JP2000291661A - 動圧型滑り軸受の製造方法 - Google Patents

動圧型滑り軸受の製造方法

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JP2000291661A
JP2000291661A JP11098230A JP9823099A JP2000291661A JP 2000291661 A JP2000291661 A JP 2000291661A JP 11098230 A JP11098230 A JP 11098230A JP 9823099 A JP9823099 A JP 9823099A JP 2000291661 A JP2000291661 A JP 2000291661A
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pressure groove
die
repressing
density
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JP11098230A
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English (en)
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Hiroaki Hachiman
浩章 八幡
Kazuzaemon Kano
一左衛門 鹿野
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Yawata Iron and Steel Co Ltd
Original Assignee
Yawata Iron and Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸受内径面に於ける動圧発生用オイルの均一
な分布を維持し、安定した動圧による軸振れ抑制効果を
維持できる動圧型滑り軸受の製造方法の提供。 【解決手段】 超微粒子の銅の粉末で筒状の圧粉体を成
形し、この圧粉体を焼結し、次いでその焼結体を高密度
になり内部に微小空孔がなくなるまで、再圧装置で、順
次、前工程のそれよりダイ孔の内径の小さいダイに挿入
して複数回の再圧工程を行う。各再圧工程は、焼結体又
は前工程で再圧された再圧体を、内径部にサイジングロ
ッドを挿入した上で、ダイ孔に挿入して径方向及び軸方
向の圧縮を行うものとする。こうして再圧された高密度
再圧体を、内径部に、動圧溝の転写用突起23aを外周
に備えた動圧溝転写ロッド23を位置決めしつつ挿入し
た上で、ダイ21に挿入し、径方向及び軸方向に圧縮し
て、内径部に動圧溝を転写する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CD−ROM、ハ
ードディスク又はフロッピーディスク等のディスクドラ
イブ用モータ等に採用されている動圧型滑り軸受の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記CD−ROM、MO又はハードディ
スクのようなディスク類のドライブ用モータに使用され
るスピンドルモータに於いては、コスト低減のために、
転がり軸受に代えて焼結型の動圧型滑り軸受を用いるこ
とが提案されている。即ち、焼結型の多孔質含油軸受で
は回転速度の1/2の速度で振れ回るいわゆるホワール
の発生の問題があり、これを回避するために軸受面にヘ
リングボーン型等の動圧溝を設け、これに動圧発生用の
オイル等を満たし、軸の回転により動圧を発生させ、こ
の動圧で軸を支持し、その軸振れの抑制を図ろうとする
ものである。
【0003】しかし上記焼結型の含油軸受は、云うまで
もなく、軸受それ自体が多孔質体であり、そのような多
孔質体に含浸したオイルは、軸の回転中には、ポンピン
グ作用により、その微小空孔からの出入りが生じること
