JP2000294258A - 固体高分子型燃料電池の製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池の製造方法

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JP2000294258A
JP2000294258A JP11096879A JP9687999A JP2000294258A JP 2000294258 A JP2000294258 A JP 2000294258A JP 11096879 A JP11096879 A JP 11096879A JP 9687999 A JP9687999 A JP 9687999A JP 2000294258 A JP2000294258 A JP 2000294258A
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ion exchange
exchange membrane
membrane
adhesive
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Masaru Yoshitake
優 吉武
Yasuhiro Kunihaza
康弘 国狭
Eiji Endo
栄治 遠藤
Eiji Yanagisawa
栄治 柳沢
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガス拡散電極とイオン交換膜とを、イオン交換
膜にしわが発生せずに電極と膜の接合面が平滑で、かつ
接合強度が高くなるように常温にて接合する方法の提
供。 【解決手段】基材に固定された、イオン交換基を有する
パーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜と、
ガス拡散電極とを、イオン交換基を有するパーフルオロ
カーボン重合体を溶質として含む接着剤を用いて接合し
た後、前記基材をイオン交換膜からはく離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素・酸素燃料電池は、反応生成物が原
理的に水のみであり、地球環境への悪影響がほとんどな
い発電システムとして注目されている。特に、固体高分
子型燃料電池は、近年の研究の急速な進展により出力密
度が高くなりつつあり、実用化がおおいに期待されてい
る。
【0003】固体高分子型燃料電池の固体高分子電解質
であるイオン交換膜と、触媒を含む電極とは、密接して
配置されている。本明細書では、イオン交換膜と電極が
密接して配置され、みかけ上接合されているものを膜・
電極接合体という。従来、膜・電極接合体の製造方法に
は、大別して4つの方法が知られている。
【0004】(1)イオン交換膜に直接電極触媒を析出
させる方法(特公昭58−47471参照)。(2)触
媒を含む電極シートを作製し、ホットプレスによりイオ
ン交換膜に接合する方法(以下、ホットプレス法とい
う。米国特許3134697、米国特許329748
4、特公平2−7398参照)。(3)常温、非加圧で
イオン交換膜に触媒を含むインクを直接吹き付けて触媒
を含む電極層を形成するスプレー法(A.Fischer et a
l., Abstract of Fuel Cell Seminar,579(1996)参
照)。(4)特殊な接着剤を用いて、イオン交換膜と触
媒を含む電極シートとを常温にて接合する常温・微加圧
型の接着法(特開平7−220741、特開平7−25
4420参照)。
【0005】現在、(1)の触媒を析出させる方法より
(2)のホットプレス法が一般的に採用されている。し
かし、ホットプレス法では、イオン交換膜−電極間にお
ける充分な接合強度及び電気的接合状態を得るために、
イオン交換膜を構成する樹脂のガラス転移点である百数
十℃でイオン交換膜と電極との積層体がプレスされる。
そのため、通常電極シートのバインダとして含まれその
細孔構造を形成している樹脂、例えばポリテトラフルオ
ロエチレン(以下、PTFEという)が変形しやすく、
プレスによって細孔がつぶれ、電極シートの気孔率が低
下するため、電極シートのガス拡散性が低下する。
【0006】また、百数十℃まで温度が上がるため、イ
オン交換膜は乾燥し含水率が低下して抵抗が増大する。
さらに、ホットプレス温度が上記ガラス転移点より高く
なると、膜の変質が起こりうる。また、大面積の膜・電
極接合体を作製する場合、ホットプレス法のような昇温
が必要なプロセスより、常温プロセスの方が量産性の点
で好ましい。そのため、常温で加圧せずに電極とイオン
