JP2000290865A - 繊維成形体及びその製造方法 - Google Patents
繊維成形体及びその製造方法Info
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Abstract
ができ、しかも用途に応じた剛性を備えた吸音,遮音材
用の繊維成形体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】短繊維からなり一定の嵩高さに形成された
ウェブを、上面からの針打ち深さと下面からの針打ち深
さとが異なる深さとなるように上下面から針打ちして得
られる繊維成形体である。繊維成形体の嵩密度が厚さ方
向に漸次変化したものとなり、嵩密度の高い部分は高い
剛性を備え、嵩密度の低い部分は十分な吸音作用を備え
たものとなる。
Description
状に成形した繊維成形体に関し、特に、吸音や遮音を目
的とした自動車用天井材,エンジンカバー材及び住宅用
壁材などに好適に用いることができる繊維成形体に関す
る。
成形体が数多く提案されている。その中の一つに、特開
平10−119665号公報に開示されるものがある。
この繊維成形体は、少なくとも低融点の熱可塑性樹脂繊
維を含む2種以上の繊維を絡めて形成した繊維質基材と
熱可塑性樹脂ウェブとを重ね合わせ、これを十分に高熱
の熱風によって加熱して繊維質基材に含まれる低融点熱
可塑性樹脂繊維と熱可塑性樹脂ウェブとを軟化させた
後、繊維質基材の熱可塑性樹脂ウェブを重ねた側に非通
気性の樹脂フィルムを重ね、これを繊維質基材方向に押
圧して一体化することにより得られる。尚、前記熱可塑
性樹脂ウェブは接着剤として作用するとともに、繊維成
形体自体の剛性を高める作用をなしている。
は、短繊維および/または長繊維で構成された繊維集合
体からなる織布または不織布よりなる繊維成形体が開示
されている。この繊維成形体は、芯部に高軟化点、表面
部に低軟化点の樹脂が配置され、軟化点の差が20〜1
50℃となった芯鞘構造のバインダー繊維を70〜10
0重量%含む、繊維径が10〜40μmのポリエステル
繊維からなり、平均厚さが3〜30mm、面密度が20
0〜2000g/m2となるように成形されたものであ
る。この繊維成形体は多量のバインダー繊維を含むこと
により、その剛性が高められている。
音や遮音を目的とした従来の繊維成形体にはそれぞれ次
のような欠点があった。
報に開示された繊維成形体においては、繊維質基材とは
それぞれ別の工程で製造された熱可塑性樹脂ウェブと非
通気性の樹脂フィルムとを繊維質基材に重ね合わせて製
造されるものであるため、その製造工程が複雑でコスト
が高く、また、剛性も非常に弱いものであった。
開示された繊維成形体は、構成繊維中に低融点のバイン
ダー繊維を多量に含んでいるため、高温の環境下で変形
し易いという欠点を有していた。例えば、この繊維成形
体を自動車の天井材として用いた場合、夏場の直射日光
の下でドアを閉め切った状態にすると、車内温度が70
〜100℃にまで昇温するため、天井材の中央部分が垂
れ下がったりするのである。また、バインダー繊維は他
の構成繊維に比べて高価であり、これを多量に用いると
最終的に得られる繊維成形体が高価になるという問題も
ある。また、バインダー繊維を多量に含有させて繊維成
形体全体の剛性を高めようとすると、吸音性能が低下す
るという欠点もある。
繊維成形体であっても、用途によっては、あまり高い剛
性を必要とされないものもある。例えば、住宅用壁材と
して用いられる繊維成形体は、しっかりと固定された内
壁材内に充填されて吸音材や遮音材として機能するもの
であるため、施工時のハンドリングに耐え得る強度を備
えていれば足りる。したがって、高価なバインダー繊維
を多量に用いて繊維成形体の剛性を高める必要はない。
あって、複雑な工程を経ることなく安価に製造すること
ができ、しかも用途に応じて必要とされる適当な剛性を
備えた吸音,遮音材用の繊維成形体およびその製造方法
