JP2000300543A - 検出装置、入力装置、ポインティングデバイス、個人識別装置、及び記録媒体 - Google Patents

検出装置、入力装置、ポインティングデバイス、個人識別装置、及び記録媒体

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JP2000300543A
JP2000300543A JP11113215A JP11321599A JP2000300543A JP 2000300543 A JP2000300543 A JP 2000300543A JP 11113215 A JP11113215 A JP 11113215A JP 11321599 A JP11321599 A JP 11321599A JP 2000300543 A JP2000300543 A JP 2000300543A
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正 清水
Katsura Sakai
桂 酒井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成り済まし詐称が不可能であり、また極めて
偽造が困難であり、利用者の心理的な抵抗感もなく、か
つ利用時に身体を拘束することがなく、さらに心理状態
や健康状態に影響を受けることも少ない人体からの情報
を利用した検出装置、入力装置、個人識別装置、及び記
録媒体を提供する。 【解決手段】 FIFOメモリ84が、1回のクリック
による振幅波形信号をピーク位置でのタイミングが入力
された時点を規準として前に12.5ms毎にサンプリングし
た20点の電圧値と、後ろに12.5ms毎にサンプリングし
た39点の電圧値、及びピークでの電圧値、合計60点
の電圧値を1組の特徴量として出力し、得られた特徴量
に基いてCPU100が個人登録のための特徴ベクトル
や、特徴行列を演算して個人データとしてRAM40に
記憶し、新たに入力された1組の特徴量をRAMに記憶
された個人データに基いて識別する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検出装置、入力装
置、ポインティングデバイス、個人識別装置、及び記録
媒体にかかり、特に、生体の先天的な特徴と後天的な特
徴とを識別情報として利用して個人を識別する検出装
置、入力装置、ポインティングデバイス、個人識別装
置、及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、個人識別装置としては指紋や
虹彩、網膜、手形、顔等の人体の変動しない特徴を鍵と
して利用する方式や、声紋、署名といった時間的に変動
する特性を鍵として利用する方法が知られている。
【0003】一般に、指紋や虹彩、網膜、手形、顔等の
人体の特徴を鍵として利用する場合は、予め鍵として定
めた人体の特徴部分をデジタルカメラなどで計測して登
録されているものと同一であるかを識別する。また、声
紋や署名のように時間的に変化する情報を用いる場合も
同様に、入力された音声情報や文字情報をデジタル化し
て、登録されたデジタル情報と同一であるかを識別す
る。
【0004】また、特開平10−269182号公報の
「利用者認証方法および利用者認証システム」には、キー
ボードやマウスのボタン操作の癖を個人の識別に利用し
てより高精度の個人識別を行なうシステムが提案されて
いる。この特開平10−269182号公報には、キー
ボードやマウスのボタン操作の癖に基いて得られるパタ
ーンにより個人を識別することが提案されている。
【0005】すなわち、特開平10−269182号公
報では、予め定めたパスワードの押圧時にキーボードの
オン、オフのタイミングを計測したり、マウスボタンを
複数回クリックしたときのオン、オフのタイミングを計
測し、得られたタイミングを2値化してパターン化した
ものを個人情報として格納し、入力されたタイミングパ
ターンと登録されたタイミングパターンとを比較して個
人を識別している。
【0006】このようなキーボード操作の癖を個人の識
別に利用する方法は、例えば商品BIOPASSWOR
D (http://www.biopassword.com.)などに利用されて
いる。さらに、個人を識別するための別の方法として個
人の歩行パターンを利用して識別する方法も提案されて
いる。
【0007】ところで、コンピュータのアクセス管理等
においては、上記のような個人識別方法を利用して、使
用者の識別を最初のログイン時やネットワークに接続す
るときなどに行い、使用者が登録された本人又は登録さ
れた複数の中の1人であることを識別することが一般的
に行なわれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法では、コンピュータのアクセス管理に用いようとす
る場合、入れ替わりによる成り済まし詐称を防ぐ事がで
きない。すなわち、一般に、コンピュータのアクセス管
理においては、使用者が登録された本人又は登録された
複数の中の1人であることを識別すると、ロックを解除
し、それ以降のチェックは行わない。
【0009】すなわち、指紋、虹彩、網膜、手形、顔な
どの人体の特徴を鍵として利用する場合であっても、キ
ーボードの操作パターンを鍵として利用する場合であっ
ても、最初のログイン時やネットワークに接続する時な
どにそれらの計測対象を確認するだけであって、確認後
は通常繰り返し計測されることはない。
【0010】そのため、本人の離席時や、計測対象の偽
造等何らかの方法でアクセス権を取得した場合には、詐
称者は自由に機密情報に触れることができてしまう恐れ
がある。
【0011】また、声紋や署名のように時間的に変化す
る情報を用いる場合でも、通常コンピュータ等の端末を
操作している間中、声を出し続けたりペンを使い続けた
りすることはないため、同じ問題を抱えている。
【0012】すなわち、上記のような人体の特徴を鍵と
して利用する個人識別方法は、もともと多数の候補の中
から1つを識別する目的で発展したものであり、多数の
候補の中から1つを識別する能力には長けているが、経
時的に使用者が登録された本人又は登録された複数の中
の1人であることを識別するには適していない。
【0013】また、上記の方法では、人体の特徴を鍵と
して利用するという性質上、鍵に相当する識別対象は常
に同じものとなるために偽造され易く、偽造による詐称
を完全には防ぐ事ができない、という基本的な問題もあ
る。
【0014】例えば、指紋、手形、顔を利用する方法で
は、外観を利用しているため比較的容易に複製される危
険が大きい。虹彩を利用する方法もカメラで虹彩パター
ンを読み取るため、同様な方法によって盗み取られる可
能性がある。
【0015】網膜を利用する方法は偽造し難いが、しか
し形状を利用する方法である限りなんらかの方法で盗み
取られる危険は付きまとう。声紋は録音によって盗み取
られる危険がある。また署名も、利用する人は常に安定
に署名できるように十分な訓練を積む結果、やはり盗み
取られる可能性がある。
【0016】更に、これらの計測対象は一旦盗み取られ
たり偽造されると、本人は指紋などの計測対象を取りか
えることができないため、盗み取られた本人は生涯その
計測対象を個人識別に利用することができなくなってし
まうという別の問題もある。
【0017】また、これらの方法はそれぞれ以下のよう
な問題も抱えている。指紋を利用する方法では、犯罪捜
査のイメージがあるため利用者の心理的な抵抗感が高
く、一般に普及させるためにはイメージの払拭という技
術以前の困難な問題を抱えている。網膜の血管のパター
ンを用いる方法では、検出のため光を目に照射する必要
があり、利用者の心理的な負担が大きいという問題があ
る。
【0018】顔の形状を利用する方法では姿勢や照明条
件を一定の範囲内に抑える必要があり、安定性に欠け
る。声紋や署名は利用者の心理状態や健康状態の影響を
受け易く安定性に欠ける。さらに指紋や顔、手形等では
眼鏡や指輪などの装飾品や、化粧、薬品などによる表面
変化、汚染などによって利用できない場合がある。
【0019】また、キーボードの操作パターンから個人
を識別する方法はパスワードの入力の様な十分に安定し
たタイピングパターンにしか利用することができない。
また当然のことながら、この方法では一回のボタン操作
からは何の情報を得ることもできない。
【0020】さらにダブルクリックはもとよりパスワー
ド入力のような少ない回数のキー操作のタイミングパタ
ーンだけでは情報が少なく、多くの人を正確に区別する
ことはできない。さらに、文書作成やプログラミング等
の操作時など限られた操作時にしか利用できない。かつ
タイピングの習熟度による変動や心理状態、健康状態に
よる変動も大きい。
【0021】さらに、個人識別方法の別の1つとして、
歩行パターンから個人を識別する方法が提案されている
が、この方法は建物等への入退出管理には利用できる
が、コンピュータのアクセス管理には利用できない。
【0022】以上のことから本発明は、入れ替わりによ
る成り済まし詐称が不可能であり、また極めて偽造が困
難であり、利用者の心理的な抵抗感もなく、かつ利用時
に身体を拘束することがなく、さらに心理状態や健康状
態に影響を受けることも少ない人体からの情報を利用し
た検出装置、入力装置、個人識別装置、及び記録媒体を
提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1の検出装置は、被押圧面を押圧した
ときの指と被押圧面との接触状態の変化を反映した特徴
量及び被押圧面を押圧したときの指と被押圧面との押圧
状態の変化を反映した特徴量の少なくとも一方を検出す
る。
【0024】すなわち、キーボードのボタンやマウスボ
タンなどの被押圧物(以下、ボタンと称す)を押圧すると
きの指の動きは、ボタン操作時における手掌面に対する
指の略鉛直方向の運動、つまり指が上下運動を行う時の
被押圧面に対する指腹面の接触状態の変化と、指が上下
運動を行う時のボタン表面に対する指位置の時間変位な
どの押圧状態の変化として捕らえることができる。
【0025】この指の動きには各個人で異なる癖(すな
わち、後天的な特徴)があり、また指の大きさや形状、
柔らかさには個人差がある(すなわち、先天的な特徴)。
したがって、このような被押圧面を押圧したときの指と
被押圧面との接触状態の変化を反映した特徴量及び被押
圧面を押圧したときの指と被押圧面との押圧状態の変化
を反映した特徴量の少なくとも一方をキーボードのタイ
ピング時やマウスのクリック時等で検出することによっ
て、個人を識別することができる。
【0026】なお、請求項2に記載のように、前記接触
状態の変化を反映した特徴量は、被押圧面を押圧したと
きの指腹と被押圧面との接触面積の時間変化、被押圧面
を押圧したときの指腹形状の時間変化、被押圧面を押圧
したときの指腹面の凹凸形状の時間変化の少なくとも一
方であり、前記押圧状態の変化を反映した特徴量は、被
押圧面を押圧したときの押圧力の時間変化、被押圧面を
押圧したときの被押圧面に対する押し込み量の時間変
化、被押圧面を押圧したときの被押圧物内に生じる応力
の変化、被押圧面を押圧したときの指の動く速度の変
化、被押圧面を押圧したときの指の移動位置の変化の少
なくとも一方とする。
【0027】被押圧面を押圧したときの指腹と被押圧面
との接触面積の時間変化は、例えば、図2に示すよう
に、ボタンに軽く指先を触れている状態(t1及びt5
は、指腹とボタンとの接触面積(S1及びS5)は最小とな
り、ボタンを押し始めると接触面積はボタンを押す押圧
力に応じて次第に大きくなり(t2からt3)、ボタンの
押し込みが最大(t3)になると最大面積(S3)となる。
ボタンを離し始めると、接触面積は最大値から徐々に減
り(t3からt4)、再び待機中の値(S1及びS5)に、或
いはゼロになるという指の上下運動に対応した変化が見
られるものである。
【0028】被押圧面を押圧したときの指腹形状の時間
変化も同様な傾向を示す。例えば、図3に示すように、
被押圧面と接触する指腹形状が楕円状である場合、指が
被押圧面を押圧したときの楕円状の長軸lの長さ変化、
及び短軸mの長さ変化を前記指腹形状の時間変化を表す
物理量として検出できる。この場合、長軸lと短軸mと
の2つのパラメータを利用するためより多くの情報を得
ることができる。もちろん、ここでの長軸lと短軸mの
長さの実測値そのものを計測する他に、例えば、後述す
るような線状或いは微小な電極群による電気抵抗計測値
などのように間接的に長軸l、短軸mの長さを反映する
計測値を検出するように構成できる。
【0029】また、被押圧面を押圧したときの指腹表面
の指紋やたこ(胼胝腫―べんちしゅ)、疣(疣贅―ゆうぜ
い)、皺等の凹凸形状の時間変化の実測値そのものや凹
凸形状の時間変化を反映する計測値も同様な傾向を示す
ので個人識別の情報として利用できる。
【0030】また、指腹の押圧力の変化(或いは押圧力
の変化を反映する値)を計測しても良い。指腹とボタン
との接触部全圧力の変化からは、指先の変形が圧力に対
して線形であれば図4と同様の曲線を得ることができ
る。非線型であってもそれは個人差として有効な情報で
ある。
【0031】また、被押圧面を押圧したときの被押圧面
に対する押し込み量の時間変化は、例えば、図5に示す
ようなデータとして得ることができる。すなわち、図5
に示す曲線の傾きはボタンの移動速度を示しており、ボ
タンは時間の経過と共に次第に押し込まれ、十分に押し
込まれた所で(ta、t3、tb)変位はゼロとなり、その
後元の位置に戻る。曲線の形状はボタンの設計によって
異なるが、同じボタンであってもボタンを押す速さや加
速度は人によって異なるため曲線の形状の違いから個人
を識別することができる。この曲線形状の個人差は、ボ
タンを押す時の後天的に得た癖が支配的であると考えら
れる。
【0032】図6は、図2のボタン操作時におけるボタ
ン表面位置と、ボタンと指腹の接触面積の関係を数値化
したグラフを示す。ボタン表面位置、即ちボタンの押し
込み量はボタンから指腹への作用と通常比例関係とな
る。従って、図6の横軸yは指腹へ作用する力と置き換
えることができる(ここでは最大押し込み時の位置を起
点=0としているため、作用する力F=k・(−y),
k:ばね定数、となる)。
【0033】指腹へ加わった押圧力とその結果変化した
接触面積の関係は、時間tの影響を殆ど受けない。この
曲線の傾きの決定は指の弾性が支配的である。指先の弾
性は皮膚、皮下組織、末節骨等の形状、大きさ、位置関
係やそれぞれの弾性等の機械的性質といった先天的要因
が主で、これに加え皮膚への刺激や加齢による角質層の
変化等による後天的要因が重なって決まると考えられ
る。すなわち、この後天的要因による変化は短期間での
変動は通常小さいので個人差を表すデータとして利用で
き、先天的要因と組み合わせることで識別精度の高いデ
ータとなる。
【0034】また、図6のボタン表面位置y3=0時に
おける接触面積S=S3からS3’への変化(破線で示す
曲線)は、ボタンの変位幅を超える押し込み(以下、過押
し込みと称す。)があった場合である。図5のtaからt
bの間がこの過押し込み時間に当る。図6の曲線の中
で、この過押し込み部の曲線形状だけは個人の癖による
差が支配的となる。
【0035】ボタンの押し込み動作という癖を表す図5
の曲線、及び図6の過押し込み部曲線は同一人物であっ
ても計測毎にある範囲でばらつきが出るが、これに対し
図6で示す過押し込み部を除く曲線の形状はボタンに対
する指の位置関係が安定である限り同一人物であれば殆
ど変化しない。何れの情報、即ち曲線形状も計測毎のば
らつきを含めて個人毎に異なるため識別情報として利用
することができる。
【0036】また、図4に時間tと接触面積Sとの関係
を示す。この曲線の形状には、前述の説明で明らかなよ
うにボタンを押し込む時の速さの癖(図5)、過押し込み
の癖(図6の破線部)、指先の先天的な特徴(図6の実線)
が複合して現れている。従って、この曲線形状は個人に
よって異なり識別情報として用いることができる。図中
の時間taからtbの間のピークをS3’とする破線部
は、過押し込みがあった場合の経路である。
【0037】なお、被押圧面を押圧したときの被押圧物
内に生じる応力の変化、被押圧面を押圧したときの指の
動く速度の変化、被押圧面を押圧したときの指の移動位
置の変化、などの実測値や、これらを反映する計測値
も、上記図2、図4〜図6のいずれかと同じ傾向の物理
量となるので、個人識別に利用できる。これらの特徴量
を個別に検出するだけでなく、例えば、接触面積、指腹
形状、押圧力、ボタン押し込み量、指腹面の凹凸形状が
複合した計測値が検出されるような構成とすることによ
り、精度良く個人を識別できる個人識別データが得られ
る。
【0038】これらの計測対象は先述のように、計測対
象そのものが動きの癖を含むため指紋や手形、網膜、虹
彩などの形状変化しない人体部分とは異なり、ある範囲
内で変動し、また時間的に変化する情報である。そのた
め、偽造や模倣は極めて困難な個人識別データとなる。
【0039】請求項49の発明の入力装置は、前記請求
項1から前記請求項48のいずれか1項に記載の検出装
置を備えたものである。
【0040】また、請求項50の発明のポインティング
デバイスは、指で押圧することにより、接続先の機器に
指示を与える指示部を有し、前記指示部に前記請求項1
から前記請求項48のいずれか1項に記載の検出装置の
検出子を備えている。
【0041】なお、検出装置の検出子とは、被押圧面を
