JP2000296670A - 記録シート - Google Patents

記録シート

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JP2000296670A
JP2000296670A JP11279019A JP27901999A JP2000296670A JP 2000296670 A JP2000296670 A JP 2000296670A JP 11279019 A JP11279019 A JP 11279019A JP 27901999 A JP27901999 A JP 27901999A JP 2000296670 A JP2000296670 A JP 2000296670A
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recording sheet
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jet recording
fiber
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JP11279019A
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Yuji Iguchi
裕二 井口
Katsuaki Arai
克明 新井
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/50Recording sheets characterised by the coating used to improve ink, dye or pigment receptivity, e.g. for ink-jet or thermal dye transfer recording
    • B41M5/502Recording sheets characterised by the coating used to improve ink, dye or pigment receptivity, e.g. for ink-jet or thermal dye transfer recording characterised by structural details, e.g. multilayer materials
    • B41M5/508Supports

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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】布風な独特の風合いを有しながら編み目が印字
部で目立たなく、高濃度印字性、インク速乾性を示し、
低解像度高速印字にも対応したコックリングの発生がな
い良好なインクジェット適性を示すインクジェット記録
シートを提供すること。 【解決手段】支持体上にインク受理成分を塗設あるいは
含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該支
持体が不織布からなり、さらに該不織布が繊維径0.1
デニール以上0.8デニール以下の繊維より構成されて
いること、あるいは該不織布のJIS L1096で規
定される気孔容積が70%以上95%以下であること、
該不織布を構成する繊維中に1重量%以上10重量%以
下のセルロース繊維を含有したことを特徴とするインク
ジェット記録シート。また、該支持体が積層構造体であ
ることを特徴とするインクジェット記録シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
シートに関するものであり、さらに詳しくは独特な風合
いを持ちながら十分なインクジェット印字適性を持った
インクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要などの特徴があ
り、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装
置として種々の用途において急速に普及している。さら
に、多色インクジェット方式により形成される画像は、
製版方式による多色印刷に比較して遜色のない記録を得
ることが可能である。また、作成部数が少なくて済む用
途においては、安価であることからフルカラー画像記録
分野にまで広く応用されつつある。
【0003】このインクジェット記録方式で使用される
記録シートとしては、通常の印刷や筆記に使われる上質
紙やコーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面か
ら努力がなされてきた。しかし、装置の高速化・高精細
化あるいはフルカラー化などインクジェット記録装置の
性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対しても
より高度な特性が要求されるようになった。
【0004】即ち、当該記録シートとしては、印字ドッ
トの濃度が高く色調が明るく鮮やかであること、インク
の吸収が早く印字ドットが重なった場合においてもイン
クが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横
方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑ら
かでぼやけないことなどの高い画像再現性が要求され
る。
【0005】一方、デザイン、イベント、広告などの分
野では、耐久性や耐水性のある支持体を使用し、支持体
自体の風合いを特徴とするカラー画像記録が普及してい
る。そのような中で、布帛を支持体としたインクジェッ
ト記録シートも各種提案されている(特開平2−099
677号、2858659号特許)。しかし、支持体に
織布、編布を用いると印字面に各種工夫を施すことによ
り高精細印字が可能となるものの必ず編み目が印字部に
残りせっかくの高精細印字を台無しにしてしまう。ま
た、編み目があまり目立たない不織布を支持体に用いた
インクジェット記録シートも提案されているが、必ずし
も満足のいく印字品質が得られていない。
【0006】さらに、繊細な印字画像はそのまま高印字
濃度と同じということにはならず、にじみを抑えること
によりインクのドット径が必然的に小さくなってしま
う。ドット径が小さいということは繊細あるいは高精細
な印字画像を得るには非常に有利ではあるが、印字画像
に横筋が発生しやすくなる。必ずしも目立った横筋にな
らなくともわずかな横筋の発生はそのまま印字濃度の低
下につながる。以上の理由により、にじみがなく、繊細
な画像が得られたとしても必ずしも高濃度の印字画像は
得られていない。このような印字画像が、デザイン、イ
ベント、広告などの分野で使用された場合、その印字画
像が与えるインパクトは小さなものとなってしまう。
【0007】また、デザイン、イベント、広告の分野で
インクジェット記録方式で印字されて作製される印字物
は、ポスター、看板等比較的大判のものが多くなる。一
方、最近のインクジェット記録の流れは高精細、写真並
画質であり、インクのドット径は小さくなり高解像度の
方向へ進んでいる。高精細、高解像度印字をA4判程度
の記録シートに印字する程度であれば印字時間はさほど
でもないが、ポスター、看板等のA0判、B0判あるい
はさらに大きなシートに印字するような用途において
は、その印字時間も莫大なものとなってしまう。
【0008】当然、装置の面からも高精細、高解像度印
字を保ちながら印字速度の高速化を図る検討も各種なさ
れている。しかし、それでもまだ時間短縮が不十分なた
め、実際に印字を行う際、解像度を容認できる程度まで
下げインクドットを粗くして時間短縮を図る方法が行わ
れている。その際、最近のインクジェット記録の流れで
ある高精細、高解像度路線に沿った記録シートでは、イ
ンクドットのドット径が小さく設定されているため、白
抜けがでて印字濃度が上がらなくなる。
【0009】紙、フィルムを支持体とした記録シートで
は、かなりの部分をインク受理層の工夫により回避する
ことができるが、布帛を支持体としたインクジェット記
録シートでは、元来厚み方向へのインクのしみ込みが大
きいためインク受理層の工夫のみで印字濃度を保ったま
まインクドット径を拡大することが難しかった。
【0010】そのうえ、大判シートに印字を行うと記録
後のシートの表面が波打つというコックリングが発生し
やすい。ひとたびコックリングが発生すると、いかに印
字部の発色濃度が高くてもその品位は低いものとなって
しまう。コックリングは布帛を支持体としたインクジェ
ットシートでも例外なく発生しやすい。布帛として厚手
の織布、編布を用いた場合はコックリングの発生は少な
いものの、支持体に不織布を用いた場合では、不織布の
種類、あるいは坪量によらずコックリングが発生し印字
品位を落としてしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、布風な独特の風合いを有しながら編み目が印字部で
目立たなく、高濃度印字性、インク速乾性を示し、低解
像度高速印字にも対応したコックリングの発生がない良
好なインクジェット適性を示すインクジェット記録シー
トを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のよ