の提供を目的とする。
備えた本発明によって達成される。即ち、本発明の請求
項1に係る発明は、短繊維集合物を板状に成形してな
り、構成繊維の一部が厚さ方向に配向された繊維成形体
において、該繊維成形体の嵩密度を厚さ方向に漸次変化
させたことを特徴とするものである。
換することであるから、その性能を向上させるにはエネ
ルギの変換効率を向上させる必要があり、エネルギの変
換効率を向上させるには吸音材たる繊維成形体の表面積
を大きくする、即ち繊維成形体を嵩高くして繊維と空気
との摩擦を大きくするのが効果的である。
絡み合いにより得られるものであるから、繊維成形体の
剛性を高めるには、その嵩密度が高く、しかも構成繊維
同士が緻密に絡み合っていることが必要である。
方向に配向され、構成繊維同士が絡み合った繊維成形体
の嵩密度を厚さ方向に漸次変化させている、即ち、例え
ば繊維成形体の上部(上面側),中央部,下部(下面
側)でその嵩密度が漸次異なるようにしているので、嵩
密度の高い部分は高い剛性を備え、嵩密度の低い、言い
換えれば嵩高い部分は十分な吸音作用を備えたものとな
っている。
吸音作用を備えた吸音材を一つの繊維成形体で製造する
ことができ、従来のように、複数の成形体を重ね合わせ
るといった複雑な工程は必要なく、安価にこれを製造す
ることができる。尚、平均嵩密度は0.005〜0.2
g/cm3の範囲であるのが好ましく、0.01〜0.
1g/cm3の範囲であれば得られる繊維成形体が軽量
且つ剛性,吸音性に優れていて特に好ましい。また、成
形体の厚さ方向の嵩密度差は、厚さ10mmに対して
0.005〜0.1g/cm3であるのが好ましく、よ
り好ましくは0.01〜0.05g/cm3である。
5に係る発明によりこれを好適に製造することができ
る。即ち、請求項5に係る発明は、短繊維からなり一定
の嵩高さに形成されたるウェブを、該ウェブの上下両面
から針打ちして板状の繊維成形体を製造する方法におい
て、前記上面からの針打ち深さと下面からの針打ち深さ
とが異なる深さとなるように針打ちすることを特徴とす
るものである。
たウェブは、針打ちを行うことによりその構成繊維の一
部が厚さ方向に配向されて構成繊維同士が絡み合い、所
定の剛性を発現するようになる。厚さ方向に配向される
構成繊維の割合は、針打ち回数が多ければ多いほど高
く、また、繊維成形体に打ち込まれる針の深さが深いほ
ど高くなる。したがって、この発明におけるように、上
面からの針打ち深さと下面からの針打ち深さとが異なる
ように、ウェブをその上下両面から針打ちすると、繊維
成形体の厚さ方向全域において構成繊維同士を絡み合わ
せることができ、しかも上部,中央部,下部でその嵩密
度が漸次異なるような繊維成形体を製造することができ
る。尚、針打ち深さとは、ウェブの上面から針打ちする
場合には、ウェブ下面を基準にした針先端の到達位置を
意味し、下面から針打ちする場合には、ウェブ上面を基
準にした針先端の到達位置を意味する。
形体は、構成繊維が低融点のバインダー繊維を含み、こ
のバインダー繊維が他の構成繊維に融着されていること
が望ましい(請求項2および請求項6)。バインダー繊
維が他の構成繊維に融着されることにより、構成繊維同
士の結合を強固なものとすることができ、繊維成形体全
体の剛性を高めることができる。
あたり、上面側と下面側とで温度が異なるように繊維成
形体を加熱して(請求項7)、バインダー繊維の融着度
が、厚さ方向において漸次変化するように、即ち、例え
ば繊維成形体の上部,中央部,下部の各部でその融着度
が漸次異なるようしても良い(請求項3)。融着度合い
の高い部分は構成繊維同士がより強固に結合しており、
繊維成形体全体の剛性を高める働きをする一方、融着度
合いの低い部分は構成繊維同士の結合が希薄で各構成繊
維の自由度が高く、自体振動して音エネルギを吸収し易
く、吸音作用を高める働きをする。したがって、嵩密度
の高い部分の融着度を高め、嵩密度の低い部分の融着度
を低くすることで、吸音効果が高く、しかも剛性の高い
