JP2000288794A - 汚泥脱水機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小規模下水処理施設等の設備から発生する固
形物の粒子が小さく、脆弱な汚泥の脱水をスクリーンの
目詰まりを生じることなく効果的、かつ安定的に行うこ
とができる汚泥脱水機を提供すること。 【解決手段】 円筒形スクリーン３の内部にスクリュー
２を回転可能に挿通、配設し、スクリュー２の回転によ
り凝集汚泥Ｃに背圧をかけて移送し、スクリーン３の外
側に濾液Ｅを排出するようにしたスクリュープレス形の
汚泥脱水機であって、円筒形スクリーン３を、所要の弾
性を備えた線材３１を巻回してコイル状に形成して構成
するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、汚泥脱水機に関
し、特に、有機性の汚水を処理する小規模下水処理施設
等の設備から発生する固形物の粒子が小さく、脆弱な汚
泥の脱水をスクリーンの目詰まりを生じることなく効果
的に行うことができる汚泥脱水機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、下水処理施設等の設備から発生す
る汚泥の脱水機として、ベルトプレス脱水機や遠心脱水
機が広く採用されている。これらの脱水機は、高い脱水
性能が得られるものの、対象汚泥量が少なく、短時間し
か運転しない場合には、経済性や性能の安定性、さら
に、維持管理の点で問題があった。

【０００３】そこで、排出汚泥量の少ない小規模下水処
理施設等においては、食品工業等で製品や廃棄物を脱水
するために使用されているスクリュープレス形の脱水機
が利用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のスク
リュープレス形の脱水機を、例えば、汚泥脱水用として
使用する場合、食品の場合に比べて汚泥は、その固形物
の粒子が小さく、また、脆弱であるため、圧力をかける
と固形物の粒子が破壊されてしまい、脱水が困難にな
り、また、この破砕された固形物がスクリーンの目から
排出される際に目詰りを生じるという問題があった。

【０００５】本発明は、上記従来の汚泥脱水機の有する
問題点を解決し、小規模下水処理施設等の設備から発生
する固形物の粒子が小さく、脆弱な汚泥の脱水をスクリ
ーンの目詰まりを生じることなく効果的、かつ安定的に
行うことができる汚泥脱水機を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の汚泥脱水機は、円筒形スクリーンの内部に
スクリューを回転可能に挿通、配設し、該スクリューの
回転により凝集汚泥に背圧をかけて移送し、スクリーン
の外側に濾液を排出するようにしたスクリュープレス形
の汚泥脱水機において、円筒形スクリーンを、所要の弾
性を備えた線材を巻回してコイル状に形成したことを特
徴とする。

【０００７】この汚泥脱水機は、スクリューを回転可能
に挿通、配設した円筒形スクリーンを、所要の弾性を備
えた線材を巻回してコイル状に形成するようにしている
ので、スクリューの回転に伴って、スクリューと円筒形
スクリーンが接触する部分が移動するため、円筒形スク
リーンを構成するコイル状の弾性を備えた線材が所定の
範囲内で自由に移動し、これに追随して線材の隙間も所
定の範囲内で絶えず変化し、これにより、汚泥を脱水す
るスクリーン面にセルフクリーニングの作用が生じるの
で、スクリーンに目詰まりが生じることなく、脆弱な汚
泥の脱水を確実に行うことができる。

【０００８】この場合において、円筒形スクリーンの内
径を、スクリューの外径よりも小さく設定することがで
きる。

【０００９】これにより、スクリューの回転に伴って、
スクリューと円筒形スクリーンが接触する部分が移動し
ながら、スクリーンが少し拡径されるようになるので、
スクリーンの目詰まりをより確実に防止して、汚泥の脱
水を長時間に亘って安定して行うことができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の汚泥脱水機の実施
の形態を図面に基づいて説明する。

【００１１】図１〜図２に、本発明の汚泥脱水機の一実
施例を示す。この汚泥脱水機は、外筺１内に配設した円
筒形スクリーン３と、この円筒形スクリーン３内に挿通
し、回転するようにして配設したスクリュー２とから構
成される。

【００１２】スクリュー２は、汚泥脱水機１の外筺１に
軸受６を介して回転可能に支持した１本のスクリュー軸
２１の外周部に、外径ｄ１を有するスクリュー羽根２２
を螺旋状に巻き付け、溶接して一体に構成されている。
スクリュー羽根２２は、その取付ピッチを、外筺１の一
端側に形成した汚泥投入口１１から他端側に形成した汚
泥排出口１２に向かって、徐々に小さくなるように形成
し、円筒形スクリーン３内に供給された汚泥の充満する
有効容積が徐々に小さくなるように構成する。これによ
り、円筒形スクリーン３内をスクリュー２の回転によっ
て移送される汚泥が、汚泥投入口１１側から汚泥排出口
１２側に向かって徐々に加圧、脱水されるようにする。
なお、この場合、円筒形スクリーン３内をスクリュー２
の回転によって移送される汚泥が、汚泥投入口１１側か
ら汚泥排出口１２側に向かって徐々に加圧、脱水される
ようにするために、スクリュー軸２１の径を、汚泥投入
口１１側から汚泥排出口１２側に向かって徐々に大きく
なるように構成することもできる。また、スクリュー２
は、スクリュー軸２１にスクリュー羽根２２を形成した
もの以外に、容積型のねじ式ポンプに使われるような螺
旋のねじ形状のものを用いることも可能である。