押圧したときの指と被押圧面との接触状態の変化を反映
した特徴量及び被押圧面を押圧したときの指と被押圧面
との押圧状態の変化を反映した特徴量の少なくとも一方
を検出するものであり、例えば、上記請求項5、請求項
10、請求項17及び請求項18の測定部、または請求
項23の被測定部に対応する。
【0042】さらに、請求項51の発明の個人識別装置
は、個人の指の動きを反映する特徴量及び特徴量を処理
した値の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、入力さ
れた特徴量と、前記記憶手段に記憶された記憶値とに基
いて個人を識別する識別手段と、を備えている。
【0043】すなわち、請求項51の個人識別装置は、
個人の指の動きを反映する特徴量及び特徴量を処理した
値の少なくとも一方を個人を識別するための記憶値とし
て記憶しておき、識別手段が入力された特徴量が記憶値
が表す個人によるものかを識別する。
【0044】記憶手段は、1個人の記憶値を記憶してい
ても良いし、また、複数の個人の記憶値を記憶していて
も良い。記憶手段が1個人のみの記憶値を記憶している
場合、または、記憶手段が複数の個人の記憶値を記憶
し、識別手段が入力された特徴量がどの個人によるもの
かを判断できる場合は、識別手段は1つの記憶値を記憶
手段から読み出し、この記憶値と入力された特徴量とを
比較してこれらが同一の個人によるものかを識別する。
【0045】また、記憶手段が複数の個人の記憶値を記
憶し、識別手段が入力された特徴量がどの個人によるも
のかを判断できない場合は、識別手段は記憶手段から全
ての記憶値を読み出して、全ての記憶値と入力された特
徴量とを比較して全ての記憶値の中に入力された特徴量
と同一の個人によるものがあるかを識別する。
【0046】この識別手段による識別は、例えば、読み
出した記憶値と入力された特徴量との距離を演算し、こ
の距離が予め定めた閾値距離よりも小さい場合は、同一
の個人と判断する方法が挙げられる。
【0047】この方法によれば、閾値距離との比較を行
うだけで本人か否かの照合判定ができる。計算する距離
としては、統計学上の判別分析やクラスター分析等で用
いられる距離、例えば、市街地距離、ユークリッドの距
離、標準化ユークリッド距離、ミンコフスキーの距離、
マハラノビス距離等を使うことができる(村上征勝著:行
動計量学シリーズ「真贋の科学」朝倉書店、1996)。
前者4つの距離は、何れも未知の利用者の波形ベクトル
と登録された特徴ベクトル間の距離として得られる。マ
ハラノビス距離d2 jは、k個の群の母集団の平均をμj
=(μ1j、μ2j…μpj)’(j=1、2、…k)μj、
観測値をX=(X1、X2…Xp)’とし、各群の分散共
分散行列をΣjその逆行列をΣj -1としたき、以下の
(1)の式から演算できる。
【0048】 d2 j=(X−μj)’Σj -1(X−μj)…(1) すなわち、マハラノビス距離d2 jは、未知の利用者の波
形ベクトルと登録された特徴ベクトル(平均ベクトル)
と、特徴行列(分散共分散行列、又は相関行列)の逆行列
から計算される。尚、閾値距離は登録者毎に異なる場合
もあるので、登録者の識別番号とともに記憶手段に保存
しておくと良い。
【0049】請求項52の発明の個人識別装置は、被押
圧物を押圧する指の動きを反映する物理量から指の動き
の特徴を反映する特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
個人の指の動きを反映する特徴量及び特徴量を処理した
値の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、前記特徴量
抽出手段から入力された特徴量と、前記記憶手段に記憶
された記憶値とに基いて個人を識別する識別手段と、を
備えている。
【0050】すなわち、請求項52の発明の個人識別装
置では、特徴量抽出手段が被押圧物を押圧する指の動き
を反映する物理量から指の動きの特徴を反映する特徴量
を抽出して記憶手段または識別手段に出力する。
【0051】記憶手段は、特徴量抽出手段から出力され
た特徴量を記憶し、識別手段は特徴量抽出手段から出力
された特徴量を前記入力された特徴量として、記憶手段
から読み出した特徴量と比較し、識別を行う。なお、記
憶手段と識別手段は、上記請求項51の発明の個人識別
装置の記憶手段と識別手段と同様な作用を有している。
【0052】請求項53の発明の個人識別装置は、被押
圧物を押圧する指の動きを反映する物理量を検出する検
出手段と、検出された物理量から指の動きの特徴を反映
する特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、個人の指の動
きを反映する特徴量及び特徴量を処理した値の少なくと
も一方を記憶する記憶手段と、前記特徴量抽出手段から
入力された特徴量と、前記記憶手段に記憶された特徴量
とに基いて個人を識別する識別手段と、を備えている。
【0053】すなわち、請求項53の発明の個人識別装
置では、検出手段が被押圧物を押圧する指の動きを反映
する物理量を検出して特徴量抽出手段に出力する。特徴
量抽出手段は検出手段により検出された物理量から指の
動きの特徴を反映する特徴量を抽出して、記憶手段また
は識別手段に出力する。なお、特徴量抽出手段、記憶手
段および識別手段は、上記請求項51の発明の個人識別
装置の特徴量抽出手段、記憶手段及び識別手段と同様な
作用を有している。
【0054】また、請求項56の発明の個人識別装置で
は、スイッチと、身体の動きに応じた検出量を検出する
検出素子と、前記スイッチの押圧前後の身体の動きに応
じた特徴量を複数人分記憶する記憶手段と、前記検出量
を所定期間分随時更新しながら保持する一時記憶手段
と、前記スイッチが押圧された際に、前記記憶手段に記
憶された特徴量と、前記一時記憶手段に記憶された前記
スイッチ押圧以前の検出量及び前記スイッチ押圧以降の
検出量とに基いて個人を識別する識別手段と、を備えて
いる。
【0055】この請求項56の発明では、スイッチを押
圧する直前と直後の指の動きと腕の動き等の身体の動き
を検出する検出素子を備え、スイッチを押圧する直前の
身体の動きに応じて検出される特徴量とスイッチを押圧
した直後の身体の動きに応じて検出される特徴量とに基
いて個人を識別するものであり、指の動きだけでなく他
の情報も含んだ特徴量が得られるので、より一層個人識
別の精度が上がるものとなる。
【0056】なお、上記請求項請求項51から請求項5
6に記載の個人識別装置は、請求項59に記載のよう
に、個人の指の動きを反映する特徴量及び特徴量を処理
した値の少なくとも一方を記憶する記憶手段から記憶値
を読出し、入力された特徴量と、読み出した記憶値とに
基いて個人を識別するプログラムを記録した記録媒体に
基いて処理を行っている。この記録媒体は、所定の記録
領域に記録されたものである。
【0057】また、上記請求項請求項51から請求項5
6に記載の個人識別装置は、請求項60に記載のよう
に、スイッチの押圧に応じて、前記記憶手段に記憶され
た前記スイッチの押圧前後の身体の動きに応じた複数人
分の特徴量と、所定期間分随時更新しながら個人の身体
の動きに応じた検出値を保持する一時記憶手段に記憶さ
れた前記スイッチ押圧以前の検出量及び前記スイッチ押
圧以降の検出量とに基いて個人を識別するプログラムを
記録した記録媒体に基いて処理を行うようにすることも
できる。この記録媒体は上記請求項59と同様に所定の
記録領域に記録されたものである。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、図1から図45を参照して
本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は
パーソナルコンピュータに組込む個人識別装置として本
発明の個人識別装置を適用したものである。パーソナル
コンピュータ本体には、個人を識別する識別手段が設け
られ、本発明の入力装置に対応するマウス11には、入
力装置の測定部に対応する測定センサ10(詳細は後述
する)がそれぞれ設けられ、マウス11をクリックした
ときに測定センサ10により指の動きの特徴を電気的、
光学的、または機械的に検出して得られたデータに基い
てパーソナルコンピュータ本体内の識別手段が個人識別
を行う構成である。
【0059】(第1の実施の形態)本第1の実施の形態に
よる個人識別装置では、身体の動きの1種である指の動
きを反映する個人識別情報として電気抵抗の変化を検出
する場合について説明する。本実施の形態は、電気抵抗
の変化をマウスのボタン(被押圧面)上に配置され、指と
被押圧面との接触面積の変化に応じて電気抵抗が変化す
る部材を用いて前記物理量を検出する構成である。
【0060】電気抵抗の変化は指腹と、ボタン上や内部
に設けられた電極との接触面積の変化や接触圧の変化、
或いは電極と指腹が接触する構造では発汗による指の導
電性の変化などが反映する。接触面積の変化や接触圧変
化の情報には、ボタン操作時の強弱や速さといった後天
的な癖と、指腹の柔らかさ、指腹の形状などの先天的な
個人差の両方の情報を含む。発汗状態は、発汗量の個人
差とその時々の心理状態を反映する。
【0061】まず、図1に示すように、本第1の実施の
形態による個人識別装置は、大別して、測定検出部1
0、信号処理部20、A/D変換部30、FIFO(Fir
st InFirst Out)メモリ84とが直列して接続されてお
り、バス28を介してFIFOメモリ84、RAM4
0、ROM41、判定結果信号出力部70、CPU(制
御部)100が接続されている。また、FIFOメモリ
84とCPU100とには、それぞれタイミング制御部
80が接続されており、タイミング制御部80は、マウ
スボタン部の出力タイミングを検出してこれらFIFO
メモリ84とCPU100とに出力している。
【0062】測定検出部10は、本発明の検出装置に対
応しており、図7に示すように、測定センサ10A(測
定部)、第1定電圧源85a、I−Vコンバータ回路(検
出部)とから構成されている。測定センサ10Aは、図
8に示すように、クリックの際に指腹面により押圧され
るマウスのボタン上に、第1電極12a、第1抵抗層1
4a、第2抵抗層14b、及び第2電極12bを順に積
層形成して構成されている。
【0063】測定センサ10Aの第1電極12aと第2
電極12bとには第1定電圧源85aが接続され、第1
電極12aと第2電極12b間に定電圧が印加されてい
る。また、第1電極12aはI−Vコンバータ回路に接
続され、第2電極12bは接地されている。
【0064】また、第1抵抗層14aと第2抵抗層14
bとの間の界面は接触抵抗により電気的に非接続状態と
なっており、指による押圧動作によりかかる圧力の大き
さに応じて接触面積が増大して接触抵抗が変化し第1電
極12aと第2電極12bとを電気的に接続する。
【0065】即ち、ボタンを押し始め、クリックし、ボ
タンから指を離す動作に応じて、測定センサ10Aを押
圧する押圧力が変化し、この押圧力の変化に対応して、
第1抵抗層14a及び第2抵抗層14b間の接触圧力が
変化する。この接触圧力の変化に対応して、第1抵抗層
14aと第2抵抗層14bとの間の電気抵抗は次第に減
少し、クリック時にピークに達し、その後次第に増加し
安定状態に至るという変化を示す。即ち、押圧力の変化
に対応して第1電極12aと第2電極12bとの間を流
れる電流量が変化し、I−Vコンバータ回路により変換
された電圧値も同様な傾向を示すこととなる。
【0066】この電圧値の変化を示すグラフを図9に示
す。図9において縦軸は電圧V横軸は時間tである。図
9に示すように、シングルクリックしたときは1つのピ
ークが現れ(図9(A))、ダブルクリックしたときは
2つのピークが現れている(図9(B))ことからこの
波形が指の動きを反映したものであるのがわかる。
【0067】また、ランダムに10人のユーザ選択し、
本装置を使用して10人のユーザがシングルクリックし
たときに検出された電圧値の変化を示すグラフを図10
に示す。図10から、10人のユーザが全て異なる特徴
を有する波形のグラフとなっているのが明確に示されて
いる。
【0068】測定センサ10Aを構成する第1電極12
a及び第2電極12bは、例えば、メッキ法によって厚
さ0.1μm〜30μm程度に形成されたCu、Au及
びNiのうちから選択された1種類または複数種類より
なる合金等の良導電性金属薄膜(但し、CuまたはNi
であれば、厚さ10μm〜30μm程度が好ましく、A
uであれば厚さ0.1μm〜3μm程度が好ましい。)
や、Pt、Pb等の薄膜を成膜後エッチングによってパ
ターンニングした厚さ1μm〜10μm程度の金属薄膜
により構成できる。また、第1抵抗層14a及び第2抵
抗層14bは、ボタンを操作する時に違和感を感じさせ
ない薄さで、かつ割れ、欠け、塑性変形等を起こさない
強度を持つように形成されている。
【0069】抵抗層の材質としては、例えば、金属、導
電化処理された樹脂、黒鉛や無定形炭素成形物等を用い
ることができる。具体的には、例えば、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン三元共重合体(ABS)、また
はポリカーボネート(PC)、または、ポリプロピレン
(PP)等の有機粘結剤に黒鉛を分散し、厚さ100μm
〜1000μm、抵抗率102Ωcm〜104Ωcmとな
るように成形したフィルム状成形物が好適である。ま
た、厚さ50μm〜500μmのポリエステルフィルム
等の耐熱性高分子フィルム表面に、酸化すずを添加した
酸化インジウムを蒸着後、酸化処理して得られる抵抗率
102Ωcm〜106Ωcmのフィルム等も用いることが
できる。
【0070】第1電極12aに接続されたI−Vコンバ
ータ回路は、第1電極12aと第2電極12b間の電気
抵抗値の変化を電圧の変化として検出しており、図7に
示すように、オペアアンプ82、抵抗Rf81、コンデ
ンサ83、定電圧源85bとを含んでいる。
【0071】第1電極12aはオペアアンプ82の非反
転入力端に接続されており、オペアアンプ82の出力端
は抵抗Rf81と、コンデンサ83を並列に介して該オ
ペアアンプ82の出力端に接続されている。一方、オペ
アアンプ82の反転入力端には第2定電圧源85bが接
続され、第1定電圧源85aと同じ大きさの定電圧が印
加されている。
【0072】I−Vコンバータ回路の出力は、一旦信号
処理部20に入力され、ノイズ除去などの所定の信号処
理が施された後、A/D変換部30に出力される。A/
D変換部30は、入力された1回のクリックによる振幅
波形信号をAD変換して量子化し、複数次元のベクトル
とする。
【0073】一般に、一回のシングルクリックにかかる
時間は0.4秒〜0.7秒程度、一回のダブルクリック
にかかる時間は0.5秒〜0.8秒程度であるので、サ
ンプリング時間間隔は100ms以下であれば十分であ
るが、電圧のピーク位置(或いはボトム位置)をより正確
に見つけるためには、サンプリングの時間間隔を出来る
だけ短くした方が望ましい。そのため、本第1の実施の
形態のA/D変換部30では、サンプリング時間間隔を
12.5ms(80Hz)としている。
【0074】A/D変換部30の出力は、全て先だし先
読みメモリであるFIFO(FirstIn First Out)メモリ
84に記憶される。FIFOメモリ84には、タイミン
グ制御部80が接続されており、このタイミング制御部
80は、図示はしないが、クリック動作によりマウスか
ら出力される電気信号が入力されるように構成されてい
る。
【0075】タイミング制御部80は、マウスのクリッ
ク動作によりアクセスされるファイルが、例えば、最重
要機密に属するファイルや、個人のプライベート情報を
格納したファイル等のように第3者に閲覧されるのを防
止する必要があるファイルをアクセスしたときや、クリ
ックされる度毎や、または予め定めた所定時間経過した
後の最初のクリック時等のクリックタイミングをFIF
Oメモリ84とバス28を介して後述するCPU100
とに出力する。
【0076】クリックタイミングは、1回のクリックに
よる振幅波形信号において、最も高い電圧値を示すピー
ク位置(或いは最も低い電圧値を示すボトム位置)でのタ
イミングであり、FIFOメモリ84は、このタイミン
グが入力された時点を規準として前に12.5ms(8
0Hz)毎にサンプリングした20点の電圧値と、後ろ
に12.5ms(80Hz)毎にサンプリングした39点
の電圧値、及びクリックタイミングでのサンプリング点
であるピークでの電圧値、合計60点の電圧値、つまり
振幅値を1組として出力する。
【0077】すなわち、図11及び図12に示すよう
に、1回のクリックによる振幅波形信号において、最も
高い電圧値を示すピーク位置(或いは最も低い電圧値を
示すボトム位置)を特徴抽出の規準として、このピーク
電圧を観測した時間から前に20点(v1、v2…v20)の
電圧値と、後ろ39点(v22、v23…v60)及びクリック
タイミングでのサンプリング点であるピーク(v21)での
電圧値、合計60点の電圧値、つまり振幅値(v1
2、v3…v60)が1組の特徴量として出力されること
になる。なお、クリック時の波形ベクトルの要素はサン
プリング時間毎の特徴量抽出点における振幅値(電圧)で
あり、特徴量抽出点の数はベクトルの次元となるので、
本実施の形態では、60次元のベクトルが得られること
になる。
