JP2000295824A - 回転子の組立方法、回転子、ステッピングモータ - Google Patents

回転子の組立方法、回転子、ステッピングモータ

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JP2000295824A JP11094103A JP9410399A JP2000295824A JP 2000295824 A JP2000295824 A JP 2000295824A JP 11094103 A JP11094103 A JP 11094103A JP 9410399 A JP9410399 A JP 9410399A JP 2000295824 A JP2000295824 A JP 2000295824A
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紀之 水永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シャフトとコアとの同軸度を向上し、モータの
高性能化に寄与する。 【解決手段】回転子1は、外周部に硬化層5を有するシ
ャフト(回転軸)2と、一対のコア4と、それらの間に
位置する永久磁石3とを備えている。この回転子1は、
シャフト2の外周部に硬化層5を形成する工程と、硬化
層5の表面を研磨して、その厚さ方向の一部を除去する
工程と、このシャフト2をコア4の中心部に形成された
孔42内に圧入する工程とを経て組み立てられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種モータの回転
子、回転子の組立方法、ステッピングモータに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】例えば、カメラ、ビデオカメラのフォー
カシングやズーミング、プリンターのの印字機能に小型
のステッピングモータが用いられている。このようなス
テッピングモータには、その用途に関連した理由から、
低消費電力であること、できるだけ低い入力値(電流)
で駆動に必要なトルクが得られること、作動精度を高め
るために振動を低くすること、駆動の高速化のために高
周波数域まで回転が可能であること、角度精度が良いこ
と等の特性を要求される。このようにモータの小型化、
高性能化に伴い、回転子の寸法精度の向上が要求され
る。
【0003】図12は、従来のステッピングモータの回
転子の構造を示す縦断面図である。同図に示すように、
回転子10は、シャフト11(回転軸)と、金属板12
1を積層してなる一対のコア12と、両コア12の間に
配置された永久磁石13とで構成されている。
【0004】また、ローレット加工によって、シャフト
11の外周面111の一部に、シャフト11の回転方向
の滑りを防止するための、ローレット部(凹凸)112
が形成されている。シャフト11とコア12とは、この
ローレット部112の凹凸を介して圧着固定されてい
る。
【0005】しかし、このような従来の回転子10で
は、ローレット加工する際のシャフトに加わる応力によ
りシャフト11自身が変形し、要求される真直度が得ら
れないという欠点がある。
【0006】また、ローレット部112に成形される凹
凸は、高い寸法精度で形成することができないため、シ
ャフト11の径寸法にばらつきが生じ、シャフト11と
コア12との固定力に不均一が生じやすい。さらには、
コア4の真直度が要求される基準よりも大きくなる。
【0007】また、ローレット部112の代わりに、例
えば、ステーキング加工によるステーキング(圧痕)を
形成する方法もあるが、この場合でも、前記ローレット
加工と同様に、加工時に、シャフト11の変形を起こ
し、同様の欠損を生じる。
【0008】このようなことから、従来の回転子10で
は、シャフト11をコア12の孔内に嵌入したとき、シ
ャフト11とコア12の高い同軸度を得ることができ
ず、固定強度にもばらつきが生じる。したがって、回転
子10を回転させたとき、偏心回転により振動・騒音が
生じ、モータにおける回転精度の向上・高性能化の妨げ
となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シャ
フトとコアとの同軸度を向上し、モータの高性能化に寄
与する回転子、その組立方法およびステッピングモータ
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(19)の本発明により達成される。
【0011】(1) 金属板を複数枚積層してなるコア
と、前記コアの中心部に固定されるシャフトとを備えた
回転子の組立方法であって、前記シャフトの外周部に硬
化層を形成する工程と、そのシャフトを前記コアの中心
部に形成された孔内に圧入する工程とを有することを特
徴とする回転子の組立方法。
