JP2000309922A - 壁面材強化型補強土工法 - Google Patents
壁面材強化型補強土工法Info
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Abstract
能にしかつ壁面の変形を可及的に抑制でき、さらには剛
性が高いにもかかわらず緑化が可能となる壁面材強化型
補強土工法を提供すること。 【解決手段】 壁面が形成される位置に設けた基礎部材
上に、鋼鉄製の親柱3を所定間隔で所望する傾斜角度に
立設する。隣りあう親柱3,3間に網目状をなした鋼製
パネル5を固定する。鋼製パネルの背後下部にシート状
の補強材を取りつけ、鋼製パネル5の背後へ延びるよう
に敷設する。ジオテキスタイル(補強材)を覆うように
鋼製パネル5の背後をパネルに略等しい高さまで盛土し
て締め固める。鋼製パネル5の上に他の鋼製パネルを配
置して親柱3に固定する。以後上記の手順を繰り返す。
各部材は人力施工を容易にする軽量化が図られ、盛土材
の土質を問わず本工法の適用範囲が拡大される。
Description
工法に係り、詳しくは、壁面材と背後に敷設される補強
材とを備えて壁面材の背後を盛土する法面の補強法であ
って、法面の緑化を可能にすると共に、壁面の剛構造化
・急傾斜化を実現することができるようにした補強土工
法に関するものである。
面の表面に直接補強構造を施して崩落を防止する工法
や、法面の土石の大部分を一旦除去してから盛土するこ
とにより壁面を構築する工法がある。後者に関しては、
従来から緑化型壁面材を使用する形式と剛性壁面材を採
用するタイプとがある。
のとして、以下の二つの例がある。その一つは、例えば
ジオテキスタイルまたは金網等の補強材を敷設した後
に、前端側を斜めの壁状となるように上方へ折り曲げ、
補強材上に盛土し転圧する。その後に斜めの壁状部が上
方へ連続するように他の補強材を少し背後へずらせて載
せ、同様の操作を繰り返すといったものである。
後へ少しずらせながら上方へ積み重ね、各前面が順次斜
めの壁面を形成するように組み上げるといったものであ
る。これは、蛇籠を配置して現場発生土砂等を詰め込ん
だ後にその背後へ延びるようにジオテキスタイルまたは
金網を敷設し、そのジオテキスタイル等を地山に適宜固
定してから蛇籠の高さまで盛土して、所望する傾斜壁面
を構築するようにしている。
部材が比較的軽量であるため人力施工が容易である。ま
た、壁面が網状等であって法勾配をつけることにより緑
化を簡単に図ることができる。シート状のジオテキスタ
イルは柔軟性に富んでおり、土との馴染み性が高い。そ
の結果、盛土材の土質に大きく左右されることなく補強
材としての機能を発揮し、蛇籠等のずれを防止しておく
ことができる。
の蛇籠等に代えてコンクリートパネル等の平板状の壁面
材(コンクリートスキン)や断面が上下に長い略Cの字
状の左右へ延びる鋼板(メタルスキン)を使用するもの
で、テールアルメ工法として知られている。これには補
強材として幅が約100mm、長さが約5,000mm
といった帯状の鋼板が使用され、各スキンパネルの背後
に埋め込まれた接続片もしくは下縁に設けた孔を介して
取りつけられる構造となっている。
壁面の変形を抑制する効果が大きいことは言うまでもな
い。したがって、道路等に近接していたりそれを跨ぐよ
うな場所、重要構造物の周りといった変形が許容されな
い箇所に設置する場合には極めて有効である。もちろ
ん、土中に埋めこまれた鋼製の補強材は土との馴染みの
よい撓み性と十分な耐久性があり、土粒子との摩擦を利
用して土質を変え、大きな摩擦抵抗に基づく高い引張強
度を生み出して壁面材に対する所望の支持力を発揮させ
ることができる。
る位置に傾斜して配置される多数の壁面材と、各壁面材
に取りつけられて背後へ延びるように敷設される補強材
とから構成される。そして、下段から壁面材が並べら
れ、補強材を取りつけた後に壁面材の背後を盛土して締
め固め、各壁面材の上に他の壁面材が積み上げられると
いったように順次上方に向かって壁面構築がなされる。
