JP2000303264A - 熱融着性複合繊維及びその製造方法 - Google Patents
熱融着性複合繊維及びその製造方法Info
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Abstract
繊維より繊維化工程性が良好であり、かつ従来より強度
が高く、熱収縮率が低い熱融着性複合繊維を創出するこ
と。またそれにより、繊維の加工工程での取扱性が優
れ、得られる繊維製品の寸法安定性、強度が優れたもの
となる熱融着性複合繊維を高速かつ安定して得ること。 【解決手段】 A成分とB成分とからなる複合繊維であ
って、A成分が二次転移点温度(Tg)が下記式(1)
を満足し結晶性融解熱が実質的に0cal/gである非
晶性ポリマーであり、B成分が融点150℃以上の結晶
性熱可塑性ポリマーであり、かつA成分対B成分の複合
比率が30:70〜70:30でA成分が繊維表面の少
なくとも40%を形成し、さらに繊維物性が下記式
(2)、(3)、(4)を満足する熱融着性複合繊維。 式(1): Tg ≧ 70℃ 式(2): DT ≧ 4g/d 式(3): W ≦ 6% 式(4): D ≦ 8%ここで、DT:強度(g/
d)、W:沸水収縮率(%)、D:乾熱収縮率(%)
Description
に関するものである。また詳しくは従来の非晶性ポリエ
ステル系の熱融着性複合繊維より繊維化工程性が良好で
あり、かつ従来より強度が高く、熱収縮率が低いことに
より、該繊維の加工工程での取扱性及び得られた繊維製
品の寸法安定性、強度が優れたものとなるポリエステル
系熱融着性複合繊維、及び該繊維を高速かつ安定して得
ることができる方法に関するものである。
点ポリマーである熱融着性繊維としては、例えばポリエ
チレンを接着成分とするポリエチレン−ポリプロピレン
複合繊維、共重合ナイロンを接着成分とするポリプロピ
レンとの複合繊維、エチレン-ビニルアルコール共重合
体を接着成分とするポリエチレンテレフタレートとの複
合繊維、非晶性ポリエステルを接着成分とするポリエチ
レンテレフタレートとの複合繊維等多々ある。特にポリ
エステル系の熱融着性繊維は熱接着されるベースとなる
繊維がポリエステル系である場合には最も適しており、
ポリエステル繊維への用途が拡大にするに伴って、需要
は拡大されている。また、このポリエステル系熱融着複
合繊維はその主用途が不織布、詰め綿、綿状成形物等の
ランダムな繊維集合体の形状固定にあるため、短繊維が
ほとんどであるが、近年では織物、編物の交差点を固定
するものとして長繊維も発明されている。
着成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレ
ングリコールまたはブチレングリコールを主成分とする
共重合ポリエステル(非晶性)が多く提案されている
が、いずれの場合もその共重合ポリエステルの二次転移
点温度は約60〜70℃と低く、従来の紡糸後に延伸を
実施する手法においては延伸温度をあまり高くすること
ができない。例えば芯成分としてポリエチレンテレフタ
レートを用い、鞘成分として上記の非晶性ポリエステル
を用いた芯鞘複合繊維を得る場合、延伸温度をこの非晶
性ポリエステルの二次転移点温度より高く設定すると、
繊維間での膠着が生じ、短繊維ではカットやカード工程
等の後工程性が著しく悪化するとともに、分散状態が不
良となり得られる製品品位が低いものとなってしまい、
長繊維の場合ではモノフィラメント状となり取扱性の悪
いものとなるため、延伸温度は非晶性ポリマーの二次転
移温度より低くせざるを得ない。そのため芯成分である
ポリエチレンテレフタレートが十分配向結晶化させるだ
けの熱処理が施されず、延伸歪が繊維内に内在し、その
結果、繊維の沸水及び乾熱収縮率が大きくなり、繊維製
品の熱的寸法安定性に欠けたものとなると共に、強度も
4g/d未満の低いものとなる。
4号公報には非晶性ポリエステルの二次転移点温度を上