交換膜とを接合するプロセスの開発が求められていた。
【0007】上記問題に対し、(3)のスプレー法は沸
点の低い有機溶媒に触媒が分散されたインクを使用する
ことにより常温、非加圧で膜・電極接合体を作製でき、
電極構造を保てる点、及び量産性の面で好ましい。しか
し、インクの溶媒として沸点の低い有機溶媒を用いる
と、スプレーノズルの目詰まりが生じやすく、また溶媒
の種類や量によってはスプレー塗布された膜が膨潤しや
すい等の問題がある。
【0008】(4)の接着法は、特殊な接着剤を用いる
だけで、常温にて気泡を追い出すのに必要な程度の微加
圧(例えば1kg/cm2以下)で膜と電極とを接合で
きる。さらに、カーボンペーパーやカーボン繊維織布等
からなる集電体上にカーボン層が積層されその上に触媒
層が塗布されてなるガス拡散電極に対しても、接着剤を
用いるため簡易に膜と接合できる。したがって、膜、電
極、集電体が常温・微加圧で接合して一体化され、燃料
電池を組み立てる際もハンドリング性がよい。また、電
極と集電体の間の接触抵抗が低い利点も有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(4)の
接着法は、接着剤を直接イオン交換膜に塗布すると膜に
しわが発生し、膜と電極との接合が困難になったり膜と
電極の接合面において接合されていない部分(未接合
部)が存在する場合がある。このため、電極に接着剤を
塗布してイオン交換膜と接合したり、さらには、電極の
膜と接しない面から接着剤の成分を浸透させることによ
り、大型の膜・電極接合体を作製する方法が採用されて
いる。
【0010】ところが、通常、接着剤の溶媒には膜を溶
解する成分が含まれるため、膜が接着剤に接触したとき
に膜の周辺部であって接着剤が付着していない部分に対
して引張応力が加わる。すなわち、膜の接着剤との接触
部が、接着剤と接触していない膜の周辺部を巻き込むよ
うに変形し、膜にしわが生じる。したがって、膜の接合
面が平滑でしわや未接合部の少ない膜・電極接合体を得
るためには、接着剤の組成・使用量等の設定を厳密に行
う必要がある。
【0011】そこで本発明は、上記問題を解決し、大面
積の膜・電極接合体でも膜にしわが発生せず、膜と電極
の接合面に未接合部が存在せず、接合面が平滑で接合強
度の高い高性能な膜・電極接合体を有する固体高分子型
燃料電池を簡便に製造する方法を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガス拡散電極
と、基材に固定された、イオン交換基を有するパーフル
オロカーボン重合体からなるイオン交換膜とを、イオン
交換基を有するパーフルオロカーボン重合体を溶質とし
て含む接着剤を用いて接合した後、前記基材を前記イオ
ン交換膜からはく離することを特徴とする固体高分子型
燃料電池の製造方法を提供する。
【0013】本発明では、ガス拡散電極とイオン交換膜
とを常温にて接合できる。また、イオン交換膜は基材に
固定された状態でガス拡散電極と接合されるため、接着
剤と接することにより膜が変形して基材からはく離しよ
うとする力より基材が膜を固定する力の方が強ければ、
膜は変形せずにガス拡散電極と接合される。その結果、
膜にはしわが発生せず、電極と膜の接合面は未接合部が
残ることなく膜の接合面は平滑となる。基材を、接着剤
中の溶媒が乾燥して除去された後に膜からはく離する
と、膜にはほぼ完全にしわは発生せず、電極と膜の接合
面に未接合部が残らず接合面を平滑にできるので好まし
い。
【0014】基材に固定させたイオン交換膜としては、
例えばイオン交換膜の成膜時に基材上に膜を成形し、膜
を基材からはく離せずにそのまま用いることが好まし
い。具体的には、例えばイオン交換樹脂を溶媒に溶解し
た溶液を直接基材上にキャスティングし乾燥するキャス
ト法によって得られる、基材上に成形されたイオン交換
膜を基材ごと用いることができる。また、膜を湿らせて
基材上に載置しても膜の材質によっては基材上に固定で
きる。
【0015】イオン交換膜を固定する基材は、膜と適度
に接着しかつ膜と容易にはく離できるものが好ましい。
また、膜と化学的に相互作用せず化学的に安定な状態を
保つための耐薬品性及びハンドリングしやすい適度な厚
さを有し、表面粗さが小さく、接着剤により膜が変形し
ようとする応力に耐えうる剛性を有していることが好ま
しい。また、膜を基材に固定するときに加熱が必要な場
合は、耐熱性を有していることが好ましい。
【0016】固定されているイオン交換膜と前記基材と
のはく離接着強さは、JIS−K6829に規定される
180度はく離試験において、引張速度200mm/m