クリートを打設して形成される台形状のコンクリート擁
壁とは異なり、軽快な印象を与える壁面を形成すること
ができる。また普通盛土に比べて用地幅を少なくするこ
ともできる利点もある。それゆえ、工事費の低減と工期
の短縮が図られる。
化型壁面材を使用する形式では、壁面が金網であるため
柔構造物となって上面や壁面が変形することは否めず、
重要構造物等の周りの設置には不向きとなる。なお、蛇
籠は自重により安定が図られるだけであるので、地盤が
沈下すればそれに追随してしまうという難点もある。逆
に言えば、壁面材の変状を若干許容した後に安定するよ
うな構造体としている。
なく地肌が完全に覆い隠されるために、緑化はほとんど
困難である。壁面材は、一辺が約1,400mmの略正
方形した厚み約200mmのコンクリートパネルや、長
さ6,000mmのメタルスキンであって重量が嵩む。
したがって、重機械を導入することができる工事に限ら
れることになる。また、補強材として帯鋼を使用するの
で、平滑な表面でも所望する機能を発揮させるために良
質の盛土材が必要となり、施工に幾つかの点で制限が加
わる欠点がある。
強材とからなる壁面材強化型補強土工法においては、緑
化を実現しようとすれば柔構造壁面とせざるを得ず、急
勾配をも可能にして壁面変形を抑制しようとすれば緑化
が妨げられる。また、軽量化や施工の簡便さを配慮する
と剛構造のものとはなりがたくなる。さらに、盛土材の
土質によっては支持力に大小が生じる。大きい摩擦抵抗
による支持力を発揮させようとすると、現場発生土砂の
利用に制約が課せられる場合があり、工事の高騰化は免
れない。このように各工法には一長一短があり、いずれ
の点をも満たすことのできる補強土工法の出現が待ち望
まれる。
で、その目的は、壁面材が高い剛性を備えて急勾配設置
をも可能にしかつ壁面の変形を可及的に抑止できるよう
にすること、壁面剛性が高いにもかかわらず緑化が可能
となること、各部材には人力施工を容易にする軽量化が
図られること、盛土材の土質の如何によらず補強土工法
の適用範囲の拡大を可能にし、壁面材のずれを確実に防
止した堅牢でかつ自然環境にマッチする施工を実現でき
るようにした壁面材強化型補強土工法を提供することで
ある。
置に傾斜して配置される壁面材と、その壁面材に取りつ
けられて背後へ延びるように敷設される補強材とを備
え、その補強材を覆うように壁面材の背後を盛土して締
め固めるようにした壁面材強化型補強土工法に適用され
る。その特徴とするところは、図8を参照して、以下の
手順で剛構造壁面を構築することである。まず、地山2
2を掘削して土石を一旦除去した後、壁面が形成される
位置に基礎部材4を適宜設置する。次に、基礎部材4上
に、鋼鉄製の親柱3を所定間隔で所望する傾斜角度に立
設する(図8の(a)から(c)を参照)。隣りあう親
柱3,3間に網目状をなした鋼製パネル5を固定する。
この鋼製パネルの背後下部にシート状となったジオテキ
スタイル2を補強材として取りつけ、その後に鋼製パネ
ルの背後へ延びるように敷設する(図8の(d)を参
照)。ジオテキスタイル2を覆うように鋼製パネル5の
背後を盛土し、そのパネルに略等しい高さとなるまで締
め固める(図8の(e)を参照)。鋼製パネル5の上に
他の鋼製パネルを配置して鋼製親柱3に固定する。そし
て、ジオテキスタイル2の取りつけ操作以降の手順を鋼
製パネルごとに繰り返す(図8の(f)を参照)。
端もしくは上端近傍に至るまでの個々の鋼製パネル5に
対する盛土・締め固め操作が完了した後に、図5に示す
ように、下方の鋼製親柱3に他の鋼製親柱3を継ぎ足す
ことによって行われる。この親柱3の断面形状は少なく
とも前面側がTの字状(図4を参照)となっており、そ
の前面が壁面の外側となるように配置しておくとよい。
に延びるように上下に配置されたアングル材を胴縁7,
7として、その裏面にエキスパンドメタル6や溶接金網
が予め溶接づけされる。各胴縁7の左右端には鋼製親柱
3に固定するボルト孔7mが設けられ、下側の胴縁7A
