JP2000297243A - 熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物及びそれを使用した熱硬化性粉体塗料組成物 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物及びそれを使用した熱硬化性粉体塗料組成物

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JP2000297243A JP2000023002A JP2000023002A JP2000297243A JP 2000297243 A JP2000297243 A JP 2000297243A JP 2000023002 A JP2000023002 A JP 2000023002A JP 2000023002 A JP2000023002 A JP 2000023002A JP 2000297243 A JP2000297243 A JP 2000297243A
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Takahisa Miyawaki
孝久 宮脇
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性、外観特性、物理特性、化学特性
を有した、熱硬化性粉体塗料組成物及びそれに用いる熱
硬化性粉体塗料用樹脂組成物を提供する。特に、自動車
等の車輌の車体、及び、自動車等の車輌の部品の塗装−
特に、上塗り塗装−に好適に適用される、熱硬化性粉体
塗料組成物を提供する。 【解決手段】 樹脂組成物成分(A)は、ビニル系重
合体G(枝)ブロック(成分(a−1))を、ビニル系
重合体S(幹)ブロック(成分(a−2))にグラフト
化反応させて得られる(ブロック)共重合体であって、
成分(a−1)と成分(a−2)の溶解性パラメーター
を、それぞれ、SPGとSPSとしたときに、 SPGとS
Sが下記数式(I)[数1]で表される、熱硬化性粉
体塗料用樹脂組成物。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化性粉体塗料
用樹脂組成物及びそれを用いた熱硬化性粉体塗料組成物
に関し、さらに詳細には、本発明は、優れた貯蔵安定性
(ブロッキング性等)、外観特性(ハジキ、平滑性、鮮
映性等)、物理特性(硬度、耐擦傷性等)、化学特性
(耐候性、耐酸性、耐溶剤性等)を有し、特に車両塗装
用途に好適な焼付塗膜を与えることのできる熱硬化性粉
体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、物の塗装は溶剤型の塗料が使用さ
れ、自動車用などの厳しい品質を要求される分野に使用
するために、種々の要求が満足された塗料が開発され、
使用されてきた。
【0003】近年、塗料の技術分野において、ローカル
又はグローバルな環境保全(VOC(ボラタイル・オー
ガニック・コンパウンド)規制)、労働安全衛生環境改
善、火災や爆発の予防、省資源等、の観点から、溶剤型
塗料にかわって、粉体型塗料(以下、「粉体塗料」とい
う。)への変更が期待されてきた。
【0004】そして、歴史的又は社会的要請により、粉
体塗料の高機能化・多様化への期待が大きくなるに従
い、粉体塗料にも、溶剤型塗料に匹敵する高度な塗膜性
能(例えば、耐候性、耐酸性雨性、耐擦傷性等)が要求
されるようになってきた。しかし、粉体塗料に要求され
る塗膜性能が厳しくなってきたにもかかわらず、必ずし
も、このような要求を完全に満足する粉体塗料が上市さ
れてきたとはいえない。従来型の粉体塗料の具体例とし
ては、例えば、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂粉体
塗料が挙げられる。しかし、これらは耐候性に問題があ
るばかりでなく、最近特に問題となってきた酸性雨に対
する耐性にも問題があり、自動車車体塗装等の分野にお
いては、問題があった。
【0005】その欠点を改良すべく、US395489
8(特公昭48−38617号公報)により、アクリル
系粉体塗料が提案され、顕著な耐候性の改善が実現し
た。その後、アクリル系粉体塗料に関して多くの研究が
なされている。しかしながら、これらアクリル系粉体塗
料は、外観特性、物理特性、化学特性、貯蔵安定性、特
に平滑性とブロッキング性を同時に十分満足するもので
はなかった。 平滑性を向上させるためには、溶融粘度
を低下させることが最も効果的である。しかし、溶融粘
度を低下させるためには、ガラス転移温度を低下させな
ければならず、この方法では、平滑性とブロッキング性
の両性能を満足することは不可能であった。
【0006】そこで、高溶融粘度、高ガラス転移温度熱
硬化性樹脂と溶解度パラメータの異なる低溶融粘度、低
ガラス転移温度熱硬化性樹脂を混合した樹脂組成物によ
り、平滑性を向上させる樹脂組成物(特開平8−209
034号公報等)が提案されている。しかしながら、こ
の樹脂組成物は、溶解度パラメーターの異なる樹脂を物
理的に混合しているため、分散不良、貯蔵中における局
在化現象による外観特性(ハジキ、平滑性)、貯蔵安定
性(ブロッキング性)の低下等、その効力が十分に発揮
されるものではなかった。
【0007】通常アクリル系粉体塗料においては、平滑
性向上及びハジキ(クレタリング、フィッシアイ)防止
を目的として流動調整剤が使用されている。流動調整剤
により、外観特性、物理的特性、化学特性を改良する塗
料又は樹脂組成物(特開昭57−49672号公報、U
SP5523349、5648117(特開平7−17
9789号公報)等)が提案されている。しかしなが
ら、これらの組成物も流動調整剤を溶融混練法等により
物理的に混合しているにすぎず、分散不良、貯蔵中にお
ける局在化現象による外観特性(ハジキ、平滑性)、貯
蔵安定性(ブロッキング性)の低下等、その効力が十分
に発揮されるものではなかった。
【0008】また、反応性の流動調整剤として、アミノ
基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等反応性官能
基をその分子内に含有し、塗膜形成時に主剤成分、また
は硬化剤成分と反応させて塗膜物性を向上させる組成物
(USP5212245(特開平8−325480号公
報),WO97−30131(特表平11−50615
6号公報)等)が提案されている。しかし、この反応は
あくまでも塗膜形成時の反応であって、塗料組成物中に
おいては、ほとんど又は全く反応しておらず、反応によ
る流動調整剤の分散性向上は考慮していない。したがっ
て、これら流動調整剤も従来型の流動調整剤と同様、分
散不良または、貯蔵中における局在化現象による外観特
性(ハジキ、平滑性)、貯蔵安定性(ブロッキング性)
の低下等、その効力が十分に発揮されるものではなかっ
た。
【0009】また、S(幹)ブロックへのG(枝)ブロ
ックのグラフト化反応技術として、シリコン成分をG
(枝)ブロックとして、S(幹)ブロックであるアクリ
ル系ビニル共重合体成分へグラフト化反応させることに
より、外観特性(平滑性)を向上させる粉体塗料(特表
平9−505847号公報等)が提案されている。この
技術は、G(幹)ブロックがシリコン成分であり、G
(枝)ブロックが、ビニル系重合体、特にアクリル系ビ
ニル重合体が好ましい本願とは明らかに異なる。 また、
この粉体塗料は、シリコン成分が塗膜表層の臨界表面張
力を低下させすぎてしまうため、リコート性に問題があ
った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑み、貯蔵安定性、外観特性、物理特性、
化学特性を有した、熱硬化性粉体塗料組成物(例えば、
アクリル系熱硬化性粉体塗料組成物)を提供する。特
に、自動車等の車輌の車体、及び、自動車等の車輌の部
品(アルミホイール、ワイパー、ピラー、ドアハンド
