JP2000297303A - 導電性粉末の粉砕方法およびこれを用いた導電性塗料 - Google Patents

導電性粉末の粉砕方法およびこれを用いた導電性塗料

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JP2000297303A
JP2000297303A JP10296399A JP10296399A JP2000297303A JP 2000297303 A JP2000297303 A JP 2000297303A JP 10296399 A JP10296399 A JP 10296399A JP 10296399 A JP10296399 A JP 10296399A JP 2000297303 A JP2000297303 A JP 2000297303A
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powder
conductive
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electrical conductive
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Tsutomu Sasaki
努 佐々木
Shinya Watanabe
伸也 渡辺
Tetsuya Tomita
哲弥 冨田
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、分散性に優れた導電性粉末な
らびにその粉砕方法を提供し、また、セラミック電子部
品の電極として用いた場合に優れた表面粗さ、優れた電
気特性、高い信頼性を発揮できる導電性粉末、その粉砕
方法、ならびにこの導電性粉末を用いた導電性塗料を提
供することにある。 【解決手段】本発明の導電性粉末の粉砕方法は、一次粒
子の平均粒径が1.0μm以下の金属粒子の凝集体から
なる導電性粉末を準備する工程と、前記導電性粉末を一
次粒子または一次粒子近傍の凝集体にまで粉砕する工程
と、前記粉砕処理した導電性粉末を回収する工程と、を
備えることを特徴とする。また、前記導電性粉末の粉砕
方法は、前記粉砕した導電性粉末の一次粒子または一次
粒子近傍の凝集体表面に存在する微少な突起部分を粒子
内部に押し丸め込む工程を備えることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性塗料として
用いられる導電性粉末の製造方法に関するもので、この
ような導電性塗料は極めて小さなセラミック電子部品、
特に、積層セラミックコンデンサの内部電極として用い
られる。
【0002】
【従来の技術】従来よりセラミック電子部品の電極とし
て導電性塗料が用いられる。このような導電性塗料は、
例えば導電性粉末、溶剤、ビヒクルから構成される。導
電性粉末は、例えば粒径が十数nmないし数μmのA
g,Cu,Ni,Pd等からなる。
【0003】このような導電性塗料は、まず、導電性粉
末と溶剤とビヒクルをニーダーやミキサー等により混錬
し、3本ロール、メディアを利用したボールミル、サン
ドミル等によって導電性粉末を分散して得られる。導電
性塗料は、その塗料中に導電性粉末が十分に分散して、
塗布焼付けして得られる電極の表面が平滑で、かつ電極
内に含まれる金属のパッキング性が高いことが要求され
る。導電性粉末の塗料中における分散が不十分である
と、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極として
用いた場合に、静電容量の低下やバラツキ、等価直列抵
抗の増加等の不具合が生じる。
【0004】導電性粉末の塗料中における分散が不十分
となる原因として、導電性粉末が凝集構造をとることが
挙げられ、導電性粉末が微粉であるほどその傾向は顕著
になる。そのため、粒径の細かい導電性粉末を用いて導
電性塗料を作製する場合には、導電性粉末の凝集構造を
