119796 A JP11119796 A JP 11119796A JP 11979699 A JP11979699 A JP 11979699A JP 2000310457 A JP2000310457 A JP 2000310457A
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    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2309/00Gas cycle refrigeration machines
    • F25B2309/003Gas cycle refrigeration machines characterised by construction or composition of the regenerator

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蓄冷式冷凍機のクールダウンタイムを短縮す
るため、高効率を維持しつつ、蓄冷材等の被冷却部の熱
容量を低減する。 【解決手段】 蓄冷式冷凍機には、蓄冷材7が主にプラ
スチック材料から作製され、蓄冷材7が高温空間5及び
低温空間6に連通する断熱性ディスプレーサ容器8に内
包され、ディスプレーサ容器側壁部8aが低熱伝導筒体
で構成された蓄冷器が設けられている。そして、ディス
プレーサ3が、金属材料製の膨張シリンダ4内を往復動
して低温空間6に冷凍作用が惹起される。ここで、ディ
スプレーサ容器内にはプラスチックメッシュロール30
及び通気性の弾性体32が設けられこれらにより、低温
作動時に、ディスプレーサ側壁部8aと蓄冷材7との間
に非接触隙間36が発生し、あるいはディスプレーサ容
器8内の低温端側に死容積が発生するのが抑制され、上
記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄冷式冷凍機に関
するものであって、とくに高解像度赤外線カメラその他
の低温で動作する高感度センサを冷却し、あるいは生鮮
食料品を低温に急速冷凍するなどといった用途に供され
る蓄冷式冷凍機において、その立ち上げ時間を短縮する
のに有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高解像度赤外線カメラにおいては、量子
効果を利用した赤外線撮像素子が用いられ、この素子を
動作温度まで冷却するために小型冷凍機が搭載されてい
る。例えば、代表的な赤外線撮像素子であるPtSiシ
ョッキドバリアを用いた場合は、80Kで約1Wの冷却
能力が必要とされる。このような小型冷凍機のなかで、
スターリング冷凍機等の蓄冷式冷凍機は、ジュール・ト
ムソン冷凍機(JT冷凍機)に比べて、高効率でありし
かも繰り返し使用することができるといった利点を有す
るので、従来より広く用いられている。
【0003】しかしながら、かかる蓄冷式冷凍機は、熱
容量の大きい蓄冷器を備えているので、立ち上げ時間な
いしはクールダウンタイム(室温状態から所定の動作温
度(例えば80K)まで冷却するのに要する時間)が長
いことが問題となっている。以下、このような従来の蓄
冷式冷凍機の構造及び作用並びにその問題点について詳
しく説明する。なお、この「従来の技術」の欄又は次の
「発明が解決しようとする課題」の欄においてこのよう
に詳しい説明を行うのは、これらの欄の記載が、後記の
本発明の実施の形態に係る蓄冷式冷凍機の、従来技術と
共通な部分の構成ないしは作用の説明を兼ねているから
である。
【0004】従来例1.図13は、例えば特公平2−1
7788号公報に開示されている、ディスプレーサ内に
蓄冷材が内包(内蔵)されたスプリット型スターリング
冷凍機の概略構造を示す図である。図13において、1
は膨張機であり、2は圧縮機であり、3はディスプレー
サであり、4は膨張シリンダであり、5は高温空間であ
り、6は低温空間であり、7は蓄冷材であり、8はディ
スプレーサ容器(断熱容器)であり、9及び10はそれ
ぞれ低温空間6と高温空間5とに繋がる連通孔であり、
11はニューマティックピストンであり、12はニュー
マティック室であり、13a、13b及び13cはそれ
ぞれシール部であり、14は蓄冷器であり、15は連通
管であり、16は圧縮ピストンであり、17は圧縮シリ
ンダであり、18は圧縮空間である。
【0005】このスプリット型スターリング冷凍機にお
いては、圧縮ピストン16を圧縮シリンダ17内で往復
移動させることによって、該冷凍機内に封入されている
作動ガス(冷媒ガス)に圧力変動が惹起される。そし
て、この圧力変動による加振力とばね振動系とを利用し
て、ディスプレーサ3(ディスプレーサ容器8)が膨張
シリンダ4内で圧縮ピストン16に対して一定の位相差
で往復移動させられる。かくして、低温空間6には、膨
張仕事により冷凍作用(効果)が惹起される。ここで、
ディスプレーサ容器8内の空間部を経由して高温空間5
と低温空間6との間を往復流動する作動ガスが蓄冷材7
と熱交換を行うことにより、高効率な冷凍サイクル(等
温過程と等容過程とからなる逆スターリングサイクルに
近い状態)が実現される。
【0006】図14に、ナイロンを含む種々の蓄冷材の
体積比熱(単位体積あたりの比熱)を、よく用いられる
作動ガスの1つであるヘリウムガス(10MPa)の体
積比熱と対比して示す。図14から明らかなとおり、蓄
冷材の体積比熱はいずれも低温になるほど急速に小さく
なるのに対して、ヘリウムガスの体積比熱は低温になる
ほど大きくなり、とくに20K以下では急激に増大す
る。このため、4Kレベルの温度領域(ヘリウムの液化
温度)の極低温を目指す蓄冷式冷凍機では、この動作温
度で最も体積比熱の大きい金属材料が蓄冷材として用い
られる。
【0007】一方、80Kレベル以上の温度領域では、
ナイロンの体積比熱であっても、ヘリウムガス(ここで
は、封入圧力が1MPaの蓄冷式冷凍機を想定する)の
体積比熱に比べて十分に大きい。すなわち、ナイロンの
体積比熱は、ヘリウムガスの体積比熱に対して、例えば
常温域では約200倍であり、80Kレベルでは約10
0倍である。
【0008】例えば、平成9年に低温工学協会から発行
された「超伝導・低温工学ハンドブック(以下、「刊行
物1」という)」の第261頁には、次の一連の式1で
示すように、蓄冷器の非効率さIeは、蓄冷材の熱伝達
の良さを表す無次元量Λと、蓄冷材の熱容量の逆比を表
す無次元量Γの関数Fで表され、再生熱損失Qregは半
周期最大熱交換量Qmaxと蓄冷器の非効率さIeの積で表
されるということが開示されている。また、無次元量Γ
が0.1以下のときには、再生熱損失Qregはほとんど
変わらないという結果が開示されている。
【0009】(式1) Λ=h・Ar/(w・Cp) Γ=w・Cp・τ0/(Mr・Cr) Ie=F(Λ,Γ)=1−(1/Γ)tanh{ΛΓ/(Λ
+2)} Qmax=w・Cp・τ0(Th−Tc) Qreg=Qmax・Ie h :蓄冷材熱伝達率 Ar:蓄冷材伝熱面積 Mr:蓄冷材質量 Cr:蓄冷材比熱 w :ガス質量流量 Cp:ガス比熱 τ0:半周期 Th:高温側ガス温度 Tc:低温側ガス温度
【0010】図13に示す従来例1にかかる蓄冷式冷凍
機においては、80Kレベルの低温領域であれば、プラ
スチック製の蓄冷材を用いた場合でも十分な熱容量が得
られ、金属製の蓄冷材を用いた場合に比べて、熱容量の
減少に起因する熱損失の増加は少なくなるといえる。し
かしながら、熱伝導損失は減少する。かくして、総合的
には、金属製の蓄冷材の場合と変わらない高効率な冷却
性能が得られることになる。さらに、軽量化と低コスト
化とを計ることが可能である。
【0011】なお、本明細書において、「低温」及び
「プラスチック」は、例えば特公平2−17788号公
報にも開示されているような一般の定義に従っている。
すなわち、「低温」は−150℃以下の温度を意味し、
「プラスチック」は、主要成分として高分子量の有機物
質を含み、最終状態では固体であるが、製造段階又は最
終状態への処理段階においては流動により形状を付与す
ることが可能な材料を意味する。
【0012】従来例2.図15は、例えば平成8年に日
本機械学会から発行された「RC127地球環境および
多種熱利用に適したスターリングサイクル機器特の最適
設計手法に関する研究分科会報告書(以下、「刊行物
2」という)」の第II−134頁に開示されている、
蓄冷器がディスプレーサとは独立して配置された一体型
スターリング冷凍機の概略構造を示す図である。
【0013】図15において、4aは耐圧容器と低熱伝
導筒体とを兼ねる膨張シリンダ側壁部であり、4bは膨
張シリンダドヘッド部であり、20はクランクシャフト
であり、21はクランクケースであり、22は放熱器で
あり、23は低熱伝導筒体からなるインナーライナであ
り、14は蓄冷器である。この一体型スターリング冷凍
機の冷凍原理は、基本的には、図13に示すスプリット
型スターリング冷凍機の場合と同様である。なお、ディ