【0012】(2) 金属板を複数枚積層してなるコア
と、前記コアの中心部に固定されるシャフトとを備えた
回転子の組立方法であって、前記シャフトの外周部に硬
化層を形成する工程と、前記硬化層の表面を研磨して、
その厚さ方向の一部を除去する工程と、そのシャフトを
前記コアの中心部に形成された孔内に圧入する工程とを
有することを特徴とする回転子の組立方法。
【0013】(3) 前記研磨による前記硬化層の除去
量は、平均厚さ20μm以下である上記(2)に記載の
回転子の組立方法。
【0014】(4) 前記研磨による前記硬化層の除去
量は、研磨以前の硬化層の厚さの0.03〜0.85倍
である上記(2)または(3)に記載の回転子の組立方
法。
【0015】(5) 前記コアは、前記孔の内面の形状
により、その少なくとも一部が、前記硬化層の表面に圧
着されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載
の回転子の組立方法。
【0016】(6) 前記コアを構成する各金属板のう
ちの少なくとも1つの金属板は、前記孔内において、当
該金属板の厚さ方向の一部が、前記硬化層の表面に圧着
されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の
回転子の組立方法。
【0017】(7) 前記コアを構成する各金属板のう
ちの少なくとも1つの金属板が、前記シャフトの圧入に
関与している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載
の回転子の組立方法。
【0018】(8) 前記コアを構成する各金属板のう
ちの少なくとも1つの金属板は、前記孔内において、当
該金属板の周方向の一部が、前記硬化層の表面に圧着さ
れている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の回
転子の組立方法。
【0019】(9) 前記硬化層の形成は、熱処理によ
りなされたものである上記(1)ないし(8)のいずれ
かに記載の回転子の組立方法。
【0020】(10) 処理温度が450〜650℃、
処理時間が0.1〜3時間である上記(9)に記載の回
転子の組立方法。
【0021】(11) 前記硬化層の形成は、窒化処理
によりなされたものである上記(1)ないし(10)の
いずれかに記載の回転子の組立方法。
【0022】(12) シャフトの圧入工程の直前にお
ける前記硬化層の厚さが、3〜100μmである上記
(1)ないし(11)のいずれかに記載の回転子の組立
方法。
【0023】(13) 前記シャフトは、軟磁性または
非磁性材料で構成される上記(1)ないし(12)のい
ずれかに記載の回転子の組立方法。
【0024】(14) 前記コアの内周面のビッカース
硬度をHv1、前記硬化層のビッカース硬度をHv2とし
たとき、Hv2>Hv1である上記(1)ないし(13)
のいずれかに記載の回転子の組立方法。
【0025】(15) 前記コアの内周面のビッカース
硬度をHv1、前記シャフトの前記硬化層より中心側の
部分のビッカース硬度をHv3としたとき、Hv1≧Hv
3である上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の
回転子の組立方法。
【0026】(16) 前記シャフトの前記コアに対し
圧着している部分の圧着力は、20〜700kgf/m
2である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載
の回転子の組立方法。
【0027】(17) 前記回転子は、ステッピングモ
ータに用いられるものである上記(1)ないし(16)
いずれかに記載の回転子の組立方法。
【0028】(18) 上記(1)ないし(17)のい
ずれかに記載の回転子の組立方法により組み立てられた
ことを特徴とする回転子。
【0029】(19) 上記(18)に記載の回転子を
インナーロータとして備えたことを特徴とするステッピ
ングモータ。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の回転子、回転子の
組立方法およびステッピングモータを添付図面に示す好
適実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明
で、シャフトの回転軸方向(図1、3、6、7、8、
9、11中の上下方向)を、単に「軸方向」、シャフト
の周軸方向を、「周方向」と言う。
【0031】図1は、本発明の回転子の第1実施形態を
示す縦断面図、図2は、図1中の円形で囲んだ部分の拡
大図である。
【0032】図1、図2に示す回転子1は、後述する本
発明の回転子の組立方法により組み立てられたものであ
り、シャフト(回転軸)2と、永久磁石3と、一対のコ