粉砕した後にビヒクル中に分散させる必要がある。
【0005】また、近年における電子部品の軽薄短小化
に伴い、導電性塗料の塗布厚2μm前後を達成するため
には、一次粒子の平均粒径が1μm以下の導電性粉末を
提供する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術によれば、導電性粉末の一次粒子の平均粒径が
1μm以下である場合、あるいは導電性粉末の凝集が強
固である場合に凝集構造を十分に粉砕できず、導電性粉
末の塗料中における分散が不十分となる問題点がある。
【0007】また、ボールミルやサンドミルによって導
電性粉末を粉砕処理を行うと、導電性粉末として用いる
金属には延性があるため、メディアの衝突により導電性
粉末が偏平して鱗片状になる。このような鱗片状の導電
性粉末からなる導電性塗料をセラミック電子部品の内部
電極の形成に用いた場合、鱗片状の導電性粉末の長径が
内部電極の膜厚を超え、電極表面の平滑性の低下、積層
された内部電極間の電気的短絡等の原因となり、セラミ
ック電子部品の信頼性に悪影響を与える問題点がある。
【0008】また、一般に湿式還元法により合成した導
電性粉末の表面は金平糖状に多数の突出部分を有する。
このような突出部分を有する導電性粉末はタップ密度が
低いため、導電性塗料としてセラミック電子部品の内部
電極の形成に用いた場合、塗膜中における導電性粉末の
パッキング性ならびに電極表面の平滑性が低下するとい
う問題点がある。
【0009】本発明の目的は、上述の問題点を解消すべ
くなされたもので、分散性に優れた導電性粉末ならびに
その粉砕方法を提供し、また、セラミック電子部品の電
極として用いた場合に優れた表面粗さ、優れた電気特
性、高い信頼性を発揮できる導電性粉末、その粉砕方
法、ならびにこの導電性粉末を用いた導電性塗料を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の導電性粉末の粉砕方法においては、一次粒
子の平均粒径が1.0μm以下の金属粒子の凝集体を含
有する導電性粉末を準備する工程と、前記導電性粉末を
一次粒子または一次粒子近傍の凝集体にまで粉砕する工
程と、前記粉砕処理した導電性粉末を回収する工程と、
を備えることを特徴とする。また、前記導電性粉末の粉
砕方法は、前記粉砕した導電性粉末の一次粒子または一
次粒子近傍の凝集体表面に存在する微少な突起部分を粒
子内部に押し丸め込む工程を備えることが好ましい。
【0011】また、前記導電性粉末の粉砕方法は、導電
性粉末を略球状で回収することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明による一つの実施形態につ
いて、図1および図2に基づいて説明する。粉砕処理前
の導電性粉末は、図1(a)に示すように一次粒子1a
が多数結合した凝集体1を多く含む。このような粉砕前
の導電性粉末を粉砕装置に投入して粉砕処理を行うと、
凝集体1は複数のより小さな凝集体2へと分解され、や
がて多数の一次粒子3aあるいは一次粒子近傍の凝集体
3b,3c,3dへと粉砕される。
【0013】本発明の導電性粉末を構成する一次粒子3
aは、図2(a)に示すように、平均粒径L1が1.0
μm以下の一次粒子をいう。また、本発明の導電性粉末
を構成する一次粒子近傍の凝集体3b,3c,3dと
は、図2(b)(c)(d)に示すように、2ないし4
個の一次粒子3aからなり、かつ凝集体3b,3c,3
dの長径L2、L3、L4が一次粒子3aの平均粒径L
1の2倍を超えない凝集体をいう。すなわち、一次粒子
近傍の凝集体3bは、2個の一次粒子3aからなり、そ
の長径L2は一次粒子3aの平均粒径L1の2倍を超え
ない凝集体をいう。同様に、一次粒子近傍の凝集体3c
は、3個の一次粒子3aからなり、その長径L3は一次
粒子3aの平均粒径L1の2倍を超えない凝集体をい
う。同様に、一次粒子近傍の凝集体3cは、4個の一次
粒子3aからなり、その長径L4は一次粒子3aの平均
粒径L1の2倍を超えない凝集体をいう。したがって、
