JP7570801B2 - ゴルフクラブ用シャフト及びその製造方法 - Google Patents
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Description
研磨工程においては、ゴルフクラブ用シャフトに要求される、固有振動数などのシャフトの物性を調整する。
[2] 下記評価方法で評価した水平方向の変位が20mm未満である[1]に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[水平方向の変位の評価方法]
素管の太径端部から180mmより細径端部側が振動しうるように、素管を略水平に把持する。細径端部から314.5mmの位置に、素管の水平方向両側に各一本、合計二本の支柱を設置する。
次いで素管の細径端部に重量196g の錘を装着した状態で、細径端部の変位が60mmになるよう略重力方向に荷重を与えた後、除荷して素管を振動させる。前記二本の支柱の位置をそれぞれ独立に調整し、振動する素管と二本の支柱それぞれとが接した時の、素管軸から支柱の距離を水平方向の変位とする。細径端部側から素管を見た右側の支柱と素管軸との距離を水平方向の変位(右)とし、同様に左側の支柱と素管軸との距離を水平方向の変位(左)とする。
[3] 下記評価方法によって得られた真円度が0.5以下である[1]または[2]に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[真円度の評価方法]
素管の細径端部側及び太径端部側の内側に治具を差し込んで素管を略水平に固定する。
素管軸を通る任意の平面と、素管の最外面とが成す二本の線のうち一方を、0°線と定める。前記0°線を基準とし、同様に、細径端部側から見て素管周方向反時計回りに45°、90°、135°の線を定める。
外径の測定は、レーザ式CCD測長センサを用い、シャフト全長に亘って任意のm箇所(mは5以上の自然数)で行う。各測定箇所で、0°、45°、90°、135°の線を含む外径を測定し、計4m点のデータを得る。各測定箇所の測定結果をもとに、外径の平均値に対する、外径の最大値と最小値の差の割合を算出する。
すなわち、
真円度=100×(Dx,max-Dx,min)/Dx,ave・・・式(1)
(式(1)中、
x:位置[mm]
Dx,max:位置xにおける、シャフトの外径の最大値[mm]
Dx,min:位置xにおける、シャフトの外径の最小値[mm]
Dx,ave:位置xにおける、シャフトの外径の平均値[mm]
である)
で求める。
[4] 前記最外層の繊維強化樹脂層に含有される前記強化繊維の引張弾性率が5GPa以上200GPa未満であって、前記最外層の強化繊維の配向方向の絶対値が、前記素管の軸方向に対して5°以下である[1]~[3]のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
[5] 前記最外層の繊維強化樹脂層に含有される前記強化繊維の引張弾性率が200GPa以上500GPa以下であって、前記最外層の強化繊維の配向方向の絶対値が、前記素管の軸方向に対して20°以上95°以下である
[1]~[3]のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
[6] 前記最外層の繊維強化樹脂層に含有される前記強化繊維の引張弾性率が50GPa以上100GPa未満であって、前記最外層が強化繊維の織物に樹脂を含浸した繊維強化樹脂層であり、前記織物の経糸が前記素管の軸方向に対して0°方向の繊維の配向角度が前記素管の軸方向に対して-5°以上5°以下である[1]~[3]のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
[7] [1]~[6]のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフトを備えたゴルフクラブ。
[8] 以下の工程(1)~(3)を含むゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
(1)素管の最外層として、曲げ剛性に対する寄与率が0.5~15%であるプリプレグを配置する工程
(2)プリプレグを加熱後冷却する工程
(3)外形を制御して研磨を行う工程
また、本発明のシャフトは、特殊な材料を用いることなく製造することが可能である。