ル、フェンダー、ボンネット、エアスポイラー、スタビ
ライザー、フロントグリル等)の塗装−特に、上塗り塗
装−に好適に適用される、熱硬化性粉体塗料組成物(例
えば、アクリル系熱硬化性粉体塗料組成物)を提供す
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、成
分(a−1)を、成分(a−2)にグラフト化反応する
ことにより、成分(a−1)の分散性を著しく向上さ
せ、さらに貯蔵中における局在化現象を防止することに
成功し、優れた貯蔵安定性、外観特性、物理特性、化学
特性を有した熱硬化性粉体塗料組成物(例えば、アクリ
ル系熱硬化性粉体塗料組成物)を提供するこができる知
見を見い出し、また、それに用いる熱硬化性粉体塗料用
樹脂組成物を見出し、 本発明を完成するに至った。
【0012】本発明は、以下の[1]〜[21]に記載
した事項により特定される。
【0013】[1]樹脂組成物成分(A)は、ビニル系
重合体G(枝)ブロック(成分(a−1))を、ビニル
系重合体S(幹)ブロック(成分(a−2))にグラフ
ト化反応させて得られる(ブロック)共重合体であっ
て、成分(a−1)と成分(a−2)の溶解性パラメー
ターを、それぞれ、SPGとSPSとしたときに、 SPG
とSPSが下記数式(I)[数3]で表される、熱硬化
性粉体塗料用樹脂組成物。
【0014】
【数3】 [2]前記成分(a−1)と前記成分(a−2)の重量
を、それぞれ、MGとMSとしたときに、 MGとMSが下
記数式(II)[数4]で表される、上記[1]に記載
した、 熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
【0015】
【数4】 [3]成分(a−1)の「ビニル系重合体」、及び/又
は、成分(a−2)の「ビニル系重合体」が、(メタ)
アクリル系ビニル重合体を含んで構成されるものであ
る、上記[1]または[2]の何れか1項に記載した熱
硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
【0016】[4]成分(a−1)の「ビニル系重合
体」、及び/又は、成分(a−2)の「ビニル系重合
体」が、(メタ)アクリル系ビニル重合体のみで構成さ
れるものである、上記[1]乃至[3]の何れか1項に
記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
【0017】[5]前記成分(a−1)が、10.0以
下の溶解性パラメーターを有するビニル系重合体であ
る、上記[1]乃至[4]の何れか1項に記載した熱硬
化性粉体塗料用樹脂組成物。
【0018】[6]前記成分(a−1)が、(a−1−
1)1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和
二重結合を有するビニル系重合体、及び/又は(a−1
−2)1分子中に少なくとも1個の前記成分(a−2)
と反応性を有する非ラジカル重合性の官能基を有するビ
ニル系重合体を含むものである、上記[1]乃至[5]
の何れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成
物。
【0019】[7]成分(a−1−2)の「非ラジカル
重合性の官能基」が、カルボキシル基、 酸無水物基、及
び、アミノ基からなる群から選択された少なくとも一種
である、上記[1]乃至[6]の何れか1項に記載した
熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
【0020】[8]前記成分(a−2)は、(a−2−
1)1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和
二重結合を有し、 ラジカル重合性不飽和二重結合以外の
反応性官能基を有さない少なくとも一種の単量体、及
び、(a−2−2)1分子中に少なくとも1個のラジカ
ル重合性不飽和二重結合と少なくとも1個の非ラジカル
重合性の官能基を併せ持った少なくとも一種の単量体を
含むものである、上記[1]乃至[7]の何れか1項に
記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
【0021】[9]成分(a−2−2)の「非ラジカル
重合性の官能基」が、グリシジル基である、上記[1]
乃至[8]の何れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料用
樹脂組成物。
【0022】[10]成分(a−2−1)と成分(a−
2−2)の合計重量100重量部に対して、 成分(a−
2−2)が20〜60重量部である、上記[1]乃至
[9]の何れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂
組成物。
【0023】[11]成分(a−2)が、30℃〜12
0℃のガラス転移温度を有するものである、上記[1]
乃至[10]の何れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料
用樹脂組成物。
【0024】[12]樹脂組成物成分(A)と硬化剤組
成物成分(B)を含有する熱硬化性粉体塗料組成物であ
って、前記成分(A)は、上記[1]乃至[10]の何
れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物であ
る、熱硬化性粉体塗料組成物。
【0025】[13]前記成分(B)が、(b−1)多
価カルボン酸、及び/又は、(b−2)多価カルボン酸
無水物を含んでなる硬化剤である、上記[12]に記載
した、熱硬化性粉体塗料組成物。
【0026】[14]成分(b−1)を構成する多価カ
ルボン酸が、脂肪族多価カルボン酸である、上記[1
2]または[13]の何れか1項に記載した、熱硬化性
粉体塗料組成物。
【0027】[15]成分(b−2)を構成する多価カ
ルボン酸無水物が、脂肪族多価カルボン酸無水物であ
る、上記[12]乃至[14]の何れか1項に記載し
た、熱硬化性粉体塗料組成物。
【0028】[16]樹脂組成物成分(A)と硬化剤組
成物成分(B)を含有する熱硬化性粉体塗料組成物であ
って、前記成分(A)は、10.0以下の溶解性パラメ
ーターを有するビニル系重合体(成分(a−1))を、
前記成分(a−1)の溶解性パラメーターを超える数値
の溶解性パラメーターを有するビニル系重合体(成分
(a−2))にグラフト化反応させて得られるビニル系
重合体であり、前記成分(a−1)と前記成分(a−
2)の重量組成比が、前記成分(a−2)100重量部
を基準として、前記成分(a−1)が0.01〜10重
量部であり、前記成分(a−1)は、(a−1−1)1
分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結
合を有するビニル系重合体、及び/又は(a−1−2)
1分子中に少なくとも1個の前記(a−2)と反応性を
有する非ラジカル重合性の官能基を有するビニル系重合
体を含むものであり、前記成分(a−2)は、(a−2
−1) 1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不
飽和二重結合を有し、ラジカル重合性不飽和二重結合以
外の反応性官能基を有さない少なくとも1種の単量体、
及び、(a−2−2) 1分子中に少なくとも1個のラ
ジカル重合性不飽和二重結合と少なくとも1個の前記成
分(B)と反応性を有する非ラジカル重合性の官能基を
併せ持った少なくとも1種の単量体を含むものであり、
前記成分(B)は、(b−1) 多価カルボン酸、及び
/又は、(b−2) 多価カルボン酸無水物を含んでな
る硬化剤である、熱硬化性粉体塗料組成物。
【0029】[17]樹脂組成物成分(A)と硬化剤組
成物成分(B)を含有する熱硬化性粉体塗料組成物であ