本発明の粉砕方法によって得られる導電性粉末の粒径は
2.0μm未満の範囲内である。
【0014】本発明の導電性粉末の粉砕処理に際して
は、旋回気流方式のジェットミルを用いた。これを図3
に基づいて説明する。ジェットミル11は、図3(a)
および(b)に示すように主に粉体供給ノズル12と、
装置本体13と、ガス噴出ノズル14と、からなる。装
置本体13は、粉砕室15と、ケーシング16と、分級
板17と、分級室18と、粗粉戻り口19と、微粉排気
口20と、からなる。
【0015】粉体供給ノズル12は、粉砕前の導電性粉
末を装置本体13へ供給する管で、一端部は装置本体1
3の外周壁に接続されている。
【0016】装置本体13は、略半球体の容器からな
り、外周壁には粉体供給ノズル12の一端部、ならびに
複数のガス噴出ノズル14の一端部がそれぞれ接続され
ている。
【0017】ガス噴出ノズル14は、装置本体13の内
部に高圧ガスを供給する複数の管で、それぞれのノズル
の一端部は装置本体13の外周壁に接続され、他端部は
高圧ガス供給設備(図示せず)に接続されている。ガス
噴出ノズル14は、このガス噴出ノズル14から供給さ
れる高圧ガスによって装置本体13内の粉砕室15およ
び分級室18に旋回気流が発生するよう、全て旋回気流
と同一旋回方向に向けて螺旋状に接続されている。
【0018】粉砕室15は、装置本体13内部に位置
し、分級板17を中心として粉体供給ノズル12および
ガス噴出ノズル14によって囲まれる領域を指す。
【0019】ケーシング16は、装置本体13内部にあ
って粉体供給ノズル12、ガス噴出ノズル14、粉砕室
15の上部に位置し、中央部に穴部を備えたドーナツ形
状をなしている。ケーシング16穴部の半径は粉砕室1
5の半径よりも短く、粉砕室15と分級室18を仕切る
仕切り板の役割を果たす。
【0020】分級板17は、装置本体13内部にあって
粉砕室15の軸心上に位置し、円柱の上方部に膨らみを
備えた構造をなし、分級室18と微粉排気口20を仕切
る。
【0021】分級室18は、装置本体13内部にあっ
て、ケーシング16上部に位置し、装置本体13外壁、
ケーシング16、分級板17によって囲まれる領域を指
す。
【0022】粗粉戻り口19は、装置本体13内部にあ
って、ガス噴出ノズル14が装置本体13外周壁に接続
される部分に位置し、各々のガス噴出ノズル14に設け
られた開口部である。
【0023】微粉排気口20は、装置本体13内部にあ
って分級板17の上部に位置し、筒状構造をなしてお
り、一端部は分級室18より連なる。
【0024】次に、導電性粉末の粉砕方法について図3
(a)ないし図3(c)に基づいて説明する。まず、装
置本体13の外周壁に取り付けられた複数のガス噴出ノ
ズル14から同時に高圧ガスG1が供給され、粉砕室1
5において一定方向の旋回気流G2が生じる。
【0025】次に、粉体供給ノズル12に投入された粉
砕処理前の導電性粉末は、粉体供給ノズル12内を流れ
る粉体供給用ガスG3によって粉砕室15へと送り込ま
れ、導電性粉末は粉砕室15の旋回気流G2中に供給さ
れる。そして、この旋回気流G2が生み出す遠心力によ
って導電性粉末は互いに衝突し、あるいは粉砕室15の
内壁に衝突して凝集構造の粉砕が行われる。
【0026】次に、十分に粉砕されて微粒化した導電性
粉末は、凝集体に比べて質量が低下するために旋回気流
が生み出す遠心力の影響力が低下し、徐々に粉砕室15
の軸心付近に集まりながらケーシング16の上方まで上
昇し、やがて粉砕室15の軸心上に設けられた分級板1
7によって分級室18へ流入される。
【0027】次に、分級室18に流入した導電性粉末は
質量の違いにより粗粉と微粉に分別される。すなわち、
粗粉は分級室18からケーシング16の外側を通過する
気流G4に沿って粗粉戻り口19に達し、ガス噴出ノズ
ル14内に流入され、ガス噴出ノズル内を流れる高圧ガ
スG1によって粉砕室15に戻され再び旋回気流G2中
に供給される。微粉はさらに上昇する気流G5に沿って
