JP2000298020A - 光学式偏角測定装置及び地中掘進機の位置計測装置 - Google Patents

光学式偏角測定装置及び地中掘進機の位置計測装置

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JP2000298020A
JP2000298020A JP11106886A JP10688699A JP2000298020A JP 2000298020 A JP2000298020 A JP 2000298020A JP 11106886 A JP11106886 A JP 11106886A JP 10688699 A JP10688699 A JP 10688699A JP 2000298020 A JP2000298020 A JP 2000298020A
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measurement
point
light source
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JP11106886A
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Inventor
Yoshiaki Shimomura
義昭 下村
Takashi Moro
茂呂  隆
Takeshi Kamei
亀井  健
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 計測時に光を検出器に当てる操作を不要にす
る等種々の利点を有し、検出器による拡散光の受光領域
を拡大できる光学式偏角測定装置を提供する。 【解決手段】 基点とこれと距離を置いて基点の両側に
設定した各地点とをそれぞれを結ぶ二つの線分の偏角Φ
を光で計測するため、各光源41,42からの拡散光を
集光するレンズ411と、この集光した各光を受光して
その受光位置を検出する位置検出素子412−1,41
2−2と、レンズ411に入射しようとする各光源4
2,41からの拡散光を透過しかつレンズ411で集光
する各光源41,42からの光を各位置検出素子412
−1,412−2に導く反射プリズム413−1,41
3−2とを設けて各位置検出素子412−1,412−
2での検出結果により偏角Φを演算により計測できるよ
うに構成するとともに、光源41,42からの拡散光の
発散角を拡大するように一対の凸レンズを配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基点とこれと距離
を置いて基点の両側に設定した各地点とをそれぞれを結
ぶ二つの線分の偏角を光で計測する光学式偏角測定装置
と、この光学式偏角測定装置を使用することにより、曲
線経路を掘進する地中掘進機の掘進位置を計測する地中
掘進機の位置計測装置に関するものである。前者の装置
は、地上や地下で行う建設作業にとって特に有用なもの
であって、両者の装置は、産業上、共に建設作業の分野
で利用される。
【0002】
【従来の技術】地上や地下で建設作業を行う場合、基点
となる地点とこれと距離を置いてその両側にそれぞれ設
定した地点とをそれぞれを結ぶ二つの線分同士の角度関
係を知る必要が生じる。例えば、曲折した道路を施工す
るときには、施工路面の曲折部の角度を知ることが必要
になる。その場合には、曲折部の適所に基点となる計測
地点を設定するとともに、これと距離を置いてその両側
の路面施工区域にもそれぞれ計測地点を設定して、基点
となる計測地点とその両側の各計測地点を結ぶ各線分同
士の角度を計測する。また、地中掘進機でカーブした地
下坑を掘削するには、地中掘進機が計画路線(予め設定
された掘進経路)に沿って正しく掘進しているかどうか
を知るため、その掘進位置を確認しなければならない。
その場合にも、後に詳述するように、基点となる計測地
点とその両側の各計測地点を結ぶ各線分同士の角度関係
を知ることが必要になる。このような基点を頂点とする
両側の線分同士の角度関係を知るには、両線分同士の内
角及び外角の何れを計測してもよく、その角度関係を一
義的に特定できるような角度に関する値が計測できれば
その目的が果たせる。この明細書では、こうした二つの
線分同士の角度関係を特定し得るような角度に関する値
を偏角と称している。
【0003】建設作業においては、これまで、こうした
偏角を計測するのに、トランシットを用いて計測する方
法が一般的に採用されている。このトランシットによる
偏角の計測方法は、人的能力に依存する方法であるた
め、熟練技術者等人手を要するだけでなく一回の測量時
間が長くなる。また、望遠鏡をヨーイング方向(水平方
向)やピッチング方向(垂直方向)に回動させるための
回動機構を必要とするため、この回動機構に起因して機
械的な計測誤差が生じやすく、高い計測精度を確保する
ことが困難である。さらに、ヨーイング方向やピッチン
グ方向に傾動させるような振動等の外力が作用すると、
こうした外力による計測誤差が生じて計測結果に影響を
及ぼす。
【0004】ところで、地下坑を掘削しながら地中を掘
進する地中掘進機でカーブする地下坑を掘削する場合に
は、地中掘進機が計画路線に沿って正しく掘進できるよ
うに地中掘進機の掘進位置の計測を行う。この種の地中
掘進機としては、人が入れない小口径の管を地中に埋設
する小口径管推進機、人が入れる大口径の管を地中に埋
設するセミシールド機さらにはシールド掘進機を挙げる
ことができる。こうした地中掘進機の掘進位置の計測を
するには、通常、発進立坑等の地中掘進機の掘進の出発
点となる地点及び地中掘進機内にそれぞれ計測始点及び
計測終点を設定するとともに、地中掘進機の掘進の進展
に応じてこれらの中間に適当数の中間計測点を設定す
る。そして、これらの計測点間の各距離を計測するほ
か、中間計測点と隣接する両側の計測地点を結ぶ各線分
同士の偏角を計測して、これらの計測結果に基づいて地
中掘進機の掘進位置を演算により求めるようにしてい
る。こうした地中掘進機の掘進位置の計測過程で偏角を
計測するときにも、従来、トランシットで計測する方法
が採用されていた。このトランシットによる方法は、前
述したように、一回の測量時間が長く人手を要し、特に
手狭な坑内で測量するときには、測量作業に多大の労力
と危険が伴うことから、この種の地中掘進機の掘進位置
計測技術として、従来、掘進位置の計測の際に、偏角を
トランシットによらないでレーザビームで光学的に計測
する方法を採り入れたものがある。
【0005】こうした方法を採り入れた地中掘進機の掘
進位置計測技術の代表例として、例えば特開平5ー34
0186号公報に記載された技術を挙げることができ
る。この特開平5ー340186号公報に記載の技術
(以下「従来の技術」という。)は、「カーブする地下
坑内に設定される後方視準点の前方に、測角機能を有す
るレーザ照準機を設置し、シールド掘進機内に、ミニ反
射プリズムを付設した位置検出素子(光電素子)のター
ゲットを設置するとともに、これらの中間位置には、レ
ーザ照準機からのレーザビームを屈折させ屈折させたレ
ーザビームの方向転角を計測できる距離儀付きのウエッ
ジプリズムを、地中掘進機の掘進の進展に応じて適当数
設置するようにした」ものである。
【0006】この従来の技術により地中掘進機の掘進位
置を計測するときは、ウエッジプリズムを遠隔操作で回
動させることにより、レーザ照準機からのレーザビーム
を、ウエッジプリズムを介してシールド掘進機内のター
ゲットに常に当てるようにする。そうすると、ウエッジ
プリズムを経由したレーザ照準機からのレーザビームが
ターゲットの位置検出素子に当てられるため、レーザス
ポットの位置が検出されるとともに、ウエッジプリズム
の設置点の偏角がウエッジプリズムの回動量により計測
され、また、各計測点間の距離がウエッジプリズムの距
離儀により計測される。従来の技術では、こうして得ら
れた各計測点間の距離、偏角及びレーザスポットの位置
に基づいて地中掘進機の掘進位置を座標位置により計測
する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の技
術に係る地中掘進機の掘進位置計測技術や同技術に採り
入れられている偏角計測技術は、収束度の高いレーザ光
であるレーザビームを、検出器をなす位置検出素子に当
てるようにウエッジプリズムを回動させて、その回転量
によりウエッジプリズムの設置点の偏角を計測するよう
にしている。そのため、地中掘進機の掘進位置を計測す