スプレーサ3及び圧縮ピストン16は、それぞれクラン
クシャフト20に連結され、これによって駆動される。
また、蓄冷器14は、ディスプレーサ3とは独立して配
置され、インナーライナ23を内壁とし膨張シリンダ側
壁4aを外壁とするリング状の断熱スペース内に金網メ
ッシュが積層されてなる蓄冷材7が挿入された構造のも
のである。
【0014】従来例3.図16は、例えば前記刊行物2
の第II−14頁に開示されている、オリフィス型パル
ス管冷凍機の概略構造を示す図である。図16におい
て、24はパルス管であり、25は低温側熱交換器であ
り、26はオリフィスであり、27はバッファタンクで
あり、28は蓄冷材7を内包する断熱容器である。この
パルス管冷凍機は、スターリング冷凍機とは異なり、膨
張機側にはディスプレーサのような駆動部を備えていな
い。しかしながら、パルス管24とオリフィス26とバ
ッファタンク27とで、圧力変動とガスの往復流動との
間に位相差を生じさせ、膨張仕事を発生させるようにな
っている。なお、蓄冷器14には蓄冷材7が挿入されて
いるが、この蓄冷器7としては、通常、円形又はリング
状に切り抜いた金網メッシュを高温側から低温側に平面
積層したものが用いられる。
【0015】例えば、平成6年に日本機械学会から発行
された「RC110地球環境および多種熱利用に適した
スターリングサイクル機器特の最適要素設計手法に関す
る研究成果報告書(以下、「刊行物3」という)」の第
II−36頁にも記載されているように、金網メッシュ
は、その他の蓄冷材(金属繊維、発泡金属など)に比べ
て、総合的な優位性(圧力損失、伝熱性能、価格など)
を有するからである。ここで、「メッシュ」は、金属材
料又はプラスチック材料からなるほぼ円形断面の細い素
線を直交交差するように編んだものを意味する。なお、
刊行物3には、プラスチックメッシュについてはとくに
は言及されていないが、この場合も同様にメッシュ形状
が優位性を有するものと解することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、蓄
冷式冷凍機のクールダウンタイム(立ち上げ時間)は、
被冷却部の熱容量と、クールダウン途上における冷却能
力の比で決まる。このため、クールダウンタイムを短縮
するには、冷却性能を低下させることなく、被冷却部の
熱容量を低減することが要求される。
【0017】表1に、例えば、80Kで1Wレベルの冷
却能力を有するスターリング冷凍機(以下、「冷凍機
A」という)の被冷却部の熱容量(但し、常温)を見積
った結果を示す。この冷凍機Aは、例えば図13(従来
例1)に示すような、蓄冷材をディスプレーサに内包
(内蔵)したタイプの冷凍機であって、金属製の蓄冷材
(SUSメッシュ)と、肉厚0.5mmに切削加工され
たプラスチック(ベスペル(商品名;デュポン(株)
製))のディスプレーサ容器と、肉厚0.1mmに切削
加工されたTi合金製の膨張シリンダとを組み合わせた
ものである。
【0018】
【表1】
【0019】図17は、この冷凍機Aの各被冷却部の熱
容量の、総熱容量中に占める割合(%)を示す円グラフ
である。図17から明らかなとおり、最も大きな割合を
占めるのは蓄冷材であり、ディスプレーサ容器(ディス
プレーサ側壁部及びディスプレーサ低温側キャップ)
と、膨張シリンダ(膨張シリンダヘッド部及び膨張シリ
ンダ側壁部)とがこれに次いでいる。ここで、蓄冷材の
熱容量を低減するには、前記の従来例1の場合のよう
に、プラスチック製の蓄冷材を用いればよい。また、デ
ィスプレーサ容器の熱容量を低減するには、切削加工で
は肉厚が0.5mm程度のものが限界(下限)であるプ
ラスチック材料に替えて、薄肉加工が可能な金属材料を
用いればよい。
【0020】図20は、前記の冷凍機A(スターリング
冷凍機)と、冷凍機AにおいてTi合金を肉厚0.1m
mに切削加工して製作されたディスプレーサ容器を用い
たもの(以下、「冷凍機B」という)と、さらに冷凍機
Bにおいてプラスチック(ナイロンメッシュ)製の蓄冷
材を用いたもの(以下、「冷凍機C」という)とについ
て、それぞれ、各被冷却部の熱容量(但し、常温)を比
較して示した棒グラフである。図20から明らかなとお
り、冷凍機Cの被冷却部の総熱容量(2.38J/K)
は、冷凍機Aのそれ(4.58J/K)の約半分に低減
されている。
【0021】このような事実に鑑みれば、プラスチック
製の蓄冷材を用いれば、一見、高い冷却効率を維持しつ
つ被冷却部の熱容量を低減してクールダウンタイムを短
縮できるかのようにもみえる。しかしながら、本願発明
者の知見によれば、実際にプラスチック製の蓄冷材を用
いた場合、冷却効率が著しく低下し、クールダウンタイ
ムを短縮することができない場合が多い。このような問
題が生じる主な原因は、ナイロンなどのプラスチック材
料の熱収縮率が、金属材料のそれに比べて非常に大きい
ことである。
【0022】図18(a)〜(c)は、従来例1(図1
3)の場合のように、プラスチック製のビーズ粒子の集
合体からなる蓄冷材7がディスプレーサ容器8に内包
(内蔵)された蓄冷式冷凍機の被冷却部の縦断面図であ
る。ここで、図18(a)は室温時における状態を示
し、図18(b)は所定の低温動作時において蓄冷材7
のみが収縮した状態を示し、図18(c)はプラスチッ
ク製のディスプレーサ容器8が用いられた場合において
所定の低温動作時に蓄冷材7とディスプレーサ容器8と
がともに収縮した状態を示している。
【0023】図18(a)〜(c)において、8aは低
熱伝導筒体からなるディスプレーサ容器側壁部(ディス
プレーサ容器8の側壁部)であり、8bは低温空間6に
繋がる連通孔9を有するディスプレーサ容器低温側キャ
ップ(ディスプレーサ容器8の低温側キャップ)であ
り、35はディスプレーサ容器側壁部8aの外壁面(外
周面)と膨張シリンダ側壁部4a(膨張シリンダ側壁部
4の側壁部)の内壁面(内周面)との隙間(以下、「デ
ィスプレーサ隙間」という)であり、36はディスプレ
ーサ容器8内において蓄冷材7の空隙率が際だって大き
い部分(以下、「蓄冷材空塊部36」という)である。
【0024】なお、蓄冷材空塊部36中、とくに、36
aはディスプレーサ容器側壁部8aの内壁面と蓄冷材7
との間に形成された非接触隙間を示し、36bはディス
プレーサ容器低温側キャップ8bの内壁面と蓄冷材7と
の間に形成された非接触隙間を示している。また、37
は作動ガスの流れであり、この作動ガスの流れ37中、
とくに、37aは蓄冷材7との熱交換が不十分な迂回流
れを示し、37bは蓄冷材7と十分に熱交換が行われる
主な流れを示している。
【0025】図18(a)に示すように、室温状態で
は、ディスプレーサ容器8中において蓄冷材7の空隙率
はほぼ均一であり、蓄冷材空塊部36はほとんど存在し
ない。しかしながら、図18(b)に示すように、低温
状態においては、プラスチック製の蓄冷材7が収縮し
て、ディスプレーサ容器8の低温端側では蓄冷材7の空
隙率が一様に小さくなるとともに、局部的に蓄冷材空塊
部36(非接触隙間36b)が発生し、低温端側死容積
が大きくなる。ここで、とくに非接触隙間36aが大き
くなると、ディスプレーサ容器8内に蓄冷材7と十分に
熱交換が行われない作動ガスの迂回流れ37aが生じる
ので、再生熱損失Qregが著しく増加し、冷却性能が低
下する。
【0026】また、図18(c)に示すように、プラス
チック製の蓄冷材7を内包するディスプレーサ容器側壁
部8aがプラスチック製の低熱伝導筒体(熱伝導が小さ
い筒型形状物)で作製された場合は、これと金属製の膨
張シリンダ側壁部4aとの間のディスプレーサ隙間35
が拡大し、クールダウン途上あるいは所定の低温動作時
に、ディスプレーサ隙間35が最適値(設計仕様で異な
るが、一般的には0.1〜0.25mm程度)から大き
くはずれ、冷却性能の低下を招く。図19に、参考のた
め、冷凍機A(スターリング冷凍機)において予測され
るディスプレーサ隙間35と冷却能力及び熱損失との関
係の一例を示す。図19に示す例では、ディスプレーサ
隙間35の最適値は約0.15mmである。
【0027】以下、表2(主な冷凍機材料及びヘリウム
ガスの常温での物性値)に示す物性値に基づいて、冷凍
機C(スターリング冷凍機)において、蓄冷材7の材料
としてナイロン66を用い、ディスプレーサ容器側壁部
8aの材料としてTi合金を用いた場合について、非接
触隙間36aを求めた結果について説明する。
【0028】
【表2】
【0029】すなわち、常温25℃(298K)から所
定の動作温度(77K)まで冷却すると、円筒形状のデ
ィスプレーサ容器8の内径が10mmでありかつ長さが
100mmの場合は、蓄冷材7とディスプレーサ容器8
の低温端との間で生じる熱収縮差は、径方向で0.51
mmとなり、長さ方向で約2.6mmとなる。また、内
径が20mmの場合は、径方向の熱収縮は1.03mm
となる。蓄冷材7に適した♯300のメッシュ(例え
ば、NBC(株)ナイロンメッシュスクリーン、No.
