JPH0791763B2 - 吸音材およびその製造方法 - Google Patents

吸音材およびその製造方法

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JPH0791763B2
JPH0791763B2 JP62303823A JP30382387A JPH0791763B2 JP H0791763 B2 JPH0791763 B2 JP H0791763B2 JP 62303823 A JP62303823 A JP 62303823A JP 30382387 A JP30382387 A JP 30382387A JP H0791763 B2 JPH0791763 B2 JP H0791763B2
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章 山中
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車輛、家屋等の内装用に用いる吸音材に関す
る。
〔従来技術〕
自動車の天井やトランクルームあるいは家屋の壁や天井
等に用いられる吸音材として、反毛やガラス繊維のウエ
ブをラテツクス系接着剤で板状に固定し、所望によりプ
ラスチツクシートや織布等の表皮材を積層したり各種形
状に成形したものが多用されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕 従来のこのような吸音材は、単糸繊度が太く、吸音特性
を向上させるには重量を増さねばならなかつた。また、
ラテツクスバインダーの乾燥のために多量の熱エネルギ
ーを消費するという欠点を有していた。
吸音材の軽量化のために細繊度の有機質繊維を用いる
と、ウエブ製造のための梳綿機通過性が低下したり、ニ
ードルパンチ工程で繊維の切断が起つたり、さらには吸
音材の曲げ剛性が低下する等の問題が生ずる。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者らは従来の吸音材の上記諸問題の解決のため鋭
意研究の結果、繊維間の接着を熱接着性繊維を用いるこ
とによりエネルギーコストを低減し、さらに、接着のた
めの熱処理時に繊維塊を圧縮し、次いで圧縮を開放する
ことにより繊維同志を接着させるとともに熱接着性繊維
の一部分を細繊度化することにより充分な吸音特性と曲
げ剛性を有する軽量の吸音材が得られることを知り本発
明を完成するに至つた。
本発明で用いる熱接着性繊維とは、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合
体、ポリプロピレン、低融点ポリエステル等の熱可塑性
樹脂を単独紡糸した繊維あるいは融点の20℃以上異なる
二種類の熱可塑性樹脂をその低融点の樹脂を接着成分と
して繊維表面に存在するように並列型または鞘芯型に複
合紡糸した複合繊維を指す。この熱接着性繊維は単糸繊
度が細いほど吸音特性が向上するが、0.5デニール未満
になるとカード機による梳綿が困難になり、ニードリン
グにより繊維が切断されたり、また吸音材の曲げ剛性が
低下する等の問題が生ずる。熱接着性繊維の単糸繊度が
4.0デニールを超すと細繊度繊維を用いることによる吸
音特性の向上の効果が少なくなる。
熱接着繊維が複合繊維である場合にはこの複合繊維のみ
で吸音材を作ることも可能であるが、吸音材の曲げ剛性
を向上させるために他種の繊維と混合して用いることが
できる。熱接着性繊維が単独紡糸によるものである場合
には後述の熱処理時に融解して繊維形状を失うこともあ
るので他種の繊維と混合して用いることが好ましい。
本発明で用いる熱接着性繊維以外の他種の繊維とは、上
記熱接着性繊維の融着のため熱処理において軟化あるい
は劣化しない繊維を指し、麻、木綿、羊毛等の天然繊
維、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成
繊維がいずれも使用でき、吸音材の曲げ剛性を保つため
には単糸繊度2デニール以上のものが好ましい。
熱接着性繊維と他種の繊維を混合して使用する場合、充
分な量の繊維同志の接着点を得て曲げ剛性を高めるとと
もに細繊度化による吸音特性を向上させるため、繊維混
合物中の熱接着性繊維は30重量%以上とする。
このようにして得られた繊維混合物はカーデイング等の
公知の方法でウエブとし、必要であればこのウエブを積
層あるいはニードリングして重量や空隙率を調整した
後、熱接着性繊維(複合繊維の場合はその接着成分)を
融着させるための熱処理を行う。熱処理のための加熱方
法には特別な制限はないが、ウエブの中まで均一な加熱
ができる熱風通過形乾燥機が簡便に用いられる。本発明
においては、この熱処理の工程中でウエブは一旦圧縮さ
れ、次いでこの圧縮から開放された後冷却される圧縮の
手段としては、ニツプロールあるいはニツプベルト等が
使用でき、ウエブが加熱装置に入る直前かあるいは加熱
装置内でまだ充分に加熱されていない位置で圧縮するこ