って、前記成分(A)は、SブロックとGブロックとを
含んで構成されるブロック共重合体であり、Sブロック
とGブロックの溶解性パラメーターを、それぞれ、SP
SとSPGとしたときに、SPSとSPGが、それぞれ、下
記数式(III)[数5]と、前記数式(I)で表さ
れ、SブロックとGブロックの重量を、それぞれ、MS
とMGとしたときに、MSとMGの関係が、前記数式(I
I)で表され、Sブロックが、前記成分(B)と反応性
を有する官能基を有するものであり、前記成分(B)
は、(b−1) 多価カルボン酸、及び/又は、(b−
2) 多価カルボン酸無水物を含んでなる硬化剤であ
る、熱硬化性粉体塗料組成物。
【0030】
【数5】 [18]ブロック共重合体が、Sブロックが幹であり、
Gブロックが枝であるグラフト共重合体である、上記
[17]に記載した熱硬化性粉体塗料組成物。
【0031】[19]Sブロック及び/又はGブロック
が、ビニル系重合体である、上記[17]又は[18]
に記載した熱硬化性粉体塗料組成物。
【0032】[20]Sブロック及び/又はGブロック
が、(メタ)アクリル系ビニル重合体である、上記[1
7]又は[18]に記載した熱硬化性粉体塗料組成物。
【0033】[21]樹脂組成物成分(A)と硬化剤組
成物成分(B)を含有する熱硬化性粉体塗料組成物であ
って、前記成分(A)は、SブロックとGブロックとを
含んで構成されるブロック共重合体であり、Sブロック
とGブロックの溶解性パラメーターを、それぞれ、SP
SとSPGとしたときに、SPSとSPGが、それぞれ、下
記数式(IV)[数6]と、下記数式(V)[数7]で表
され、SブロックとGブロックの重量を、それぞれ、M
SとMGとしたときに、MSとMGの関係が、前記数式(I
I)で表され、Sブロックが、前記成分(B)と反応性
を有する官能基を有するものであり、前記成分(B)
は、(b−1) 多価カルボン酸、及び/又は、(b−
2) 多価カルボン酸無水物を含んでなる硬化剤であ
る、熱硬化性粉体塗料組成物。
【0034】
【数6】
【0035】
【数7】
【0036】
【発明の実施の形態】[樹脂組成物成分(A)] [成分(a−1)で使用するビニル系重合体] [成分(a−1−1)で使用するビニル系重合体]成分
(a−1)において、(a−1−1)は、1分子中に少
なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有し、
溶解性パラメーターが10.0以下であるビニル系重合
体であれば特に制限はされない。
【0037】好ましくは、末端に重合性二重結合を有す
るマクロマーを使用することができる。より好ましく
は、末端に重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系
マクロマーを使用することができる。
【0038】(a−1−1)は、成分(a−2)にグラ
フト化反応されることにより、その優れた効力を発揮す
る。グラフト化反応の方法は、特に制限されるものでは
ない。
【0039】[マクロマー]マクロマーとは、末端に重
合性反応基を有する分子量数百〜数万のポリマーであ
る。マクロマーという言葉は、もともとPPG社により
登録された商標であったが、今では普通名詞となってい
る。末端は重合可能な官能基であり、典型的なものはビ
ニル基である。マクロマーを用いることにより構造の明
確なグラフト共重合体を容易に得ることができる。「高
分子大辞典」高分子学会編集、朝倉書店発行等に記載さ
れている。
【0040】[グラフト化反応]グラフト化反応とは、
幹ポリマーに、幹とは異なる化学構造を有する枝ポリマ
ーを結合させ、グラフト共重合体をつくる反応をいう。
「高分子大辞典」高分子学会編集、朝倉書店発行等に記
載されている。
【0041】[(a−1−1)の使用量](a−1−
1)の使用量は、後述する成分(a−2)100重量部
に対して、0.01〜10重量部であり、好ましくは
0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部
である。0.01未満では、表面張力を低下させる効果
が十分に発揮されず耐ハジキ性、外観特性が損なわれて
しまう。さらに、塗膜を疎水性にする効果も損なわれ、
耐酸性雨性を低下させてしまい、その効果を十分に発揮
することができない。また、10重量部を越えてしまう
と塗膜表面の架橋密度の低下により物理特性、化学特性
等が低下してしまう。
【0042】[(a−1)の溶解性パラメーター]溶解
性パラメーターは、10.0以下であり、好ましくは
9.5以下である。さらに好ましくは9.0以下であ
る。10.0を超えると、表面張力を低下させる効果が
十分に発揮されず耐ハジキ性、外観特性が損なわれてし
まう。さらに、塗膜を疎水性にする効果も損なわれ、耐
酸性雨性を低下させてしまい、その効果を十分に発揮す
ることができない。
【0043】溶解性パラメーターは、10.0〜7.0
であり、好ましくは9.5〜7.0である。さらに好ま
しくは9.0〜7.0である。10.0を超えると、表
面張力を低下させる効果が十分に発揮されず耐ハジキ
性、外観特性が損なわれてしまう。さらに、塗膜を疎水
性にする効果も損なわれ、耐酸性雨性を低下させてしま
い、その効果を十分に発揮することができない。
【0044】末端に重合性二重結合を有する(メタ)ア
クリル系マクロマーの溶解性パラメーターは、一般的に
は、7.0〜14.0の範囲である。
【0045】[溶解性パラメーター計算方法]本発明に
おいて、溶解性パラメーターはFedorsの方法によ
り決定される。該方法は「Polymer Engin
nering and Science,14巻、2月
号、147〜154貢、1974年」に記載されてい
る。 [(a−1−1)の数平均分子量]数平均分子量は、1
000〜20000が好ましく、さらに好しくは300
0〜10000である。分子量は、1000以下では物
理特性、化学特性等が低下してしまい、また、2000
0以上でも外観特性が損なわれてしまい、その効果が十
分に発揮されない。
【0046】本発明において、数平均分子量はゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポ
リスチレンを標準として評価することができる。
【0047】[(a−1−1)のラジカル重合性不飽和
二重結合数]ラジカル重合性不飽和二重結合は1個以上
であり、成分(a−2)とグラフトすることにより、そ
の優れた効力を発現する。しかし、多すぎるとゲル化等
の弊害を生じるので、適時、適切な個数を選択すること
が望ましい。
【0048】[(a−1−1)代表例](a−1−1)
は、1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和
二重結合を有し、溶解性パラメーターが10.0以下で
あれば特に限定されるものでない。代表例としては、ア
クリル系マクロマー AB−6,AW−6S(東亜合成
製)等をあげることができる。
【0049】[成分(a−1−2)で使用するビニル系
重合体]成分(a−1)において、(a−1−2)は、
1分子中に少なくとも1個の、非ラジカル重合性で(a
−2)と反応性を有する官能基を有し、溶解性パラメー
ターが10.0以下であるビニル系重合体であれば特に
制限はされない。
【0050】(a−1−2)は、成分(a−2)にグラ
フト化反応されることにより、その優れた効力を発揮す
る。グラフト化反応の方法は、特に制限されるものでは
ない。
【0051】[(a−1−2)の使用量](a−1−
2)の使用量は0.01〜10重量部であり、好ましく
は0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量
部である。0.01未満では、表面張力を低下させる効
果が十分に発揮されず耐ハジキ性、外観特性が損なわれ
てしまう。さらに、塗膜を疎水性にする効果も損なわ
れ、耐酸性雨性を低下させてしまい、その効果を十分に