吸音材を、一つの繊維成形体から得ることができる。
尚、上記融着度とは、バインダー繊維が他の繊維と融着
して形成される交絡部の断面の大きさの程度を意味し、
断面積が大きいほど融着度が高く、断面積が小さいほど
融着度が低いことを意味する。
繊維集合物を板状に成形してなり、構成繊維の一部が厚
さ方向に配向された繊維成形体において、前記構成繊維
が低融点のバインダー繊維を含むとともに、該バインダ
ー繊維を他の構成繊維に融着させてなり、且つその融着
度を前記厚さ方向において漸次変化させたことを特徴と
するものである。
成繊維同士がより強固に結合して、繊維成形体全体の剛
性を高める働きをする一方、融着度合いの低い部分は構
成繊維同士の結合が希薄で吸音作用を高める働きをす
る。したがって、嵩密度が厚さ方向に均一となった繊維
成形体であっても、その融着度を変化させることで、吸
音効果が高く、しかも剛性の高い吸音材を、一つの繊維
成形体から得ることができる。
明により好適にこれを製造することができる。即ち、請
求項8に係る発明は、低融点のバインダー繊維を含む短
繊維からなり一定の嵩高さに形成されたウェブを上下両
面から針打ちした後、該ウェブを加熱して板状の繊維成
形体を製造する方法において、加熱される温度を前記ウ
ェブの上面側と下面側とで異なる温度に設定したことを
特徴とするものである。
されるものではないが、ポリエステル系繊維からなるも
のであることが好ましい。ポリエステル系繊維はリサイ
クル性が高く、また比較的融点が高いことから、成形体
を高温環境下で使用することができるからである。
のが好ましく、60〜80mmのものがより好ましい。
25mmより短いと成形体の剛性が弱くなり、100m
mを超えるとカードの通過性が悪くなって生産性が悪く
なるからである。繊維径(繊度)は1〜50dのものが
好ましく、6〜20dのものがより好ましい。吸音性能
の面からすると繊度の小さいものが好ましいが、剛性の
面からすると繊度の大きいものが好ましい。上記範囲は
これらの調和点として見出されるものである。また、壁
材のようにさほど剛性の必要とされないものは、細デニ
ールの綿を混綿しても良く、車輌用吸音材のように比較
的高温雰囲気にさらされるものは剛性を高めるために6
〜20dのものを用いるのが好ましい。更に、中空の繊
維を用いれば、同じ重量で剛性を高めることができる。
ー繊維の割合は、5〜70重量%の範囲が好ましい。含
まれるバインダー繊維の割合が5重量%未満であると、
バインダー繊維を含まない成形体とその剛性においてあ
まり異なるところが無く、逆に、70重量%を超える
と、必要な吸音効果が得られず、更に70〜100℃の
高温環境下でこれを使用すると成形体が変形するという
問題を生じるからである。また、使用するバインダー繊
維はアモルファスタイプ又は結晶性タイプのいずれのも
のであっても良く、更には両者を併用しても良いが、用
途が車輌用のように高温耐久性が必要とされる場合に
は、結晶性タイプのものが好ましい。これは、アモルフ
ァスタイプのものは溶融温度範囲が非常にブロードで加
工時の温度よりも低温から軟化し始めるのに対し、結晶
性タイプのものは溶融温度範囲が非常にシャープであ
り、耐熱性に優れているからである。アモルファスタイ
プのバインダー繊維としてカネボウ合繊(株)製のベル
コンビ4080(融点110℃、繊度2d、繊維長51
mm)を挙げることができ、結晶性タイプのバインダー
繊維として同じくカネボウ合繊(株)製のベルコンビ7
080(融点160℃、繊度2d、繊維長51mm)を
挙げることができる。
について実施例に基づき説明する。
51mmであるポリエステル繊維の50重量%と、融点
が160℃、繊度が2デニール、繊維長が51mmであ
るバインダー繊維(カネボウ合繊(株)製ベルコンビ7
080)の50重量%とを混綿してカードウェブを製造
した。得られたウェブの平均面密度は1000g/m2
であり、平均厚さは150mmであった。また、前記バ