うな問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下の発明
に至った。
【0013】すなわち、支持体上にインク受理成分を塗
設あるいは含浸してなるインクジェット記録シートにお
いて、該支持体が不織布からなり、さらに該不織布が繊
維径0.1デニール以上0.8デニール以下の繊維より
構成されていることを特徴とするインクジェット記録シ
ートの発明である。
【0014】支持体上にインク受理成分を塗設あるいは
含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該支
持体が不織布からなり、該不織布のJIS L1096
で規定される気孔容積が70%以上95%以下であるこ
とを特徴とするインクジェット記録シートの発明であ
る。
【0015】該不織布のJIS L1096で規定され
るフラジール通気度が350cm3/cm2・sec以下であるこ
とを特徴とする上記インクジェット記録シートの発明で
ある。
【0016】支持体上にインク受理成分を塗設あるいは
含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該支
持体が不織布からなり、該不織布を構成する繊維中に1
重量%以上10重量%以下のセルロース繊維を含有した
ことを特徴とするインクジェット記録シートの発明であ
る。
【0017】該不織布が湿式不織布であることを特徴と
する上記インクジェット記録シートの発明である。
【0018】支持体上にインク受理成分を塗設あるいは
含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該支
持体が実質的に繊維径10μm以下の短繊維からなる極
細繊維が単繊維状に分散してなるウェブで、少なくとも
2層以上の該ウェブ間に布帛を挿入した積層構造体であ
り、該積層体表側のウェブを構成する該極細繊維同士、
および該布帛を貫通した極細繊維と該積層体裏側のウェ
ブの極細繊維を3次元交絡してなる積層構造体であるこ
とを特徴とするインクジェット記録シートの発明であ
る。
【0019】該インク受理成分に含有されている顔料の
平均粒子径が4μm以上12μm以下であることを特徴
とする上記インクジェット記録シートの発明である。
【0020】
【発明の実施の形態】不織布を形成する繊維としては、
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、又はこれらポリマーの変性ポリマー等の
ホモポリマー及びコポリマーのようなポリエステル系繊
維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、又
はこれらポリマーの変性ポリマー等のホモポリマー及び
コポリマーのようなポリオレフィン系繊維、アクリル繊
維、モダクリル繊維等のようなポリアクリロニトリル系
繊維、ナイロン6、ナイロン66等のようなナイロン繊
維、ポリビニルアルコール系繊維、ウレタン繊維、等の
有機合成繊維;又、レーヨン等の再生セルロース繊維や
コラーゲン、アルギン酸、キチン質等を溶液にしたもの
を紡糸した繊維等のような再生繊維;アセテート繊維等
のような半合成繊維;麻、コットン、パルプ等のセルロ
ース系繊維や羊毛、絹等の蛋白質系繊維等のような天然
繊維;金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維のような無機系
繊維;等の各種繊維が挙げられ、これらを単独又は組み
合わせて使用することが出来る。
【0021】第1の本発明に用いられる不織布を構成す
る繊維としては、不織布を形成できるものであればどの
ような繊維でも良い。ただし、その繊維径は0.1デニ
ール以上0.8デニール以下でなくてはならない。繊維
径が0.1デニールより小さいとインクジェット印字の
際のインク吸収性が低下してしまいにじみが発生する。
また、繊維径が0.8デニールを超えてしまうとインク
ジェット印字の際インクが不織布の内部にまで浸透して
印字濃度が低下してしまう。さらに、繊維径が0.8デ
ニールを超えると印字部での繊維筋が目立ち、印字品位
が低下してしまう。
【0022】本発明でいう気孔容積とは、JIS L1
096(一般織物試験方法)に記載されている気孔容積
をさす。また、本発明でいうフラジール通気度もJIS
L1096(一般織物試験方法)に記載されているフ
ラジール通気度をさす。
【0023】第2の本発明のインクジェット記録シート
を構成する支持体としての不織布の気孔容積は70%以
上95%以下でなければならない。気孔容積がこの範囲
に入っていれば、インクジェットプリンターで印字した
際、印字画像のにじみがなく、かつ高い発色濃度を実現
することができる。気孔容積が70%より低いと、高い
発色濃度は実現されるもののにじみが顕著となってしま
う。また、気孔容積が95%を越えるとわずかににじみ
が発生すると共に発色濃度が極端に低下してしまう。
【0024】さらに、第2の本発明のインクジェット記
録シートで用いられている支持体としての不織布のフラ
ジール通気度が350cm3/cm2・sec以下であることが好
ましい。気孔容積が70%以上95%以下であり、かつ
フラジール通気度が350cm 3/cm2・sec以下である不織
布を支持体に用いた本発明のインクジェット記録シート
にインクジェットプリンターで印字を行うと高濃度のに
じみが少ない印字画像を得られるのはもちろんである
が、印字画像の乾燥が早く、印字直後に印字画像に触れ
てもインクがはげ落ちることなく周囲を汚すことがな
い。支持体としての不織布のフラジール通気度が350
cm3/cm2・secより高いと印字画像の乾燥性が低下してし
まう。
【0025】本発明の気孔容積、あるいはフラジール通
気度を実現する手段は特に限定されることはなく、使用
する繊維の種類、繊維径等の特性に応じて、プレス圧等
抄造条件を調節したり、ウォータージェット加工のよう
な後加工の加工条件を適宜調節すればよい。
【0026】本発明でいう低解像度高速印字とは360
dpi(dot/inch)以下のプリンター解像度を
指し、好ましくは180dpiでの印字記録に用いられ
る。
【0027】第3の本発明で用いられる不織布を構成す
る繊維には全繊維に対して1重量%以上10重量%のセ
ルロース繊維を含有している。セルロース繊維として
は、レーヨン等の再生セルロース繊維や麻、コットン、
パルプ等のセルロース系繊維が挙げられる。これらセル
ロース繊維の繊維径あるいは繊維長は特に制限されず、
これらセルロース繊維を2種以上混ぜて使用しても良い
が、パルプ、特にLBKPがその繊維長より、よりイン
クドット径を制御しやすく好ましい。また、不織布中へ
の含有率が1重量%未満となるとインクドットを拡大す
る効果が出なくなり、10重量%を越えると高印字濃度
を保ったままのインクドット径の制御が難しくなる傾向
が現れる。
【0028】第1から第3の本発明で用いられる不織布
は、大別して、湿式不織布、又はステッチボンド方式、
スパンボンド方式、メルトブローン方式、サーマルボン
ド方式等による乾式不織布、或いは湿式不織布又は乾式
不織布を用いたスパンレース不織布がある。好ましく
は、湿式不織布或いは湿式不織布を用いたスパンレース
不織布が用いられる。乾式不織布或いは乾式不織布を用
いたスパンレース不織布では、坪量分布の範囲が広いた
め場所毎のインクジェット印字濃度にバラツキが生じて
しまう。
【0029】第4の本発明のインクジェット記録シート
は、支持体が実質的に繊維径10μm以下の短繊維から
なる極細繊維が単繊維状に分散してなるウェブで、少な
くとも2層以上の該ウェブ間に布帛を挿入した積層構造
体であり、該積層体表側のウェブを構成する該極細繊維
同士、および該布帛を貫通した極細繊維と該積層体裏側
のウェブの極細繊維を3次元交絡してなる積層構造体で
あることを特徴とし、該シートの布風の風合いを保ちな
がら大判印字の再発生しやすいコックリングを解消した
ものである。
【0030】該シートの支持体を構成するウェブは繊維
径10μm以下の短繊維からなる極細繊維が単繊維状に
分散してなるため、インク受理層を塗設した場合のイン
ク吸収性が良好である。しかし、ウェブのインク吸収性
が良好すぎるとインクは該ウェブ内部まで浸透してしま
い、表面に残らなくなり、その印字濃度は低いものとな
ってしまう。そこで、本発明者らは、本発明の支持体の
ように該支持体を少なくとも2層以上の該ウェブ間に布
帛を挿入した積層構造体にすることにより、支持体中へ
の過剰なインク吸収を抑えることによって印字濃度の向
上を図った。
【0031】さらに、該積層構造体を3次元交絡するこ
とによりその強度向上を検討したところ、本発明のイン
クジェット記録シートでは、大判印字の際にコックリン
グが発生しないことが判明した。該シートの効果は積層
構造体を3次元交絡することにより初めて発現する。
【0032】第4の本発明の支持体を構成するウェブに
用いる繊維は、繊維径10μm以下の短繊維である。こ
の繊維は繊維径が非常に細かいことから極細繊維と呼ば
れており、この繊維を使用することで、ソフトで非常に
触感に優れた不織布を製造することができる。10μm
を越えたものは触感が劣る上、10μm以下のものに比
べてウェブ自体の耐久性が劣り、好ましくない。
【0033】また、これら極細繊維はウェブ内で単繊維
状に分散していることが好ましい。繊維が束状で残って
いることは真に均一な分散とはいえず、繊維束と短繊維