【００１３】円筒形スクリーン３は、図３に示すよう
に、所要の弾性を備えた線材を用い、線材３１と線材３
１の間がほとんど接するようにして所要の内径ｄ２を有
するコイル状に巻回して形成することができる。そし
て、この円筒形スクリーン３を、汚泥脱水機の外筺１内
の両端部に近接して配設した仕切り板１４，１５間に挟
むようにして取り付けるようにする。

【００１４】この円筒形スクリーン３の内径ｄ２は、ス
クリュー２の外径ｄ１よりも少し小さく設定することが
望ましい。これにより、スクリュー２の回転に伴って、
スクリュー２と円筒形スクリーン３が接触する部分が移
動しながら、スクリーン３が少し拡径されるようになる
ので、スクリーン３の目詰まりをより確実に防止して、
汚泥の脱水を長時間に亘って安定して行うことができ
る。円筒形スクリーン３を構成する弾性を備えた線材３
１の断面形状は、図示のような円形の他に、三角形、台
形など、任意の形状のものを選定することが可能であ
る。

【００１５】上記の通り、円筒形スクリーン３の内径ｄ
２と、スクリーン２の外径ｄ１との差により、図２に示
すように、スクリュー２の外周面が円筒形スクリーン３
の内周面と接する圧力及びスクリューの回転等により、
変形位置が移動する時の円筒形スクリーン３を構成する
隣接する線材３１同士の変形量、すなわち、隙間が定め
られる。

【００１６】スクリュー２を組み込む前の円筒形スクリ
ーン３の状態を、図３に示す。このように、円筒形スク
リーン３の素材は、直径ｄ２を有し、隣接する線材３１
同士の間に隙間のない形体をしているが、スクリュー羽
根２２の外径ｄ１を円筒形スクリューの直径ｄ２よりも
大きくすることにより、スクリュー２を組み込んだ状態
では、図２に示すように、スクリュー羽根２２と円筒形
スクリーン３とが接触する部分では、円筒形スクリーン
３を構成する線材３１が押し広げられ、拡開して、この
線材と線材との間に隙間Ｘを生じるものとなる。

【００１７】円筒形スクリーン３の両端側は、図１に示
すように、仕切り板１４，１５に当接されており、円筒
形スクリーン３の一端側を、仕切り板１４と外筺１の側
板との間に形成された汚泥投入室Ａと導通するように
し、一方、他端側を、仕切り板１５と外筺１の側板との
間に形成された脱水汚泥排出室Ｂと導通するようにす
る。

【００１８】これにより、汚泥投入口１１より汚泥投入
室Ａ内へ投入された汚泥は、汚泥投入室Ａより円筒形ス
クリーン３内に供給され、円筒形スクリーン３内を通っ
て、他端側の脱水汚泥排出室Ｂ内へ排出されるものとな
る。

【００１９】また、円筒形スクリーン３の他端側の出口
には、背圧板４を配設する。この背圧板４は、記スクリ
ュー軸２１に固定ナット５を介して固定し、スクリュー
２と共に回転するようにするが、これを外筺１側に固定
することもできる。この背圧板４を設けることにより、
円筒形スクリーン３内に導入された汚泥が、その出口側
に近づくにつれて次第に大きい圧縮力が加わるようにす
ることができる。なお、スクリュー軸２１の駆動部はど
ちら側に設けてもよいが、本実施例においては、図１に
示すように、汚泥投入室Ａの外側に突出したスクリュー
軸２１に突出端にスプロケットホイール７を取り付け
て、これにチェーンを掛けてスクリュー２を設定された
回転速度で駆動させるようにしている。

【００２０】なお、下水処理施設等から回収され、脱水
を行う汚泥Ｃは、汚泥投入口１１より投入し、スクリュ
ー２と円筒形スクリーン３とにより脱水された濾液Ｅは
排水口１３より排出され、脱水ケーキＤは汚泥排出口１
２より排出されるようにする。