本実施形態における「ゴルフクラブ用シャフト」とは、ゴルフクラブに組む前のシャフト(ゴルフクラブの部品)と、ゴルフクラブの各部品をゴルフクラブに組み立てた際の、前記ゴルフクラブにおけるシャフト部分の両方を意味する。なお、ゴルフクラブにおけるシャフト部分の方がより本願発明の効果を発現する
なお、本発明は本実施形態例に限定されるものでない。
本発明のゴルフクラブ用シャフトは、複数の繊維強化樹脂層を有する素管と、必要に応じて加飾のための意匠性付与層を含む。
素管の物性がゴルフクラブ用シャフトの物性を実質的に決定する。
素管は、複数の繊維強化樹脂層を有する。繊維強化樹脂層の枚数は、後述するように、ゴルフクラブ用シャフトの機能を分担して発現するため、2枚以上であることが好ましい。
素管は、繊維強化樹脂層以外に、樹脂層、タングステンなどの金属粉末を含む樹脂層である重量調整層、金属や強化繊維以外のフィラーを含む樹脂層、樹脂粉末などを含んでいてもよい。
繊維強化樹脂層は、強化繊維及び樹脂組成物を含む繊維強化樹脂からなる。
以下、強化繊維及び樹脂組成物について説明する。
(強化繊維の種類)
本発明の繊維強化樹脂を構成する繊維は、金属繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、その他の高強力合成繊維などを使用することができる。無機系繊維は軽量、かつ高強力であることから好ましく使用される。これらの中でも、比強度、比剛性に優れるため、炭素繊維が最も好ましい。これらの繊維は、1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、長繊維、短繊維及びこれらの混合繊維など、どのような長さの繊維を用いてもよく、2種以上の繊維を混合して使用しても良い。
強度の観点で、長繊維を用いることが好ましい。
また、これらの繊維は、一方向材(繊維を一方向に引き揃えたもの)として使用しても、強化繊維を製織して織物としたクロス材として使用しても良い。
一方向材であれば、繊維軸方向の強度や弾性率などの物性を十分に活用でき、また、強化繊維に直交する方向のドレープ性に優れているため、シートラップ法で素管を製造する場合は、マンドレルに巻き付けやすく、取扱い性が良好である。 クロス材は、主に素管の最外面に意匠性を付与するために利用する。クロス材の織り方は、すだれ織などの一方向性織物、平織、朱子織、綾織などの二方向性織物、三軸織物、ノンクリンプ織物、などのいずれの織組織のクロス材であってもよいが、二方向性織物や三軸織物が、意匠性の観点で好ましい。三軸織物の場合、耐久性の観点で好ましい。
繊維強化樹脂層の繊維体積含有率は、素管の剛性をより高くできることから、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。また、繊維強化樹脂層の繊維体積含有率は、マトリックス樹脂と強化繊維とを充分に密着させるためには、ある程度の樹脂量が必要であることから、75%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。
繊維強化樹脂層の繊維目付は特に限定しないが、各層に必要な厚さ、巻き径から適宜選択できる。
本発明の繊維強化樹脂を構成する樹脂組成物は、マトリックス樹脂と、必要に応じて硬化剤、消泡剤、脱泡剤、着色剤その他の成分を含む。前記樹脂組成物に含まれるマトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができるが、硬化後の物性が高いため、好ましくは熱硬化性樹脂が用いられる。
本実施形態の素管を構成する繊維強化樹脂層としては、例えば、素管の長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度を-5°~+5°に配向したストレート層、素管の長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度を85~95°に配向したフープ層、素管の長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度を+20~+70°又は-20~-70°に配向したアングル層が挙げられる。なお、アングル層は、素管軸方向に対する強化繊維の配向角度が正である1枚と、強化繊維の配向角度が負である1枚の合計2枚を一組として、バイアス層として使用する。
