JP2000296301A - スクリュー式脱水機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 背圧板の隙間を閉塞することなく隙間全体か
ら均一に汚泥を排出して、安定した脱水を行うことがで
きるスクリュー式脱水機を提供すること。 【解決手段】 円筒状のスクリーン３の内部にスクリュ
ー２を配置し、スクリュー２の先端のケーキの排出口１
３に設けた背圧板６により、注入された汚泥を加圧しな
がらスクリーン３の外側に濾液を排出し脱水を行うスク
リュー式脱水機において、背圧板６を回転可能にしてケ
ーキの排出口１３に配設し、背圧板６を、脱水時に連続
的又は断続的にスクリュー２の回転数と異なる回転数で
回転駆動する駆動装置８を設けるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スクリュー式脱水
機に関し、有機性の汚水を処理する設備から発生する余
剰汚泥の脱水、特に、汚泥の性状が大きく変化しやすい
小規模下水処理場において、汚泥の性状が変化しても、
ケーキの排出口を詰まらせることなく、安定して脱水す
ることができる小規模下水処理場の汚泥の脱水に適した
スクリュー式脱水機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、小規模下水処理施設から発生する
汚泥の脱水機として、ベルトプレス脱水機や遠心脱水機
が広く採用されている。これらの脱水機は、高い脱水性
能が得られるものの、対象汚泥量が少なく、短時間しか
運転しない場合には、経済性、性能の安定性や、維持管
理性の面で問題があった。そこで、最近は、食品工業等
で製品や廃棄物を脱水するために使用されているスクリ
ュープレス形の脱水機が汚泥の脱水用として適用される
ようになった。このスクリュープレス形の脱水機は、ス
クリューとその周囲に設けた円筒状のスクリーン（濾過
板）で構成され、スクリューの先端のケーキ排出口に配
設した背圧板により、注入された汚泥をスクリューの駆
動にて加圧し、これによりスクリーンの外側に濾液を排
出することで脱水を行い、脱水したケーキを背圧板とス
クリーンの先端部の隙間から排出するように構成してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のスク
リュープレス形の脱水機においては、背圧板の隙間が一
定であっても、脱水機に供給される汚泥に含まれる夾雑
物の影響で、汚泥の性状は必ずしも一定でないため、背
圧板の直前に充満した汚泥には流動性の良い部分と悪い
部分が生じる。このため、円周上の背圧板の隙間におい
て、汚泥が排出されやすい部分と、排出されにくい部分
とが生じ、限られた隙間から汚泥が脱水ケーキとして押
し出されるようになる。特に、毛髪が多量に含まれる汚
泥ほどこのような閉塞部分を生じやすく、処理できる汚
泥量が減少したり、脱水ケーキの含水率が悪化するとい
う問題があった。

【０００４】本発明は、上記従来のスクリュープレス形
の脱水機の有する問題点を解決し、背圧板の隙間を閉塞
することなく隙間全体から均一に汚泥を排出して、安定
した脱水を行うことができるスクリュー式脱水機を提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のスクリュー式脱水機は、円筒状のスクリー
ンの内部にスクリューを配置し、スクリューの先端のケ
ーキの排出口に設けた背圧板により、注入された汚泥を
加圧しながらスクリーンの外側に濾液を排出し脱水を行
うスクリュー式脱水機において、背圧板を回転可能にし
てケーキの排出口に配設し、前記背圧板を、脱水時に連
続的又は断続的にスクリューの回転数と異なる回転数で
回転駆動する駆動装置を設けたことを特徴とする。

【０００６】上記の構成からなる本発明のスクリュー式
脱水機は、スクリューの先端の背圧板を、回転自在に固
定し、スクリューと連動して、背圧板を連続的に回転さ
せるか、又はタイマー等により所定時間断続的に回転さ
せることにより、ブリッジを起こしかけているケーキを
背圧板の隙間であるケーキ排出口から排出させることが
できるため、ケーキ排出口が閉塞されることなく、長時
間連続して安定した脱水を行うことができる。

