JP2000302068A - クローラ - Google Patents

クローラ

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JP2000302068A
JP2000302068A JP11111091A JP11109199A JP2000302068A JP 2000302068 A JP2000302068 A JP 2000302068A JP 11111091 A JP11111091 A JP 11111091A JP 11109199 A JP11109199 A JP 11109199A JP 2000302068 A JP2000302068 A JP 2000302068A
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Japan
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wheel
crawler
guide plate
endless belt
support means
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JP11111091A
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Yoshimasa Kimura
嘉昌 木村
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな操舵力で操舵でき、軟弱路面等でも高
い走行性能を確保できるクローラ。 【解決手段】 車体12に固定された固定フレーム22
の下端に揺動フレーム46が軸支される。揺動フレーム
46にはゴム製のタイヤ42で構成された前側転輪52
及び後側転輪54が軸支され、さらにその前方及び後方
に、金属製の前側ガイド盤62及び後側ガイド盤64が
軸支される。駆動輪16、前側ガイド盤62、前側転輪
52、後側転輪54及び後側ガイド盤64に、ゴム製の
無端ベルト44が巻き掛けられて側面視にて略五角形状
となっている。軟弱路面ではクローラ10が沈み込んで
接地長が長くなるため高い走行性能を得ることができ
る。硬い路面上では、接地長が転輪ピッチLと略一致し
ており短いので、操舵モーメントが小さくなり、小さな
操舵力で操舵できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クローラに関し、
さらに詳しくは、駆動輪、転輪等に巻き掛けられた無端
ベルトを駆動輪からの駆動力で巻掛方向へ循環させて車
両を走行させるクローラに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車には、エンジン等の駆動手段の駆
動力を受けて駆動輪を回転させ、この駆動輪及び転輪等
に巻き掛けた無端ベルトを循環させる、いわゆるクロー
ラによって走行するものがある。このようなクローラの
構造の一例が、特開平9−309468号公報に示され
ている。
【0003】図12に示すように、このクローラ110
では、駆動軸112にフレーム114が取り付けられ、
このフレーム114に第1転輪(前側転輪)118、第
2転輪(後側転輪)120、及び中間転輪122が軸支
されている。また、駆動輪116、第1転輪118、第
2転輪120、及び中間転輪122には無端ベルト12
4が側面視にて略二等辺三角形状に巻き掛けられてる
(以下、このタイプのクローラを略二等辺三角形クロー
ラとよぶ)。無端ベルト124が駆動輪112からの駆
動力を受けて循環し、車両が走行する。
【0004】しかし、このような構造のクローラ110
では前後長が大きくなり、クローラ110を収容するた
めのホイールハウスを大きくする必要がある。
【0005】かかる不都合を解消すべく、本願出願人
は、図13に示す構造のクローラ130を提案している
(特開平10−147267号参照)。
【0006】このクローラ130では、駆動軸132に
固定フレーム134が揺動不要に取り付けられ、固定フ
レーム134の下部に、揺動フレーム136がブッシュ
又はベアリングを介して揺動可能に軸支されている。揺
動フレーム136の前端には、ヒンジ138を介して、
支持アーム140が軸支されている。そして、支持アー
ム140、及び揺動フレーム136の後端に、それぞれ
ゴムタイヤ142で構成された前側転輪144及び後側
転輪146が軸支されている。駆動輪148、前側転輪
144及び後側転輪146に、無端ベルト150が側面
視にて略正三角形状に巻き掛けられている(以下、この
タイプのクローラを略正三角形クローラと呼ぶ)。
【0007】また、このクローラ130では、前側転輪
144及び後側転輪146よりも僅かに小径で、前側転
輪144及び後側転輪146と同軸かつ一体回転する円
板状のガイド盤が設けられている。このガイド盤によっ
て、車両制動時及び駆動時に無端ベルト150に作用し
た引っ張り力により前側転輪144及び後側転輪146
を構成するゴムタイヤ142が径方向内側に弾性変形し
て無端ベルト150が緩んだ場合でも、無端ベルト15
0がガイド盤に当接して巻掛け形状の過度の変形が阻止
され、いわゆる歯飛び現象が発生しないようになってい
る。
【0008】従って、このクローラ130では、図12
に示すクローラ110と比較して前後長が短くなる。ま
た、揺動フレーム136が揺動し、クローラ130全体
は揺動しないので、ホイールハウスを大きくする必要が
ない。加えて、クローラ130を構成する部品点数も少
なくなり、低コストとなる。
【0009】このクローラ130では、上記したように
ガイド盤によって無端ベルト150の巻掛け長の変化が
一定範囲に制限されているため、無端ベルト150を交
換するために、支持アーム140に前側転輪144を取
り付け、支持アーム140を揺動させて前側転輪144
を内側に移動可能としている。従って、クローラ130
の構造が複雑になり、製造コストの上昇を招くおそれが
ある。また、ヒンジ138は不可避的にいわゆる軸芯ズ
レを有するので、この軸芯ズレを少なくして車両の走行
性能(特に直進性)を向上させるためには、ヒンジ13
8の加工精度を上げたり、大型にしたりすることが求め
られ、重量増や製造コストの上昇を招くことがあった。
【0010】また、このクローラ130では、前側転輪
144と後側転輪146とのピッチ(転輪ピッチL)が
無端ベルト150の接地長S2とほぼ一致しており、無
端ベルト150の接地面積Sは転輪ピッチLに比例する
(無端ベルトの幅をHとするとS=L×H)ため、接地
面積Sを大きくして軟弱路面等での高い走行性能を得る
ためには、転輪ピッチLを広げるか、若しくは無端ベル