【0078】FIFOメモリ84から出力された1組の
特徴量はバス28を介してRAM40に記憶される。記
憶された特徴量は個人の登録を行なう場合と、照合識別
処理を行う場合とに応じてバス28を介して接続された
CPU100によりRAM40から読み出され、それぞ
れに対応した処理が施される。
【0079】CPU100はROM41に記録されたプ
ログラムに応じて個人を認証の対象として登録する(個
人登録)処理と照合識別処理とを行う。
【0080】例えば、ランダムに5人のユーザを選択
し、それぞれのユーザが100回シングルクリックした
場合、一人につき100組の特徴量が得られる。これを
グラフ化すると図13のようになる。また、さらにラン
ダムに5人のユーザを選択し、それぞれのユーザが10
0回ダブルクリックした場合も同様に、一人につき10
0組の特徴量が得られる。これをグラフ化すると図14
のようになる。
【0081】個人を認証の対象として登録する(個人登
録)を行なう場合、CPU100はこれら100組の特
徴量に基いて特徴ベクトルと特徴行列とを演算する。
【0082】すなわち、100組の特徴量を各次元毎に
平均化し、得られたものを特徴ベクトルとして個人毎の
識別データと共に格納すると共に、100組の特徴量か
ら分散共分散行列(又は相関行列)を演算して得られた
ものを特徴行列とし、特徴ベクトルと同様に個人毎の識
別番号と共にRAM40に記憶する。
【0083】なお、少なくとも特徴ベクトルと特徴行列
とを個人毎の識別番号と共に格納していれば良いが、後
述する識別の際に用いる閾値距離は登録者毎に異なる場
合もあるので、この場合では個人毎に定められる閾値距
離も特徴ベクトル及び特徴行列と同様に個人毎の識別番
号と共にRAM40に記憶している。
【0084】また、CPU100には、バス28を介し
てタイミング制御部80のタイミング出力が入力され、
タイミング制御部80のタイミング出力を検知すると、
照合識別処理を行う。
【0085】照合処理は、入力された個人名に応じた識
別番号と共にRAM40に記憶された特徴ベクトルと特
徴行列(以後、個人データと称す)及びその個人に対応し
た閾値距離とを読出し、読み出した個人データと入力さ
れた特徴量とを比較して該当するかの判定を行なう。
【0086】具体的には、入力された特徴量に基いた未
知の波形ベクトルと、RAM40から読み出した個人デ
ータとのマハラノビス距離を演算し、得られた距離が適
切に設定した閾値距離より近い距離であれば、同一の個
人と判定する。
【0087】また、識別処理は、RAM40に記憶され
た全ての個人データ及びその個人に対応した閾値距離と
を読出し、読み出した全て個人データと入力された特徴
量とを比較して読み出した全て個人データの中に該当者
がいるかの判定を行なう。
【0088】具体的には、入力された特徴量に基いた未
知の波形ベクトルと、RAM40から読み出した全ての
個人データとのマハラノビス距離を演算し、最も近い距
離にある個人データを登録した人物が該当者であると判
定する。但し、前記未知の波形ベクトルと個人データと
の距離が前記閾値距離よりも遠い場合は、該当者なしと
判定する。
【0089】計算する距離としては、マハラノビスの距
離が最も好ましい。マハラノビスの距離は、前述したよ
うに、未知の利用者の波形ベクトルと登録された特徴ベ
クトル(平均ベクトル)と、特徴行列(分散共分散行列、
又は相関行列)の逆行列から計算されるので、本実施の
形態では、個人データとして特徴ベクトル(平均ベクト
ル)と、特徴行列(分散共分散行列、又は相関行列)を記
憶する構成としている。
【0090】ここで、図15から図19は或る5人のユ
ーザのシングルクリックにより得られた特徴量に基いて
算出されたマハラノビス距離を示すグラフであり、各図
は5人のうちの一人を規準としたときのマハラノビス距
離を全てのユーザについて表している。また、図20か
ら図24は、ランダムに選択した5人のユーザのダブル
クリックにより得られた特徴量に基いて算出されたマハ
ラノビス距離を示すグラフであり、前記図15から図1
9と同様に、各人のうちの一人を規準としたマハラノビ
ス距離を全ての被験者について表している。これらの図
には、5人のユーザが全て異なる距離となっているのが
明確に示されている。
【0091】なお、マハラノビス距離の他にその他の統
計学上の判定分析やクラスター分析等で用いられる距
離、例えば、市街地距離、ユークリッドの距離、標準化
ユークリッド距離、ミンコフスキーの距離等のその他の
統計学上の距離を使うこともできる。
【0092】CPU100による判定結果は、バス28
を介して判定結果信号出力部70に出力される。判定結
果信号出力部70はCPU100による判定結果を信号
変換して、例えば、CRT35に出力してスクリーンセ
ーバーをかけて登録のない第3者による読み取りを阻止
したり、入力部からのすべての指示を無視するようにコ
ンピュータ本体におけるプログラム処理を設定する等の
ようにコンピュータ本体でのプログラム処理に反映させ
る。なお、次のクリック動作に基く照合識別処理におい
て適合すると判断した場合はこれらの設定を全て解除し
て、作業を再開できるようにする。
【0093】また、ROM41には後述する照合識別プ
ログラムが記憶されている。このプログラムは、パソコ
ンに電源が投入されると読み出され、実行される。
【0094】ここで、照合識別プログラムについて図2
5のフローチャートを参照しながら説明する。まず、ス
テップ400では、特徴量が入力されたかを判断する。
この特徴量は、例えば、ユーザがログオンするとき、ユ
ーザがマウスをクリックしたとき、ユーザが重要機密指
定されたファイルを開くとき、及び、一定時間が経過し
たとき毎等のタイミングで入力される。
【0095】ステップ400において特徴量が入力され
たと判断すると、ステップ402に移行して個人名が入
力されたかを判断する。ステップ402において個人名
が入力されたと判断すると照合処理を行い、ステップ4
02において個人名が入力されていないと判断すると識
別処理を行う。
【0096】即ち、ステップ402において個人名が入
力されたと判断するとステップ406に移行してRAM
40から個人名に対応する識別データを呼出し、識別デ
ータと共に記憶された個人データを読み込んで一旦記憶
する。次のステップ408においては入力された特徴量
と、記憶した個人データとのマハラノビス距離を求め
る。
【0097】次のステップ410では、マハラノビス距
離が閾値距離よりも短いという条件を満たすかを判断
し、満たす場合はステップ412に移行して適合処理
(後述する)して本ルーチンを終了する。また、満たさ
ない場合は、ステップ414に移行して不適合処理(後
述する)して本ルーチンを終了する。
【0098】一方、ステップ402において個人名が入
力されていないと判断するとステップ416に移行して
RAM40に登録されている全ての識別データを呼出
し、各々識別データと共に記憶された個人データを読み
込んで一旦記憶する。
【0099】次のステップ418においては入力された
特徴量と、記憶した全ての個人データとのマハラノビス
距離を求める。
【0100】次のステップ420では、各個人データ毎
に得られたマハラノビス距離が全て閾値距離よりも短い
という条件を満たすかを判断する。ステップ420にお
いて、各個人データ毎に得られたマハラノビス距離が全
て閾値距離よりも短いという条件を満たすものがある場
合は、次のステップ422に移行して、条件を満たすも
のが1つかを判断する。
【0101】条件を満たすものが1つである場合は、ス
テップ424に移行して条件を満たすものが1つの個人
データが適合すると判断して適合処理(後述する)を行
い、本ルーチンを終了する。また、条件を満たすものが
1つでない(すなわち複数ある)場合は、最もマハラノ
ビス距離が近い個人データが適合すると判断して適合処
理(後述する)を行い、本ルーチンを終了する。
【0102】また、ステップ420において、各個人デ
ータ毎に得られたマハラノビス距離が全て閾値距離より
も短いという条件を満たさない場合は、ステップ414
に移行して不適合処理(後述する)を行い、本ルーチン
を終了する。
【0103】なお、適合処理は、現在行っている処理ま
たはこれから行おうとしている処理を継続させると共
に、識別(または照合)判定に用いた特徴量を新たに該
当する個人の個人データに取り込んで、新たな個人デー
タ(すなわち、特徴ベクトル、特徴行列)を演算し直
し、格納する処理である。
【0104】また、不適合処理は、スクリーンセーバー
をかけて登録のない第3者による読み取りを阻止した
り、入力部からのすべての指示を無視するようにコンピ
ュータ本体におけるプログラム処理を設定する等のよう
にコンピュータ本体でのプログラム処理に反映させる処
理である。
【0105】以上のようにデータを処理することで、ボ
タン操作時の指の動き、例えばクリック時の指腹とボタ
ンとの接触状態変化から個人の特徴を捕らえて定期的及
び予め指定したファイルを開くたびなどのタイミングで
現在使用しているユーザが登録されたユーザであるかの
照合識別を行うことができる。
【0106】ここで、個人登録処理を行なうプログラム
について図26のフローチャートを参照しながら説明す
る。まず、ステップ300では、登録する個人名が入力
されているかを判断し、個人名が入力されると、ステッ
プ302に移行して入力された個人名に対する識別デー
タ(識別アドレス)を生成する。
【0107】次のステップ304では、個人登録のため
のクリック数の入力が有るかを判断し、個人登録のため
のクリック数の入力が有るとステップ306に移行し、
1クリック毎に入力される特徴量を記憶する。
【0108】次のステップ306では、個人登録のため
のクリック数分の特徴量の記憶が終了したかを判断し、
終了していない場合は、再びステップ306に戻り、1
クリック毎に毎に入力される特徴量を記憶する。
【0109】ステップ306で、個人登録のためのクリ
ック数分の特徴量の記憶が終了したと判断すると、ステ
ップ310に移行して、全ての特徴量から、特徴ベクト
ルと特徴行列(分散共分散行列又は相関行列)とを演算す
る。その後、ステップ312において、ステップ302
で生成した識別データと共に特徴ベクトルと特徴行列
(分散共分散行列又は相関行列)とを記憶して本ルーチン
を終了する。
【0110】なお、本実施の形態では、測定センサ10
Aは、第1電極12aと第2電極12bとの間に、第1
抵抗層14aと第2抵抗層14bとの2つの抵抗層を設
けた構成としたが、本発明の測定センサ(測定部)はこの
構成に限らず、少なくとも1つの抵抗層を含む1層以上
の非絶縁層と、該1層以上の非絶縁体層を間に挟んで積
層形成された2つの導電体層とから構成されていればよ
い。
【0111】もちろん、抵抗体層は2層に限らず、3層
以上であっても良い。また、前記1層以上の非絶縁体層
のうち少なくとも1つの層は弾性を有するものや流体と
すると指の動きをより明確に反映した値が得られるので
好ましい。また、全ての層が抵抗体である必要はなく、
一部の層は導電性であっても良い。さらに、測定センサ
10Aの表面に、保護のための絶縁層を設ける構成とし
ても良い。
【0112】また、本実施の形態では、コンピュータ本
体に電源が入ると同時に識別プログラムが起動するよう
に構成しているが、オペレータの指示により識別プログ
ラムを起動するように構成することもできる。
【0113】また、本第1の実施の形態では、識別結果
が不適合である場合は、不適合処理としてコンピュータ
本体におけるプログラム処理を中止させ、スクリーンセ
ーバーをかけて登録のない第3者による読み取りを阻止
するように構成したが、強制終了するように構成するこ
ともできる。
【0114】さらに、本第1の実施の形態では、指の動
きを電気抵抗の変化として捕えたデータを用いる例を示
したが、静電容量の変化を読み取る構成(後述する)であ
っても、光学的に計測する構成(後述する)であっても、
機械的に圧力や速度、位置変化を計測する構成(後述す
る)であっても、或いは音の変化を計測する構成であっ
ても、量子化後のデータ処理方法は同様である。
【0115】また、前述した実施の形態では、照合識別
プログラムをROM41に記憶しているが、本発明はこ
れに限定されず、該プログラムをフロッピィディスクに
記憶すると共に、コンピュータ本体にハードディスクを
備え、フロッピィディスクから該プログラムを読み取
り、ハードディスクにインストールしても良い。また、
有線または無線のネットワークに電話回線などの伝送手
段により伝送してインストールしても良い。なお、該プ
ログラムはフロッピィディスクに記憶することに限定さ
れず、CD−ROM、磁気テープに該プログラムを格納
し、該CD−ROM、磁気テープからパソコンのハード
ディスクにインストールしても良い。また、該プログラ
ムを格納したハードディスクを備えるようにしてもよ
い。さらにパソコンのハードディスクやRAMに直接プ
ログラムを書き込むようにしてもよい。このように上記
プログラムは、有形の記録媒体及び伝送手段の少なくと
も一方により流通することができる。
【0116】(第2の実施の形態)上述した第1の実施の
形態における測定センサ10Aの別の構成を第2の実施
の形態として説明する。なお、その他の構成は、上記第
1の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
【0117】第2の実施の形態の測定センサ10Bは、
図27に示すように、クリックの際に指腹面により押圧
されるマウスの被押圧面に、第1電極12a、流体層1
8、抵抗層14及び第2電極12bを順に積層形成して
構成されている。
【0118】第1電極12aは、例えば、抵抗率10-6
Ωcmの銅−ニッケル合金等の金属や、カーボンブラッ
クをエチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)に分
散させた抵抗率10-1Ωcm程度の導電性ゴム、或いは
ヨウ素をドーピングしたポリアセチレン等の導電性高分
子材料、金属粉末等の導電性フィラーを分散したゴムや
プラスチック等により構成された厚さ100μm程度の
導電性層により構成されている。
【0119】流体層18は、第1電極12aと抵抗層1
4との間に設けられた、例えば、アクリルやエポキシ、
ポリ塩化ビニル、或いはガラス、ゴム、セラミック等の
絶縁性のスペーサ17により形成される密閉空間内に、
例えば、空気や窒素等の絶縁性の気体或いは鉱油やシリ
コンオイル等の電気絶縁性の液体が充填されてなる構成
である。
【0120】この流体層18の厚さは、測定センサ10
Bが設けられたボタンを操作する時に違和感を感じさせ
ない程度に、かつ、測定センサ10Bが指で押圧された
ときに、流体層18の上層の抵抗層14が第1電極12
aと接触できる厚さである10μm〜100μm程度に
設定されている。
【0121】流体層18の上層の抵抗層14は、上述し
た第1の実施の形態と同様の材質より構成されている。
また、第2電極12bも第1の実施の形態と同様に、例
えば、メッキ法によって厚さ0.1μm〜30μmに形
成されたCu、Au及びNiのうちから選択された1種
類または複数種類よりなる合金等の良導電性金属薄膜
(但し、CuまたはNiであれば、厚さ10μm〜30
μm程度が好ましく、Auであれば厚さ0.1μm〜3
μm程度が好ましい。)や、Pt、Pb等の薄膜を成膜
後エッチングによってパターンニングした厚さ1μm〜
10μm程度の金属薄膜により構成できる。
【0122】本第2の実施の形態の測定センサ10Bの
構成では、流体層により第1電極12aと第2電極12
bとは電気的に非接続状態とされているが、指による押
圧動作によりかかる圧力の大きさに応じて第2電極12
bが撓んで流体層を押しのけ、上記第1の実施の形態と
同様に、ボタンを押し始め、クリックし、ボタンから指
を離す動作に応じてかかる圧力の大きさが変化し、この
圧力変化に応じて第1電極12aとの接触面積が増大し
て第1電極12aと第2電極12bとの間を流れる電流
量が増大する。
【0123】したがって、上記第1の実施の形態と同様
に、第1電極12aに接続されたI−Vコンバータ回路
により、第1電極12aと第2電極12b間の電気抵抗
値を検出して指の動きを反映したデータを得ることがで
きる。なお、この場合、押圧部の接触面積変化と接触圧
力変化を反映した抵抗の変化を示すデータが得られるこ
ととなる。
【0124】(第3の実施の形態)上述した第1の実施の
形態における測定センサ10Aのさらに別の構成を第3
の実施の形態として説明する。なお、その他の構成は、
上記第1の実施の形態と同様であるので、第2の実施形
態と同様に説明は省略する。
【0125】第3の実施の形態の測定センサ10Cは、
図28に示すように、クリックの際に指腹面により押圧
されるマウス11のボタン11a上に、第1電極12
a、一方の面が凹凸処理され弾性を有する抵抗層14
c、及び第2電極12bを順に積層形成して構成されて
いる。
【0126】一方の面が凹凸処理された抵抗層14c
は、無圧下では凹凸先端部が軽く触れる程度に第1電極
12aと接触しており、接触抵抗も高いためほとんど電
流は流れない。押圧力が加わると抵抗層14cの凹凸先
端部が変形して第1電極12aとの接触面積及び第1電
極12aにかかる接触圧力が増加する。このとき、抵抗
層14cの上層に設けられた第2電極12bは抵抗層1
4cの厚さに比べてかなり薄く形成されているため、抵