inの条件下で5〜100g/cm、特に10〜60g
/cmであることが好ましい。5g/cm未満ではイオ
ン交換膜を基材に固定できない。100g/cm超では
接着力が強すぎてイオン交換膜と基材のはく離が困難で
ある。
【0017】基材の厚さは、ハンドリング性の点から1
0〜350μm、特に50〜250μmが好ましい。基
材の表面粗さは、厚さのばらつきが±5%以内であるこ
とが好ましく、突起物を有していてもその高さが0.0
3μm以下であることが好ましい。
【0018】基材としてイオン交換膜の成膜時に使用す
る基材をそのまま使用する場合は、基材の耐熱性として
は150℃以上の耐熱性を有しかつ200℃においても
数分間保持できることが好ましい。
【0019】また、基材の剛性に優れることが好まし
く、剛性は弾性率と厚さの関数である点から、JIS−
K7127に規定される引張弾性率が、幅15mm、長
さ200mmの矩形の試験片にて試験速度200mm/
minにて試験したときに40〜600kg/mm2
あることが好ましい。
【0020】基材として好ましい具体例を挙げると、ポ
リエチレンテレフタレート(以下、PETという。)フ
ィルム、ポリオレフィンフィルム、テトラフルオロエチ
レン/エチレン共重合体(以下、ETFEという)フィ
ルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。また、無機
物のパイレックスガラス板も好ましい。
【0021】膜と電極を接合する場合、接合面に存在す
る気泡を追い出し効率よく量産するには、接着剤を介し
て貼り合わせた膜と電極をロールを通し接合することが
好ましい。
【0022】本発明では、基材に固定されたイオン交換
膜にガス拡散電極(以下、第1の電極という)を接合
し、基材をイオン交換膜からはく離した後、イオン交換
膜の基材に固定されていた面にもう一方のガス拡散電極
(以下、第2の電極という)を接合する。第2の電極を
イオン交換膜と接合するとき、イオン交換膜を固定する
基材は存在しないが、イオン交換膜は第1の電極に片面
を接合されており、この第1の電極が基材と同等の機能
を有する。したがって、第2の電極をイオン交換膜に接
合する場合は、従来同様に特別に膜を固定しなくても、
第2の電極に接着剤を塗布して膜と接合すれば、膜にし
わは生じにくく接合面に未接着部は残りにくい。
【0023】しかし、第1の電極の剛性によっては、膜
が接着剤と接したときに膜が収縮しようとする力の方が
第1の電極により膜が引張られて伸びようとする力より
強いことがある。その場合、より接合面が平滑な接合体
を得るには、例えば膜が矩形であればその四角又は四辺
を膜とはく離しやすいテープ等で固定した状態で、接着
剤が塗布された第2の電極を膜に接合することが好まし
い。
【0024】上記の膜とはく離しやすいテープとして
は、例えば住友3M社製のPost−itカバーアップ
テープ(商品名)等が好ましく、膜とはく離しやすいテ
ープにより膜は引張られた状態で固定されることが好ま
しい。この方法により第2の電極を接合すれば、膜には
しわが発生しにくく、第1の電極の膜との接合のときと
同様に膜の接合面に未接着部が残りにくい。
【0025】本発明では、イオン交換膜とガス拡散電極
とを接着剤を介して貼り合わせると、イオン交換膜とガ
ス拡散電極との間にイオン交換基を有するパーフルオロ
カーボン重合体(なお、本明細書ではパーフルオロカー
ボン重合体とは、炭素原子とフッ素原子のみからなる重
合体だけではなく、例えばエーテル結合性の酸素原子を
含んでもよいものとする。)を含むゲル状物が介在され
る。このゲル状物は、接着剤の溶質及び接着剤の溶媒に
よりイオン交換膜自体が溶解し膨潤したものからなる。
貼り合わせたイオン交換膜とガス拡散電極を押圧するこ
とにより前記ゲル状物がガス拡散電極の細孔に浸入し、
前記ゲル状物が固化することによりイオン交換膜とガス
拡散電極は接合される。以下にその方法を詳しく述べ
る。
【0026】本発明で第1の電極と接合されるイオン交
換膜の第1の電極との接合面は、例えばあらかじめ粗面
化されていると特に第1の電極との接合力が高い。接着
剤は、イオン交換膜及び電極側の少なくとも一方に塗布
されればよい。接着剤をイオン交換膜に直接塗布すると
接着剤の乾燥に時間がかかる場合、膜が基材に固定され
ていても膜の収縮による引張応力により膜と基材がはく
離しようとする力が膜と基材との付着力より大きくな
り、膜が基材から徐々にはく離して膜にしわが発生する
おそれがある。したがって、接着剤は電極に塗布される
ことが好ましい。
【0027】接着剤としては、イオン交換基を有するパ