発揮することができない。また、10重量部を越えてし
まうと塗膜表面の架橋密度の低下により物理特性、化学
特性等が低下してしまう。
【0052】[(a−1−2)の数平均分子量]数平均
分子量は、1000〜20000が好ましく、さらに好
しくは3000〜10000である。分子量は、100
0未満では物理特性、化学特性等が低下してしまい、そ
の効果が十分に発揮されない。また、20000を超え
ると、外観特性が損なわれてしまう。
【0053】[(a−1−2)の非ラジカル重合性官能
基数]非ラジカル重合性官能基は1個以上であり、成分
(a−2)とグラフト化反応することにより、その優れ
た効力を発現する。しかし、多すぎるとゲル化等の弊害
を生じるので、適時、適切な個数を選択することが望ま
しい。
【0054】[(a−1−2)の代表例](a−1−
2)は、1分子中に少なくとも1個の非ラジカル重合性
で成分(a−2)と反応性を有する官能基を有し、溶解
性パラメーターが10.0以下であれば特に限定される
ものでないが、好ましくは(メタ)アクリル系ポリマー
を使用することができる。(a−1−2)を構成する単
量体としては、炭素原子数が1〜14のアルキル基又は
シクロヘキシル基を有するアクリル酸エステル又はメタ
クリル酸エステル単量体、例えば、メチル−、エチル
−、n−プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、
イソブチル−、n−アミル−、イソアミル−、n−ヘキ
シル−、シクロヘキシル−、2−エチルヘキシル−、オ
クチル−、2−エチルオクチル−、デシル−、ドデシル
−、シクロヘキシル−等のアクリル酸エステル又はメタ
クリル酸エステルを含むアクリル酸誘導体又はメタクリ
ル酸誘導体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン等の芳香族ビニル類、マレイン酸やイタコン酸等
のジカルボン酸のエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、ふっ化ビニル、モノクロロトリフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン、クロロプレン等のハロゲ
ン化エチレン系不飽和単量体類、アクリロニトリルやメ
タアクリロニトリル等のニトリル類、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロ
ピレン、イソプレン、ブタジエン、炭素原子数4乃至2
0のα−オレフィン等のα−オレフィン類、ラウリルビ
ニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、ビニルピ
ロリドン、4−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル類、
ビニルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等の
アミド類、ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルメタアクリレート等の水酸基含有ビニ
ル単量体類、グリシジルメタクリレ−ト、グリシジルア
クリレ−ト、β−メチルグリシジルメタクリレ−ト、β
−メチルグリシジルアクリレ−ト、アクリルグリシジル
エ−テル等のグリシジル基含有ビニル単量体類、アクリ
ル酸、メタクリル酸等のカルボキシルキ含有ビニル単量
体類、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル
酸ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有ビニル単量体
類等のエチレン系不飽和単量体を挙げることができ、こ
れら2種以上を混合・組合せて使用することができる。
【0055】[誘導体]本出願において用いる「誘導
体」なる語の概念には、特定の化合物の水素原子が、他
の原子あるいは原子団Rによって置換されたものを包含
する。ここでRは、少なくとも1個の炭素原子を含む1
価の炭化水素基であり、より具体的には、脂肪族、実質
的に芳香族度の低い脂環族、これらを組み合わせた基、
又はこれらが窒素、硫黄、けい素、燐などで結合される
ような2価の残基であってもよく、これらのうち特に、
狭義の脂肪族系の構造のものが好ましい。Rは、上記の
ものに、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリ
ル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリル
オキシル基、ハロゲン(F、Cl、Br等)基等が置換
した基であってもよい。これらの置換基を適宜選択する
ことにより、本発明に係る粉体塗料組成物により形成さ
れる塗膜の諸特性を制御することができる。
【0056】[(a−2)で使用するビニル系重合体] [(a−2−1)を構成する単量体]ビニル系重合体
(a−2)において、(a−2−1)を構成する単量体
は、1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和
二重結合を有し、ラジカル重合性不飽和二重結合以外の
反応性官能基を有さない少なくとも1種の単量体であれ
ば特に制限されない。
【0057】成分(a−2−1)を構成するビニル単量
体の具体例としては、炭素原子数が1〜14のアルキル
基又はシクロヘキシル基を有するアクリル酸エステル又
はメタクリル酸エステル単量体、例えば、メチル−、エ
チル−、n−プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル
−、イソブチル−、n−アミル−、イソアミル−、n−
ヘキシル−、シクロヘキシル−、2−エチルヘキシル
−、オクチル−、2−エチルオクチル−、デシル−、ド
デシル−、シクロヘキシル−等のアクリル酸エステル又
はメタクリル酸エステルを含むアクリル酸誘導体又はメ
タクリル酸誘導体等を挙げることができ、これらを単独
で又は2種以上を混合・組合せて使用することができ
る。
【0058】成分(a−2−1)を構成するビニル単量
体の他の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル類、マレイン酸や
イタコン酸等のジカルボン酸のエステル類、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、ふっ化ビニル、モノクロロトリフ
ルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロプレ
ン等のハロゲン化エチレン系不飽和単量体類、アクリロ
ニトリルやメタアクリロニトリル等のニトリル類、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エ
チレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、炭素原
子数4乃至20のα−オレフィン等のα−オレフィン
類、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテ
ル類、ビニルピロリドン、4−ビニルピロリドン等の含
窒素ビニル類等他のエチレン系不飽和単量体を挙げるこ
とができ、これらを単独で又は2種以上を混合・組合せ
て使用することができる。
【0059】成分(a−2−1)は、得られる塗膜の耐
候性の向上、基剤への密着性、硬さに寄与すると考えら
れる。
【0060】また、一般的には、成分(a−2−1)に
おいて、スチレン等の芳香族ビニル類やブタジエン等の
共役ジエン類を多用(例えば、(a−2)の全量に対し
て、40重量%以上使用)した場合も、得られる塗膜の
耐候性が低下する傾向がみられる場合があり、このよう