の背後には図3に示すように補強材2を係止するための
フック8が溶接される。
はエキスパンドメタルまたは溶接金網の単体からなり、
その上下端が図11のように背後に曲げられ、下方の曲
がり部6aは補強材を係止することができるフック状と
しておけばよい。この場合には、エキスパンドメタル6
または溶接金網が鋼製親柱3の背面からあてがわれ、押
さえ板32を介してボルト・ナット31により親柱に固
定される。
ば、壁面材と補強材とからなる補強土工法に鋼鉄製親柱
が導入される。そして、地山を掘削して土石を一旦除去
し、壁面が形成される位置に適宜設けられる基礎部材上
に親柱を所定間隔で所望する傾斜角度に立設させるよう
にしているので、鋼製親柱に鋼製パネルを取りつけるだ
けで所望する角度の剛壁面を簡単に構築することができ
る。
も可能であり、変形や歪みをきたすことのない面剛性の
高い壁面が所望どおりに実現される。したがって、重要
構造物等の周りの設置にも好適なものとなる。そして、
ジオテキスタイルを覆うように鋼製パネルの背後をパネ
ルに略等しい高さまで盛土して締め固め、それを各段の
鋼製パネルごとに繰り返して積み上げることにしている
ので、壁面が高くなっても同じ手順を踏んで構築するこ
とが可能となる。
肌が外気に触れまた陽光を浴びるこができ、植生マット
を入れるなどすれば壁面の緑化が簡単に達成される。鋼
製パネルの背後下部にはシート状となったジオテキスタ
イルが取りつけられ、鋼製パネルの背後へ延びるように
敷設されるので、盛土材の土質を選ばず現地発生低質土
を使用しても盛土との高い密着性が確保され、大きな摩
擦抵抗に基づく引張力を発生して壁面の自立を十分に保
証する。
工法におけるそれよりも著しい軽量化が図られる。した
がって、人力施工も容易となり、そして重機械の導入は
可及的に抑制され、本工法の適用範囲の拡大を図ること
ができる。以上から分かるように本発明は、従来から採
用されている緑化型壁面材を使用するタイプと剛性壁面
材を採用するタイプのそれぞれにおける利点を両立させ
たものとなる。もちろん、剛構造ではありながら施工の
簡便さにより、工期の短縮や工費の低廉化が図られる。
しくは上端近傍に至るまでの各鋼製パネルに対する盛土
・締め固め操作が完了した後に、下方の鋼製親柱に他の
鋼製親柱を継ぎ足すことによって行われるので、下地が
確固たる状態において上段の施工を続けることができる
ようになる。
Tの字状となっており、その前面が壁面の外側となるよ
うに配置されるので、壁面の外側は平滑となり、また鋼
製親柱の接続も背後に位置する突出面等を利用して簡単
になされる。
置されたアングル材を胴縁として裏面にエキスパンドメ
タルや溶接金網が予め溶接づけされるので、胴縁により
鋼製パネルの面剛性は飛躍的に増大する。また鋼製パネ
ルの形状が整うことから、運搬や施工時の取り扱いが容
易となる。
ト孔が設けられ、下側の胴縁の背後には補強材を係止す
るためのフックが溶接される。したがって、鋼製親柱に
取りつける操作は数本のボルト締結によって済ませるこ
とができ、作業者の負担軽減にも寄与する。補強材もフ
ックを介して確実かつ迅速に接続され、ジオテキスタイ
ルによる支持力を鋼製パネルに確実に伝達できるものと
なる。
接金網のみとしておけば、鋼製パネルの軽量化はより一
層図られる。その面剛性は背後に曲げられた上下端によ
って確保されるが、鋼製親柱への取りつけによってさら
に向上する。下方側の曲がり部は補強材を係止すること
ができるフックとしても機能させることができ、都合が
よい。鋼製親柱への固定は背面からあてがわれ、押さえ
板を介してボルト・ナットにより固定されるので、壁面
の外側は無用の凹凸のない見栄えを呈する。
ある壁面材強化型補強土工法を、詳細に説明する。図7
は、壁面となる位置に傾斜して配置される壁面材1と、
これに取りつけられて背後へ延びるように敷設される補
強材2とを主たる構成とし、その補強材を覆うように壁
面材の背後を盛土して締め固めるようにした壁面材強化
型補強法面の断面図である。