げるために、共重合成分として2,2-ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物
を用いる提案がなされている。この方法において二次転
移点温度は上昇し延伸温度は上げられるが、それでも最
高100℃であり、延伸後得られる繊維の強度は4g/
d未満であり、繊維製品の強度に劣り、本発明でいうと
ころの熱収縮率よりは大きくなって寸法安定性に問題が
ある。
は熱融着性複合繊維を5000m/分以上の紡糸速度で
得、延伸熱処理を行わない方法が提案されているが、こ
の方法においても得られる繊維の強度は4g/d未満で
あり、繊維製品の強度に劣るものである。
のごとき問題点を解決するものである。つまり、熱融着
性複合繊維に関して、従来の非晶性ポリエステル系の熱
融着性複合繊維より繊維化工程性が良好であり、かつ従
来より強度が高く、熱収縮率が低いことにより、該繊維
の加工工程での取扱性が優れ、得られた繊維製品の寸法
安定性、強度が優れたものとなるポリエステル系熱融着
性複合繊維を高速かつ安定して得ることにある。
分とからなる複合繊維であって、A成分が二次転移点温
度(Tg)が下記式(1)を満足する結晶性融解熱が実
質的に0cal/gである非晶性ポリマーであり、B成
分が融点150℃以上の結晶性熱可塑性ポリマーであ
り、かつA成分対B成分の複合比率が30:70〜7
0:30でA成分が繊維表面の少なくとも40%を形成
し、さらに繊維物性が下記式(2)、(3)、(4)を
満足する熱融着性複合繊維である。 式(1): Tg ≧ 70℃ 式(2): DT ≧ 4g/d 式(3): W ≦ 6% 式(4): D ≦ 8% ここで、 DT:強度(g/d) W :沸水収縮率(%) D :乾熱収縮率(%) また本発明は、二次転移点温度(Tg)が下記式(5)
を満足し、結晶性熱融解熱が実質的に0cal/gであ
る非晶性ポリマー(A成分)と、融点150℃以上の結
晶性熱可塑性ポリマー(B成分)とを、A成分対B成分
の複合比率が30:70〜70:30でA成分が繊維表
面の少なくとも40%を形成するように複合溶融紡出
し、該紡出後A成分及びB成分のガラス転移点温度以下
に冷却し、該冷却したマルチフィラメントを集束するこ
となく引続き雰囲気温度150℃以上に加熱した加熱体
域を非接触状態で通過させ、その後3000m/分以上
の速度で引き取ることを特徴とする熱融着性複合繊維の
製造方法である。 式(5): Tg ≧ 70 ℃
発明におけるA成分を構成するポリマーは二次転移点温
度が70℃以上であることが必要である。二次転移点温
度が70℃未満である場合、ポリマー製造後の乾燥温度
をかかる温度以上の温度で実施するとポリマー間に膠着
が生じ、トラブル発生の要因となるため、かかる温度未
満の温度で長時間かけて真空乾燥しているのが実情であ
り、コスト的にも生産効率的にも好ましくない。更に、
かかる温度未満の非晶性ポリマーを用いた場合、本発明
での製糸工程でも単繊維間の膠着が起こり易く好ましく
ない。
晶融解熱(△H)が実質的に0cal/gである非晶性
ポリマーであることが必要である。△Hが測定できるポ
リマーになってくると接着繊維としての品質が低下し、
特に剥離強度の低下が著しくなってくる。
細な繊維状または薄膜フィルム小片として取りだして冷
却し、3日以上室温で放置した試料を示差走査熱量計
(DSC)にかけ、窒素中、10℃/分の速度で昇温
し、結晶領域の融解時の吸熱ピークの面積より求める値
であるが、本発明のA成分ポリマーは非晶性であるた
め、結晶領域の融解に基づく吸熱ピークは発生してこな
い。従って△Hは実質的に0cal/gである。吸熱ピ
ークが非常にブロードになり明確に吸熱ピークを判断で
きない場合は、実質的に吸熱ピークが無く、△Hは0c
al/gと判断してさしつかえない。
ソフタル酸をテレフタル酸に対して20〜60モル%共
重合させたポリエチレンテレフタレートなどが挙げられ