ア4とを備えている。この回転子1は、例えば、PM
型、VR型、HB型のステッピングモータにおけるステ
ータ(図示せず)の内側に配置されるインナーロータ型
の回転子である。以下、これらの構造について詳述す
る。
【0033】図1に示すように、回転子1は、一対のコ
ア4を有し、各コアの中心部には、孔42が形成されて
いる。シャフト2は、この孔42に圧入され、固定され
ている。このとき、シャフト2の外周面21は、後述す
るような孔42の内面の形状により、コア4の少なくと
も一部に圧着されている。また、永久磁石3は、一対の
コア4により挟持され、回転子1を構成している。
【0034】本実施形態において、コア4は、複数枚の
円盤形状の金属板41を積層、一体化したものである。
また、各金属板41同士の固定は、例えば、接着剤によ
る接着、溶接、カシメ等の方法により行なわれている。
【0035】図2に示すように、コア4を構成する各金
属板41のうちの少なくとも一部の金属板41は、この
コア4の孔42内において、この金属板41の厚さ方向
の一部が、シャフト2の外周面21、すなわち硬化層5
の表面に圧着されている。特に、コア4を構成する金属
板41の全てが、このような圧着に関与していることが
好ましい。
【0036】各金属板41の厚さをT1、各金属板41
のシャフト2に圧着されている部分の厚さをT2とした
とき、T2/T1は、特に限定されないが、T2/T1が、
0.1〜0.9であることが好ましく、0.3〜0.8
がより好ましい。T2/T1が、0.1未満であると、シ
ャフト2とコア4との固定が不安定となり易く、また、
0.9超であると、固着力は高いが、シャフト2を圧入
する際に、高い押込力が必要となる。
【0037】図2に示すように、金属板41の内周面
(孔42に臨む部分)の形状は、金属板41の片面側の
角部が、テーパ状に欠損した形状であり、この欠損部6
以外の部分が、シャフト2の外周面21(硬化層5の表
面)と圧着されている。
【0038】このように、金属板41の内周面の形状に
より、金属板41のシャフト2に対する圧着面積を調整
することができる。この圧着面積を所望に設定すること
により適度な圧着力で圧入固定することができる。ま
た、この実施形態の場合、後述する実施形態4、5、6
に比べ、シャフト2の圧着力が軸方向に適度に分散さ
れ、シャフト2の曲りをより有効に防止することができ
るという利点がある。
【0039】なお、欠損部6の形状は、図示のテーパ状
に限らず、例えば、円弧状等の曲線状でもよい。
【0040】また、コア4を構成する各金属板41は、
プレス加工により成形されたものが好ましい。プレス加
工によれば、所望の形状の金属板41が、連続的に製造
可能であり、そのため、生産性が高く、量産に適してい
る。
【0041】コア4を構成する全ての金属板41の形状
は、同じであるのが好ましい。同形状の金属板41を使
用することにより、例えば、プレス成形で製造したとき
に、同じ金型で、連続的に製造することができる。この
ため、量産性が高く、生産性に優れて、安価となる。
【0042】金属板41の構成材料としては、例えば、
珪素鋼板、ステンレス鋼板、純鉄のような金属材料等が
挙げられる。
【0043】シャフト2は、円柱状の部材であり、コア
4の孔42内に圧入され、固定されている。
【0044】このとき、シャフト2の外周面21とコア
4の内周面とが圧着している部分の圧着力(圧入力)
は、20〜700kgf/mm2であることが好まし
く、80〜500kgf/mm2であることがより好ま
しい。圧着力が、20kgf/mm2未満であると、シ
ャフト2の固定が不安定となり、700kgf/mm2
超であると、圧着部の変形や破損が生じるおそれがあ
る。
【0045】シャフト2を構成する材料としては、イン
ナーロータ型の回転子の機能上、磁化されないまたはさ
れ難いもの、すなわち、弱磁性または非磁性材料が好ま
しい。その具体的な例としては、オーステナイト系ステ
ンレス鋼、チタンまたはチタン合金、真鍮、銅または銅
合金等の金属材料が挙げられる。本実施形態において、
オーステナイト系ステンレス鋼製のシャフト2について
代表的に説明する。
【0046】シャフト2は、その外周部に硬化層5を有
する。シャフト2に使用される弱磁性または非磁性材料
は、比較的硬度の低い材料が多いため、このような硬化
層5を設けることにより、シャフト2をコア4の孔42
に圧入する際、シャフト2の外周面21の傷付きや破損
が防止される。この硬化層5の形成方法については、後
に詳述する。
【0047】シャフト2に形成される硬化層5は、コア
4の内周面(シャフト2に対する圧着面)のビッカース
硬度をHv1、硬化層5のビッカース硬度をHv2とした
とき、Hv2>Hv1を満足するようなものであるのが好
ましく、Hv2>3Hv1を満足するようなものがより好
ましい。これにより圧入の際のシャフト2の外周面21