トの幅Hを広くする必要がある。ところが、無端ベルト
の幅Hには車体の幅等との関係から限界があるため、転
輪ピッチLを広げることで接地面積Sを大きくせざるを
得ない。しかし、転輪ピッチLを広げると、例えば、固
い路面上での据え切り時や低速走行での操舵時に、以下
の理由により、操舵力が大きくなる。
【0011】すなわち、据え切り時にクローラ130自
体を操舵方向に回転させるモーメント(以下、このモー
メントを「クローラ操舵モーメント」という)MC
は、図14に示すように、横力係数をη、輪荷重をW、
キャスタートレールをdLとして、近似的に MC =ηW/2・(L/2−dL)+ηW/2・(L/2+dL) =ηW・L/2 (1) となる。これに対し、図15に示すように、クローラ1
30に代えて一般的なタイヤ152を使用した場合のタ
イヤ操舵モーメントMT は、荷重点の前後長方向の代
表値をDとして、近似的に MT =ηW・D/2 (2) となる。ここで、クローラの場合には接地面積を大きく
するという要求から、通常、L>Dとされるので、MC
>MT 、すなわちクローラ操舵モーメントMC は
タイヤ操舵モーメントMT よりも大きく、しかもその
大きさは転輪ピッチLに比例する。
【0012】このような大きな操舵力は、従来から車両
に使用されているパワーステアリング装置を適用するこ
とで解消することができる。しかし、図16に示すよう
に、パワーステアリング装置のアシスト力は、操舵モー
メントが予め設定された臨界値MR に達するまでは操
舵モーメントに比例するが、この臨界値MR を超える
と、一定の大きさとなるように設定されている。タイヤ
を装着した車両の場合、タイヤ操舵モーメントMT が
この臨界値MR よりも小さいので、タイヤ操舵モーメ
ントMT が大きくなるとアシスト力も大きくなり、結
果的に操舵力の増加は僅かである。ところが、クローラ
130を装着した車両の場合には、クローラ操舵モーメ
ントMC がこの臨界値MR よりも大きいので、クロ
ーラ操舵モーメントMC が増加してもアシスト力は一
定で、クローラ操舵モーメントMC の増加分だけ操舵
力も大きくなってしまい、タイヤを装着した車両よりも
大きな操舵力が必要となる。
【0013】このように、従来の略正三角形クローラで
は、軟弱路面等での高い走行性能を確保するためには転
輪ピッチLを広くする必要があるが、転輪ピッチLを広
げると操舵力も大きくなってしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実を考
慮し、小さな操舵力で操舵でき、軟弱路面等でも高い走
行性能を確保できるクローラを得ることを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、駆動力を受けて回転する駆動軸に固定され、駆動軸
と共に回転する駆動輪と、前記駆動輪の下方前後に配置
され、半径方向に弾性変形可能な環状に形成された前側
転輪及び後側転輪と、前記駆動軸を軸支する車体に対し
て駆動軸回りに回転不能に固定された固定フレームと、
前記固定フレームに前記駆動軸よりも下方で揺動可能に
軸支されると共に前方側及び後方側に延出されて前記前
側転輪及び前記後側転輪を軸支する揺動フレームと、前
記駆動輪と前記前側転輪との間に配置され、少なくとも
一部が、駆動輪と前側転輪との双方に接触する前側接平
面よりも前方側に張り出すように前記揺動フレームに取
り付けられた前側支持手段と、前記駆動輪と前記後側転
輪との間に配置され、少なくとも一部が、駆動輪と後側
転輪との双方に接触する後側接平面よりも後方側に張り
出すように前記揺動フレームに取り付けられた後側支持
手段と、前記駆動輪、前記前側支持手段、前記前側転
輪、前記後側転輪及び前記後側支持手段に巻きかけられ
て駆動輪の駆動力で循環する無端ベルトと、を有するこ
とを特徴とする。
【0016】駆動輪が回転すると、この回転力を受けて
無端ベルトが循環し、自動車が走行する。
【0017】走行中にクローラが路面の凹凸や突起等に
差しかかると、この凹凸や突起に応じて路面への無端ベ
ルトの接地面積が広くなるように揺動フレームが揺動
し、無端ベルトの側面視形状を変形させる。このため、
凹凸や突起等に対して高い走行性能が発揮される。ま
た、クローラ全体が揺動しないので、クローラを収容す
るための車体のスペース(ホイールハウス)も小さくな
る。
【0018】無端ベルトは、前側支持手段によって、駆
動輪と前側転輪との間の部分が前方側に膨出し、同様
に、後側支持手段によって、駆動輪と後側転輪との間の
部分が後方側に膨出している。これにより、無端ベルト
は側面視にて略五角形状になっている。固い路面上で
は、前側転輪と後側転輪との間の無端ベルトが接地する
が、軟弱路面ではクローラが沈み込み、前側転輪よりも
前方側及び/又は後側転輪よりも後方側へと接地部分が
広がる。すなわち、軟弱路面では、従来の略正三角形ク
ローラとほぼ同じだけの広い接地面積を確保して、高い
走行性能を発揮できる。
【0019】また、固い路面上では、前側転輪と後側転
輪との間の無端ベルトが接地しているので、従来の略正
三角形クローラと比較して、同じ前後長であっても、転
輪ピッチが短くなり、操舵力が低減される。特に、パワ
ーステアリング装置を使用した車両の場合には、図16
から分かるように、パワーステアリング装置のアシスト
力が飽和した領域においてクローラ操舵モーメントが小
さくなるため、実質的な操舵力は大幅に低減する。
【0020】また、駆動輪と後側転輪との間の無端ベル
トは、従来の略正三角形クローラと比較して、後側支持
手段により上方に持ち上げられていることになるため、
駆動輪から後方側への無端ベルトの傾斜角度が小さくな
る。これにより、駆動輪より後方側での駆動力の引き上
げ力成分が減少し、いわゆる頭下げモーメントが減少す
る。加えて、前側支持手段と前側転輪の間の無端ベルト
は、所定の切上げ角度(路面との傾斜角度)で路面に対
して前方側に立ち上がっている。これにより、車両走行
に伴って路面から無端ベルトに作用する押込反力が上向
き成分を持ち、頭上げモーメントが増える。以上によ
り、クローラ全体に頭上げモーメントが作用することに
なり、軟弱路面等に対する過度の沈み込みが防止され
て、高い走行性能を発揮できる。
【0021】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記前側支持手段が、前記前側転輪
に対して幅方向にオフセットして配置され、前記後側支
持手段が、前記後側転輪に対して幅方向にオフセットし
て配置されていることを特徴とする。
【0022】このため、前側支持手段を前側転輪に対し
て側面視にて重なるように配置することができ、同様