抗層14cの弾性変形に追随して変形することとなる。
【0127】そのため、ユーザがボタンを押し始め、ク
リックし、ボタンから指を離す動作に応じてかかる圧力
の大きさの変化に応じて抵抗層14cと第1電極12a
との間の電気抵抗は下がり、流れる電流量が増大する。
したがって、上記第1の実施の形態と同様に、第1電極
12aに接続されたI−Vコンバータ回路により、第1
電極12aと第2電極12b間の電気抵抗値を検出して
指の動きを反映したデータを得ることができる。
【0128】なお、抵抗層14cが弾性を有さず、第1
電極12aが弾性を有する場合は、抵抗層14cの凹凸
先端部が第1電極12aに食い込んで同様な接触面積及
び第1電極12aにかかる接触圧力が増加が見られるた
め、同様な電気抵抗変化として指の動きを観測すること
ができる。
【0129】弾性を有する抵抗層14cとしては、例え
ば、カーボンブラックをシリコンゴムやエチレン−プロ
ピレンゴム(EPM、EPDM)に分散させて抵抗率を1
2Ωcm程度とした導電性ゴム等を用いることができ
る。
【0130】また、弾性を有する第1電極12aとする
場合も、同様に、例えば、カーボンブラックをシリコン
ゴムやエチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)に
分散させて抵抗率を10-1Ωcm程度とした厚さ100
μm〜1000μm程度の導電性ゴムを用いることがで
きる。
【0131】導電性ゴムは、型枠成形や切削成形によっ
て比較的容易に所望の凹凸面を形成できるので最適であ
る。勿論、凹凸面を形成できる抵抗材料または導電材料
であれば、使用できることは言うまでもない。尚、第1
電極12aと抵抗層14cとの間に空気や窒素等の気体
層、或いは鉱油やシリコンオイル等の電気絶縁性の液体
層を設けた構成とすることもできる。
【0132】(第4の実施の形態)指の動きを電気抵抗の
変化として読み取る他の方法を第4の実施の形態として
図29に示す。図29は、人体の電気抵抗が通常体内で
150Ω〜500Ω程度であり、AC15V印加時の皮
膚では、乾燥状態の手の場合は5×103Ω程度、湿潤
状態の手の場合は2×103Ω程度であることに着目
し、被押圧面上に互いに電気的に非接続となるように形
成され、且つ、指の接触により指を介して導通されるス
トライプ状或いは島状の複数の孤立微小電極16をマウ
ス11のボタン11a上に多数形成した電極群を測定部
として構成したものである。
【0133】即ち、第4の実施の形態では、押圧時に指
腹と接触する領域の孤立微小電極16部分のみが導通す
るので隣接電極間抵抗を測ることで、接触面積に対応し
た抵抗変化を読み取ることができると同時に、導通した
孤立微小電極16の位置を検知して接触状態にある指腹
面の形状を電気的に捕えている。
【0134】この孤立微小電極16は、例えば、幅10
0μm〜1000μm程度、接触する指腹の幅かそれ以
上、例えば10mm程度以上、好ましくはマウス11の
ボタン11a全体に電極群が形成されるようにマウス1
1のボタン11aの幅程度の長さの線状電極を、ピッチ
100μm〜1000μmで並べたものとすることがで
きる。また別の例としては、500μm×500μmの
正方形の島電極を500μm間隔でマウス11のボタン
11a全体に複数配置した電極群構成とすることができ
る。なお、電極群全体が占める面積が、指の押圧面の面
積よりも大きくなるように構成することで、指の動きを
漏らさず反映させることができる。
【0135】電極群構造は、例えばガラスエポキシやセ
ラミック、或いは絶縁被覆した金属薄板等の絶縁基板の
表面にCu、Au、Ni等の良導電性金属薄膜をメッキ
法によって形成する、或いはPt、Pb等の薄膜を成膜
後エッチングによって成形する等の方法によって形成で
きる。
【0136】被押圧面上に形成されたこれら電極の上に
指腹を接すると、接触部の電極は指によって電気的に接
続され、接続された隣接電極間には接触する指腹面積の
皮膚抵抗分の電気抵抗を観測することができる。即ち、
これら隣接電極間の抵抗を常時、或いは繰り返し高速に
順次走査計測すれば指腹の電極群への接触状態変化を反
映するデータを得ることができる。
【0137】ボタンを押し込み押圧力が高くなれば、ボ
タン上の電極群と指腹の接触面積は広くなり、より多く
の電極間が導通状態となる。同時に一対の隣接する電極
に注目すれば、指腹の両電極への接触面積が広がり、か
つ接触圧も高くなるため、両電極間の抵抗は次第に低く
なる。
【0138】通常、クリック時に面積の広がりはピーク
に達し、その後の指の持ち上げに連れて接触面積は減少
する。この方法では導通電極間本数(若しくは導通間個
数)の変化と隣接電極間抵抗の変化の二つの情報を得る
ことができる。
【0139】即ち、線状電極の場合、ボタンを押して一
回クリックする場合、導通電極間本数は次第に増えてク
リック直後から減少し、隣接電極間抵抗は最初に導通の
認められる電極対に注目すれば、次第に減少しクリック
時をピークとしてその後減少する。
【0140】島状電極の場合では、隣接電極間の抵抗変
化は通常各々の電極が指腹面積より小さいため電極全体
が指腹に覆われ、先述のような接触面積変化は殆ど見る
ことが無い。しかし各電極への接触圧変化による接触抵
抗変化を捕えることができる。
【0141】こうして得られた導通電極間数変化及び電
極間電気抵抗変化は、指の動きを反映したデータであ
り、それぞれ個人差のあるデータとなるのでこれら導通
電極間数変化及び電極間電気抵抗変化に基いて個人の特
徴を捕らえ、定期的及び予め指定したファイルを開くだ
びなどのタイミングで現在使用しているユーザが登録さ
れたユーザであるかの照合識別を行うことができる。な
お、その他の構成は、上記第1の実施の形態と同様であ
るので、説明は省略する。
【0142】なお、本第4の実施の形態では、多数の電
極群を測定部として構成したものであるが、本発明はこ
の構成に限定されるものではなく、少なくとも2つの電
極からなる電極群から構成される測定部を有するもので
あれば全て含まれる。また、個々の電極もストライプ状
或いは島状に限らず、環状電極及び円状電極等種々の形
状のものを組み合わせて構成することも可能である。こ
の場合、指の動きの特徴がでやすいように各種形状の電
極を組み合わせて配置することで、より一層精度の高い
ものとなる。
【0143】(第5の実施の形態)図30に示す第5の実
施の形態は、第4の実施の形態の応用例であり、より安
定したデータを得るために、マウス11のボタン11a
全体に複数配置した電極群上に皮膚の替わりとなる厚さ
20μm〜500μm程度のフィルム状の抵抗体若しく
は導電体よりなる保護層19を設けた構成である。
【0144】この保護層19は、図30に示すように、
線状または島状電極群16(以下、電極群16と称す。)
の周縁に設けられた絶縁性のスペーサ17により電極群
16と物理的に非接触となるように張架されている。
【0145】このような構成とすることにより、押圧力
が加わらない時にはこれら電極群16は、電気的に非接
触状態に保たれ、押圧力が加わった時には指の動きに応
じて変化する指腹の押圧面積及び接触形状に対応した導
通電極間数変化及び電極間電気抵抗変化が得られる。
【0146】なお、保護層19と電極群16間の接触抵
抗が大きい場合には、スペーサ17で張架せずに保護層
19が自重で軽く電極群16に接するように構成するこ
ともできる。この場合、保護層19が移動しないように
構成するとよい。
【0147】また、保護層19は、指腹との接触圧の変
化に応じて変形するような可撓性または柔軟性のある材
質より構成することが望ましい。例えば、厚さ50μm
〜100μmのポリエステルフィルム等の耐熱性高分子
フィルム表面に、酸化すずを添加した酸化インジウムを
蒸着後、酸化処理した抵抗率102Ωcm〜106Ωcm
のフィルムや、カーボンブラックや黒鉛、Ag粉、Ni
粉等をシリコンゴムやエチレン−プロピレンゴム(EP
M、EPDM)に分散させた厚さ100μm〜200μ
m、抵抗率10-1Ωcm〜102Ωcmの導電性ゴム等
が利用できる。このような構成とすることにより、指腹
で押圧力を加えることで、指腹の変形に応じて電極群1
6間の導通状態が変化し、指の動きを反映したデータを
得ることができる。
【0148】(第6の実施の形態)図31は、指の動きを
電気抵抗の変化として読み取る他の構成例であり、図3
1(A)に示すように、マウス11のボタン操作時に指
22の指腹面が最初に接する部分(例えばボタン上に曲
面がある場合には指腹が当る曲面中央付近)に設けられ
た直径が約2mmの円状電極24と、この円状電極24
と同心円状となるように、内径が約3mmで、外径が約
10mmの環状電極26を設けた構成である。なお、こ
の2つの電極24、26が占める領域寸法を、ボタンを
操作する際の指腹の接触面積よりも若干大きい程度とす
ることにより、接触面積変化全体の情報を知ることがで
きる。一般にボタンと接触する指腹面の大きさは、直径
10mm程度であるので、環状電極26の外形寸法が1
0mm以上であれば良いので、本実施の形態では、約1
0mmの外径寸法の環状電極26としている。
【0149】この構成では、図31(B)に示すよう
に、ボタンの押圧時に指腹が二つの電極24、26に跨
って触れ、これにより2つの電極が導通される。このと
きの指腹面の二つの電極24、26に対する接触状態は
指の動きに応じて変化するため、これら二つの電極2
4、26間の電気抵抗変化は、指腹の電極との接触抵抗
や指腹の電極との接触面積の変化に応じて変わることと
なり、ボタン操作時の指の動きを反映したデータが検出
されることとなる。
【0150】特に、この構成は、マウス11のボタン1
1a上や筐体に、指腹の当接位置を安定にするための溝
や曲面が設けられている場合に有効である。なお、本第
6の実施の形態では、円状電極24と同心円状となるよ
うに1つの環状電極を設けた構成としたが、もちろん本
発明はこの構成に限るものではなく、被押圧面に設けら
れた電極と、この電極を取り囲むように配置された少な
くとも1つの電極とから構成されるものであればよい。
【0151】例えば、円状電極24と同心円状となるよ
うに複数の環状電極を設けた構成としたり、また、環状
電極に限らず、多数の電極により円状電極24を取り囲
む配置とした構成などであっても同様の作用が得られ
る。これらの構成の場合、各電極と中心電極24の間の
電気抵抗変化を計測することにより、指腹面の接触形状
も検出することができる。なお、その他の構成は上記第
4の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
【0152】(第7の実施の形態)図32に示す第7の実
施の形態は、上記第6の実施の形態の応用例であり、よ
り安定したデータを得るために、図32(A)に示すよ
うに、環状電極25の内径を楕円形とし、円状電極24
の中心からずれた位置に配置した構成である。この環状
電極25の内径寸法は本実施の形態では、長軸が約7m
m、短軸が約3mm〜5mmであり、左右で非対称とな
るように指の長手方向に対して長軸方向を例えば45度
傾けた配置としている。
【0153】このような配置とすることで、図32
(B)に示すように、指正面から見た時の指の傾きが鏡
対称の場合でも2つの電極24、25との接触面積に違
いがでるため、個人差をより鮮明にすることができる。
したがって、腹の電極との接触抵抗や指腹の電極との接
触面積の変化に応じて変化する電気抵抗変化に加えて、
指22の(正面から見た時の)傾きの個人差も反映したデ
ータを得ることができる。
【0154】なお、第7の実施の形態では、円状電極2
4の中心からずれた位置に中心を有する楕円形状の内径
が形成された1つの環状電極を設けた構成としたが、も
ちろん本発明はこの構成に限るものではない。
【0155】例えば、円状電極24の中心からずれた位
置に中心を有する楕円形状の環状電極を複数同心円状と
なるように設けた構成としたり、また、環状電極に限ら
ず、多数の電極により円状電極24を取り囲む配置とし
た構成などであっても同様の作用が得られる。これらの
構成の場合、各電極と中心電極24の間の電気抵抗変化
を計測することにより、指腹面の接触形状も検出するこ
とができる。なお、その他の構成は上記第4の実施の形
態と同様であるので、説明は省略する。
【0156】なお、本実施の形態では、環状電極25の
内径形状を楕円形としたが、もちろん、楕円形に限ら
ず、卵型としても良く、左右で非対称となる形状であれ
ば良い。
【0157】(第8の実施の形態)上述した第1の実施の
形態から第7の実施の形態は、一対の電極間を流れる抵
抗の変化を検出するものであるが、本第8の実施の形態
では、指の動きを指と被押圧面との接触面積の変化に応
じて静電容量が変化する部材を用いて前記物理量として
検出する構成について説明する。なお、静電容量を検出
する場合も測定センサ10Dの構成以外は、上記第1の
実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
【0158】本第8の実施の形態の測定センサ10D
は、図33に示すように、クリックの際に指腹面により
押圧されるマウス11のボタン11a上に積層形成され
た、第1導電体層32a、誘電体層34と、マウス11
がユーザにより握られたときに手のひらと接触する部
分、本第8の実施の形態では、マウス11の側面に設け
られた第2導電体層32bとから構成される。
【0159】第1導電体層32aと第2導電体層32b
とには定電圧が印加されており、第1導電体層32a及
び第2導電体層32b間の静電容量を測定する静電容量
測定装置(図示せず)が接続され、静電容量測定装置の出
力が測定センサ10Dの出力とされる。第1導電体層3
2aと第2導電体層32bとは、例えば、金属や筐体や
ボタンを構成するプラスチック材料にカーボン系粉末や
金属粉末、金属繊維などの導電性粉末を分散させたもの
等のような導電性材料であればよい。
【0160】誘電体層34は、指腹の押圧力に応じて変
形する弾性材料より構成されている。このような弾性材
料としては、例えば、無圧下での厚さ100μm〜10
00μmのシリコンゴム(ε/ε0=8.6〜8.5)や、
天然ゴム(ε/ε0=2.4)、ネオプレンゴム(ε/ε0
6.5〜5.7)等が好適である。
【0161】このような構成のマウス11をユーザが握
った場合、人間の皮膚抵抗は上述のように乾燥状態では
5×103Ω、湿潤状態では2×103Ω程度であるか
ら、マウス11のボタン11aを操作するユーザの指腹
はほぼ第2導電体層32bと同電位になり、指先は第2
導電体層32bと見たてることができる。したがって、
ユーザがボタン11aを操作すると指先が第1導電体層
32aに近づくため、第1導電体層32aと第2導電体
層32間の距離dが短くなるといえる。
【0162】ここで、静電容量Cは、電極間距離d、電
極面積S、電極間物質の誘電率をεとすると、C=ε・
S/dの関係がある。そのため、第1導電体層32aと
第2導電体層32間の距離dが短くなると静電容量Cが
大きくなることがわかる。即ち、ユーザがボタン11a
を操作する際の指腹の誘電体層34との間での接触面積
の変化と指腹の接触面内の各微小点における押し込み量
の変化の総和とを反映して静電容量Cの大きさが変わる
といえる。
【0163】指腹の接触面積の変化と指先の押し込み量
の変化は、図2から図6に示すように、指の動きを反映
したデータであり、それぞれ個人差のあるデータとな
る。即ち、ボタンを押し始め、クリックし、ボタンから
指を離す動作に応じて、測定センサ10Dと接触する指
の接触面積及び、測定センサ10Dと接触する指の各微
小点における距離が変化し、これらの変化に対応して、
静電容量測定装置の出力値が図9に示す電圧の時間変動
の傾向と同様な傾向で変化する。
【0164】このような静電容量Cの変化に基いて個人
の特徴を捕らえ、定期的及び予め指定したファイルを開
くだびなどのタイミングで現在使用しているユーザが登
録されたユーザであるかの照合識別を行うことができ
る。なお、その他の構成は、上記第1の実施の形態と同
様であるので、説明は省略する。
【0165】なお、第1導電体層32aと第2導電体層
32bとをマウスと独立に構成せずに、マウスのボタン
部分とマウスの筐体部分とのそれぞれにカーボン系粉末
や金属粉末、金属繊維などの導電性粉末を分散させてそ
れぞれ電気的に非接続となるように構成し、マウスのボ
タン表面に弾性材料よりなる誘電体層34を設ける構成
としてもよい。
【0166】(第9の実施の形態)本第9の実施の形態で
は、指の動きを静電容量の変化として捕らえる別の構成
について説明する。なお、測定センサ10Eの構成以外
は、上記第8の実施の形態と同様であるので、説明は省
略する。
【0167】本第9の実施の形態の測定センサ10E
は、図34に示すように、クリックの際に指腹面により
押圧されるマウス11のボタン11a上に積層形成され
た、第1導電体層32a、弾性を有する誘電体層34、
第2導電体層32bとから構成される。
【0168】第1導電体層32aと第2導電体層32b
とには定電圧が印加されており、第1導電体層32a及
び第2導電体層32b間の静電容量を測定する静電容量
測定装置(図示せず)が接続され、静電容量測定装置の出
力が測定センサ10Eの出力とされる。また、第1導電
体層32aと第2導電体層32bとの間の誘電体層34
は、指腹の押圧力に応じて変形可能に構成されている。
【0169】このような構成の測定センサ10Eは、指