微粉排気口20に送られ、G6方向に回収される。
【0028】なお、一般に導電性粉末を旋回気流方式の
ジェットミルで粉砕を行う場合、高圧ガスの圧力、導電
性粉末の投入量、粉砕回数等の条件は、投入する導電性
粉末の物性、粉砕後の導電性粉末に求められる特性、す
なわち求める導電性塗料の特性に応じて制御される。
【0029】例えば、本発明の粉砕処理において、ガス
噴出ノズル14から供給する高圧ガスのガス圧が高いほ
ど導電性粉末の凝集構造を粉砕する効果が大きくなる。
しかしながら、一定圧を超えて過剰に高めすぎると、導
電性粉末同士が再び造粒して凝集体を形成し、粒度分布
および塗膜表面粗さが低下する。
【0030】また、粉末供給速度を高めると、粉砕室内
部の導電性粉末濃度が高まり、導電性粉末同士の衝突確
率が高くなるため、凝集構造を粉砕する効果は大きくな
る。しかしながら、粉末供給速度を高めすぎると、ジェ
ットミルの粉砕室内における粉末濃度が高くなりすぎ
て、十分に粉砕あるいは分級されないうちに粉末が微粉
排気口から排出され、このような導電性粉末は、粒度分
布やタップ密度が劣り、このような導電性粉末からなる
導電性塗料を印刷して形成した塗膜の表面粗さ、作製さ
れた積層セラミックコンデンサの静電容量のバラツキも
同様に劣る。
【0031】本発明の導電性粉末の処理方法において、
上述の諸条件を制御することで、2.0μm以下の範囲
内の一次粒子または一次粒子近傍の凝集体からなる導電
性粉末を得ることができる。
【0032】本発明の導電性粉末の粉砕処理によれば、
導電性粉末の一次粒子3aないし一次粒子近傍の凝集体
3b,3c,3dの表面に存在する突出部分が効率的に
減少する。これを、図4および図5に基づいて説明す
る。
【0033】粉砕処理前の導電性粉末は図1に示すよう
に多数の凝集体1からなり、この凝集体1は図4に示す
ように突出部分1bを有する一次粒子1aが多数凝集し
て構成されている。突出部分1bは主に粒子と同組成あ
るいはその酸化物からなるが、本発明で粉砕処理を施す
導電性粉末は一次粒子1aの平均粒径が1.0μm以下
と極小であるため、突出部分1bは粒子と同組成であり
金属的な延性がある。
【0034】このような導電性粉末を本発明の粉砕方法
に用いると、導電性粉末に含まれる凝集体1は図5に示
すように装置本体13内部の粉砕室15内を流れる旋回
気流G2中に供給され、粉末同士の衝突あるいは装置本
体13の内壁に衝突する磨砕的な衝撃力によって粉砕処
理が行われる。同時に、衝突により導電性粉末3の表面
に存在する突出部分1bは粒子内部に押し丸め込まれ
て、図2(a)ないし(d)に示すような略球状の一次
粒子3aおよび一次粒子近傍の凝集体3b,3c,3d
が得られる。
【0035】本発明の導電性塗料は、導電性粉末、溶
剤、ビヒクルから構成される。導電性粉末は本発明の粉
砕方法により粉砕処理を実施した金属粉末からなる。溶
剤は特に限定しないが、例えば従来から導電性塗料に用
いられているカルビトールやターピネオール等を適宜使
用できる。ビヒクルは特に限定しないが、例えば従来か
導電性塗料に用いられているメチルセルロース、エチル
セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、
アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂等
を適宜使用できる。
【0036】
【実施例】まず、導電性粉末として湿式還元法により合
成した一次粒子の平均粒径が0.6μmのニッケル金属
粉末を準備し、これを比較例の導電性粉末とした。
【0037】次に、前述のニッケル金属粉末を、粉末供
給速度は10kg/h、圧搾空気圧は6kg/cm2
条件で、旋回気流方式のジェットミルを用いて粉砕処理
を1,2,3,5,10回実施したものを、それぞれ実
施例1ないし5の導電性粉末とした。なお、ジェットミ
ルは粉砕室の内径が100mmのものを使用した。
【0038】次に、前述のニッケル金属粉末を、粉末供