の傷付き、破損をより有効に防止することができる。
【0048】また、コア4の内周面のビッカース硬度を
Hv1、シャフト2の硬化層5より中心側の部分のビッ
カース硬度をHv3としたとき、Hv1≧Hv3を満足す
ることが好ましく、Hv1≧1.2Hv3を満足すること
がより好ましい。この場合には、硬化層5が有効に機能
し、圧入の際のシャフト2の外周面21の傷付き、破損
をより確実に防止することができる。
【0049】前記Hv2と、前記Hv3とは、その差Hv
2−Hv3が、200以上であるのが好ましく、400以
上であることがより好ましい。これによりシャフト2の
圧入の際、シャフト2の外周面21の傷付き、破損をよ
り有効に防止することができる。
【0050】前記Hv1は、50〜400であるのが好
ましく、100〜300であるのがより好ましい。Hv
1が、50未満では、コア4の内周面が変形してしま
う。400超では、圧入時の圧着力が増大することとな
る。
【0051】前記Hv2は、600以上であるのが好ま
しく、800以上であることがより好ましい。このよう
な値とすることにより、圧入の際、シャフト2の外周面
21の傷付きをより有効に防止することができる。
【0052】シャフト2の材料として前述した非磁性や
弱磁性材料を用いた場合、Hv3は、通常、100〜4
00程度となる。
【0053】なお、硬化層5は、図1に示すように、シ
ャフト2の外周部の全体にわたって形成する場合に限ら
ず、一部分であってもよい。例えば、図3に示すよう
に、シャフト2をコア4に対し、矢印Y方向に圧入する
場合、圧入する方向の先端(シャフト2の図中下端)か
ら圧入完了時にコア4の孔42に対応する部分までの範
囲に形成されていてもよい。すなわち、圧入の際、シャ
フト2の孔42を通過しない部分には、硬化層5が形成
されていなくてもよい。このような場合でも、前記と同
様に、圧入の際、シャフト2の外周面21の傷付きが防
止できる。
【0054】永久磁石3は、リング状(円盤状)であ
り、両コア4間に挟持され、固定されている。また、こ
の永久磁石3は、厚さ方向に二極着磁されている。
【0055】永久磁石3としては、磁気特性に優れたも
のが用いられ、例えば、希土類元素と遷移金属とを基本
成分とするもの(例:Sm−Co系磁石)、あるいは希
土類元素と遷移金属とボロンとを基本成分とするもの
(例:Nd−Fe―B系磁石)のような各種希土類磁石
が好適に使用される。また、永久磁石3の形態(種類)
は、例えば、ボンド磁石、焼結磁石、鋳造磁石等、いず
れでもよい。
【0056】次に、第2実施形態について説明する。こ
の場合、第1実施形態の回転子1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0057】図4は、本発明の回転子の第2実施形態を
示す部分拡大断面図である。
【0058】本実施形態の回転子1は、コア4を構成す
る金属板41において、金属板41の内周面の形状が前
記第1実施形態と異なる。すなわち、金属板41の両面
側の角部が、テーパ状に欠損した形状(欠損部7)であ
り、金属板41の厚さ方向の中央部分がシャフト2の外
周面21に圧着される。これによる作用・効果は、前記
第1実施形態と同様である。
【0059】次に、第3実施形態について説明する。こ
の場合、第1実施形態の回転子1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0060】図5は、本発明の回転子の第3実施形態を
示す部分拡大断面図である。
【0061】本実施形態の回転子1は、コア4を構成す
る金属板41において、金属板41の内周面の形状が前
記第1実施形態と異なる。すなわち、金属板41の中央
部が、円弧状に欠損した形状(欠損部8)であり、金属
板41の厚さ方向の両端部がシャフト2の外周面21に
圧着される。これによる作用・効果は、前記第1実施形
態と同様である。
【0062】次に、第4実施形態について説明する。こ
の場合、第1実施形態の回転子1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0063】図6は、本発明の回転子の第4実施形態を
示す縦断面図である。
【0064】本実施形態の回転子1は、コア4の積層構
造が前記第1実施形態と異なる。すなわち、コア4は、
シャフト2の圧入に関与しない金属板41aとシャフト
2の圧入に関与する金属板41bとで構成されている。
【0065】金属板41aは、中心部にシャフト2の外
径よりも大きい孔43を有し、シャフト2との間に、所
定の間隙が形成されている。一方、金属板41bの内周
面は、シャフト2の外周面21(硬化層5の表面)に圧
着している。
【0066】各コア4における金属板41bの軸方向に
おける位置は、コア4、4中、それらが互いに接近する