ストレート層は、繊維強化樹脂層であり、素管の長手軸方向に対して略平行に配向した強化繊維を含有する。強化繊維が素管の長手軸方向に略平行に配向していることで、曲げ剛性や曲げ強度を高くすることができる。略平行の範囲は、素管の長手軸方向に対して-5°以上+5°以下である。
フープ層には、主に潰し剛性や潰し強度を高める効果がある。フープ層に用いた一方向材の強化繊維の配向角度が、素管の長手軸方向に対して+85~+95°又は、-85~-95°、すなわち配向角度の絶対値が85°以上95°以下であれば、素管の潰し剛性や潰し強度の両方が十分になる。フープ層を形成する強化繊維の引張弾性率は240GPa以上、400GPa以下が好ましい。強化繊維の引張弾性率が240GPa以上であると、潰し剛性が十分に確保され、潰し変形によるスイングリズムの乱れが起こりにくい。一方、強化繊維の引張弾性率が400GPa以下であると、潰し剛性と潰し強度を十分に確保できる。
バイアス層には、主にねじり剛性やねじり強度を高める効果がある。
バイアス層は、繊維強化樹脂層であり、素管の長手軸方向に対して正の配向角度+α°で配向した強化繊維(+α層)を含有するアングル層と、素管の長手軸方向に対して負の配向角度-α°で配向した強化繊維を含有するアングル層(-α層)とを含有する。ここで、α°は、20°~70°、好ましくは30°~60°、更に好ましくは35°~55°である。通常、正の配向角度および負の配向角度の絶対値は、製造上不可避な誤差はあるが、同一になるよう設計する。
α°を前記範囲内とすることで、素管のねじり剛性、曲げ剛性、及び潰し剛性が十分になる。
本実施形態の素管を構成する繊維強化樹脂層のうち、最外層とは、マンドレルに巻回する繊維強化樹脂層のうち、最後に巻回するものであり、素管の最表面に位置するものである。マンドレルの周方向の巻き付け回数は1周でも良く、2周以上でも良い。
最外層をアングル層とする際は、最外層から一層分だけ内層に位置するアングル層と合わせた2枚からなるバイアス層を最外層とする。
1枚を用いる場合は、位置決めが容易になるため好ましい。素管軸方向に2枚以上に分割して用いる場合は、重なり部分により生じる凸部があることによる研磨時の過負荷、及び研磨不足による外形の凹凸に起因する不具合が起こらないため、それぞれの端部を重ねずに配置することが好ましい。
素管軸方向に2枚以上に分割して用いる場合の配置位置は、研磨により管壁の厚さが薄くなることによる剛性低下の影響が高いチップ端部、及び、スイング時のシャフトの撓みに影響が大きいキックポイント位置を覆うように配置することが好ましい。
曲げ剛性(EI)は、材料の弾性率E(単位:Pa)と断面二次モーメントI(単位:m4)の積で表される。断面が中空同心円形状である場合、断面二次モーメントは下記式(2)で与えられる。I=π(D4-d4)/64…式(2)
D:外径(m) d:内径(m)
なお、シャフトの曲げ剛性を考える場合、材料の弾性率は、材料そのものの弾性率ではなく、シャフト長手方向に発揮する弾性率を示す。特に、シャフト長手方向に対して繊維が配向していない場合は、繊維の配向角度を考慮して算出する。
[最外層の曲げ剛性に対する寄与率の測定方法]
本発明のシャフトの素管と、本発明のシャフトの最外層を含まない素管をそれぞれ1本作製し、これらのシャフトの片持ち曲げ試験の変位をそれぞれ測定する。本発明のシャフトの素管の片持ち曲げ試験の変位をa(mm)、本発明のシャフトの最外層を含まない素管の変位をb(mm)としたとき、下記式(3)に従って曲げ剛性の寄与率C(%)を計算する。
C=100×(1-a/b)…式(3)
<片持ち曲げ試験の方法>
図9に示すように、シャフトの細径端部から920mmの位置を下側から支持し、そこからさらに150mm太径側方向の位置(細径端部から1070mm)を上側から支持し、細径端部から10mmの位置に3.0kgfの荷重を加える。このときの細径端部の垂直方向の変位量が本発明における「片持ち曲げ試験での変位量」であり、単位はmmである。
ただし、シャフト全長が1070mmに満たない場合は、シャフトの細径端部から760mmの位置を下側から支持し、そこからさらに150mm太径側方向の位置(細径端部から910mm)を上側から支持して測定するものとする。
そのため、前記最外層の繊維強化樹脂層の曲げ剛性に対する寄与率は、0.5%以上15%以下であることが好ましく、0.5%以上10%以下であることがより好ましく、0.5%以上5%以下であることが更に好ましく、0.5%以上1.5%以下であることが特に好ましい。前記範囲内とすることで、材料による異方性の影響を極力小さくすることができる。また、前記最外層の繊維強化樹脂層を、素管の研磨工程で一部または全部が削り取られる犠牲層にしても、または表面のみ削られて全長及び全周に亘って残る層としても、前記最外層は、曲げ剛性に対する寄与率が小さいため、異方性発現に及ぼす影響が小さく、作製した素管では異方性が小さくなる。