な場合は好ましくない。成分(a−2−1)において、
アクリロニトリル等のニトリル類を多用した場合は、塗
膜の着色が大きくなる傾向が見られる場合があり、外観
上好ましくない。
【0061】[(a−2−2)を構成する単量体]ビニ
ル系重合体(a−2)において、(a−2−2)を構成
する単量体は、1分子中に少なくとも1個のラジカル重
合性不飽和二重結合と少なくとも1個の非ラジカル重合
性の反応性官能基を併せ持った少なくとも1種の単量体
であれば特に制限されない。
【0062】「非ラジカル重合性の反応性官能基」とし
ては、グリシジル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基等
であり、特に限定されるものでないが、好ましくはグリ
シジル基を上げることができる。
【0063】少なくとも1つのグリシジル基及び少なく
とも1つの不飽和二重結合を分子内に有するエチレン性
不飽和単量体の具体例としては、例えば、グリシジルメ
タクリレ−ト、グリシジルアクリレ−ト、β−メチルグ
リシジルメタクリレ−ト、β−メチルグリシジルアクリ
レ−ト、アクリルグリシジルエ−テル等が挙げられ、こ
れらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用する
ことができる。
【0064】[(a−2−2)の使用量](a−2−
2)の使用量は、(a−2−1)と(a−2−2)の合
計量に対し、20〜60重量%であり、好ましくは30
〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%であ
る。20重量%未満では耐擦傷性、耐酸性雨性等が劣っ
てしまう。また、60%を超えると、十分な溶融時間を
得ることができず外観特性が損なわれてしまう。
【0065】[ガラス転移温度]粉体塗料組成物の貯蔵
安定性、粉体塗料焼付時に塗料組成物流動性低下に起因
する塗膜平滑性等を考慮して、成分(a−2)のガラス
転移温度は30〜120℃であり、好ましくは40〜1
10℃、さらに好ましくは50〜100℃である。ガラ
ス転移温度が30℃未満では、貯蔵安定性が低下してし
まう。また、120℃を超えると、好ましい溶融粘度が
得られず外観特性が低下してしまう。
【0066】[ガラス転移温度]特定の単量体組成を有
する重合体のガラス転移温度は、フォックス(Fox)
の式より計算により求めることができる。ここで、フォ
ックスの式とは、共重合体を形成する個々の単量体につ
いて、その単量体の単独重合体のガラス転移温度に基づ
いて、共重合体のガラス転移温度を算出するためのもの
であり、その詳細は、ブルテン・オブ・ザ・アメリカン
・フィジカル・ソサエティー,シリーズ2(Bulle
tin of the American Physi
cal Society,Series 2)1巻、3
号、123〜頁(1956年)に記載されている。フォ
ックスの式による共重合体のガラス転移温度を評価する
ための基礎となる各種エチレン性不飽和単量体について
のガラス転移温度は、例えば、新高分子文庫・第7巻・
塗料用合成樹脂入門(北岡協三著、高分子刊行会、京
都、1974年)168〜169頁の表10−2(塗料
用アクリル樹脂の主な原料単量体)に記載されている数
値を採用することができる。
【0067】[(a−2)の溶解性パラメーター](a
−2)の溶解性パラメーターは、(a−1)の溶解性パ
ラメーターより高くなければならない。(a−1)より
低い場合には、(a−1)の効果を阻害してしまい外観
特性、物理特性、化学特性が低下してしまう。
【0068】(a−2)の溶解性パラメーターは、一般
的には、14.0以下である。
【0069】[(a−2)の数平均分子量](a−2)
の数平均分子量は、約1,000〜約20,000の範
囲が好ましく、約2,000〜約10,000の範囲が
より好ましい。数平均分子量が約1,000未満では、
貯蔵安定性、物理特性、化学特性が低下してしまう。ま
た、20000を超えると、好ましい溶融粘度が得られ
ず外観特性が低下してしまう。
【0070】また、ビニル系共重合体(a−2)の分子
量を調整する方法としては、ドデシルメルカプタンなど
のメルカプタン類、ジベンゾイルスルフィドなどのジス
ルフィド類、チオグリコール酸2−エチルヘキシルなど
のチオグリコール酸の炭素原子数1〜18のアルキルエ
ステル類、四臭化尿素などのハロゲン化炭化水素類の連
鎖移動剤、イソプロピルアルコール、イソプロピルベン
ゼン、トルエン等の連鎖移動効果の大なる有機溶剤の存
在下に重合する等の手段を用いることができる。
【0071】[(a−2)の合成法](a−2)の合成
法は、実質的に所望の特性を有するものが得られるので
あれば、特に限定されないが、溶液重合法が好適に用い
られる。
【0072】[(a−1)のグラフト化反応方法] [(a−1−1)のグラフト化反応方法](a−1−
1)をグラフト化反応させる方法は、特に制限されるも
のでないが、具体的な方法として、アクリル及び/メタ
クリル系共重合体に関して、次のような方法が採用でき
る。
【0073】通常の溶液重合において、 アクリル系及び/又はメタクリル系単量体、重合開
始剤溶液中に(a−1−1)を溶解した溶液を、所定の
温度にて有機溶剤溶液中に滴下してグラフト化反応させ
る。 あらかじめ有機溶剤溶液中に(a−1−1)を溶解
しておき、所定の温度にてアクリル系及び/又はメタク
リル系単量体及び重合開始剤溶液を滴下してグラフト化
反応させる。
【0074】[(a−1−2)のグラフト化反応方法に
ついて](a−1−2)をグラフト化反応させる方法
は、特に制限されるものでないが、具体的な方法とし
て、アクリル及び/メタクリル系共重合体に関して、上
記(a−1−1)のグラフト化反応方法、以外にも
次のような方法が採用できる。 (a−1−2)と(a−2)を有機溶剤中で均一混
合し、所定の温度にて保持することによりグラフト化反
応させる。 上記方法、、にて使用される有機溶剤は、特に限
定されるものでないが、キシレン、トルエン等を使用す
ることが好ましい。
【0075】[硬化剤成分(B)]本発明において、硬
化剤成分(B)は、多価カルボン酸系硬化剤を含んでな
る。
【0076】本発明の熱硬化性粉体塗料に使用する硬化
剤(B)としては、多価カルボン酸及び/又は多価カル
ボン酸無水物からなる群から選択された少なくとも1種
類の化合物である。この化合物は本発明の粉体塗料用樹
脂組成物の分子内に存在するエポキシ基(グリシジル
基)と反応する硬化剤成分である。
【0077】多価カルボン酸系化合物としては、脂肪
族、芳香族、脂環族の何れの化合物も使用できる。芳香
族多価カルボン酸の具体例としては、例えば、イソフタ
ル酸、トリメリット酸等が挙げられ、これらは単独で又
は組み合わせて使用する事ができる。脂環式多価カルボ
ン酸の具体例としては、例えば、ヘキサヒドロフタル
酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられ、これらは単独
で又は組み合わせて使用する事ができる。また、カルボ
キシル基を有するポリエステル樹脂等も使用できる。
【0078】但し、本発明においては、脂肪族多価カル
ボン酸系化合物を用いることが、平滑性、耐候性等の塗
膜特性の点で好ましい。
【0079】本出願の明細書において用いる「脂肪族」
なる語の概念には、狭義の脂肪族のみならず、実質的に
芳香族度が低い脂環族をも包含する。すなわち、この
「脂肪」化合物なる語の概念には、少なくとも1個の炭
素原子を含む2価の炭化水素基を分子内に有する、実質
的に芳香族度の低い化合物からなる群をも包含し、具体
的には、狭義の脂肪族基のみならず、実質的に芳香族度
の低い脂環族基、これらを組み合わせた基、又はこれら
が水酸基、窒素、硫黄、けい素、りんなどで結合される
ような2価の残基を分子内に有する化合物からなる群を
も包含し、さらに具体的には、上記のものに例えば、ア
ルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アルコキシル
基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ハロゲ
ン(F,Cl,Br等)基等が置換した基を分子内に有
する化合物からなる群をも包含する。これらの置換基を
適宜選択することにより、本発明に係る共重合体の諸特
性(耐熱性、強靭性、分解性、強度特性等)を制御する
ことができる。本出願の明細書において用いる「脂肪
族」化合物なる語の概念には、一種類の化合物のみなら
ず、二種類以上の組合せによるものをも包含する。
【0080】以下、この脂肪族多価カルボン酸系化合物
の例について説明する。
【0081】[脂肪族多価カルボン酸系硬化剤成分(b
−1)]脂肪族多価カルボン酸は、実質的に、分子内に
カルボキシル基を、少なくとも2個有する脂肪族化合物
であれば、特に制限されず、1種類又は2種類以上を用
いることができる。
【0082】脂肪族多価カルボン酸(b−1)の具体例
としては、脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族
ジカルボン酸の具体例としては、例えば、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、クエン酸、ブラシル酸、ウンデ
カン2酸、ドデカン2酸、エイコサン2酸、オクタデカ
ン2酸等が挙げられ、これらの中では、ドデカン2酸が
好ましく、これらは単独で又は組み合わせて使用する事
ができる。
【0083】平滑性、耐衝撃性、耐候性等の塗膜特性に
関して、脂環式多価カルボン酸については、芳香族度が
高くなるに従い、塗膜特性が劣化する。
【0084】[脂肪族多価カルボン酸無水物(b−
2)]本発明において多価カルボン酸無水物(b−2)
は、実質的に、分子内にカルボキシル基を有するか又は
有しない、線状の2量体以上のオリゴ又はポリの脂肪族
の酸無水物であって、分子内に実質的に存在するカルボ
キシル基及び/又は酸無水物基を、少なくとも2個有す
る化合物であれば、特に制限されず、1種類または2種
類以上を用いることができる。
【0085】脂肪族多価カルボン酸無水物(b−2)と
して使用することができる、1種類の脂肪族多価カルボ
ン酸を脱水縮合して得られる線状重縮合物のある種のも
のは、以下の一般式(1)[化1]で表すことができ
る。
【0086】
【化1】 ここで、mは、1以上、nは2以上の、それぞれ、自然
数であり、好ましくはmは30以下である。
【0087】脂肪族多価カルボン酸(b−1)の脱水縮
合物が挙げられ、これらの中では、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、エイコサン2酸及びドデカン2酸
等の脱水縮合物が挙げられ、ドデカン2酸の脱水線状縮
合物が、さらに好ましい。代表例としては、Addit
ol XVL1381(ビアノバレジン製)等がある。
【0088】脂肪族多価カルボン酸酸無水物(b−2)
は、融点が40〜150℃の範囲にあるように調製する
ことが好ましい。
【0089】[多価カルボン酸系硬化剤(B)の使用
量]共重合体(a−2)中のグリシジル基1当量に対
し、多価カルボン酸(B)中のカルボキシル基は、0.
3〜1.2当量が望ましく、0.5〜1.1当量が好ま
しく、0.7〜1.0当量がより好ましい。カルボキシ
ル基等量が0.3未満では、耐擦傷性、耐酸性等が低下
し、1.2を超えると平滑性、鮮映性等外観特性が低下
してしまう。
【0090】[添加剤]本発明の方法では、通常、塗料
に添加される種々の添加剤が添加される。
【0091】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物には、目
的に応じ、適宜、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リアミドなどを包含する合成樹脂組成物、繊維素又は繊
維素誘導体などを包含する天然樹脂又は半合成樹脂組成
物を配合して塗膜外観又は塗膜物性を向上させることも
できる。
【0092】本発明の熱硬化性粉体塗料には、目的に応
じ、適宜、硬化触媒、顔料、流動調整剤、チクソ剤(チ
クソトロピー調整剤)、帯電調整剤、表面調整剤、光沢
付与剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、
ワキ防止剤、酸化防止剤等の添加剤を配合してもよい。
またクリアコートとして使用する場合に少量の顔料を配
合し、完全に隠ぺい性の発現しない程度に着色していて
もよい。
【0093】[粉体塗料組成物の混練について](A)
及び(B)を含む組成物を機械的に混練する際の被混練
物の温度は、実質的に均一な粉体塗料組成物を調製でき
れば特に制限されない。溶融混練装置としては、通常、
加熱ロール機、加熱ニーダー機、押出機(エクストルー
ダー)等を使用する。
【0094】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を配合す
る方法の具体例としては、ロール機、ニーダー機、ミキ
サー(バンバリー型、トランスファー型等)、カレンダ
ー設備、押出機(エクストルーダー)等の混練機や捏和
機を、適宜、組み合わせ、各工程の条件(温度、溶融若
しくは非溶融、回転数、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気
等)を、適宜、設定して、充分に均一に混合し、その
後、粉砕装置により、均一な微細粉末状態の粉体塗料組
成物を得る方法を採用することができるが、これらに限
定されるものではない。
【0095】[粉体塗料組成物の粉砕について]混練に
より得られた塊状塗料は、冷却の後、平均粒径10〜9
0μm程度となるように粉砕される。使用される粉砕器
としては、ハンマーミル等が挙げられる。
【0096】[塗装方法及び焼付方法]粉砕により得ら
れた粉体塗料は、静電塗装法、流動浸漬法等の塗装方法
によって、熱硬化性粉体塗料組成物の粉末を、塗装対象
物に付着せしめ、加熱して熱硬化させ塗膜を形成させ
る。本発明の熱硬化性粉体塗料組成物の焼き付けは、通
常、約100℃〜約180℃、より好ましくは、約12
0℃〜約160℃の温度において、通常、約10分間〜
約60分間、行うことにより、樹脂組成物(A)と硬化
剤(B)との架橋反応を行うことができる。焼き付け
後、室温までに冷却後、優れた特性を有する塗膜を得る
ことができる。
【0097】また、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を
上塗り塗料として用いる場合、その下塗り塗料として、
従来の溶剤型塗料のみならず、水性塗料を用いた場合に
おいても、焼き付け後の塗膜は溶剤型塗料を用いた場合
と同様に、本発明の塗料は優れた特性を有する。
【0098】即ち、水性下塗り塗料(顔料入り及び/又
は金属粉入りを含む)を塗装し、所定の時間乾燥させた
後、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を上記の方法によ
って下塗り塗料の上に付着せしめ、加熱して熱硬化させ
塗膜を形成させる。
【0099】本発明に係る熱硬化性粉体塗料組成物の塗
装方法は、自動車の車体又は自動車部品(アルミホイー
ル、ワイパー、センターピラー等)へも用いられる。
【0100】本発明に係る熱硬化性粉体塗料組成物を、
適当な又は公知・公用の塗装方法により形成した塗膜
は、優れた貯蔵安定性(耐ブロッキング性等)、外観特
性(ハジキ、平滑性、鮮映性等)、物理特性(硬度、耐
擦傷性等)、化学特性(耐候性、耐酸性、耐溶剤性等)
に関し、優れた性能を有する。
【0101】
【実施例】本出願の明細書において、製造例、実施例及
び態様は、本出願に係る発明の内容の理解を支援するた
めのものであって、その記載によって、本発明がなんら
