JP2000292590A - 凝縮性媒体流通プラントおよびその水質制御方法 - Google Patents

凝縮性媒体流通プラントおよびその水質制御方法

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JP2000292590A
JP2000292590A JP11096042A JP9604299A JP2000292590A JP 2000292590 A JP2000292590 A JP 2000292590A JP 11096042 A JP11096042 A JP 11096042A JP 9604299 A JP9604299 A JP 9604299A JP 2000292590 A JP2000292590 A JP 2000292590A
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Yukio Henmi
幸雄 逸見
Nagayoshi Ichikawa
長佳 市川
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】凝縮性媒体中に含まれる可燃性ガスの蓄積と燃
焼を防止し、また沸騰水型原子力発電プラントにおける
炉水中の放射能を低減できる水質制御方法を提供する。 【解決手段】可燃性で非凝縮性ガスを含む凝縮性ガスが
流れる母管11に枝管12を接続し、枝管12に仕切り弁13を
設ける。枝管12は重力ポテンシャルの高い位置つまり、
母管11の中心Oより下方の位置に接続する。また、可燃
性ガスの分圧を低下させて燃焼限界温度を高める。さら
にCo−60の放射能低減のため、ニッケル発生量を少な
くして極低鉄でもNiO(CoO)が発生しないように
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可燃性非凝縮性ガ
スを含む凝縮性媒体が流れる配管,機器で構成された凝
縮性媒体流通プラント、例えば沸騰水型原子力発電プラ
ントおよびこのプラント内を流れる水質の制御方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】可燃性の非凝縮性ガスを含む凝縮性の流
動媒体および密度の小さい可燃性ガスを含む混合ガス媒
体を含む配管,機器を備えたプラントにおいて、可燃性
ガスの蓄積抑制のための配管形状の重要性の認識がなさ
れ、触媒を設置する等の対策が実施されてきたが、その
適用基準が明確になっておらず、安全性面で十分ではな
い。
【0003】また、沸騰水型原子力発電プラントにおけ
るCo−60イオンの抑制するための水質制御方法につい
ては、従来、炉心構造材からのCo−60イオンの腐食発
生量が大きく、給水系からの鉄の持ち込み量をニッケル
の2倍量以下にすると、炉水のCo−60イオン濃度が増
加し炉心外の付着放射能量を高めるために、給水系に鉄
を注入する方法が用いられていた。しかしながら、燃料
被覆管の材料変更により燃料被覆管上にクロム酸化物が
付着してこの方法は効果がなくなった。
【0004】炉心構造材の接液面積を少なくし且つ高温
大気中で予備酸化処理を施すことによりCo−60イオン
の腐食発生量が低くした原子力発電プラントでは、給水
系からの鉄の持ち込み量を極力抑制する運転方法が適用
可能となり、炉心外の付着放射能量を大幅に低減でき
る。しかしながら、Co−60イオン濃度のレベルについ
ては従来の鉄を注入する方法に比べて同程度であるた
め、タービン系へのCo−60イオンの移行低減には至っ
ていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】凝縮性媒体としての水
素,有機炭素,窒化物,硫化物などの燃焼ガスは配管や
機器等の流れ淀み箇所に蓄積し易く、特に、可燃性ガス
は燃焼の発生防止対策が課題となっている。可燃性ガス
の分解を促進するために触媒を使用するが、この触媒の
設置位置やその手段が課題となっている。特に沸騰水型