構築には、壁面材1や補強材2に加えて、親柱3も採用
される点が特徴的である。この親柱を設置することか
ら、そのための基礎部材4も設けられる。さらに注目す
べきは、壁面を直接構成する壁面材には後述するごとく
エキスパンドメタルが採用され、これが親柱3に下から
順次上方へ取りつけられ、その鋼製パネルごとに盛土・
締め固め作業が行われるようになっている。
壁面材1は網目状をなした鋼鉄製のパネル5であり、後
に述べるように隣りあう親柱3,3間に略水平に配置し
て固定されるもので、具体的にはエキスパンドメタル6
が使用される。その網目は例えば約40mm×100m
mの菱形で、一枚のパネルは左右が例えば約2,000
mm、高さが約500mmとなっている。その上下端
は、背面を示す図2のように左右へ延びる上下に配置さ
れた2本のアングル材7,7を胴縁とし、その裏面に予
め溶接づけされ、パネルの面剛性が高められている。な
お、エキスパンドメタルに代えて適宜の目開きをもった
溶接金網を使用することもできる。
グル材の各一辺の外面が略垂直姿勢となって、相互に対
向するように配置される。したがって、各胴縁の裏面に
エキスパンドメタル6の上下端部が固定されると、両胴
縁7,7の外面が一平面内に位置して、エキスパンドメ
タル6と共に壁面の外側を形成する(図1を参照)。一
方、胴縁7の他の辺は略水平となるので、鋼製パネル5
の上下端が平らな面を形成することになり、鋼製パネル
を上下に並べて配置したとき壁面は図1のように整然と
した美感を呈する。この各パネルは工場で予め製作さ
れ、運搬や施工に容易な姿や寸法になっている。
細い鋼棒を格子状に組んだ溶接金網から構成されるが、
柔軟に変形しやすい菱形金網や亀甲金網等とは異なり、
盛土を締め固める際に局部的に直ちに大きく膨らんだり
曲がったりすることはない。もちろん、胴縁7,7があ
ることによって鋼製パネル5の面剛性は飛躍的に増大す
る。しかも、金網と同様に網目を有するので地肌が覗く
状態を維持しており、緑化を図ることもできる。
3の背面からあてがわれ、ボルト・ナットにより親柱に
固定されるようになっている。そのために、各胴縁7の
左右端には親柱に固定するボルト孔7mが設けられ、製
作誤差や取付誤差を吸収できるように長孔に形成されて
いる。なお、下側の胴縁7Aの背後へ少し延びる水平辺
上には、図3に示すように補強材2を係止するためのフ
ック8が多数並ぶように溶接によって取りつけられる。
強材2を取りつけた後に盛土をして転圧する際、盛土か
らパネル側へ幾らかの土圧が作用する。その際に土圧の
局部的な上昇があっても、エキスパンドメタル6や溶接
金網は緩やかな面変形で吸収し土圧の平準化が図られ
る。
(縦糸と横糸を交点で結合または一体化した網状構造,
格子状構造のシート類、さらには二種類以上の材料を組
み合わせた複合製品等)であり、その厚みは例えば2m
mないし3mm程度のものである。幅は鋼製パネル5と
略同等の2,000mm程度とされ、運搬の利便を図る
ために図示しないがロール状となっている。このジオテ
キスタイル2を鋼製パネル5ごとにもしくは隣りあう二
つの鋼製パネル5に跨がるようにして上記したフックに
連結される。
ク網として「テンサー」なる名称で販売されているもの
を使用すればよい。そして、ロールから約5,000m
mの長さに切り取り、各鋼製パネル5の背後に適用され
る。ここで採用されているジオテキスタイル2は、広げ
ると図4に示すように多数の長孔2aがロールの巻取り
方向に設けられる。
されると共に、盛土の締め固め時に柔軟に面変形して盛
土材と極めてよく馴染む。それゆえに、ジオテキスタイ
ルは高い引張強度と土に対する大きい摩擦抵抗を発生す
る。後述する要領により鋼製パネル5を順次上方へ配置
して盛土を締め固める際に壁面材のパネルに対して直角
に作用する土圧はさして大きくならず、ジオテキスタイ
ル2によって鋼製パネル5を十分に拘束しておくことが
できる。
な壁面材強化型補強土工法を提供する。すなわち、鋼鉄
製の親柱3を設置することにより壁面施工の均一性を実