に、後側支持手段と後側転輪とを側面視にて重なるよう
に配置することができる。これにより、前側支持手段及
び後側支持手段をそれぞれ前側転輪及び後側転輪に関係
なく前後方向に変位させてクローラ全体の前後長を調整
することができるので、軟弱路面等に沈み込んだ場合の
接地面積の微調整ができる。
【0023】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記前側支持手段が、前記前側転輪
よりも前記無端ベルトの幅方向中央に配置され、前記後
側支持手段が、前記後側転輪よりも前記無端ベルトの幅
方向中央に配置されていることことを特徴とする。
【0024】すなわち、クローラの前端かつ幅方向両端
には前側転輪は配置されておらず、無端ベルトのみが配
置されている。このため、車両走行中に、クローラが斜
め前方から路面の凹凸や段差等に差しかかると、凹凸や
段差は、最初に無端ベルトの幅方向端部に当たる。そし
て、無端ベルトが凹凸や段差等からの衝撃を吸収するの
で、前側転輪にこの衝撃が作用せず、前側転輪の損傷が
防止される。
【0025】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請
求項3のいずれかに記載の発明において、前記前側支持
手段の少なくとも一部が前記前側転輪よりも前方に張り
出すと共に前記揺動フレームの揺動中心よりも上方に位
置するように、前側支持手段が配置されていることを特
徴とする。
【0026】従って、車両の走行により、前側支持手段
の路面からの高さより高い段差等にクローラが差しかか
ると、前側支持手段に巻き掛けられた部分の無端ベルト
が段差に接触する。前側支持手段の少なくとも一部は揺
動フレームの揺動中心よりも上方に位置しているで、段
差からの押込反力が、揺動フレームの頭上げモーメント
として作用する。このため、クローラの段差乗り上げ能
力が向上する。
【0027】請求項5に記載の発明では、請求項1〜請
求項4のいずれかに記載の発明において、前記前側支持
手段が、前記駆動軸と平行な軸回りに回転可能に前記揺
動フレームに軸支された前側ガイド盤であり、前記後側
支持手段が、前記駆動軸と平行な軸回りに回転可能に前
記揺動フレームに軸支された後側ガイド盤であることを
特徴とする。
【0028】このように前側ガイド盤及び後側ガイド盤
を設けることにより、簡単な構造で前側支持手段及び後
側支持手段を構成することができる。
【0029】前側ガイド盤及び後側ガイド盤は、それぞ
れ駆動軸と平行な軸回りに回転可能とされており、無端
ベルトの循環に伴って回転する。これにより、無端ベル
トと前側ガイド盤及び後側ガイド盤との擦れがなくなる
ので、無端ベルトの循環に不要な抵抗が生じない。ま
た、無端ベルトや前側ガイド盤及び後側ガイド盤の摩耗
が防止される。
【0030】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、前記無端ベルトに、無端ベルトが前
記前側ガイド盤又は前記後側ガイド盤に対して幅方向に
移動すると前側ガイド盤又は後側ガイド盤に当接する当
接部が形成されていることを特徴とする。
【0031】従って、車両走行に伴って無端ベルトが幅
方向に移動すると、無端ベルトに形成された当接部が前
側ガイド盤又は後側ガイド盤に当接し、無端ベルトの移
動が制限される。このため、無端ベルトの外れが防止さ
れる。
【0032】請求項7に記載の発明では、請求項5又は
請求項6に記載の発明において、前記前側ガイド盤及び
前記後側ガイド盤が前記前側転輪及び前記後側転輪より
も硬質の材料で形成されていることを特徴とする。
【0033】従って、前側ガイド盤及び後側ガイド盤は
無端ベルトに押されて内側に変形することなく、確実に
無端ベルトを前方側及び後方側に張り出させることがで
きる。
【0034】また、無端ベルトの幅方向への移動により
当接部が当接した場合でも、前側ガイド盤及び後側ガイ
ド盤は変形せず、無端ベルトの移動を確実に阻止でき
る。
【0035】請求項8に記載の発明では、請求項1〜請
求項7のいずれかに記載の発明において、前記前側転輪
及び前記後側転輪が、半径方向に弾性変形可能な環状の
弾性転輪で構成されていることを特徴とする。
【0036】車両の走行によりクローラが路面の突起や
段差等に差しかかると、突起や段差等の高さが路面から
前側ガイド盤及び後側ガイド盤の下端までの高さより低
い場合には、突起や段差等は無端ベルトを介して前側ガ
イド盤及び後側ガイド盤に当たることはなく、無端ベル
トを介して前側転輪又は後側転輪を押圧する。前側転輪
及び後側転輪は半径方向に弾性変形可能な弾性転輪で構
成されているので、突起や凹凸等からの衝撃を吸収する
ことができる。
【0037】また、前側転輪及び後側転輪の一方若しく
は双方を変形させて縮径することで、無端ベルトの実質
的な巻掛長が短くなるので、無端ベルトの張力を弱くす
ることができる。さらに、前側転輪及び後側転輪の一方
若しくは双方を取り外して、無端ベルトの脱着や交換を
容易に行うことができる。従来の略正三角形クローラに
設けられていたヒンジ機構が不要となるので、構造が簡
単になると共に、ヒンジ機構が有するいわゆる軸芯ズレ
を解消することができる。
【0038】請求項9に記載の発明では、請求項8に記
載の発明において、前記弾性転輪が、内部に空気が封入
され全体として環状に形成されたゴムタイヤであること
を特徴とする。
【0039】ゴムタイヤの空気を抜くだけで簡単に縮径
させることができ、無端ベルトの脱着や交換がさらに容
易になる。
【0040】
【発明の実施の形態】図1には、本発明の一実施の形態
に係るクローラ10が示されている。また、図2、図3
及び図4には、クローラ10がそれぞれ図1のII−I
I線断面図、III−III線断面図及び、IV−IV
線断面図で示されている。以下、単に「前方」、「後
方」及び「幅方向」というときは、それぞれ「車両前
方」、「車両後方」及び「車両幅方向」を指すものとす
る。また、図面において「車両前方」、「車両上方向」
及び「車両左方向」をそれぞれ矢印FR、UP、LFで
示す。
【0041】なお、図1では、車体12のうち、クロー
ラ10が収容されるホイールハウス70の近傍のみを示
している。車体12としては特に限定されず、いわゆる
RV車や一般的な乗用車の他、建設機械等の車体に、ク
ローラ10を装着することができる。
【0042】クローラ10が装着された車体12には、
駆動軸14が支持されている。駆動軸14は、車体12
に搭載されたエンジン(図示省略)の駆動力を受けて回
転する。駆動軸14には、図2にも示すように、径方向
外側に向かう歯18が周方向に所定間隔で形成されたス
プロケット状の駆動輪16が同軸的に固定されている