インダー繊維は芯鞘型のポリエステル繊維であり、鞘部
の融点が160℃のものを用いた。
ブにその上下両面から針打ちを施した。ニードルには、
オルガン針(株)製のクロスバーブ(FPD−1−36
C−36番)を使用し、上面側のニードルの針深度を−
5mm、下面側のニードルの針深度を−10mm、スト
ローク数(針打ち回数)を250回/分、ウェブの送り
を0.8m/分とした。このようにして針打ち処理を施
した後のウェブはその平均の厚さが34mmとなってい
た。
図1に示すように、ウェブ1が載置,搬送される下側の
ベッドプレート2aの上面から上面側のニードル3aの
先端まで、若しくは上側のベッドプレート2bの下面か
ら下面側のニードル3bの先端までの距離をいい、上側
のニードル3aの先端が下側のベッドプレート2aの上
面より上方に位置する場合、及び下側のニードル3bの
先端が上側のベッドプレート2bの下面より下方に位置
する場合をマイナスで表示し、これらの逆の場合をプラ
スで表示している。下面側のニードル3bにより針打ち
する場合には、ニードル3bの抵抗によってウェブ1が
上方に持ち上げられ上側のベッドプレート2bに当接す
るので、当該針深度と上記針深さとは同義となる。この
ような定義によると、上記の針深度(針深さ)の差は5
mmとなる。
外線式熱処理機を用い、上側のプレートヒータの表面温
度を380℃とし、下側のプレートヒータの表面温度を
280℃とし、熱処理機内の雰囲気温度を220℃とし
て、上記針打ち後のウェブを10分間その上下両面から
加熱処理した後、ローラにより加圧して、実施例1の繊
維成形体を得た。尚、ローラによる加圧後の繊維成形体
の厚みは20mmであった。
製のレギュラーバーブ(FPD−1−36−36番)を
使用し、上面側のニードルの針深度を10mm、下面側
のニードルの針深度を5mmとし、針深度(針深さ)の
差を5mmとして針打ち処理を施した他は、上記実施例
1と同様にして実施例2の繊維成形体を得た。
機を用い、熱風の温度を215℃にするとともに、熱風
の循環量を通常の1/10に絞ってウェブの上面側の温
度が下面側より10℃高くなるようにし、処理時間を5
分としてウェブを加熱処理した他は、上記実施例1と同
様にして実施例3の繊維成形体を得た。
51mmのポリエステル繊維の60重量%と、融点が1
10℃、繊度が2デニール、繊維長が51mmであるバ
インダー繊維(カネボウ合繊(株)製ベルコンビ408
0)の40重量%とを混綿してカードウェブを製造し
た。得られたウェブの平均面密度は800g/m2であ
り、平均厚さは128mmであった。また、前記バイン
ダー繊維は芯鞘型のポリエステル繊維であり、鞘部の融
点が110℃のものを用いた。
ブにその上下両面から針打ちを施した。ニードルには、
オルガン針(株)製のクロスバーブ(FPD−1−36
C−36番)を使用し、上面側のニードルの針深度を1
0mm、下面側のニードルの針深度を5mmとして針深
度(針深さ)の差を5mmとし、ストローク数を250
回/分、ウェブの送りを0.8m/分とした。このよう
にして針打ち処理を施した後のウェブはその平均の厚さ
が27mmとなっていた。
外線式熱処理機を用い、上側のプレートヒータの表面温
度を300℃とし、下側のプレートヒータの表面温度を
230℃とし、熱処理機内の雰囲気温度を190℃とし
て、上記針打ち後のウェブを10分間その上下両面から
加熱処理した後、ローラにより加圧して、実施例4の繊
維成形体を得た。尚、ローラによる加圧後の繊維成形体
の厚みは15mmであった。
51mmであるポリエステル繊維の70重量%と、繊度
が1.5デニール、繊維長が51mmであるポリエステ
ル繊維の30重量%とを混綿してカードウェブを製造し
た。得られたウェブの平均面密度は1000g/m2で
あり、平均厚さは150mmであった。
オルガン針(株)製のレギュラーバーブ(FPD−1−
36−36番)を使用し、上面側のニードルの針深度を
30mm、下面側のニードルの針深度を30mmとして