現すると共に、例えば89度といった垂直に極めて近い
急勾配壁面の構築を可能とする。この親柱3としてTの
字状断面をした鋼材が好適であるので、CT鋼を採用す
ればよい。例えばフランジ幅およびウエブ長が約150
mmのH形鋼をウエブ中央において長手方向に切断した
ものであってもよい。
がTの字状となっていれば、鋼製パネルを背面からあて
がうことができる。したがって、CT鋼に限らずH形鋼
を採用したり、アングル材を背中合わせにしてボルト止
めし、Tの形状を形成させるようにしたものでよい。H
形鋼を採用する場合には、親柱の剛性をより高くしてお
くことができる利点がある。
おいては約2,000mmとされている。したがって、
図1に示すように、500mm高さの上記した鋼製パネ
ル5を四枚上下に張りつけることができ、また運搬や現
場施工において取り扱いが容易となる。なお、CT鋼は
Tの字形の前面3aすなわちフランジが壁面の外側とな
るように設置され(図4も参照)、ウエブ3bを挟んで
鋼製パネル5ごとに上下各二つのボルト孔3mが穿設さ
れる。
たフランジ背面の一方に鋼製パネル5があてがわれると
壁面外側からボルト孔3mにボルト9が挿通され、胴縁
7に設けたボルト孔7mから出たねじにナット10(図
3を参照)が螺着され、鋼製パネル5が鋼製親柱3に固
縛されるようになっている。
ことから、親柱としての剛性が高いことは言うまでもな
く、壁面の外側も平滑となり見栄えが向上する。それの
みならず、本断面形状によれば、図5に示すようにウエ
ブ3bに跨がり左右から挟むようにガセットプレート1
1を取りつけ、ボルト・ナットで締結すれば、鋼製親柱
3を所望する高さまで継ぎ足すことができる。
字状とする場合、その合わせ面間に予めフラットプレー
トを介在させておけば、これを介して上下の親柱となる
べき全部で四つのアングル材をボルト止めすることによ
り、親柱を上方へ延ばすことができる。
親柱の上端に至るまでの個々の鋼製パネル5に対する盛
土・締め固め操作が完了した後に、下方の鋼製親柱3に
他の鋼製親柱を上記した表裏一対のガセットプレート1
0などを用いて継ぎ足すことによって行われる。しか
し、これに限らず、親柱3の上端近傍まで三枚の鋼製パ
ネル5を取りつけ、所定の操作を終えて四枚目を取りつ
ける前に延伸作業しても差し支えない。いずれの手順に
よっても、締め固められた下地が確かな状態において上
段の施工を続けることができる。
場合には、500mm高さの鋼製パネル5を三枚取りつ
け、四枚目のパネルを取りつける前に親柱を延伸するこ
とになるが、この場合継ぎ足し部分が鋼製パネルの中間
に位置するだけで、特に問題となることはない。例えば
壁面の高さとして3,500mmが要求される場合、
2,000mmに代えて1,750mmの親柱を二本採
用する場合等に適用される。もちろん壁面の高さとして
4,000mmの場合に、2,250mmと1,750
mmの親柱を採用するときも同様である。
ら、それを支持する基礎部材が必要となる。その基礎を
築くために地山は予め掘削され、土石を一旦排除して平
滑とされる。そして、壁面が形成される位置すなわち鋼
製親柱3の立てられる位置に基礎が設けられる。その基
礎部材4は図6に示すように、ベースプレート12とそ
れを地盤に押さえるアンカー13とからなり、ベースプ
レート上面にはリブプレート14が立てられ、これに親
柱3を所定の傾斜角で立設することができるようになっ
ている。
本発明に係る壁面材強化型補強土工法による補強土法面
が構築される。まず、図8の(a)に示すように、油圧
ショベル21等を用いて地山22を掘削し、基礎地盤表
面の表土を除去して平滑に整地する。地盤の支持力が弱
ければ、ソイルセメントを土に混ぜたり薬注による土質
改良をするなどして、安定化処理が行われる。そして、
鋼製親柱3の設置箇所においては同図(b)のように砕
石23を使用し、十分に転圧して基礎工の締め固めが図
られる。
すごとく、基礎部材4が据えつけられる。すなわち、リ
ブプレート14を立設させているベースプレート12が