(図1では歯18の図示を省略)。駆動輪16は、駆動
軸14と一体で、エンジンの駆動力を受けて回転する。
【0043】図2に示すように、駆動軸14の先端部1
4Aは駆動輪16から突出している。先端部14Aに
は、ベアリングケース20を介して、固定フレーム22
が軸支されている。図4にも示すように、固定フレーム
22は、断面略L字状に形成されており、鉛直部22A
の上端でベアリングケース20に軸支されている。水平
部22Bは、車体に向かって(図4では紙面左方向に)
延出され、延出端22Cが車体12に固定されている。
従って、固定フレーム22は車体に対して相対的に一定
の位置(すなわち回転不能)に固定される。
【0044】固定フレーム22の水平部22Bの両端近
傍からは、さらに下方に向けて一対の軸支板24が延出
されており、これらの軸支板24に、シャフト26が掛
け渡されてボルト28により固定されている。
【0045】シャフト26の中間部分には、ゴムブッシ
ュ40(またはベアリング)を介して、揺動フレーム4
6が揺動可能に軸支されている。図1にも示すように、
揺動フレーム46は、車両前後方向に沿って長尺状に形
成されており、長手方向中央でシャフト26に軸支され
ている。
【0046】図2にも示すように、揺動フレーム46の
前方側及び後方側の所定位置には、ベアリング48を介
して、転輪軸50が回転可能に挿通されている。転輪軸
50の両端は径方向に拡径された円板状の取付板部28
とされている。この取付板部28に、金属製のホイール
30が複数のボルト32によって取り付けられている。
【0047】ホイール30は、円板状に形成されたディ
スク34と、ディスク34の外周からディスク34の板
厚方向(転輪軸50の軸方向)両側に延設された円筒状
のリム36と、で構成されている。ディスク34には取
付孔が形成されており、この取付孔にボルト32が挿通
されて、ホイール30が取付板部28に取り付けられて
いる。
【0048】リム36には、タイヤ42がホイール30
と同軸的に取り付けられており、ホイール30とタイヤ
42とが一体で回転する。タイヤ42はゴム製で、内部
に空気が封入されて袋状とされ、かつ全体として環状に
形成されている。図1に示すように、前方側のタイヤ4
2が前側転輪52を構成し、後方側のタイヤ42が後側
転輪54を構成している。
【0049】図1及び図3に示すように、揺動フレーム
46の前端側及び後端側は、それぞれ所定の傾斜角で上
方に傾斜して形成されており、この傾斜部分の先端近傍
に、ベアリング38を介して、支軸56が回転可能に、
且つ駆動軸14(図1及び図2参照)と平行に軸支され
ている。図1からも分かるように、支軸56はシャフト
26及び転輪軸50よりも上方に位置している。また、
前後の支軸56の路面からの高さが同一となるように、
揺動フレーム46の形状が決められている。
【0050】図3に示すように、支軸56には、揺動フ
レーム46の左右両側の位置に、金属製の円盤60がボ
ルト58によって固定されており、左右の円盤60が支
軸56と一体で回転するようになっている。図1に示す
ように、前方側に位置する左右一対の円盤60が前側ガ
イド盤62を構成し、後方側に位置する左右一対の円盤
60が後側ガイド盤64を構成する。また、図3からも
分かるように、前側ガイド盤62及び後側ガイド盤64
はそれぞれ、前側転輪52及び後側転輪54よりも幅方
向中央寄りにオフセットされた位置に設けられている
(図3では前側ガイド盤62と前側転輪52との位置関
係を示しているが、後側ガイド盤64と後側転輪54と
の位置関係もこれと同じである)。従って、図1に示す
ようにクローラ10を側面視すると、前側ガイド盤62
が前側転輪52と、後側ガイド盤64が後側転輪54と
それぞれ部分的に重なっているが、実際には、前側ガイ
ド盤62が前側転輪52に当たったり、後側ガイド盤6
4が後側転輪54に当たったりすることはない。
【0051】また、図1からも分かるように、前側ガイ
ド盤62は、駆動輪16と前側転輪52の間の高さで、
その一部が前側転輪52よりも前方側に張り出すよう
に、所定の位置に設けられている。同様に、後側ガイド
盤64は、駆動輪16と後側転輪54との間の高さで、
その一部が後側転輪54よりも後方側に位置するように
所定の位置に設けられている。そして、駆動輪16、前
側ガイド盤62、前側転輪52、後側転輪54及び後側
ガイド盤64に、ゴム製の無端ベルト44が巻き掛けら
れており、無端ベルト44は側面視にて、左右対称な略
五角形状となっている(このクローラ10の前後長をS
1とする)。この状態で、前側転輪52及び後側転輪5
4は半径方向内側に弾性変形し、その反力で無端ベルト
44に適度な張力を付与している。
【0052】また、前側転輪52と後側転輪54の間の
無端ベルト44は、所定の接地長S2で硬い路面G1に
接地している。さらに、前側ガイド盤62から前側転輪
52までの無端ベルト44は、硬い路面G1に対して所
定の切上げ角度θで、前方に向かって立ち上がってい
る。なお、この「硬い路面」とは、車両12の荷重によ
ってクローラ10が沈み込んでしまうことのない路面を
いう。
【0053】図2〜図4に示すように、無端ベルト44
の内側かつ幅方向中央には、無端ベルト44の長手方向
に沿って突条66が形成されている。さらに、図1にも
示すように、突条66には、無端ベルト44の長手方向
(巻掛方向)に沿って所定間隔をあけて断続的に、複数
の凹部68が形成されている。凹部68には、駆動輪1
6の歯18が係合しており、駆動輪16の回転力が、こ
の係合により無端ベルト44に伝えられて無端ベルト4
4が循環する。
【0054】無端ベルト44の突条66と、円盤60と
の間には、クローラ10の幅方向に所定の隙間があくよ
うに、揺動フレーム46の肉厚や支軸56の長さ等が決
められている。従って、前側ガイド盤62及び後側ガイ
ド盤64を構成する左右一対の円盤60が、突条66と
所定の間隔をあけて対向して配置され、突条66の両側
に位置していることになる。
【0055】次に、本実施の形態に係るクローラ10の
作用を説明する。
【0056】通常走行時には、駆動輪16の回転によっ
て無端ベルト44が循環し、車両が走行する。車両の旋
回等によって無端ベルト44が幅方向に移動すると、突
条66が前側ガイド盤62又は後側ガイド盤64の少な
くとも一方に当たってこの移動が一定範囲に制限され、
無端ベルト44が前側転輪52及び後側転輪54から外
れない。
【0057】図1からも明らかなように、クローラ10
は、側面視にて略五角形状に形成されており、クローラ
10が沈み込まない硬い路面G1上では、前側転輪52
と後側転輪54との間の無端ベルト44のみが路面G1