ような配置(すなわち、永久磁石3に近い側とされてい
る)とされている。
【0067】このような構成の回転子1では、圧入に関
与する金属板41bの枚数を調整することにより、圧入
の圧着面積を調節することができる。したがって、適度
な圧着力で、シャフト2とコア4とを安定的に圧入、固
定することができる。
【0068】金属板41の全枚数をN1、圧入に関与す
る金属板41の枚数をN2としたとき、N2/N1は、特
に限定されないが、N2/N1が0.1〜0.9であるこ
とが好ましく、0.3〜0.8がより好ましい。N2
1が、0.1未満であれば、シャフト2とコア4との
固定が不安定となり易く、また、0.9超であれば、固
着力は高いが、シャフト2を圧入する際に、高い押込力
が必要となる。
【0069】次に、第5実施形態について説明する。こ
の場合、第4実施形態の回転子1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0070】図7は、本発明の回転子の第5実施形態を
示す縦断面図である。
【0071】本実施形態の回転子1は、コア4の積層構
造が前記第4実施形態と異なる。すなわち、厚入に関与
する金属板41bが、軸方向に、両コア4の中、永久磁
石3を介して、互いに離間するように配置されている。
これによる作用・効果は、前記第4実施形態と同様であ
る。
【0072】次に、第6実施形態について説明する。こ
の場合、第4実施形態の回転子1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0073】図8は、本発明の回転子の第6実施形態を
示す縦断面図である。
【0074】本実施形態の回転子1は、コア4の積層構
造が前記第4実施形態と異なる。すなわち、圧入に関与
する金属板41bは、1つのコア4において、金属板4
1bが、コアの厚さ方向の中心部に配置されている。こ
れによる作用・効果は、前記第4実施形態と同様であ
る。
【0075】次に、第7実施形態について説明する。こ
の場合、第4実施形態の回転子1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0076】図9は、本発明の回転子の第7実施形態を
示す縦断面図である。
【0077】本実施形態の回転子1は、コア4の積層構
造が前記第4実施形態と異なる。すなわち、圧入に関与
する金属板41bは、軸方向に、両コア4の中、金属板
41aと、金属板41bとが、交互に積層されている。
これによる作用・効果は、前記第4実施形態と同様であ
る。なお、この実施形態の場合、前述した実施形態4、
5、6に比べ、シャフト2の圧着力が軸方向に適度に分
散され、シャフト2の真直度がより良好となるという利
点がある。
【0078】なお、コア4の積層構造を各実施形態に基
づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるもの
ではない。例えば、図6〜図9では、両コア4は、永久
磁石3を介して対称的な構造となっているが、これに限
らず、非対称であってもよい。
【0079】次に、第8実施形態について説明する。こ
の場合、第1実施形態の回転子1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0080】図10は、本発明の回転子の第8実施形態
を示す平面図、図11は、本発明の回転子の第8実施形
態を示すA-A線断面図である。
【0081】本実施形態の回転子1は、コア4を構成す
る金属板41の形状が異なる。すなわち、コア4を構成
する各金属板41のうちの少なくとも一部の金属板41
は、孔42内において、金属板41の周方向の一部が、
シャフト2の外周面21(硬化層5の表面)に圧着され
ている。
【0082】図10、図11に示すように、金属板41
は、孔42に連通する切り欠き44を有し、切り欠き4
4のない部分がシャフト2の外周面21(硬化層5の表
面)に圧着されている。この切り欠き44は、周方向に
沿って、等角度間隔に配置されている。本実施形態にお
いては、周方向に、4つの切り欠き44が90°の角度
間隔で配置されている。
【0083】また、各金属板41は、それら切り欠き4
4が軸方向に一致するように積層、配置されている。な
お、図11に示すように、各金属板41において切り欠
き44の位置は、軸方向に一致しているが、この限りで
はなく、切り欠き44の位置は、必ずしも一致していな
くてもよい。
【0084】このように、シャフト2と圧着される金属
板41の内周面に、切り欠き44を設けることにより、
シャフト2の外周面21との圧着面積を調整することが
できる。特に、切り欠き44の面積や個数を調整するこ
とにより、適度な圧着力で、シャフト2とコア4とを安
定的に圧入、固定することができる。
【0085】このとき、シャフト2の圧入部における外
