JP2000288790A - プレス機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】コンパクトで廉価に構成するとともに多様のプ
レス加工を行なうことができ、しかも高精度を維持する
ことのできるプレス機を提供すること。 【解決手段】プレス機１は、機枠１に回転可能に支持さ
れサーボモータ６によって駆動されるクランク軸２と上
下方向に往復移動するスライド５とを有し、クランク軸
２に支承されたコネクション８の一端は、枢軸１９を介
してスライダ１８により直線的に案内移動される。枢軸
１９には駆動リンク１６が枢支されてリンク装置１０に
連結される。リンク装置１０は、駆動軸１５に枢着され
る第１リンク１２と、第２リンク１４とを有し、第１リ
ンク１２は機枠に支持され第２リンク１４はプランジャ
３を介してスライド５に連結される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、スライドにリン
クで連結されるナックル機構またはリンク機構を有する
プレス機に関する。

【０００２】

【従来の技術】プレス機は、回転運動を往復直線運動に
変換してプレス加工を行なうものであり、一般的には回
転するクランク軸と往復直線運動するスライドとの間に
駆動伝達機構を介して構成されている。この駆動伝達機
構としては、主にクランク駆動、ナックル駆動、リンク
駆動等によるスライド駆動機構がよく知られている。ク
ランク駆動は大きいストロークを必要とする場合には有
利であり、また、下死点付近のスライド速度をクランク
駆動より遅くしたい場合にはナックル機構が採用され、
さらに早戻りプレスとしてはリンク駆動が有利である。

【０００３】クランク駆動は、クランク軸のクランクピ
ン部に支承されたコネクションがプランジャを介してス
ライドに連結され、クランクピン部の偏心量の２倍の量
がスライドのストローク量となってスライドを駆動す
る。ナックル機構は、ヒンジ結合された２つのリンクの
ヒンジ部を引っ張りあるいは押圧することによって、２
つのリンクを屈伸させ、一方のリンクに連結されたスラ
イドを往復移動させるもので、ヒンジ部を駆動するリン
クは一般的にはクランク軸により駆動される。

【０００４】また、リンク機構は、ナックル機構以外の
リンク手段で構成され主にクランク軸により駆動され
る。いずれの場合でもモータが使用され、クラッチ機構
を介してクランク軸を回転させることによっていずれか
のスライド駆動機構が作動されてスライドを上下方向に
往復移動させる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし従来のプレス機
は、クランク軸を駆動するためにクラッチ機構が設けら
れているため、プレス機が複雑に構成され大型化されて
いる。そのため部品点数も多くなり廉価なコストで製作
することに限界がある。しかも、ワークに合わせた加工
方法が限定されスライドの移動速度を自由に変えること
ができない。

【０００６】一方、プレス機自体は高速化されるととも
に精度向上が求められている。高速化とともに精度向上
されるプレス機には、スライドの往復移動のバランスを
とるために動的平行装置（ダイナミックバランサー）が
装着され、プレス機の振動防止を図ることによって高速
化や精度向上を達成している。特に、リンク装置を有す
るナックル機構やリンク機構が用いられるプレス機にお
いては、クランク軸からの回転を直線方向に案内してリ
ンク装置に伝達することが力のバランス上有利であり高
精度を維持する１つの要素となっていた。

【０００７】この発明は、上述の課題を解決するもので
あり、その目的は高速及び精度向上されたプレス機に多
様な加工を行なうことができるようにすることである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明にかかわるプレ
ス機では、上記の課題を解決するために以下のように構
成するものである。即ち、機枠に回転可能に支持される
クランク軸には、一端に伝達手段を介してサーボモータ
が連結され、中央部に形成されるクランクピン部にコネ
クションが軸支されるとともに、前記コネクションの一
端には、直線案内手段を介してリンク装置が連結され、
前記リンク装置の一端が往復運動するスライドに連結さ
れたことを特徴とするものである。