る。ポリエチレンテレフタレートをベースとした共重合
ポリエステルでA成分ポリマーとする場合、共重合成分
としては上記条件を満たすものであれば特に限定はされ
ず、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸またはこ
れらのエステル類やジオール化合物を共重合することで
目的とする物に合った共重合成分、共重合比率とすれば
良い。
限粘度〔η〕は0.5〜0.9が好ましく、0.6〜
0.85がより好ましい。
加剤、蛍光増白剤、安定剤あるいは紫外線吸収剤などを
含有していてもよい。
熱可塑性ポリマーを用いることである。本発明でいう融
点150℃以上のB成分ポリマーとしては、融点150
℃以上の繊維成型性良好なポリマーであればどれでもよ
く、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンなどが
用いられる。好ましくはエチレンテレフタレートまたは
ブチレンテレフタレートを主構成単位とするポリエステ
ルか、ナイロン12またはナイロン6またはナイロン
6,6を主成分とするポリアミドである。
酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)
エタン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もし
くはアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸
またはこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキ
サン1,4ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポ
リテトレエチレングリコールなどのジオール化合物から
合成される繊維形成性ポリエステルであり、構成単位の
80モル%以上が、特には90モル%以上がエチレンテ
レフタレート単位もしくはブチレンテレフテレート単位
であるポリエステルが好ましい。
光増白剤、安定剤あるいは紫外線吸収剤などを含有して
いてもよい。
上とするためには0.5以上が好ましい。上限は特に限
定しないが繊維化工程性を考慮すると1.0程度が好ま
しい。
ナイロン6,6、ナイロン12を主成分とするポリアミ
ドであり、少量の第3成分を含有するポリアミドでもよ
い。これらに少量の添加剤、蛍光増白剤、安定剤等を含
有していても良い。その相対粘度はポリエステル系と同
様な理由により2.0〜2.8程度が好ましい。
複合比率はA:B=30:70〜70:30(重量比)
である必要がある。A成分の比率が30%未満になると
良好な熱融着性が得られにくくなり、A成分の比率が7
0%を超えると強度が低くなるとともに、やや曳糸性に
劣るA成分が多くなり過ぎ紡糸工程性が不良となりやす
い。特にはA:B=40:60〜60:40であること
が好ましい。
着性を考慮して、A成分が繊維表面の40%以上である
ようなものが好ましく、50%以上であることがより好
ましい。単繊維の断面形状は円に限定されるものではな
く、楕円、Y型、T型、X型、△型、多角形等の異型断
面、中空断面も採用できる。図1(a)〜(k)に、本
発明熱融着複合繊維での形態を示す一例断面図を示す。
強度4g/d以上、かつ低熱収縮率、すなわち沸水収縮
率が6%以下、200℃における乾熱収縮率が8%以下
であることが必須である。
足していない場合は、長繊維として使用する場合におい
ては製編織工程、製編織後の精練、プレセットなどの熱
工程性が悪く、また得られる編織物の寸法安定性等の品
位の悪い物となる。短繊維として使用する場合において
も得られた繊維製品の強度、寸法安定性等の品位が悪い
物となってしまう。
を含め次のような製造技術を全て満足することによって
はじめて達成可能となる。即ち、ポリマーとしては、