に接触している。すなわち、この状態では、転輪ピッチ
Lが接地長S2とほぼ一致している。
【0058】図5に示すように、クローラ10が軟弱路
面(乾いた砂や新雪等の路面)G2を走行する場合に
は、クローラ10が全体的に軟弱路面G2に沈み込むた
め接地長S2が増え,安定走行に必要な接地面積を確保
することができる。なお、図5では、特に路面G2が軟
弱で、クローラ10の接地長S2がクローラ10の前後
長S1とほぼ等しくなっている場合を例として示してい
るが、路面の軟らかさによっては、図1に示す状態と、
図5に示す状態との中間の状態となって、車両の安定走
行に必要十分な接地面積を確保できる。
【0059】このように、軟弱路面G2ではクローラ1
0の前後長S1が接地長S2とほぼ一致するため、クロ
ーラ10の前後長S1を従来の略正三角形クローラ13
0(図13参照)の前後長と同じにするにより、軟弱路
面G2の走行に必要な接地面積を確保して、高い走行性
能を得ることができる。このため、実質的に、硬い路面
での接地長S2は、従来の略正三角形クローラ130と
比較して小さくなる(上述の式(1)におけるLが小さ
くなっている)。結果として、クローラ操舵モーメント
MC も小さくなり、より小さな操舵力で操舵すること
ができる。特に、図16に示すグラフからも分かるよう
に、パワーステアリング装置のアシスト力が飽和した領
域(臨界値MR よりも大きいい領域)において、クロ
ーラ操舵モーメントMC が小さくなるため、実質的な
操舵力は大幅に低減される。
【0060】また、本実施の形態に係るクローラ10で
は、側面視にて略五角形状となっていることで、無端ベ
ルト44のうち前側ガイド盤62から前側転輪52まで
の部分が、路面に対して所定の切上げ角度θで路面から
斜め前方に立ち上がっている。図5にも詳細に示すよう
に、クローラ10が軟弱路面G2に沈み込んだ状態で車
両がさらに走行すると、この無端ベルト44の切上げ部
分が路面を押し込み、その押込反力Fがクローラ10に
作用する。押込反力Fの鉛直成分FY は、シャフト2
6(揺動フレーム46の揺動中心)よりも前方側におい
て上向きの成分を持っており、揺動フレーム46に対し
て、シャフト26を中心とした図5時計周り方向のモー
メント(頭上げモーメントM1)として作用する。
【0061】また、無端ベルト44のうち、後側転輪5
4から駆動輪16までの部分は後側ガイド盤64によっ
て後方に張り出されており、従来の略正三角形クローラ
130と比較して、駆動輪16よりも後方側の無端ベル
ト44の傾斜角が小さくなっている(別言すれば、より
水平に近くなっている)。このため、無端ベルト44の
循環によって後側ガイド盤64から駆動輪16までの無
端ベルト44に作用する駆動力Kの鉛直上方成分KY
が小さくなり、シャフト26を中心とする図5反時計周
り方向のモーメント(頭下げモーメント)が小さくな
る。
【0062】このように、軟弱路面G2からの押込反力
Fによって揺動フレーム46に頭上げモーメントM1が
作用すると共に、無端ベルト44の循環に伴う頭下げモ
ーメントが小さくなるので、結果として、クローラ10
には、シャフト26を中心とした頭上げモーメントが作
用する。このため、クローラ10は軟弱路面G2に沈み
込んでしまうことがなく、軟弱路面G2から浮き上がっ
たような状態を維持しながら走行することができる。
【0063】なお、切上げ角度θの範囲としては特に限
定されないが、上記したように、クローラ10に路面か
らの押込反力Fによる頭上げモーメントM1を作用させ
るためには、 15°≦θ≦45° とするのが好ましい。切上げ角度θが15°よりも小さ
いと、前側ガイド盤62に巻きかけられた部分の無端ベ
ルト44(クローラ10の前端部分)が、雪掻き用のラ
ッセル車と同じように作用し、路面にもぐり込んで路面
の土を左右にかき分けるため、路面から受ける押込反力
Fの方向が水平に近くなり、頭上げモーメントM1が小
さくなってしまうおそれがある。また、切上げ角度が4
5°よりも大きい場合にも、押込反力Fの方向が水平に
近くなってしまい、頭上げモーメントM1が小さくなっ
てしまう。
【0064】また、揺動フレーム46がシャフト26回
りに揺動することにより、クローラ10が凹凸の多い路
面や、傾斜した路面を走行する場合には、クローラ10
を側面視したときの無端ベルト44の巻掛け形状が、略
正三角形状から不等辺三角形状へと変化して路面との接
地面積が広くなり、安定した走行が可能となる。なお、
従来の略二等辺三角形状のクローラ110(図12参
照)においても、駆動軸112回りにフレーム114を
揺動させて、路面との接地面積を広く確保できる構成と
することが可能であるが、この場合には、フレーム11
4の揺動を考慮して、車体のホイールハウスを大きく形
成しておく必要があある。しかし、本実施の形態に係る
クローラでは、揺動フレーム46のみがシャフト26を
中心として揺動するので、ホイールハウス70(図1参
照)を大きく形成しておく必要がない。
【0065】図3に示すように、本実施の形態に係るク
ローラ10では、前側ガイド盤62が前側転輪52に対
して幅方向にオフセットされており、同様に、後側ガイ
ド盤64が後側転輪54に対して幅方向にオフセットさ
れている。これにより、図1からも明らかなように、側
面視にて前側ガイド盤62を前側転輪52と重ねて配置
し、後側ガイド盤64を後側転輪54と重ねて配置する
ことが可能となっている。そして、揺動フレーム46の
前端部分及び後端部分の形状(特に、傾斜部分の長さ及
び傾斜角度)を変更することにより、前側ガイド盤62
及び後側ガイド盤64をそれぞれ前側転輪52及び後側
転輪54に干渉させずに前後方向に変位させて、転輪ピ
ッチLを変更することなくクローラ10の前後長S1を
変化させることができる。図6では、前側ガイド盤62
を前方に、後側ガイド盤64を後方にそれぞれ移動させ
て、クローラ10の前後長S1を長くしている。また、
図7では、前側ガイド盤62を後方に、後側ガイド盤6
4を前方にそれぞれ移動させて、クローラ10の前後長
S1を短くしている。このように、クローラ10の前後
長S1を変化させることで、クローラ10が軟弱路面G
2(図5参照)に沈み込んだ場合の接地長S2を調整
し、所望の接地面積を得ることができる。
【0066】また、図8からも分かるように、クローラ
10の前端部分(図8におけるクローラ10の上端部
分)では、無端ベルト44の幅方向両端部分(特に車両
外端部分、図10の左端部分)に前側転輪52が配置さ
れておらず、無端ベルト44のみが存在している。従っ
て、車両走行方向(矢印A方向)に対して傾斜した段差
D1等にクローラ10が当たった場合、最初に無端ベル
ト44の幅方向外端部分44Aが段差D1に当たって撓