配置され、適数本のアンカー13によって固定する。リ
ブプレートに穿設されたボルト孔と鋼製親柱3のウエブ
に設けられた止め孔24(図6を参照)にボルトが挿通
され、ボルト孔の配置に則した姿勢で最下段の親柱が所
望する傾斜角度に立設される。このような親柱3は2,
000mmの所定間隔で壁面を構成すべき位置に左右へ
幾つも並べられる。
2に示したごとく、隣りあう鋼製親柱3,3間に鋼製パ
ネル5を取りつける。上下の胴縁7,7を親柱3の背面
にあてがい、ボルト9,ナット10(図3を参照)によ
り固定される。このときの操作は数本のボルト締結によ
って済ませることができ、作業者の負担軽減にも寄与す
る。各親柱間における最初の段の全ての鋼製パネル5が
取りつけられると、鋼製パネルの背後下部にジオテキス
タイル2を取りつけ、鋼製パネル5の背後へ延びるよう
に敷設する。
ク8,8に支持筋25としての長い棒鋼を掛け、ロール
から繰り出されたジオテキスタイル2のシート端の数百
mmを図3の黒い太い線で示すように下へもしくは図示
しないが上へ折り返して支持筋にひっかけ、胴縁7Aの
近傍で二重となっているシートの長孔2a(図4を参
照)を交互に通過して運針させたごとくの恰好で他の棒
材26を挿通する。このようにジオテキスタイル2はフ
ック8を介して確実かつ迅速に接続され、ジオテキスタ
イルによる支持力が鋼製パネル5に確実に伝達されるよ
うになる。
っても棒材26により折り返し形状が維持され、鋼製パ
ネル5から外れることはない。ジオテキスタイル2に適
宜の仮留杭27(図7を参照)を打ち、盛土材を撒いて
覆い、鋼製パネル5の背後がエキスパンドメタル6に略
等しい高さまで数回一般的には2回にわたって盛土さ
れ、油圧ショベル21や振動ローラ,ダンパ等によって
盛土を締め固める(図8の(e)を参照)。さらには、
鋼製パネル5の裏込め土を転圧機等によって固める。
に栗石や礫を積み重ね、その背後に現地発生土を盛土す
るといったことも必要に応じて行えばよい。エキスパン
ドメタルや溶接金網の目開きや盛土の土質や性状や粒度
の大小を考慮して、盛土の要領や手順を適宜選択すれば
よい。
パネル5に対する施工が完了する。次に、その鋼製パネ
ル5の上に他の鋼製パネルを配置し、図8の(d),
(e)の作業を繰り返す。2,000mm高さの鋼製親
柱3に対して四枚の鋼製パネル5を取りつける作業が完
了し、さらに壁面を高く形成するときには図5の要領等
で親柱を継ぎ足す。この親柱にも同様の手順により鋼製
パネルの取りつけ等の操作が施される。
が急勾配の設置も可能であり、変形や歪みをみだりにき
たすことのない面剛性の高い壁面が構築される。すなわ
ち、補強材2を覆うように鋼製パネル5の背後をパネル
に略等しい高さまで数回盛土して締め固めそれを各段の
パネルごとに繰り返すので、壁面が高くなっても同じ手
順を踏んで構築することが可能となる。これは鋼製親柱
3を継ぎ足した後も同様であり、壁面構築作業の定型化
や標準化も図られる。
面が高く形成される。壁面がさらに高く設けられる場合
には図7のように二段構造としてもよい。二段目の作業
は図8の(b)から始められる。いずれの壁面も緑化し
ておく場合には、植生マット等を鋼製パネル5の内側に
貼りつけるように介在させ、また適度な土壌を施してお
けばよい。エキスパンドメタル6等の網目から地肌が大
気に触れまた陽光や雨水を浴び、草本類の茎や葉が出て
エキスパンドメタル6のみならず胴縁7をも覆い、美し
い緑の壁が形成される。
水の発生が予測される場合には、ジオテキスタイルから
少し離して平行するように排水シート(図示せず)を盛
土内に適宜介在させておけばよい。排水シートを伝って
壁面側から自然排出することができ、盛土の安定性を長
く保つことができる。なお、図7に示すように小段部2
8を設ければ、壁面それ自体の緑化だけでなく、低木
種,つる種等の植生により景観の変化や自然界への同化
も図ることができる。
型補強土工法によれば、親柱の存在により鋼製パネルを
極めて正確な位置に整然と簡単に取りつけることができ