原子力発電プラントでは可燃性非凝縮性ガスによる燃焼
防止および炉水中のCo−60による放射能対策が不十分
な課題がある。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、凝縮性媒体の配管や機器での流れ淀みが発生
することなく、また流れ淀みが発生した場合でも可燃性
ガスの蓄積し易い箇所に触媒を設けて可燃性ガスの蓄積
と燃焼を防止し、さらに沸騰水型原子力発電プラントの
給水系で炉水中のニッケル濃度が高くならず、不安定な
CoOなどの生成がなく、Co−60イオンも低い状態に
維持でき、炉心外の放射能およびタービン系放射能を低
減できる凝縮性媒体流通プラントおよびその水質制御方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、可燃
性で非凝縮性ガスを含む凝縮性媒体が流れる配管または
機器に仕切り弁を介して枝管を接続してなる凝縮性媒体
流通システムにおいて、前記配管または機器に前記凝縮
性媒体の流れ淀みを防止する淀み防止手段により前記仕
切り弁または前記枝管を接続してなることを特徴とす
る。
【0008】請求項2の発明は、前記凝縮性媒体は水
素,有機炭素,窒化物,硫化物などの燃焼ガス、または
空気,酸素,オゾン,分解して酸素となる過酸化水素を
含む酸化剤ガス,一酸化炭素や過酸化物などの酸化剤に
ついて少なくとも燃焼ガスを少なくとも1種を含む水,
水蒸気,有機炭素または無機化合物から選択されたもの
であることを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、前記流れ淀み防止手段
は流れ淀み箇所を重力ポテンシャルの低い位置に設ける
ことを特徴とする。請求項4の発明は、前記流れ淀み箇
所に前記凝縮性媒体の分圧を高める保温材を設置する
か、または触媒を設けることを特徴とする。
【0010】水素、有機炭素、窒化物、硫化物などの燃
焼ガスは、流れ淀み箇所に蓄積し易い。特に、水素と酸
素を2:1含む高温・高圧の流動媒体においては、流れ
淀み箇所を極力排除する構造にする。やむを得ず淀み部
を設けざるを得ない場合には、その淀み箇所の溜り部を
重力ポテンシャルの低い部分にし、流動媒体と分岐する
分岐点から離れるに従い重力ポテンシャルが減少するよ
うにし、なだらかに位置を減少させ凝縮性ガスの蓄積を
抑制する。
【0011】また、バルブなどは弁を開くとき弁体部を
収納するスペース(流れ淀み箇所)をもっているが、取
り付け位置を逆にし流れ淀み箇所を重力ポテンシャルの
低い部分にすることにより凝縮性ガスの蓄積を回避す
る。
【0012】流れ淀み箇所を回避できない場合、溜り部
を保温することにより可燃性のガスの蓄積量を燃焼限界
圧力以下にする方法または溜り部の空隙の隙間径を狭め
ることにより燃焼に必要な温度に至らないよう配慮す
る。また、この方法が適用できない場合は、触媒を設置
することにより淀み箇所に蓄積した燃焼ガスを徐々に反
応させ消費し燃焼に至らないようにする。
【0013】なお、従来複雑な形状に触媒を設置するの
は困難であったが、合金化または触媒のコロイド状金属
を付着させレーザー処理により材料表面に固着させる方
法、またはレーザー、蒸着、メッキまたは溶射により1
μm以上の触媒薄膜を材料表面に付与させた材料を用い
ることにより複雑な形状に対処でき、また局部腐食防止
の観点より異材接触部位および隣接部位には触媒材料を
使用せず腐食上も問題を生じることはない。
【0014】請求項5の発明は、前記凝縮性媒体が流れ
る配管または機器は沸騰水型原子力発電プラントの炉水
系または主蒸気系からなり、前記保温材の設置箇所での
蒸気分圧を高め、前記非凝縮性ガスの分圧を4MPaを
超えないように保持するか、または4MPaを超える場
合には前記流れ淀み箇所の空隙部を10mm以下に保持する
ことを特徴とする。
【0015】請求項6の発明は、前記流れ淀み箇所に設
ける触媒はPt,PdまたはRuのうち少なくとも1種
からなり、前記触媒を前記流れ淀み箇所に設ける手段と