み、接触による衝撃のエネルギーを吸収する。このよう
に、前側転輪52は無端ベルト44によってカバーさ
れ、クローラ10が段差D1に当たったことによる衝撃
が前側転輪52に作用しないため、前側転輪52を構成
するタイヤ42の損傷が防止される。
【0067】図9に示すように、クローラ10が硬い路
面G1を走行中に路面の突起T1に乗り上げた場合に
は、前側転輪52を構成するタイヤ42が無端ベルト4
4を介して突起T1に押され、径方向内側に弾性的に凹
む。これにより、突起T1から作用する衝撃のエネルギ
ーがタイヤ42の弾性エネルギーとして一時的に蓄積さ
れるので、車体12に大きな荷重が作用しない。このた
め、車両の乗り心地が向上する。また、クローラ10が
路面の突起T1に当たった場合を考慮して、車体12の
強度をあらかじめ高めておく必要がなくなる。また、突
起T1と前側転輪52との間で無端ベルト44を挟むこ
とになるが、前側転輪52が弾性的に凹むことで、無端
ベルト44を挟む力が小さくなる。このため、突起T1
と前側転輪52との間で無端ベルト44が強く挟まれた
場合の損傷を防止すべく無端ベルト44を厚肉に形成す
る必要がなくなり、クローラ10の軽量化を図ることが
できる(なお、図9では、前側転輪52が突起T1に乗
り上げた場合を示しているが後側転輪54が突起T1に
乗り上げた場合も同様である)。
【0068】特に、本実施の形態に係るクローラ10で
は、前側ガイド盤62が前側転輪52よりも上方に配置
されており、路面から前側ガイド盤62までの間に所定
の間隙が構成されている。このため、突起の高さが高い
場合(図9の紙面左側の突起T2)でも、この突起T2
は無端ベルト44を介して前側ガイド盤62に当たるこ
とはない。同様に、後側ガイド盤64も後側転輪54よ
り上方に配置されて路面との間に所定の間隙が構成され
ているので、突起T2は無端ベルト44を介して後側ガ
イド盤64に当たらない。このため、前側ガイド盤62
及び後側ガイド盤64の損傷が防止される。
【0069】なお、前側ガイド盤62及び後側ガイド盤
64の位置や大きさを変更することにより、路面と前側
ガイド盤62及び後側ガイド盤64との間隔を調整する
ことができる。従って、突起T2よりもさらに高い突起
に対しても、この突起が前側ガイド盤62及び後側ガイ
ド盤64に当たらないようにすることができる。
【0070】また、図10に示すように、クローラ10
が、前側ガイド盤62よりも高い段差D2に当たると、
この段差D2から水平方向後ろ向きの押込反力Gを受け
る。本実施の形態に係るクローラ10では、支軸56
(図3参照)がシャフト26よりも高い位置に配置され
ており、クローラ10の先端部分、すなわち段差D2に
当たる部分が、シャフト26よりも高い位置となる。こ
のため、段差D2から受ける押込反力Gが、シャフト2
6を中心とする頭上げモーメントM2として揺動フレー
ム46に作用し、クローラ10の段差よじ登り能力が高
くなる。
【0071】前側転輪52及び後側転輪54をタイヤ4
2で構成したことにより、図11に示すように、タイヤ
42の空気を抜いて縮径させ、無端ベルト44を緩める
ことができるので、タイヤ42の脱着、交換を容易に行
うことができる。さらに、無端ベルト44を緩めること
で、無端ベルト44の脱着、交換も容易に且つ迅速に行
うことができる。
【0072】また、このようにタイヤ42の空気を抜く
ことで無端ベルト44の脱着、交換が可能となったの
で、従来の略正三角形クローラ130(図13参照)の
ようなヒンジ138が不要となる。このため、クローラ
10の構造が簡単になると共に重量も低下し、さらに
は、製造コストを低くすることも可能となる。また、ヒ
ンジ138がないため、ヒンジ138によって不可避的
に生じるいわゆる軸芯ズレがなくなり、クローラ10の
直進性が向上する。
【0073】また、本実施の形態に係るクローラ10で
は、金属製の前側ガイド盤62及び後側ガイド盤64が
常に無端ベルト44の内面に接触しており、タイヤ42
が径方向内側へ変形しても、いわゆる歯飛び現象が発生
しない。このため、前側ガイド盤62及び後側ガイド盤
64の径を小さくして、重量を低下させると共に、クロ
ーラ10の製造コストを低くすることが可能となる。
【0074】図1からも分かるように、本実施の形態に
係るクローラ10では、駆動輪16から前側転輪52に
至る部分の無端ベルト44が前側ガイド盤62によって
前方側に張り出されていることで、従来の略正三角形ク
ローラ130(図13参照)と比較して前側転輪52へ
の無端ベルト44の巻掛け角度が小さくなり、巻掛け長
も短くなっている。同様に、後側転輪54から駆動輪1
6に至る部分の無端ベルト44も、後側ガイド盤64に
よって後方に張り出されているため、後側転輪54への
巻掛け角度が小さくなり、巻掛け長も短くなっている。
無端ベルト44、前側転輪52及び後側転輪54はいず
れもゴム製のタイヤ42で構成されているため、ゴム同
士の接触面積が小さくなって摩擦も減少し、無端ベルト
44の循環抵抗が小さくなる。このため、車両の走行抵
抗も小さくなる(なお、無端ベルト44と前側ガイド盤
62及び後側ガイド盤64とは接触するが、前側ガイド
盤62及び後側ガイド盤64は金属製なので、ゴム製の
無端ベルト44との摩擦力は小さい)。
【0075】クローラ10が、路面の凹凸上を走行する
際には、凹凸からの荷重により、衝撃音を伴う振動(い
わゆるハーシュネス)が発生しようとするが、本実施の
形態に係るクローラ10では、タイヤ42で構成された
前側転輪52及び後側転輪54が弾性変形して内側に凹
み、路面の凹凸からの衝撃を吸収するので、ハーシュネ
スが小さくなる。
【0076】なお、上記説明においては、前側支持手段
として前側ガイド盤62が設けられ、後側支持手段とし
て後側ガイド盤64が設けられたクローラ10を例とし
て説明したが、前側支持手段及び後側支持手段はこれに
限られない。要するに、前側支持手段としては、駆動輪
16から前側転輪52までの無端ベルト44を内面から
支持して前方に張り出させ、同様に、後側支持手段とし
ても、後側転輪54から駆動輪16までの無端ベルト4
4を内面から支持して後方に張り出させ、これによって
無端ベルト44を側面視にて略五角形状とできるもので
あればよい。
【0077】また、無端ベルト44を側面視にて略五角
形状とするためには、前側支持手段は必ずしも前側転輪
52よりも前方に配置されている必要はなく、同様に、
後側支持手段も、後側転輪54より後方に配置されてい
る必要はない。すなわち、図1にも示すように、前側支
持手段としては、少なくともその一部が、駆動輪16を
前側転輪52の双方に前方側から接触する前側接平面H