【０００９】また、この発明にかかわるプレス機は、前
記リンク装置が、節点で連結された２個のリンクを有
し、一方のリンクが機枠に揺動可能に支持され、他方の
リンクがスライドの往復運動を供与するように連結さ
れ、前記直線案内手段に連結される駆動リンクが、前記
節点に連結されるとともに前記リンク装置を屈伸するよ
うに作動することを特徴とするものであればよい。

【００１０】また、この発明にかかわるプレス機は、前
記リンク装置が、略直交する方向に節点で連結された２
個のリンクを有し、一方のリンクの一端が前記直線案内
手段に連結されると共に他端を支点にして揺動可能に配
置され、他方のリンクがスライドの往復運動を供与する
ように連結されていることを特徴とするものであっても
よい。

【００１１】さらにこの発明にかかわるプレス機は、前
記直線案内手段が、直線状に形成されるガイド孔と、前
記ガイド孔内を摺動するガイド部材と、を有しているこ
とを特徴とするものであればよい。

【００１２】また好ましくは、前記ガイド部材が駒状に
形成されていることを特徴とするものであればなおよ
い。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態を
図面に基づいて説明する。

【００１４】第１の形態のプレス機Ｐ１は、図１に示す
ように、機枠１に回転可能に支持されたクランク軸２
と、機枠１に案内されて上下方向に往復直線移動するプ
ランジャ３と、プランジャ３の下方で支持されたスライ
ド５と、機枠１に支持されクランク軸２とプランジャ３
に連結するリンク装置１０と、を有して構成されてい
る。クランク軸２は機枠１の上面に装着されたサーボモ
ータ６とベルト７で連結されるとともに軸方向に対して
相対する方向に偏心する２個のクランクピン部２ａが形
成され、クランクピン部２ａに相対する方向に一対のコ
ネクション８が支承されている。

【００１５】各コネクション８の先端部には水平方向に
案内されて往復移動する駒状のスライダ１８が枢支され
クランク軸２の回転をスライダ１８によって往復直線運
動を行なうように変換している。スライダ１８は、機枠
１内に水平方向に形成されたガイド孔１７あるいは機枠
１に取り付けられたガイド部材に水平方向に形成された
ガイド孔に沿って案内移動され、スライダ１８の移動方
向に沿って取り付けられる駆動リンク１６がスライダ１
８に枢軸１９を介して支持されている。

【００１６】一方、クランク軸２を挟んで一対に配置さ
れたリンク装置１０は、一端が機枠１に固着される支持
軸１１に揺動可能に支持された第１リンク１２と、一端
がプランジャ３にピン１３に枢支された第２リンク１４
とを有し、第１リンク１２と第２リンク１４との他端が
駆動リンク１６の他端で駆動軸１５に枢着されている。
そして、駆動リンク１６の左右方向の移動で、駆動軸１
５が第１リンク１２の支持軸１１を中心に揺動運動する
ことによってプランジャ３を介してスライド５を上下方
向に往復移動させる。このリンク装置１０は、一般的に
ナックル機構と言われている。

【００１７】一対の第２リンク１４は連結杆２０によっ
てお互い動きを拘束するように接続され、第２リンク１
４とプランジャ３とを連結するピン１３に、それぞれ下
バランサーリンク２１の一端が回動可能に装着されてい
る。下バランサーリンク２１の他端は機枠１に垂直方向
に移動するバランサー２６の下部にピン２２により連結
されるとともに、下バランサーリンク２１はその中央部
で、下バランサーリンク２１の長手方向に直交するよう
に配置され一端が機枠１に軸支された揺動リンク２３に
ピン２４により枢着支持され、ピン２４を中心に揺動す
る。

【００１８】バランサー２６は上下方向に長手状に形成
されるとともに、上部には機枠１に軸２８で揺動可能に
支持された上バランサーリンク２７にピン２５で連結さ
れている。従ってバランサー２６はスライド５の運動と
相対する方向に上下移動することになる。