B成分としてポリエステルを用いるときは極限粘度
[η]を0.5〜1.0、ナイロンを用いるときには相対
粘度を2.0〜3.0とする。またA成分としては二次転
移点温度が70℃以上、結晶性融解熱が実質的に0ca
l/gである非晶性ポリマーとする。紡糸方法として
は、上記ポリマーの組み合わせの複合繊維を溶融紡出し
た後、A及びB成分のガラス転移点温度以下に冷却し、
該冷却したマルチフィラメントを集束することなく引続
き雰囲気温度150℃以上に加熱した加熱体域を非接触
状態で通過させ、その後3000m/分以上の速度で引
き取ることである。以上のような製造技術により、上述
してきたような本発明の目的とする物性(強度、熱収縮
率)のものとなるとともに、目的物性を得る工程での単
繊維間の膠着が無い熱融着性繊維を得ることが可能とな
った。
に説明する。ここまで説明したA成分ポリマーとB成分
ポリマーをそれぞれ個別の押出機で溶融押し出しし、各
々紡糸ヘッドへ導入し、目的とする個々の複合形態を形
成させる紡糸口金を経由して溶融紡出する。この場合の
溶融紡出温度、溶融紡出速度などは特に制限されず、ポ
リエステル繊維を製造するのに通常用いられているのと
同様の条件下で行うことができるが、溶融紡出温度につ
いては複合繊維を構成する2成分の融点の高い方の融点
に対して20〜40℃高い温度(例えばB成分ポリマー
がポリエチレンテレフタレートの場合は一般に約280
〜300℃)にし、かつ溶融紡出速度(溶融紡出量)を
約20〜50g/紡糸孔1mm2・分程度とすると、品
質の良好な複合繊維を良好な紡糸工程で得ることができ
るので好ましい。
数、紡糸孔の形状なども特に制限されず、目的とする複
合繊維の単繊維度、総合デニール数、断面形状などに応
じて調節することができる。一般に、紡糸孔(単孔)の
大きさを約0.018〜0.07mm2程度にしておく
のが望ましい。紡糸口金の孔周囲にノズル汚れが堆積し
て糸切れが発生する場合は、ノズル孔出口がテーパー状
に広がった形状にしたり、口金下雰囲気をスチームシー
ルして酸素を遮断する手法が好ましい。
2成分のガラス転移点の低い方のポリマーA成分のその
ガラス転移点以下の温度、好ましくはガラス転移点温度
よりも10℃以上低い温度に冷却する。この場合の冷却
方法や冷却装置としては、紡出した複合繊維をそのガラ
ス転移点温度以下に冷却できる方法や装置であればいず
れでもよく、特に制限されないが、紡糸口金の下に冷却
風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を設けておい
て、紡出されてきた複合繊維に冷却風を吹き付けてガラ
ス転移点温度以下に冷却するようにするのが好ましい。
その際に冷却風の吹き付け角度などの冷却条件も特に制
限されず、口金から紡出されてきた複合繊維を揺れなど
を生じないようにしながら速やかにかつ均一にガラス転
移点温度以下にまで冷却できる条件であればいずれでも
よい。
0〜30℃、冷却風の湿度を20〜60%、冷却風の吹
き付け速度0.4〜1.0m/秒程度として、紡出繊維
に対する冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直
にして、紡出した複合繊維の冷却を行うのが、高品質の
複合繊維を円滑に得ることができるので好ましい。ま
た、冷却風吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行
う場合は、紡糸口金の直下にやや間隔をあけて、または
間隔をあけないで、長さ約800〜1600mm冷却風吹
き付け等を設置するのが好ましい。
た複合繊維を引き続いてそのまま直接加熱帯域に導入し
て延伸する。加熱帯域の温度はB成分ポリマーの種類な
どに応じて異なり得るが、一般には用いる複合2成分ポ
リマーのガラス転移点温度の高い方のそれよりも40℃
以上高い温度としておくと、均質な複合繊維が得られる