しては前記流れ淀み箇所に前記触媒元素を含むか、触媒
機能を有する材料を設けることを特徴とする。
【0016】請求項7の発明は、凝縮性媒体流通プラン
トは沸騰水型原子力発電プラントで構成され、前記プラ
ントの給水鉄濃度を0.1ppb以下でかつ炉水のニッケルイ
オン濃度を0.2ppb以下に抑制し、前記炉水のCo−58お
よびCo−60濃度を抑制することを特徴とする。
【0017】請求項8の発明は、前記ニッケルイオンの
発生量を抑制する手段として燃料集合体に使用されてい
るニッケル基合金をCo不純物量が0.01%以下の鉄合金
に代え、給水系材質のオーステナイト系ステンレス鋼に
予備酸化処理を行うか、またはオーステナイト系ステン
レス鋼をニッケルを含まないフェライト鋼に代えること
を特徴とする。
【0018】沸騰水型原子力発電プラントにおけるCo
−60イオンの抑制方法については、給水鉄濃度を0.1ppb
以下にし炉水のニッケルイオン濃度を0.2ppb以下にし、
燃料付着クラッドを少なくするとともにNiO(Co
O)の生成を防止し炉水のCo−58およびCo−60イオ
ン濃度を抑制し炉心外付着放射能およびタービン系への
移行量を抑制して水質制御する。
【0019】給水鉄濃度を0.1ppb以下にすることについ
ては、復水浄化系に100 %中空糸フィルターを設置した
沸騰水型原子炉および改良型沸騰水型原子炉では、すで
に達成できている。したがって、ニッケルの発生低減が
課題となる。Niの主発生源の一つである燃料ばねに使
用されているNi基合金をFe基合金に代えることによ
ってニッケルの発生量を抑制することができる。
【0020】また、給水ヒータ材については高温気中ま
たは蒸気により予備酸化させ腐食溶出を抑制したオース
テナイト系ステンレス鋼またはニッケルを含まないフェ
ライト系ステンレス鋼を用いる。
【0021】さらに、水質制御方法では、Co−60の主
発生源は燃料ばね等の炉心構造材であるので、極低Co
材を使用することにより、Co−60の腐食発生量を抑制
することにより炉水のCo−60放射能を抑制する。
【0022】
【発明の実施の形態】まず、非凝縮性ガスとして最も燃
焼しやすい水素/酸素モル比2:1を含む水媒体系統で
の非凝縮性ガスの燃焼限界について述べる。内径2cmの
ステンレス鋼圧力容器に水素/酸素モル比2:1のガス
と水蒸気を入れ容器内のガスの燃焼限界の温度圧力を求
めた。一定圧力下では、水蒸気を含まない条件が最も温
度が低く、555 ±10Kで6.7 ±1.0 MPaと評価され
た。
【0023】したがって、内径2cmのステンレス鋼圧力
容器では、非凝縮性ガスの分圧として4.0 MPa程度あ
れば圧力変動などを考慮しても十分設計裕度をもって燃
焼を回避できることが判明した。
【0024】つぎに流れ淀み箇所を回避する方法につい
て述べる。図1に、BWRプラントでの一般的なバルブ
の取り付け位置と内部構造の概略を示している。図1
中、符号1はバルブ、2は弁箱、3は弁座、4は弁棒、
5は弁体、6は蒸気入口、7は蒸気出口、8は隙間部
(流体淀み箇所)、9は配管、10は蒸気の流れを示して
いる。従来バルブの設計では、凝縮性ガスの蓄積を考慮
しておらず、弁体1を上下(重力ポテンシャルでは高
低)して開閉する場合が多い。
【0025】したがって、弁開時に弁体5を収納する隙
間部8は蒸気が流れる流動場の上部にあり、凝縮性ガス
はこの部分に蓄積しやすい。非凝縮性ガスを含む流体が
流れている場合、流れ停滞部には密度の小さい非凝縮性
ガスが溜りやすくなり、ガス溜り部での熱の移行は熱伝
導が主体的になる。このためこの部分に蒸気が移行しな
くなるため、非凝縮性ガスが蓄積し温度が低下する。非
凝縮性ガスの溜り部が3cm程度あり、保温もなされてい
ない場合、この部位での温度は室温程度にまで低下し、
ほぼ100 %非凝縮性ガスで満たされる。
【0026】したがって、このような蒸気淀み部を設計
上回避することが望ましい。なお、図1のバルブ1を18
0 度回転し上下を逆にして設置した場合、すなわち隙間
部が下部にある場合にはこの部位が凝縮水で満たされる