ーフルオロカーボン重合体を溶媒に溶解させた溶液が使
用される。上記溶媒としては、非含フッ素アルコール類
及び含フッ素溶媒の1種以上が好ましい。
【0028】アルコール類としては、主鎖の炭素数が1
〜4のものが好ましく、例えばメチルアルコール、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、tert−ブチルアルコール等が使用でき
る。
【0029】含フッ素溶媒としては例えば下記のものが
挙げられる。1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフ
ルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,
5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,3,4,
5,5,5−ノナフルオロ−2−トリフルオロメチルペ
ンタン、1,1,1,2,3,3,4,4,5,6,
6,6−ドデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,
3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−トリフル
オロメチルペンタン等のハイドロフルオロカーボン。
【0030】パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロブ
タン)、パーフルオロオクタン、パーフルオロヘプタ
ン、パーフルオロヘキサン等のフルオロカーボン。
【0031】1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、
1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタン、
3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオ
ロプロパン、1−クロロ−1,2,2,3,3−ペンタ
フルオロプロパン等のハイドロクロロフルオロカーボ
ン。
【0032】1,1,2,2−テトラフルオロエチル−
1,1,1−トリフルオロエチルエーテル、メチル−
1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロピルエー
テル等のフルオロエーテル。
【0033】1,1,1−トリフルオロエタノール、
2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール等の含フッ素アルコール。
【0034】また、パーフルオロ(3−ブチルテトラヒ
ドロフラン)、パーフルオロ(トリブチルアミン)、
1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6
−ヘプタデカフルオロデカン等も使用できる。また、ク
ロロフルオロカーボンも使用できる。
【0035】本発明では、イオン交換樹脂の、接着剤に
含まれる溶媒に対する溶解度が高いほどイオン交換膜と
ガス拡散電極との接合は容易になる。しかし、前記溶解
度が高い場合に接着剤の塗布量が多すぎると、ガス拡散
電極の細孔がイオン交換樹脂により塞がれる等の問題が
生じることがある。したがって、接着剤の溶媒を複数の
溶媒からなる混合溶媒とし、前記溶解度を制御すること
が好ましい。含フッ素溶媒の場合、一般的には、該含フ
ッ素溶媒の主鎖の炭素数が多いほど、又は含フッ素溶媒
の分子中のフッ素原子数が多いほど前記溶解度は高くな
る傾向にある(特開平7−76644参照)。
【0036】また、ガス拡散電極とイオン交換膜との密
着性を高めるため、ガス拡散電極の内部に含浸される接
着剤の溶質の量を制御することも必要である。例えば、
接着剤の濃度が低く粘度が数百cP以下であると接着剤
は電極に容易に含浸されるが、接着剤の濃度が高く数千
cPを超えると流動性が低いため電極内部まで含浸され
る接着剤の量は少なくなる。したがって電極内部へ浸透
する接着剤の溶質の量も少なく、ガス拡散電極とイオン
交換膜との接着強度は弱くなる。
【0037】一方、電極内部へ浸入する接着剤の溶質の
量が多すぎると電極の細孔が塞がれ、電極のガス拡散性
が低下する。このため、ガス拡散電極の細孔構造、ガス
拡散電極を構成する材料によっても接着剤の浸透性が異
なるが、接着剤中に含まれる溶質であるイオン交換樹脂
の量は0.1〜50重量%、特に0.1〜30重量%で
あることが好ましい。
【0038】接着剤のガス拡散電極への浸透性の点で
は、一般にはガス拡散電極の気孔率が高いほどイオン交