ことになる。本発明の沸水収縮率、乾熱収縮率の範囲を
満足するためには、さらに加熱帯域を高温とすることが
肝要であり、例えばA成分ポリマーとしてイソフタル酸
40モル%共重合したポリエチレンテレフタレート、B
成分としてポリエチレンテレフタレートを用いた複合繊
維の場合は加熱帯域の温度を約160℃以上とするのが
好ましい。加熱帯域の上限温度は、加熱帯域内で繊維間
の融着や糸切れ、単糸切れなどが生じないような温度で
あればよい。
フィラメントを集束せず、紡糸から少なくとも延伸、熱
セットまでを直結非接触状態で処理することが肝要であ
り、この非接触状態での処理により、フィラメントA成
分の△Hが0cal/gでも融着、膠着を起こすことな
く均一な熱融着性複合繊維が安定して得られるものであ
る。
する複合繊維を加熱帯域内の加熱手段などに接触せず加
熱することができ、しかも加熱帯域内を走行する糸条と
それを包囲する空気との間に抵抗を生じさせて糸条張力
を増大させて、繊維に延伸を生じさせることのできる構
造であればより好ましい。そのうちでも、加熱帯域とし
ては、筒状の加熱帯域が好ましく用いられ、特に管壁自
体がヒーターとなっている内径20〜50mm程度のパ
イプヒーターなどが好ましい。
帯域の長さなどは、複合繊維の種類、複合2成分ポリマ
ーの紡出量、複合繊維の冷却温度、複合繊維の走行速
度、加熱帯域の温度、加熱帯域の内径などに応じて調節
できるが、一般に紡糸口金直下から加熱帯域の入り口ま
での距離を0.5〜3.0m程度とし、そして加熱帯域
の長さを1.0〜2.0m程度としておくと、加熱帯域
内で複合繊維を加熱して均一に円滑に延伸することがで
きるので望ましい。
必要に応じて油剤を付与してから、高速で引き取る。そ
の際、A成分が非晶性ポリマーであるので単繊維間で融
着を起こし易い場合があるので、状況に応じて加熱帯域
通過後の油剤付与する間で冷却風を吹き付ける等の糸条
の冷却処理を施すことが好ましい。
延伸した複合繊維の製造工程を複合繊維の引き取り速度
を3000m/分以上にして行うことが必要であり、引
き取り速度が3500m/分以上であることが好まし
い。複合繊維の引き取り速度が3000m/分未満であ
ると、加熱帯域において複合繊維の延伸が十分に行われ
なくなり、得られる複合繊維の機械的強度が低下し、し
かも上記した一連の工程からなる本発明の方法が円滑に
行われず、特に加熱帯域における糸条の張力変動、過加
熱などが生じて、均一な延伸が行われにくくなる。
単繊維繊度や総デニール数などは特に制限されず、複合
繊維の用途などに応じて適宜調節することができるが、
本発明の方法は特に単繊維繊度が0.5〜6デニール、
総デニール数が30〜300デニールの複合繊維(マル
チフィラメント糸)を製造するのに適している。短繊維
として用いる場合は、これらの糸を紡糸工程で合糸、も
しくは紡糸後に合糸し、捲縮、カット等の処理を施せば
良い。
明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるもの
ではない。なお、実施例における各測定値は以下の方法
により測定されたものである。
ノールとテトラクロロエタンの等量混合溶媒を用い30
℃恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて測定し、ポリ
アミドはオルソクロルフェノールを用いて30℃下で測
定した。
スキャニング・カロリメーター(Differential Scann
ing Calorimeter;メトラーTA3000、パーキンエ
ルマー社製)を使用し、試料10mg、昇温及び降温速
度10℃/分の条件で、窒素置換を行いながら測定し、
同じ試料でこの操作を2回繰り返して2回目の値を実測
値とした。
て測定した。
で試料に50cm間隔の印をつけ、ついで試料を98℃
の熱水中に5mg/デニールの荷重下30分放置し、そ
の後取り出して、1mg/デニールの荷重下で印の間隔