径をL1、金属板41のシャフト2に接触している部分
の周方向の長さの合計をL2としたとき、L2/L1が、
0.5〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5
がより好ましい。L2/L1が、0.5未満であると、シ
ャフト2とコア4との固定が不安定となり易く、また、
3.0超であると、固着力は高いが、シャフト2を圧入
する際に、高い押込力が必要となる。
【0086】切り欠き44の形状は、図10に示すよう
に、ほぼ台形であるが、これに限らず、例えば、円弧
状、V字状等でもよい。
【0087】なお、図4〜図11に記載の回転子1にお
いても、硬化層5の形成領域は、シャフト2の全長に限
らず、例えば、図3に示すように、シャフト2の軸方向
の一部でもよい。
【0088】以上より、本発明は、第1に、図1〜図5
に示すような、圧着に関与する金属板41の内周面の形
状により、第2に、図6〜図9に示すような、圧着に関
与する金属板41bの枚数を調整することにより、第3
に、図10〜図11に示すような、金属板41の圧着す
る部分の周方向の長さを調整することにより、シャフト
2との圧着面積を調整し、シャフト2との適度な圧着力
で、シャフト2とコア4とを安定的に圧入、固定するこ
とができる。
【0089】また、本発明では、上記第1〜第3の構成
のうち、2つ以上の構成を組み合わせてもよい。
【0090】次に、回転子1の組立方法の一例について
説明する。
【0091】回転子1は、シャフト2の外周部に硬化層
5を形成する工程と、硬化層5の表面を研磨して、その
厚さ方向の一部を除去する工程と、このシャフト2をコ
ア4の中心部に形成された孔42内に圧入する工程とを
経て組み立てられる。
【0092】[1] 硬化層の形成工程 シャフト2の外周部に硬化層5を形成する。その方法
は、例えば、熱処理、めっき、蒸着、スパッタリングの
ような表面硬化処理等が挙げられる。本実施形態の硬化
層5の形成は、熱処理によりなされたものである。熱処
理は、処理雰囲気、加熱温度、処理時間等を適宜調節す
ることにより、容易に、必要な条件の硬化層5を形成す
ることができる。
【0093】この熱処理は、処理温度が400〜800
℃、処理時間が0.1〜3時間であることが好ましく、
処理温度が450〜650℃、処理時間が0.5〜2時
間であることがより好ましい。低温、短時間の熱処理で
は、シャフト2の構成材料等の条件によっては、硬化層
5の硬度が不十分となるかまたは硬化層5の厚さが薄く
なることがあり、また、高温、長時間の熱処理では、シ
ャフト2自体の機械的特性(強度、靭性)等が必要以上
に変化してしまうことがある。
【0094】この熱処理としては、例えば、窒化処理、
浸炭処理、高周波焼き入れのような熱処理等が挙げられ
る。本実施形態は、窒化処理によりなされたものであ
る。これにより幅広い金属材料に対応でき、必要な硬化
層5を形成させることができる。また、窒素を利用する
ことでコストの低減化が図れる。
【0095】また、窒化処理としては、例えば、塩浴窒
化処理、ガス窒化処理のような軟窒化処理等が挙げられ
る。これらのうちでも、塩浴窒化処理の1種であるタフ
トライド処理により軟窒化処理された硬化層5が好まし
い。
【0096】[2]硬化層の研磨工程 次に、必要に応じ、工程[1]で形成された硬化層5の表
面を研磨して、その厚さ方向の一部を除去する。このよ
うに、硬化層5の一部を研磨することにより、シャフト
2の真直度を向上させることができる。また、この研磨
により、シャフト2の外径の寸法精度や面粗度等が向上
し、シャフト2とコア4との固定力の安定化が図れる。
このように、シャフト2の真直度や外径寸法精度等の向
上により、回転子1の回転精度、同軸度をより高いもの
とすることができる。
【0097】また、シャフト2の面粗度が向上すること
は、シャフト2を保持する軸受け(滑り軸受け)との摩
擦が緩和されることになるため、シャフト2および軸受
けの耐久性が向上し、寿命が長くなる。
【0098】研磨方法としては、例えば、バフ研磨、バ
レル研磨、ショットブラストのような砥粒加工、化学研
磨、電解研磨のような特殊加工等の研磨方法が挙げられ
る。これらのうちでも特に、砥粒加工により硬化層5を
研磨することが好ましい。
【0099】本実施形態において、研磨の際の硬化層5
の除去量は、20μm以下であることが好ましく、15
μm以下であることがより好ましい。除去量が、20μ
m超であると、硬化層5の形成の際にその厚さを厚くし
なければならないので、硬化層5の形成に手間と時間が
かかり、また、研磨作業にも手間と時間がかかる。
【0100】本実施形態において、研磨による硬化層5
の除去量は、特に限定されないが、研磨以前の硬化層5
の厚さの0.03〜0.85倍以下であることが好まし
く、0.1〜0.75倍がより好ましく、0.2〜0.
