JP2000288139A - 繊維強化プラスチックス製ゴルフシャフト - Google Patents
繊維強化プラスチックス製ゴルフシャフトInfo
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Abstract
形後、表面の仕上げ研磨する場合には周方向に研磨量が
均一になるように研磨することは難しく、したがって、
中央糸を不完全に削って研磨量が不均一になった場合
は、シャフトの方向性が非常に悪くなる。 【解決手段】最外層に2方向の組糸2a、2bを編み込
む構成の組物層である2軸組物層2と、その内側に3方
向の糸3a、3b、3cを編み込む構成の組物層である
3軸組物層3とを含む積層構成とし、かつ、前記各層の
組糸の配向角度を近似させた構成のFRP製ゴルフシャ
フト。
Description
ックス製ゴルフシャフト(以下、FRP製ゴルフシャフ
トと略称する。)に関するものであり、さらに詳しく
は、網紐機によって組物形成されるFRP製ゴルフシャ
フトに関するものである。
べ重量が軽いためにスイングの際ヘッドスピードが増加
し、その結果、ボールの飛距離が大きくなるメリットが
ある。また、FRP製ゴルフシャフトの製法としては、
シートワインディング法とフィラメントワインディング
法とが一般的である。フィラメントワインディング法
は、一般的に樹脂を含浸させた補強繊維をマンドレルに
ヘリカル状に巻回被覆し、テーピングをした後、加熱硬
化させて成形されるものであるが、シャフト軸に対し0
°の配向角度、すなわちシャフト軸方向である0°方向
に繊維を配向させることが出来難いため、曲げ強度の発
現性が悪い。
的で、シャフト軸線に対して左右対称の配向角度を有す
る組糸と、シャフト軸線に対して0°の配向角度をもつ
中央糸とを網紐機により編み組みして組物層を形成し、
該組物層を複数層積層して形成した、いわゆる3軸ゴル
フシャフトが見られるようになった。これら3軸の配向
角度を有する組物層を積層して形成したゴルフシャフト
は、シャフト軸線方向である中央糸を有しており、且
つ、シャフト軸線に対して左右に角度を有する組糸がシ
ャフト全長にわたって繊維が連続しているため、曲げ強
度、ねじり強度共に発現性は良好であることが期待され
た。しかし、前記3軸の組物層を積層して形成したゴル
フシャフトの構成は、積層する層の全てに中央糸を有す
る3軸の構成としているため、3方向の軸が重なる部分
と重ならない部分との間に生じる段差により、層間のせ
ん断強度が低下してしまうため、曲げ強度およびねじり
強度を有効に発現することが出来なかった。
を中央糸を含まず組角度が大きい2軸を編み組みした構
成の内層と、中央糸を含み組角度が小さい2軸を編み組
みした3軸からなる構成の外層とからなる構成とし、内
層と外層との間に生じる段差を無くすことにより、ゴル
フシャフトとしての曲げ強度、曲げ剛性、ねじり強度、
ねじれ剛性とも目的とする特性を満足し、外観に優れた
シャフトを発明し、提供することができるようになっ
た。
の2軸の内層と、中央糸を含み、組角度を前記内層より
小さくした3軸の構成の外層とからなる積層構成を有す
るゴルフシャフトであって、内層の炭素繊維の繊度が6
00g/km以下であり、最大外径が14mm以上であ
るシャフトにおいては、外層の炭素繊維の繊度の総量が
10000g/km以上の構成とすることにより、従来
の3軸の組物層のみを積層してなる構成のシャフトに比
べればゴルフシャフト表面に形成される凹凸が比較的少
なくすることができ、シャフト表面を平滑にするための
研磨量が少なくて済むといった技術も開示されている。
を硬化成形後、表面の仕上げ研磨する場合には周方向に
研磨量が均一になるように研磨することは難しく、した
がって、外層にシャフト軸線に対して0°の配向角度を
もつ中央糸が配されている場合、中央糸を不完全に削っ
て研磨量が不均一になり、シャフトの方向性が非常に悪
くなるなどの問題点があった。そこで本発明は、前記問
題点に鑑み、FRP製ゴルフシャフトとしての曲げ強
度、曲げ剛性、ねじり強度、ねじれ剛性、外観とも目的
とする特性を満足した上で、さらに方向性に優れたFR