Lcmを測定し、次式により算出した。 沸水収縮率(%)=[(50−L)/50]×100
で試料に50cm間隔の印をつけ、ついで試料を200
℃に昇温された乾熱雰囲気中に5mg/デニールの荷重
下10分放置し、その後取り出して、1mg/デニール
の荷重下で印の間隔L’cmを測定し、次式により算出
した。 乾熱収縮率(%)=[(50−L’)/50]×100
[η]0.60のイソフル酸45モル%、ジエチレング
リコール10モル%を共重合したポリエチレンテレフタ
レート、B成分としては固有粘度[η]0.80のポリ
エチレンテレフタレートを用い、A成分ポリマーとB成
分ポリマーとを押出機により別々に溶融押し出しし、そ
の後それぞれ別々のギアポンプにて計量し、複合比率5
0:50で図1(a)の如くA成分ポリマーを鞘、B成
分ポリマーを芯とする芯鞘型断面で複合形状を形成さ
せ、計量部分の口径が0.20mm、24ホールの丸孔
ノズルから、紡糸温度290℃で溶融紡出した。紡糸口
金直下に長さ1.0mの横吹き付け型の冷却風吹き付け
装置を設置しておき、口金から紡出した複合繊維を直ち
にその冷却風吹き付け装置に導入して、温度25℃、湿
度65RH%に調整した冷却風を0.5m/秒の速度で
紡出繊維に吹き付けて、繊維を50℃以下(冷却風吹き
付け装置出口での繊維温度:40℃)にまで冷却した。
50℃以下に冷却した複合繊維を、紡糸口金直下から1
100mmの位置に設置した長さ1.0m、内径30m
m、内壁温度180℃のパイプヒーターに導入してパイ
プヒーター内で延伸した後、パイプヒーターから出てき
た繊維に、温度15℃、湿度65RH%に調節した冷却
風を5m/秒の速度で吹き付けた後、オイリングローラ
ー方式で油剤を付与し、引き続いて一対(2個)の引き
取りローラーを介して4000m/分の引き取り速度で
巻き取って、50デニール/24フィラメントの複合繊
維を製造した。製糸工程性、フィラメント間の膠着、得
られたコンジュゲート繊維の強度、沸水収縮率、乾熱収
縮率を表1に示している。得られた複合繊維を、ポリエ
チレンテレフタレート繊維75デニール/24フィラメ
ントと混合率10%で交織及び交編し、通常の方法でプ
リセット、精錬を行い、190℃で熱接着処理を行っ
た。交編織時のコンジュゲート繊維の糸切れ等の加工
性、並びに織編物製品の品位を表1に示している。製糸
工程性、加工工程性、製品品位とも良好であった。
成分種類、含有量、B成分ポリマーの種類、A成分とB
成分の複合比、断面形状を表1に示すような条件に変え
る以外は実施例1と同様にして複合繊維を得、織編物を
作製、製品を仕上げた。製糸工程性、加工工程性、製品
品位とも良好であった。
種類、含有量、Tgを表1に示すような条件に変える以
外は実施例1と同様にして複合繊維の製造を試みたが、
製糸工程中で単糸同士の膠着が起こり、断糸が多発し製
糸工程性が不良であった。
種類、含有量、Tg、ΔHを表1に示すような条件に変
える以外は実施例1と同様にして複合繊維を製造し、交
織編物を製造した。製糸工程性、加工工程性は良好であ
ったが、接着力が弱く、目ずれを起こし、製品品位が不
良であった。
1に示すような条件に変える以外は実施例1と同様にて
複合繊維の製造を試みたが、断糸が多発し工程性が不良
であった。また得られた繊維を用いて実施例1と同様に
交織製品の製造を試みたが、交織時の糸切れが多発し不
良であった。
表1に示すような条件に変える以外は実施例1と同様に
して複合繊維を製造し、交織編物を製造した。製糸工程
性、加工工程性は良好であったが、接着力が弱く、目ず
れを起こし、製品品位が不良であった。
ターを用いず、巻き取り速度1000m/minで巻き取っ
た複合繊維を、70℃に加熱したローラーで予熱した
後、3.2倍に延伸しながら120℃に加熱したプレー
トで熱セットを行って複合繊維を製造する以外は実施例
1と同様にして複合繊維の製造を試みた。しかしなが