ため問題はない。
【0027】また、圧力や水位の測定に必要な枝管を取
り付ける場合や途中の弁が閉じられているプロセス配管
部は非凝縮性ガスが蓄積しやすい蒸気淀み箇所となる。
この場合、非凝縮性ガスが蓄積しない構造にするために
は、図2に示すように、蒸気が流れている母管11との分
岐部から重力ポテンシャルが低下するように枝管12を接
続する。枝管12には仕切り弁13が取り付けられている。
枝管12は母管11の中心点Oより下方に接続する。
【0028】分岐部から距離r離れた枝管12の重力ポテ
ンシャルをP(r)とすると、dP(r)/dr≦0を
満足している。なお、枝管12に取り付けた仕切り弁13
は、図1に示したバルブ1のように非凝縮性ガスの蓄積
のない構造をとる必要がある。
【0029】次に水素と酸素を非凝縮性ガスとして含む
水ないし水蒸気が流れる沸騰水型原子力発電プラントの
炉水および主蒸気系統において、保温材の施工による配
管,機器の流体淀み箇所への凝縮性ガスの蓄積抑制方法
を説明する。内径20mm、外径25mmのステンレス鋼配管で
保温材を設けない場合、約3cmの蒸気溜り部があると、
配管を熱伝導で流れた熱が配管の表面から放熱され、高
温流体が流れている部位(555 K)から最も離れた部位
で室温(323 K程度)まで急激に低下する。
【0030】しかしながら、保温材を巻回し放熱を抑制
した場合は配管温度での低下を抑制することができる。
一般的な保温材でも放熱量を1/5程度には容易に抑制
できる。この場合、温度の低下は最大でも45K以内と試
算され、505 K以上に保持できる。505 Kでの蒸気分圧
は、3.0 MPaであるので凝縮性ガスの溜り量は3.2M
Paになり燃焼裕度が大きくとれる。
【0031】555 Kで6.7 MPaの高圧部主蒸気系統で
全量溜り部が水素/酸素モル比2:1のガスでみたされ
ていれば、圧力変動等により高温の蒸気が流入すれば、
燃焼に至る確立があることは否定できない。溜り部の空
隙の寸法を小さくすることにより燃焼温度を上昇させ
る。
【0032】しかしながら、その効果を定量的に評価す
る必要があるが、圧力および水位の計測ラインでは内径
2.0 cmの配管を使用する。このことから、管径を例えば
1.0cmにし、燃焼限界温度を求めると、内径2.0 cmの円
筒容器では555 ±10Kであったが、管径を1.0 cmでは58
3 ±10Kと約30K高い値となる。したがって、トランジ
ェント時を考慮しても十分燃焼には至らないので、燃焼
を防止することができる。
【0033】また、水素と酸素を非凝縮性ガスとして含
む水ないし水蒸気が流れる配管,機器系統において、触
媒を取り付けた材料が流体淀み箇所の凝縮性ガス蓄積箇
所に設けられている。沸騰水型原子力発電プラントの炉
水および主蒸気系の高温,高圧部に触媒を取り付けた材
料を取り付ける。触媒の取り付け位置の基本的な考え方
は、凝縮性ガスの最も溜まり易い重力ポテンシャルの最
も高い位置に取り付け、その部位での凝縮性ガスの溜部
での温度が500 K以下にならないようにする必要があ
る。
【0034】この値を満足できるかは、500 Kでの触媒
性能と凝縮する体系での蒸気の凝縮速度と蒸気に含まれ
る凝縮性ガスの割合から算出でき、必要な触媒量や凝縮
する体系の表面積等との関連により規定できる。メッキ
材料では、凝縮性ガス溜り部体積と触媒面積比で6(1
/cm)程度まで触媒を適用可能である。
【0035】しかしながら、この方法は複雑な形状には
適用できない。配管,機器材料に触媒機能をもたせれば
良い。PtのほかPdおよびRuが水素を酸素の反応に
有効である。触媒材料として触媒金属を合金化した材
料、材料表面に触媒金属付着させた材料を用いれば複雑
な形状に適用できる。
【0036】Pt,PdおよびRuをつけた材料は、一
般に異種金属の接触部位や隣接部位で電食をおこしやす
い。したがって、BWRなどの純水系では、耐圧バウン
ダリーになっている接触部位や隣接部位では避けるのが
望ましい。したがって、接触部位より5mm以内、0.5 mm