換樹脂がガス拡散電極の内部まで浸入しやすい。そのた
め電極の気孔率が高いほうが、接着剤のイオン交換樹脂
の濃度、溶媒の種類、溶液粘度の範囲等の点において選
択の幅が広く、また接着性も高い。逆に、例えば、気孔
率が50%程度の気孔率の低いガス拡散電極の場合は、
高粘度でイオン交換樹脂濃度の高い接着剤を用いること
が好ましい。
【0039】接着剤の塗布量は溶液の粘度によって好ま
しい量が異なるが、例えばエタノール/ジクロロペンタ
フルオロプロパンにイオン交換樹脂が溶解した溶液を用
いた場合は、少ない塗布量で電極と膜を充分に接着でき
るので好ましい。
【0040】本発明ではイオン交換膜とガス拡散電極を
接着剤を用いて貼り合わせた後は、特に大きな圧力をか
ける必要はなく、例えば1kg/cm2以下の圧力でも
充分に接着できる。しかし、良好な密着性を得るには電
極/膜間の気泡等が存在しないように留意することが好
ましい。このため、過大な圧力が加わらない程度にロー
ルプレスしたり、平板上に置いてローラー処理を施す等
の加圧処理をすることが好ましい。この加圧状態を保つ
時間は、接着剤により異なり特に限定されないが、短い
ものでは数秒間で充分に接着でき、その後接着剤の溶媒
だけを蒸発させればよい。
【0041】また、本発明における膜と電極の接着は0
〜70℃で行うことが好ましく、常温でも行うことがで
きる。膜又は電極に接着剤を塗布してから膜と電極を貼
り合わせるまでの間に接着剤が乾燥しすぎることがなけ
れば、加熱や冷却による温度制御は特に必要ない。接着
剤の乾燥温度が高いとイオン交換膜が乾燥するので、乾
燥温度は100℃以下、特に70℃以下が好ましい。
【0042】本発明におけるイオン交換膜及び接着剤の
溶質はイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合
体からなる。イオン交換基は陽イオン交換基であっても
陰イオン交換基であってもよく、陽イオン交換基として
はスルホン酸基、ホスホン酸基等が挙げられる。
【0043】イオン交換膜と接着剤に含まれる溶質とは
同じであっても異なっていてもよいが、両者のイオン交
換基は同じであることが好ましい。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例(例1)及び比較例
(例2)により説明するが、本発明はこれらに限定され
ない。
【0045】<例1>厚さ100μm(厚さばらつき±
5%以内、突起物高さ0.025μm以下)、耐熱温度
−70〜150℃、JIS−K7127に規定される引
張弾性率が、幅15mm、長さ200mmの矩形の試験
片にて試験速度200mm/minで試験したときに5
40kg/mm2であるPETフィルムを、イオン交換
膜を固定する基材として用いた。上記PETフィルム
に、CF2=CF2に基づく重合単位とCF2=CF−O
CF2CF(CF3)−OCF2CF2SO3Hに基づく重
合単位とからなる共重合体を含む溶液を用い、キャスト
法により厚さ50μm、イオン交換容量1.1ミリ当量
/g乾燥樹脂のイオン交換膜を成膜した。
【0046】上記イオン交換膜と、カーボンブラック6
0重量%とPTFE40重量%とからなる厚さ約200
μmのシートに白金が0.5mg/cm2担持された2
枚のガス拡散電極(以下、初めに接合する電極を第1の
電極、後から接合する電極を第2の電極という)との接
合を以下のように行った。
【0047】なお、イオン交換膜とPETフィルムとの
はく離接着強さは、JIS−K6829に規定される1
80度はく離試験において、引張速度200mm/mi
nの条件下で40g/cmであった。
【0048】上記イオン交換膜を構成する共重合体から
なるイオン交換樹脂の粒状物を、エタノールと3,3−
ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパ
ンとの混合溶媒(重量比で33:67)に3重量%の濃
度で溶解した溶液を接着剤とした。
【0049】常温、大気中で10cm角のガス拡散電極
に対し約0.5gの上記接着剤を塗布し、これを上記P
ETフィルムに固定されたイオン交換膜上の所定の位置
に載置し、手押しローラーで押しつけた。これを常温で
充分に乾燥させ、接着剤中の溶媒を蒸発させ、ガス拡散
電極とイオン交換膜を接合させた。次いで、ETFEフ
ィルムをイオン交換膜からゆっくりはく離し、第1の電
極はイオン交換膜と接合された。イオン交換膜にしわは
見られず、ガス拡散電極とイオン交換膜の接合面に未接
着部分は見られなかった。
【0050】次に、別途用意した厚さ100μmのPE
Tフィルム上に、上記のイオン交換膜の片面にガス拡散