針深度(針深さ)の差を0mmとし、ストローク数を1
50回/分、ウェブの送りを1.5m/分として、上記
ウェブにその上下両面から針打ちを施した後、更に、同
じくニードルルームを用い、ニードルにオルガン針
(株)製のクロスバーブ(FPD−1−36C−36
番)を使用し、上面側のニードルの針深度を−5mm、
下面側のニードルの針深度を−10mmとして針深度
(針深さ)の差を5mmとし、ストローク数を350回
/分、ウェブの送りを0.8m/分として、上記針打ち
後のウェブにその上下両面から針打ちを施し実施例5の
繊維成形体を得た。尚、最終的に得られた繊維成形体の
平均厚さは15mmとなっていた。
が51mmであるポリエステル繊維の80重量%と、融
点が160℃、繊度が2デニール、繊維長が51mmで
ある芯鞘型のバインダー繊維(カネボウ合繊(株)製ベ
ルコンビ7080)の20重量%とを混綿してカードウ
ェブを製造した。得られたウェブの平均面密度は850
g/m2であり、平均厚さは300mmであった。
にオルガン針(株)製のレギュラーバーブ(FPD−1
−36−36番)を使用し、上面側のニードルの針深度
を30mm、下面側のニードルの針深度を30mmとし
て針深度(針深さ)の差を0mmとし、ストローク数を
250回/分、ウェブの送りを1.5m/分として、上
記ウェブにその上下両面から針打ちを施し基材を製造し
た。得られた基材の平均厚さは30mmであった。
ル、繊維長が51mmであるバインダー繊維(カネボウ
合繊(株)製ベルコンビ7080)を用いてカードウェ
ブを製造し、ついで、ニードルルームを用い、ニードル
にオルガン針(株)製のレギュラーバーブ(FPD−1
−36−36番)を使用し、上面側のニードルの針深度
を40mm、下面側のニードルの針深度を40mmとし
て針深度(針深さ)の差を0mmとし、ストローク数を
250回/分、ウェブの送りを0.8m/分として、上
記ウェブにその上下両面から針打ちを施して補強材を得
た。得られたウェブの平均面密度は250g/m2であ
り、平均厚さは10mmであった。
して、これを熱風温度が190℃の熱風循環式熱処理機
により10分間均一に加熱処理した後、ローラにより加
圧して、比較例1の繊維成形体を得た。尚、ローラによ
る加圧後の繊維成形体は、その平均面密度が1100g
/m2であり、平均厚さが20mmであった。
基材を得た。次に、融点が110℃、繊度が2デニー
ル、繊維長が51mmであるバインダー繊維(カネボウ
合繊(株)製ベルコンビ4080)を用いた他は、比較
例1と同様にして補強材を得た。そして、得られた基材
と補強材とを積層して、これを比較例1と同様の条件で
加熱処理して比較例2の繊維成形体を得た。最終的に得
られた繊維成形体の平均面密度は1100g/m2であ
り、平均厚さは20mmであった。
面密度が800g/m2、平均厚さが128mmのカー
ドウェブを製造した。ついで、ニードルにオルガン針
(株)製のレギュラーバーブ(FPD−1−36−36
番)を使用し、上面側のニードルの針深度を15mm、
下面側のニードルの針深度を15mmとして針深度(針
深さ)の差を0mmとし、ストローク数を150回/
分、ウェブの送り0.8m/分として上記ウェブに針打
ち処理を施した。得られたウェブの平均厚さは30mm
であった。
熱処理機により上記ウェブを10分間均一に加熱処理し
た後、ローラにより加圧して、比較例3の繊維成形体を
得た。尚、ローラによる加圧後の繊維成形体は、その平
均面密度が800g/m2であり、平均厚さが15mm
であった。
51mmであるポリエステル繊維の70重量%と、繊度
が1.5デニール、繊維長が51mmであるポリエステ
ル繊維の30重量%とを混綿してカードウェブを製造し
た。得られたウェブの平均面密度は1000g/m2で
あり、平均厚さは150mmであった。
オルガン針(株)製のレギュラーバーブ(FPD−1−
36−36番)を使用し、上面側のニードルの針深度を
30mm、下面側のニードルの針深度を30mmとして