る際、レーザビームを検出器の位置検出素子に的確に当
てるようにウエッジプリズムを回動させる操作を要して
操作が複雑であるばかりでなく、ウエッジプリズムを回
動させるための回動機構を要し、これに伴って種々の問
題がもたらされることとなる。例えば、回動機構を要す
るために機械的な計測誤差が生じやすく、光学的な誤差
に機械的な誤差が加わって高い計測精度を確保すること
が困難であるとともに、レーザ照準機が外力によりピッ
チングやヨーイング方向に振動すると、大きな計測誤差
が生じる。特に、地中掘進機の掘進位置の計測では、偏
角の計測結果が掘進位置の計測結果に及ぼす度合いが大
きいことに加えて、緩やかなカーブをなす場所の偏角を
計測する機会が多く、偏角を精度よく計測する必要性が
高いことから、回動機構による機械的な計測誤差や振動
による計測誤差が生じると、地中掘進機の掘進位置の計
測結果に多大な影響を及ぼす。
【0008】こうしたことから、出願人は、検出器に当
てるための光源として、レーザビームよりも広い領域を
照らせる拡散光を用いて、レーザビームのように光を検
出器の位置検出素子に的確に当てるための操作は要せず
機械的な計測誤差や振動による計測誤差も生じないよう
にした斬新的な偏角測定装置やこれを用いた地中掘進機
の位置計測装置について技術開発を進めている。その技
術開発の過程で生まれた発明は、すでに特許出願されて
おり、その代表的なものとして、特願平9ー29729
5号に係る光学式偏角測定装置及び地中掘進機の位置計
測装置の発明を挙げることができる。
【0009】この発明に係る光学式偏角測定装置は、基
点の両側に設定した各地点にそれぞれ設置され拡散光を
発する偏角計測用の光源と、基点に設置される偏角計測
用の検出器とからなり、偏角計測用の各光源が発する拡
散光を検出器の集光手段でそれぞれ集光した後、検出器
の各位置検出素子でそれぞれ受光してその受光位置を検
出し、各位置検出素子での検出結果に基づいて各光源の
光軸同士の偏角を演算により算出できるようにしたもの
である。また、この発明に係る地中掘進機の位置計測装
置は、こうした光学式偏角測定装置を使用することによ
り、曲線経路を掘進して地下坑を掘削する地中掘進機の
掘進位置を計測しようとするものであって、偏角計測用
の検出器等での検出結果に基づいてそれぞれ得られる偏
角及び光源の方向に関するデータと隣接計測点間の各距
離に関するデータとに基づいて、始点計測点に対する終
点計測点の相対位置を演算手段で演算して計測するよう
にしたものであり、何れも、光源に、レーザビームより
広領域を照らせる拡散光を用いて、従来の技術で生じる
前記の問題を解決するようにした点に特徴がある。これ
らの光学式偏角測定装置及び地中掘進機の位置計測装置
の詳細は、後に、この出願の発明を説明する過程で詳述
する。
【0010】これらの光学式偏角測定装置や地中掘進機
の位置計測装置について、その後、実用化を図るための
研究開発を進めたところ、拡散光の光源を用いたこれら
の装置の利点が一層効果的に発揮されるようにするた
め、更に改良すべき点があることを発見した。すなわ
ち、これらの装置を実施する場合、実用性を考えると、
現段階では、図4に示すように拡散光の拡がりが比較的
限定された光源を、拡散光の光源に用いることになる
が、偏角計測用の検出器の両側にこうした光源を設置し
て各光源から拡散光を検出器に向けて発したとき、光源
と検出器との位置関係や光源の向きによっては、拡散光
の拡がりの中に検出器が位置しなくなる事態が生じるこ
とも想定できる。こうした事態が生じると、拡散光を検
出器で受光することができなくなり、ひいては、偏角や
地中掘進機の位置の計測が不可能となるため、例えば、
偏角の計測にあっては拡散光の位置や向きを再調整し、
地中掘進機の位置の計測にあっては場合により光源や検
出器の設置数を増加する等の新たな作業を要し、計測作
業が煩雑になる。こうした事態を防ぐためには、検出器
で受光できる拡散光の受光領域を拡大し得るようにする
ことが必要である。
【0011】この出願の光学式偏角測定装置及び地中掘
進機の位置計測装置に係る発明は、こうした要求に応え
るために創作されたものであって、これらの各発明の技
術課題は、光源に拡散光を用いて計測時に光を検出器に
当てる操作を不要にし機械的な計測誤差や振動による計
測誤差を生じにくくしただけでなく、検出器による拡散
光の受光領域を拡大することができる光学式偏角測定装
置や地中掘進機の位置計測装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この出願の発明の光学式
偏角測定装置及び地中掘進機の位置計測装置に関する前
記の技術課題は、それぞれ次の1)及び2)の手段によ
り解決される。
【0013】1)基点とこれと距離を置いて基点の両側
に設定した各地点とをそれぞれを結ぶ二つの線分の偏角
を光で計測する光学式偏角測定装置を構成する場合、基
点の両側に設定した各地点にそれぞれ設置され拡散光を
発する偏角計測用の光源と基点に設置される偏角計測用
の検出器とからなり、各光源からの拡散光の少なくとも
一部をそれぞれ集光する共通の集光手段と、集光手段で
それぞれ集光した各光源からの光をそれぞれ受光してそ
の受光位置を検出する各位置検出素子と、集光手段に入
射しようとする各光源からの拡散光の少なくとも一部を
それぞれ透過しかつ集光手段で集光する各光源からの光
をそれぞれ各位置検出素子に導くように方向転換させる
各光方向転換手段とを設け、集光手段に入射しようとす
る各光源からの拡散光を遮断しない位置に各位置検出素
子を配置して、偏角計測用の検出器を構成するととも
に、偏角計測用の光源から発せられる拡散光の発散角を
拡大するようにレンズを配置して構成した発散角拡大手
段を設け、各位置検出素子での検出結果に基づいて各光
源の光軸同士の偏角を演算により算出できるようにす
る。
【0014】2)偏角計測用の光源と偏角計測用の検出
器とからなり発散角拡大手段を設けた請求項1記載の光
学式偏角測定装置を使用することにより、曲線経路を掘
進して地下坑を掘削する地中掘進機の掘進位置を計測す
る地中掘進機の位置計測装置を構成する場合、計測の始
点となる位置に設定した始点計測点、地中掘進機の掘進
位置の指標となる位置に設定した終点計測点及び始点計
測点と終点計測点の間に設定した少なくとも一つの中間
計測点の各計測点のうち、中間計測点に偏角計測用の検
出器を設置し、中間計測点に隣接する両側の各計測点に
偏角計測用の光源を設置し、始点計測点に向けて拡散光
を発する始点計測点用光源を始点計測点に隣接する中間
計測点に設置し、少なくとも始点計測点用光源からの拡
散光を集光する集光手段及びこの集光手段で集光した光
を受光してその受光位置を検出する位置検出素子を有し
その検出結果に基づいて始点計測点用光源の方向を検出
する始点計測点用検出器を始点計測点に設置して構成す
るとともに、偏角計測用の光源及び始点計測点用光源中
の少なくとも一つの光源から発せられる拡散光の発散角
を拡大するように発散角拡大手段を設け、偏角計測用の
検出器及び始点計測点用検出器での検出結果に基づいて
それぞれ得られる偏角及び光源の方向に関するデータと
隣接計測点間の各距離に関するデータとに基づいて、始
点計測点に対する終点計測点の相対位置を演算手段で演
算して計測するようにする。
【0015】この出願の発明の光学式偏角測定装置は、
前記1)に示すように、偏角計測用の光源として、特に
拡散光を発する光源を用いて、拡がりをもつ光でレーザ
ビームよりも広い領域を照らせるようにしたことによ
り、光源にレーザビームを用いる従来の技術のように光
源の光を位置検出素子に当てるための操作を要せず、ひ
いては、その操作を可能にするための回転機構を設ける
必要がなくなって、その回転機構に起因する機械的な計
測誤差も生じない。また、その拡がりをもつ偏角計測用
の各光源の光を一個の偏角計測用の検出器に集光手段で
集めて受光位置を検出し、各検出結果に基づいて各光源
の光軸同士の偏角を求め得るようにしたことにより、偏
角計測用の検出器がピッチング及びヨーイング方向の振
動しても、偏角の計測結果がその影響を受けにくいとと
もに、検出器や光源を設置する際、位置設定さえ正確に
行えば、偏角の計測結果が検出器や光源の取付姿勢に影
響されることもない。特に、本発明の光学式偏角測定装
置では、発散角拡大手段を設けているので、光源から発
せられる拡散光の発散角を拡大することができて、検出
器による拡散光の受光領域を拡大することができる。