限定される性質のものではない。
【0102】説明中「部」及び「%」は、特に説明のな
い限り、重量による値である。
【0103】[塗装板の調製]ポリエステル−メラミン
架橋の黒色塗料を、りん酸亜鉛処理を施した0.8mm
厚のボンデライト鋼板に、20μm厚で塗装し、その
後、170℃、30分間焼付けをして、下地処理鋼板を
調製した。
【0104】[性能評価]性能評価は次のようにして行
なった。
【0105】 粉体塗料のブロッキング性試験< 粉体塗料6.0gを内径20mmの円筒形容器に入れ、
30℃で7日間貯蔵後粉体を取り出し粉体塗料のブロッ
キング状態を目視及び指触で観察し、◎〜×で評価し
た。 ◎ 全く異常がない。 ○ やや劣る。 × 劣る。
【0106】 目視外観(平滑性、鮮映性) 塗膜外観を目視判定して、◎〜×で評価した。 ◎ 特に優れている。 ○ 良好。 × 劣る。
【0107】 光沢 光沢計での測定(60゜グロス)値で示した。
【0108】 耐ハジキ性 塗膜のハジキの有無を目視判定し、○、×で評価した。 ○ ハジキ有り × ハジキ無し 塗膜硬度試験 鉛筆引っ掻き試験(日本工業規格 JIS K5400
6.14に準ずる。)により評価した。表示は鉛筆硬
度記号で示した。
【0109】 耐擦傷性 塗膜表面を3%の研磨剤懸濁液を用いてブラシで摩擦す
る擦傷試験を行ない、摩擦の前後で光沢の(20°グロ
ス)評価を行ない、光沢保持率を算出した。
【0110】光沢保持率を◎、○、×で評価した。 ◎ 60%以上 ○ 40%以上60%未満< × 40%未満 耐酸性試験 10容積%の硫酸を塗膜表面に滴下し、室温にて1日放
置した。その後、硫酸滴を拭き取り、外観を観察して、
◎、○、×で評価した。 ◎ 痕跡なし ○ 極若干の痕跡 × 痕跡あり 耐溶剤性 キシロールを含浸させたガーゼで塗膜表面を往復50回
擦った後、その塗膜を観察して、◎、○、×で評価し
た。 ◎ 痕跡がない。 ○ 極若干の痕跡 × 痕跡がある。
【0111】 耐候性試験 QUVテスターによる2000時間の促進テストを行
い、促進テスト前後の塗膜の光沢度を測定し、光沢残存
率(%)を求めた。光沢残存率は数式(VI)[数8]に
より計算した。
【0112】
【数8】 [ビニル系重合体(a−1−2)製造例1,2]撹拌
機、温度計、還流コンデンサ−及び窒素導入管を備えた
4ッ口フラスコにキシレン66.7部を仕込み、還流温
度まで昇温した。ここに表1に示す単量体(部)に重合
開始剤としてN,N’−アゾビスイソブチロニトリル
1.0部を溶解し、その混合溶液を5時間に渡り滴下し
て、さらに、その後は100℃で5時間保持した。得ら
れた重合溶液の溶剤を除去することによりビニル系共重
合体(製造例1、2)を得た。表1に、得られた共重合
体の特性値も併せて記載した。
【0113】[ビニル系重合体(a−1−2)比較製造
例]表2に示す単量体組成を、上記(a−1−2)製造
例と同様の方法にてビニル系共重合体(比較製造例1、
2、3)を得た。表2に、得られた共重合体の特性値も
併せて記載した。
【0114】[ビニル系重合体(A)製造例1,2]撹
拌機、温度計、還流コンデンサ−及び窒素導入管を備え
た4ッ口フラスコにキシレン66.7部を仕込み、還流
温度まで昇温した。ここに表3に示す単量体(部)及び
(a−1−1)(部)に重合開始剤としてN,N’−ア
ゾビスイソブチロニトリル3.5部を溶解し、その混合
溶液を5時間に渡り滴下して、さらに、その後は100
℃で5時間保持した。得られた重合溶液の溶剤を除去す
ることによりビニル系共重合体(製造例1、2)を得
た。表3に、得られた共重合体の特性値も併せて記載し
た。
【0115】[ビニル系重合体(A)製造例3,4,
5,6,7,8]撹拌機、温度計、還流コンデンサ−及
び窒素導入管を備えた4ッ口フラスコにキシレン66.
7部を仕込み、還流温度まで昇温した。ここに表3に示
す単量体(部)に重合開始剤としてN,N’−アゾビス
イソブチロニトリル3.5重量部を溶解し、その混合溶
液を5時間に渡り滴下して、さらに、その後は100℃
で5時間保持した。得られた重合溶液に表3に示した
(a−1−2)を添加して、溶剤を除去することにより
ビニル系共重合体(製造例3,4,5,6,7,8,)
を得た。表3に、得られた共重合体の特性値も併せて記
載した。 [ビニル系重合体(A)比較製造例1] 撹拌機、温度計、還流コンデンサ−及び窒素導入管を備
えた4ッ口フラスコにキシレン66.7部を仕込み、還
流温度まで昇温した。ここに表4に示す単量体(部)及
びAA−6(部)※4に重合開始剤としてN,N’−ア
ゾビスイソブチロニトリル3.5部を溶解し、その混合
溶液を5時間に渡り滴下して、さらに、その後は100
℃で5時間保持した。得られた重合溶液の溶剤を除去す
ることによりビニル系共重合体(比較製造例1)を得
た。表4に、得られた共重合体の特性値も併せて記載し
た。
【0116】[ビニル系重合体(A)比較製造例2,
3,4,5,6,7,8,9]撹拌機、温度計、還流コ
ンデンサ−及び窒素導入管を備えた4ッ口フラスコにキ
シレン66.7部を仕込み、還流温度まで昇温した。こ
こに表4に示す単量体(部)に重合開始剤としてN,
N’−アゾビスイソブチロニトリル3.5部を溶解し、
その混合溶液を5時間に渡り滴下して、さらに、その後
は100℃で5時間保持した。得られた重合溶液に表4
に示した(a−1−2)製造例1、又は、(a−1−
2)比較製造例1,2,3を添加して、溶剤を除去する
ことによりビニル系共重合体(比較製造例2,3,4,
5,6,7,8,9)を得た。表4に、得られた共重合
体の特性値も併せて記載した。
【0117】[実施例1,2,3,4,5,6,7,
8]アクリル系共重合体(A)(製造例1,2,3,
4,5,6,7,8)と(B)を表5に示す割合(部)
で配合し、(A)、(B)合計100重量部に対して、
チヌビン144(チバガイギー社製、光安定化剤)、ベ
ンゾイン(ワキ防止剤)を各1部ずつ、チヌビン900
(チバガイギー社製、紫外線吸収剤)を2部添加し、上
記混合物を加熱ロールにて90℃の条件下溶融混練して
冷却後、粉砕機にて微粉砕し、150メッシュの篩を通
過した区分を集め粉体塗料を得た。得られた粉体塗料を
下地処理鋼板上に静電スプレーにて60〜70μmの膜
厚になるように塗装後、150℃で30分間加熱しテス
ト板を得た。
【0118】[実施例9]製造例1で製造したアクリル
系共重合体(A)を72.0部、多価カルボン酸系硬化
剤(B)として市販の脂肪族ポリ酸無水物硬化剤である
AdditolVXL1381(ヘキスト社製)を2
8.0部、硬化触媒としてオクタン酸錫(ネオスタンU
−28、日東化成(株)製)を0.2部使用した以外
は、実施例1と全く同様な方法によりテスト板を得た。
【0119】[比較例1〜6,9,10]アクリル系共
重合体((A)比較製造例1〜9)と(B)を表6に示
す割合(部)で配合した以外は、実施例1と全く同様な
方法によりテスト板を得た。
【0120】[比較例7,8](A)比較製造例7で製
造したアクリル系共重合体を79.3部、ドデカン2酸
を20.7部、(a−1−2)比較製造例3又は(a−
1−2)製造例2を1.0部使用した以外は、実施例1
と全く同様な方法によりテスト板を得た。
【0121】[実施例、比較例評価結果]実施例1〜9
で形成した粉体塗料及び塗膜の評価を行った結果を表7
に示す。また、これに関連する比較例1〜10で形成し
た粉体塗料及び塗膜の評価を行った結果を表8に示す。
表7に示した実施例1〜8の粉体塗料組成物は本発明の
数値範囲内であり、これらの結果は、本発明が優れた貯
蔵安定性(耐ブロッキング性等)、外観特性(ハジキ、
平滑性、鮮映性等)、物理特性(硬度、耐擦傷性等)、
化学特性(耐候性、耐酸性、耐溶剤性等)を有した塗膜
を与えることのできる熱硬化性粉体塗料組成物であるこ
とを示している。
【0122】比較例1,2,3は(a−1)の溶解性パ