となる。多孔質体で構成される含油軸受の内径面には、
動圧溝内も含めて、多数の微小空孔が開口しているが、
そのような微小空孔の開口密度及び開口部寸法は必ずし
も平均しているものではないため、上記のような軸の回
転時に生じる微小空孔でのオイルの出入りは、軸受内径
面に於ける動圧発生用のオイル分布にムラを発生させ、
動圧による軸振れの抑制効果が失われ、大きな軸振れの
発生を余儀なくさせることとなる問題があった。
【0004】このような動圧型滑り軸受を、銅又は真鍮
等の金属を切削加工又は鋳造等の技法により構成した場
合には、軸の回転時に動圧発生用のオイルがポンピング
作用により微小空孔を出入りするというような現象に起
因する問題が発生する余地はないが、それらの加工技法
では、焼結成形に比べてコスト高になり、転がり軸受か
ら焼結型の動圧型滑り軸受に変更しようとした当初の意
図に反する結果となってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、焼結成形に
よって構成する動圧型滑り軸受の以上のような問題を解
決し、軸の回転時にも、軸受内径面に於ける動圧発生用
のオイルが均一な分布を維持し、安定した動圧による軸
振れ抑制効果を維持できる動圧型滑り軸受の製造方法を
提供することを解決の課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、超微粒子の金
属粉末を成形装置で筒状の圧粉体に成形する圧粉体の成
形工程と、上記成形工程で成形した圧粉体を焼結する焼
結工程と、上記焼結工程で焼結した焼結体を、これが高
密度になり内部に微小空孔がなくなるまで、再圧装置
で、順次、前工程のそれより内径の小さい再圧型に装入
して行う複数回の再圧工程であって、その各工程が、前
記焼結体又は前工程で再圧された再圧体を、その内径部
にサイジングロッドを挿入した上で、上記再圧型に装入
して径方向及び軸方向の圧縮を行うものである再圧工程
と、上記再圧工程で再圧された高密度再圧体を、その内
径部に、動圧溝転写用の突起を外周に備えたサイジング
ロッドを位置決めしつつ挿入した上で、再圧装置の再圧
型に装入し、径方向及び軸方向に圧縮して、内径部に動
圧溝を転写する動圧溝転写工程とにより、高密度で内部
に空孔がなく、かつ内径面及び動圧溝内が鏡面である動
圧型滑り軸受を成形する動圧型滑り軸受の製造方法であ
る。
【0007】前記圧粉体の成形工程は工程そのものは既
存のそれと異ならない。ここで重要なのは金属粉末とし
て超微粒子のそれを用いることである。軸受素材として
は、純銅、青銅系若しくは鉄系等があるが、いずれにし
ても、5μm以下の粒径のそれを用いるべきである。金
属粉末の粒径がそれ以上である場合は、前記再圧工程で
高密度で微小空孔がなく、かつ内径面及び動圧溝内が鏡
面である高密度再圧体に再圧することが困難になる。
【0008】また前記金属粉末として銅粉を用いた場合
はこれに結合材として添加する錫の粉末もまた5μm以
下の粒径のそれを採用する必要があり、かつ上記銅粉に
対して3〜8%程度添加するのが適当である。3%未満
では圧粉体の成形が困難であり、8%を越えると、前記
再圧工程で、微小空孔のない高密度の高密度再圧体に再
圧するのが困難になる場合がある。
【0009】前記金属粉末として青銅系又は鉄系のそれ
を用いた場合も結合材の添加割合及び結合材粉末の粒径
の関係は同様である。
【0010】前記焼結工程は、その工程及び焼結温度と
も既存のそれと同様に行うものである。例えば、焼結温
度は、軸受素材として銅粉を用いた圧粉体の場合は56
0〜800℃程度が適当である。鉄系の粉体を用いた圧
粉体の場合は1100℃前後が適当である。
【0011】前記再圧工程は、前記焼結工程で焼結した
焼結体を、再圧装置で、順次、前工程での再圧型より小
径の再圧型に装入し、かつ両端側からパンチにより加圧
して、径方向及び軸方向に圧縮することにより、焼結体