では局所的に交絡性が異なり、不均一な不織布となり、
触感、強度などの物性が低下する。極細繊維の分散状態
が均一であることで、交絡時に不必要なエネルギーを付
与することなく、不織布のペーパーライク化を防ぐこと
ができる。
【0034】繊維径に関して、その下限には特に制限は
ないが、繊維が細いと短繊維強度が弱く、繊維切れによ
る繊維の脱落が大きくなることから、好ましくは2μm
以上、さらに好ましくは2.5μm以上である。
【0035】第4の本発明で用いる極細繊維の繊維長に
ついて説明を行う。布帛と繊維を組み合わせ、水流によ
り交絡された不織布の強度は、布帛の強度と繊維の交絡
の度合い、単繊維強度、繊維長により決定される。繊維
の種類が同じ場合には、繊維の交絡の度合い、繊維長が
その要因となる。
【0036】繊維長が非常に短い場合には、繊維は動き
やすいものの、繊維を曲げ、絡み合わせるのが困難であ
るため、繊維は単に移動するだけでは強固な交絡が発現
せず、繊維の脱落、層間剥離といった問題が生じる。交
絡を強くするため、圧力・エネルギーを大きくすると、
交絡中に繊維の脱落が大きくなり好ましくない。
【0037】繊維長が余りに長い場合、繊維が曲がり、
絡み合わせ易くなるが、毛玉が発生し易いという問題が
ある。毛玉の発生は、インクジェットプリンターのヘッ
ド部に付着しカスとなったり、印字部の欠点となり好ま
しくない。毛玉の発生は、交絡を甘くすると抑制される
が、繊維の脱落、繊維のももけ、層間剥離といった問題
が発生する。逆に、圧力・エネルギーを高め交絡を大き
くすると不織布が硬くなり好ましくない。
【0038】以上から、交絡に適した極細繊維の繊維長
は、3〜20mm程度であると考えられるが、先に述べ
たように単繊維強度、繊維の交絡の難易により、必ずし
もこの範囲に限定されるわけではない。
【0039】本発明で用いる繊維の種類としては、例え
ば、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ
アクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊
維、ナイロン繊維、ウレタン繊維などの有機合成繊維、
また、再生繊維、半合成繊維、天然繊維などの繊維が挙
げられる。
【0040】ポリエステル系繊維とは、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらポ
リマーの変性ポリマーなどのホモポリマーおよびコポリ
マーからなる繊維をいう。ポリオレフィン系繊維とは、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、これら
の変性ポリマーなどのホモポリマーおよびコポリマーか
らなる繊維をいう。ポリアクリロニトリル系繊維とは、
アクリル繊維、モダクリル繊維などをいう。ナイロン繊
維とは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12など
のポリマーからなる繊維をいう。半合成繊維とは、アセ
テート繊維などの繊維をいう。再生繊維とは、ビスコー
スレーヨン、ポリノジックレーヨン、リオセルなどの再
生セルロース繊維やコラーゲン、アルギン酸、キチン質
などを溶液にして紡糸したものをいう。天然繊維とは、
麻、コットンなどのセルロース系繊維、羊毛、絹などの
蛋白質系繊維をいう。
【0041】以上の繊維の中で得に好ましい繊維として
はポリアクリロニトリル系のもので、この繊維を使用し
た場合は、他の繊維に比べ毛玉が少なく、繊維の脱落も
ほとんどないため、優れたインクジェット記録性を示
す。
【0042】次に、本発明の支持体を構成する極細繊維
ウェブについて説明する。極細繊維を用い、良好な地合
のウェブを得る方法としては、メルトブローン法、湿式
抄造法などが挙げられる。
【0043】該ウェブの目付(乾燥換算)は、強固に交
絡が行われる範囲としては、10〜100g/m2が好まし
い。さらに好ましくは15〜70g/m2である。10g/m2
未満では、挿入された布帛の面が浮き出てインクジェッ
ト記録した際、印字部が筋っぽくなり易い。また、10
0g/m2を越えて大きいと、極細繊維間、ウェブ間の交絡
が難しい。
【0044】次に第4の本発明の支持体を構成する布帛
を説明する。本発明で述べる布帛とは、織物、編物など
を指し、織り方、編み方は特に限定されない。織物とし
ては、平織り、綾織り、朱子織りなどの織り地の織物、
編物としては、平編み、ゴム編み、パール編み、両面編
みなどの横編み、シングルトリコット編み、シングルア
トラス編み、シングルコード編み、ハーフトリコット編
み、プレーントリコット編み、クイーンズコード編み、
綴れ編みなどの縦編みの編み地が利用される。これらの
布帛は、先に述べた繊維を単独あるいは適宜組み合わせ
たものが利用できる。必要に応じて、導電性、吸放湿
性、抗菌性、芳香性などの機能性を有する繊維を用いる
こと、あるいは樹脂、活性剤などで布帛を処理すること
も可能であるが、本発明のインクジェット記録シートの
性能を阻害しない範囲に限定されるのはいうまでもな
い。
【0045】第4の本発明で使用する布帛は、JIS
L1079のA法、フラジール型試験機により測定した
フラジール通気度が300cc/cm2/sec以上のものが好
ましい。フラジール通気度が300cc/cm2/secより小
さいものは、交絡に用いる水流の抜けが悪く、布帛を境
として、水流噴射と反対側のウェブに水流の作用が弱く
なり、同様に繊維が布帛を貫通しにくくなるため好まし
くない。
【0046】また、布帛の厚みが余りに厚いものは、交
絡時に極細繊維が布帛を貫通しづらく、布帛を貫通した
繊維が十分長くないため、反対のウェブの繊維と交絡し
づらい。そのため、ウェブ間の交絡が弱く、本発明の支
持体の構造になりにくいため、層間での剥離強度が弱い
ものとなる。具体的にはウェブに用いた極細繊維の繊維
長の1/10以下の厚みを有するものが好ましい。
【0047】第4の本発明において、支持体の交絡が十
分になされ、層間の剥離強度が強いものの方がコックリ
ングの発生は少なくなり易く好ましい。
【0048】先に述べた布帛並び極細繊維を用い、後述
する製造方法を組み合わせることで、本発明特有の構造
を有するインクジェット記録時にコックリングの発生が
なく、良好な印字特性を示すインクジェット記録シート
を製造することが可能となる。
【0049】第4の本発明の支持体において、ウェブと
布帛を3次元交絡させるには2層以上のウェブ間に布帛
を挿入した積層体を、特定の多孔質支持体上に積載し、
多孔質支持体を相対的に移動させながら、積層体上方か
ら高圧の柱状水流を噴射して行う。
【0050】交絡処理をなされた支持体は交絡中あるい
は交絡後に、余分な水分を吸引あるいはウェットプレス
などの方法で取り除いた後、エアードライヤー、エアー
スルードライヤー、あるいはサクションドラムドライヤ
ーなどを用い、乾燥を行うことができる。
【0051】本発明のインクジェット記録シートを作製
するために支持体にインク受理性を付与する必要があ
る。インク受理成分を支持体に含浸或いは塗工すればよ
い。その手段としては、各種ブレードコーター、ロール
コーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッ
ドブレードコーター、ショートドウェルコーター、コン
マコーター、ダイコーター、リバースロールコーター、
キスコーター、ディップコーター、カーテンコーター、
エクストルージョンコーター、ゲートロールコーター、
グラビアコーター、マイクログラビアコーター、サイズ
プレス、タブサイズプレスなどの塗工装置を用いること
が出来る。
【0052】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、インク受理成分の塗工量は特に制限されることはな
いが、好ましくは5g/m2以上50g/m2以下で、更に好ま
しくは10g/m2以上40g/m2以下である。塗工量が5g/
m2より少なくなるとインク吸収能が低下しにじみが発生
し若干の印字品位低下が出てしまう。また、塗工量が5
0g/m2を超えると、インク受理成分が厚く支持体表面を
覆うため、インク受理成分の粉落ちが目立つようにな
り、やはり印字品位低下をもたらす。
【0053】本発明に用いられるインク受理成分中に
は、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例
えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオ
リン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化
チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイ
ト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、
珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリ
カ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミ
ニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイ
サイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの
白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、ア
クリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイ
クロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料
などが挙げられる。上記の中でも、インク受理成分中に
主体成分として含有する白色顔料としては、多孔性無機
顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸
マグネシウム、多孔性アルミナなどが挙げられ、特に細
孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0054】さらに、インク受理成分中に平均粒子径が
4μm以上12μm以下の顔料を含有させることによ
り、作製されたインクジェット記録シートの表裏の滑り
性が良好となり枚葉シートとしてインクジェットプリン
ターにセットし連続印字を行った際、良好な連続印字性
を発揮することが判明した。平均粒子径が4μmより小
さいと良好な滑り性を示しにくくなるとともに良好な印
字性を示さなくなり、また、12μmを越えると滑り性
は良好なもののインクジェット印字適性が低下してしま
う傾向がある。
【0055】平均粒径が4μm以上12μm以下の顔料
をインク受理成分中に含有させる含有量は特に規定され
ず、平均粒径が4μm以上12μm以下の顔料を単独で
含有させても良いし、平均粒径が4μm未満または12
μmを越える顔料と併用しても良い。
【0056】本発明のインク受理成分にはカチオン性染
料定着剤を含有することができる。カチオン性染料定着
剤としては2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム
塩などが挙げられ、これらのカチオン性染料定着剤はイ
ンク受理成分中の水性インクの染料分である水溶性直接
染料や水溶性酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル
基、アミノ基などと不溶な塩を形成するため、インク受
理成分にて染料を捕獲し、色彩性の向上や不溶な塩の形
成により水の滴下や吸湿によるインクの流れだしや滲み
だしを抑制し耐水性が向上させることができる。
【0057】また、本発明のインク受理成分で用いられ
る接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、酢
酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロ
ース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変
性ポリビニルアルコール等;スチレン−ブタジエン共重
合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の
共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル
及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アク
リル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアク
リル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体
等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重
合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能
基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の
熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤;ポリメチルメタクリ
レート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラ
ール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤が挙げら
れ、1種以上で使用される。
【0058】さらに、その他の添加剤として、顔料分散
剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、
発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化
剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等をインク受理層
中に適宜配合することもできる。
【0059】また、インク受理性を支持体に付与した後
には、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカ
レンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダーを用いて
平坦化仕上げを行っても良い。
【0060】第1の本発明のインクジェット記録シート
は支持体に繊維径0.1デニール以上0.8デニール以
下の繊維より構成されている不織布を用いているため、
印字部で繊維筋が目立たず高精細な印字画像を得ること
ができる。
【0061】また、第2の本発明のインクジェット記録
シートは支持体に用いられる不織布の気孔容積が70%
以上95%以下であるためインクジェットプリンターで
印字をした際、にじみがなく高印字濃度の印字画像を得
ることができる。さらに、支持体に用いられている不織
布のフラジール通気度が350cm3/cm2・sec以下であれ
ばインクジェットプリンターで印字された印字画像の乾
燥が早くなり周囲を汚すことがない。
【0062】さらに、一般に布帛を支持体としたインク
ジェット記録シートに関する発明の目的としては印字物
の高発色性、滲み防止、鮮明、繊細などが挙げられてい
るのに対し、第3の本発明のインクジェット記録シート
は積極的に従来防止すべき対象とされていた滲みを制御
して、高印字濃度を維持したままドット径を拡大し、低
解像度による高速印字に耐えうる。
【0063】第4の本発明のインクジェット記録シート
は、その支持体が実質的に繊維径10μm以下の短繊維
からなる極細繊維が短繊維状に分散してなるウェブで、
少なくとも2層以上の該ウェブ間に布帛を挿入した積層
構造体であるため、該支持体へのインク吸収性を適度に
抑制して良好な印字特性を示すことができる。さらに、
該積層構造体を3次元交絡してなる積層構造体とするこ
とにより、大判シートで印字を行っても印字部でシート
の波打ち(コックリング)が発生し、ヘッドと擦れが発
生することなく、良好な印字特性を示すことができる。
【0064】その上、上記インクジェット記録シートの
インク受理成分中に平均粒子径4μm以上12μm以下
の顔料を含有させることにより印字時の枚葉シートでの
搬送性が良好となる。
【0065】
【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。ま
た、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、
特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
【0066】[インク受理成分液の作製]平均粒子径1
5μmの合成非晶質シリカ(Nipsil RS15
0:日本シリカ工業(株)製)100部、ポリビニルア
ルコール(PVA117:クラレ(株)製)30部、カ
チオン性染料定着剤(スミレーズレジン1001:住友
化学工業(株)製)20部を用い、これを調液し、固形
分濃度13%としたインク受理成分液とした。
【0067】実施例1 繊維径0.1デニールのポリエチレンテレフタレート繊
維95部と熱水可溶性ポリビニールアルコール繊維(2
デニール、繊維長3mm)5部からなる水性スラリーを
調製し、湿式抄紙法を用いて坪量50g/m2の不織布を作
製した。熱水可溶性ポリビニールアルコール繊維は、乾
燥時の熱により繊維としての形態を維持しなくなりバイ
ンダーとしてポリエチレンテレフタレート繊維間に存在
するようになり、該不織布は繊維径が0.1デニールの
繊維より構成されることとなる。[インク受理成分液の
作製]で作製したインク受理成分をコンマコーターを用
いて作製した不織布の一方の面に塗工量10g/m2となる
ように塗布し、乾燥して本発明のインクジェット記録シ
ートを得た。
【0068】実施例2 繊維径0.1デニールのポリエチレンテレフタレート繊
維を繊維径0.8デニールのアラミド繊維に変更した以
外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録
シートを作製した。
【0069】実施例3 繊維径0.1デニールのポリエチレンテレフタレート繊
維を繊維径0.5デニールのポリプロピレン繊維に変更
した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェッ
ト記録シートを作製した。
【0070】実施例4 実施例1において、コンマコーターの代わりにサイズプ
レスコーターを用いて塗工量30g/m2となるようにイン