【００１９】上記のように構成されたプレス機Ｐ１は、
サーボモータ６によってクランク軸２を回転またはクラ
ンク軸２の軸線を中心にクランク軸２を揺動させる。サ
ーボモータ６は、位置制御できるように構成されている
ので、クランク軸２の現在位置及び現在速度等の制御量
を検出でき、位置や速度を目標値に一致するよう制御す
ることができる。つまりクランク軸２の位置や回転速度
を自由に制御することができるため、従来のクラッチ装
置を除くことができるとともに加工されるワークに合わ
せた自由な加工方法を行なうことができる。例えば、ス
ライド５の下死点付近での速度を遅くして上死点付近の
速度を速めたり、また、クランク軸２を揺動させその揺
動量を可変にすることによりストロークの変更を即座に
行なうことも可能となる。

【００２０】クランク軸２の回転または揺動により、相
対する方向に延設された１対のコネクション８の先端部
は、それぞれ枢軸１９を水平状に形成されたガイド孔１
７に沿ってスライダ１８とともに水平方向に相対する方
向に往復運動させる。スライダ１８の水平方向の移動は
駆動リンク１６を略直線方向に移動させ、駆動軸１５の
揺動運動に対して接線方向から負荷を与えるのでリンク
装置１０の屈伸運動をスムーズに行なわさせる。駆動軸
１５に枢着された駆動リンク１６は、駆動軸１５を第１
リンク１２の支持軸１１を中心に揺動運動させ、それに
ともない第２リンク１４を揺動させることによってプラ
ンジャ３を介してスライドを上下方向に往復運動させ
る。

【００２１】一方、各第２リンク１４に連結された下バ
ランサーリンク２１は、機枠１に支持された揺動リンク
２３の揺動により上バランサーリンク２７の揺動ととも
に、クランク軸２を挟んで配置される１対のバランサー
２６をスライド５と相対する方向に往復移動させること
になる。従って、スライド５の往復運動はスライド５と
相対する方向に移動するバランサー２６の往復運動によ
り動的平衡が保たれることになる。

【００２２】図２のプレス機Ｐ２は、第２の形態を示す
ものであり、機枠３１に回転または軸線に沿って揺動可
能に支持されたクランク軸３２と、機枠３１に案内され
て上下方向に往復直線移動するスライド３３と、機枠３
１に支持されクランク軸３２とスライド３３に連結する
リンク装置４０、を有して構成されている。クランク軸
３２は機枠３１の上面に装着されたサーボモータ３４と
ベルト３５を介して連結されるとともに１個のクランク
ピン部３２ａが形成され、クランクピン部３２ａにコネ
クション３６が支承されている。サーボモータは前述と
同様に位置制御可能に構成されているため、多様なプレ
ス加工を行なうことができクラッチ機構を削除すること
ができる。

【００２３】コネクション３６の先端部には枢軸３７が
クランク軸３２と平行となるように配置され枢軸３７の
両端部に駒状のスライダ３８が垂直方向に案内されて往
復移動するように取り付けられている。スライダ３８
は、機枠３１内に垂直方向に形成されたガイド孔３９あ
るいは機枠１に取り付けられたガイド部材に形成された
ガイド孔に沿って移動され、クランク軸３２の回転運動
を直線往復運動に変換するように装着されている。

【００２４】リンク装置４０は、枢軸３７を挟んで相対
する方向にそれぞれ配置され、一端が枢軸３７に支持さ
れ略水平方向に配置される揺動リンク４２と、揺動リン
ク４２に対して枢着ピン４１で連結され略垂直方向に配
置されるスライドリンク４３と、を有して構成され、揺
動リンク４２の他端は機枠３１に立設されたスライドア
ジャスタ５０に水平方向に移動可能な支持軸４４を介し
て支持され、スライドリンク４３の他端はスライド３３
に枢着ピン４５で連結されている。