の内部に分布する多数の微細空孔を押し潰し、このよう
な微細空孔がなく、かつ高密度である高密度再圧体を構
成することが可能となる。順次前工程より小径の再圧型
で行う再圧は2回以上繰り返すことが必要である。
【0012】なおここで微細空孔がなくなるとは、微細
空孔が全くなくなることも当然含むが、そこまでには至
らなくても、動圧型滑り軸受に於ける微細空孔のその密
度又は空孔率では、前記したポンピング作用による微細
空孔でのオイルの出入りによっても軸受内径面での動圧
発生用オイルの分布が不均一にならない程度のものであ
る場合には、これも含む。言い換えれば、動圧型滑り軸
受が一定程度の微細空孔を有していてもそれに起因する
動圧発生用オイルの分布ムラが微小なものであって、軸
振れを生じさせるほどにならない程度のものであれば、
その程度の微細空孔の存在については、ここでは、微細
空孔はない、と表現している。
【0013】前記動圧溝転写工程は、前記のように、動
圧溝の転写加工位置を正しく位置決めするために、高密
度再圧体の内径部にそのための突起を形成してあるサイ
ジングロッドを位置決めしつつ挿入し、その後に、再圧
型に該高密度再圧体を装入するものである。なお上記サ
イジングロッドを、高密度再圧体を再圧型に圧入する前
に、該高密度再圧体の内径部に挿入するのは、事実上、
再圧型に装入した後では挿入することが困難だからでも
ある。
【0014】前記動圧溝転写工程では、高密度再圧体
は、前記のように、再圧型に装入され、その両端側から
もパンチで加圧され、特に径方向に圧縮されて、サイジ
ングロッドにより、その動圧溝転写用の突起に対応する
動圧溝が内径部に転写されることとなる。
【0015】従って本発明の動圧型滑り軸受の製造方法
によれば、その軸受素材として超微粒子の金属粉末を採
用すること及び動圧溝転写工程の前に複数回の再圧工程
を行うことの他は、一般の焼結体からの動圧型滑り軸受
の製造方法と殆ど変わらない工程数で、高密度で微小空
孔のない、しかもその内径面及び動圧溝内外も緻密で鏡
面化し、微小空孔等の開口していない優れた動圧型滑り
軸受を製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づき図面を参照しながら詳細に説明する。図面
は、本発明の一実施例を示したものであり、図1は成形
装置による圧粉体の成形工程の一部を示す概略縦断面
図、図2は成形された筒状の圧粉体を示す概略縦断面
図、図3は再圧型に圧入して再圧縮する準備段階として
焼結体(又は前工程で一回の再圧を受けた再圧体)にサ
イジングロッドを挿入した状態を示した概略縦断面図、
図4は内径部にサイジングロッドを挿入した焼結体(又
は前工程で一回の再圧を受けた再圧体)を再圧型に圧入
した状態を示した概略縦断面図、図5は再圧型に圧入し
て動圧溝を転写加工するための準備段階として高密度再
圧体の内径部に動圧溝転写ロッドを挿入した状態を示し
た概略縦断面図、図6は内径部に動圧溝転写ロッドを挿
入した高密度再圧体を再圧型に圧入して動圧溝の転写加
工を行っている状態を示した概略縦断面図、図7は動圧
溝の形成された動圧型滑り軸受の概略縦断面図である。
【0017】この実施例の動圧型滑り軸受は、筒状の圧
粉体の成形工程と、上記筒状の圧粉体を焼結する焼結工
程と、上記工程で焼結された焼結体を圧縮してこれを微
小空孔の殆ど存在しない高密度に再圧する再圧工程と、
高密度に成形した高密度再圧体の内径部に動圧溝を転写
加工する動圧溝転写工程とからなる。
【0018】前記圧粉体の成形工程を実行するために
は、これに先立って軸受素材である金属粉末を用意す
る。この実施例は軸受素材として銅の粉末を用いたもの
である。銅の粉末としては粒径5μmのそれを採用す
る。この銅の粉末100に対して、3の割合の錫の粉
末、0.5の割合のステアリン酸及び0.2の割合のオ
イルを添加してそれらが平均に混合するまで攪拌する。
この攪拌は、適当な攪拌機を用いて行うことができる。