N−305T)は、厚さが0.06mmであり、目開き
が0.048mmであり、素線径が0.035mmであ
るので、熱収縮差による隙間拡大の影響は相対的に大き
いことが明らかである。このような状態では、迂回流れ
37aの発生あるいは非接触隙間36b(低温端側死容
積)の増加が起こり、冷却性能が著しく低下することに
なる。
【0030】また、プラスチック製の蓄冷材7を内包す
るディスプレーサ容器側壁部8aがナイロン製でありか
つ膨張シリンダ側壁4aがTi合金で作製された蓄冷式
冷凍機が、所定の動作温度(77K)まで冷却される
と、ディスプレーサ容器側壁8aが収縮し、膨張シリン
ダ内径が10mmの場合は低温端のディスプレサー隙間
35は0.26mm増加し、また内径が20mmの場合
は0.52mm増加する。このように、ディスプレーサ
隙間35が最適値より大きくなると、熱損失が増加して
冷却性能が低下することになる。
【0031】以上のように、従来の蓄冷式冷凍機では、
プラスチック製の蓄冷材を用いた場合、被冷却部の熱容
量は低減されるものの、冷却効率が著しく低下するの
で、クールダウンタイムが長くなるといった問題があ
る。本発明は、かかる従来の問題を解決するためになさ
れたものであって、被冷却部の熱容量を低減しつつ冷却
効率を高めることができ、もってクールダウンタイムを
短縮することができる蓄冷式冷凍機を提供することを解
決すべき課題とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
になされた本発明の第1の態様に係る蓄冷式冷凍機は、
(a)高温端で高温空間と連通するとともに低温端で低
温空間と連通し、高温端と低温端との間で温度勾配方向
(作動ガスの全体的な流れ方向)に伸びる側壁部が低熱
伝導筒体で形成されている断熱容器と、(b)断熱容器
に内包(内蔵)され、作動ガス(冷媒ガス)が該断熱容
器を経由して高温空間と低温空間とを往復流動する際に
作動ガスと熱交換を行う、主としてプラスチック材料で
作製された蓄冷材とを備えた蓄冷器が設けられている蓄
冷式冷凍機において、(c)所定の低温動作状態におい
て、断熱容器と蓄冷材とを構成する各部材が、熱収縮に
より、低熱伝導筒体の内壁面と前記蓄冷材との間に生じ
る非接触隙間と、低温端側で断熱容器内部に生じる死容
積とが常温時より増加する方向に変形するのを(自動的
に)抑制する抑制手段が設けられていることを特徴とす
るものである。
【0033】すなわち、この蓄冷式冷凍機においては、
所定の低温動作状態ではプラスチック材料の熱収縮が大
きいため、低熱伝導筒体の内壁面と蓄冷材との間の非接
触隙間、及び断熱容器内部での低温端側の死容積がそれ
ぞれ常温時より増加する方向の変形が生じようとする
が、これを自動的に抑制するように蓄冷器を構成したも
のである。
【0034】本発明の第2の態様に係る蓄熱式冷凍機
は、(a)金属製の膨張シリンダと、(b)膨張シリン
ダ内に配置され、高温端で高温空間と連通するとともに
低温端で低温空間と連通し、高温端と低温端との間で温
度勾配方向(作動ガスの全体的な流れ方向)に伸びる側
壁部がプラスチック製の低熱伝導筒体で形成されている
断熱性のディスプレーサ容器と、(c)ディスプレーサ
容器に内包され、作動ガス(冷媒ガス)が該ディスプレ
ーサ容器を経由して高温空間と低温空間とを往復流動す
る際に作動ガスと熱交換を行う、主としてプラスチック
材料で作製された蓄冷材とを備えた蓄冷器が設けられ、
(d)ディスプレーサ容器を膨張シリンダ内で往復移動
させることにより、低温空間に冷凍作用が惹起されるよ
うになっている蓄冷式冷凍機において、(e)所定の低
温動作状態において、ディスプレーサ容器と蓄冷材とを
構成する各部材が、熱収縮により、低熱伝導筒体の外壁
面と膨張シリンダの内壁面との間に形成されるディスプ
レーサ隙間が常温時より増加する方向に変形するのを抑
制する抑制手段が設けられていることを特徴とするもの
である。
【0035】すなわち、この蓄冷式冷凍機においては、
所定の低温動作状態では、低熱伝導筒体の外壁面と膨張
シリンダの内壁面との間のディスプレーサ隙間が常温時
より増加する方向に熱収縮変形するが、これを自動的に
抑制するように蓄冷器を構成したものである。
【0036】本発明の第3の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第1又は第2の態様に係る蓄熱式冷凍機におい
て、抑制手段が、弾性体が外力を受けない状態に戻ろう
とする弾性力、熱収縮率の異なる材料間に働く摩擦力も
しくは熱応力、又はバインダによる接着力により(ない
しは、これらを用いて)上記変形を抑制するようになっ
ていることを特徴とするものである。
【0037】本発明の第4の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第1の態様に係る蓄熱式冷凍機において、低熱
伝導筒体が円筒体であって、蓄冷材が、主としてプラス
チック材料からなるメッシュシートを低熱伝導筒体の中
心軸のまわりにロール状に巻きつける(巻きあげる)こ
とにより成形され、該ロール状のメッシュシートの外周
端部が、少なくとも低温端側では、自由端のまま直接的
に又は弾性体を介して、低熱伝導筒体の内壁面に接触し
ていることを特徴とするものである。すなわち、抑制手
段を自動的に動作させるために、蓄冷材が円筒形状の低
熱伝導筒体に内包される場合において、主にプラスチッ
ク材料からなるメッシュシートを円筒軸に対してロール
状に巻きつけて、その外周端部の少なくとも低温側の部
分を自由端のまま低熱伝導筒体に接触させ、あるいは弾
性体を介して低熱伝導筒体に接触させるように構成した
ものである。
【0038】本発明の第5の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第4の態様に係る蓄熱式冷凍機において、メッ
シュシートに、中心軸の軸線方向に対して垂直方向に伸
びる切り口が多数形成されていることを特徴とするもの
である。すなわち、高温側から低温側への熱伝導損失を
低減するために、中心軸に対して垂直方向の切り口を多
数メッシュシートに構成したものである。
【0039】本発明の第6の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第1の態様に係る蓄熱式冷凍機において、断熱
容器内において低熱伝導筒体の内壁面と蓄冷材との間
に、非通気性の弾性体が設けられていることを特徴とす
るものである。すなわち、プラスチックを主材料とする
蓄冷材が熱収縮し、低熱伝導筒体の内壁面と蓄冷材との
間の非接触隙間が常温時より増加する方向に変形するの
を抑制するために、両者間に非通気性の弾性体を設けた
ものである。
【0040】本発明の第7の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第1の態様に係る蓄熱式冷凍機において、高温
端側において断熱容器内に、通気性の弾性体が設けられ
ていることを特徴とするものである。すなわち、プラス
チックを主材料とする蓄冷材が、熱収縮により、断熱容
器内部の低温端側の死容積が常温時より増加する方向に
変形するのを抑制するために、断熱容器内部の高温端側
に、通気性の弾性体を設けたものである。
【0041】本発明の第8の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第1又は2の態様に係る蓄熱式冷凍機におい
て、蓄冷材が、金網メッシュ又は通気性金属マスクと、
プラスチックメッシュとが交互に積層されてなる積層体
であることを特徴とするものである。すなわち、プラス
チックメッシュの熱収縮を抑制するために、プラスチッ
クメッシュと、金網メッシュ又はガス透過性金属マスク
とを交互に積層し、両者間に摩擦力が働くようにしたも
のである。
【0042】本発明の第9の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第1の態様に係る蓄熱式冷凍機において、蓄冷
材が、メッシュ素線状、ビーズ粒子状又は繊維状(ウー
ル繊維)のプラスチック製基材が金属で被覆されてなる
素材で形成されていることを特徴とするものである。す
なわち、プラスチックメッシュの熱収縮を抑制するため
に、プラスチック蓄冷材の基本構成要素である、メッシ
ュ素線、ビーズ粒子又は繊維(ウール繊維)などの伝熱
表面をニッケル等の金属で被覆することにより、両者間
に熱応力が働くようにしたものである。
【0043】本発明の第10の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第9の態様に係る蓄熱式冷凍機において、蓄冷
材の表面粗度が粗くなっていることを特徴とするもので
ある。すなわち、蓄冷材の伝熱面積を増加させて蓄冷器
(再生熱交器)の高効率化を図るために、蓄冷材の基本
構成要素である、メッシュ素線、ビーズ粒子、又は繊維
(ウール繊維)などの伝熱表面に腐食処理又は微粒子研
磨処理を施すことにより、表面粗度が大きくなるように
構成したものである。