【0016】本発明の地中掘進機の位置計測装置は、前
記2)に示すように、こうした光学式偏角測定装置を使
用して構成しているので、その当然の結果として、光源
からの光を位置検出素子に当てるための操作をしなくて
も済み、回転機構に起因する機械的な計測誤差も生じな
い。また、偏角計測用の検出器が外力によりピッチング
方向やヨーイング方向に振動しても、計測誤差が生じに
くいとともに、偏角計測用の検出器や光源を計測点に設
置する際、位置設定さえ正確に行えば、取付姿勢が不統
一であっても、その取付姿勢の影響を受けることなく地
中掘進機の掘進位置を正しく計測することができる。そ
して、特に、発散角拡大手段を設けているので、光源か
ら発せられる拡散光の発散角を拡大することができて、
検出器による拡散光の受光領域を拡大することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この出願の光学式偏角測定
装置や地中掘進機の位置計測装置に関するそれぞれの発
明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例
を図1乃至図8に基づいて説明することにより、本発明
の実施の形態を明らかにする。まず、図1乃至図3を用
いて光学式偏角測定装置の基本的な構造を説明する。図
1は、本発明の基礎となる光学式偏角測定装置の検出器
を例示する斜視図、図2は、偏角を計測する原理を説明
するための光学式偏角測定装置の概念図、図3は、図1
の検出器で光源の方向を検出する原理を説明するための
概念図である。
【0018】既に述べたように、光学式偏角測定装置
は、基点とこれと距離を置いて基点の両側に設定した各
地点とをそれぞれを結ぶ二つの線分の偏角を光で計測す
る装置である。ここで基点とは、計測しようとする角度
の頂点の個所に設定する計測点を意味する。この例の光
学式偏角測定装置4は、全体像が図2に図示されてお
り、大別すると、基点の両側に設定した地点にそれぞれ
設置される偏角計測用の各光源41,42と、基点に設
置され各光源41,42の方向を検出できる偏角計測用
の検出器410とからなる。光源41,42には、例え
ば発光ダイオードや半導体レーザのような拡散光を発す
るいわゆる点光源のようなものを用いる。すなわち、レ
ーザビームのような収束度の高い光線を発するものは用
いることができないが、基本的には、微小なエリアから
放射状に拡がる拡散光を発するようなものであれば、設
計上、適宜選択して使用することができる。
【0019】偏角計測用の検出器410について説明す
る。411は各光源41,42からの拡散光をそれぞれ
集光する両光源41,42に共通の集光手段としてのレ
ンズ、412−1はこのレンズ411で集められた光源
41からの拡散光を受光しその受光位置を検出する光セ
ンサとしての位置検出素子、412−2は、レンズ41
1で集められた光源42からの拡散光を受光しその受光
位置を検出する同様の位置検出素子、413−1はレン
ズ411で集光する光源41からの拡散光を位置検出素
子412−1に導くように光の方向を転換する光方向転
換手段としての反射プリズム、413−2はレンズ41
1で集光する光源42からの拡散光を位置検出素子41
2−2に導くように光の方向を転換する同様の反射プリ
ズムである。検出器410は、大別すると、これらレン
ズ411と位置検出素子412−1,412−2と反射
プリズム413−1,413−2とで構成される。
【0020】各位置検出素子412−1,412−2
は、各光源41,42からレンズ411に入射しようと
する拡散光を遮断しない位置に配置することとする。こ
の例では、位置検出素子412−1は、その受光面をレ
ンズ411の光軸Cと直交する方向に向けての側方に配
置し、位置検出素子412−2は、その受光面をレンズ
411の光軸Cと直交する方向に向けて上方に配置して
いる。位置検出素子412−1,412−2には、フォ
トダイオードをマトリックス状に配置したMOS型撮像
素子やCCD(Charge−Coupled−Dev
ice)撮像素子等の二次元光センサを用いることとし
ている。また、フォトダイオードの表面抵抗を利用して
光スポットの位置を知ることのできるPSD(Posi
tion−Sensitive−Device)のよう
なものを用いてもよく、要は、集光レンズで集められた
光を受光しその受光した光の位置を検出できるものであ
ればよく、その種類は限定されるものでない。反射プリ
ズム413−1,413−2は、レンズ411の前後に
配置され、それぞれ、レンズ411で集められる光源4
1,42の拡散光の一部を反射して位置検出素子412
−1,412−2の受光面に向けるが、光源42,41
から入射する拡散光の少なくとも一部を透過させること
ができる。
【0021】こうした反射プリズム413−1,413
−2に一般的なものを用いると、レンズ411に入射し
ようとする各光源41,42からの拡散光が、それぞ
れ、その入射前に、反射プリズム413−2,413−
1で一部反射されて減少するため、各位置検出素子41
2−1,412−2に導かれる光量が損失する。こうし
た問題を解消するため、レンズ411に入射しようとす
る各光源41,42からの拡散光を、互いに振動方向の
直交する直線偏光の拡散光になるようにするとともに、
各反射プリズム413−1,413−2として、レンズ
411に入射しようとする一方の直線偏光の拡散光を透
過させかつレンズ411で集光される過程の他方の直線
偏光の拡散光を位置検出素子412−1,412−2に
導くように反射する偏光反射プリズムを用いるとよい。
反射プリズム413−1,413−2にこうした偏光反
射プリズムを用いると、レンズ411に入射しようとす
る光源42,41からの拡散光を、その光量を損失させ
ることなく透過させるとともに、レンズ411で集光さ
れる過程の光源41,42からの拡散光を、位置検出素
子412−1,412−2に導くように全反射させるこ
とができ、レンズ411で集光した光の受光位置を位置
検出素子412−1,412−2で明確に検出すること
ができる。
【0022】図2の光学式偏角測定装置4の作用を説明
すると、光源41から発せられる拡散光は、手前の反射
プリズム413−2に入射後、その少なくとも一部が同
反射プリズム413−2を透過してレンズ411で集光
され、しかる後、その背後の反射プリズム413−1で
反射されて方向転換をして、位置検出素子412−1上
に結像する。同様にして、光源42からの拡散光は、そ
の少なくとも一部が手前の反射プリズム413−1を透
過してレンズ411で集光され、しかる後、その背後の
反射プリズム413−2で反射されて位置検出素子41
2−2上に結像する。このように、反射プリズム413
−1,413−2を用いることにより、各光源41、4
2からの拡散光がレンズ411に入射するのを阻止しな
い位置に各位置検出素子412−2,412−1を配置
することが可能となるため、拡散光を集めるための集光
レンズを各光源41、42ごとに設けることは要せず共
通化することができる。各位置検出素子412−1,4
12−2では、それぞれ、光源41,42からの拡散光
が結像すると、その結像位置すなわち集光した拡散光の
受光位置を検出する。検出器410では、その検出結果
に基づいて各光源41,42の方向を検出する。
【0023】そこで、光源41、42の方向を検出する
原理につき、位置検出素子412−1での検出結果に基
づいて光源41の方向を検出する場合を例にとり、図3
を用いて説明する。なお、図3には、作図の便宜上、光
源41や位置検出素子412−1を図2とは反対の側に
図示している。光源41の方向は、検出器410の基準
線に対して光源41の光軸D(光源41とレンズ411
の中心とを結ぶ線)のなす角度で表し、ここでは、検出
器410の基準線としてレンズ411の光軸C(レンズ
411の中心を通りこれに直交する軸線)を選定してい
る。光源41の方向を検出する場合には、光源41の方
向の水平方向の成分(レンズ411の光軸Cと光源41
の光軸Dを水平面上へ正投影した線同士のなす角度)と
垂直方向の成分(これらの各光軸C,Dをレンズ411
の光軸Cと平行な垂直面上へ正投影した線同士のなす角
度)とをそれぞれ検出するが、ここでは説明の便のた
め、垂直方向の成分を検出する場合について述べる。位
置検出素子412−1には、レンズ411の中心を原点
とするとともに、水平方向(左右方向)をX軸とし垂直
方向(上下方向)をY軸とするX−Y平面座標が設定さ
れている。