【０００７】この場合、背圧板を、円筒状スクリーンの
スクリューと同じ軸心の回りに回転可能に配置すること
ができる。

【０００８】これにより、円筒状スクリーンの先端のケ
ーキの排出口が、その周回方向に亘って同じ隙間となる
ため、ケーキの排出口において詰まる部分が生じること
なく安定した脱水が行われる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明のスクリュー式脱水
機の実施の形態を図面に基づいて説明する。

【００１０】図１は、本発明の汚泥脱水に適したスクリ
ュープレス形の脱水機の断面図である。このスクリュー
式脱水機１は、円筒状のスクリーン３内に、駆動装置１
０にて駆動されるスクリュー２を挿通し、スクリーン３
の出口部、すなわち、脱水ケーキ出口に、背圧板６を回
転可能にして配設して構成される。スクリュー２は、ス
クリュー軸４の外周部にスクリュー羽根５を螺旋状に回
巻してスクリュー軸４に溶接したもの、あるいは削り出
しにより一体化したものとし、また、スクリュー２の回
転にてスクリーン３内を移送される汚泥の充満する有効
容積が、スクリーン３の出口に向かって徐々に小さくな
るようにする。これは、図示のように、スクリュー軸４
の径を、基端側より出口側に向かって徐々に太くするよ
うにするか、あるいは、スクリュー軸４の径は一定と
し、スクリュー羽根５の取付ピッチを入口側から出口側
に向かって徐々に小さくすることにより実現することが
できる。また、スクリーン３の出口部には、スクリーン
３のケーキ出口１３の開口面積を調整可能にして背圧板
６を設け、汚泥がスクリュー２の回転によってスクリー
ン３内を移送されるとき、出口側に近づくにつれて大き
い圧縮力が加わるよう構成する。

【００１１】スクリーン３は、三角断面のワイヤーを支
持板に巻き付けて外周部にスリットを形成したもの、パ
ンチングプレート状の細孔を有する板材を円筒状に巻い
たもの、あるいは汚泥と汚水とが分離できる小径の孔又
はスリットが明いているもの等が採用され、その構造は
特に限定されない。また、このスクリーン３の基端側、
すなわち、入口側には脱水すべき汚泥を供給するための
汚泥流入口１１を形成する。さらに、この円筒状のスク
リーン３の外側には、密閉カバー９を設けるとともに、
カバー９の下部には排出口１２を形成し、スクリーン３
からの濾液の排出を行うようにする。

【００１２】また、スクリーン３の出口部、すなわち、
脱水ケーキ出口に、回転可能にして配設した背圧板６
は、脱水を行う汚泥Ａが流入口１１より投入されスクリ
ーン３の出口部に近づくにつれて大きい圧力が加わるよ
うに構成する。背圧板６は、スクリュー２と同じ軸心上
で回転自在となるよう軸受１４にて支持し、駆動装置８
とプーリ、ベルト又は歯車、スプロケットホイールとチ
ェン等の動力伝達手段７を介して連接する。この背圧板
６の回転方向は、特に限定されないが、スクリュー２と
同じ方向に回転する場合は、スクリュー２の回転数と異
なるようにして回転駆動するものとする。

【００１３】脱水を行う汚泥Ａは、流入口１１より投入
し、スクリーン３にて濾過された濾液Ｂは、密閉カバー
７に形成した排水口１２より排水され、スクリーン３内
をスクリュー２の回転にて移送されつつ脱水された脱水
ケーキＣは、スクリーン３の先端部と背圧板６との隙
間、すなわち、ケーキ排出口１３よりスクリュー式脱水
機の外へと導かれる。

【００１４】次に、本発明のスクリュー式脱水機の動
作、作用を説明する。曝気槽、汚泥濃縮槽、汚泥貯留槽
等から引き抜かれた余剰汚泥は、そのままでは脱水でき
ず、汚泥フロックを強固にかつ大きくするため、高分子
凝集剤、無機塩等の凝集剤を添加、混合する。このよう
にして凝集した汚泥Ａは、スクリーン３に形成した汚泥
流入口１１からスクリュー式脱水機１の円筒形のスクリ
ーン３の基端部に供給する。そして、駆動装置１０を運
転してスクリュー２を回転すると、スクリーン３内にて
回転するスクリュー２にて、順次投入される凝集汚泥Ａ
を徐々にスクリーン３の出口側に向かって移動する。