間隔以内の隣接部位では触媒材料の使用は避けるべきで
ある。触媒を取り付けるとき、マスキングすれば触媒の
付着を防止できる。合金の場合触媒組成の傾斜化により
接触部位での電食を防止きる。
【0037】1μm以上レーザー,蒸着,メッキまたは
溶射により触媒をつけた材料では、化学的に安定でしか
も従来のメッキした材料と変わらない触媒性能を有する
材料が得られることが確認された。また、2重量%以上
の触媒合金では従来材に比べて触媒比率の分効果が小さ
いが極めて複雑な形状に対しても対応可能である。
【0038】コロイドを塗布乾燥後、レーザーにより固
着させた場合、約30μg/cm2 で化学的に安定でしかも
従来のメッキした材料と変わらない触媒性能を有する材
料が得られることを確認した。
【0039】つぎに、炉水Co−60イオン濃度の抑制の
実施条件について述べる。給水鉄濃度を0.1ppb以下に低
減したプラント(復水に中空糸フィルターを用いたBW
RおよびABWRでは給水鉄濃度を0.1ppb以下が既に達
成できている)における炉水Co−60イオンの発生源を
解析により評価(Cr−51の主発生源は燃料ばね等の炉
心構造材の腐食発生であることより、Cr−51の放出量
よりCo−60の発生量を推定できる)すると、炉水Ni
イオン濃度3ppb で炉心構造材の腐食による発生量と燃
料被覆管上に生成したCoO(燃料に生成するNiOの
析出に伴い生成する)からの発生量は1:9の割合と評
価され、燃料被覆管上に生成するCoOからのCo−60
の発生量は、炉水のNiイオン濃度より0.2ppbを差し引
いた濃度差に比例する。
【0040】したがって、給水鉄濃度を0.1ppb以下に低
減したプラントでは、炉水Co−60イオンの濃度を炉水
のNiイオン濃度を0.2ppb以下に制御する。これにより
BWRの給水鉄濃度を1/10程度に低減できる。
【0041】次に、請求項7,8に対応する発明の炉水
のNiイオン濃度を低減するための水質制御方法の実施
の形態を説明する。Niイオンと鉄の反応速度は大きい
ため、給ヒータチューブおよび炉内の燃料ばねから発生
したNiは、給水から持ち込まれた鉄および炉内のステ
ンレス鋼の腐食で発生した鉄と反応しニッケルフェライ
トを生成する。鉄がニッケルの2倍モル以上ある場合
は、炉水のNiイオン濃度はニッケルフェライトの溶解
度である0.2ppbに保持される。
【0042】しかしながら、従来のプラントでは、給水
鉄持ち込み量をほとんどゼロとした条件では、炉内鉄の
発生量を1とすると、給ヒータチューブおよび炉内の燃
料ばねから発生したNiは、それぞれ0.3 ±0.1 および
0.6 ±0.2 程度と評価された。鉄とニッケルの全発生量
の比は1:0.9 ±0.3 で、2以下である。
【0043】したがって、Ni基合金である燃料ばねを
冷間加工した低コバルトステンレス鋼(Co含有率は0.
05%以下)にすることにより鉄とニッケルの全発生量の
比は1:0.6 ±0.2 にでき炉水Niイオン濃度の上昇し
ない2の比率に近づけることができる。この場合、炉水
のNiイオン濃度は、平均的には0.9ppb程度になると試
算され、炉水のCo−60イオン濃度を現行の1/3に低
減できると評価される。また、給ヒータチューブである
オーステナイト系ステンレス鋼を高温気中または蒸気に
より予備酸化させまたはニッケルを含まないフェライト
系ステンレス鋼を用いることにより半減以下にできる。
【0044】燃料ばねのステンレス化と給ヒータチュー
ブであるオーステナイト系ステンレス鋼を高温気中また
は蒸気により予備酸化させまたはニッケルを含まないフ
ェライト系ステンレス鋼(Co含有率は0.05%以下)を
用いることにより、炉水のNiイオン濃度を0.2ppb以下
にでき炉水のCo−60イオン濃度を現行の1/10に低減
できると評価される。
【0045】完全に実施された場合、炉水のCo−60の
発生源は、炉心構造材のステンレス鋼のみであることよ
り、燃料制御棒、燃料部品材料を現行のCo含有率は0.