【0024】いま、図3に示すように、レンズ411と
位置検出素子412−1とをFの間隔で平行に配置して
光源41から拡散光を発すると、光源41の拡散光がレ
ンズ411により集光されて位置検出素子412−1の
面上に結像する。そのときの光源41の結像点に関する
座標位置のY軸方向の成分をYとし、光源41の方向の
垂直方向の成分を表す角度をψとすると、角度ψは、次
の(1)で求めることができる。
【0025】
【数1】
【0026】前式において、F,Yは何れも既知の値で
あるから、光源41の方向に関する角度ψは、位置検出
素子412−1での受光位置の検出結果に基づいて一義
的に算定することができる。図3には、説明の便のた
め、図2の光学式偏角測定装置におけるレンズ411と
位置検出素子412−1との配置を模式化してこれらを
Fの間隔で平行に配置した状態を示したが、レンズ41
1と位置検出素子412−1とを図2のように配置した
状態において前(1)式により角度ψを求める場合に
は、Fの値は、レンズ411の光軸C上を通る光源41
の光軸Dがレンズ411に入射後、位置検出素子412
−1に到達するまでの過程にたどる距離の総和とみれば
よい。同様にして、光源42の方向の垂直方向の成分
も、位置検出素子412−2での検出結果に基づいて検
出することができる。
【0027】こうして、光源41,42の方向の垂直方
向の成分を検出すると、その検出結果に基づいて各光源
41,42の光軸D同士の偏角の垂直方向の成分(各光
源41,42の光軸Dをレンズ411の光軸Cと平行な
垂直面上へ正投影した線同士のなす角度)を算出する。
その算出方法を図2に基づいて説明する。いま、光源4
2の方向を表す角度の垂直方向の成分をφとし、各光源
41,42の光軸D同士の偏角の垂直方向の成分をΦと
する。そして、角度Φ,φ,ψには極性をもたせて、光
源41,42の光軸Dをレンズ411の光軸Cに重なる
ように最小の角度で回動させる方向が時計方向であると
きを正、反時計方向であるときを負としている。そうす
ると、偏角Φは、図2から明らかなように、次の(2)
式で求めることができる。 Φ=φ−ψ…………………(2) この偏角Φの計測値は、図2の上下の図を対比すればよ
く分かるように、検出器410が姿勢の変化や振動によ
り上下方向(ピッチング方向)に任意の角度δだけ傾動
して、各光源41,42の方向に関する角度がψ,φか
らψ’,φ’に変動しても、こうした変動に影響される
ことなく常に一定に保たれる。
【0028】こうした偏角Φの計測値は、各位置検出素
子412−1,412−2での検出結果に基づいて、図
示していないコントローラにより演算して算出する。以
上、各光源41,42の光軸同士の偏角の垂直方向の成
分Φを求める方法について述べたが、各光源41,42
の光軸同士の偏角の水平方向の成分(光源41,42の
各光軸を水平面上へ正投影した線同士のなす角度)につ
いても、光源41,42の結像点に関する座標位置のX
軸方向の成分に基づいて、以上の方法に準じた手法によ
り求めることができる。こうして求めた偏角の計測値
は、検出器410が姿勢の変化や振動により左右方向
(ヨーイング方向)に傾動しても、偏角Φの計測値同
様、こうした傾動に影響されることなく常に一定に保た
れる。
【0029】なお、図2に示す例では、光源41,42
の光軸同士の偏角を計測する場合にこれらの光軸同士の
外角を偏角として計測しているが、内角を偏角として計
測してもよく、要は、光源41,42の光軸同士の角度
関係を特定できるような値を偏角として計測すればよ
い。この光学式偏角測定装置で二つの線の偏角を計測す
るには、測定しようとする角度の頂点すなわち基点の個
所に検出器410を設置するとともに、二つの線上の任
意の個所にそれぞれ光源41,42を設置して既に述べ
た手法で偏角の垂直方向の成分Φ及び水平方向の成分を
求めればよく、これにより二つの線の角度関係が特定さ
れて偏角を計測することができる。
【0030】以上述べたように、この光学式偏角測定装
置は、偏角計測用の光源41,42を、基点の両側に設
定した各地点に設置し、各光源41,42に特に拡散光
を発する光源を用いて、拡がりをもつ光でレーザビーム
よりも広い領域を照らせるようにしているため、偏角を
光学的に計測する場合に、ウエッジプリズムを回動させ
ることによりレーザビームを位置検出素子に当てる従来
の技術で行われているような操作は行わなくても済む。
その結果、こうした操作を可能にするための回転機構を
設ける必要もなくなるため、従来の技術とは異なり、回
転機構に起因する機械的な計測誤差も生じない。また、
拡散光の光源41,42は、このように照射領域が広い
ため、検出器410や光源41,42が外力により振動
しても、検出器410を常に照らすことができて計測に
支障が生じることもない。
【0031】この光学式偏角測定装置では、すでに図2
で説明したしように、検出器410を任意の角度δだけ
傾動させても、偏角Φの計測値が一定に保たれて、検出
器410や光源41,42のピッチング方向やヨーイン
グ方向の変位(上下方向や左右方向の揺動)に影響され
にくいため、検出器410が外力によりピッチング方向
やヨーイング方向に振動しても、計測誤差が生じにく
い。また、こうしたことや光源41,42が拡散光であ
ることから、検出器410や光源41,42を設置する
際、位置設定さえ正確に行えば、それらの取付姿勢が一
定していなくてもよく、偏角の計測結果がそれらの取付
姿勢に影響されることもない。
【0032】さらに、レンズ411に入射しようとする
各光源42,41からの拡散光の少なくとも一部をそれ
ぞれ透過しかつレンズ411で集光する各光源41,4
2からの光を各位置検出素子412−1,412−2に
それぞれ導くように光の方向を転換させる反射プリズム
413−1,413−2を設けて、レンズ411に入射
しようとする各拡散光を遮断しない位置に各位置検出素
子412−1,412−2を配置するようにしたことに
より、各光源41,42からの拡散光のレンズ411へ
の入射が各位置検出素子412−2,412−1で阻止
されることはないので、拡散光を集めるためのレンズ4
11を各光源41,42ごとに設ける必要はなく、共通
化することができる。
【0033】このように拡散光を集めるレンズを共通化
すると、各光源41,42の方向に基づいて検出器41
0で計測される偏角は、これらの光源41,42の各光
軸D同士のなす角度(光源41,42の拡散光が前後方
向に直進するときの各出発点の中心位置とレンズ411
の中心位置とをそれぞれ結ぶ各線同士のなす角度)と正
確に合致して、1枚のレンズ411の中心位置を頂点と
する各光源41,42の光軸D同士のなす偏角が計測さ
れることとなる。その結果、その計測される偏角は、レ
ンズ411を各光源41、42に対応して別々に設ける
場合に比べて、検出器410がピッチング方向及びヨー
イング方向に変位しても変動しなくなるため、検出器4
10の取付時の取付姿勢の不統一や外力による姿勢の変
化にも確実に影響されなくなって偏角を正確に計測する
ことができる。
【0034】この光学式偏角測定装置は、以上のような
従来の技術にはみられない優れた効果を発揮するが、偏
角計測用の光源に、拡散光の拡がりが限定された光源を
用いた場合、光源41,42と検出器410との位置関
係や光源41,42の向きによっては、光源41,42
が発する拡散光の拡がりの中に、検出器410が位置し
なくなることも起り得る。図4は、K番目の計測点に検
出器410を設置し、その両側のK−1,K+1番目の
計測点にそれぞれ半導体レーザの光源41,42を設置
して、K番目の計測点とその両側のK−1,K+1番目
の計測点とをそれぞれを結ぶ二つの線分の偏角を計測し
ている状態を示す。半導体レーザの光源41,42は、
拡散光の光源としてはその拡がりが比較的限定されてい
るので、K−1番目の計測点の光源41が図示のような
向きに設置されている場合、その光源41が発する拡散
光の拡がりの中に、検出器410を位置させることがで
きなくなって、K番目の計測点を基点とする偏角が計測
不可能になる。この出願の発明に係る光学式偏角測定装
置は、こうした問題が発生しないように、前述の出願人
の特許出願に係る光学式偏角測定装置を改良しようとす
るものである。
【0035】そこで、図4乃至図6を用いてその改良点
につき説明する。図4は、図2の光学式偏角測定装置に
より地下坑内で偏角を計測しているときに生じる問題を
説明するための図、図5は、図2の光学式偏角測定装置