【００２５】なお、スライドリンク４３は往復直線運動
可能に機枠３１に案内されるように配置されていてもよ
い。

【００２６】スライドアジャスタ５０には雄ねじが５１
形成されるとともに機枠３１に上下移動するように配置
されている。雄ねじ５１には、機枠３１に固着するよう
に装着されたウォーム５２に歯合するウォームギア５３
が螺合され、ウォーム５２の回転によってスライド３３
下面の高さ位置が調整できるように構成される。

【００２７】さらにスライドアジャスタ５０の上部には
前述の揺動リンク４２の他端に取り付けられた支持軸４
４が係合する係合溝５０ａが水平方向に形成され、揺動
リンク４２が支持軸４４を中心に揺動してスライド３３
を上下方向に往復移動させる際に支持軸４４自体が係合
溝５０ａ内を左右方向に移動できるように構成される。

【００２８】また、それぞれの揺動リンク４２を枢着支
持する枢着ピン４１は一端が偏心する軸部４１ａを有
し、偏心した軸部４１ａに揺動リンク４２と平行に配置
される下バランサーリンク５５の一端が枢支されてい
る。下バランサーリンク５５は中央部が機枠３１に固着
されたピン５６に枢着支持され他端にはバランサー５７
の下部にピン５８で連結されるとともに、上方に延設さ
れるバランサー５７の上部で上バランサーリンク５９に
ピン６０で連結されている。１対のバランサー５７に連
結されるそれぞれの上バランサーリンク５９は、機枠３
１に固着された支持ピン６１に枢支されている。

【００２９】従って、サーボモータ３４の駆動によりク
ランク軸３２が回転またはクランク軸３２の軸線に対し
てクランク軸３２自体が揺動すると、コネクション３６
の他端が、ガイド孔３９に案内された枢軸３７によって
往復直線運動を行なう。枢軸３７に枢着されたそれぞれ
の揺動リンク４２は、それぞれスライドアジャスタ５０
の係合溝５０ａに案内されて左右移動する支持軸４４を
支点にして上下方向に揺動され、スライドリンク４３を
上下方向に往復移動させるとともに、スライド３３を往
復移動させる。

【００３０】一方、枢着ピン４１に枢着された下バラン
サーリンク５５は、ピン５６を支点にして揺動し、支持
ピン６１を支点にして揺動する上バランサーリンク５９
と共にバランサー５７をスライド３３の移動と相対する
方向に上下移動させる。

【００３１】従って、スライド３３の往復運動はスライ
ド３３の移動と相対する方向に移動するバランサー５７
の往復運動により動的平行が維持され、プレス機Ｐ２の
振動を防止する。

【００３２】上記のように、クランク軸３２の回転はス
ライダ３８によってコネクション３６の下端部を上下方
向に直線上に変換され、揺動リンク４２はその端部でピ
ン５６が係合溝５０ａ内を水平方向に移動するため、ス
ライドリンク４３を枢着する枢着ピン４１を略垂直方向
に移動させることができる。

【００３３】さらに、クランク軸３２をサーボモータ３
４で駆動することによりクラッチ機構を除くとともに、
スライドの速度変換やストローク変更も可能となる。

【００３４】なお、本発明のプレス機は、上記形態に限
るものでなくバランサーリンクやバランサーを採用して
いないプレス機にも適用するものであり、さらに、クラ
ンク軸の回転を直線的に変換するスライダーは駒状に限
らず他の形状でもよく、またコネクションに連結する枢
軸をそのままガイド孔に係合してもよい。

【００３５】さらに、サーボモータとクランク軸との連
結はベルトでなく他の伝動要素でもよく、またクランク
軸の端面側に配置してクランク軸と連結させてもよい。

【００３６】

【発明の効果】本発明によれば、請求項１のプレス機
は、機枠に回転可能に支持されるクランク軸には、一端
に伝達手段を介してサーボモータが連結され、中央部に
形成されるクランクピン部にコネクションが軸支される
とともに、前記コネクションの一端には、直線案内手段
を介してリンク装置が連結され、前記リンク装置の一端
が往復運動するスライドに連結される。