とが好ましい。圧縮状態でウエブ内に発生した繊維同志
の接着点は、圧縮より開放された時点ではウエブの膨張
につれてその間隔が広がり、接着点の間をつなぐ熱接着
性繊維は軟化ないしは溶融状態であるため延伸されて細
繊度化し、さらには切断される部分も生ずる。
熱処理工程を経たウエブは室温まで冷却され、繊維同志
の接着点が固定されて本発明の吸音材となる。この冷却
工程中に、ウエブを所望の厚みに調整したり表面に凹凸
模様をつけるためにエンボスロール等を用いたり、表面
材を積層し接着したりすることもできる。このようにし
て得られる吸音材は、厚さ3〜300mm、空隙率80〜96
%、重量400〜800g/m2の場合には特に好ましい吸音特性
と曲げ剛性を有する。
〔効 果〕
本発明の吸音材は細繊度の繊維を含有するため吸音特性
が優れていると共に、熱接着性繊維の融着により繊維同
志が接着されているため曲げ剛性が大きいという特性を
有する。また、本発明の方法によれば簡単な手段により
吸音材中に細繊度の繊維を発生させることが可能となつ
た。
〔実施例〕
実施例および比較例によつて本発明を更に具体的に説明
する。なお各例で用いた物性測定法は以下の通りであ
る。
吸音率:JIS A 1405(管内法による吸音率測定方法)に
準じ、200Hzを基準とし1/3オクターブごとの周波数で50
00Hzまで測定した平均吸音率および2000Hz〜5000Hzにお
ける高周波側の最低吸音率を求めた。
曲げ剛性:JIS A 7203(硬質プラスチツクの曲げ試験方
法)に準じ、長さ150mm、幅15mmの試験片を支点間隔110
mmの条件で測定した。細繊度化部分:熱処理後のウエブ
の表面を厚さ1mmだけ消除した残りの部分の掃査型電子
顕微鏡写真を用い、下記の如くランク付けを行う。
熱接着性繊維に直径20μ以下の糸ひき状態あるいは切断
状態が多数観察されるものを1、そのような状態の存在
が観察されるものを2、そのような状態が観察されない
ものを3とする。
実施例1〜11、比較例1〜4 第1表に示した各種の熱接着性繊維(1)〜(8)およ
びその他の繊維(9)〜(11)を用い、第2表に示した
各種の比率で混合し、梳綿機およびニードルパンチ処理
してそれぞれ600g/m2のウエブを作つた。このウエブを
加熱装置の直前に2.5m間隔で設置した線圧1.2kg/cmの2
段のニツプロールを通した後、加熱装置(148℃の熱風
通過式乾燥機)で滞留時間105秒間の熱処理を行い、引
き続きロール間隔6.9mmの金属性冷却ロールを通して厚
さを調整して、厚さ7mmの吸音材を得た。得られた吸音
材の物性値を第2表に併せ表示した。
比較例5〜7 第2表に示した混合比の繊維を用い、実施例と同様の方
法で、但し加熱装置の直前の2段のニツプロールは使用
しないで、厚さ7mmの吸音材を得た。得られた吸音材の
物性値を第2表に併せ表示した。
実施例10、11 実施例3および実施例8と同様に作つたウエブの上にナ
イロン66繊維のモケツト調織布を積層し、実施例1と同
様の熱処理を行つて表面材を有する吸音材を得た。この
ものの物性値を第2表に表示した。
第2表に示されたデータから以下のことが判る。
熱接着性繊維の繊度が大きいもの(比較例1、2、3)
は吸音率が劣り、熱接着性繊維の含有量が少いもの(比
較例4)は曲げ剛性が劣り、圧縮処理を行なわないもの
(比較例5、6、7)は熱接着性繊維が適当な繊度のも
のであつても吸音率が劣る。これに対し、本発明の吸音
材は繊維の細繊度化により吸音率が向上していると共に
好ましい曲げ剛性を有している。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸繊度が0.5〜4デニールの熱接着性繊
    維30〜100重量%と単糸繊度が2デニール以上の他種の
    繊維70〜0重量%からなる繊維混合物であつて、繊維同
    志の接点が熱接着性繊維の融着により接着されていると
    ともに、熱接着性繊維が部分的に細繊度化されているこ
    とを特徴とする200〜5000Hzにおける平均吸音率が40%
    以上であり、2000〜5000Hzにおける最低吸音率が70%以
    上であり、かつ曲げ強力が2kg/cm2以上の吸音材。
  2. 【請求項2】繊維混合物に表面材が接合されて成る特許
    請求の範囲第1項記載の吸音材。
  3. 【請求項3】単糸繊度が0.5〜4デニールの熱接着性繊
    維30〜100重量%と単糸繊度が2デニール以上の他種の
    繊維70〜0重量%からなる繊維混合物を、繊維同志の接
    点と熱接着性繊維の融着により接着するための熱処理を
    するに際し、加熱開始より冷却終了までの間に該繊維混
    合物を圧縮し、次いで圧縮を開放することにより熱接着
    性繊維を部分的に細繊度化することを特徴とする吸音材
    の製造方法。
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