に用いられる光源の特性を説明するための斜視図、図6
は、本発明の具体化例の光学式偏角測定装置における要
部の側面図である。
【0036】半導体レーザは、一般に、直線偏光の偏光
を有し拡散光を出力するが、その出力される拡散光は、
限定された発散角を有した拡散光である。この半導体レ
ーザの拡散光の発散角は、図5に示すように、直交する
二つの方向(図5の例では水平方向と垂直方向)で異な
る発散角θ ,θ を有しており、これらの値は、半
導体レーザの種類によって異なる。図5には、水平方向
の発散角θ よりも垂直方向の発散角θ が大きい光
源の例を示したが、説明の便のため示したものであっ
て、このこと自体には特に意味はない。図6は、拡散光
の光源41にこうした半導体レーザを用いた光学式偏角
測定装置について、検出器410による拡散光の受光領
域を拡大できるようにした例を示すものであり、光源4
2についても、当然同様の手段を採用することができ
る。
【0037】図6に示す例では、焦点距離の異なるレン
ズ30,31(凸レンズ)が所定間隔を置いて偏角計測
用の光源41の前方に配置しており、光源41は、特
に、光源41に近い側のレンズ30の焦点に位置するよ
うに配置している。ここに示す例では、こうした二つの
レンズ30,31の配置により、光源41の発する拡散
光の発散角を拡大するための発散角拡大手段を構成して
いる。いま、半導体レーザの光源41の水平方向の発散
角をθx 、垂直方向の発散角をθy とし、レンズ30の
焦点距離をF1 、レンズ31の焦点距離をF2 とする
と、光源41は、発散角θx 及び発散角θy の拡散光を
発してレンズ30に入射する。
【0038】そうすると、光源41は、レンズ30の焦
点距離F1 に相当する点(第一主焦点)に位置するた
め、その拡散光は、レンズ30によりレンズ30の光軸
Cに平行な光に変換されて前方のレンズ31に入射す
る。そして、レンズ31を通過した後は、その焦点距離
2 に相当する点(第二主焦点)に結像し、次いで、再
び水平方向及び垂直方向に拡散する。この結像後に拡散
する拡散光の発散角は、図6から明らかなように、レン
ズ31の焦点距離F2 を相対的に小さくすれば、レンズ
31を通過した光がそれだけレンズ31の近くに結像す
るため、水平方向及び垂直方向の何れについても相対的
に大きくすることができる。したがって、レンズ31に
適宜の焦点距離のレンズを選択することにより、光源4
1の発散角θx ,θy を所望の角度に拡大することがで
きる。
【0039】いま、このレンズ31の焦点に結像後に拡
大される拡散光の水平方向の発散角をΘx 、垂直方向の
発散角Θy とすると、これらの発散角Θx ,Θy は、そ
れぞれ次の(3)、(4)式で表すことができる。 Θx =(F1 /F2 )×θx ……………(3) Θy =(F1 /F2 )×θy ……………(4) 前(3)式、(4)式において、F1 /F2 =Mとする
と、Mは拡大率と称して、光源41の拡散光を拡大しよ
うとする場合において、その光源41の発散角θx ,θ
y に対する拡大後の発散角Θx ,Θy の倍率を意味す
る。したがって、この拡大率Mを適宜選定することによ
り、所望の発散角Θx ,Θy の拡散光を得ることができ
る。また、レンズ31の焦点距離F2 がレンズ30の焦
点距離F1よりも大きくなるように設計すれば、光源4
1の水平方向の発散角θx 及び垂直方向の発散角θy
双方を拡大することができる。
【0040】このように、図2の光学式偏角測定装置に
おいて、光源41から発せられる拡散光の発散角θx
θy を拡大するようにレンズ30,31を配置すること
により、計測時に光を検出器410に当てる操作を不要
にし機械的な計測誤差や振動による計測誤差を生じにく
くしただけでなく、検出器410による拡散光の受光領
域を拡大することができる。その結果、光源41,42
や検出器410を設置するときに、これらの位置関係や
光源41,42の向きが変化しても、検出器410が拡
散光の拡がりの中に位置しなくなるというような図4に
示す事態が生じなくなり、こうした事態に直面したとき
に余儀なく行う拡散光の位置や向きを調整する等の煩雑
な作業を行う必要がなくなり、ひいては、計測時に光を
検出器に当てる操作を不要にするという前述の効果を、
計測点の周辺状況にかかわりなく常に確実に発揮するこ
とができる。
【0041】図6では、光源41がレンズ30の焦点に
位置するようにレンズ30を配置しているが、レンズ3
0を前方及び後方の少なくとも一方に移動できるように
構成してもよい。レンズ30をこのように構成すると、
レンズ30をこの位置から前方(右側)の位置に移動さ
せると、拡大率Mを増加させることができ、逆に後方
(左側)の位置に移動させると、拡大率Mを減少させる
ことができる。したがって、レンズ30をこのように移
動可能に構成すると、偏角の計測点の周辺状況が複雑な
ときには拡大率Mを増加させて、偏角の計測ができなく
なる事態を防いだり、そうでないときには拡大率Mを減
少させて、光源41の発散角が必要以上に拡大しないよ
うにして拡散光の散逸を防いだりする等、計測現場の状
況に応じて光源41を効果的に活用することができる。
以上、光源が水平方向と垂直方向で異なる発散角を有す
る半導体レーザである場合を例にとって、本発明による
改良点を説明したが、本発明に用いる光源には、拡散光
を発するものであれば、半導体レーザに限らず任意のも
のを用いることができ、その種類は限定されない。
【0042】次に、図2の光学式偏角測定装置を使用す
ることにより地中掘進機の掘進位置を計測する地中掘進
機の位置計測装置につき、図7及び図8を用いて説明す
る。図7は、図2の光学式偏角測定装置を使用した地中
掘進機の位置計測装置により地中掘進機の掘進位置を計
測している状態の全体像を概略的に示す図、図8は、図
7の地中掘進機の位置計測装置に使用する光学式偏角測
定装置をユニット化した例を示す斜視図である。両図に
おいて、既に述べた図1乃至図6と同一符号を付けた部
分は、これらの図と同等の部分を表すので詳述しない。
この地中掘進機の位置計測装置は、曲線経路を掘進して
地下坑を掘削する曲線施工用の地中掘進機の掘進位置を
計測するためのものであり、その地中掘進機の掘進位置
の計測に使用する光学式偏角測定装置には、図2の偏角
測定装置と同様、拡散光を発する偏角計測用の光源4
1,42と偏角計測用の検出器410とからなる。
【0043】図7及び図8において、1は地中掘進機の
主要部をなす掘削機、2はシールド掘進機で掘削した坑
道又は管推進機で掘削した管渠等の地下坑、3は地中掘
進機の掘進の出発点となる発進立坑、400は図8で後
に詳述するユニット状の偏角測定装置、5は各偏角測定
装置400とそれぞれ通信ラインで接続され地中掘進機
の掘進位置を演算する中央演算処理装置、6は中央演算
処理装置7での演算結果やその演算結果に基づいて得ら
れる情報をオペレータの操縦の便のために数値やグラフ
で表示する表示装置である。掘削機1は、管推進機及び
シールド掘進機等、地下坑を掘削しながら地中を掘進す
る地中掘進機の掘削機であれば、何れのものでもよい。
地下坑2は、管推進機であれば、ヒューム管、鋼管等の
埋設管で坑壁が形成され、シールド掘進機であれば、鋼
製又はコンクリート製のセグメントで坑壁が形成され
る。
【0044】この地中掘進機の位置計測装置で地中掘進
機の掘進位置を計測する際には、計測の始点となる位置
に始点計測点を、地中掘進機の掘進位置の指標となる位
置に終点計測点を、始点計測点と終点計測点の間に少な
くとも一つの中間計測点をそれぞれ設定する。図7に示
す例では、始点計測点及び終点計測点をそれぞれ発進立
坑3及び掘削機1内に設定している。始点計測点は、発
進立坑3又は掘進予定線との位置関係が特定できる地点
であれば、発進立坑3の前方の地下坑2内に設定する
等、適宜の個所に設定することができる。
【0045】ユニット状の偏角測定装置400につき、
図8を用いて説明する。この偏角測定装置400は、そ
の両側に隣接する二つの偏角測定装置400の各検出器
410に向けてそれぞれ拡散光を発するための光源4
1,42と偏角計測用の検出器410とをケース内に組
み込んで一体に構成している。そして、この検出器41
0は、既に述べた図1の検出器410と同様、共通の集
光手段としてのレンズ411と位置検出素子412−
1,412−2と光方向転換手段としての反射プリズム
413−1,413−2とを設けて構成している。その
場合、反射プリズム413−1,413−2には、前述