なお上記錫の粉末は銅の粉末と同様に5μmの粒径のも
のを用いる。
【0019】以上のように、軸受素材である銅の粉末及
び添加剤である錫の粉末の粒径を5μmにしたのは、後
の再圧工程で、空孔の殆どない高密度に圧縮することを
可能とするために重要なことである。それぞれこれより
粒径が大きいと、後の再圧工程で、現実的でない大きな
加圧力を必要とすることになり、事実上、高密度にする
ための再圧が困難になってしまうものである。
【0020】圧粉体の成形工程は、図1に示すように、
こうして準備した銅の粉末に錫等を添加した混合金属粉
末を成形装置に充填して行う。この成形装置は、同図に
示すように、従来からの一般的な装置であり、圧粉体の
外径部を成形するダイ1と、そのダイ孔1aの軸心部に
挿入して圧粉体2の内径部を成形するコアロッド3と、
上下方から上記ダイ孔1a中に挿入して圧粉体2の両端
面を成形する一対のパンチ4、5からなるものである。
【0021】まず前記ダイ1のダイ孔1a中に下方のパ
ンチ4を挿入し、更に前記コアロッド3を、上記パンチ
4の軸心部の貫通孔を通じてその上部にまで挿入し、ダ
イ孔1a中に成形空間を形成する。前記混合金属粉末
は、こうしてダイ孔1aに形成した成形空間内に充填す
る。その充填量はここで成形される圧粉体2の体積の3
倍強の量とする。
【0022】次いで、図1に示すように、上方のパンチ
5を上方からダイ孔1a中に挿入し、続いて両パンチ
4、5間が設定された間隔になるまで双方から圧縮して
圧粉体2を成形する。
【0023】その後は、両パンチ4、5はともに上昇
し、かつ上方のパンチ5は更に上昇して圧粉体2の上端
から離間し、他方、コアロッド3は下降する。こうして
圧粉体2はダイ孔1aの上方に突き出された時点では、
コアロッド3も必要なだけ下降してその内径部から抜け
出ており、図示しない突き出し手段により、この位置か
ら突き出されることとなる。なお図2は、こうして成形
された圧粉体2の縦断面を示している。
【0024】以上のようにして圧粉体の成形工程で成形
された圧粉体2について引き続いて焼結工程を行う。こ
の焼結工程は一般の技法により行うことができる。焼結
温度はこの実施例では800℃とした。
【0025】その後、上記焼結工程で焼結された焼結体
について再圧工程を行う。この再圧工程で上記焼結体を
再圧縮し、これを微小空孔の殆ど存在しない高密度再圧
体に構成する。
【0026】この再圧工程は、前記焼結体の再圧工程及
び該工程で再圧した再圧体を更に再圧する再圧工程とか
らなるものである。後者の再圧工程は更に必要に応じて
繰り返すことができるが、ここでは、以上のように二回
繰り返して行うものである。これらの再圧工程は、順
次、後の再圧工程では、先の工程で用いた再圧型より径
の小さいものを用いて行う。
【0027】まず前記焼結体の再圧工程から説明する。
この再圧工程に用いる再圧装置は、図3に示すように、
前記焼結体12の外径部を再圧縮するダイ11と、その
両側からダイ孔11a中に挿入して再圧体の両端面から
圧縮する一対のパンチ14、15と、一方のパンチ15
(同図中右側)の背後からその貫通孔を通じてその左側
に位置することとなる焼結体12の内径部に挿入するサ
イジングロッド13とからなる。
【0028】この再圧工程は、以上の装置を用いて以下
のように行う。図示しないワークフィーダでダイ11の
ダイ孔11aの右側開口部の直前に運ばれた焼結体12
を同じく図示しない支持部材で支持した状態で、図3に
示すように、パンチ15とともにその貫通孔に貫通した
サイジングロッド13を左方向に移動させ、上記サイジ
ングロッド13を上記焼結体12の内径部に挿入する。
引き続いて図4に示すように、上記サイジングロッド1
3と右側のパンチ15とを同期させてダイ11側に移動
させ、上記焼結体12をダイ孔11a中に圧入する。予
め左側からダイ孔11a中に若干挿入してあった左側の
パンチ14も、上記焼結体12が所定位置まで挿入され