【0044】本発明の第11の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、前記第2の態様に係る蓄熱式冷凍機において、低熱
伝導筒体が、薄肉厚のプラスチックシートが円筒形状に
1周以上巻かれてなり、その外周端部が自由端となって
いる加熱成形体であって、低熱伝導筒体の外壁面と膨張
シリンダの内壁面との間に、該両壁面間の隙間を一定に
保つ薄肉厚のガイドリングが挿入されていることを特徴
とするものである。すなわち、プラスチック材料の低熱
伝導筒体を薄肉化するために、プラスチック材料のシー
トを円筒形状に1周以上巻いて加熱成形し、また低熱伝
導筒体の外壁面と膨張シリンダの内壁面との間の隙間を
一定に保つために、その外周端部を自由端のままとし
て、低熱伝導筒体と膨張シリンダとの間に薄肉厚のガイ
ドリングを挿入したものである。
【0045】本発明の第12の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、所定の形状に切断され、切断部において隣接する素
線同士が互いに熱融着されているプラスチック製メッシ
ュが積層されてなる蓄冷材が設けられていることを特徴
とするものである。すなわち、この蓄冷式冷凍機ないし
は蓄冷材は、メッシュの素線がほどけるのを防止するた
めに、プラスチック製メッシュの切断面近傍をプラスチ
ック半融解温度まで加熱することにより、1枚のメッシ
ュ切断面で隣接する素線同士を熱融着させたものであ
る。
【0046】本発明の第13の態様に係る蓄冷式冷凍機
は、それぞれ同一の形状に切断された複数のプラスチッ
ク製メッシュが柱状に平面積層され、切断部近傍におい
てプラスチック製メッシュ同士が熱融着されてなる柱状
ペレット状態の蓄冷材が設けられていることを特徴とす
るものである。すなわち、この蓄冷式冷凍機ないしは蓄
冷材は、蓄冷材を断熱容器内に積層する作業が効率化で
きるように、同型に切り抜いたプラスチック製メッシュ
を多数枚積層し、これらを切断面で熱融着させて、一体
化された柱状ペレット状態にしたものである。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図12と、図21と
を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明す
る。なお、前記のとおり、この実施の形態に係る蓄冷式
冷凍機の従来技術と共通する部分は、前記の従来例1〜
3(図13〜図20)に記載されている。したがって、
以下では、説明の重複を避けるため、従来例1〜3に係
る蓄冷式冷凍機と共通する部材ないしは要素には、これ
らと同一の番号を付し、その詳しい説明は省略する。す
なわち、図1〜図12中において、番号1〜27、35
〜37は従来例1〜3と実質的に同一のものである。
【0048】実施の形態1.以下、本発明の実施の形態
1に係る蓄冷式冷凍機について説明する。図1(a)〜
(c)は、本発明の実施の形態1に係る、ロール状のプ
ラスチックメッシュを蓄冷材として用いた蓄冷式冷凍機
ないしはその構成要素の構造(様態)を示す図である。
ここで、図1(a)はこの蓄冷式冷凍機の膨張機1の断
面図であり、図1(b)はロール状のプラスチックメッ
シュの斜視図であり、図1(c)はロール状に加工する
前におけるプラスチックメッシュシートの立面図であ
る。
【0049】図1(a)において、8cは高温空間5に
繋がる連通孔10を有する高温側キャップであり、29
は平面積層されたプラスチックメッシュ(以下、「プラ
スチックメッシュ積層29」という)であり、30はロ
ール状のプラスチックメッシュ(以下、「プラスチック
メッシュロール30」という)であり、31はプラスチ
ックメッシュロール30の軸芯であり、32は通気性の
弾性体であり、34aはフリーディスプレーサ共振用の
機械ばねであり、34bは弾性力補強用の機械ばねであ
る。
【0050】この蓄冷式冷凍機において、通気性の弾性
体32は、常温状態では高温端側に圧縮されるようにし
て、ディスプレーサ容器8内に挿入されている。そし
て、弾性体32は、低温動作時には、熱収縮した蓄冷材
7(プラスチックメッシュ積層29及びプラスチックメ
ッシュロール30)をディスプレーサ容器8内において
低温端側に押し上げ、低温端側においてディスプレーサ
容器8内に死容積が発生しあるいは増加するのを防止す
ることができるようになっている。
【0051】ここで、通気性の弾性体32としては、例
えば、やや硬めのプラスチック製スポンジや、♯50
(1インチ平方あたりの網目数を表す)以下の粗い金属
製メッシュを数10枚積層したものなどを用いることが
できる。さらに、この実施の形態1では、弾性体32に
機械ばね34bを組み合わせて、弾性体32の弾性力を
補強するようにしている。また、蓄冷材7は、プラスチ
ックメッシュ積層29が高温側に配置される一方、プラ
スチックメッシュロール30が低温側に配置された構造
とされている。
【0052】図1(b)及び図1(c)において、33
はプラスチックメッシュシートであり、プラスチックメ
ッシュロール30にロール加工される前の状態のもので
ある。そして、これらの図において、33aと33bと
はそれぞれプラスチックメッシュシート33の内周端部
と外周端部とであり、33cと33dとはそれぞれプラ
スチックメッシュシート33の高温側端部と低温側端部
とである。また、38aと38bとはそれぞれ内周端部
33aと外周端部33bとにおけるプラスチックメッシ
ュシート33円筒軸方向の幅(シート幅)であり、38
cと38dとはそれぞれ高温側端部33cと低温側端部
33dとにおけるプラスチックメッシュシート33の長
さ(シート長さ)であり、39は切り口である。
【0053】図1(b)から明らかなとおり、この蓄冷
式冷凍機においては、プラスチックメッシュシート33
が内周端部33aから軸芯31の周りにロール状に巻き
つけ加工されてなるプラスチックメッシュロール30が
ディスプレーサ8(ディスプレーサ容器側壁部8a)内
に挿入され、その外周端部33bはディスプレーサ容器
側壁部8aには固定されず自由端の状態とされている。
【0054】また、図1(c)から明らかなとおり、プ
ラスチックメッシュシート33は、その円筒軸方向のシ
ート幅が内周端部33aから外周端部33bに向かって
徐々に小さくなり、またそのシート長さが低温側端部3
3d側の方が高温側端部33c側よりも長くなるような
形状に加工されている。これは、低温動作時におけるプ
ラスチックメッシュロール30の熱収縮は、低温側端部
33d側の方が高温側端部33c側よりも大きく、した
がってプラスチックメッシュロール30とディスプレー
サ容器側壁部8aの内壁面との間の非接触隙間36aは
低温側端部33d側の方が大きくなるので、この非接触
隙間36aの変化に併せてプラスチックメッシュロール
30を広がりやすくするためである。また、軸芯31
は、低熱伝導性で低熱容量のものが適しており、例えば
プラスチック製の丸棒などが用いられる。なお、軸芯3
1の外径は、蓄冷材7(プラスチックメッシュシート3
3)の必要量に合わせて好ましく設計される。
【0055】また、プラスチックメッシュシート33に
は、円筒軸方向に対して垂直な方向に伸びる(長手とな
る)細長い切り口39が等間隔に形成されている。従来
の蓄冷式冷凍機においては、通常、メッシュシートを円
筒軸方向に平面積層した蓄冷材が用いられるが、この場
合は各メッシュシートが互いに点接触し、この接触点を
介して熱伝導が生じるので、蓄冷材7の熱伝導損失は非
常に小さくなる(例えば、上記刊行物3参照)。
【0056】しかしながら、プラスチックメッシュシー
ト33をロール状に加工した本発明に係る蓄冷材7で
は、そのままでは高温側端部33cから低温側端部33
dまでメッシュ素線が繋がっているので、蓄冷材7(プ
ラスチックメッシュロール30)の熱伝導損失が大きく
なる。そこで、この熱伝導を妨げるため、円筒軸方向に
対して垂直な方向の切り口39をプラスチックメッシュ
シート33に千鳥配置で等間隔に形成し、高温側端部3
3c側から低温側端部33d側へ熱伝導が必ず点接触部
分を介して行われるようにしている。
【0057】このように、プラスチック製の蓄冷材7と
薄肉金属製のディスプレーサ容器8(ディスプレーサ
3)とを組み合わせた実施の形態1に係る蓄冷式冷凍機
においては、高い冷却効率を保ちつつ被冷却部の熱容量
を低減することができ、クールダウンタイムを短縮する
ことができる。
【0058】実施の形態2.以下、本発明の実施の形態
2に係る蓄冷式冷凍機について説明する。図2は、前記
の実施の形態1の場合とは異なる形態の蓄冷材7を用い
た、本発明の実施の形態2に係る蓄冷式冷凍機の蓄冷材
内包(内蔵)型のディスプレーサの構造(様態)を示す
断面図である。図2に示すように、この実施の形態2に
かかる蓄冷式冷凍機では、蓄冷材7の高温側は、通常の
場合と同様に平面積層された略円柱形のプラスチックメ
ッシュ積層29aで構成されている。このプラスチック
メッシュ積層29aは、その外径がディスプレーサ容器
側壁部8aの内径とほぼ同一になるように(例えば、
(ディスプレーサ容器側壁部8aの内径)+(0〜0.