05%以下よりさらに0.01%の極低Co化仕様にする。こ
れによりさらに1/5に低減できる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、水素等の可燃性の非凝
縮性ガスを含む媒体とする配管,機器を含む凝縮性媒体
流通プラントにおいて、可燃性非凝縮性ガスによる燃焼
を防止することができ、経済的かつ安全性の高いプラン
トを提供することができる。沸騰水型原子力発電プラン
トにおいて、炉水のCo−60イオンに対して従来例の1
/50程度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で、BWRプラントでの一
般的なバルブの取り付け位置と内部構造を説明するため
の縦断面図。
【図2】本発明に係る凝縮性媒体流通プラントの流れ淀
み箇所の母管からの分岐手段を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…バルブ、2…弁箱、3…弁座、4…弁棒、5…弁
体、6…蒸気入口、7…蒸気出口、8…空隙部、9…配
管、10…蒸気の流れ、11…母管、12…枝管、13…仕切り
弁。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可燃性で非凝縮性ガスを含む凝縮性媒体
    が流れる配管または機器に仕切り弁を介して枝管を接続
    してなる凝縮性媒体流通システムにおいて、前記配管ま
    たは機器に前記凝縮性媒体の流れ淀みを防止する淀み防
    止手段により前記仕切り弁または前記枝管を接続してな
    ることを特徴とする凝縮性媒体流通プラント。
  2. 【請求項2】 前記凝縮性媒体は水素,有機炭素,窒化
    物,硫化物などの燃焼ガス、または空気,酸素,オゾ
    ン,分解して酸素となる過酸化水素を含む酸化剤ガス,
    一酸化炭素や過酸化物などの酸化剤について少なくとも
    燃焼ガスを少なくとも1種を含む水,水蒸気,有機炭素
    または無機化合物から選択されたものであることを特徴
    とする請求項1記載の凝縮性媒体流通プラント。
  3. 【請求項3】 前記流れ淀み防止手段は流れ淀み箇所を
    重力ポテンシャルの低い位置に設けることを特徴とする
    請求項1記載の凝縮性媒体流通プラント。
  4. 【請求項4】 前記流れ淀み箇所に前記凝縮性媒体の分
    圧を高める保温材を設置するか、または触媒を設けるこ
    とを特徴とする請求項3記載の凝縮性媒体流通プラン
    ト。
  5. 【請求項5】 前記凝縮性媒体が流れる配管または機器
    は沸騰水型原子力発電プラントの炉水系または主蒸気系
    からなり、前記保温材の設置箇所での蒸気分圧を高め、
    前記非凝縮性ガスの分圧を4MPaを超えないように保
    持するか、または4MPaを超える場合には前記流れ淀
    み箇所の空隙部を10mm以下に保持することを特徴とする
    請求項1記載の凝縮性媒体流通プラント。
  6. 【請求項6】 前記流れ淀み箇所に設ける触媒はPt,
    PdまたはRuのうち少なくとも1種からなり、前記触
    媒を前記流れ淀み箇所に設ける手段としては前記流れ淀
    み箇所に前記触媒元素を含むか、触媒機能を有する材料
    を設けることを特徴とする請求項4記載の凝縮性媒体流
    通プラント。
  7. 【請求項7】 凝縮性媒体流通プラントは沸騰水型原子
    力発電プラントで構成され、前記プラントの給水鉄濃度
    を0.1ppb以下でかつ炉水のニッケルイオン濃度を0.2ppb
    以下に抑制し、前記炉水のCo−58およびCo−60濃度
    を抑制することを特徴とする凝縮性媒体流通プラントの
    水質制御方法。
  8. 【請求項8】 前記ニッケルイオンの発生量を抑制する
    手段として燃料集合体に使用されているニッケル基合金
    をCo不純物量が0.01%以下の鉄合金に代え、給水系材
    質のオーステナイト系ステンレス鋼に予備酸化処理を行
    うか、またはオーステナイト系ステンレス鋼をニッケル
    を含まないフェライト鋼に代えることを特徴とする請求
    項7記載の凝縮性媒体流通プラントの水質制御方法。
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