ク受理成分を不織布に含浸した以外は実施例1と同様に
して本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0071】実施例5 繊維径0.1デニールのポリエチレンテレフタレート繊
維を繊維径0.8デニールのアラミド繊維に変更した以
外は実施例4と同様にして本発明のインクジェット記録
シートを作製した。
【0072】実施例6 繊維径0.1デニールのポリエチレンテレフタレート繊
維を繊維径0.5デニールのポリプロピレン繊維に変更
した以外は実施例4と同様にして本発明のインクジェッ
ト記録シートを作製した。
【0073】実施例7 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径4
μmの合成非晶質シリカ(ファンシールX37B:徳山
曹達株式会社製)に変更した以外は実施例3と同様にし
て本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0074】実施例8 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径1
2μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP78F:水澤
化学株式会社製)に変更した以外は実施例3と同様にし
て本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0075】実施例9 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径
2.7μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP832:
水澤化学株式会社製)に変更した以外は実施例3と同様
にして本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0076】実施例10 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径4
μmの合成非晶質シリカ(ファンシールX37B:徳山
曹達株式会社製)に変更した以外は実施例6と同様にし
て本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0077】実施例11 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径1
2μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP78F:水澤
化学株式会社製)に変更した以外は実施例6と同様にし
て本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0078】実施例12 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径
2.7μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP832:
水澤化学株式会社製)に変更した以外は実施例6と同様
にして本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0079】比較例1 繊維径0.1デニールのポリエチレンテレフタレート繊
維を繊維径0.08デニールのポリエチレンテレフタレ
ート繊維に変更した以外は実施例1と同様にしてインク
ジェット記録シートを得た。
【0080】比較例2 繊維径0.8デニールのアラミド繊維を繊維径1.3デ
ニールのポリエチレンテレフタレート繊維に変更した以
外は実施例2と同様にしてインクジェット記録シートを
得た。
【0081】比較例3 繊維径0.1デニールのポリエチレンテレフタレート繊
維を繊維径0.08デニールのポリエチレンテレフタレ
ート繊維に変更した以外は実施例4と同様にしてインク
ジェット記録シートを得た。
【0082】比較例4 繊維径0.8デニールのアラミド繊維を繊維径1.3デ
ニールのポリエチレンテレフタレート繊維に変更した以
外は実施例5と同様にしてインクジェット記録シートを
得た。
【0083】比較例5 80番手の綿糸よりなる晒綿布を支持体に変更した以外
は実施例1と同様にしてインク受理成分を塗設して布を
支持体としたインクジェット記録シートを得た。
【0084】〈試験方法〉 1)印字濃度 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(エプソン製MJ−
830J)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの
各色100%のベタ印字を行う。マクベスRD919で
印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高
く印字性が良好であることを示す。
【0085】2)印字部繊維筋 1)印字濃度と同様にして実施例及び比較例で作製した
インクジェット記録シートに印字を行い、目視で印字部
の繊維筋に目立ち具合を判定した。繊維筋が気にならな
いレベルを優、少し距離を置けば繊維筋が気にならない
レベルを並、繊維筋が気になるレベルを劣として判定し
た。
【0086】3)印字部にじみ インクジェットプリンター(エプソン製MJ−830
C)で実施例及び比較例で作製したインクジェット記録
シートにブラック100%、シアン100%、マゼンタ
100%、イエロー100%の混色ベタ印字を行い、一
辺が10mmの正方形を印字する。この正方形を20個
印字した後、各辺の長さを測定し平均値を取る。この平
均値を10mmで除し、辺の長さの拡大率を算出する。
拡大率が100%を越えているものが印字がにじんでい
るものであるが、拡大率が105%以下のものはほぼに
じみがないと判断できるレベルであり、105%を越
え、110%以下のものは問題にならないレベルのにじ
みであり、110%を越えるものはにじみが大きく実用
上問題となるレベルと判断される。
【0087】4)搬送性 実施例および比較例で作製した記録シートをA4判に断
裁した後、1セット当たり20枚で、5セットについて
インクジェットプリンター(エプソン製MJ−830
C)にセットし、連続印字をし、重送等の搬送トラブル
の発生率を評価した。発生率が0%のものはプリンター
搬送性が特に優れていると判定できる。発生率が0%を
越え10%以下のものは実用上問題ないレベルでのトラ
ブル発生率であり、プリンター搬送性は優れていると判
定できる。発生率が10%を超えるものはプリンター搬
送性に問題があると判断される。
【0088】
【表1】
【0089】評価:表1より明らかなように本発明の繊
維径0.1デニール以上0.8デニール以下の繊維より
構成される不織布を支持体に用いたインクジェット記録
シートはインクジェット印字適性が良好であり、印字濃
度が高く、なおかつにじみが少ない印字画像を得ること
ができる。さらに、印字部で繊維筋が目立たず良好な印
字画像を得ることができる。その上、インク受理成分中
に平均粒子径4μm以上12μm以下の顔料を含有する
ことによりインクジェット記録シートの搬送性がいっそ
う良好になることがわかる。
【0090】実施例13 ポリプロピレン繊維(繊維径0.7デニール、繊維長1
0mm)95部と熱水可溶性ポリビニールアルコール
(繊維径2デニール、繊維長3mm)からなる水性スラ
リーを調整し、湿式抄紙法を用いて坪量60g/m2の不織
布を作製した。作製した不織布の気孔容積は80%で、
フラジール通気度は400cm3/cm2・secであった。[イ
ンク受理成分液の作製]で作製したインク受理成分液を
コンマコーターを用いて該不織布の一方の面に塗工量1
0g/m2となるように塗布し、乾燥して本発明のインクジ
ェット記録シートを得た。
【0091】実施例14 実施例13で作製した不織布に、表裏とも水圧100kg
/cm2,速度20m/分でウォータージェット処理を行
い、120℃で乾燥して気孔容積95%、フラジール通
気度450cm3/cm2・secの不織布を得た。得られた不織
布に実施例13と同様にしてインク受理成分液を塗工、
乾燥し本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0092】実施例15 ポリプロピレン繊維をレーヨン繊維(繊維径0.7デニ
ール、繊維長5mm)に変更した以外は実施例13と同
様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。な
お、本実施例で作製した不織布の気孔容積は70%、フ
ラジール通気度は360cm3/cm2・secであった。
【0093】実施例16 NBKP20部、ポリエステル繊維(繊維径2デニー
ル、繊維長5mm)80部からなる水性スラリーを調整
し、湿式抄紙法を用いて坪量70g/m2の不織布を作製し
た。作製した不織布の気孔容積は75%、フラジール通
気度は350cm3/cm2・secであった。本実施例で作製し
た不織布に実施例13と同様にしてインク受理成分液を
塗工し、本発明にインクジェット記録シートを得た。
【0094】実施例17 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径4
μmの合成非晶質シリカ(ファンシールX37B:徳山