針深度(針深さ)の差を0mmとし、ストローク数を3
50回/分、ウェブの送りを0.8m/分として、上記
ウェブにその上下両面から針打ちを施し、比較例4の繊
維成形体を得た。尚、最終的に得られた繊維成形体の平
均厚さは15mmとなっていた。
1乃至5及び比較例1乃至4の繊維成形体の吸音性能と
剛性を測定した。その結果を下表表1に示す。
状の試料を準備し、Bruel&Kjar社製のマルチ
チャンネル分析システム3550型(ソフトウェアはB
Z5087型2チャンネル分析ソフト)を用い、2マイ
クロフォン法により、各試料について0〜5000Hz
までの吸音率を測定することで評価した。
50mmの板状の試料を準備し、これを、図2に示し
た、固定治具10にセットし、乾燥前の試料11の高さ
寸法L1から、固定治具10ごと乾燥機に入れて乾燥し
た後の試料11の高さ寸法L2との差である撓み量L3
を測定することで評価した。尚、実施例1乃至3、比較
例1及び2の試料については、これを120℃で60分
間乾燥し、実施例4及び5、比較例3及び4の試料につ
いては、これを60℃で60分間乾燥した。
繊維成形体は、比較例1及び2の繊維成形体に比べて、
高い吸音性能を備え、且つこれらと略同等の剛性を備え
ている。また、実施例4及び5の繊維成形体は、比較例
3及び4の繊維成形体に比べて、極めて高い剛性を備
え、且つこれらと略同等の吸音性能を備えている。
従来と同等以上の吸音性能及び剛性を備えた吸音材を、
単一の繊維成形体から得ることができるので、これを単
純な工程で容易に製造することができ、しかも安価に製
造することができる。また、用途に応じて適宜必要とさ
れる剛性を備えた繊維成形体を得ることができる。
明図である。
明図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 短繊維集合物を板状に成形してなり、構
成繊維の一部が厚さ方向に配向された繊維成形体におい
て、該繊維成形体の嵩密度を厚さ方向に漸次変化させた
ことを特徴とする繊維成形体。 - 【請求項2】 前記構成繊維が低融点のバインダー繊維
を含み、該バインダー繊維が他の構成繊維に融着されて
なる請求項1記載の繊維成形体。 - 【請求項3】 前記バインダー繊維の融着度を、前記厚
さ方向において漸次変化させたことを特徴とする請求項
2記載の繊維成形体。 - 【請求項4】 短繊維集合物を板状に成形してなり、構
成繊維の一部が厚さ方向に配向された繊維成形体におい
て、前記構成繊維が低融点のバインダー繊維を含むとと
もに、該バインダー繊維を他の構成繊維に融着させてな
り、且つその融着度を前記厚さ方向において漸次変化さ
せたことを特徴とする繊維成形体。 - 【請求項5】 短繊維からなり一定の嵩高さに形成され
たウェブを、該ウェブの上下両面から針打ちして板状の
繊維成形体を製造する方法において、前記上面からの針
打ち深さと下面からの針打ち深さとが異なる深さとなる
ように針打ちすることを特徴とする繊維成形体の製造方
法。 - 【請求項6】 前記短繊維に低融点のバインダー繊維が
含まれ、針打ち後の繊維成形体を加熱して、前記バイン
ダー繊維を他の短繊維に融着させる工程を含む請求項5
記載の繊維成形体の製造方法。 - 【請求項7】 前記繊維成形体の加熱される温度を、上
面側と下面側とで異なる温度に設定した請求項6記載の
繊維成形体の製造方法。 - 【請求項8】 低融点のバインダー繊維を含む短繊維か
らなり一定の嵩高さに形成されたウェブを上下両面から
針打ちした後、該ウェブを加熱して板状の繊維成形体を
製造する方法において、加熱される温度を前記ウェブの
上面側と下面側とで異なる温度に設定したことを特徴と
する繊維成形体の製造方法。
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Cited By (2)
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