る。鋼製親柱の傾斜姿勢を所望する角度に設定すると、
壁面はその角度を維持することは言うまでもなく、しか
も急勾配の設置操作も高い技量を必要とするまでもなく
容易となる。親柱は順次上方へ延伸することができるも
のであり、所望する高さまで壁面を延ばすことができ
る。このような剛構造の壁面構築は、重要構造物等の周
りの設置にも好適なものとなる。
れたものとなり、人力施工の容易化や工事の迅速化・簡
便化が促される。そして、ジオテキスタイルの採用によ
り、盛土材の土質の如何によらず高い支持力が発揮さ
れ、補強土工法の適用範囲の拡大が実現される。もちろ
ん、壁面材のずれは確実に防止される。壁面が平面的に
見てくの字状に折れ曲がる箇所においては、適宜補強鋼
材を入れたり胴縁の左右端を少し曲げるなどして親柱に
取りつければよい。隣りあう鋼製パネルの背面から延び
るジオテキスタイルは折れ曲がる箇所において三角状に
重なるが、そのまま盛土すればよい。
網であって菱形金網等に比べれば極めて高い剛性を備
え、ジオテキスタイルによる高い支持力ともあいまって
急勾配設置も可能にしかつ壁面の変形を可及的に抑制す
る。鋼製パネルの剛性が高いにもかかわらず緑化はエキ
スパンドメタル6等の格子目によって可能となり、自然
景観の維持に寄与することができる。
剛性の高い胴縁があり、これによってパネルの面剛性は
さらに向上し、鋼製親柱への取りつけが容易となるだけ
でなく、壁面の安定度を増強させる。胴縁に取りつけら
れたフックによってジオテキスタイルを確実に接続する
ことができ、鋼製パネルの取りつけ操作の簡便化と共
に、大幅な工期の短縮を実現する。
ある。このパネルにおいてもエキスパンドメタル6また
は溶接金網が使用されることに変わりがなく、これが鋼
製親柱3に下から順次上方へ取りつけられ、その鋼製パ
ネルごとに盛土・締め固め作業が行われることも先の例
とほとんど同様である。詳しく述べると、壁面材1Aに
おけるエキスパンドメタル6は図2に比べてやや大きい
ものが採用される。そして、一つのパネルの上下端が図
10に示すように背後へ曲げられ、パネルの面剛性を高
めるように配慮される。
られているが、下端の曲がり部6aはジオテキスタイル
を取りつけることができるように、釣針状のフックを形
成している。このように壁面材としての鋼製パネルは単
なるエキスパンドメタル6または溶接金網のみからなる
が、菱形金網等とは異なり盛土を締め固める際やその後
の土圧によって簡単に変形することはない。しかも、金
網と同様に網目を有するので緑化が可能となることは述
べるまでもない。
に親柱3の背面からあてがわれ、ボルト・ナット31に
より親柱に穿設されたボルト孔3n(図9を参照)を介
して固定される。なお、エキスパンドメタル6または溶
接金網の網目はナットより大きいため、鋼製の押さえ板
32を被せて押さえるようにしている。この鋼製パネル
による効果やジオテキスタイルその他の要素による効果
は、先の例と同様である。
図8の(a)から(f)までの手順を踏んで壁面が構築
される。図9は2,000mmの親柱3に四枚の鋼製パ
ネル5Aを取りつけた正面図であり、壁面の外側は整然
とした恰好になっている。この例においては胴縁が使用
されないので、構成部材の軽量化は一層図られることに
なる。面剛性は親柱3への締結によって確保されるが、
エキスパンドメタル等自体も上記した上下端の曲がり部
によって高い剛性が確保される。
はジオテキスタイルの取りつけ用としても使用されるこ
とになり、別部品のフックを爾後的に溶接する作業も要
求されない。この鋼製パネルもまた工場において予め製
作されるので、施工現場においては、押さえ板を介した
ボルト締結操作により壁面を構築することができる。壁
面の外側には目障りな凹凸もなく見栄えはよいものとな
る。
っても、堅牢かつ自然環境にマッチした壁面材強化型補
強土工法を確立することができる。これによって、急勾
配・高標高・低質土の工事環境での盛土拡幅を可能に
し、また造成の工種・工法の選定幅を拡大することがで