電極が接合されたサンプルを、イオン交換膜のガス拡散
電極が接合されていない面を上にして、しわのないよう
に張った状態で載置した。次いで住友3M社製Post
−itカバーアップテープ(商品名)により、上記サン
プルをETFE製シート上に固定した。その後、もう第
2の電極を、初めにイオン交換膜に接合させた第1の電
極と同様にしてイオン交換膜と接合し、膜・電極接合体
を得た。
【0051】<例2>イオン交換膜をPETシートに固
定せずに第1の電極と接合させた以外は、例1と同様に
して第1の電極とイオン交換膜を接合した。膜の電極と
接合されていない面において、厚さ約1mm、幅約1〜
3mm、長さ数cmの凸状のしわが観察され、電極と膜
の接合面に多数の未接着部が存在していた。
【0052】次に第1の電極とイオン交換膜の接合体
に、例1と同様にして第2の電極を接合させた。しか
し、膜にしわがあるため、第2の電極は膜のしわの凸部
に主に接合され未接着部が残った。
【0053】例1及び例2で得られた膜・電極接合体を
用い、電池性能測定用セルに組み込み、水素/空気を使
用し電流密度0.5A/cm2におけるセルの端子電圧
及び内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、加熱することなく常温
で微加圧にて行う接着法を、基材上に固定されたイオン
交換膜に対して適用しているため、接着剤がイオン交換
膜を溶解する作用に起因する膜のしわの発生を防げる。
そして、電極と膜の接合面に未接着部がほとんどなく、
接合面が平滑な膜・電極接合体を簡便な方法で得られ
る。この膜・電極接合体を有する固体高分子型燃料電池
は出力が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳沢 栄治 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS02 AS03 BB00 EE19 HH00 HH08 HH09 5H026 AA06 BB00 CX05 CX07 EE19 HH00 HH03 HH08 HH09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス拡散電極と、基材に固定された、イオ
    ン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる
    イオン交換膜とを、イオン交換基を有するパーフルオロ
    カーボン重合体を溶質として含む接着剤を用いて接合し
    た後、前記基材を前記イオン交換膜からはく離すること
    を特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
  2. 【請求項2】前記接着剤は、アルコール及び含フッ素溶
    媒の1種以上に、前記溶質が0.1〜50重量%溶解さ
    れた溶液からなる請求項1に記載の固体高分子型燃料電
    池の製造方法。
  3. 【請求項3】前記含フッ素溶媒は、ハイドロクロロフル
    オロカーボン、フルオロカーボン、フルオロエーテル及
    び含フッ素アルコールからなる群から選ばれる1種以上
    である請求項2に記載の固体高分子型燃料電池の製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記基材に固定された前記イオン交換膜と
    前記基材とのはく離接着強さは、JIS−K6829に
    規定される180度はく離試験において、引張速度50
    cm/minの条件下で5〜100g/cmである請求
    項1、2又は3に記載の固体高分子型燃料電池の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記ガス拡散電極と前記イオン交換膜は、
    常温にて接合される請求項1、2、3又は4に記載の固
    体高分子型燃料電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009231162A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Toyota Central R&D Labs Inc 膜電極接合体
JP2011154969A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Honda Motor Co Ltd 膜−電極構造体の製造方法

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