【００２１】次に、この汚泥脱水機の動作、作用を説明
する。下水処理施設の曝気槽、汚泥濃縮槽、汚泥貯留槽
等から引き抜かれた余剰汚泥は、そのままでは含水率が
高く、未だ固形物として凝集されていないので、このま
までは脱水できないため、汚泥フロックを強固にかつ大
きくするために高分子凝集剤、無機塩等の凝集剤を添
加、混合して凝集汚泥Ｃとする。次に、この凝集汚泥Ｃ
を、汚泥投入口１１から汚泥投入室Ａを経て円筒形スク
リーン３内へ導入する。このとき、円筒形スクリーン３
内ではスクリュー２が回転しているため、汚泥投入室Ａ
より円筒形スクリーン３内へ導入された凝集汚泥Ｃは、
スクリュー２の回転に伴って、徐々に出口側の汚泥排出
口１２に向かって移送されるが、汚泥フロック間にある
水分の大半は、円筒形スクリーン３の隣接する線材３１
間に生じる隙間Ｘから、円筒形スクリーン３の外側へ流
出し、濾液Ｅとして、排水口１３から排出される。

【００２２】凝集汚泥Ｃが出口側に達すると、背圧板４
により堰止められるようになって、汚泥投入口側に向か
って、円筒形スクリーン３内に徐々に汚泥が充満してい
くものとなる。それにつれて、圧力が高まるため、汚泥
フロック内部の保有水や表面の付着水などが押し出され
て、凝集汚泥Ｃの含水率が低下し、やがて脱水ケーキＤ
として円筒形スクリーン３の端部と背圧板４の隙間から
排出され、汚泥排出口１２から排出される。

【００２３】凝集汚泥Ｃの脱水が行われている間は、ス
クリュー２の回転によって、スクリュー２と円筒形スク
リーン３とが接触する部分は、徐々に移動するため、円
筒形スクリーン３を形成するコイル状に形成した弾性を
備えた線材３１が所定の範囲内で自由に移動し、これに
追随して線材３１の隙間Ｘも所定の範囲内で絶えず変化
し、これにより、汚泥を脱水するスクリーン面にセルフ
クリーニングの作用が生じるので、スクリーン３に目詰
まりが生じることなく、脆弱な汚泥の脱水を確実に行う
ことができる。

【００２４】また、凝集汚泥の脱水終了後、スクリーン
面の洗浄を脱水機を停止する際に行うが、これは、別途
設けた散水装置又は手作業で散水することにより行う。
この場合、円筒形スクリーン３のスクリーン目には汚泥
が詰まっていないため、スクリーン３に付着しているわ
ずかの汚泥分を洗い流す程度でよく、したがって、少な
い洗浄水で確実に洗浄できるとともに、洗浄水は排水口
１３より排出される。

【００２５】

【発明の効果】本発明の汚泥脱水機によれば、スクリュ
ーを回転可能に挿通、配設した円筒形スクリーンを、所
要の弾性を備えた線材を巻回してコイル状に形成するよ
うにしているので、スクリューの回転に伴って、スクリ
ューと円筒形スクリーンが接触する部分が移動するた
め、円筒形スクリーンを構成するコイル状の弾性を備え
た線材が所定の範囲内で自由に移動し、これに追随して
線材の隙間も所定の範囲内で絶えず変化し、これによ
り、汚泥を脱水するスクリーン面にセルフクリーニング
の作用が生じるので、スクリーンに目詰まりが生じるこ
となく、脆弱な汚泥の脱水を確実かつ安定的に行うこと
ができ、維持管理が容易で、さらに、洗浄を脱水終了の
際にわずかな量の洗浄水で行うことができることと相俟
って、低コストで汚泥の脱水を行うことができる。

【００２６】また、円筒形スクリーンの内径を、スクリ
ューの外径よりも小さく設定することにより、スクリュ
ーの回転に伴って、スクリューと円筒形スクリーンが接
触する部分が移動しながら、スクリーンが少し拡径され
るようになるので、スクリーンの目詰まりをより確実に
防止して、汚泥の脱水を長時間に亘って安定して行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の汚泥脱水機の一実施例を示す正面断面
図である。

【図２】同円筒形スクリーン内にスクリューを挿通した
状態を示す説明図である。

【図３】同円筒形スクリーンを示す説明図である。

【符号の説明】

１ 脱水機 ２ スクリュー ２１ スクリュー軸 ２２ スクリュー羽根 ３ 円筒形スクリーン ３１ 線材 ４ 背圧板 ５ 固定ナット ６ 軸受 ７ スプロケットホイール １１ 汚泥投入口 １２ 汚泥排出口 １３ 排水口 １４ 仕切り板 １５ 仕切り板 Ａ 汚泥投入室 Ｂ 脱水汚泥排出室 Ｃ 凝集汚泥 Ｄ 脱水ケーキ Ｅ 濾液 Ｘ 隙間

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒形スクリーンの内部にスクリューを
   回転可能に挿通、配設し、該スクリューの回転により凝
   集汚泥に背圧をかけて移送し、スクリーンの外側に濾液
   を排出するようにしたスクリュープレス形の汚泥脱水機
   において、円筒形スクリーンを、所要の弾性を備えた線
   材を巻回してコイル状に形成したことを特徴とする汚泥
   脱水機。
2. 【請求項２】 円筒形スクリーンの内径を、スクリュー
   の外径よりも小さく設定したことを特徴とする請求項１
   記載の汚泥脱水機。