による押圧動作によりかかる圧力の大きさに応じて誘電
体層34が変形して第1導電体層32a及び誘電体層3
4の上層に設けた第2導電体層32bとが近づくことと
なり、静電容量Cが増大する。特に、大気に開放されて
いない密閉セルに気体を封入するして構成した誘電体層
34の場合では、誘電率εは分子密度によって変化する
ため、電極間距離dの変動分だけでなく押圧力による圧
縮された分の誘電率εの変動分も含んだ計測値となり、
より一層個人識別の精度が良いデータとなるので好まし
い。
【0170】指腹の接触面積の変化と指先の押し込み量
の変化は、図2から図6に示すように、指の動きを反映
したデータであり、それぞれ個人差のあるデータとな
る。即ち、ボタンを押し始め、クリックし、ボタンから
指を離す動作に応じて、第2導電体層32bと接触する
指の接触面積及び、第2導電体層32bと接触する指の
各微小点における距離が変化し、各微小点における押し
込み量の変化の総和とを反映して静電容量Cの大きさが
変わるといえる。
【0171】したがって、静電容量測定装置の出力値
は、図9に示す電圧の時間変動の傾向と同様な傾向で変
化するものとなる。
【0172】このような静電容量Cの変化に基いて個人
の特徴を捕らえ、定期的及び予め指定したファイルを開
くだびなどのタイミングで現在使用しているユーザが登
録されたユーザであるかの照合識別を行うことができ
る。なお、その他の構成は、上記第1の実施の形態と同
様であるので、説明は省略する。
【0173】ここで、本第9の実施の形態において第1
導電体層32a及び第2導電体層32bは、剛体であっ
てもよいが、特に指腹と接する第2導電体層32bは、
指腹の形状に沿って変形するよう可撓性がある方が望ま
しい。
【0174】特に第2導電体層32bが可撓性を持つ場
合、指の形状の影響を受けるため静電容量変化にも個人
差が現れ易くなる。つまり、同じ圧力でボタンを操作す
る人同士であっても、剛体の導電体層では電極間距離d
の変動は等しいため静電容量Cの変化はどちらも等しく
なるが、可撓性電極の場合では指先の形状や指腹の柔ら
かさによって第1導電体層32a及び第2導電体層32
b間の誘電体層34の形状が異なり電極間距離dが場所
によって違うため静電容量変化は微妙に異なる。
【0175】このような可撓性の導電体材料としては、
例えば、厚さ10μm〜100μmのポリエステルフィ
ルム等の耐熱性高分子フィルム表面に、酸化すずを添加
した酸化インジウムを蒸着後酸化処理した抵抗率102
Ωcm〜106Ωcmのフィルムや、ステンレススチー
ル等の金属薄板等を用いることができる。
【0176】また、誘電体層34が弾性固体である場合
には、この誘電体層34の上に例えばアクリル樹脂やポ
リウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)等
の高分子マトリックスにNiフレークやCu粉、Ag
粉、カーボンブラック等の導電性フィラーを分散した導
電性の塗料や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、飽和共
重合ポリエステル、ポリウレタン等に黒鉛やカーボンブ
ラック、Ag粉、Cu粉等を分散した導電性のインクで
直接導電体層32a、32bを形成しても良い。
【0177】また、誘電体層34を構成する材料は、気
体や液体等の流体、或いは弾性の固体等の指腹の押圧力
に応じて変形可能な材料であれば良く、例えば空気や窒
素ガス、ヘリウムガス等の気体、エチルアルコール(ε
/ε0=24.3)、シリコンオイル(ε/ε0=2.2)、
パラフィンオイル(ε/ε0=2.2)等の液体、無圧下で
の厚さ100μm〜1000μmのシリコンゴム(ε/
ε0=8.6〜8.5)、天然ゴム(ε/ε0=2.4)、ネオ
プレンゴム(ε/ε0=6.5〜5.7)等の弾力性のある
固体が好適である。気体や液体の場合には、例えば、厚
さ100μm〜1000μmのスペーサーを導電体層3
2a、32b間の縁部に設ける等の構成として、無圧下
での電極間距離dを安定に保つようにする。
【0178】なお、このような構造の計測センサ10E
を、マウス11のボタン11a(図33参照)の裏面に設
けても良い。この場合、例えば、第1導電体層32aを
ボタン11aの裏面側に貼着し、第2導電体層32bの
表面すれすれに弾性変形する突起部を設け、クリック動
作に応じて弾性変形する突起部が第2導電体層32bを
押圧して第1導電体層32aと第2導電体層32b距離
が縮まり静電容量Cが変化する等の構成とすると良い。
この構造では、計測センサ10Eがマウスの筐体内部に
あるため汚染や破損の危険性が少ないという利点があ
る。
【0179】(第10の実施の形態)図35は、指の動き
を静電容量の変化として読み取る他の構成例であり、複
数のコンデンサを用いた構成である。なお、測定センサ
10Fの構成以外は、上記第8の実施の形態と同様であ
るので、説明は省略する。
【0180】本第10の実施の形態の測定センサ10F
は、図35に示すように、クリックの際に指腹面により
押圧されるマウス11のボタン11a上に積層形成され
た、導電体層32、誘電体層34、及び誘電体層34表
面に配置された複数の微小導電体層36とから構成され
る。
【0181】導電体層32と複数の微小導電体層36と
にはそれぞれ定電圧が印加されており、導電体層32及
微小導電体層36間の静電容量を測定する静電容量測定
装置(図示せず)が各微小導電体層36ごとに接続され、
静電容量測定装置の静電容量出力と対応する微小電極3
6の位置とが測定センサ10Fの出力とされる。また、
導電体層32と複数の微小導電体層36との間の誘電体
層34は、上記第9の実施の形態と同様に指腹の押圧力
に応じて変形可能に構成されている。
【0182】複数の微小導電体層36は、例えば、幅1
00μm〜1000μmの線状形状で、これを50μm
〜1000μmの間隔で並べた構成とすることができ
る。各微小電極の長さは接触する指腹の幅かそれ以上、
例えば10mm以上あれば良いが、本第10の実施の形態
では、ボタン全体にわたって複数の微小導電体層36が
形成されるようにそれぞれボタンの幅程度の長さに構成
している。
【0183】また、別の構成として、例えば800μm
×800μmの正方形の微小導電体層36を500μm
間隔で二次元配置しても良い。この様な構造にすること
で、これら複数の微小導電体層36と、対向する導電体
層32とのそれぞれの間隙が、指腹形状の変化に応じて
それぞれ異なる値を取ることになる。各微小導電体層3
6と導電体層32の間の静電容量変化を計測すること
で、指の動きを反映したデータを得ることができる。
【0184】即ち、上述の第8の実施の形態と第9の実
施の形態の構成は、1つのコンデンサを用いて、指腹の
接触面積の変化と押し込み量の変化との総和を反映した
静電容量の変化を表すデータを検出するのに対し、本第
10の実施の形態では、複数のコンデンサをマウスの被
押圧面に配置して、各コンデンサごとに指腹の接触面積
の変化と押し込み量の変化との総和を反映した静電容量
の変化を表すデータを検出すると共に、各コンデンサの
出力情報に対応する位置情報に基づいて指腹面の接触形
状を検出し、これを指の動きを反映するデータとして含
める構成である。
【0185】なお、導電体層32、誘電体層34、微小
導電体層36のそれぞれを構成する材質については、上
述の第9の実施の形態と同様なものを使用できるので、
説明は省略する。
【0186】(第11の実施の形態)以下、第11の実施
の形態から第17の実施の形態では、光学的な計測手段
により指の動きを検出する場合の実施の形態について説
明する。なお、光学的な計測手段とは基本的に、指に光
を照射し指の動きによって指からの反射光が変化する様
子を、或いは、指によるボタン押圧力によって変形・移
動する物体の光学的特性の変化を利用するものである。
【0187】まず、本第11の実施の形態では、指と被
押圧面との接触面積の変化に応じて透過光量が変化する
部材を用いて指の動きを前記透過光量が変化として検出
する構成について説明する。なお、光学的に検出する場
合も測定センサ10Dの構成以外は、上記第1の実施の
形態と同様であるので、説明は省略する。
【0188】本第11の実施の形態の測定センサ10G
は、図36に示すように、マウス11のボタン11a
(図33参照)表面の被押圧面に組み込んだプリズム4
2、マウス11の裏面側からプリズム42を照明するL
ED44、プリズム42からの光量を検出する光量検出
センサ46とから構成される。
【0189】LED44は、常に同じ位置を照明するよ
うに図示しないスペーサによってマウス11のボタンの
裏面側に設けられており、照合識別プログラムの起動と
ともに照明を開始する。
【0190】光量検出センサ46はプリズムにより反射
されて光を検出するものであり、例えば、GaP、アモ
ルファスSi、GaAs等のPNフォトダイオード、P
bs、CdS、CdSe等の光量変化を捕らえる光導電
素子等を用いることができる。
【0191】この構成では、プリズム42の指載置面4
2aに何も載置されていない場合、LED44からの光
が全反射されるため、光量検出センサ46により検出さ
れる反射光量が高くなる。また、指載置面42aに指が
載置されると、載置された部分では指表面の油や汗とプ
リズムとの屈折率が近いため、LED44からの光が皮
膚面に到達する。そのため、皮膚の色が光量検出センサ
46により検出されることとなるので、光量は低くな
る。
【0192】したがって、図2に示すように、指腹とプ
リズム42との接触面積の変化に応じて光量検出センサ
46へ入射する光量が変化することになる。この場合、
マウスのボタン11aの押し込みとともに次第に光量検
出センサ46への入射光量は減り、クリック後の指の持
ち上げとともに光量検出センサ46への入射光量は増え
最後は安定な値となるデータが得られる。
【0193】得られるデータは、指の動きと指の大きさ
や形状、柔らかさもまた反映した値であるので、それぞ
れ個人差のあるデータとなる。したがって、これら光量
変化に基いて個人の特徴を捕らえ、定期的及び予め指定
したファイルを開くだびなどのタイミングで現在使用し
ているユーザが登録されたユーザであるかの照合識別を
行うことができる。
【0194】なお、光量検出センサ46として、光量の
みを検出するセンサの変わりに、CCD型、MOS型、
CPD型等の、1次元或いは2次元の固体イメージセン
サも利用することができ、この場合は、反射光量変化の
検出に加えて、図2に示すような指腹とプリズムとの接
触部形状変化も情報として含んだデータが得られ、より
一層個人識別の精度が良いデータが得られる。なお、そ
の他の構成は、上記第1の実施の形態と同様であるの
で、説明は省略する。
【0195】(第12の実施の形態)本第12の実施の形
態では、指の動きを光学的に捕らえる別の構成について
説明する。なお、測定センサ10Hの構成以外は、上記
第11の実施の形態と同様であるので、説明は省略す
る。
【0196】本第12の実施の形態では、マウス11の
ボタン11a(図33参照)を透明な材質より構成し、測
定センサ10Hを、図37(A)に示すように、ボタン
11a表面の被押圧面に貼着され、指腹と接触する面が
光散乱するように凹凸処理された半透明体層52、マウ
ス11の裏面側から半透明体層52を照明するLED4
4(図36参照)、半透明体層52からの光量を検出する
光量検出センサ46(図36参照)とから構成される。
【0197】半透明体層52は、厚さ100μm〜10
00μmの無機ガラス、ポリメチルメタアクリレート
(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、
アクリルニトリル・スチレン共重合体等から構成され、
指腹と接触する面が研削、腐蝕、エンボス加工などによ
って凹凸処理されている。
【0198】この凹凸面に指腹を接すると、接した部分
は発汗や指腹の食い込みによって凹部が埋まり、乱反射
による乳白色から指腹の色に変化する。この変化により
変動する反射光量の変化を光導電素子で検出したり、反
射光量の変化と色を固体イメージセンサ等のセンサで読
み取ることで、指の動きを反映して変動する指腹の接触
面積の変化、指の動きと指の大きさや形状、柔らかさ等
を含んだデータが得られる。即ち、マウスのボタン11
aの押し込みとともに次第に光量検出センサ46への入
射光量は増え、クリック後の指の持ち上げとともに光量
検出センサ46への入射光量は減って最後は安定な値と
なるデータが得られる。
【0199】なお、図37(B)に示すように、半透明
体層52の上層に、弾性を有する着色層54を設ける構
成とすれば、指腹の押圧力によって圧力が加わった着色
層54の部分が半透明体層52の凹凸側に食い込み、白
濁色から着色層の色に変化する。そのため、より明確に
圧力が加わった部分と加わっていない部分とを対比でき
るので、精度良くデータを検出することが可能である。
なお、この構成において、半透明体層52の上層に設け
る層を着色層としたが圧力が加わった部分と加わってい
ない部分とを対比できる構成であればよく、例えば、全
反射ミラー層とすることもできる。
【0200】また、半透明体層52自体を成形加工等に
よって表面を凹凸処理した軟質ポリ塩化ビニル(PVC)
のような柔らかい材料より構成することも可能である。
この場合、指腹の押圧力によって圧力が加わった部分の
半透明体層52が変形して反射光量に変化を持たせるよ
うにすることも可能である。この場合、凹凸処理された
面をボタン11a表面の被押圧面に対向するように配置
することより、指腹でこの柔らかい半透明体層52を押
圧すると圧力が加わった部分の凸部が潰れ、押圧部分が
略透明となる。したがって、圧力が加わった部分と加わ
っていない部分とを対比できる構成となり、好ましい。
【0201】また、図38は、第12の実施の形態の応
用例であり、測定センサ10Iが、弾性部材よりなり、
かつ、凹凸処理された面をボタン11a表面の被押圧面
に対向するように配置された半透明体層52と、半透明
体層52の上層に設けられた着色層とを備えた構成であ
る。
【0202】この構成によれば、圧力が加わった部分の
光量変化をより明確に検出できるという利点がある。な
お、この場合、着色層を黒にすれば接触面積の広がりは
反射光量の低下として捕えることができ、逆に着色層を
白にすれば接触面積の広がりは反射光量の増加として捕
えられることになる。
【0203】なお、上記第12の実施の形態では、片面
に凹凸処理した半透明層を使用しているが、両面に凹凸
処理した半透明層を使用することもできる。この場合、
指が接触する側と逆側に透明な弾性体層を設け、押圧と
共に弾性対層が凹凸の凹みに入り込むと共に、指が凹凸
の凹みに入り込むように構成するとよい。
【0204】(第13の実施の形態)本第13の実施の形
態では、指の動きを光学的に捕らえる別の構成について
説明する。なお、測定センサ10Jの構成以外は、上記
第11の実施の形態と同様であるので、説明は省略す
る。
【0205】本第13の実施の形態では、マウス11の
ボタン11a(図33参照)を透明な材質より構成し、測
定センサ10Jを、図39(A)に示すように、ボタン
11a表面の被押圧面に貼着され、かつ、半透明体層5
2と屈折率がほぼ等しい材質よりなる透明弾性体層56
と、透明弾性体層56の上層に対向面が凹凸処理された
半透明体層52とから構成している。
【0206】この測定センサ10Jにおいて、指腹の押
圧力によって半透明体層52の凹凸面が透明弾性体層5
6と圧接すると、圧接部の凹凸面が透明弾性体層56に
食い込み凹部が透明弾性体層56で埋められることな
る。
【0207】これにより、圧力が加わった部分が半透明
状態から透明になり、ボタン11aの裏面側から見ると
指腹が観察される。また、半透明体層52と透明の弾性
体層56との屈折率はほぼ等しいため、透明部分に入射
した光58aは反射されて光量検出センサ46に到達す
るが、その他の部分に到達した光58bの大部分は散乱
されて光量検出センサ46に到達しない。
【0208】したがって、各層を透して観察される指腹
と非接触状態にある乳白色面との総反射光量を光量検出
センサ46(図33参照)で検出することにより、指の動
きを反映して変動する指腹の接触面積の変化、指の動き
と指の大きさや形状、柔らかさ等を含んだデータが得ら
れる。
【0209】なお、図39(B)に示すように、指腹が
直接接触する最上層に着色層54を設けることによって
より明確に圧力が加わった部分と加わっていない部分と
を対比できるので、精度良くデータを検出することが可
能である。なお、この構成において、半透明体層52の
上層に設ける層を着色層としたが圧力が加わった部分と
加わっていない部分とを対比できる構成であればよく、
例えば、全反射ミラー層とすることもできる。
【0210】なお、半透明体層52としては、厚さ10
0μm〜1000μmの無機ガラス(屈折率1.42〜
1.92)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)(屈
折率1.49)、ポリカーボネート(PC)(屈折率1.5
9)、ポリスチレン(屈折率1.59)、アクリルニトリル
・スチレン共重合体等(屈折率1.57)等の表面を研削、
腐蝕、エンボス加工などによって凹凸処理したものを用
いることができる。また透明弾性体層56としては、厚
さ50μm〜1000μmの軟質ポリ塩化ビニル(PV
C)(屈折率1.52〜1.55)等を用いることができ