したような偏光反射プリズムを用い、光源41,42に
は、その直ぐそばの反射プリズム413−1,413−
2に対してそれぞれS偏光の拡散光を発する前述の半導
体レーザによる光源を用いている。
【0046】したがって、図8において、光源41,4
2から拡散光を発すると、その拡散光は、それぞれ、偏
光反射プリズム413−1,413−2の反射面で反射
されて右側(前方)、左側(後方)に方向転換し、当該
計測点に隣接する左右の隣接計測点に向けて発せられる
こととなる。これら左右の隣接計測点には、当該計測点
と同様、偏角測定装置400を設置しているが、当該計
測点の光源41からの拡散光は、右側の隣接計測点にあ
る偏角測定装置400の反射プリズム413−2に対し
てP偏光の拡散光となり、同様にして、当該計測点の光
源42からの拡散光は、左側の隣接計測点にある反射プ
リズム413−1に対してP偏光の拡散光となる。偏角
測定装置400は、以上述べたように前後の光源41,
42と集光手段としてのレンズ411と前後の位置検出
素子412−1,412−2と光方向転換手段としての
前後の反射プリズム413−1,413−2とを有し、
これらをケース内に組み込んでユニット状に一体構成し
ている。
【0047】図7は、始点計測点、終点計測点及び各中
間計測点にこうした偏角測定装置400を配置し、隣合
う偏角測定装置400間で拡散光を照射して地中掘進機
の掘進位置を計測するときの態様を示している。図7に
おいて、Vは、隣接する偏角測定装置400間の基準点
(レンズ411の中心)同士を結ぶ直線を表し、この明
細書では、こうした直線を見通し線と称する。各偏角測
定装置400は、光源41,42をレンズ411の中心
位置に配置したのと等価の構造をしているものとし、そ
れゆえ、各偏角測定装置400の基準点は、何れもレン
ズ411の中心に位置するとともに、各偏角測定装置4
00の各光源41,42の拡散光は、レンズ411の中
心を出発点として前後方向に直進するようになってい
る。図7には、始点計測点と終点計測点との間に三つの
中間計測点を設定した例を示しているが、地中掘進機の
掘進距離や地下坑2のカーブの状態等を考慮しながら、
一つ以上所望の数の中間計測点を設定し、互いに見通す
ことのできる適当間隔を置いてその中間計測点に偏角測
定装置400を設置することができる。
【0048】地中掘進機の掘進位置を計測する場合、前
後、上下、左右の3次元の位置座標上における始点計測
点に対する終点計測点の相対位置を演算して計測する。
したがって、地中掘進機の掘進位置は、掘進方向である
前後方向の座標点に対応して上下方向の座標点及び左右
方向の座標点が求められて特定される。また、これに対
応して、光源41,42の方向に関する角度や各光源4
1,42の光軸D同士の偏角も前述したように水平方向
の成分及び垂直方向の成分として求められて特定され
る。3次元の位置座標を設定する場合、演算の便のた
め、座標の原点を始点計測点に一致させ、前後方向の座
標軸を発進基準方向(地中掘進機の発進時における予め
設定した基準となる掘進路線の方向)に一致させる。各
偏角測定装置400を計測点に設置する場合には、始点
計測点の偏角測定装置400についてはその基準線(レ
ンズの光軸C)を発進基準方向に合わせ、終点計測点の
偏角測定装置400については掘削機1の中心軸線の方
向に合わせるように姿勢を調整するが、中間計測点の偏
角測定装置400については、予め定めた位置に設置す
るだけで姿勢までも調整する必要はない。
【0049】各中間計測点の偏角測定装置400では、
光の受光位置に関する検出結果に基づいて、隣接する前
方の偏角測定装置400の後方光源42の方向や隣接す
る後方の偏角測定装置400の前方光源41の方向を検
出する。これら隣接する偏角測定装置400の光源4
1,42の方向のうち、後方光源42の方向は、当該中
間計測点の偏角測定装置400の基準線とその基準線の
前方側の見通し線Vとのなす角度で表すことができ、前
方光源41の方向は、当該中間計測点の偏角測定装置4
00の基準線とその基準線の後方側の見通し線Vとのな
す角度で表すことができる。これらの光源41,42の
方向に関する角度は、前述の(1)により水平方向の成
分及び垂直方向の成分として求めることができる。こう
して角度に関するデータが得られると、各中間計測点の
偏角測定装置400の基準点を頂点とする偏角(後方側
の見通し線Vの延長線と前方側の見通し線Vとのなす角
度すなわち外角の偏角)を前述の(2)により求めるこ
とができる。
【0050】一方、始点計測点の偏角測定装置400で
は、これと隣接する前方の偏角測定装置400の後方光
源42の方向を検出し、これにより地中掘進機が発進し
たときの実際の発進方向を検出することができる。この
発進方向は、前記したように始点計測点の偏角測定装置
400の基準線を発進基準方向に合わせていることか
ら、その基準線と見通し線Vとのなす角度で表すことが
できる。
【0051】この地中掘進機の位置計測装置では、こう
した発進方向に関する角度や偏角に関するデータを得る
のと並行して、隣接する計測点間の各距離に関するデー
タを適宜の方法で収集する。これら角度や距離に関する
データが得られると、地中掘進機の掘進位置は一義的に
定まるので、これらのデータから始点計測点に対する終
点計測点の相対位置を3次元の位置座標における座標点
として求めることができる。したがって、地中掘進機の
掘進位置すなわち始点計測点に対する終点計測点の相対
位置は、帰するところ、始点計測点の偏角測定装置40
0や各中間計測点の偏角測定装置400での検出結果か
ら得られる光源41,42の方向に関するデータと、隣
接計測点間の各距離に関するデータとに基づいて演算に
より計測することができる。
【0052】こうした演算は、各偏角測定装置から通信
ラインを通じて入力される各光源41,42の方向に関
するデータや別途計測されて入力される前記距離に関す
るデータに基づいて中央演算処理装置5により行われ
る。この中央演算処理装置5には表示装置6が接続され
ているため、中央演算処理装置5で演算された地中掘進
機の現在位置は、この表示装置6に表示されて、地中掘
進機の現在位置に関する信頼性の高い情報をオペレータ
にリアルタイムに提供することができる。なお、終点計
測点の偏角測定装置400の位置検出素子412−1
は、隣合う後方の中間計測点の偏角測定装置400の前
方光源41の方向を検出することにより、ピッチング方
向やヨーイング方向の掘削機1の姿勢を検出する働きを
する。それゆえ、地中掘進機に通常設けられていたピッ
チング計やヨーイング計等の掘削機の姿勢検出用の計測
器を別途新設しないでも、掘削機1の姿勢を検出するこ
とができる。
【0053】隣接する計測点間の各距離を計測する方法
について述べると、地中掘進機が管推進機である場合に
は、例えば、埋設済みの埋設管の数により算出される距
離データと元押しジャッキのストローク計で検出される
距離データとに基づいて計測する方法を挙げることがで
きる。また、地中掘進機がシールド掘進機である場合に
は、例えば、セグメントの種類と数に基づいて算出され
る距離データとシールドジャッキのストローク計で検出
される距離データとに基づいて計測する方法を挙げるこ
とができる。これらの方法は、何れも、管推進機やシー
ルドジャッキに通常付設されている元押しジャッキのス
トローク計やシールドジャッキのストローク計を距離の
計測にも活用することができて、距離の計測のために特
別の距離計測手段を新設する必要がない。
【0054】以上述べた地中掘進機の位置計測装置にお
いて、各計測点に設置した偏角測定装置400のうち、
始点計測点の偏角測定装置400において、前方の光源
41は、図2の光学的偏角測定装置4における偏角計測
用の光源を構成する要素として必要であるが、後方の光
源42は不必要なものである。また、始点計測点の偏角
測定装置400における検出器は、図2の光学的偏角測
定装置4を構成する要素とはならないが、隣接する偏角
測定装置400の光源42の方向を検出して発進方向
(発進基準方向に対する見通し線Vの角度)を検出する
始点計測点用検出器として機能し、地中掘進機の掘進位
置を計測する上で不可欠である。同様にして、始点計測
点の偏角測定装置400に隣接する中間計測点の偏角測
定装置400における光源42は、図2の光学的偏角測
定装置4を構成する要素とはならないが、始点計測点用
検出器で前記発進方向を検出できるようにするために始
点計測点に向けて拡散光を発する始点計測点用光源とし