F よりも前方側に張り出すように配置され、同様に、
後側支持手段としても、少なくともその一部が、駆動輪
16を後側転輪54の双方に後方側から接触する後側接
平面HR よりも後方側に張り出すように配置されてい
れば、略五角形状のクローラを構成することができる。
なお、前側支持手段が前側転輪52よりも前方に張り出
していない場合には、クローラ10が、前側ガイド盤6
2の支軸56よりも高い段差D2(図10参照)に当た
ったときに、この段差D2がまず無端ベルト44を介し
て前側転輪52を押圧する。従って、前側転輪52の転
輪軸50がシャフト26よりも上方に位置するように揺
動アーム46の形状を決めておけば、段差D2からの押
し込み反力を揺動アーム46の頭上げモーメントM2と
して作用させることができる。
【0078】前側ガイド盤62及び後側ガイド盤64の
材質としても、上記説明では金属を例に挙げたが、これ
に限定されないことはもちろんである。但し、無端ベル
ト44の側面視形状を確実に略五角形状に維持すると共
に、無端ベルト44の幅方向への移動を突条66に接触
して阻止するためには、前側転輪52及び後側転輪54
を構成するタイヤ42のゴムよりも硬質の材料で成形さ
れていることが好ましい。さらに加えて、ゴム製の無端
ベルト44との接触による摩擦を低減させるためには、
金属が好ましい。
【0079】前側ガイド盤62及び後側ガイド盤64の
大きさ(直径)も、従来のように、無端ベルト44の歯
飛びを防止するためにタイヤ42よりも小さい範囲でで
きる限り大径とする必要はなく、無端ベルト44の屈曲
率によって許容される範囲で可能な限り小さくすること
ができる。このため、支軸56の位置を変更することな
く、前側ガイド盤62及び後側ガイド盤64の直径を変
更するのみで、クローラ10の前後長S1を変化させ
て、軟弱路面に沈み込んだときの接地長(接地面積)の
微調整をすることができる。前側ガイド盤62及び後側
ガイド盤64の直径を小さくすることで、クローラ10
の重量を低下させると共に、製造コストを低くすること
も可能となる。
【0080】また、弾性転輪としても、上記した空気入
りのタイヤ42で構成されている必要はなく、要する
に、弾性変形可能な環状に形成されていればよい。例え
ば、袋状とされず内部までゴムで形成された総ゴムタイ
ヤであってもよいし、ゴムに限らず弾性変形する合成樹
脂等の弾性体で形成されていてもよい。いずれの弾性転
輪であっても、径方向内側に変形させることにより、容
易に無端ベルト44の脱着、交換を行うことができる。
【0081】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、駆動力を受
けて回転する駆動軸に固定され、駆動軸と共に回転する
駆動輪と、前記駆動輪の下方前後に配置され、半径方向
に弾性変形可能な環状に形成された前側転輪及び後側転
輪と、前記駆動軸を軸支する車体に対して駆動軸回りに
回転不能に固定された固定フレームと、前記固定フレー
ムに前記駆動軸よりも下方で揺動可能に軸支されると共
に前方側及び後方側に延出されて前記前側転輪及び前記
後側転輪を軸支する揺動フレームと、前記駆動輪と前記
前側転輪との間に配置され、少なくとも一部が、駆動輪
と前側転輪との双方に接触する前側接平面よりも前方側
に張り出すように前記揺動フレームに取り付けられた前
側支持手段と、前記駆動輪と前記後側転輪との間に配置
され、少なくとも一部が、駆動輪と後側転輪との双方に
接触する後側接平面よりも後方側に張り出すように前記
揺動フレームに取り付けられた後側支持手段と、前記駆
動輪、前記前側支持手段、前記前側転輪、前記後側転輪
及び前記後側支持手段に巻きかけられて駆動輪の駆動力
で循環する無端ベルトと、を有するので、軟弱路面で
は、高い走行性能を発揮でき、固い路面上では、操舵力
が低減される。
【0082】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記前側支持手段が、前記前側転輪
に対して幅方向にオフセットして配置され、前記後側支
持手段が、前記後側転輪に対して幅方向にオフセットし
て配置されているので、クローラ全体の前後長を調整し
て、軟弱路面等に沈み込んだ場合の接地面積の微調整が
できる。
【0083】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記前側支持手段が、前記前側転輪
よりも前記無端ベルトの幅方向中央に配置され、前記後
側支持手段が、前記後側転輪よりも前記無端ベルトの幅
方向中央に配置されているので、前側転輪の損傷が防止
される。
【0084】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請
求項3のいずれかに記載の発明において、前記前側支持
手段の少なくとも一部が前記前側転輪よりも前方に張り
出すと共に前記揺動フレームの揺動中心よりも上方に位
置するように、前側支持手段が配置されているので、ク
ローラの段差乗り上げ能力が向上する。
【0085】請求項5に記載の発明では、請求項1〜請
求項4のいずれかに記載の発明において、前記前側支持
手段が、前記駆動軸と平行な軸回りに回転可能に前記揺
動フレームに軸支された前側ガイド盤であり、前記後側
支持手段が、前記駆動軸と平行な軸回りに回転可能に前
記揺動フレームに軸支された後側ガイド盤であるので、
簡単な構造で前側支持手段及び後側支持手段を構成する
ことができると共に、無端ベルトの循環に不要な抵抗が
生じない。
【0086】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、前記無端ベルトに、無端ベルトが前
記前側ガイド盤又は前記後側ガイド盤に対して幅方向に
移動すると前側ガイド盤又は後側ガイド盤に当接する当
接部が形成されているので、無端ベルトの外れが防止さ
れる。
【0087】請求項7に記載の発明では、請求項5又は
請求項6に記載の発明において、前記前側ガイド盤及び
前記後側ガイド盤が前記前側転輪及び前記後側転輪より
も硬質の材料で形成されているので、確実に無端ベルト
を前方側及び後方側に張り出させることができる。
【0088】請求項8に記載の発明では、請求項1〜請
求項7のいずれかに記載の発明において、前記前側転輪
及び前記後側転輪が、半径方向に弾性変形可能な環状の
弾性転輪で構成されているので、突起や凹凸等からの衝
撃を吸収することができると共に、無端ベルトの脱着や
交換を容易に行うことができ、さらに、従来のヒンジ機
構を不要として、芯ズレを解消することができる。
【0089】請求項9に記載の発明では、請求項1〜請
求項8のいずれかに記載の発明において、前記弾性転輪
が、内部に空気が封入され全体として環状に形成された