1mm))プラスチックメッシュシート33を切断する
ことにより形成されたものである。
【0059】他方、蓄冷材7の低温側は、その外径が前
記のプラスチックメッシュ積層29aの外径(通常サイ
ズ)よりも小さくなるように(例えば、(ディスプレー
サ容器側壁部8aの内径)−(2mm))プラスチック
メッシュシート33を切断することにより形成されたプ
ラスチックメッシュ積層29b(できれば、プラスチッ
クメッシュ積層29bはペレット状のものがよく、その
製造方法については実施の形態10参照)と、該プラス
チックメッシュ積層29bとディスプレーサ容器側壁部
8aの内壁面との間に挿入されたプラスチックメッシュ
ロール30bとで構成されている。すなわち、プラスチ
ックメッシュ積層29bの外周部は、プラスチックメッ
シュシート33(プラスチックメッシュロール30b)
によってロール状に覆われている。ここで、プラスチッ
クメッシュロール30bの外周端部33bは、ディスプ
レーサ容器側壁部8aには固定されず、自由端の状態と
されている。
【0060】かくして、実施の形態2に係る蓄冷式冷凍
機においては、前記構成により、低温動作時に蓄冷材7
が熱収縮して、蓄冷材7とディスプレーサ容器側壁部8
aの内壁面との間に隙間が発生し又は増加しようとする
ときには、プラスチックメッシュロール30b(蓄冷材
7)はそのロール状態がゆるんで広がるので、実施の形
態1の場合と同様の作用・効果が得られる。
【0061】実施の形態3.以下、本発明の実施の形態
3に係る蓄冷式冷凍機について説明する。図3は、前記
の実施の形態1又は2の場合とは異なる形態の蓄冷材7
を用いた、本発明の実施の形態3に係る蓄冷式冷凍機の
蓄冷材内包(内蔵)型のディスプレーサの構造(様態)
を示す断面図である。図3に示すように、この実施の形
態3にかかる蓄冷式冷凍機では、蓄冷材7の高温側は、
実施の形態2の場合と同様に、平面積層された略円柱形
の通常のサイズのプラスチックメッシュ積層29aで構
成されている。
【0062】他方、蓄冷材7の低温側は、基本的にはプ
ラスチックメッシュシート33がロール状に加工されて
なるプラスチックメッシュロール30cで構成されてい
る。そして、プラスチックメッシュロール30cの外側
面とディスプレーサ容器側壁部8aの内側面との間に
は、非通気性の弾性シート40(弾性体)がディスプレ
ーサ容器径方向に圧縮した状態で挿入されている。さら
に、プラスチックメッシュロール30cの外周端部33
bは弾性シート40に接着固定されている。
【0063】かくして、実施の形態3に係る蓄冷式冷凍
機においては、前記構成により、低温動作時において蓄
冷材7が熱収縮すると、弾性シート40がディスプレー
サ容器径方向に膨張し、蓄冷材7とディスプレーサ容器
側壁部8aの内壁面との間に非接触隙間36aが発生し
又は増加するのが抑制ないしは防止され、実施の形態1
の場合と同様の作用・効果が得られる。なお、非通気性
の弾性シート40としては、例えばソフトテフロンシー
ト(例えば、バルカー(株)のバルフロンシートなど)
や、ゲル状衝撃吸収シートなどを用いることができる。
【0064】実施の形態4.以下、本発明の実施の形態
4に係る蓄冷式冷凍機について説明する。図4は、前記
の実施の形態1〜3の場合とは異なる形態の蓄冷材7を
用いた、本発明の実施の形態4に係る蓄冷式冷凍機の蓄
冷材内包(内蔵)型のディスプレーサの構造(様態)を
示す斜視図である。図4において、41はプラスチック
製のビーズ粒子(ビーズ球)の集合体であり、42は通
気性の仕切り板(金網メッシュ)である。この実施の形
態4に係る蓄冷式冷凍機においては、蓄冷材7は、ビー
ズ粒子の集合体41で構成され、ビーズ粒子が低温空間
6に飛散しないように、ビーズ粒子の集合体41は仕切
り板42によって仕切られている。
【0065】この蓄冷式冷凍機において、所定の低温動
作時にビーズ粒子の集合体41(ビーズ粒子)が熱収縮
すると、ディスプレーサ容器8内の低温側の空間部に蓄
冷材空塊部36が発生しようとする。しかしながら、常
温状態で円筒軸方向に圧縮された状態で挿入された通気
性の弾性体32の弾性力によって、ビーズ粒子の集合体
41(蓄冷材7)が低温側に押し上げられ、蓄冷材空塊
部36の発生が抑制される。
【0066】また、実施の形態3の場合と同様に、ディ
スプレーサ容器側壁部8aの低温側の内壁面に弾性シー
ト40が接着固定され、弾性シート40の弾性変形によ
って、ビーズ粒子の集合体41(蓄冷材7)とディスプ
レーサ容器側壁部8aの内壁面との間に非接触隙間が発
生するのが抑制され、実施の形態1の場合と同様の作用
・効果が得られる。ここで、通気性の仕切り板42とし
ては、例えば粗い金網メッシュあるいは通気性金属マス
ク(金属円板をエッチングして通気性の細孔を無数に開
けたもの)を用いることができる。なお、製品化された
通気性金属マスクとしては、例えばソノコム(株)のS
USメタルマスクなどがあげられる。
【0067】実施の形態5.図5は、前記の実施の形態
1〜4の場合とは異なる形態の蓄冷材7を用いた、本発
明の実施の形態5に係る蓄冷式冷凍機の蓄冷材内包(内
蔵)型のディスプレーサの構造(様態)を示す断面図で
ある。図5において、29aは、その外径が円筒形のデ
ィスプレーサ容器側壁部8aの内径とほぼ一致するよう
に(例えば、(ディスプレーサ容器側壁部8aの内径)
+(0〜0.1mm))プラスチックメッシュシート3
3を切断することにより形成されたプラスチックメッシ
ュシート積層である。
【0068】また、29cはディスプレーサ容器側壁部
8aの内径よりやや大きめにプラスチックメッシュシー
ト33を切断することにより形成された後、ディスプレ
ーサ8内に押し込まれたプラスチックメッシュシート積
層である。ここで、プラスチックメッシュシート積層2
9cの外径は、例えば((ディスプレーサ容器側壁部8
aの内径)+(プラスチックメッシュシート積層29c
の低温端での熱収縮分)+(0〜0.1mm))程度と
される。
【0069】この蓄冷式冷凍機においてはディスプレー
サ容器8内の低温側の空間部には、外径が大きいプラス
チックメッシュシート積層29cが押し込まれて配置さ
れているので、所定の低温動作状態で29cが熱収縮し
ても、プラスチックメッシュシート積層29cとディス
プレーサ容器側壁部8aの内壁面との間に非接触隙間が
発生しない。そのため、実施の形態1の場合と同様の作
用・効果が得られる。
【0070】ところで、前記の実施の形態1〜5では、
いずれも蓄冷材空塊部36の発生ないし増加を抑制する
抑制手段は、主として弾性力を利用したものである。し
かしながら、かかる抑制手段は、弾性力を利用するもの
に限定されるわけではない。以下、摩擦力又は熱応力を
利用して蓄冷材空塊部36の発生ないし増加を抑制する
抑制手段を備えた蓄冷式冷凍機について説明する。
【0071】実施の形態6.以下、本発明の実施の形態
6に係る蓄冷式冷凍機について説明する。図6は、本発
明の実施の形態6に係る蓄冷式冷凍機の蓄冷材の構造
(様態)を示す斜視図である。図6において、44はロ
ール状の金属メッシュである。この蓄冷材7において
は、金網メッシュシートとプラスチック製メッシュシー
ト33とが、重ね合わせて軸芯31に巻き付けられてい
る。これにより、プラスチックメッシュ30と金網メッ
シュ44とが交互に積層される。
【0072】かくして、この蓄冷材7においては、所定
の低温動作時には、両メッシュ30、44間に作用する
摩擦力により、プラスチックメッシュ30の熱収縮が金
網メッシュ44によって抑制される。さらに、この蓄冷
材7においては、ディスプレーサ容器側壁部8aが熱収
縮率の大きいプラスチック材料であっても、その熱収縮
を内側から抑制することができる。このように、プラス
チック製の蓄冷材7と薄肉金属製のディスプレーサ容器
8とを組み合わせた実施の形態6に係る蓄冷式冷凍機
(蓄冷材)においては、高い冷却効率を保ちつつ被冷却
部の熱容量を低減することができ、クールダウンタイム
を短縮することができる。
【0073】実施の形態7.以下、本発明の実施の形態
7に係る蓄冷式冷凍機について説明する。図7は、前記
の実施の形態6とは異なる形態の摩擦力を利用する蓄冷
材7を用いた、本発明の実施の形態7に係る蓄冷式冷凍
機の蓄冷材内包(内蔵)型のディスプレーサの構造(様
態)を示す断面図である。図7において、45は、その
外径がディスプレーサ容器側壁部8aの内径とほぼ同一
となるように((ディスプレーサ容器側壁部8aの内
径)+(0〜0.1mm))金属メッシュシートを切断
することにより形成された金属メッシュである。
【0074】そして、この蓄冷材7においては、金属メ
ッシュ45とプラスチックメッシュ29とが交互に平面
積層されている。このように、金属メッシュ45とプラ
スチックメッシュ29とを平面積層した場合でも、実施
の形態6の場合と同様の作用・効果が得られる。
【0075】実施の形態8.以下、本発明の実施の形態
8に係る蓄冷式冷凍機ないしは蓄冷材について説明す
る。図8(a)、(b)は、本発明の実施の形態8に係