給速度は10kg/h、圧搾空気圧はそれぞれ2kg/
cm2、7kg/cm2の条件で旋回気流方式のジェット
ミルを用いて粉砕処理を2回実施したものを、それぞれ
実施例6、7の導電性粉末とした。
【0039】次に、前述のニッケル金属粉末を、圧搾空
気圧は6kg/cm2、粉末供給速度はそれぞれ3kg
/h、13kg/hの条件で旋回気流方式のジェットミ
ルを用いて粉砕処理を2回実施したものを、それぞれ実
施例8、9の導電性粉末とした。そこで、実施例1ない
し9および比較例の導電性粉末について粒度分布
(D50,D90)とタップ密度を測定し、これを表1にま
とめた。
【0040】次に、実施例1ないし9および比較例の導
電性粉末50重量部に対し、アルファターピネオール3
6重量部とエチルセルロース4重量部をあらかじめ混合
した有機ビヒクル40重量部と、アルファターピネオー
ル10重量部を添加し、ミキサーにて混練した後に3本
ロールを用いて分散し、それぞれ実施例1ないし9およ
び比較例の導電性塗料を得た。そこで、実施例1ないし
9および比較例の導電性塗料をガラス板上に印刷して塗
膜を形成し、それぞれの塗膜表面粗さを接触式表面粗さ
計にて測定し、これを表1にまとめた。
【0041】次に、実施例1ないし9および比較例の導
電性塗料を用いて、静電容量が1μFとなる積層セラミ
ックコンデンサを作製した。すなわち、まずJIS−B
特性の耐還元性セラミックグリーンシートを準備し、所
定枚数のセラミックグリーンシート上に前記導電性ペー
ストを印刷して塗布厚2.0μmとなる内部電極を形成
し、内部電極を形成していないセラミックグリーンシー
トとともに70層積み重ねてプレス機にて圧着し、ダイ
サーにて3.2mm×1.6mmのサイズにカットし
て、それぞれ実施例1ないし9および比較例のセラミッ
ク積層体を得た。次に、セラミック積層体を窒素雰囲気
中で脱バインダ処理を行い、弱還元性雰囲気中で焼成し
てセラミック焼成体を形成し、このセラミック焼成体の
長さ方向の両端部に銀を主成分とする導電性ペーストを
焼付けて外部電極を形成し、それぞれ実施例1ないし9
および比較例の積層セラミックコンデンサを得た。そこ
で、実施例1ないし9および比較例の積層セラミックコ
ンデンサの静電容量バラツキを測定し、これを表1にま
とめた。
【0042】
【表1】
【0043】表1から明らかなように、実施例1ないし
9は比較例と比べて、導電性粉末の粒度分布(D50,D
90)およびタップ密度、導電性塗料を印刷して形成した
塗膜の表面粗さ、ならびに作製した積層セラミックコン
デンサの静電容量バラツキ、何れについても優れる結果
となった。
【0044】また、粉砕回数を1、2、3回とした実施
例1,2,3は粉砕回数が多いほど、粒度分布、タップ
密度、塗膜表面粗さ、静電容量バラツキが優れる結果と
なった。これに対して、粉砕回数を5、10回とした実
施例4,5は、粒度分布、タップ密度、塗膜表面粗さ、
静電容量バラツキが、実施例1,2,3と比較して何れ
も劣る結果となった。したがって、本発明の導電性粉末
の粉砕処理において、粉砕回数は1ないし3回が好まし
い。
【0045】また、圧搾空気圧はそれぞれ6Kg/cm
2、2kg/cm2の条件で粉砕処理を実施した実施例
2、6を比較すると、粒度分布、タップ密度、塗膜表面
粗さ、静電容量バラツキ、何れについても圧搾空気圧を
6kg/cm2とした実施例2が優れる結果となった。
しかしながら、圧搾空気圧を更に高くして7kg/cm
2の条件で粉砕処理を実施した実施例7は、実施例2と
比較して粒度分布とタップ密度は略同等であり、塗膜表
面粗さと静電容量バラツキについては劣る結果となっ
た。したがって、本発明の導電性粉末の粉砕処理におい
て、圧搾空気圧は6kg/cm2以下であることが好ま
しい。
【0046】このように、圧搾空気圧の違いに基づく導
電性粉末の粉砕状態の違いは、電子顕微鏡写真からも明
らかである。すなわち、比較例,実施例2,6,7の導
電性粉末の電子顕微鏡写真を、それぞれ図6〜図9に示