きる。
て使用される鋼製パネルであって、左右一対の親柱に四
枚取りつけられた状態の壁面外側から見た前面図。
から見た背面図。
設けたフックにジオテキスタイルを取りつけた部分の拡
大図。
にジオテキスタイルを取りつけ背後に広げた状態を示す
平面図。
継ぎ足している状態を示す部分側面図。
側面図。
程図。
親柱に四枚取りつけ状態の前面図。
3…鋼製親柱、4…基礎部材、5,5A…鋼製パネル、
6…エキスパンドメタル、6a…下方の曲がり部、7,
7A…アングル材(胴縁)、7m…ボルト孔、8…フッ
ク、11…ガセットプレート、22…地山、31…ボル
ト・ナット、32…押さえ板。
Claims (7)
- 【請求項1】 壁面となる位置に傾斜して配置される壁
面材と、該壁面材に取りつけられて背後へ延びるように
敷設される補強材とを備え、該補強材を覆うように前記
壁面材の背後を盛土して締め固めるようにした壁面材強
化型補強土工法において、 地山を掘削して土石を一旦除去した後、壁面が形成され
る位置に基礎部材を適宜設置し、 該基礎部材上に鋼製親柱を所定間隔で所望する傾斜角度
をもって立設し、 隣りあう上記親柱間に網目状をした鋼製パネルを固定
し、 該鋼製パネルの背後下部にシート状となったジオテキス
タイルを補強材として取りつけた後、該パネルの背後へ
延びるように敷設し、 該ジオテキスタイルを覆うように前記鋼製パネルの背後
を盛土し、該パネルに略等しい高さとなるまで締め固
め、 上記鋼製パネルの上に他の鋼製パネルを配置して前記鋼
製親柱に固定し、 上記ジオテキスタイルの取りつけ操作以降の手順を鋼製
パネルごとに繰り返して剛構造壁面を構築することを特
徴とする壁面材強化型補強土工法。 - 【請求項2】 前記鋼製親柱の上方への延伸は、親柱の
上端もしくは上端近傍に至るまでの個々の鋼製パネルに
対する盛土・締め固め操作が完了した後に、下方の鋼製
親柱に他の鋼製親柱を継ぎ足すことによって行われるこ
とを特徴とする請求項1に記載された壁面材強化型補強
土工法。 - 【請求項3】 前記鋼製親柱の断面形状は少なくとも前
面側がTの字状となっており、その前面が壁面の外側と
なるように配置されることを特徴とする請求項1または
請求項2にに記載された壁面材強化型補強土工法。 - 【請求項4】 前記鋼製パネルは、左右に延びるように
上下に配置されたアングル材を胴縁として裏面にエキス
パンドメタルや溶接金網が予め溶接づけされていること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に
記載された壁面材強化型補強土工法。 - 【請求項5】 前記胴縁の左右端には前記親柱に固定す
るボルト孔が設けられ、下側の胴縁の背後には前記補強
材を係止するためのフックが溶接づけされていることを
特徴とする請求項4に記載された壁面材強化型補強土工
法。 - 【請求項6】 前記鋼製パネルはエキスパンドメタルま
たは溶接金網の単体からなり、その上下端が背後に曲げ
られ、下方の曲がり部は前記補強材を係止することがで
きるフック状となっていることを特徴とする請求項1な
いし請求項3のいずれか一項に記載された壁面材強化型
補強土工法。 - 【請求項7】 前記エキスパンドメタルまたは溶接金網
は前記鋼製親柱の背面からあてがわれ、押さえ板を介し
てボルト・ナットにより親柱に固定されることを特徴と
する請求項6に記載された壁面材強化型補強土工法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005048459A (ja) * | 2003-07-29 | 2005-02-24 | Mitsui Kagaku Sanshi Kk | 籠体マット及びその利用 |
KR101222521B1 (ko) * | 2012-03-20 | 2013-01-15 | 평산에스아이 주식회사 | 보강토 강재 패널 |
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