る蓄冷式冷凍機の蓄冷材に用いられる金属皮膜付きプラ
スチックメッシュの構成(様態)を示す図である。ここ
で、図8(a)は金属皮膜付きプラスチックメッシュの
外形(シート状態)を示す図であり、図8(b)は金属
皮膜付きプラスチックメッシュを構成するメッシュ素線
の断面図である。
【0076】図8(a)、(b)において、46は金属
皮膜で被覆された金属皮膜付きプラスチックメッシュで
あり、47aと47bとはそれぞれ金属皮膜付きプラス
チックメッシュ46を形成する横方向のメッシュ素線と
縦方向のメッシュ素線とであり(なお、両メッシュ素線
47a、47bをメッシュ素線47と総称する)、49
はメッシュ素線47のプラスチック母材であり、50は
プラスチック母材49をほぼ均一に被覆している金属皮
膜である。プラスチック母材49の表面を金属皮膜50
で被覆する方法としては、例えば化学的メッキや真空蒸
着(特開昭60−262689号公報参照)があげられ
る。これを製品化したものとしては、例えばソノコム
(株)のリダイズドメッシュ(ポリエステルメッシュ表
面に1〜5μm程度のニッケル皮膜を施したもの)があ
げられる。
【0077】この実施の形態8にかかる蓄冷式冷凍機に
おいては、前記構造の金属皮膜付きプラスチックメッシ
ュ46からなる蓄冷材7を用いているので、所定の低温
動作時には、プラスチック母材49と金属皮膜50との
間に働く熱応力により、金属皮膜付きプラスチックメッ
シュ46の熱収縮が抑制され、実施の形態6の場合と同
様の作用・効果が得られる。
【0078】実施の形態9.以下、本発明の実施の形態
9に係る蓄冷式冷凍機ないしは蓄冷材について説明す
る。図9(a)、(b)は、本発明の実施の形態9に係
る蓄冷式冷凍機の蓄冷材に用いられる、金属皮膜形成後
に表面処理(表面腐食処理等)が施された金属皮膜付き
プラスチックメッシュ(以下、「表面処理金属皮膜付き
プラスチックメッシュ」という)の構成(様態)を示す
図である。ここで、図9(a)は表面処理金属皮膜付き
プラスチックメッシュの外形(シート状態)を示す図で
あり、図9(b)は表面処理金属皮膜付きプラスチック
メッシュを構成するメッシュ素線の断面図である。
【0079】図9(a)、(b)において、51は金属
皮膜形成後に表面処理が施された表面処理金属皮膜付き
プラスチックメッシュであり、52aと52bとはそれ
ぞれ表面処理金属皮膜付きプラスチックメッシュ51を
形成する横方向のメッシュ素線と縦方向のメッシュ素線
とであり(なお、両メッシュ素線52a、52bをメッ
シュ素線52と総称する)、49はメッシュ素線52の
プラスチック母材であり、54は表面処理後における不
均一な金属皮膜である。
【0080】金属54がニッケル皮膜である場合、これ
をざらつかす程度に表面処理する方法としては、例えば
特開平1−13097号公報に開示されている酸性腐食
液(過酸化水素と硝酸の混液)を用いた表面腐食処理な
どを用いることができる。あるいは、研磨剤微粒子(S
iO2やSiCなど)を吹き付ける表面処理方法も用い
ることができる。このような表面処理によって、蓄冷材
7の基本構成要素であるメッシュ素線52の表面をざら
つかせ(粗面化し)、表面粗度を粗くして、蓄冷材7の
伝熱面積を増加させる。このように、実施の形態9で
は、表面処理金属皮膜付きプラスチックメッシュ51を
蓄冷材7として用いているので、伝熱面積の増加により
蓄冷器の効率を向上させることができ、蓄冷式冷凍機を
一層高効率化することができ、クールダウンタイムを短
縮することができる。
【0081】実施の形態10.以下、本発明の実施の形
態10に係る蓄冷式冷凍機ないしは蓄冷材について説明
する。図10(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1
0に係る、切断加工により平面積層されたプラスチック
メッシュの構造(様態)を示す図である。ここで、図1
0(a)はプラスチックメッシュの切断時の状態を示す
立面断面図であり、図10(b)は切断後におけるペレ
ット状態のプラスチックメッシュの立面断面図であり、
図10(c)は図10(b)に示すプラスチックメッシ
ュを真上から見た上面図であり、図10(d)は図10
(c)中のRで示す部分の拡大図でありプラスチックメ
ッシュ面内の半融着部を拡大して示している。
【0082】図10(a)〜(d)において、55はプ
ラスチックメッシュ切断機であり、55aは刃型部であ
り、55bはメッシュ押し込み部であり、55cは刃型
部55aを加熱するヒータであり、56はプラスチック
メッシュの切断面である。かくして、プラスチックメッ
シュを作製(切断)する際には、プラスチックメッシュ
シート33を複数枚積層した上で、メッシュ押し込み部
55bでプラスチックメッシュシート33に圧力を加え
ながら、ヒータ55cによって加熱された55aで、プ
ラスチックメッシュシート33を切断することになる。
このとき、切断面56をプラスチックの半融解温度(融
点より50℃程度低い温度)に加熱することにより、プ
ラスチックメッシュを切断面56で半融解状態で接着
(融着)することができる。
【0083】かくして、図10(b)に示すような柱状
ペレット状態のプラスチックメッシュを作製することが
でき、このプラスチックメッシュを蓄冷材7として用い
ることにより、該蓄冷材7をディスプレーサ容器8(断
熱容器)内に平面積層する作業を効率化することができ
る。また、図10(d)に示すように、一枚のプラスチ
ックメッシュが切断されてその広がり面内に形成される
メッシュ素線の先端部ないしは切断部が熱融着されるの
で、プラスチックメッシュが変形したりメッシュ素線が
ほどけるのが防止される。
【0084】実施の形態11.以下、本発明の実施の形
態11に係る蓄冷式冷凍機ないしは蓄冷材について説明
する。図11は、本発明の実施の形態11に係る蓄冷式
冷凍機の蓄冷器の斜視図である。この蓄冷式冷凍機は、
例えば前記の従来例2(図15参照)のように、ディス
プレーサとは独立(分離)して、その外周部に蓄冷器が
配置されている形態の蓄冷式冷凍機である。前記の実施
の形態1〜10では、いずれも、蓄冷器がディスプレー
サに内蔵されている形態の蓄冷式冷凍機について説明し
ているが、従来例2や従来例3のように、ディスプレー
サとは独立(分離)して蓄冷器が配置されている合で
も、実施の形態1〜10の場合と同様の作用・効果が得
られる。
【0085】実施の形態12.以下、本発明の実施の形
態12に係る蓄冷式冷凍機ないしはディスプレーサにつ
いて説明する。図12(a)〜(c)は、本発明の実施
の形態12に係る蓄冷式冷凍機のディスプレーサの構造
(様態)を示す図である。ここで、図12(a)は実施
の形態12に係る、実施の形態1〜11の場合とは異な
る形態のディスプレーサ容器を備えたディスプレーサの
斜視図であり、図12(b)はディスプレーサ容器の斜
視図であり、図12(c)はガイドリングの斜視図であ
る。
【0086】図12(a)〜(c)において、60は薄
肉のプラスチックシートを加熱成形することにより作製
されたディスプレーサ容器側壁部であり、61はガイド
リングであり、62は位置決めピンであり、62aは低
温側位置決めピンであり、62bは高温側位置決めピン
であり、63は位置決めピン62のピン止め穴である。
また、64は、軸芯31の低温端に取り付けられたピン
止め冶具である。
【0087】ここで、ディスプレーサ容器側壁部60
は、例えば東レ(株)製のルミラー(ポリエステルシー
ト)などを円筒形状に加熱成形することにより作製する
ことができる。また、ガイドリング61は、例えばNT
N(株)製のベアリーシート材(厚み0.1〜0.3m
m程度)などを円筒形状に加熱成形することにより作製
することができる。
【0088】低温側位置決めピン62aは、ディスプレ
ーサ容器低温側キャップ8b、ディスプレーサ容器側壁
部60及びピン止め冶具64の位置決め穴63を貫通し
て配置され、他方、高温側位置決めピン62bは、ガイ
ドリング61、ディスプレーサ容器側壁部60、ディス
プレーサ容器低温側キャップ8bの位置決め穴63を貫
通して配置されている。これにより、ディスプレーサ容
器側壁部60の上下方向の位置が固定される。また、デ
ィスプレーサ容器側壁部60の外壁面と低温シリンダ側
壁4cの内壁面との間のディスプレーサ隙間35は、ガ
イドリング61によって一定値に保持される。
【0089】一般に、ベスペル等のプラスチック丸棒を
切削加工してディスプレーサ容器側壁部8aを作製する
場合、最小限0.5mm程度の肉厚が必要である。しか
しながら、この実施の形態12によれば、肉厚が0.5
mm以下(例えば、0.2mm)のプラスチックシート
材料でディスプレーサ容器側壁部60(8a)を作製す
ることが可能となる。
【0090】図21は、前記の冷凍機A(スターリング
冷凍機)と、冷凍機Aにおいて金属製蓄冷材をプラスチ
ック製蓄冷材(ナイロンメッシュ)に置換えたもの(以
下、「冷凍機D」という)と、さらに冷凍機Dにおいて
切削プラスチック製ディスプレーサ容器側壁部をプラス
チックシート製ディスプレーサ容器側壁部(肉厚が0.