ら、延伸熱セット工程で単糸同士の膠着が起こり、モノ
フィラメント状態となり、取り扱い性が著しく悪いもの
となった。また、乾熱収縮率が高いため、ポリエチレン
テレフタレート繊維と収縮差が生じ、目ずれ、シボが発
生し製品品位が著しく不良であった。
条件に変える以外は実施例1と同様にして複合繊維を得
ようと試みたが断糸が多発し著しく工程性不良であっ
た。また得られた複合繊維は強度が低いため加工工程で
の糸切れが発生し、沸水収縮率、乾熱収縮率が高いため
にポリエチレンテレフタレート繊維と加工工程において
収縮差が生じ、目ずれ、シボが発生し製品品位が不良で
あった。
℃とする以外は実施例1と同様にして複合繊維を製造
し、交織編物を得た。沸水収縮率、乾熱収縮率が高いた
め、加工工程での収縮斑が発生し易く、また交織編相手
のポリエチレンテレフタレート繊維との収縮差により目
ずれ、シボが発生し製品品位の低いものとなった。
複合繊維は、繊維化工程性が極めて良好であり、かつ強
度が高く、熱収縮率が低いことにより、該繊維の加工工
程での取扱い性及び得られた繊維製品の寸法安定性、強
度が優れたものとなるものである。また本発明の熱融着
性複合繊維の製法は、該繊維を高速かつ安定して製造す
ることができる。
複合形態の一例を示す断面図である。
al/gの非晶性ポリマー (ロ) 融点150℃以上の結晶性熱可塑性ポリマー
Claims (2)
- 【請求項1】 A成分とB成分とからなる複合繊維であ
って、A成分が二次転移点温度(Tg)が下記式(1)
を満足し結晶性融解熱が実質的に0cal/gである非
晶性ポリマーであり、B成分が融点150℃以上の結晶
性熱可塑性ポリマーであり、かつA成分対B成分の複合
比率が30:70〜70:30でA成分が繊維表面の少
なくとも40%を形成し、さらに繊維物性が下記式
(2)、(3)、(4)を満足する熱融着性複合繊維。 式(1): Tg ≧ 70℃ 式(2): DT ≧ 4g/d 式(3): W ≦ 6% 式(4): D ≦ 8% ここで、 DT:強度(g/d) W :沸水収縮率(%) D :乾熱収縮率(%) - 【請求項2】 二次転移点温度(Tg)が下記式(5)
を満足し、結晶性熱融解熱が実質的に0cal/gであ
る非晶性ポリマー(A成分)と、融点150℃以上の結
晶性熱可塑性ポリマー(B成分)とを、A成分対B成分
の複合比率が30:70〜70:30でA成分が繊維表
面の少なくとも40%を形成するように複合溶融紡出
し、該紡出後A成分及びB成分のガラス転移点温度以下
に冷却し、該冷却したマルチフィラメントを集束するこ
となく引続き雰囲気温度150℃以上に加熱した加熱体
域を非接触状態で通過させ、その後3000m/分以上
の速度で引き取ることを特徴とする熱融着性複合繊維の
製造方法。 式(5): Tg ≧ 70 ℃
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---|---|---|---|---|
WO2003042436A1 (en) * | 2001-11-14 | 2003-05-22 | University Of Leeds | Centrifugal spinning process |
US9422643B2 (en) | 2010-07-29 | 2016-08-23 | Kuraray Co., Ltd. | Method for producing article |
CN110923847A (zh) * | 2019-11-06 | 2020-03-27 | 芦山华美包纱有限公司 | 一种高弹热熔的复合异型纤维及其制备工艺 |
CN113186610A (zh) * | 2020-03-07 | 2021-07-30 | 东部湾(扬州)生物新材料有限公司 | 一种卫材用es纤维的制备方法及es纤维 |
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