6倍がさらに好ましい。硬化層5の除去量の硬化層5の
研磨前の厚さに対する比率が小さすぎると、前述の研磨
による効果が十分に発揮されないおそれがある。一方、
この比率が0.85倍を超えると、硬化層5の残存部分
が少なくなり、硬化層5を形成したことによる前述の効
果が十分に発揮されないおそれがある。
【0101】シャフト2の圧入工程(次記工程[3])の
直前における硬化層5の厚さ(以下単に「硬化層の厚さ」
と言う)T3は、3〜100μmであることが好まし
く、10〜80μmはより好ましい。3μm未満である
と、硬化層5を形成したことによる前述の効果が十分に
発揮されないことがあり、また、100μmを超えて
も、その効果の向上がみられない。なお、本発明は、硬
化層5の研磨を行なわない場合も含んでおり、この場合
には、厚さT3は、工程[1]で形成された硬化層5の厚
さそのものとなる。
【0102】[3]圧入工程 次に、この硬化層5を有するシャフト2を両コア4の中
心部に形成された孔42内に圧入する。これにより永久
磁石3を介して接合された一対のコア4に、シャフト2
が同軸で固定され、回転子1の組み立てが完了する。
【0103】圧入方法としては、例えば、油圧プレス
機、エアプレス機、ハンドプレス機等が挙げられる。こ
れらのうちでも特に、油圧プレス機によりシャフト2を
圧入することが好ましい。
【0104】このとき、シャフト2を圧入するコア4の
内周面の形状、すなわち、孔42の形状は、図6〜図1
1のいずれでもよい。
【0105】なお、本発明の回転子1の組立方法を各工
程に基づいて説明したが、本発明は、これに限定される
ものではない。例えば、[1] 〜[3]の各工程の前後
に、任意の工程があってもよい。
【0106】以上のようにして得られた各実施形態の回
転子1を、ステータの内側に組み込んで本発明のステッ
ピングモータとすることができる。この場合、当該ステ
ッピングモータを構成する回転子以外の部品、すなわ
ち、ステータ、モータハウジング、通電回路等は、公知
の任意の構成のものとすることができるので、本明細書
では、それらの図示および詳細な構造、作用等の説明は
省略する。
【0107】以上、本発明の回転子およびステッピング
モータを各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、
これらに限定されるものではない。
【0108】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、シ
ャフトが硬化層を有することにより、圧入の際のシャフ
トの傷付きや破損を防止することができる。
【0109】また、シャフト側に、ローレット加工やス
テーキング加工等を施さなくてもよいので、加工時のシ
ャフトの変形がなく、高い真直度を保持することができ
るとともに、コアとシャフトとの同軸度の向上が図れ
る。
【0110】また、硬化層の表面を研磨することによ
り、シャフトの真直度、外径の寸法精度、面粗度等がよ
り高まり、同軸度や歩留まりの向上、固定の安定化、均
一化が図れる。
【0111】また、シャフトとコアとを、部分的に圧着
した場合には、圧入作業が容易であるとともに、コアと
シャフトの接触面圧を調整し、圧着力を適度な値に設定
することができる。
【0112】以上のことから、ステッピングモータ等の
モータに適用した場合、駆動時の振動・騒音が低減さ
れ、高トルク(高性能)なモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転子の第1実施形態を示す縦断面図
である。
【図2】図1中の円形で囲んだ部分の拡大図である。
【図3】本発明の回転子の他の実施形態を示す縦断面図
である。
【図4】本発明の回転子の第2実施形態を示す部分拡大
断面図である。
【図5】本発明の回転子の第3実施形態を示す部分拡大
断面図である。
【図6】本発明の回転子の第4実施形態を示す縦断面図
である。
【図7】本発明の回転子の第5実施形態を示す縦断面図
である。
【図8】本発明の回転子の第6実施形態を示す縦断面図
である。
【図9】本発明の回転子の第7実施形態を示す縦断面図
である。
【図10】本発明の回転子の第8実施形態を示す平面図
である。
【図11】図10中のA-A線断面図である。
【図12】従来の回転子を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 回転子 2 シャフト 21 外周面 3 永久磁石 4 コア 41 金属板 41a 金属板 41b 金属板 42 孔 43 孔 44 切り欠き 5 硬化層 6 欠損部 7 欠損部 8 欠損部 10 回転軸 11 シャフト 111 外周面 112 ローレット部 12 コア 121 金属板 13 永久磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H002 AA04 AA09 AB07 AB08 AC02 AC04 AC06 5H615 AA01 BB01 BB08 BB14 PP02 PP06 PP24 SS03 SS05 SS08 SS13 SS16 SS18 SS19 SS21 SS24 SS31 TT04 TT05 TT13 TT16