P製ゴルフシャフトを提供しようとするものである。
に、請求項1の発明は、強化繊維を編み組みしてなる組
物層を少なくとも2層以上積層することにより形成され
る繊維強化プラスチックス製ゴルフシャフトにおいて、
該シャフトは最外層から内側に向かい、シャフト軸に対
して左右対称の配向角度を有する組糸からなる2軸組物
層、シャフト軸に対して左右対称の配向角度を有する組
糸及びシャフト軸に対し概ね0°の配向角度を有する中
央糸からなる3軸組物層の順で積層された構成を有する
ことを特徴とする繊維強化プラスチックス製ゴルフシャ
フトである。
ルフシャフトにおいて前記、2軸組物層の組糸の配向角
度と前記3軸組物層の組糸の配向角度をほぼ同一に形成
した繊維強化プラスチックス製ゴルフシャフトである。
のFRP製ゴルフシャフトであって、前記組糸はシャフ
ト軸に対し+10°以上+20°以下と−20°以上−
10°以下の配向角度を有する繊維強化プラスチックス
製ゴルフシャフトである。
施例に基づき説明する。図1は本発明の一実施例を示す
FRP製ゴルフシャフトの積層構成を説明する立体説明
図である。図2は、図1の要部拡大説明図である。
は、図1に示すように、通常先端に向かうに従い径が細
くなるテーパー形状となっている。前記FRP製ゴルフ
シャフト1を構成する補強繊維としては、一般的に炭素
繊維が用いられ、またガラス繊維、アラミド繊維、強化
ポリエチレン繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、金属
繊維といったものも使用できる。また、前記FRP製ゴ
ルフシャフト1を構成するマトリックス樹脂としては、
従来と同様のものが使用出来、例えば、エポキシ樹脂、
ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂
や、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン
樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート
樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが出来るが、好ま
しくはエポキシ樹脂を用いるのがよい。
構成は、最外層に2方向の組糸2a、2bを編み込む構
成の組物層である2軸組物層2と、その内側に2方向の
組糸3a、3bと、中央糸3cとを編み込む構成の組物
層である3軸組物層3とを含む積層構成となっている。
前記2軸組物層2は、図2に示すように、シャフト軸5
に対して+θの配向角度を有する組糸2aと、−θの配
向角度を有する組糸2bとを編み組みした組物層が積層
した構成となっている。又、その内側に形成される3軸
組物層3は、前記シャフト軸5に対して+θの配向角度
を有する組糸3aと、−θの配向角度を有する組糸3b
と、概ね0°の配向角度を有する中央糸3cとを編み組
みした組物層が積層された構成となっている。
ルフシャフト1は、2軸組物層2を最外層としたから、
3軸組物層に比較して組糸同士の重なりが少ないので、
硬化形成後の表面の編み組みによる凹凸が比較的少な
く、従って、仕上げのための表面研磨量が少なくて済
む。又、仕上げのために研磨するのは、比較的曲げ剛性
に影響の少ない2軸組物層2の組糸2a、2bのみであ
るため、3軸組物層の中央糸3cを削ってしまうことが
なくシャフトの方向性に悪影響を及ぼすことがない。
場合には、組糸3a、3bの交点、組糸2a、2bの交
点のほかに組糸2aと組糸3a及び、組糸2bと組糸3
bの交点も多く形成されることになるので、2軸組物層
2の組糸と、3軸組物層3の組糸はあまり緊密に配置さ
れず、組糸と組糸の間の隙間が多く、研磨前のシャフト
表面の凹凸も多く、また樹脂の含浸不良を起こしやすい
ため、研磨量が多く研磨後の素地表面にピンホールが発
生し良好な表面状態が得難いので好ましくないといった
問題が生じるおそれもある。そこで、本発明に係るFR
P製ゴルフシャフト1は、最外層の2軸組物層2の組糸
2a、2bの配向角度と、その内側の3軸組物層3の組
糸3a、3bの配向角度をほぼ近似させることにより、