2mmのプラスチックシート材を用いたもの)に置換え
たもの(以下、「冷凍機E」という)とについて、それ
ぞれ、各被冷却部の熱容量(但し、常温)を比較して示
した棒グラフである。図21から明らかなとおり、冷凍
機Eでは、そのの被冷却部の総熱容量(2.51J/
K)が、冷凍機Aのそれ(4.58J/K)の約半分に
低減されている。したがって、クールダウンタイムを短
縮することができる。
【0091】最後に、主にプラスチック材料からなる蓄
冷材について補足説明する。かかるプラスチック材料か
らなる蓄冷材についても、金網メッシュの場合と同様の
理由により、メッシュ形状のものが、その他の形状(ウ
ール状、ビーズ粒子の集合体など)のものより、冷却性
能(圧力損失や伝熱性能)に関して優れている。
【0092】また、ナイロン製又はポリエステル製のメ
ッシュは、印刷用スクリーンマスクとして安価に入手可
能である。とくに、ポリエステル繊維は、吸水率(表2
参照)が低く、形状安定性も高い。実用的には、♯15
0〜♯400(1インチ平方あたりの網目数を示す)の
ポリエステルメッシュを加工したものが、蓄冷式冷凍機
の蓄冷材として適している。
【0093】
【発明の効果】本発明によれば、以下に記載されている
ような顕著な効果を奏する。すなわち、本発明の第1の
態様に係る蓄冷式冷凍機においては、所定の低温動作状
態では、プラスチック材料の熱収縮が大きいため、低熱
伝導筒体の内壁面と蓄冷材との非接触隙間と断熱容器内
部の低温側の死容積とがそれぞれ常温時より増加する方
向の変形が生じようとするが、これを抑制する抑制手段
を備えているので、蓄冷式冷凍機の高効率を保持しつつ
被冷却部の熱容量を低減することができ、ひいてはクー
ルダウンタイムを短縮することができる。
【0094】本発明の第2の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、所定の低温動作状態では、低熱伝導筒体の外
壁面と膨張シリンダの内壁面との間のディスプレーサ隙
間が常温時より増加する方向の熱収縮変形が生じようと
するが、これを抑制する抑制手段を備えているので、蓄
冷式冷凍機の高効率を保持しつつ被冷却部の熱容量を低
減することができ、ひいてはクールダウンタイムを短縮
することができる。
【0095】本発明の第3の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、基本的には、第1又は第2の態様に係る蓄冷
式冷凍機の場合と同様の効果を奏する。さらに、抑制手
段が、弾性体が外力を受けない状態に戻ろうとする弾性
力、熱収縮率の異なる材料間に働く摩擦力、あるいはバ
インダによる接着力を利用して上記変形を抑制するよう
になっているので、より効果的に蓄冷式冷凍機の高効率
を保持しつつ被冷却部の熱容量を低減することができ、
クールダウンタイムを一層短縮することができる。
【0096】本発明の第4の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、基本的には、第1の態様に係る蓄冷式冷凍機
の場合と同様の効果を奏する。さらに、主としてプラス
チック材料からなるメッシュシートが円筒軸にロール状
に巻きつけられてなる蓄冷材の外周端部の少なくとも低
温側の部分が、自由端のまま低熱伝導筒体に接触させら
れ、あるいは柔軟性のあるものを介して低熱伝導筒体に
接触させられ、これにより上記変形が抑制されるので、
より効果的に蓄冷式冷凍機の高効率を保持しつつ被冷却
部の熱容量を低減することができ、クールダウンタイム
を一層短縮することができる。
【0097】本発明の第5の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、基本的には、第4の態様に係る蓄冷式冷凍機
の場合と同様の効果を奏する。さらに、主としてプラス
チック材料のメッシュからなるロール状の蓄冷材におい
て、その軸線方向に対して垂直な方向に伸びる多数の切
り口がメッシュシートに形成され、これにより高温側か
ら低温側への熱伝導損失が低減されるので、一層効果的
に蓄冷式冷凍機の高効率を保持しつつ被冷却部の熱容量
を低減することができ、クールダウンタイムをさらに短
縮することができる。
【0098】本発明の第6の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、基本的には、第1の態様に係る蓄冷式冷凍機
の場合と同様の効果を奏する。さらに、低熱伝導筒体の
内壁面と蓄冷材との間に非通気性の弾性体が設けられ、
これにより、所定の低温動作時に両者間の非接触隙間が
増加する方向の変形が生じるのが抑制されるので、より
効果的に蓄冷式冷凍機の高効率を保持しつつ被冷却部の
熱容量を低減することができ、クールダウンタイムを一
層短縮することができる。
【0099】本発明の第7の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、基本的には、第1の態様に係る蓄冷式冷凍機
の場合と同様の効果を奏する。さらに、断熱容器内部の
高温端側に通気性の弾性体が設けられ、これにより、所
定の低温動作時に断熱容器内部の低温側の死容積が増加
する方向の変形が生じるのが抑制されるので、より効果
的に蓄冷式冷凍機の高効率を保持しつつ被冷却部の熱容
量を低減することができ、クールダウンタイムを一層短
縮することができる。
【0100】本発明の第8の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、基本的には、第1又は第2の態様に係る蓄冷
式冷凍機の場合と同様の効果を奏する。さらに、プラス
チックメッシュと、金網メッシュ又はガス透過性金属マ
スクとが交互に積層され、両者間に作用する摩擦力によ
ってプラスチックメッシュの熱収縮が抑制される。この
ため、低熱伝導筒体の内壁面と蓄冷材との間の非接触隙
間、あるいは低熱伝導筒体の外壁面と膨張シリンダの内
壁面との間のディスプレーサ隙間が常温時より増加する
のが抑制され、より効果的に蓄冷式冷凍機の高効率を保
持しつつ被冷却部の熱容量を低減することができ、クー
ルダウンタイムを一層短縮することができる。
【0101】本発明の第9の態様に係る蓄冷式冷凍機に
おいては、基本的には、第1の態様に係る蓄冷式冷凍機
の場合と同様の効果を奏する。さらに、プラスチック蓄
冷材を構成する基本要素である、メッシュ素線、ビーズ
粒子あるいは繊維(ウール繊維)などの伝熱表面がニッ
ケル等の金属皮膜によって被覆され、両者間に作用する
熱応力によってプラスチックの熱収縮が抑制される。こ
のため、低熱伝導筒体の内壁面と蓄冷材との間の非接触
隙間、あるいは低熱伝導筒体の外壁面と膨張シリンダの
内壁面との間のディスプレーサ隙間が常温時より増加す
るのが抑制され、より効果的に蓄冷式冷凍機の高効率を
保持しつつ被冷却部の熱容量を低減することができ、ク
ールダウンタイムを一層短縮することができる。
【0102】本発明の第10の態様に係る蓄冷式冷凍機
においては、基本的には、第9の態様に係る蓄冷式冷凍
機の場合と同様の効果を奏する。さらに、腐食処理ある
いは微粒子研磨処理などの表面処理により、蓄冷材を構
成する基本要素である、メッシュ素線、ビーズ粒子、あ
るいは繊維(ウール繊維)などの伝熱表面の表面粗度が
大きくなるので、蓄冷材の伝熱面積が増加する。これに
より、蓄冷器の効率が向上し、蓄冷式冷凍機が一層高効
率化される。このため、クールダウンタイムをさらに短
縮することができる。
【0103】本発明の第11の態様に係る蓄冷式冷凍機
においては、基本的には、第2の態様に係る蓄冷式冷凍
機の場合と同様の効果を奏する。さらに、プラスチック
材料のシートが円筒形状に1周以上巻いて加熱成形さ
れ、その終端部が自由端とされ、かつ低熱伝導筒体と膨
張シリンダとの間に挿入された薄肉厚のガイドリングに
よって低熱伝導筒体の外壁面と膨張シリンダの内壁面と
の間の隙間が一定に保たれるので、プラスチック材料の
低熱伝導筒体を薄肉化することができ、ディスプレーサ
容器側壁部の熱容量を低減することができ、さらに高温
側から低温側への熱伝導損失を低減することができる。
このため、クールダウンタイムを一層短縮することがで
きる。
【0104】本発明の第12の態様に係る蓄冷式冷凍機
ないしは蓄冷器においては、蓄冷材を構成するプラスチ
ック製メッシュの切断面近傍部分をプラスチックの半融
解温度まで加熱することにより、1枚のメッシュ切断面
で隣接する素線同士が融着させられる。このため、メッ
シュの変形や素線のほどけが防止される。
【0105】本発明の第13の態様に係る蓄冷式冷凍機
ないしは蓄冷器においては、同型に切り抜かれたプラス
チック製メッシュを多数枚積層した上で切断面で熱融着
させて一体化することにより形成された柱状ペレット状
態の蓄冷材が用いられるので、メッシュからなる蓄冷材
を断熱容器内に平面積層する作業を効率化することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の実施の形態1に係るロール
状のプラスチックメッシュを蓄冷材として用いた蓄冷式
冷凍機の膨張機側の断面図であり、(b)はロール状の
プラスチックメッシュの斜視図であり、(c)はロール
状に加工する前のプラスチックメッシュシートの立面図
である。
【図2】 本発明の実施の形態2に係る蓄冷材を用いた
蓄冷材内蔵型のディスプレーサの断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態3に係る蓄冷材を用いた
蓄冷材内蔵型のディスプレーサの断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態4に係る蓄冷材を用いた
蓄冷材内蔵型のディスプレーサの斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態5に係る蓄冷材を用いた
蓄冷材内蔵型のディスプレーサの断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態6に係る蓄冷材の斜視図
である。
【図7】 本発明の実施の形態7に係る蓄冷材を用いた
蓄冷材内蔵型のディスプレーサの断面図である。
【図8】 (a)は本発明の実施の形態8に係る金属皮
膜で被覆されたプラスチックメッシュのシート状態を示
す図であり、(b)はメッシュ素線の断面図である。
【図9】 (a)は本発明の実施の形態9に係る金属皮
膜形成後に表面腐食処理が施されたプラスチックメッシ
ュのシート状態を示す図であり、(b)はメッシュ素線
の断面図である。
【図10】 (a)は本発明の実施の形態10に係る、
切断加工のために平面積層されたプラスチックメッシュ
及びその切断機の、切断時における立面断面図であり、
(b)は切断後におけるペレット状態のプラスチックメ
ッシュの断面図であり、(c)は(b)に示すプラスチ
ックメッシュを真上から見た上面図であり、(d)は
(c)中のRで示す部分の拡大図であり、プラスチック