す。
【0047】図6(a)に示した比較例の導電性粉末
は、一次粒子の表面に多数の突出部分を有している。こ
れに対して、図7(a)に示した実施例2の導電性粉末
は、粉砕処理により前述の突出部分が減少して略球状に
変化していことがわかる。
【0048】また、図8(a)に示した実施例6の導電
性粉末は、粉砕処理を実施しているため、図6(a)の
比較例に比べて凝集構造が解砕されているが、図7
(a)に示した実施例2と比較して圧搾空気圧が2kg
/cm2と低いため、一次粒子表面の突出部分があまり
減少していない。
【0049】また、図9(a)に示した実施例7の導電
性粉末は、図7(a)に示した実施例2よりも高い圧搾
空気圧7kg/cm2で粉砕処理を実施しているため、
一次粒子表面の突出部分がさらに減少して略球状に変化
している。しかしながら、一度粉砕された一次粒子が再
び造粒して凝集体を形成していることがわかる。
【0050】また、図7(b)、図8(b)、図9
(b)に示すように、実施例2,6,7の導電性粉末を
顕微鏡にて全体的に観察したところ、一次粒子または一
次粒子近傍の凝集体以外に突出部分の除去粉が存在しな
い。したがって、減少した突出部分は粒子の衝突によっ
て折離除去されたのではなく粒子の内部に押し丸め込ま
れたことがわかる。すなわち、突出部分がNi酸化物で
はなく粒子と同一組成のNi金属であるため、金属的な
延性が作用して粒子の衝突により除去されることなく略
球状となった。
【0051】次に、粉末供給速度を10kg/h、3k
g/hの条件で粉砕処理を実施した実施例2,8を比較
すると、粒度分布、タップ密度、塗膜表面粗さ、静電容
量バラツキ、何れについても粉末供給速度を10kg/
hとした実施例2が優れる結果となった。しかしなが
ら、粉末供給速度を更に上げて13kg/hの条件で粉
砕処理を実施した実施例9は、実施例2と比較して粒度
分布、タップ密度、塗膜表面粗さ、静電容量バラツキ、
何れについても逆に劣る結果となった。したがって、本
発明の導電性粉末の粉砕処理において、粉末供給速度
は、10kg/h以下であることが好ましい。
【0052】なお、本発明の粉砕方法に用いられる導電
性粉末は特に限定しないが、例えば導電性塗料に一般的
に使用されるAg,Cu,Ni,Pd、またはこれら1
種以上を含む合金からなる金属粉末を用いることができ
る。
【0053】また、導電性粉末同士の再造粒を防止する
手段として、例えば飽和脂肪酸等の分散助剤やその他の
再凝集抑制剤を準備し、粉砕前の導電性粉末に混合した
後に粉砕処理を実施してもよい。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による導電性
粉末の粉砕方法によれば、一次粒子の平均粒径が1.0
μm以下の金属粒子の凝集体からなる導電性粉末を準備
する工程と、前記導電性粉末を一次粒子または一次粒子
近傍の凝集体にまで粉砕する工程と、前記粉砕処理した
導電性粉末を回収する工程と、を備えることで、導電性
塗料に用いた場合に優れた分散性を、またセラミック電
子部品の電極として用いた場合に優れた表面粗さ、電気
特性、信頼性を発揮し得る導電性粉末が得られる。
【0055】また、前記導電性粉末の粉砕方法は、前記
粉砕した導電性粉末の一次粒子または一次粒子近傍の凝
集体表面に存在する微少な突起部分を粒子内部に押し丸
め込む工程を備え、導電性粉末を略球状で回収すること
で、粒度分布およびタップ密度が向上し、導電性塗料と
してセラミック電子部品の内部電極の形成に用いた場合
に、塗膜中における導電性粉末のパッキング性ならびに
電極表面の平滑性が安定する導電性粉末が得られる。
【0056】また、前記導電性粉末の粉砕方法は、導電
性粉末を略球状で回収することを特徴とすることで、粒
度分布およびタップ密度がさらに向上する導電性粉末が
得られる。
【0057】また、前記導電性粉末は、Ag,Cu,N
i,Pdから選ばれる1種以上からなることを特徴とす
ることで、セラミック電子部品の電極形成用導電性塗料