【００１５】この時、汚泥フロックとフロックの間にあ
る水分の大半は、スクリーン３に設けられたスリット、
あるいは細孔の水抜き孔から、スクリーン３の外側へと
流れ出し、濾液Ｂとして密閉カバーの排出口１２から脱
水機外へ排水される。凝集汚泥が出口部に達すると、背
圧板６により堰止められ、入口側に向かって徐々に汚泥
がスクリーン３内に充満していき、スクリーン３とスク
リュー２の空間部の汚泥固形物量が流入汚泥量に見合っ
た量になった段階で安定化する。

【００１６】このようにしてスクリーン３内に汚泥が充
満することにより圧力が高まるため、汚泥フロック内部
の保有水や表面の付着水などがスクリーン３外部に押し
出されて含水率が低下し、やがて脱水ケーキＣとしてケ
ーキ排出口１３、すなわちスクリーン３端部と背圧板６
の隙間から、スクリュー式脱水機の下部へと排出され
る。

【００１７】一方、汚泥中には流入下水に起因する毛髪
や、野菜屑、プラスチック片等の夾雑物が一部残留して
いるため、これらの影響で、スクリーン３内部の汚泥に
は部分的に流動性の悪い部分が生じる。特に、毛髪が多
量に含まれる汚泥ほど流動し難く、円周状の背圧板６の
隙間において、汚泥の流動性が悪くなった部分が次第に
閉塞し始める。

【００１８】そこで、スクリュー２の運転に合せて、駆
動装置８を起動し、動力伝達手段７を介して背圧板６を
連続的に運転するか、又はこのような閉塞が始まるまで
の時間を考慮して、タイマーにより定期的に所定の時
間、背圧板６を回転させる。あるいは、流入側の水圧上
昇を検知するなど、別の手段により、背圧板６を断続的
に回転する方法を用いても良い。この時、背圧板６と、
これに接している汚泥ケーキとの間に部分的な摩擦や滑
りが生じるため、ブリッジを起こしかけていた汚泥ケー
キが移動して背圧板６の隙間から排出され、ケーキ排出
口の閉塞が防止され、安定した汚泥の脱水が行われる。

【００１９】

【発明の効果】本発明のスクリュー式脱水機によれば、
スクリューの先端の背圧板を、回転自在に固定し、スク
リューと連動して、背圧板を連続的に回転させるか、又
はタイマー等により所定の時間、断続的に回転させるこ
とにより、ブリッジを起こしかけているケーキを背圧板
の隙間であるケーキ排出口から排出させることができる
ため、ケーキ排出口が閉塞されることなく、長時間連続
して安定した脱水を行うことができる。

【００２０】また、円筒状スクリーンの先端のケーキの
排出口が、その周回方向に亘って同じ隙間となるため、
ケーキの排出口において詰まる部分が生じることなく安
定した脱水が行われる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のスクリュー式脱水機の一例を示す断面
図である。

【符号の説明】

１ スクリュー式脱水機 ２ スクリュー ３ スクリーン ４ スクリュー軸 ５ スクリュー羽根 ６ 背圧板 ７ 動力伝達手段 ８ 駆動装置 ９ カバー １０ 駆動装置 １１ 流入口 １２ 排水口 １３ ケーキ排出口 １４ 軸受 Ａ 凝集汚泥 Ｂ 濾液 Ｃ 脱水ケーキ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状のスクリーンの内部にスクリュー
   を配置し、スクリューの先端のケーキの排出口に設けた
   背圧板により、注入された汚泥を加圧しながらスクリー
   ンの外側に濾液を排出し脱水を行うスクリュー式脱水機
   において、背圧板を回転可能にしてケーキの排出口に配
   設し、前記背圧板を、脱水時に連続的又は断続的にスク
   リューの回転数と異なる回転数で回転駆動する駆動装置
   を設けたことを特徴とするスクリュー式脱水機。
2. 【請求項２】 背圧板を、円筒状スクリーンのスクリュ
   ーと同じ軸心の回りに回転可能に配置したことを特徴と
   する請求項１記載のスクリュー式脱水機。