て必要である。
【0055】終点計測点の偏角測定装置400におい
て、後方の光源42は、図2の光学的偏角測定装置4に
おける偏角計測用の光源を構成する要素として必要であ
るが、前方の光源41は不必要なものである。また、終
点計測点の偏角測定装置400における検出器は、前述
したように掘削機1のピッチング方向及びヨーイング方
向の姿勢を検出する上で有用ではあるが、ピッチング計
やヨーイング計等別の手段で代替できて不可欠のもので
はなく、図2の光学的偏角測定装置4を構成する要素と
はならない。同様にして、終点計測点の偏角測定装置4
00に隣接する中間計測点の偏角測定装置400におけ
る前方の光源41も、有用ではあっても不可欠のもので
はない。こうしたことから、図7の例のようにユニット
状の偏角測定装置400を中間計測点のほか始点計測点
や終点計測点に設置するときには、必要とする手段だけ
をソフト上活かすようにすればよい。図2の光学式偏角
測定装置4を地中掘進機の位置計測装置に使用する場
合、このように、各計測点に、統一されたユニット状の
偏角測定装置400を設置するようにすれば、製作する
機器の種類を少なくできてそれらの製作を省力化するこ
とができるだけでなく、使用する機器の種類も少なくで
きて機器の使用上の便もよい。
【0056】以上述べた地中掘進機の位置計測装置は、
図2の光学式偏角測定装置4を使用して構成しているの
で、その当然の結果として図2の光学式偏角測定装置4
と同様の効果を発揮することができる。すなわち、地中
掘進機の位置を計測する際、従来の技術のように光源4
1,42からの光を位置検出素子に当てるための操作は
しなくても済み、ひいては、その操作を可能にするため
の回転機構を設ける必要がなくなって、その回転機構に
起因する機械的な計測誤差も生じない。また、偏角計測
用の検出器410がピッチング方向やヨーイング方向に
変位しても変動しない偏角に関するデータに基づいて地
中掘進機の位置を計測するようにしているので、偏角計
測用の検出器410が外力によりピッチング方向やヨー
イング方向に振動しても、計測誤差が生じにくいととも
に、偏角計測用の検出器410や光源41,42を計測
点に設置する際、位置設定さえ正確に行えば、取付姿勢
が不統一であっても、その取付姿勢の影響を受けること
なく地中掘進機の掘進位置を正確に計測することができ
る。その場合、前述したように、反射プリズム413−
1,413−2を設けて光源41,42の拡散光を集め
るレンズを共通化したことにより、偏角計測用の検出器
410がピッチング方向やヨーイング方向に変位して
も、偏角を正確に計測できるようにしていて、こうした
効果を確実に達成することができる。
【0057】ところで、ユニット状の偏角測定装置40
0は、これに組み込まれている光源41,42の拡散光
を反射プリズム413−1,413−2で隣合う前後の
偏角測定装置400に向けるように構成しているため、
光源41,42とレンズ411と反射プリズム413−
1,413−2との位置関係を適切に定めることによ
り、光源41,42をレンズ411の中心に配置したの
と等価の構造になるように構成することができる。こう
した構造を得るには、偏角測定装置400を次の条件を
満たすように構成すればよい。 イ)反射プリズム413−1(反射プリズム413−
2)の反射面の傾斜方向にに対して直交する平面上に、
光源41(光源42)とレンズ411の中心が共に位置
する。 ロ)反射プリズム413−1(反射プリズム413−
2)の反射面に対するレンズ411の光軸Cの交点と光
源41(光源42)との間の距離が同交点とレンズ41
1の中心との間の距離に等しい。
【0058】偏角測定装置400をこうした条件を満た
すように構成して、光源41,42をレンズ411の中
心に配置したのと等価の構造になるように構成すれば、
各偏角測定装置400間で授受される光の光軸Dを見通
し線V(隣合う偏角測定装置400の基準点同士を結ぶ
直線)と正確に一致させることができるので、光源4
1,42の方向に関する検出結果の補正をしなくても、
地中掘進機の掘進位置を一層高い精度できわめて精密に
計測することができる。したがって、こうした効果と光
源41,42の拡散光を集めるレンズを共通化した点の
前述の効果とが相俟って、偏角測定装置400が地中掘
進機のピッチングやヨーイングによって傾斜したときで
も、光源41,42の方向に関する検出結果の補正を要
することなく、地中掘進機の掘進位置をきわめて精密に
計測することができる。
【0059】図7に示す例では、始点計測点を発進立坑
3内に設定して、始点計測点用検出器ではその前方の始
点計測点用光源の方向だけを検出するようにしている
が、発進立坑3の前方の地下坑2内に発進立坑3との位
置関係を特定した上で始点計測点を設定し、この始点計
測点に向けて拡散光を発する光源を発進立坑3内の設定
した位置に設置して、この光源と始点計測点用光源の双
方の光源方向を始点計測点用検出器で検出するようにし
てもよい。始点計測点を発進立坑3内に設定した場合、
高精度の計測を行うには、始点計測点用検出器について
その基準線を発進基準方向に合わせるように取付姿勢を
精度よく調整する困難な作業を必要とするが、このよう
に始点計測点を発進立坑3前方の地下坑2内に設定した
場合には、始点計測点用検出器でも、その取付姿勢に影
響されない偏角を計測することができて、取付姿勢を調
整しなくても、高精度の計測を簡便に行うことができ
る。本発明を具体化する場合には、これら何れの方法を
採用してもよく、始点計測点には、少なくとも始点計測
点用光源からの拡散光を集光して始点計測点用光源の方
向を検出する始点計測点用検出器を設置するようにすれ
ば、地中掘進機の位置計測の目的は達成することができ
る。
【0060】以上のような地中掘進機の位置計測装置で
掘進位置を計測する場合、埋設管やセグメントのような
配管や配線の密集した手狭で周辺状況が複雑な地下坑内
に光源41,42や検出器410を設置するため、光源
41,42が発する拡散光の拡がりの中に検出器410
を位置させることができなくなるという図4に示すよう
な問題が発生しやすい。特に、図7のような地中掘進機
の位置計測装置では、各計測点の偏角測定装置400が
計測上密接不可分に関連していて、偏角測定装置400
の各位置や台数等が掘進位置の計測結果に多大の影響を
及ぼすため、図4のような問題に対応して拡散光の位置
の再調整や偏角測定装置400の増設を行うには、多大
の困難を伴う。
【0061】この出願の発明に係る地中掘進機の位置計
測装置は、こうした問題が発生しないように、本発明の
光学式偏角測定装置と同様、図6に例示したような焦点
距離の異なるレンズ30,31による発散角拡大手段を
光源41の前方や光源42の後方に設けて、光源41か
ら発せられる拡散光の発散角θx ,θy を拡大するよう
にする。前述した図5に示す例では、光源41,42
に、水平方向の発散角θx より垂直方向の発散角θy
大きい拡散光を発する光源を用いているが、地中掘進機
は、曲進しようとするとき、通常、垂直方向には小さい
カーブでしか曲進しないに対して水平方向には大きいカ
ーブで曲進することから、地中掘進機の位置計測装置に
おいて拡散光の光源41,42を設置する場合には、光
源41,42に、垂直方向の発散角θy よりも水平方向
の発散角θx の方が大きい図5とは異なる光源を用いる
のが望ましい。
【0062】こうした発散角拡大手段を設ける場合、必
ずしも、各計測点の光源41,42の全てについて設け
る必要はなく、図4に示すような問題が生じる恐れのあ
る地点の光源41,42についてだけ設けるようにすれ
ばよい。すなわち、地中掘進機で掘進する場合、予め設
定された掘進経路である計画線から、こうした問題が生
じる恐れのない地点は事前に察知できるので、少なくと
も、こうした地点の光源41,42については、発散角
拡大手段を設けないようにすることができる。この出願
の発明に係る地中掘進機の位置計測装置は、特に、この
ような発散角拡大手段を設けているので、本発明の光学
式偏角測定装置と同様、検出器410による拡散光の受
光領域を拡大することができる。その結果、図4に示す
ような問題の発生時に余儀なく行う拡散光の位置や向き
の再調整作業や光源41,42及び検出器410の増設
作業等の煩雑な作業を行う必要がなくなり、ひいては、
計測時に光を検出器に当てる操作を不要にするという前
述の効果を、計測点の周辺状況にかかわりなく常に確実
に発揮することができる。