に好適な導電性粉末が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一つの実施形態の導電性粉末の粉
砕過程において、(a)は粉砕処理前、(b)は粉砕処
理中、(c)は粉砕処理後の導電性粉末を示した説明図
である。
【図2】本発明に係る一つの実施形態の導電性粉末につ
いて(a)は、導電性粉末の一次粒子の説明図であり、
(b)(c)(d)は、導電性粉末の一次粒子近傍の凝
集体の形態を示した説明図である。
【図3】本発明に係る一つの実施形態の粉砕装置におい
て、(a)は(b)のS2線に沿う断面図、(b)は
(a)のS1線に沿う断面図、(c)は高圧ガスと粉体
の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の粉砕処理を実施する前の導電性粉末の
一次粒子の断面図である。
【図5】本発明に係る一つの実施形態の粉砕装置の断面
図であって、粉砕室内における導電性粉末の流れを示す
説明図である。
【図6】比較例の導電性粉末の顕微鏡写真であり、
(a)は1次粒子1個の拡大写真であり、(b)は1次
粒子近傍の凝集体を含む全体写真である。
【図7】実施例2の導電性粉末の顕微鏡写真であり、
(a)は1次粒子1個の拡大写真であり、(b)は1次
粒子近傍の凝集体を含む全体写真である。
【図8】実施例6の導電性粉末の顕微鏡写真であり、
(a)は1次粒子1個の拡大写真であり、(b)は1次
粒子近傍の凝集体を含む全体写真である。
【図9】実施例7の導電性粉末の顕微鏡写真であり、
(a)は1次粒子1個の拡大写真であり、(b)は1次
粒子近傍の凝集体を含む全体写真である。
【符号の説明】
1 凝集体(粉砕前) 1a 一次粒子(粉砕前) 3a 一次粒子(粉砕後) 3b 一次粒子近傍の凝集体 3c 一次粒子近傍の凝集体 3d 一次粒子近傍の凝集体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K017 AA03 BA02 BA03 BA05 CA01 DA01 EA02 EA03 5G301 DA03 DA06 DA10 DA11 DD02 DE01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次粒子の平均粒径が1.0μm以下の
    金属粒子の凝集体を含有する導電性粉末を準備する工程
    と、 前記導電性粉末を一次粒子または一次粒子近傍の凝集体
    にまで粉砕する工程と、 前記粉砕処理した導電性粉末を回収する工程と、を備え
    ることを特徴とする導電性粉末の粉砕方法。
  2. 【請求項2】 前記導電性粉末の粉砕方法は、前記粉砕
    した導電性粉末の一次粒子または一次粒子近傍の凝集体
    表面に存在する微少な突起部分を粒子内部に押し丸め込
    む工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の導電
    性粉末の粉砕方法。
  3. 【請求項3】 前記導電性粉末の粉砕方法は、導電性粉
    末を略球状で回収することを特徴とする請求項1または
    2に記載の導電性粉末の粉砕方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3の何れかに記載の粉砕
    方法によって得られる導電性粉末。
  5. 【請求項5】 前記導電性粉末は、Ag,Cu,Ni,
    Pdから選ばれる1種以上からなることを特徴とする請
    求項4に記載の導電性粉末。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の導電性微粉と
    溶剤とバインダからなることを特徴とする導電性塗料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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