組糸2aと組糸3a及び、組糸2bと組糸3bがあまり
交差せず、各組糸がより緊密に配置され、組糸と組糸の
間の隙間が少なくなり、樹脂の含浸不良を起こしにく
い。更に、組糸2aと組糸3a及び、組糸2bと組糸3
bがあまり交差しないため、研磨前のシャフト表面の凹
凸も少なく、研磨量が少なくて済み研磨後の素地の状態
も良好となるため好ましい。
対し+10°以上+20°以下と−20°以上−10°
以下の配向角度に配向させるのが好ましい。前記組糸が
シャフト軸5に対し0°より大きく10°未満と−10
°より大きく0°未満の配向角度を有するように編み組
みして形成される場合、曲げ剛性への寄与が大きいため
研磨による曲げ剛性の周方向の不均一が発生し易いので
好ましくない。20°以上あるいは−20°以下である
と、ねじれ剛性への影響が大きいので同様に研磨による
ねじれ剛性の不均一が発生し易いので好ましくないし、
さらに、中央糸3cとの交点がより立体的になり、その
ため凹凸が増えるので樹脂の含浸不良を起こし易く研磨
後の素地表面にピンホールを発生しやすくなるので好ま
しくない。また、凹凸が大きいことにより表面を平滑に
するために研磨量も増えるので好ましくない。
シャフトの一実施例を示す。本発明に係る補強繊維とし
て炭素繊維を引き揃え、樹脂を含浸させたトウプリプレ
グを使用しているが、炭素繊維としては、一般的に引張
り弾性率50〜850GPa、引張り強度800MPa
以上のものが使用される。本実施例において補強繊維
は、最外層の2軸組物層2に引張り弾性率240GP
a、引張り強度4810MPa、密度1.80g/cm
3、繊度800g/kmの炭素繊維を使用し、その内側
の3軸組物層3に引張り弾性率240GPa、引張り強
度4810MPa、密度1.80g/cm3、繊度80
0g/kmの炭素繊維を使用した。さらに本実施例で
は、前記3軸組物層3の内側に引張り弾性率450GP
a、引張り強度4410MPa、密度1.85g/cm
3、繊度430g/kmの炭素繊維を使用した2軸組物
層4を形成してなる。前記FRP製ゴルフシャフト1を
製造するには、まず、長さ1250mm、細径部側先端
3mmφ、太径部側先端11.5mmφであるマンドレ
ル6を用意する。本実施例においては、前記炭素繊維で
引張り弾性率450GPa、引張り強度4410MP
a、密度1.85g/cm3、繊度430g/kmの炭
素繊維にエポキシ樹脂を含浸させてトウプリプレグとし
て組糸4a、4bとし、編紐機により前記組糸4a、4
bの配向角度が各々+20°〜+55°、−20°〜−
55°となる様に編み組みして形成した組物層を9層積
層して内側の2軸組物層4とした。前記2軸組物層4を
形成することにより、前記2軸組物層4は糸を密に編み
組みでき、糸と糸の間に余分な隙間が出来にくく内側表
面が平滑に形成出来るので、層間せん断強度が向上し、
ねじり剛性、ねじり強度が設計通りに発現されたシャフ
トを得ることができる。
0GPa、引張り強度4810MPa、密度1.80g
/cm3、繊度800g/kmの炭素繊維にエポキシ樹
脂を含浸させてトウプリプレグとして組糸3a、3b及
び、中央糸3cとし、編紐機により前記組糸3a、3b
の配向角度が各々+10°〜+20°、−10°〜−2
0°となるように編み組みして3軸組物層3を1層形成
した。
40GPa、引張り強度4810MPa、密度1.80
g/cm3、繊度800g/kmの炭素繊維にエポキシ
樹脂を含浸させてトウプリプレグとして組糸2a、2b
とし、編紐機により前記組糸2a、2bの配向角度が各
々+10°〜+20°、−10°〜−20°となるよう
に編み組みして形成した2軸組物層2を2層積層した。
このように順次組物層を積層した後、ポリエステル製ラ
ッピングテープにて巻き締め、硬化炉内で加熱硬化せし
めた後マンドレル6を引き抜き、ラッピングテープを取
り去った後、研磨により表面の凹凸を除去することによ
りFRP製ゴルフシャフト1を得た。
mm、細径部側先端3mmφ、太径部側先端11.5m
mφであるマンドレル6を用意し、引張り弾性率450
GPa、引張り強度4410MPa、密度1.85g/
cm3、繊度430g/kmの炭素繊維にエポキシ樹脂