た時点で右側に圧縮移動し、両パンチ14、15で上記
焼結体12を設定長さになるまで圧縮する。
【0029】こうして上記焼結体12は、その外径側か
らはダイ11のダイ孔11aによる圧縮を受け、内径側
ではコアロッド13により縮径を規制され、両端面側か
らは両パンチ14、15によって圧縮を受け、その内部
の微小空孔が押し潰され、高密度化した再圧体になる。
【0030】引き続いて両パンチ14、15はともに右
側に移動し、再圧体がダイ孔11aから抜け出た時点、
即ち、離型した時点で、サイジングロッド13が素早く
右側に移動して該再圧体の内径部から抜け出ることとな
る。このとき既に右側のパンチ15と左側のパンチ14
とによる該再圧体の挟持状態は緩んでいるので、規制を
失って下方の所定位置に落下することとなる。
【0031】この後は、前記したように、上記再圧体に
ついて再度の再圧工程を行う。こうして再圧体中に残存
する内部の微小空孔を更に押し潰し、一層の高密度化を
進めるものであるが、これは、以上の焼結体12につい
ての再圧工程と、ダイに於けるダイ孔の径が僅かに小さ
い(例えば、一回目の再圧に於けるダイ孔内径が3mmの
場合であれば、次の再圧工程でのダイ孔内径をそれより
8〜10μm程小さくする程度)ことを除いては全く同
じであるので、これ以上の説明は省略する。この実施例
では、以上のように、上記焼結工程で焼結された焼結体
12について、再圧工程を二度繰り返して微小空孔の殆
ど存在しない高密度再圧体に構成した。
【0032】こうしてほぼ必要な高密度化を確保した
後、動圧溝転写工程を行う。この動圧溝転写工程に用い
る再圧装置は、図5及び図6に示すように、前記高密度
再圧体22の外径部を再圧縮するダイ21と、その両側
からダイ孔21a中に挿入して高密度再圧体22を両端
面から圧縮する一対のパンチ24、25と、一方のパン
チ25(同図中右側)の背後からその貫通孔を通じてそ
の左側に位置することとなる高密度再圧体22の内径部
に挿入する動圧溝転写ロッド(サイジングロッド)23
とからなる。
【0033】上記動圧溝転写ロッド23は、図5及び図
6に示すように、この実施例では、その外周の所定の位
置にヘリングボーン形の動圧溝に対応した複数の転写用
突起23aが形成してある。必要に応じて他の形式の動
圧溝転写用の突起であっても良い。この転写用突起23
aの高さは後記スプリングバックの大きさ及び動圧溝と
しての有効性を持った深さに転写することを考慮して、
この実施例では4μmに形成した。
【0034】この動圧溝転写工程は、以上の装置を用い
て以下のように行う。図示しないワークフィーダで前記
高密度再圧体22を前記ダイ21に於けるダイ孔21a
の右側開口部直前まで移送する。この位置まで移送した
高密度再圧体22は同じく図示しない支持部材で支持し
ておき、図5に示すように、パンチ25とともにその貫
通孔に貫通した動圧溝転写ロッド23を左方向に移動さ
せ、これを上記高密度再圧体22の内径部に挿入する。
このとき予め動圧溝転写ロッド23は前記パンチ25へ
の貫通長さを所定の長さに定めておき、これを上記高密
度再圧体22の内径部に挿入して、該高密度再圧体22
の右端が前記パンチ25の左端に当接した際に、動圧溝
の転写用突起23aが該高密度再圧体22の内径部の所
定の位置に位置決めされるようにしておくものである。
【0035】引き続いて図6に示すように、上記動圧溝
転写ロッド23と右側のパンチ25とを同期させてダイ
21側に移動させ、上記高密度再圧体22をダイ孔21
a中に圧入する。予め左側からダイ孔21a中に若干挿
入してあった左側のパンチ24も、上記高密度再圧体2
2が所定位置まで挿入された時点で右側に圧縮移動し、
両パンチ24、25で上記高密度再圧体22を設定長さ
になるまで圧縮する。
【0036】こうして上記高密度再圧体22は、その外
径側からはダイ21のダイ孔21aによる圧縮を受け、
かつ両端側からは両パンチ24、25によって圧縮を受