曹達株式会社製)に変更した以外は実施例13と同様に
して本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0095】実施例18 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径1
2μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP78F:水澤
化学株式会社製)に変更した以外は実施例13と同様に
して本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0096】実施例19 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径
2.7μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP832:
水澤化学株式会社製)に変更した以外は実施例13と同
様にして本発明のインクジェット記録シートを作製し
た。
【0097】比較例6 実施例13で作製した不織布に、表裏とも水圧150kg
/cm2,速度10m/分でウォータージェット処理を行
い、120℃で乾燥して気孔容積97%、フラジール通
気度550cm3/cm2・secの不織布を得た。得られた不織
布に実施例13と同様にしてインク受理成分液を塗工、
乾燥しインクジェット記録シートを得た。
【0098】比較例7 実施例13で作製した不織布をスーパーカレンダー処理
して気孔容積65%、フラジール通気度200cm3/cm2
・secの不織布を得た。得られた不織布に実施例13と同
様にしてインク受理成分液を塗工、乾燥しインクジェッ
ト記録シートを得た。
【0099】〈試験方法〉 1)印字濃度 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(エプソン製MJ−
830J)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの
各色100%のベタ印字を行う。マクベスRD919で
印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高
く印字性が良好であることを示す。
【0100】2)インク乾燥性 1)印字濃度と同様にしてベタ印字を行い、記録シート
が搬出された後、1分、5分経過後、印字部よりも大き
な面積の上質紙を重ね合わせ(1分後、5分後ともに異
なるベタ印字部で試験を行う)、上質紙側から約20秒
間擦り、記録シートに吸収しきれていないインクを上質
紙に吸収させる。判定は上質紙に転写されたインク量を
見て判断する。5分後にインクを吸収させた上質紙にも
1分後にインクを吸収させた上質紙にもインクの転写が
全くないものをインク乾燥性が優、5分後にインクを吸
収させた上質紙にインクの転写が全くなく、1分後にイ
ンクを吸収させた上質紙にわずかにインクが転写してい
るものをインク乾燥性が並、5分後にインクを吸収させ
た上質紙にインクの転写が全くないが、1分後にインク
を吸収させた上質紙にかなりインクが転写しているも
の、あるいは5分後にインクを吸収させた上質紙にイン
クの転写が見られるものをインク乾燥性が劣とした。
【0101】3)にじみ 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(エプソン製MJ−
830J)で印字を行う。印字画像はブラック、シア
ン、マゼンタ、イエローの各色100%の隣接した長方
形のベタ印字部を横切るようにブラック、シアン、マゼ
ンタ、イエロー各100%(計400%)の混色の線を
描いたものにする。印字後目視で各色の境界部分でのに
じみを確認する。にじみが全くないものをにじみが優と
し、400%の線でのみわずかににじみがあるものをに
じみが並とし、100%色の部分でにじみがでているも
のをにじみが劣とした。
【0102】4)搬送性 実施例および比較例で作製した記録シートをA4判に断
裁した後、1セット当たり20枚で、5セットについて
インクジェットプリンター(エプソン製MJ−830
C)にセットし、連続印字をし、重送等の搬送トラブル
の発生率を評価した。発生率が0%のものはプリンター
搬送性が特に優れていると判定できる。発生率が0%を
越え10%以下のものは実用上問題ないレベルでのトラ
ブル発生率であり、プリンター搬送性は優れていると判
定できる。発生率が10%を超えるものはプリンター搬
送性に問題があると判断される。
【0103】
【表2】
【0104】評価:表2より明らかなように、本発明の
インクジェット記録シートにインクジェットプリンター
で印字を施すと高濃度でにじみの少ない印字画像を得る
ことができる。さらに、支持体である不織布のフラジー
ル通気度が350cm3/cm2・sec以下であると、印字画像
の高濃度、にじみの少なさを実現しながら印字画像の乾
燥性が良好になることがわかる。さらに、実施例17,
18からわかるように、インク受理成分中の顔料の平均
粒径を4μm以上12μm以下とすることにより枚葉で
の搬送性が向上することがわかる。
【0105】比較例にあるように気孔容積が95%を越
え、フラジール通気度が350cm3/cm2・secを越えると
印字濃度も低い上、インク乾燥性も劣ることがわかる。
また、比較例7のようにフラジール通気度が350cm3
/cm2・secより低くても、気孔容積が70%より低いと
インク乾燥性が悪い上、にじみも大きくなることがわか
る。
【0106】実施例20 ポリプロピレン繊維(繊維径0.7デニール、繊維長1
0mm)99部とレーヨン繊維(繊維径0.7デニー
ル、繊維長5mm)1部からなる水性スラリーを調整
し、湿式抄紙法を用いて坪量60g/m2の不織布を作製し
た。セルロース繊維の含有率は1重量%となる。この不
織布の一方の面にコンマコーターにより[インク受理成
分液の作製]で作製したインク受理成分液を乾燥後の塗
工量が20g/m2となるように塗布し、乾燥して本発明の
インクジェット記録シートを得た。
【0107】実施例21 PET繊維(繊維径0.4デニール、繊維長10mm)
90部とLBKP10部からなる水性スラリーを調整
し、湿式抄紙法を用いて坪量60g/m2の不織布を作製し
た。セルロース繊維の含有率は10重量%となる。この
不織布の一方の面にコンマコーターにより[インク受理
成分液の作製]で作製したインク受理成分液を乾燥後の
塗工量が20g/m2となるように塗布し、乾燥して本発明
のインクジェット記録シートを得た。
【0108】実施例22 PET繊維(繊維径0.4デニール、繊維長10mm)
86部、LBKP9部、熱水可溶性ポリビニールアルコ
ール繊維(2デニール、繊維長3mm)5部からなる水
性スラリーを調整し、湿式抄紙法を用いて坪量60g/m2
の不織布を作製した後、表裏共に水圧100kg/cm2、速
度20m/分でウォータージェット処理を行い、120
℃で乾燥し、不織布を作製した。ウォータージェット処
理の際熱水可溶性ポリビニールアルコール繊維は溶出
し、最終的なセルロース繊維の含有率は9.5重量%と
なる。この不織布の一方の面にコンマコーターにより
[インク受理成分液の作製]で作製したインク受理成分
液を乾燥後の塗工量が20g/m2となるように塗布し、乾
燥して本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0109】実施例23 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径4
μmの合成非晶質シリカ(ファンシールX37B:徳山
曹達株式会社製)に変更した以外は実施例20と同様に
して本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0110】実施例24 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径1
2μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP78F:水澤
化学株式会社製)に変更した以外は実施例20と同様に
して本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0111】実施例25 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径
2.7μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP832:
水澤化学株式会社製)に変更した以外は実施例20と同
様にして本発明のインクジェット記録シートを作製し
た。
【0112】比較例8 PET繊維(繊維径0.4デニール、繊維長10mm)
70部とPP/PE芯鞘繊維(繊維径2デニール、繊維
長10mm)30部からなる水性スラリーを調整し、湿
式抄紙法を用いて坪量60g/m2の不織布を作製した。セ
ルロース繊維を含有していない。この不織布の一方の面
にコンマコーターにより[インク受理成分液の作製]で
作製したインク受理成分液を乾燥後の塗工量が20g/m2
となるように塗布し、乾燥して本発明のインクジェット
記録シートを得た。
【0113】比較例9 ポリプロピレン繊維99.5部、レーヨン繊維を0.5
部に変更した以外は実施例20と同様にしてインクジェ
ット記録シートを得た。セルロース繊維の含有率は0.