ラメーターが10より大きい場合であり、耐ハジキ性、
耐酸性等が劣った。
【0123】比較例4,5は(a−1)が本願発明の請
求範囲外の使用量であり、請求範囲未満では、外観、耐
ハジキ性、耐酸性が劣った。また、請求範囲を超える範
囲では、耐酸性等が劣った。
【0124】比較例6,7,8は、(a−1)が(a−
2)にグラフト化反応されてない場合であり、ブロッキ
ング性、耐ハジキ性等が劣った。
【0125】比較例9,10は(a−2−2)が本願発
明の請求範囲外の使用量であり、この場合、請求範囲未
満では、耐擦傷性、耐溶剤性が劣った。また、請求範囲
を超える範囲では、外観が劣った。
【0126】表7には、実施例1〜9の評価結果を示し
た。
【0127】表8には、比較例1〜10の評価結果を示
した。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
【表5】
【0133】
【発明の効果】本発明は、従来技術では達成されなかっ
た、貯蔵安定性、外観特性、物理特性、化学特性を有し
た、熱硬化性粉体塗料組成物(例えば、アクリル系熱硬
化性粉体塗料組成物)、及びそれに用いる熱硬化性粉体
塗料用樹脂組成物に関するものであり、特に、自動車等
の車輌の車体、及び、自動車等の車輌の部品(アルミホ
イール、ワイパー、ピラー、ドアハンドル、フェンダ
ー、ボンネット、エアスポイラー、スタビライザー、フ
ロントグリル等)の塗装−特に、上塗り塗装−に好適に
適用される、熱硬化性粉体塗料組成物(例えば、アクリ
ル系熱硬化性粉体塗料組成物)を提供するものである。
フロントページの続き (72)発明者 溝口 光幸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 宮脇 孝久 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 松本 剛 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂組成物成分(A)は、ビニル系重合
    体G(枝)ブロック(成分(a−1))を、ビニル系重
    合体S(幹)ブロック(成分(a−2))にグラフト化
    反応させて得られる(ブロック)共重合体であって、成
    分(a−1)と成分(a−2)の溶解性パラメーター
    を、それぞれ、SPGとSPSとしたときに、 SPGとS
    Sが下記数式(I)[数1]で表される、熱硬化性粉
    体塗料用樹脂組成物。 【数1】
  2. 【請求項2】 前記成分(a−1)と前記成分(a−
    2)の重量を、それぞれ、MGとMSとしたときに、 MG
    とMSが下記数式(II)[数2]で表される、請求項
    1に記載した、 熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物。 【数2】
  3. 【請求項3】 成分(a−1)の「ビニル系重合体」、
    及び/又は、成分(a−2)の「ビニル系重合体」が、
    (メタ)アクリル系ビニル重合体を含んで構成されるも
    のである、請求項1または2の何れか1項に記載した熱
    硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 成分(a−1)の「ビニル系重合体」、
    及び/又は、成分(a−2)の「ビニル系重合体」が、
    (メタ)アクリル系ビニル重合体のみで構成されるもの
    である、請求項1乃至3の何れか1項に記載した熱硬化
    性粉体塗料用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記成分(a−1)が、10.0以下の
    溶解性パラメーターを有するビニル系重合体である、請
    求項1乃至4の何れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料
    用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記成分(a−1)が、(a−1−1)
    1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重
    結合を有するビニル系重合体、及び/又は(a−1−
    2)1分子中に少なくとも1個の前記成分(a−2)と
    反応性を有する非ラジカル重合性の官能基を有するビニ
    ル系重合体を含むものである、請求項1乃至5の何れか
    1項に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 成分(a−1−2)の「非ラジカル重合
    性の官能基」が、カルボキシル基、 酸無水物基、及び、
    アミノ基からなる群から選択された少なくとも一種であ
    る、請求項1乃至6の何れか1項に記載した熱硬化性粉
    体塗料用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記成分(a−2)は、(a−2−1)
    1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重
    結合を有し、 ラジカル重合性不飽和二重結合以外の反応
    性官能基を有さない少なくとも一種の単量体、及び、
    (a−2−2)1分子中に少なくとも1個のラジカル重
    合性不飽和二重結合と少なくとも1個の非ラジカル重合
    性の官能基を併せ持った少なくとも一種の単量体を含む
    ものである、請求項1乃至7の何れか1項に記載した熱
    硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 成分(a−2−2)の「非ラジカル重合
    性の官能基」が、グリシジル基である、請求項1乃至8
    の何れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成
    物。
  10. 【請求項10】 成分(a−2−1)と成分(a−2−
    2)の合計重量100重量部に対して、 成分(a−2−
    2)が20〜60重量部である、請求項1乃至9の何れ
    か1項に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 成分(a−2)が、30℃〜120℃
    のガラス転移温度を有するものである、請求項1乃至1
    0の何れか1項に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成
    物。
  12. 【請求項12】 樹脂組成物成分(A)と硬化剤組成物
    成分(B)を含有する熱硬化性粉体塗料組成物であっ
    て、前記成分(A)は、請求項1乃至10の何れか1項
    に記載した熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物である、熱硬
    化性粉体塗料組成物。
  13. 【請求項13】 前記成分(B)が、(b−1)多価カ
    ルボン酸、及び/又は、(b−2)多価カルボン酸無水
    物を含んでなる硬化剤である、請求項12に記載した、
    熱硬化性粉体塗料組成物。
  14. 【請求項14】 成分(b−1)を構成する多価カルボ
    ン酸が、脂肪族多価カルボン酸である、請求項12また
    は13の何れか1項に記載した、熱硬化性粉体塗料組成
    物。
  15. 【請求項15】 成分(b−2)を構成する多価カルボ
    ン酸無水物が、脂肪族多価カルボン酸無水物である、請
    求項12乃至14の何れか1項に記載した、熱硬化性粉
    体塗料組成物。
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