けることとなり、これによって上記高密度再圧体22
は、その軸方向に縮小させられるとともに、内径部も縮
径し、内径部に挿入した動圧溝転写ロッド23の転写用
突起23aによって、内径部の対応する位置に動圧溝が
転写形成される。
【0037】引き続いて両パンチ24、25はともに右
側に移動し、動圧溝が転写された軸受32がダイ孔21
aから抜け出た時点、即ち、離型した時点で、動圧溝転
写ロッド23が右側に素早く更に大きく移動して該軸受
32の内径部から抜け出ることとなる。なお上記動圧溝
転写ロッド23は、軸受32がダイ孔21a中に位置し
ている間は、前者の転写用突起23aが後者に形成され
た動圧溝32aに係合状態となっており、その時点で
は、これを抜き出すことはできないが、該軸受32がダ
イ孔21aから外部に移動、即ち、離型すると、スプリ
ングバックにより、その内径部が拡径し、前記動圧溝3
2aと前記転写用突起23aとの係合が解けて、前記動
圧溝転写ロッド23は、前記のように、該軸受32の内
径部から抜け出ることができることとなるものである。
【0038】上記スプリングバックはこの実施例の軸受
32では径で10μm程度であり、前記転写用突起23
aの高さが4μmであるから前記動圧溝転写ロッド23
は容易に抜けることができるようになるものであり、他
方、前記転写用突起23aの高さも、前記のように、4
μmであり、これによって転写される動圧溝32aの深
さは3μmとなり、動圧効果の期待できる下限値の2μm
を越えているので、充分な動圧効果を確保し得、その観
点からも問題はない。
【0039】前記のように、動圧溝の転写加工された軸
受32は、こうしてダイ孔21aの右側に抜け出た時
点、即ち、離型した時点で、既述のように、動圧溝転写
ロッド23がその内径部から抜け、更にこの時点では、
左側のパンチ24と右側のパンチ25とによる該軸受3
2に対する挟持状態も緩んでいるので、該軸受32は規
制を受ける要素がなくなり、下方の所定位置に自由落下
することとなる。図7は、こうして成形された動圧滑り
軸受32の縦断面の概略を示している。
【0040】以上の製造方法で成形した動圧型滑り軸受
32についてその密度を測定すると、7.8(g/cm3
以上の値が得られた。またその内径面は、動圧溝内を含
めて緻密で鏡面となっており、顕微鏡(200倍)で観
察してみても、微小空孔の開口が殆ど見られなかった。
【0041】更に以上の製造方法で製造した外径5.9
9mm、内径3.00mm、長さ8.00mm、深さ3μmの
ヘリングボーン形動圧溝を内径部両端付近に形成した純
銅の動圧型滑り軸受(実施例軸受)及びこれと同一サイ
ズ同形状同質で多孔質の動圧型滑り軸受(比較例軸受)
について以下の試験を行い、次に示す結果を得た。なお
動圧溝の角度はいずれも60度、溝本数は各々12本と
した。
【0042】上記実施例軸受及び比較例軸受を各々ディ
スクドライブ用モータの軸受として取り付けて2000
rpm、6000rpm、8000rpmの回転速度で、それぞ
れ5000時間の連続運転を行い、その軸振れ量を測定
した。そうしたところ、2000rpmの回転速度の場合
は、実施例軸受の方が軸振れがやや少ないが、はっきり
とした差は認められなかった。回転速度が上がるにつれ
ていずれも軸振れが大きくなってくるが、徐々に差がは
っきりとして来て、6000rpmの場合は、実施例軸受
の軸振れ量は比較例軸受より30%程も小さいものとな
った。8000rpmの場合は、差は更に大きくなり、実
施例軸受の軸振れ量は比較例軸受のそれより40%も小
さいものとなった。
【0043】従って内径面を鏡面に成形した本発明の実
施例軸受は、高速回転になるにつれて軸振れは大きくな
ることはなるが、多孔質の比較例軸受と比較してその上
昇のカーブは緩やかで、高速回転になればなるほど軸振
れ量の差は大きくなる。即ち、高速回転の軸受として極
めて有効である。
【0044】