ゴムタイヤであるので、無端ベルトの脱着や交換がさら
に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るクローラを示す側
面図である。
【図2】図1に示すクローラのII−II線断面図であ
る。
【図3】図1に示すクローラのIII−III線断面図
である。
【図4】図1に示すクローラのIV−IV線断面図であ
る。
【図5】本発明の一実施の形態に係るクローラが軟弱路
面に沈み込んだ状態を示す側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るクローラが前後長
を長くした状態を示す側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るクローラが前後長
を短くした状態を示す側面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るクローラが車両進
行方向に対して傾斜する段差に当たった状態を示す断面
図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るクローラが路面の
突起に乗り上げた状態を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るクローラが路面
の段差に当たった状態を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るクローラにおい
てタイヤの空気を抜いた状態を示す断面図である。
【図12】従来のクローラを示す側面図である。
【図13】従来のクローラを示す側面図である。
【図14】図13に示すクローラを装着した車両におけ
るクローラ操舵モーメントと接地長との関係を示し、
(A)は側面図、(B)は底面図である。
【図15】タイヤを装着した車両におけるタイヤ操舵モ
ーメントと接地長との関係を示し、(A)は側面図、
(B)は底面図である。
【図16】操舵モーメントと操舵力との関係をパワース
テアリング装置のアシスト力との関係において示すグラ
フである。
【符号の説明】
10 クローラ 14 駆動軸 16 駆動輪 22 固定フレーム 42 タイヤ(ゴムタイヤ) 44 無端ベルト 46 揺動フレーム 52 前側転輪(弾性転輪) 54 後側転輪(弾性転輪) 62 前側ガイド盤(前側支持手段) 64 後側ガイド盤(後側支持手段) 66 突条(当接部)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動力を受けて回転する駆動軸に固定さ
    れ、駆動軸と共に回転する駆動輪と、 前記駆動輪の下方前後に配置され、半径方向に弾性変形
    可能な環状に形成された前側転輪及び後側転輪と、 前記駆動軸を軸支する車体に対して駆動軸回りに回転不
    能に固定された固定フレームと、 前記固定フレームに前記駆動軸よりも下方で揺動可能に
    軸支されると共に前方側及び後方側に延出されて前記前
    側転輪及び前記後側転輪を軸支する揺動フレームと、 前記駆動輪と前記前側転輪との間に配置され、少なくと
    も一部が、駆動輪と前側転輪との双方に接触する前側接
    平面よりも前方側に張り出すように前記揺動フレームに
    取り付けられた前側支持手段と、 前記駆動輪と前記後側転輪との間に配置され、少なくと
    も一部が、駆動輪と後側転輪との双方に接触する後側接
    平面よりも後方側に張り出すように前記揺動フレームに
    取り付けられた後側支持手段と、 前記駆動輪、前記前側支持手段、前記前側転輪、前記後
    側転輪及び前記後側支持手段に巻きかけられて駆動輪の
    駆動力で循環する無端ベルトと、 を有することを特徴とするクローラ。
  2. 【請求項2】 前記前側支持手段が、前記前側転輪に対
    して幅方向にオフセットして配置され、 前記後側支持手段が、前記後側転輪に対して幅方向にオ
    フセットして配置されていることを特徴とする請求項1
    に記載のクローラ。
  3. 【請求項3】 前記前側支持手段が、前記前側転輪より
    も前記無端ベルトの幅方向中央に配置され、 前記後側支持手段が、前記後側転輪よりも前記無端ベル
    トの幅方向中央に配置されていることを特徴とする請求
    項2に記載のクローラ。
  4. 【請求項4】 前記前側支持手段の少なくとも一部が前
    記前側転輪よりも前方に張り出すと共に前記揺動フレー
    ムの揺動中心よりも上方に位置するように、前側支持手
    段が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載のクローラ。
  5. 【請求項5】 前記前側支持手段が、前記駆動軸と平行
    な軸回りに回転可能に前記揺動フレームに軸支された前
    側ガイド盤であり、 前記後側支持手段が、前記駆動軸と平行な軸回りに回転
    可能に前記揺動フレームに軸支された後側ガイド盤であ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載のクローラ。
  6. 【請求項6】 前記無端ベルトに、無端ベルトが前記前
    側ガイド盤又は前記後側ガイド盤に対して幅方向に移動
    すると前側ガイド盤又は後側ガイド盤に当接する当接部
    が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のク
    ローラ。
  7. 【請求項7】 前記前側ガイド盤及び前記後側ガイド盤
    が前記前側転輪及び前記後側転輪よりも硬質の材料で形
    成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に
    記載のクローラ。
  8. 【請求項8】 前記前側転輪及び前記後側転輪が、半径
    方向に弾性変形可能な環状の弾性転輪で構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載
    のクローラ。
  9. 【請求項9】 前記弾性転輪が、内部に空気が封入され
    全体として環状に形成されたゴムタイヤであることを特
    徴とする請求項8に記載のクローラ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008149899A (ja) * 2006-12-18 2008-07-03 Hitachi Constr Mach Co Ltd 装軌式車両の走行体

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