る。
【0211】(第14の実施の形態)本第14の実施の形
態では、指の動きを光学的に捕らえる別の構成であり、
押圧力によって液体を流動させて、光学的に指の動きを
捕らえる構成について説明する。なお、測定センサ10
Kの構成以外は、上記第11の実施の形態と同様である
ので、説明は省略する。
【0212】本第14の実施の形態では、マウス11の
ボタン11a(図33参照)を透明な材質より構成し、測
定センサ10Kを、図40に示すように、弾力性のある
透明な材質より構成された多孔質層62により形成した
構成である。この多孔質層62は、内部の多数の孔によ
り光散乱性を有し、例えば、有機樹脂を用いて比較的容
易に形成できる。
【0213】多孔質層62は無圧下では入射した光を散
乱させるため、乳白色であるが、指腹などで押圧すると
その部分の孔が潰れるため、入射した光を透過するよう
になる。即ち、マウスのボタン11aの押し込みととも
に次第に光量検出センサ46への入射光量は増え、クリ
ック後の指の持ち上げとともに光量検出センサ46への
入射光量は減って最後は安定な値となるデータが得られ
る。
【0214】有機樹脂を用いて多孔質層62を形成する
方法としては、例えば、相転換法、延伸法、フィラー充
填法等がある。相転換法とは有機樹脂を溶媒に溶解さ
せ、平板上に流延・展開して製膜する方法である。溶媒
の一部を蒸発させ、浴中に浸漬して凝固させ多孔質層6
2を得る。
【0215】フィラー充填法とは有機樹脂をバインダー
として、これに支持基板とは反応、溶解しない溶液に可
溶であるフィラーを分散させ、支持基盤塗布後フィラー
を溶解除去する方法である。
【0216】延伸法は結晶性の有機樹脂を製膜した後に
加熱したり、可塑剤を添加して1軸或いは2軸延伸し、
フィルムに歪みを与えて孔を開ける方法である。多孔質
層62には指腹の圧力で変形し、かつ指を離した時には
元の形状に復元する弾力性(ヤング率3×102kgf
/mm2以下)と、光学的に透明であることが要求され
る。
【0217】このような性質を示す材料としては、例え
ばポリスチレン系TPE(Thermo Plastic Elastomer―
熱可塑性エラストマー)、ポリオレフィン系TPE、ポ
リウレタン系TPE、ポリエステル系TPE、ポリアミ
ド系TPE、塩素化ポリマー系TPE、フッ素系TPE
等の熱可塑性エラストマーが好適である。
【0218】熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比べ成
形性が良くフィルム状に加工し易く、またカーボンブラ
ック等の補強剤が無くとも高い強度を保つことができ
る。またセルロース、ニトロセルロース、アセチルセル
ロース、ポリビニールアルコール、ポリプロピレン(P
P)、ポリエチレン(PE)等も利用することができる。
【0219】この弾力性のある多孔質層62には、多孔
質層62材料と屈折率がほぼ等しい透明液体を浸潤させ
ても良い。浸潤させる液体の量は、無圧状態における多
孔質層62の全空孔体積よりも少なくする。こうするこ
とで、押圧した時空孔は液体で完全に埋まるため散乱を
より抑えることができ、孔のつぶれ具合をより正確に反
映させることが可能である。
【0220】このような液体として、例えばミリスチン
酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン
酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステ
ル類、トウモロコシ油、ヒマワリ油、パーム油、オリー
ブ油、ホホバ油等の植物油類、エチルアルコール、ベン
ジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール
等、グリセリン、シリコーンオイル、水等、或いはこれ
らの混合物といった安全性、安定性に優れたものが好適
である。なお、液体浸潤後、流失、揮発を防ぐために通
常は多孔質層表面を透明フィルムで覆う構成とするのが
好ましい。
【0221】また、図示はしないが弾力性のある多孔質
層62の指腹と接触する面側に、着色層あるいはミラー
層を設けても良い。こうすることで、押圧によって散乱
が抑えられ光の透過率が上がった部分と、押圧力が加わ
らない部分との反射光量の差を大きくすることができ
る。
【0222】(第15の実施の形態)本第15の実施の形
態では、押圧力によって液体を流動させて、光学的に指
の動きを捕らえる別の構成について説明する。なお、測
定センサ10Lの構成以外は、上記第11の実施の形態
と同様であるので、説明は省略する。
【0223】本第15の実施の形態では、マウス11の
ボタン11a(図33参照)を透明な材質より構成し、測
定センサ10Lを、図41に示すように、透明な材質よ
り構成された多孔質層62と、多孔質層62と屈折率が
略等しい透明液体66が浸潤した液体保持層64とから
構成している。
【0224】光散乱性の多孔質層62、或いは液体保持
層64の少なくともどちらかは押圧力によって変形可能
な弾性体であり、本第15の実施の形態では、液体保持
層64が弾性体である場合について説明する。
【0225】液体保持層64に押圧力が加わると、その
部分の液体保持層64と多孔質層62が接触し、押圧力
に応じて押し出された透明液体66が液体保持層64か
ら多孔質層62へ浸透する。浸透した部分は多孔質層6
2の空孔が透明液体66で満たされてほぼ透明となる。
【0226】マウスのボタン11aの押し込みとともに
次第に液体保持層64から多孔質層62へ透明液体66
が浸透し浸透した部分が透明になり、クリック後の指の
持ち上げとともに多孔質層62から液体保持層64に透
明液体66が戻るため、透明液体66が浸透して透明に
なっていた部分がクリック後の指の動きに応じて徐々に
半透明になり、これに応じて光量検出センサ46に入射
する光量が変化する。
【0227】即ち、透明になった部分は指の色や液体保
持層の色などの背景色が検出される。そのため、背景色
が濃い色であると、マウスのボタン11aの押し込みと
ともに徐々に光吸収量が増えて反射光量が下がり光量検
出センサ46に入射する光量は徐々に減少した後、クリ
ック後の指の持ち上げとともに光量検出センサ46に入
射する光量は徐々に増加して最後は安定な値となるデー
タが得られる。また、背景色が明るい色であると反射光
量が高くなるため、上述とは逆の光量変化が検出される
こととなる。
【0228】なお、この場合、液体保持層64を光散乱
性の多孔質層62と同様に無着色で、光散乱し白濁して
見える材質により構成した場合、透明液体66が光散乱
性の多孔質層62に移動しても、この移動した領域の液
体保持層64は光散乱状態となり白濁しコントラストを
得るのが難しいので、この場合は、液体保持層64は着
色されているか、或いは常に光散乱しない透明な材質に
より構成することが望ましい。
【0229】また、多孔質層62は先述のように相転換
法や延伸法、フィラー充填法等の方法によって得ること
ができる。材料としては、やはり先述のように熱可塑性
エラストマーであっても良いし、また相転換法やフィラ
ー充填法で製膜されたセルロース、ニトロセルロース、
アセチルセルロース、ポリアミド、ポリメタクリル酸メ
チル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ
ウレタン等、或いは延伸法で製膜されたポリプロピレン
(PP)、ポリエチレン(PE)等であっても良い。また多
孔質層62の機械的強度を増すためにフィラーを上記の
有機樹脂に添加しても良い。
【0230】この際用いられるフィラーとしては上記有
機材料と屈折率の近いシリカや重合メラミン、炭酸カル
シウム等が好適である。フィラーの大きさが0.1μm
未満だと強度を増す効果が小さく、5μmより大きいと
光散乱性の多孔質層62の白濁度を低下させてしまうた
め、この範囲の大きさ、0.1μm〜5μmであること
が好ましい。フィラーの混合比は、補強効果の大きい5
重量%〜75重量%の範囲であることが好ましい。
【0231】多孔質層62の厚さは5μm〜1000μ
mの間であることが望ましい。より好ましくは10μm
〜100μmである。5μm以下では十分な白濁度を得
ることができずコントラストを取り難い。1000μm
以上ではボタンの操作感が悪くなってしまう。多孔質層
62の空孔容積の体積比、即ち空隙率10%〜85%、
平均ポア径0.01〜200μmであれば十分な光散乱
状態、即ち白濁を得られる。空隙率10%以下では白濁
が不十分でコントラストを十分に取ることができない。
空隙率85%以上では多孔質層62の機械的強度が低下
し、ボタンの繰り返し操作に耐えられなくなる。
【0232】液体保持層64としては透明液体66を、
例えば毛細管現象や膨潤等によって保持できるものであ
ればどのような材料、構造であっても良い。例えばゲル
であっても多孔質体であっても織布や不織布状のもので
あっても良い。その様な構造は、天然繊維や合成繊維、
金属繊維やガラス繊維からできた織布や不織布、植毛
体、或いは多孔質ゴム、微細加工や延伸加工によって細
孔を多数形成した樹脂、微細加工したセラミック、或い
は有機材料、無機材料の微粒子やそれらの結合体等によ
って形成することができる。
【0233】この液体保持層64には例えばミリスチン
酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン
酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステ
ル類、トウモロコシ油、ヒマワリ油、パーム油、オリー
ブ油、ホホバ油等の植物油類、エチルアルコール、ベン
ジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール
等、グリセリン、シリコーンオイル、水等、或いはこれ
らの混合物といった透明液体66を浸透保持させてお
く。
【0234】先にも述べたように、指腹の押圧力によっ
て透明液体66は多孔質層62へ浸透し、この浸透した
面積及び、浸透した液体の空孔への充填量によってコン
トラストを得ることができる。通常、多孔質層62への
充填率が40体積%〜60体積%の範囲では充填率によ
って光透過率が変化する。60体積%を越えると透過率
は飽和し、多孔質層62と透明液体66の屈折率の差が
0.1以内でればほぼ透明になる。
【0235】また、透明液体66と光散乱性の多孔質層
62との接触角αと、透明液体66と液体保持層64と
の接触角βとの関係は、α>βであることが望ましい。
このような関係にあると、無圧下の安定状態では透明液
体66は常に液体保持層64に保持された状態となり、
押圧力が加わっているときのみ透明液体66は多孔質層
62へ移動する。
【0236】つまり、押圧力の変化を透明液体66の移
動、即ち多孔質層62のコントラスト変化として捕える
ことができる。また、接触角が90度以上であると濡れ
にくく、90度以下であれば濡れるので、無圧時速やか
に透明液体66が多孔質層62から流出するように構成
するためには、透明液体66と多孔質層62との接触角
αは90度以上であることが望ましい。
【0237】なお、撥水性が高すぎると空孔への浸透が
速やかに行われないため、空隙が残り光を散乱する。逆
に接触角が小さすぎると無圧時、透明液体66が抜けき
らない。したがって、透明液体66と液体保持層64と
の接触角βは、無圧時には透明液体66が安定に保持さ
れるように90度より小さくすべきである。これらか
ら、通常α≧90°>βとなるように材料を組み合わせ
る。
【0238】例えば、透明液体66として水、多孔質層
62としてポリ四ふっ化エチレン(PTFE)(四フッ化
エチレン樹脂)、液体保持層64としてニトロセルロー
スの組み合わせ等がある。
【0239】ここで、濡れ性の改質法の例を述べる。濡
れ易くする方法としては、材料表面を濃硫酸、重クロム
酸カリウム等の薬剤を用いて有極性に変性する化学的方
法や、フレーム処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、
表面グラフト化等の物理的方法、透明液体に濡れる特性
を有する材料をコーティングする方法がある。
【0240】濡れ難くする方法としては、フッ素系撥水
処理剤、シリコン系撥水処理剤等の薬剤を用いて表面エ
ネルギーを低くする化学的方法、表面を空気を取り込ん
だ微細な凹凸状或いは繊維状に加工する方法等がある。
【0241】勿論、この光散乱性の多孔質層62、或い
は液体保持層64の内どちらかの指腹と接触する面側
に、着色層或いはミラー層を積層しても良い。こうする
ことで、押圧によって多孔質層62に透明液体66が移
動して光の透過率が上がった部分と、押圧力が加わらな
い部分との反射光量の差を大きくすることができる。
【0242】(第16の実施の形態)本第16の実施の形
態では、押圧力によって液体を流動させて、光学的に指
の動きを捕らえる別の構成について説明する。なお、測
定センサ10Mの構成以外は、上記第15の実施の形態
と同様であるので、説明は省略する。
【0243】本第16の実施の形態では、図42に示す
ように、上記第15の実施の形態の測定センサ10Lと
は層構成は同じであるが発色原理が異なる。多孔質層6
2は、例えば、白色に着色されているか光散乱によって
白濁しており、通常はマウス11のボタン11aの裏面
側からはこの多孔質層62裏面の層の色は隠蔽されて見
ることができない構成とされる。また、多孔質層62の
上層には着色液体68を保持する液体保持層64が設け
られている。
【0244】このような構成の測定センサ10Mに指腹
による押圧力が加わると、押圧力が加わった液体保持層
64部分と多孔質層62とが接触し、押圧力に応じて押
し出された着色液体68が液体保持層64から多孔質層
62へ浸透する。浸透した部分は多孔質層62の空孔が
着色液体68で満たされて着色されることとなる。
【0245】即ち、マウスのボタン11aの押し込みと
ともに次第に液体保持層64から多孔質層62へ着色液
体68が浸透し浸透した部分が着色して光量検出センサ
46への入射光量が着色液体68の色に応じて増え、ク
リック後の指の持ち上げとともに多孔質層62から着色
液体68に透明液体66が戻るため、着色液体68が浸
透して着色していた部分がクリック後の指の動きに応じ
て徐々に半透明になり光量検出センサ46への入射光量
は減って最後は安定な値となるデータが得られる。
【0246】光散乱性の多孔質層は、その形状は上記第
15の実施の形態と同様に、厚さ5μm〜1000μ
m、より好ましくは10μm〜100μm、空隙率10
〜85%、平均ポア径0.01〜200μmであること
が望ましい。
【0247】着色多孔質層を用いる場合には、厚さは同
様に5μm〜1000μmであることが望ましいが、空
孔(空隙)形状については、光を散乱する必要が無いた
め、観察方向側から見て下層が十分隠蔽され、着色液体
が流動できる限りどのような形状であっても良い。
【0248】その様な機能を果たす層の構造とは、例え
ばランダム、または規則的に開けられた貫通孔、或いは
繊維の塊状集合体、織物の様に線状材料が規則的に配置
された構造、メンブランフィルターの如く高分子による
三次元網目構造等が挙げられる。
【0249】液体保持層64については、先述同様、着
色液体68を毛細管現象や膨潤等によって保持できるも
のであればどのような材料、構造であっても良い。例え
ばゲルであっても多孔質体であっても織布や不織布状の
ものであっても良い。
【0250】本実施の形態で述べる着色液体68とは、
染料や顔料などの色材を一種類以上含有する液体であ
る。色材を分散する媒体としては、ミリスチン酸イソプ
ロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシ
ル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類、ト
ウモロコシ油、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、ホ
ホバ油等の植物油類、エチルアルコール、ベンジルアル
コール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,5−ペンタンジオール等、グリセ
リン、シリコーンオイル、水等、或いはこれらの混合物
等を用いることができる。
【0251】上記第15の実施の形態と同様の理由によ
り、着色液体68と多孔質層62との接触角γと、着色
液体68と液体保持層64との接触角δとの関係が、γ
>δであることが望ましい。こうすることで着色液体6
8は無圧下では常に液体保持層64に安定に保つことが
できる。
【0252】ここで、この様な層構造の作成例を以下に
示す。まず、100μm厚の四フッ化エチレン樹脂(ポ
リ四ふっ化エチレン(PTFE))フィルムを延伸して厚
さ50μm、平均孔径2μm、空隙率75%の白色の多
孔質層を得た。
【0253】次に、フィブリル化したポリエチレン(PE)
繊維40部、セルロース系合成繊維60部を混抄、熱接着し
厚さ200μmの液体保持層を得た。この液体保持層の
着色液体の吸収は繊維間の空隙への毛細管吸収が支配的
で、繊維自身への膨潤はほとんどないものとなった。
【0254】この液体保持層の片面に厚さ15μmのポ
リエチレン(PE)を加熱によってラミネートし、他面に
先の多孔質層を加熱接着した。ダイレクトブラックBH
(商品名;ポンタミンジアゾブラック/デュポン社(E.I.