【００３７】そのため、サーボモータでクランク軸を駆
動することにより、従来から一般的に構成されたクラッ
チ機構を取り除くことができコンパクトで廉価なプレス
機を提供することができるとともに、スライドの速度変
換やスライドストロークの任意の調整が即座にすること
ができワークに合わせた多様なプレス加工を行なうこと
ができる。

【００３８】また、この発明による請求項２のプレス機
は、前記リンク装置が、節点で連結された２個のリンク
を有し、一方のリンクが機枠に揺動可能に支持され、他
方のリンクがスライドの往復運動を供与するように連結
され、前記直線案内手段に連結される駆動リンクが、前
記節点に連結されるとともに前記リンク装置を屈伸する
ように作動する。

【００３９】従って、屈伸可能なリンク装置を使用する
プレス機において、クランク軸の回転が直線案内手段に
よって直線運動に変換されリンク装置にバランスのよい
力を伝達することができ高精度を保つことができる。

【００４０】さらに、請求項３のプレス機では、前記リ
ンク装置が、略直交する方向に節点で連結された２個の
リンクを有し、一方のリンクの一端が前記直線案内手段
に連結されると共に他端を支点にして揺動可能に配置さ
れ、他方のリンクがスライドの往復運動を供与するよう
に連結されている。

【００４１】従って、屈伸運動するリンク装置以外のリ
ンク装置を使用するプレス機においても、請求項２のプ
レス機と同様な効果を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の形態のプレス機を示す正面一部
断面図

【図２】本発明の第２の形態のプレス機を示す正面一部
断面図

【符号の説明】

Ｐ１、Ｐ２…プレス機 １、３１…機枠 ２、３２…クランク軸 ２ａ、３２ａ…クランクピン部 ３…プランジャ ５、３３…スライド ６、３４…サーボモータ １０、４０…リンク装置 １１…支持軸 １２…第１リンク １３…ピン １４…第２リンク １５…駆動軸 １６…駆動リンク １７…ガイド孔 １８、３８…スライダ １９、３７…枢軸 ４１…枢着ピン ４２…揺動リンク ４３…スライドリンク

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機枠に回転可能に支持されるクランク軸
   には、一端に伝達手段を介してサーボモータが連結さ
   れ、中央部に形成されるクランクピン部にコネクション
   が軸支されるとともに、前記コネクションの一端には、
   直線案内手段を介してリンク装置が連結され、前記リン
   ク装置の一端が往復運動するスライドに連結されたこと
   を特徴とするプレス機。
2. 【請求項２】 前記リンク装置が、節点で連結された２
   個のリンクを有し、一方のリンクが機枠に揺動可能に支
   持され、他方のリンクがスライドの往復運動を供与する
   ように連結され、前記直線案内手段に連結される駆動リ
   ンクが、前記節点に連結されるとともに前記リンク装置
   を屈伸するように作動することを特徴とする請求項１記
   載のプレス機。
3. 【請求項３】 前記リンク装置が、略直交する方向に節
   点で連結された２個のリンクを有し、一方のリンクの一
   端が前記直線案内手段に連結されると共に他端を支点に
   して揺動可能に配置され、他方のリンクがスライドの往
   復運動を供与するように連結されていることを特徴とす
   る請求項１記載のプレス機。
4. 【請求項４】 前記直線案内手段が、直線状に形成され
   るガイド孔と、前記ガイド孔内を摺動するガイド部材
   と、を有していることを特徴とする請求項１，２または
   ３記載のプレス機。
5. 【請求項５】 前記ガイド部材が駒状に形成されている
   ことを特徴とする請求項４記載のプレス機。