を含浸させてトウプリプレグとして組糸4a、4bと
し、編紐機により前記組糸4a、4bの配向角度が各々
+20°〜+55°、−20°〜−55°となるように
編み組みして形成した組物層を9層積層して内側の2軸
組物層4を形成した。
り弾性率240GPa、引張り強度4810MPa、密
度1.80g/cm3、繊度800g/kmの炭素繊維
にエポキシ樹脂を含浸させてトウプリプレグとして組糸
3a、3b及び、中央糸3cとし、編紐機により前記組
糸3a、3bの配向角度が各々+10°〜+20°、−
10°〜−20°となるように編み組みして形成した3
軸組物層3を2層積層したほかは実施例と同様に形成し
て比較例のFRP製ゴルフシャフトとした。
例のFRP製ゴルフシャフトのシャフト振動数を測定し
て、シャフトの曲げ剛性の周方向の均一性の比較をし
た。比較の方法は、まずシャフトの振動数をシャフトの
周方向に45°間隔で4方向を測定し、前記4方向の振
動数の測定値の最大値と最小値の差を求め、それら差の
大きさを比較をした。前記振動数の差が小さいほど曲げ
剛性の周方向の均一性に優れていることを表している。
測定には、ゴルフクラブ曲げ振動計(藤倉ゴム工業
(株)製)を用い、実施例のFRP製ゴルフシャフト1
と比較例のFRP製ゴルフシャフト各々10本を測定
し、その平均値を求めた。測定の結果、本実施例のシャ
フトの振動数の最大値と最小値の差は1cpmであり、
比較例のシャフトの同じく振動数の差は3.5cpmで
あった。従って、本実施例のシャフトが曲げ剛性の周方
向の均一性が良いことがわかる。
2層以上積層することにより形成される繊維強化プラス
チックス製ゴルフシャフトであって、最外層から内側に
向かい、2軸組物層、3軸組物層の順で積層された積層
構造を有するFRP製ゴルフシャフトであるから、表面
が平滑になるまで研磨しても3軸の組物層の中央糸が削
られることがなく、方向性の良好なシャフトを得る事が
できる。また、最外層の2軸の組物層の組糸の配向角度
と、3軸の組物層の組糸の配向角度をほぼ同一としたか
ら、組糸の交点による凹凸を最小限にすることが出来、
隙間および含浸不良が生じにくく、研磨後においてもピ
ンホール等のない良好な表面状態のシャフトを得ること
ができる。最外層の2軸の組物層の組糸の配向角度は、
シャフト軸に対し+10°以上+20°以下と−20°
以上−10°以下としたから、曲げ剛性への寄与はさほ
ど大きくなく、研磨により多少の肉厚の不均一を生じて
も方向性の良いシャフトを得ることができる。
は、FRP製ゴルフシャフトとしての曲げ強度、曲げ剛
性、ねじり強度、ねじれ剛性とも目的とする特性を有効
に発現し、研磨後の外観に優れ、且つ方向性に優れたF
RP製ゴルフシャフトとすることができる。
説明する立体説明図。
明図。
Claims (3)
- 【請求項1】 強化繊維を編み組みしてなる組物層を少
なくとも2層以上積層することにより形成される繊維強
化プラスチックス製ゴルフシャフトにおいて、該シャフ
トは最外層から内側に向かい、シャフト軸に対して左右
対称の配向角度を有する組糸からなる2軸組物層、シャ
フト軸に対して左右対称の配向角度を有する組糸及びシ
ャフト軸に対し概ね0°の配向角度を有する中央糸から
なる3軸組物層の順で積層された構成を有することを特
徴とする繊維強化プラスチックス製ゴルフシャフト。 - 【請求項2】 前記2軸組物層の組糸の配向角度と前記
3軸組物層の組糸の配向角度がほぼ同一であることを特
徴とする請求項1記載の繊維強化プラスチックス製ゴル
フシャフト。 - 【請求項3】 前記組糸はシャフト軸に対し+10°以
上+20°以下と−20°以上−10°以下の配向角度
を有することを特徴とする請求項1または2記載の繊維
強化プラスチックス製ゴルフシャフト。
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-
1999
- 1999-04-07 JP JP09983999A patent/JP3169360B2/ja not_active Expired - Fee Related
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