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板を複数枚積層してなるコアと、前
    記コアの中心部に固定されるシャフトとを備えた回転子
    の組立方法であって、 前記シャフトの外周部に硬化層を形成する工程と、 そのシャフトを前記コアの中心部に形成された孔内に圧
    入する工程とを有することを特徴とする回転子の組立方
    法。
  2. 【請求項2】 金属板を複数枚積層してなるコアと、前
    記コアの中心部に固定されるシャフトとを備えた回転子
    の組立方法であって、 前記シャフトの外周部に硬化層を形成する工程と、 前記硬化層の表面を研磨して、その厚さ方向の一部を除
    去する工程と、 そのシャフトを前記コアの中心部に形成された孔内に圧
    入する工程とを有することを特徴とする回転子の組立方
    法。
  3. 【請求項3】 前記研磨による前記硬化層の除去量は、
    平均厚さ20μm以下である請求項2に記載の回転子の
    組立方法。
  4. 【請求項4】 前記研磨による前記硬化層の除去量は、
    研磨以前の硬化層の厚さの0.03〜0.85倍である
    請求項2または3に記載の回転子の組立方法。
  5. 【請求項5】 前記コアは、前記孔の内面の形状によ
    り、その少なくとも一部が、前記硬化層の表面に圧着さ
    れている請求項1ないし4のいずれかに記載の回転子の
    組立方法。
  6. 【請求項6】 前記コアを構成する各金属板のうちの少
    なくとも1つの金属板は、前記孔内において、当該金属
    板の厚さ方向の一部が、前記硬化層の表面に圧着されて
    いる請求項1ないし5のいずれかに記載の回転子の組立
    方法。
  7. 【請求項7】 前記コアを構成する各金属板のうちの少
    なくとも1つの金属板が、前記シャフトの圧入に関与し
    ている請求項1ないし6のいずれかに記載の回転子の組
    立方法。
  8. 【請求項8】 前記コアを構成する各金属板のうちの少
    なくとも1つの金属板は、前記孔内において、当該金属
    板の周方向の一部が、前記硬化層の表面に圧着されてい
    る請求項1ないし7のいずれかに記載の回転子の組立方
    法。
  9. 【請求項9】 前記硬化層の形成は、熱処理によりなさ
    れたものである請求項1ないし8のいずれかに記載の回
    転子の組立方法。
  10. 【請求項10】 処理温度が450〜650℃、処理時
    間が0.1〜3時間である請求項9に記載の回転子の組
    立方法。
  11. 【請求項11】 前記硬化層の形成は、窒化処理により
    なされたものである請求項1ないし10のいずれかに記
    載の回転子の組立方法。
  12. 【請求項12】 シャフトの圧入工程の直前における前
    記硬化層の厚さが、3〜100μmである請求項1ない
    し11のいずれかに記載の回転子の組立方法。
  13. 【請求項13】 前記シャフトは、軟磁性または非磁性
    材料で構成される請求項1ないし12のいずれかに記載
    の回転子の組立方法。
  14. 【請求項14】 前記コアの内周面のビッカース硬度を
    Hv1、前記硬化層のビッカース硬度をHv2としたと
    き、Hv2>Hv1である請求項1ないし13のいずれか
    に記載の回転子の組立方法。
  15. 【請求項15】 前記コアの内周面のビッカース硬度を
    Hv1、前記シャフトの前記硬化層より中心側の部分の
    ビッカース硬度をHv3としたとき、Hv1≧Hv3であ
    る請求項1ないし14のいずれかに記載の回転子の組立
    方法。
  16. 【請求項16】 前記シャフトの前記コアに対し圧着し
    ている部分の圧着力は、20〜700kgf/mm2
    ある請求項1ないし15のいずれかに記載の回転子の組
    立方法。
  17. 【請求項17】 前記回転子は、ステッピングモータに
    用いられるものである請求項1ないし16いずれかに記
    載の回転子の組立方法。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし17のいずれかに記載
    の回転子の組立方法により組み立てられたことを特徴と
    する回転子。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の回転子をインナー
    ロータとして備えたことを特徴とするステッピングモー
    タ。
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