メッシュの広がり面内での半融着部を拡大して示してい
る。
【図11】 本発明の実施の形態11に係る、ディスプ
レーサとは独立してその外周部に配置された蓄冷器の斜
視図である。
【図12】 (a)は本発明の実施の形態12に係る薄
肉プラスチック製ディスプレーサ容器側壁部を用いたデ
ィスプレーサの斜視図であり、(b)はディスプレーサ
容器側壁部の斜視図であり、(c)はガイドリングの斜
視図である。
【図13】 従来例1に係る、蓄冷器がディスプレ-サ
に内蔵されたスプリット型スターリング冷凍機の断面図
である。
【図14】 ナイロンを含む種々の蓄冷材の体積比熱
と、ヘリウムガス(10MPa)の体積比熱とを比較し
て示したグラフである。
【図15】 従来例2に係る、蓄冷器がディスプレ-サ
とは独立して配置された一体型スターリング冷凍機の断
面図である。
【図16】 従来例3に係るオリフィス型パルス管冷凍
機の模式図である。
【図17】 冷凍機A(スターリング冷凍機)の常温に
おける各被冷却部の熱容量の割合を示す円グラフであ
る。
【図18】 (a)はプラスチックビーズ球の蓄冷材が
ディスプレーサに内蔵されている蓄冷式冷凍機の被冷却
部の室温状態における断面図であり、(b)は所定の低
温動作時において蓄冷材が収縮した状態における(a)
と同様の図であり、(c)はプラスチック製ディスプレ
ーサが用いられた場合において所定の低温動作時に蓄冷
材とプラスチック製ディスプレーサとが収縮した状態に
おける(a)と同様の図である。
【図19】 冷凍機A(スターリング冷凍機)において
予測されるディスプレーサ隙間と、冷却能力及び熱損失
との関係を示すグラフである。
【図20】 冷凍機A、B、C(スターリング冷凍機)
の常温における被冷却部の熱容量を比較して示した棒グ
ラフである。
【図21】 冷凍機A、D、E(スターリング冷凍機)
の常温における被冷却部の熱容量を比較して示した棒グ
ラフである。
【符号の説明】
1 膨張機、 2 圧縮機、 3 ディスプレーサ、
4 膨張シリンダ、4a 膨張シリンダ側壁部、 4b
膨張シリンダヘッド部、 5 高温空間、6 低温空
間、 7 蓄冷材、 8 ディスプレーサ容器、 8a
ディスプレーサ容器側壁部、 8b ディスプレーサ
容器低温側キャップ、 8c ディスプレーサ容器高温
側キャップ、 9 低温空間に繋がる連通孔、 10
高温空間に繋がる連通孔、 11 ニューマティック
室、 12 ニューマティックピストン、 13 シー
ル部、 13a シール部、 13b シール部、 1
3c シール部、 14 蓄冷器、 15 連通管、
16 圧縮ピストン、17 圧縮シリンダ、 18 圧
縮空間、 20 クランクシャフト、 21クランクケ
ース、 22 放熱器、 23 インナーライナ、 2
4 パルス管、 25 低温側熱交換器、 26 オリ
フィス、 27 バッファタンク、28 断熱容器、
29 プラスチックメッシュ積層(平面積層されたプラ
スチックメッシュ)、 29a プラスチックメッシュ
シート(外径がディスプレーサ容器側壁部内径にほぼ一
致する形状)、 29b プラスチックメッシュシート
(外径がディスプレーサ容器側壁部内径より小さい形
状)、 29c プラスチックメッシュシート(外径が
ディスプレーサ容器側壁部内径より大きい形状)、 3
0 プラスチックメッシュロール(ロール状のプラスチ
ックメッシュ)、31 軸芯、 32 通気性の弾性
体、 33 プラスチックメッシュシート、 33a
内周端部、 33b 外周端部、 33c 高温側端
部、 33d低温側端部、 34 機械ばね、 34a
フリーディスプレーサ共振用ばね、 34b 弾性力
補強用ばね、 35 ディスプレーサ隙間、 36 蓄
冷材空塊部、 36a ディスプレーサ容器側壁部の内
壁面と蓄冷材との間の非接触隙間、 36b ディスプ
レーサ容器低温側キャップの内壁面と蓄冷材との間の非
接触隙間、 37 作動ガスの流れ、 37a 蓄冷材
との熱交換が不十分な迂回流れ、 37b 蓄冷材と熱
交換する主な流れ、 38 プラスチックメッシュシー
トの円筒軸方向のシート幅、 38a 内周端部におけ
る円筒軸方向のシート幅、 38b 外周端部における
円筒軸方向のシート幅、 38c 高温側端部における
プラスチックメッシュシートの長さ、 38d 低温側
端部におけるプラスチックメッシュシートの長さ、 3
9 切り口、40 非通気性の弾性シート、 44 ロ
ール状の金属メッシュ、 45 平面積層された金網メ
ッシュ、 46 均一な金属皮膜で被覆されたメッシ
ュ、 47 均一な金属皮膜で被覆されたメッシュ素
線、 47a 横方向のメッシュ素線、 47b 縦方
向のメッシュ素線、 49 プラスチック母材、50
均一な金属皮膜部分、51 不均一な金属皮膜で被覆さ
れたメッシュ、 52 不均一な金属皮膜で被覆された
メッシュ素線、 52a 横方向のメッシュ素線、 5
2b 縦方向のメッシュ素線、 54 不均一な金属皮
膜部分、 55 プラスチックメッシュ切断機、 55
a 刃型部、 55b メッシュ押し込み部、 55c
ヒータ、 56 プラスチックメッシュ切断面、 6
0 薄肉プラスチックシートを加熱成形したディスプレ
ーサ容器側壁部、 61 ガイドリング、 62 位置
決めピン、 62a 低温側ピン、 62b 高温側ピ
ン、 63 ピン止め穴、64 ピン止め冶具。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温端で高温空間と連通するとともに低
    温端で低温空間と連通し、高温端と低温端との間で温度
    勾配方向に伸びる側壁部が低熱伝導筒体で形成されてい
    る断熱容器と、 前記断熱容器に内包され、作動ガスが該断熱容器を経由
    して高温空間と低温空間とを往復流動する際に作動ガス
    と熱交換を行う、主としてプラスチック材料で作製され
    た蓄冷材とを備えた蓄冷器が設けられている蓄冷式冷凍
    機において、 所定の低温動作状態において、前記断熱容器と前記蓄冷
    材とを構成する各部材が、熱収縮により、前記低熱伝導
    筒体の内壁面と前記蓄冷材との間に生じる非接触隙間
    と、低温端側で断熱容器内部に生じる死容積とが常温時
    より増加する方向に変形するのを抑制する抑制手段が設
    けられていることを特徴とする蓄熱式冷凍機。
  2. 【請求項2】 金属製の膨張シリンダと、 前記膨張シリンダ内に配置され、高温端で高温空間と連
    通するとともに低温端で低温空間と連通し、高温端と低
    温端との間で温度勾配方向に伸びる側壁部がプラスチッ
    ク製の低熱伝導筒体で形成されている断熱性のディスプ
    レーサ容器と、 前記ディスプレーサ容器に内包され、作動ガスが該ディ
    スプレーサ容器を経由して高温空間と低温空間とを往復
    流動する際に作動ガスと熱交換を行う、主としてプラス
    チック材料で作製された蓄冷材とを備えた蓄冷器が設け
    られ、 前記ディスプレーサ容器を前記膨張シリンダ内で往復移
    動させることにより、低温空間に冷凍作用が惹起される
    ようになっている蓄冷式冷凍機において、 所定の低温動作状態において、前記ディスプレーサ容器
    と前記蓄冷材とを構成する各部材が、熱収縮により、前
    記低熱伝導筒体の外壁面と前記膨張シリンダの内壁面と
    の間に形成されるディスプレーサ隙間が常温時より増加
    する方向に変形するのを抑制する抑制手段が設けられて
    いることを特徴とする蓄冷式冷凍機。
  3. 【請求項3】 前記抑制手段が、弾性体が外力を受けな
    い状態に戻ろうとする弾性力、熱収縮率の異なる材料間
    に働く摩擦力もしくは熱応力、又はバインダによる接着
    力により上記変形を抑制するようになっていることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓄冷式冷凍機。
  4. 【請求項4】 前記低熱伝導筒体が円筒体であって、前
    記蓄冷材が、主としてプラスチック材料からなるメッシ
    ュシートを前記低熱伝導筒体の中心軸のまわりにロール
    状に巻きつけることにより成形され、該ロール状のメッ
    シュシートの外周端部が、少なくとも低温端側では、自
    由端のまま直接的に又は弾性体を介して、前記低熱伝導
    筒体の内壁面に接触していることを特徴とする請求項1
    に記載の蓄冷式冷凍機。
  5. 【請求項5】 前記メッシュシートに、前記中心軸の軸
    線方向に対して垂直方向に伸びる切り口が多数形成され
    ていることを特徴とする請求項4に記載の蓄冷式冷凍
    機。
  6. 【請求項6】 前記断熱容器内において、前記低熱伝導
    筒体の内壁面と前記蓄冷材との間に、非通気性の弾性体
    が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓄
    冷式冷凍機。
  7. 【請求項7】 高温端側において前記断熱容器内に、通
    気性の弾性体が設けられていることを特徴とする請求項
    1に記載の蓄冷式冷凍機。
  8. 【請求項8】 前記蓄冷材が、金網メッシュ又は通気性
    金属マスクと、プラスチックメッシュとが交互に積層さ
    れてなる積層体であることを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載の蓄冷式冷凍機。
  9. 【請求項9】 前記蓄冷材が、メッシュ素線状、ビーズ
    粒子状又は繊維状のプラスチック製基材が金属で被覆さ
    れてなる素材で形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の蓄冷式冷凍機。
  10. 【請求項10】 前記蓄冷材の表面粗度が粗くなってい
    ることを特徴とする請求項9に記載の蓄冷式冷凍機。
  11. 【請求項11】 前記低熱伝導筒体が、薄肉厚のプラス
    チックシートが円筒形状に1周以上巻かれてなりその外
    周端部が自由端となっている加熱成形体であって、 前記低熱伝導筒体の外壁面と前記膨張シリンダの内壁面
    との間に、該両壁面間の隙間を一定に保つ薄肉厚のガイ
    ドリングが挿入されていることを特徴とする請求項2に
    記載の蓄冷式冷凍機。
  12. 【請求項12】 所定の形状に切断され、切断部におい
    て隣接する素線同士が互いに熱融着されているプラスチ
    ック製メッシュが積層されてなる蓄冷材が設けられてい
    ることを特徴とする蓄冷式冷凍機。
  13. 【請求項13】 それぞれ同一の形状に切断された複数
    のプラスチック製メッシュが柱状に平面積層され、切断
    部近傍においてプラスチック製メッシュ同士が熱融着さ
    れてなる柱状ペレット状態の蓄冷材が設けられているこ
    とを特徴とする蓄冷式冷凍機。
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