5重量%となる。
【0114】比較例10 PET繊維89部とLBKP11部に変更した以外は実
施例21と同様にしてインクジェット記録シートを得
た。セルロース繊維の含有率は11重量%となる。
【0115】〈試験方法〉 1)印字濃度1 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(キャノン製BJC
400J)を用い、プリンター解像度180dpiでブ
ラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%の
ベタ印字を行う。マクベスRD919で印字部の濃度を
測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好
であることを示す。
【0116】2)印字濃度2 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(キャノン製BJC
400J)を用い、プリンター解像度360dpiでブ
ラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%の
ベタ印字を行う。マクベスRD919で印字部の濃度を
測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好
であることを示す。
【0117】3)白抜け 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(キャノン製BJC
400J)を用い、プリンター解像度180dpiでブ
ラック100%のベタ印字を行い、10cm四方の四角
を印字する。印字した黒四角を目視で観察し、白抜けの
具合を判定した。白抜けが全くないものを白抜けが優、
白抜けがわずかにあるが視覚上問題とならないレベルの
ものを白抜けが並、明らかにしろ抜けが発生しており印
字ムラが判るものを白抜けが劣と判定した。
【0118】4)インクドット径 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(キャノン製BJC
400J)を用い、プリンター解像度180dpiでブ
ラック14%のベタ印字を行い、印字部分について画像
解析装置を用いインクドット径を測定した。画像解析装
置では印字部と未印字部とを2値化により分け、形状を
円形として近似を行い、その直径を26個のドットの平
均値より求めた。ドット径が80μmから150μmの
範囲に入るものは180dpi、360dpiの解像度
に最適なドット径である。ドット径が80μmより小さ
くなると白抜けが発生し易くなり、また、ドット径が1
50μmを越えるとインクの吸収力不足ということにな
り、印字部の滲みや乾燥不良を引き起こす。
【0119】5)搬送性 実施例および比較例で作製した記録シートをA4判に断
裁した後、1セット当たり20枚で、5セットについて
インクジェットプリンター(エプソン製MJ−830
C)にセットし、連続印字をし、重送等の搬送トラブル
の発生率を評価した。発生率が0%のものはプリンター
搬送性が特に優れていると判定できる。発生率が0%を
越え10%以下のものは実用上問題ないレベルでのトラ
ブル発生率であり、プリンター搬送性は優れていると判
定できる。発生率が10%を超えるものはプリンター搬
送性に問題があると判断される。
【0120】
【表3】
【0121】評価:表3より明らかなように本発明のイ
ンクジェット記録シートは、インクドット径が低解像度
印字に最適なように調整されているため、180dp
i、360dpiといった比較的低解像度の印字を行っ
ても十分な印字濃度が出、なおかつ白抜けが発生しない
ため、良好な印字画像を示すことができる。さらに、実
施例23,24からわかるように、インク受理成分中の
顔料の平均粒径を4μm以上12μm以下とすることに
より枚葉での搬送性が向上することがわかる。比較例
8、9のようにインクドット径が小さいものは白抜けが
発生しているため、特に低解像度である180dpi印
字での印字濃度が実施例より低くなってしまっている。
そのため、比較例では印字解像度が異なると印字濃度に
差がでてしまっているが、本発明の実施例では印字解像
度による印字濃度差はほとんど出ておらず、解像度に依
存せずに良好な印字を得ることができることが判る。ま
た、比較例10のようにセルロース繊維の含有量が10
重量%を超えるものではインクドット径が150μmを
越えてしまうため、印字画像で滲みが発生する可能性が
高くなる。
【0122】実施例26 繊度0.1デニール(繊維径3.8μm)のポリアクリ
ロニトリル(PAN繊維:三菱レイヨン製、ボンネル)
を6mmにカットしたものを用い、ノニオン系界面活性
剤とともに水中に投入し、パルパーにて繊維の束がなく
なるまで強攪拌を行った。ついで、水を加えて希釈後、
アジテーターにて緩やかに攪拌しながら高分子ポリアク
リルアミド0.1%溶液(粘剤)を添加、増粘し、攪拌
を継続し、均一に分散した繊維の懸濁液(スラリー)を
得た。
【0123】このスラリーを用い、傾斜短網と円網の2
層抄き合わせ式の抄紙機にて、2層の間に布帛を挿入し
ながら抄造を行い、積層構造体を作製した。2層の目付
は、乾燥重量でそれぞれ30g/m2、2層合計で60g/m2
になるよう抄造を行った。なお、布帛は、目付30g/
m2、厚み0.20mmで20デニールのナイロン糸を用
いた20ゲージの編布(ナイロントリコットハーフ20
20、フラジール通気度300cc/cm2/sec以上)を使
用した。ついで、該積層構造体に表裏共に水圧100kg
/cm2、速度20m/分で交絡処理を行い、120℃で乾
燥し、3次元交絡してなる積層構造体を作製し、本発明
で使用する支持体とした。
【0124】次に、該支持体の一方の面に、〈インク受
理成分液の作製〉で作製したインク受理成分液をコンマ
コーターにより乾燥後の塗工量が10g/m2となるように
塗設した後、乾燥し、本発明のインクジェット記録シー
トを作製した。
【0125】実施例27 PAN繊維の代わりに、繊度0.7デニール(繊維径8
μm)のポリアクリロニトリル(PAN繊維:三菱レイ
ヨン製、ボンネル)を15mmにカットしたものを用い
た以外は、実施例26と同様にして本発明のインクジェ
ット記録シートを得た。
【0126】実施例28 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径4
μmの合成非晶質シリカ(ファンシールX37B:徳山
曹達株式会社製)に変更した以外は実施例26と同様に
して本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0127】実施例29 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径1
2μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP78F:水澤
化学株式会社製)に変更した以外は実施例26と同様に
して本発明のインクジェット記録シートを作製した。
【0128】実施例30 平均粒子径15μmの合成非晶質シリカを平均粒子径
2.7μmの合成非晶質シリカ(ミズカシルP832:
水澤化学株式会社製)に変更した以外は実施例26と同
様にして本発明のインクジェット記録シートを作製し
た。
【0129】比較例11 PAN繊維の代わりに、繊度1.5デニール(繊維径1
2.4μm)のPET繊維を用いた以外は実施例26と
同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0130】比較例12 実施例26で作製した、交絡処理前の積層構造体の一方
の面に、〈インク受理成分液の作製〉で作製したインク
受理成分液をコンマコーターにより乾燥後の塗工量が1