【発明の効果】従って本発明の動圧滑り軸受の製造方法
によれば、その軸受素材として超微粒子の金属粉末を採
用すること及び動圧溝転写工程の前に複数回の再圧工程
を行うことの他は、一般の焼結体からの動圧型滑り軸受
の製造方法と殆ど変わらない工程数で、高密度で微小空
孔のない、しかもその内径面及び動圧溝内も緻密で鏡面
化し、微小空孔等の開口していない優れた動圧型滑り軸
受を製造することができる。
【0045】即ち、本発明の動圧型滑り軸受の製造方法
によれば、これによって得られる軸受の内径部が動圧溝
の内部も含めて緻密で鏡面に構成され、殆ど微細空孔の
開口部が存在しないので、軸の回転時にポンピング作用
により動圧発生用のオイルが微小空孔を出入りするとい
うような問題が発生せず、またその偏在による動圧発生
用オイルの分布ムラが発生する余地がなく、それ故、安
定した動圧による軸振抑制効果を維持できる優れた軸受
となるものである。特に高速回転の軸受として有効であ
る。
【0046】しかも切削加工などによって製造するもの
より安価でスピーディに製造できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形装置による圧粉体の成形工程の一部を示す
概略縦断面図。
【図2】成形された筒状の圧粉体を示す概略縦断面図。
【図3】再圧型に圧入して再圧縮する準備段階として焼
結体(又は前工程で一回の再圧を受けた再圧体)にサイ
ジングロッドを挿入した状態を示した概略縦断面図。
【図4】内径部にサイジングロッドを挿入した焼結体
(又は前工程で一回の再圧を受けた再圧体)を再圧型に
圧入した状態を示した概略縦断面図。
【図5】再圧型に圧入して動圧溝を転写加工するための
準備段階として高密度再圧体の内径部に動圧溝転写ロッ
ドを挿入した状態を示した概略縦断面図。
【図6】内径部に動圧溝転写ロッドを挿入した高密度再
圧体を再圧型に圧入して動圧溝の転写加工を行っている
状態を示した概略縦断面図。
【図7】動圧溝の形成された動圧型滑り軸受の概略縦断
面図。
【符号の説明】
1 ダイ 1a ダイ孔 2 圧粉体 3 コアロッド 4、5 パンチ 11 ダイ 11a ダイ孔 12 焼結体 13 サイジングロッド 14、15 パンチ 21 ダイ 21a ダイ孔 22 高密度再圧体 23 動圧溝転写ロッド(サイジングロッド) 23a 転写用突起 24、25 パンチ 32 軸受 32a 動圧溝

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超微粒子の金属粉末を成形装置で筒状の
    圧粉体に成形する圧粉体の成形工程と、 上記成形工程で成形した圧粉体を焼結する焼結工程と、 上記焼結工程で焼結した焼結体を、これが高密度になり
    内部に微小空孔がなくなるまで、再圧装置で、順次、前
    工程のそれより内径の小さい再圧型に装入して行う複数
    回の再圧工程であって、その各工程が、前記焼結体又は
    前工程で再圧された再圧体を、その内径部にサイジング
    ロッドを挿入した上で、上記再圧型に装入して径方向及
    び軸方向の圧縮を行うものである再圧工程と、 上記再圧工程で再圧された高密度再圧体を、その内径部
    に、動圧溝転写用の突起を外周に備えたサイジングロッ
    ドを位置決めしつつ挿入した上で、再圧装置の再圧型に
    装入し、径方向及び軸方向に圧縮して、内径部に動圧溝
    を転写する動圧溝転写工程とにより、高密度で内部に空
    孔がなく、かつ内径面及び動圧溝内が鏡面である動圧型
    滑り軸受を成形する動圧型滑り軸受の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記超微粒子の金属粉末が5μm以下の
    粒径の金属粉末である請求項1の動圧型滑り軸受の製造
    方法。
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