【0063】地中掘進機の位置計測装置に設ける発散角
拡大手段を構成する場合、本発明の光学式偏角測定装置
と同様、所定間隔を置いて設置した2枚のレンズ30,
31のうち光源41,42に近い側のレンズ30を、光
源との間の距離を調節できるように移動可能に設置して
構成するようにすることもできる。レンズ30をこのよ
うに移動可能に設置した場合、本発明の光学式偏角測定
装置と同様、偏角の計測点の周辺状況に応じてレンズ3
0の位置を変えて拡大率Mを変化させることにより、偏
角の計測ができなくなる事態を防いだり、光源41,4
2の発散角が必要以上に拡大しないようにして拡散光の
散逸を防いだりする等、計測点の周辺状況に応じて光源
41,42を効果的に活用することができる。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この出
願の発明の光学式偏角測定装置及び地中掘進機の位置計
測装置は、それぞれ「課題を解決するための手段」の項
の1)及び2)に示す手段を採用しているので、光源に
拡散光を用いて計測時に光を検出器に当てる操作を不要
にし機械的な計測誤差や振動による計測誤差を生じにく
くすることができる。また、偏角計測用の検出器や光源
を設置する際に位置設定さえ正確に行えば、計測結果が
検出器や光源の取付姿勢に影響されるようなこともな
い。特に、この出願の発明の光学式偏角測定装置及び地
中掘進機の位置計測装置は、光源から発せられる拡散光
の発散角を拡大するようにレンズを配置して構成した発
散角拡大手段を設けているので、こうした効果を発揮す
るだけではなく、検出器による拡散光の受光領域を拡大
することができる。その結果、拡散光の拡がりの中に検
出器を位置させ得なくなったときに余儀なく行う拡散光
の位置や向きを再調整作業等の煩雑な作業を行う必要が
なくなり、ひいては、計測時に光を検出器に当てる操作
を不要にするという前記の効果を、計測点の周辺状況に
かかわりなく常に確実に発揮することができる。
【0065】この出願の光学式偏角測定装置の発明を具
体化する場合、特に、特許請求の範囲の請求項2に記載
のように具体化すれば、偏角の計測点の周辺状況が複雑
なときには光源の発散角の拡大率を最大にして偏角の計
測ができなくなる事態を防いだり、そうでないときには
その拡大率を減少させて偏角計測用の光源の発散角が必
要以上に拡大しないようにして拡散光の散逸を防いだり
する等、計測点の周辺状況に応じて光源を効果的に活用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎となる光学式偏角測定装置の検出
器を例示する斜視図である。
【図2】偏角を計測する原理を説明するための光学式偏
角測定装置の概念図である。
【図3】図1の検出器で光源の方向を検出する原理を説
明するための概念図である。
【図4】図2の光学式偏角測定装置により地下坑内で偏
角を計測しているときに生じる問題を説明するための図
である。
【図5】図2の光学式偏角測定装置に用いられる光源の
特性を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の具体化例の光学式偏角測定装置におけ
る要部の側面図である。
【図7】図2の光学式偏角測定装置を適用した地中掘進
機の位置計測装置により地中掘進機の掘進位置を計測し
ている状態の全体像を概略的に示す図である。
【図8】図7の地中掘進機の位置計測装置に使用する光
学式偏角測定装置をユニット化した例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】 1 掘削機 2 地下坑 3 発進立坑 4 光学的偏角測定装置 5 中央演算処理装置 6 表示装置 30 レンズ 31 レンズ 41,42 光源 400 偏角測定装置 410 偏角計測用の検出器 411 レンズ 412−1,412−2 位置検出素子 413−1,413−2 反射プリズム C レンズの光軸 D 光源の光軸 V 隣合う偏角測定装置間の見通し線 θx 拡散光の水平方向の発散角 θy 拡散光の垂直方向の発散角 Φ 偏角 Θx 拡大後の拡散光の水平方向の発散角 Θy 拡大後の拡散光の垂直方向の発散角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀井 健 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 Fターム(参考) 2D054 AA02 AC02 AC18 GA04 GA17 GA25 GA62 GA82 2F065 AA01 AA03 AA31 BB08 BB24 CC40 DD03 FF01 GG06 GG07 HH02 HH04 JJ16 JJ18 JJ23 LL46 MM08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基点とこれと距離を置いて基点の両側に
    設定した各地点とをそれぞれを結ぶ二つの線分の偏角を
    光で計測する光学式偏角測定装置であって、基点の両側
    に設定した各地点にそれぞれ設置され拡散光を発する偏
    角計測用の光源と基点に設置される偏角計測用の検出器
    とからなり、各光源からの拡散光の少なくとも一部をそ
    れぞれ集光する共通の集光手段と、集光手段でそれぞれ
    集光した各光源からの光をそれぞれ受光してその受光位
    置を検出する各位置検出素子と、集光手段に入射しよう
    とする各光源からの拡散光の少なくとも一部をそれぞれ
    透過しかつ集光手段で集光する各光源からの光をそれぞ
    れ各位置検出素子に導くように方向転換させる各光方向
    転換手段とを設け、集光手段に入射しようとする各光源
    からの拡散光を遮断しない位置に各位置検出素子を配置
    して、偏角計測用の検出器を構成するとともに、偏角計
    測用の光源から発せられる拡散光の発散角を拡大するよ
    うにレンズを配置して構成した発散角拡大手段を設け、
    各位置検出素子での検出結果に基づいて各光源の光軸同
    士の偏角を演算により算出できるようにしたことを特徴
    とする光学式偏角測定装置。
  2. 【請求項2】 発散角拡大手段をレンズを配置して構成
    する場合、2枚のレンズを所定間隔を置いて設置し、偏
    角計測用の光源に近い側のレンズの焦点位置に偏角計測
    用の光源を配置するとともに、その偏角計測用の光源に
    近い側のレンズを、光源との間の距離を調節できるよう
    に移動可能に設置して構成したことを特徴とする請求項
    1記載の光学式偏角測定装置。
  3. 【請求項3】 偏角計測用の光源と偏角計測用の検出器
    とからなり発散角拡大手段を設けた請求項1記載の光学
    式偏角測定装置を使用することにより、曲線経路を掘進
    して地下坑を掘削する地中掘進機の掘進位置を計測する
    地中掘進機の位置計測装置であって、計測の始点となる
    位置に設定した始点計測点、地中掘進機の掘進位置の指
    標となる位置に設定した終点計測点及び始点計測点と終
    点計測点の間に設定した少なくとも一つの中間計測点の
    各計測点のうち、中間計測点に偏角計測用の検出器を設
    置し、中間計測点に隣接する両側の各計測点に偏角計測
    用の光源を設置し、始点計測点に向けて拡散光を発する
    始点計測点用光源を始点計測点に隣接する中間計測点に
    設置し、少なくとも始点計測点用光源からの拡散光を集
    光する集光手段及びこの集光手段で集光した光を受光し
    てその受光位置を検出する位置検出素子を有しその検出
    結果に基づいて始点計測点用光源の方向を検出する始点
    計測点用検出器を始点計測点に設置して構成するととも
    に、偏角計測用の光源及び始点計測点用光源中の少なく
    とも一つの光源から発せられる拡散光の発散角を拡大す
    るように発散角拡大手段を設け、偏角計測用の検出器及
    び始点計測点用検出器での検出結果に基づいてそれぞれ
    得られる偏角及び光源の方向に関するデータと隣接計測
    点間の各距離に関するデータとに基づいて、始点計測点
    に対する終点計測点の相対位置を演算手段で演算して計
    測するようにしたこと特徴とする地中掘進機の位置計測
    装置。
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