0g/m2となるように塗設した後、乾燥し、インクジェッ
ト記録シートを作製した。
【0131】比較例13 実施例26で作製したスラリーを用い、円網式抄紙機で
目付60g/m2のウェブを抄造した。該ウェブのに表裏共
に水圧100kg/cm2、速度20m/分で交絡処理を行
い、120℃で乾燥し、3次元交絡してなる支持体とし
た。該支持体の一方の面に、〈インク受理成分液の作
製〉で作製したインク受理成分液をコンマコーターによ
り乾燥後の塗工量が10g/m2となるように塗設した後、
乾燥し、インクジェット記録シートを作製した。
【0132】〈試験方法〉 1)印字濃度 実施例及び比較例で作製した記録シートをA4判に断裁
した後、インクジェットプリンター(エプソン製MJ−
830C)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの
各色100%のベタ印字を行う。マクベスRD919で
印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高
く印字性が良好であることを示す。
【0133】2)コックリング 実施例および比較例で作製した記録シートをA1判に断
裁した後、2機種のプリンター(ヒューレットパッカー
ド製DesignJet2500CP、ミマキエンジニ
アリング製JV2−130)でブラック、シアン、マゼ
ンタ、イエローの各色100%の混色印字を前面に渡っ
て行う。印字後、印字面を目視で観察し、該記録シート
表面のコックリングの発生具合とヘッドとの擦れ具合を
観察した。なお、JV2−130での印字では、ヘッド
と記録シートの距離を「狭い」、「広い」の両方で印字
した。もちろん、「狭い」方がヘッドと記録シートとの
擦れは発生しやすい。
【0134】印字部で全くコックリングが発生していな
いものをコックリングが優、わずかにコックリングが発
生しているが大きく問題にならないレベルのものをコッ
クリングが並、明らかにコックリングが発生していると
わかるものをコックリングが劣と判定した。
【0135】また、ヘッドと記録シートの擦れがあって
は良好な印字性を示しているとはいえない。ヘッドと記
録シートの擦れは印字部に筋等で現れるため容易に判定
できる。
【0136】3)搬送性 実施例および比較例で作製した記録シートをA4判に断
裁した後、1セット当たり20枚で、5セットについて
インクジェットプリンター(エプソン製MJ−830
C)にセットし、連続印字をし、重送等の搬送トラブル
の発生率を評価した。発生率が0%のものはプリンター
搬送性が特に優れていると判定できる。発生率が0%を
越え10%以下のものは実用上問題ないレベルでのトラ
ブル発生率であり、プリンター搬送性は優れていると判
定できる。発生率が10%を超えるものはプリンター搬
送性に問題があると判断される。
【0137】
【表4】
【0138】評価:表4より明らかなように本発明のイ
ンクジェット記録シートは、支持体を3次元交絡してな
る積層構造体としたことにより印字濃度が低下すること
がなく、さらに、コックリングの発生がない。さらに、
実施例28,29からわかるように、インク受理成分中
の顔料の平均粒径を4μm以上12μm以下とすること
により枚葉での搬送性が向上することがわかる。比較例
11に示すように、3次元交絡してなる積層構造体を支
持体としても繊維径が10μmを越えてしまうとコック
リングが発生してしまう。また、比較例12、13から
わかるように積層構造、3次元交絡をそれぞれ単独に用
いても本発明のインクジェット記録シートのごとき効果
を得ることはできない。
【0139】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録シートは、
インクジェット記録された際、高濃度の発色を示し、高
精細な印字が可能な上、滲みがなく、低解像度高速印字
にも対応し、大判印刷時のコックリングの発生がなく、
デザイン、イベント、広告の分野で用いれば見るものに
インパクトを与え有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平11−31818 (32)優先日 平成11年2月9日(1999.2.9) (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にインク受理成分を塗設あるい
    は含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該
    支持体が不織布からなり、さらに該不織布が繊維径0.
    1デニール以上0.8デニール以下の繊維より構成され
    ていることを特徴とするインクジェット記録シート。
  2. 【請求項2】 支持体上にインク受理成分を塗設あるい
    は含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該
    支持体が不織布からなり、該不織布のJISL1096
    で規定される気孔容積が70%以上95%以下であるこ
    とを特徴とするインクジェット記録シート。
  3. 【請求項3】 該不織布のJIS L1096で規定さ
    れるフラジール通気度が350cm3/cm2・sec以下である
    ことを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録シ
    ート。
  4. 【請求項4】 支持体上にインク受理成分を塗設あるい
    は含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該
    支持体が不織布からなり、該不織布を構成する繊維中に
    1重量%以上10重量%以下のセルロース繊維を含有し
    たことを特徴とするインクジェット記録シート。
  5. 【請求項5】 該不織布が湿式不織布であることを特徴
    とする請求項1〜4記載のインクジェット記録シート。
  6. 【請求項6】 支持体上にインク受理成分を塗設あるい
    は含浸してなるインクジェット記録シートにおいて、該
    支持体が実質的に繊維径10μm以下の短繊維からなる
    極細繊維が単繊維状に分散してなるウェブで、少なくと
    も2層以上の該ウェブ間に布帛を挿入した積層構造体で
    あり、該積層体表側のウェブを構成する該極細繊維同
    士、および該布帛を貫通した極細繊維と該積層体裏側の
    ウェブの極細繊維を3次元交絡してなる積層構造体であ
    ることを特徴とするインクジェット記録シート。
  7. 【請求項7】 該インク受理成分に含有されている顔料
    の平均粒子径が4μm以上12μm以下であることを特
    徴とする請求項1〜6記載のインクジェット記録シー
    ト。
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JP11-31818 1999-02-09
JP3181899 1999-02-09
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002160446A (ja) * 2000-11-28 2002-06-04 Toppan Forms Co Ltd インクジェットインク受容層形成用インクおよびそれを用いた記録用シート
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JP2013103362A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Nippon Paper Papylia Co Ltd インクジェット記録媒体

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