du Pont de Nemoars and Co.))を3部、グリセリン1
0部、エチレングリコール3部、イオン交換水84部を
攪拌後フィルターで加圧濾過し着色液体とした。
【0255】この着色液体と多孔質層の接触角は約95
°であった。液体保持層との接触角は浸透のため計測で
きなかったが、濡れ性は良く明らかに90°以下であ
る。着色液体を先の液体保持層に浸透させ、表面をフッ
素添加のシリコン系撥水処理剤で処理したポリカーボネ
イト製の透明ボタンに、空気流路を確保するためのスペ
ーサーとして30μmφのガラスビーズ、及び多孔質層
の縁部形状の厚さ30μm、幅1mmの樹脂を介して多
孔質層を接着した。
【0256】このようにして作成した測定センサを液体
保持層側から指腹で押圧し、ボタン裏面から見ると、押
圧力及び押圧面積に応じて黒い着色液体が白の多孔質層
側に染み出す様子が観察された。
【0257】(第17の実施の形態)本第17の実施の形
態では、押圧力によって液体を流動させて、光学的に指
の動きを捕らえる別の構成について説明する。なお、測
定センサ10Pの構成以外は、上記第11の実施の形態
と同様であるので、説明は省略する。
【0258】本第17の実施の形態では、マウス11の
ボタン11a(図33参照)を透明な材質より構成し、測
定センサ10Pを、図43に示すように、ボタン11a
上に積層されたゲル層74と薄板状の弾性体層72とか
ら構成されている。
【0259】弾性体層72は、スペーサ17によりボタ
ン11a表面からわずかな間隙を開けた位置に支持され
ている。
【0260】ゲル層74は、弾性体層72、ボタン11
a表面及びスペーサ17に囲まれた空間の体積よりも小
さい体積を有しており、通常は弾性体層72とボタン1
1a表面とを架橋する程度の量に調整されており、その
表面エネルギーを最小にするため、表面張力によって、
弾性体層72とボタン11a表面とによって押しつぶさ
れた円または球状となっている。
【0261】また、このゲル層74は屈折率1.3〜
1.7程度とされる。即ち、空気の屈折率は、約1.0
であるので、ゲル層74を空気と異なる屈折率とするこ
とにより、ゲル層74に入射した光の経路が変わること
となるので、この反射経路の違いによってゲル層74の
変形状態を知ることができる。
【0262】また、弾性体層72は、強度と弾性を保て
る厚さと材料であればどのようなものでも良く、厚さ1
0μm〜1000μm程度のガラス、樹脂、金属、セラ
ミック等を用いることができる。弾性体層72、ボタン
11a表面及びスペーサ17のゲル層74と接する面側
は、液体の流失、広がりを抑えるために撥水処理されて
いることが望ましい。
【0263】このような構成の測定センサ10Pは、弾
性体層72が押圧されると、弾性体層72は歪み、凹ん
だ体積分ゲル層74が広がってその部分の光学特性が変
化する。
【0264】即ち、マウスのボタン11aの押し込みと
ともに弾性体層72が押圧されて歪み、次第にゲル層7
4が広がってその領域の光学特性が変化するため、光量
検出センサ46への入射光量がゲル層74が広がった分
だけ減り、クリック後の指の持ち上げとともに弾性体層
72の歪みが徐々に解消されてこの解消状態に応じてゲ
ル層74がもとの形状に戻るため、光量検出センサ46
への入射光量がゲル層74が広がった分だけ増加して最
後は安定な値となるデータが得られる。
【0265】ゲル層74は染顔料等で着色されていても
良い。着色されている場合、ゲル層74の大きさの変化
はより簡単に計測できる。
【0266】なお、弾性体層72、ボタン11a表面及
びスペーサ17に囲まれた空間に設けたゲル層74は、
一塊であっても複数塊であっても良い。また、ゲル層の
変わりに液体層或いは粘張液体層を使用しても同様な作
用が得られる。
【0267】また、スぺーサ17の代わりに透明な支持
層によりゲルを保持する構成とすることもできる。この
場合、透明な支持層は屈折率が1.3〜1.9程度の樹脂
或いはガラスより構成するとよい。
【0268】ここで、このような測定センサ10Pの作
成例を以下に示す。なお、ここでは、ゲル層72の代わ
りに着色液体層を使用する構成である。まず、ポリカー
ボネイト製のボタン表面に、間隔6.0mm毎の格子点
部に直径800μm、高さ200μmの円柱状突起物を
成形し、次いで、ボタン表面上に、ボタン縁部の形状に
そって、幅1.0mm、厚さ400μmのポリエチレン
テレフタレート(PET)製スペーサーを貼付した。
【0269】スペーサーには空気孔として幅300μm
程のスリットを設けた。ボタン表面全体にフッ素系撥水
剤(例えば、フッ素系ポリマーポリ−111・111−ペ
ンタデカフルオロオクチルメタクリレート、3M社製F
C‐706)を0.003g/cm2程度塗布し、60℃で乾
燥した。このボタン上のスペーサー上に、裏面を先述と
同様の方法で撥水処理した厚さ200μmのポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルムを貼付しセルを形成
した。
【0270】着色液体として、表面張力の高い粘張液
体、エチレングリコールに黒の染料を滴下したものをセ
ルに約1.6mm3封入した。封入された着色液体は、無
圧下では一塊の直径約2.2mmの円状であるが、指腹
で押圧すると直径約3.5mmまで広がる。
【0271】このセルの変形による液体或いはゲル滴の
変形を利用する方法では、液体或いはゲル層74を着色
せずに透明として、透明なボタン11aや弾性体層72
のセル内壁側の面を光散乱する様に凹凸処理しておく構
成としても良い。
【0272】通常、気体に比べ液体の屈折率の方は固体
であるボタン11aや弾性体層72に近いため、この構
成によれば、液体或いはゲル層74と接触する部分の凹
凸部は透明化し、液体或いはゲル層74と接触していな
い部分は白濁して見えることになる。したがって、この
違いを計測しても良い。
【0273】この場合、屈折率マッチングによって透明
化した部分をより計測し易くするために、弾性体層72
を着色するか、弾性体層72の透明凹凸面とは異なる面
側に着色層或いはミラー層を設けると効果的である。勿
論、弾性体層72を着色し、ボタン11aを凹凸処理し
ても良い。
【0274】言うまでもなく、このように屈折率マッチ
ングを利用する方法では、液体或いはゲル層74の屈折
率は凹凸処理されたボタン11aやボタン表面上の透明
支持層、或いは凹凸処理された弾性体層72の屈折率に
略等しいことが望まれる。
【0275】液体或いはゲル層74の屈折率と、凹凸処
理されたボタン11a或いはボタン表面上の透明支持
層、若しくは弾性体層72との屈折率が略等しいとは、
両者の屈折率の差が0.15以下であることである。望
ましくはその差が0.1以下の組み合わせである。
【0276】なお、両者の屈折率の差が0.15以下と
いう根拠は、屈折率の差が0.15より大きいと、液体
或いはゲル層74の屈折率と、凹凸処理されたボタン1
1a或いはボタン表面上の透明支持層、若しくは弾性体
層72との界面での反射成分が大きくなって透過性が低
下し、コントラストが十分に得られなくなるためであ
る。
【0277】両者の屈折率の差が0.15以下である組
み合わせは、例えば以下のようなものである。ボタン或
いはボタン表面上の透明支持層、若しくは弾性体層72
の材料としては例えば、無機ガラス(屈折率1.42
〜)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)(屈折率
1.49)、ポリカーボネート(PC)(屈折率1.59)、
ポリスチレン(屈折率1.59)、ジエチレングリコール
ビスアリルカーボネート(屈折率1.50)、アクリロニ
トリル・スチレン共重合体(屈折率1.57)、メチルメタ
クリレート・スチレン共重合体(屈折率1.56)、ポリ4
−メチルペンテン−1(TPX)(屈折率1.466)等が好
適である。液体としては、例えばミリスチン酸イソプロ
ピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシ
ル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類、ト
ウモロコシ油、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、ホ
ホバ油等の植物油類、エチルアルコール、ベンジルアル
コール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,5−ペンタンジオール等、グリセ
リン、シリコーンオイル、水等、或いはこれらの混合物
等はその屈折率が1.3〜1.6であり何れも用いること
ができる。
【0278】また、ゲルとしては、アクリルニトリルグ
ラフトセルロース加水分解物、ポリアクリル酸架橋体、
ポリビニルアルコール架橋体、ポリエチレンイミン架橋
体、ポリヒドロキシエチルメタクリラート架橋体、ポリ
ビニルピロリドン架橋体等を用いることができる。
【0279】弾性体層72、或いはボタン11aまたは
ボタン上の透明支持層のセル内壁側の面と、透明液体や
着色液体との接触角は90°以上であることが望まし
い。濡れ性が良いと液体がセル表面に流れて押圧力の変
化に応答することができなくなる。そのため、場合によ
っては先述のように撥水処理剤等を用いて表面を改質す
る。
【0280】(第18の実施の形態)以下、第18の実施
の形態と第19の実施の形態では、機械的な計測手段に
より指の動きを検出する場合の実施の形態について説明
する。なお、機械的な計測手段とは基本的に、指の動き
によって変化する指の押圧力、移動速度等の物理量の変
化を検出して指の動きを反映するものとして利用するこ
とである。
【0281】まず、本第18の実施の形態では、指の動
きを圧力センサを用いて機械的に捕らえる構成について
説明する。なお、機械的に検出する場合も測定センサ1
0Rの構成以外は、上記第1の実施の形態と同様である
ので、説明は省略する。
【0282】本第18の実施の形態の測定センサ10R
は、図44に示すように、クリックの際に指腹面により
押圧されるマウス11のボタン11a上に積層形成され
た、第1導電体層32a、圧力センサの一種である感圧
導電性シート76、第2導電体層32bとから構成さ
れ、押圧時に違和感が無いように、測定センサ10Rの
厚さが1.0mm以下に構成されている。
【0283】第1導電体層32a及び第2導電体層32
bは、導電性プラスチックや銀ペースト等可撓性の高い
材料から構成されている。また、感圧導電性シート76
は、カーボンブラックや黒鉛、金属粉末等の導電粉をシ
リコーンゴムやエチレン−プロピレンゴム(EPM、E
PDM)等に分散したもので、加圧による導電粒子間距
離の変化によって厚み方向の単位面積当たりの抵抗値が
変化する。
【0284】即ち、マウスのボタン11aの押し込みと
ともに次第に加圧による導電粒子間距離の変化によって
厚み方向の単位面積当たりの抵抗値が小さくなるので、
得られる圧力値が大きくなり、クリック後の指の持ち上
げとともに厚み方向の単位面積当たりの抵抗値が大きく
なるので、得られる圧力値が小さくなり最後は安定な値
となるデータが得られる。
【0285】この感圧導電性シート76を用いる方法で
は、指腹との接触面積の大きさと接触圧の両方に応答す
るため、先述の電気抵抗計測や光学的計測と同様に、指
先の柔らかさや大きさといった特徴をも反映したデータ
が得られる。
【0286】なお、感圧導電性シート76を使用する構
成の他に、ストレインゲージ(ロードセル)、圧電素子、
感圧導電性シート、感圧ダイオード、ダイアフラム(薄
膜型圧力センサ・拡散型半導体圧力センサ)、ブルドン
管、ベローズ差動トランス(トルク・トランスジュー
サ)、トーションバー(光学位相差方式・磁気位相差方
式)、水晶式圧力センサ等を用いることができる。
【0287】(第19の実施の形態)本第19の実施の形
態では、指の動きを圧力センサを用いて機械的に捕らえ
る別の構成について説明する。なお、測定センサ10S
の構成以外は、上記第18の実施の形態と同様であるの
で、説明は省略する。
【0288】本第18の実施の形態の測定センサ10S
は、図45(A)に示すように、クリックの際に指腹面
により押圧されるマウス11のボタン11a上に、第1
から第4の4個のストレインゲージ(ロードセル)78a
〜78dを正三角形の頂点と重心部位置に設け、更に上
から全センサを覆う大きさの厚さ100μmのポリエチ
レンテレフタレート(PET)シート77を貼着した構成
である。指の押圧動作によりかかる圧力は、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)シート77を介して第1から
第4のそれぞれのストレインゲージ(ロードセル)78a
〜78dに検出される。
【0289】この測定センサ10Sにおいて、それぞれ
のストレインゲージ(ロードセル)78a〜78dにかか
る押圧力は指の接触位置や角度によって異なるため、図
45(B)〜(E)に示すように、それぞれ異なった強
さの圧力を検出することとなる。例えば、正三角形重心
部に指腹の中心が位置する場合、この位置のストレイン
ゲージ(ロードセル)78cの圧力変化(図45(E))が
通常最も大きくピーク圧力も最も大きくなり、正三角形
重心部の周囲に設けたストレインゲージ(ロードセル)7
8a〜78cに対する指の接触状態に応じて周囲のスト
レインゲージ(ロードセル)78a〜78cが検出する圧
力変化が変わる。
【0290】これら4つのストレインゲージ(ロードセ
ル)78a〜78dが検出する圧力変化は、ボタンの押
し方、指腹と測定センサ10Sとの接触面積の変化、指
の動きと指の大きさや形状、柔らかさ等を反映した値で
あるので、それぞれ個人差のあるデータとなる。したが
って、これら4つのストレインゲージ(ロードセル)78
a〜78dが検出する圧力変化に基いて個人の特徴を捕
らえ、定期的及び予め指定したファイルを開くだびなど
のタイミングで現在使用しているユーザが登録されたユ
ーザであるかの照合識別を行うことができる。
【0291】なお、ここでは、圧力センサとしてストレ
インゲージ(ロードセル)を用いたが、ストレインゲージ
(ロードセル)に限らず、例えば、圧電素子、感圧導電性
シート、感圧ダイオード、ダイアフラム(薄膜型圧力セ
ンサ・拡散型半導体圧力センサ)、ブルドン管、ベローズ
差動トランス(トルク・トランスジューサ)、トーション
バー(光学位相差方式・磁気位相差方式)、水晶式圧力セ
ンサ等を用いることができる。
【0292】また、ここでは、圧力センサを用いる構成
を説明したが、変位センサや加速度センサ、或いはこれ
らの組み合わせであっても同様の作用を得ることかでき
る。
【0293】なお、機械的な計測手段により指の動きを
検出する構成としては、以上説明した第18の実施の形
態と第19の実施の形態の構成の他に、例えば、指のボ
タン鉛直方向の速度変化を計測するように構成すること
もできる。この場合、ボタンに、振り子型(薄膜ゲージ
の変形を利用するもの)や半導体型(ピエゾ抵抗効果を利
用するものと静電容量の変化を利用するもの)等の加速
度センサを取り付ければ良い。
【0294】また、例えば、静電容量式変位センサ、渦
電流式変位センサ、差動トランス、光電式変位センサ等
のアナログ出力変位センサや、光電式リニアセンサ、磁
気式リニアセンサ等のデジタル出力変位センサを利用し
てボタン鉛直方向の位置情報を読み出スように構成する
こともできる。
【0295】特に、押し方や指の大きさ等の個人差を反
映する情報を得るために、センサを複数個用いる構成が
有効である。例えば、上述の第19の実施の形態のよう
に、同種のセンサを複数組み合わせた構成の他に、異種
のセンサを複数組み合わせた構成も指の動きを反映する
データが精度良く得られるので好ましい。これら複数の
センサは上述の第19の実施の形態のように、上層に弾
性シートを設けることで効率よくデータを得ることが出
来る。
【0296】指の動きを読み取るさらに別の方法とし
て、ボタン操作時の音を計測する構成とすることも可能
である。この場合、ボタン内部や近傍にマイクロフォン
を組み込み、電気信号に変換されたクリック等のボタン
操作音を採取し、得られた操作オンから指の動きを反映
する特徴を示す物理量を抽出すれば良い。
【0297】マイクロフォンは導電型マイクロフォンで
あっても静電型マイクロフォンであっても、或いはマグ
ネチックマイクロフォンや圧電型マイクロフォンであっ
てもよいが、小型化の容易な静電型マイクロフォンやマ
グネチックマイクロフォンが特に好適である。音を計測
する方法では、ボタンの押し込みやクリック時のボタン
機構が発する音だけでなく、指腹とボタンや筐体表面と
の摺擦音も拾うことができる。この摺擦音も個人識別デ
ータとして利用することができる。
【0298】以上説明した全ての実施の形態では、測定
センサをマウスに設けた構成について説明したが、マウ
ス以外のポインティングデバイスやキーボードに設けた
構成としても良い。また、上記第1から第19の実施の
形態では、パソコンに使用する場合を前提として説明し
たが、もちろん、パソコンに限らず、例えば、携帯電
話、や各種電気機器などのボタン操作を利用した構成の
もの全てに適用できる。
【0299】さらに、以上説明した実施の形態では、指
と被押圧面との接触状態の変化を反映した特徴量及び指
と被押圧面との押圧状態の変化を反映した特徴量の少な
くとも一方を、電気的、光学的、機械的に検出した構成
について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限
定されるものではなく、指と被押圧面との接触状態の変
化を反映した特徴量及び指と被押圧面との押圧状態の変
化を反映した特徴量の少なくとも一方を、電気、磁気、
光、圧力の中の少なくとも1つを用いて検出する構成で
あればよい。
【0300】以上の説明では、すべて指の動きとして説
明したが、例えば、指の代わりになる押圧物を押圧する
押圧体についても本発明は適用することができる。な
お、本発明は、生体の先天的な特徴と後天的な特徴とを
識別情報として利用して個人を識別する構成であれば、
指の動きに限らず、例えば、ボタンを押す前と押した後
の指の動きと腕の動きとを含んだ動きを物理量として検
出して得られた値から特徴量を抽出するように構成する
こともできる。
【0301】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、入
れ替わりによる成り済まし詐称が不可能であり、また極
めて偽造が困難であり、利用者の心理的な抵抗感もな
く、かつ利用時に身体を拘束することがなく、さらに心
理状態や健康状態に影響を受けることも少ない人体から
の情報を利用したデータを個人識別データとして検出で
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の個人識別装置の
概略構成を示すブロック図である。
【図2】 ボタン操作時におけるボタン表面位置と、ボ
タンと指腹の接触面積の関係を示す説明図である。
【図3】 被押圧面を押圧したときの指腹形状の一例を
示す説明図である。
【図4】 接触面積の時間変化を示すグラフである。
【図5】 ボタンの表面位置の時間変化を示すグラフで
ある。
【図6】 図2のボタン操作時におけるボタン表面位置
と、ボタンと指腹の接触面積の関係を数値化したグラフ
である。
【図7】 測定部の概略構成を示す説明図である。
【図8】 第1の実施の形態の測定センサの概略構成図
である。
【図9】 (A)はシングルクリックしたときの電圧波形
を示すグラフであり、(B)はダブルクリックしたとき
の電圧波形を示すグラフである。
【図10】 第1の実施の形態の測定部を使用して10
人のユーザがシングルクリックしたときに検出された電
圧値の変化を示すグラフである。
【図11】 シングルクリックの波形例を示すグラフで
ある。
【図12】 ダブルクリックの波形例を示すグラフであ
る。
【図13】 同一人物により100回シングルクリック
されたときの100組の特徴量をグラフ化した図であ
る。
【図14】同一人物により100回ダブルクリックされ
たときの100組の特徴量をグラフ化した図である。
【図15】 或る5人のユーザのうち、第1のユーザが
行なったシングルクリックにより得られた特徴量を規準
として他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグ
ラフである。
【図16】 或る5人のユーザのうち、第2のユーザが
行なったシングルクリックにより得られた特徴量を規準
として他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグ
ラフである。
【図17】 或る5人のユーザのうち、第3のユーザが
行なったシングルクリックにより得られた特徴量を規準
として他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグ
ラフである。
【図18】 或る5人のユーザのうち、第4のユーザが
行なったシングルクリックにより得られた特徴量を規準
として他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグ
ラフである。
【図19】 或る5人のユーザのうち、第5のユーザが
行なったシングルクリックにより得られた特徴量を規準
として他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグ
ラフである。
【図20】 或る5人のユーザのうち、第1のユーザが
行なったダブルクリックにより得られた特徴量を規準と
して他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグラ
フである。
【図21】 或る5人のユーザのうち、第2のユーザが
行なったダブルクリックにより得られた特徴量を規準と
して他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグラ
フである。
【図22】 或る5人のユーザのうち、第3のユーザが
行なったダブルクリックにより得られた特徴量を規準と
して他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグラ
フである。
【図23】 或る5人のユーザのうち、第4のユーザが
行なったダブルクリックにより得られた特徴量を規準と
して他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグラ
フである。
【図24】 或る5人のユーザのうち、第5のユーザが
行なったダブルクリックにより得られた特徴量を規準と
して他の4人のユーザとのマハラノビス距離を示すグラ
フである。
【図25】 照合識別プログラムを示すフローチャート
である。
【図26】 個人登録プログラムを示すフローチャート
である。
【図27】 第2の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図28】 第3の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図29】 第4の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図30】 第5の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図31】 第6の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図32】 第7の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図33】 第8の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図34】 第9の実施の形態の測定センサの概略構成
図である。
【図35】 第10の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図36】 第11の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図37】 第12の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図38】 第12の実施の形態の測定センサの応用例
を示す概略構成図である。
【図39】 第13の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図40】 第14の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図41】 第15の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図42】 第16の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図43】 第17の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図44】 第18の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【図45】 第19の実施の形態の測定センサの概略構
成図である。
【符号の説明】
10 測定部(検出装置) 10A〜10S 測定センサ(測定部) 11 マウス(入力装置) 11a ボタン 12a 第1電極 12b 第2電極 14a 第1抵抗層 14b 第2抵抗層 20 信号処理部 28 バス 30 A/D変換部 38 入出力ポート 70 判定結果信号出力部 80 タイミング制御部 82 オペアアンプ 83 コンデンサ 84 FIFOメモリ 85a、85b 定電圧源 100 CPU(識別手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉野 創 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 清水 正 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 酒井 桂 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 4C038 VA07 VB13 VC01 VC02 VC20 5B085 AE25

Claims (60)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被押圧面を押圧したときの指と被押圧面
    との接触状態の変化を反映した特徴量及び被押圧面を押
    圧したときの指と被押圧面との押圧状態の変化を反映し
    た特徴量の少なくとも一方を検出する検出装置。
  2. 【請求項2】 前記接触状態の変化を反映した特徴量
    は、被押圧面を押圧したときの指腹と被押圧面との接触
    面積の時間変化、被押圧面を押圧したときの指腹形状の
    時間変化、被押圧面を押圧したときの指腹面の凹凸形状
    の時間変化の少なくとも一方であり、 前記押圧状態の変化を反映した特徴量は、被押圧面を押
    圧したときの押圧力の時間変化、被押圧面を押圧したと
    きの被押圧面に対する押し込み量の時間変化、被押圧面
    を押圧したときの被押圧物内に生じる応力の変化、被押
    圧面を押圧したときの指の動く速度の変化、被押圧面を
    押圧したときの指の移動位置の変化の少なくとも一方で
    ある請求項1に記載の検出装置。
  3. 【請求項3】 指と被押圧面との接触状態の変化を反映
    した特徴量及び指と被押圧面との押圧状態の変化を反映
    した特徴量の少なくとも一方を、電気、磁気、光、圧力
    の中の少なくとも1つを用いて検出する請求項1または
    請求項2に記載の検出装置。
  4. 【請求項4】 被押圧面上に配置され、指と被押圧面と
    の接触面積の変化に応じて電気抵抗が変化する部材を用
    いて前記物理量を検出する請求項1から請求項3のいず
    れか1項に記載の検出装置。
  5. 【請求項5】 被押圧面上に設けられ、少なくとも1つ
    の抵抗層を含む1層以上の非絶縁層と、該1層以上の非
    絶縁体層を間に挟んで積層形成された2つの導電体層と
    から構成された測定部と、 前記測定部の電気抵抗の変化を検出する検出部と、 を備えた請求項4に記載の検出装置。
  6. 【請求項6】 前記1層以上の非絶縁体層のうち少なく
    とも1つの層は弾性を有する請求項5に記載の検出装
    置。
  7. 【請求項7】 前記弾性を有する層は、押圧力の変化に
    応じて指との接触面積が変化する凹凸状の表面を備えて
    いる請求項6に記載の検出装置。
  8. 【請求項8】 前記1層以上の非絶縁体層のうち、少な
    くとも1つの層は流体である請求項5から請求項7のい
    ずれか1項に記載の検出装置。
  9. 【請求項9】 前記非絶縁層は、少なくとも2つの抵抗
    層より構成され、該2つの抵抗層は、接触圧力の変化に
    応じて接触抵抗が変化する請求項5から請求項8のいず
    れか1項に記載の検出装置。
  10. 【請求項10】 被押圧面上に互いに電気的に非接続と
    なるように形成され、且つ、指の接触により指を介して
    導通される少なくとも2つの電極からなる電極群から構
    成される測定部と、 前記測定部の電圧変化を検出する検出部と、 を含む請求項4に記載の検出装置。
  11. 【請求項11】 前記電極は、微小電極、線状電極、環
    状電極及び円状電極のうちの少なくとも1つから選択さ
    れたものである請求項10に記載の検出装置。
  12. 【請求項12】 前記電極群は、被押圧面に設けられた
    電極と、該電極を取り囲むように配置された少なくとも
    1つの電極とから構成される請求項10または請求項1
    1に記載の検出装置。
  13. 【請求項13】 前記電極群は、被押圧面に設けられた
    円板状電極と、該円状電極を取り囲むように設けられた
    内径が楕円状の環状電極とから構成され、前記環状電極
    の楕円状内径中心は前記円状電極の中心とずれた位置と
    されている請求項10から請求項12のいずれか1項に
    記載の検出装置。
  14. 【請求項14】 前記電極群全体が占める面積を、指の
    押圧面の面積よりも大きくした請求項10から請求項1
    3のいずれか1項に記載の検出装置。
  15. 【請求項15】 前記電極群の上層に、押圧されないと
    きは前記電極群の非接続状態を維持し、押圧されたとき
    は指の接触状態に応じて前記電極群を導通させる電極保
    護層を備えた請求項10から請求項14のいずれか1項
    に記載の検出装置。
  16. 【請求項16】 被押圧面上に配置され、指と被押圧面
    との接触面積の変化に応じて静電容量が変化する部材を
    用いて前記物理量を検出する請求項1から請求項3のい
    ずれか1項に記載の検出装置。
  17. 【請求項17】 弾性を有する誘電体層と、指の押圧状
    態に応じて位置が変わる被押圧位置に設けられ、かつ、
    前記誘電体層を表面に備えた第1導電体層と、 前記押圧位置以外の位置で、かつ、指の押圧時に手が接
    触する位置に設けられた第2導電体層とから構成される
    測定部と、 前記測定部の静電容量を検出する検出部と、 を備えた請求項16に記載の検出装置。
  18. 【請求項18】 弾性を有する誘電体層と、該誘電体層
    を間に挟んで被押圧面上に積層形成された2つの導電体
    層とから構成される測定部と、 前記測定部の静電容量を検出する検出部と、 を備えた請求項16に記載の検出装置。
  19. 【請求項19】 前記2つの導電体層のうち、指と接触
    する側の導電体層は、弾性体である請求項18に記載の
    検出装置。
  20. 【請求項20】 前記誘電体層は、流体である請求項1
    8または請求項19に記載の検出装置。
  21. 【請求項21】 前記2つの導電体層のうち、少なくと
    も指と接触する側の導電体層は、複数に分割されてお
    り、 前記検出部は、前記複数に分割された導電体層の各々の
    静電容量を位置と対応させて検出する請求項18から請
    求項20のいずれか1項に記載の検出装置。
  22. 【請求項22】 被押圧面上に配置され、指と被押圧面
    との接触面積の変化に応じて透過光量が変化する部材を
    用いて前記物理量を検出する請求項1から請求項3のい
    ずれか1項に記載の検出装置。
  23. 【請求項23】 光透過部材より形成された被測定部
    と、 前記被測定部を被押圧面側から照明する照明手段と、 前記被測定部からの反射光量を検出する検出部と、 を備えた請求項22に記載の検出装置。
  24. 【請求項24】 前記被測定部は、プリズムである請求
    項23に記載の検出装置。
  25. 【請求項25】 前記被測定部は、少なくとも片面が光
    散乱するように凹凸処理された半透明層を含む請求項2
    3に記載の検出装置。
  26. 【請求項26】 前記半透明層は弾性体である請求項2
    5に記載の検出装置。
  27. 【請求項27】 前記半透明体層の下層側に前記半透明
    体層と屈折率が略等しい透明な弾性体層をさらに備えた
    請求項25または請求項26に記載の検出装置。
  28. 【請求項28】 指の押圧状態に合わせて変形する着色
    層又は全反射ミラー層の少なくとも一方をさらに備えた
    請求項25から請求項27のいずれか1項に記載の検出
    装置。
  29. 【請求項29】 前記被測定部は、弾性を有する光透過
    性の材質より構成された多孔質層を含む請求項23に記
    載の検出装置。
  30. 【請求項30】 前記多孔質層は、前記多孔質層と屈折
    率が略等しい屈折率を有する液体を含む請求項29に記
    載の検出装置。
  31. 【請求項31】 指の押圧状態に合わせて変形する着色
    層又はミラー層をさらに備えた請求項29または請求項
    30に記載の検出装置。
  32. 【請求項32】 前記被測定部は、光透過性の材質より
    構成された多孔質層と、該多孔質層の上層に複数の空孔
    を有する空孔層とを含み、一方の層が液体を保持し、且
    つ、少なくとも一方の層が弾性を有する請求項23に記
    載の検出装置。
  33. 【請求項33】 前記液体は、前記多孔質層と屈折率が
    略等しい請求項32に記載の検出装置。
  34. 【請求項34】 前記液体と前記液体を保持する層との
    接触角αと、前記液体と前記液体を保持しない層との接
    触角βが、α>βの関係にある請求項30又は請求項3
    3に記載の検出装置。
  35. 【請求項35】 前記液体と前記液体を保持する層との
    接触角αは90度以上、かつ、前記液体と前記液体を保
    持しない層との接触角βは90度以下である請求項32
    から請求項34のいずれか1項に記載の検出装置。
  36. 【請求項36】 指の押圧状態に合わせて変形する着色
    層又はミラー層をさらに備えた請求項32から請求項3
    5のいずれか1項に記載の検出装置。
  37. 【請求項37】 前記液体は、着色液体である請求項3
    2から請求項36のいずれか1項に記載の検出装置。
  38. 【請求項38】 前記被測定部は、 被押圧面を形成する平板部材と、前記平板部材の下側に
    設けられた粘張流体と、前記平板部材との間に形成した
    前記粘張流体よりも大きな体積の空間内に保持する保持
    部と、 を備えた請求項23に記載の検出装置。
  39. 【請求項39】 前記平板部材の前記粘張流体との接触
    面側、前記保持部の前記粘張液体との接触面側の少なく
    とも一方が、光を散乱するように形成されている請求項
    38に記載の検出装置。
  40. 【請求項40】 前記粘張流体は、着色流体又は着色さ
    れたゲル状部材である請求項38または請求項39のい
    ずれか1項に記載の検出装置。
  41. 【請求項41】 前記平板部材は、弾性部材である請求
    項38から請求項40のいずれか1項に記載の検出装
    置。
  42. 【請求項42】 前記平板部材は、指の押圧状態に合わ
    せて変形する着色層又はミラー層を備えている請求項3
    8から請求項41のいずれか1項に記載の検出装置。
  43. 【請求項43】 前記平板部材は、着色されている請求
    項36から請求項42のいずれか1項に記載の検出装
    置。
  44. 【請求項44】 前記粘張液体の屈折率が、前記平板部
    材又は前記保持部のいずれか一方の屈折率と略等しい請
    求項38から請求項42のいずれか1項に記載の検出装
    置。
  45. 【請求項45】 前記平板部材と前記粘張液体との接触
    角、及び粘張液体と保持部との接触角の両方が90度以
    上である請求項38から請求項44のいずれか1項に記
    載の検出装置。
  46. 【請求項46】 被押圧面上に配置され、印加された
    押圧力の変化を検出する圧力センサを用いて前記物理量
    を検出する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載
    の検出装置。
  47. 【請求項47】 被押圧面上に配置され、指の速度を検
    出する加速度センサを用いて前記物理量を検出する請求
    項1から請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。
  48. 【請求項48】 被押圧面上に配置され、指の空間的な
    移動変化を検出する変位センサを用いて前記物理量を検
    出する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検
    出装置。
  49. 【請求項49】 前記請求項1から前記請求項48のい
    ずれか1項に記載の検出装置を備えた入力装置。
  50. 【請求項50】 指で押圧することにより、接続先の機
    器に指示を与える指示部を有し、前記指示部に前記請求
    項1から前記請求項48のいずれか1項に記載の検出装
    置の検出子を備えたポインティングデバイス。
  51. 【請求項51】 個人の指の動きを反映する特徴量及び
    特徴量を処理した値の少なくとも一方を記憶する記憶手
    段と、 入力された特徴量と、前記記憶手段に記憶された記憶値
    とに基いて個人を識別する識別手段と、 を備えた個人識別装置。
  52. 【請求項52】 被押圧物を押圧する指の動きを反映す
    る物理量から指の動きの特徴を反映する特徴量を抽出す
    る特徴量抽出手段と、 個人の指の動きを反映する特徴量及び特徴量を処理した
    値の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、 前記特徴量抽出手段から入力された特徴量と、前記記憶
    手段に記憶された記憶値とに基いて個人を識別する識別
    手段と、 を備えた個人識別装置。
  53. 【請求項53】 被押圧物を押圧する指の動きを反映す
    る物理量を検出する検出手段と、 検出された物理量から指の動きの特徴を反映する特徴量
    を抽出する特徴量抽出手段と、 個人の指の動きを反映する特徴量及び特徴量を処理した
    値の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、 前記特徴量抽出手段から入力された特徴量と、前記記憶
    手段に記憶された特徴量とに基いて個人を識別する識別
    手段と、 を備えた個人識別装置。
  54. 【請求項54】 前記検出手段は、入力装置に設けられ
    ている請求項53に記載の個人識別装置。
  55. 【請求項55】 前記検出手段は、前記請求項1から前
    記請求項48のいずれか1項に記載の検出装置である請
    求項53または請求項54に記載の個人識別装置。
  56. 【請求項56】 スイッチと、 身体の動きに応じた検出量を検出する検出素子と、 前記スイッチの押圧前後の身体の動きに応じた特徴量を
    複数人分記憶する記憶手段と、 前記検出量を所定期間分随時更新しながら保持する一時
    記憶手段と、 前記スイッチが押圧された際に、前記記憶手段に記憶さ
    れた特徴量と、前記一時記憶手段に記憶された前記スイ
    ッチ押圧以前の検出量及び前記スイッチ押圧以降の双方
    の検出量とに基いて個人を識別する識別手段と、 を備えた個人識別装置。
  57. 【請求項57】 前記一時記憶手段は先読み先出しメモ
    リである請求項56に記載の個人識別装置。
  58. 【請求項58】 指で押圧することにより、接続先の機
    器に指示を与える指示部を有するポインティングデバイ
    スをさらに備え、 前記スイッチは前記指示部と連動して作動する請求項5
    6または請求項57に記載の個人識別装置。
  59. 【請求項59】 個人の指の動きを反映する特徴量及び
    特徴量を処理した値の少なくとも一方を記憶する記憶手
    段から記憶値を読出し、入力された特徴量と、読み出し
    た記憶値とに基いて個人を識別するプログラムを記録し
    た記録媒体。
  60. 【請求項60】 スイッチの押圧に応じて、前記記憶手
    段に記憶された前記スイッチの押圧前後の身体の動きに
    応じた複数人分の特徴量と、所定期間分随時更新しなが
    ら個人の身体の動きに応じた検出値を保持する一時記憶
    手段に記憶された前記スイッチ押圧以前の検出量及び前
    記スイッチ押圧以降の双方の検出量とに基いて個人を識
    別するプログラムを記録した記録媒体。
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