前記最外層の繊維強化樹脂層がストレート層である場合、前記強化繊維の引張弾性率が5GPa以上200GPa未満であることが好ましく、10GPa以上150GPa未満であることがより好ましく、15GPa以上100GPa未満であることが更に好ましい。前記範囲内とすることで、シャフトの異方性を小さくすることができる。
前記最外層の繊維強化樹脂層がフープ層である場合、前記最外層の強化繊維の配向方向の絶対値が、前記シャフトの軸方向に対して85°以上95°以下であることが好ましい。
本発明の素管の水平方向の変位は、20mm未満であることが好ましく、10mm未満であることがより好ましい。前記範囲内とすることで、異方性が少ないため、スイング時のシャフトのしなりがスムーズになり、プレーヤーのイメージした通りにスイングできる。すなわち、スイング時のシャフトのたわみが理論値に近くなり、理想的なスイングを行うことができる。
[水平方向の変位の評価方法]
素管の太径端部から180mmより細径端部側が振動しうるように、素管を略水平に把持する。細径端部から314.5mmの位置に、素管の水平方向両側に各一本、合計二本の支柱を設置する。
次いで素管の細径端部に重量196g の錘を装着した状態で、細径端部の変位が60mmになるよう略重力方向に荷重を与えた後、除荷して素管を振動させる。前記二本の支柱の位置をそれぞれ独立に調整し、振動する素管と二本の支柱それぞれとが接した時の、素管軸から支柱の距離を水平方向の変位とする。細径端部側から素管を見た右側の支柱と素管軸との距離を水平方向の変位(右)とし、同様に左側の支柱と素管軸との距離を水平方向の変位(左)とする。
異方性の評価値は、8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、5mm以下が更に好ましい。前記異方性の評価値が小さいほど、シャフト周方向の物性の均一性が高いため、クラブを組む際のシャフトの周方向のセッティング角度によって、シャフトのしなり方や捩れ方が変わることがなく、イメージ通りのスイングがしやすくなる。
本発明のシャフトの水平方向の変位は、下記評価方法で測定する。
素管軸を含む任意の平面と、素管の最外面とが成す二本の線のうち一方を、0°線と定める。前記0°線を基準とし、細径端部側から見て素管周方向反時計回りに45°、90°、135°の線を定める。上記水平方向の変位の測定は、0°、45°、90°、135°のそれぞれの線が上になるように素管を把持して行い、細径端部側から見た左右それぞれにつき、水平方向の変位を測定し、計8点のデータを得る。8点のデータの最大値と最小値の差を、異方性の評価値とする。
本発明のシャフトの素管は、下記評価方法で測定した真円度が0.5以下である。0.4以下がより好ましく、0.35以下が更に好ましい。真円度は、0であることが理想的ではあるが、製造上不可避である誤差を考慮して、0.01以上であることが好ましい。
前述したように、曲げ剛性に対しては、複数の繊維強化樹脂層のうち、最外層の影響が最も大きい。シャフト外径に一部凸状になった箇所がある場合、当該箇所の剛性が局所的に高くなり、異方性が生じる。真円度を前記範囲内とすることで、シャフト軸に対して垂直な断面の形状による異方性の影響を低減することができる。
素管の細径端部側及び太径端部側の内側に治具を差し込んで素管を略水平に固定する。
素管軸を通る任意の平面と、素管の最外面とが成す二本の線のうち一方を、0°線と定める。前記0°線を基準とし、同様に、細径端部側から見て素管周方向反時計回りに45°、90°、135°の線を定める。
外径の測定は、レーザ式CCD測長センサを用い、シャフト全長に亘って任意のm箇所(mは5以上の自然数)で行う。各測定箇所で、0°、45°、90°、135°の線を含む外径を測定し、計4m点のデータを得る。各測定箇所の測定結果をもとに、外径の平均値に対する、外径の最大値と最小値の差の割合を算出する。
すなわち、
真円度=100×(Dx,max-Dx,min)/Dx,ave・・・式(1)
(式(1)中、
x:位置[mm]
Dx,max:位置xにおける、シャフトの外径の最大値[mm]
Dx,min:位置xにおける、シャフトの外径の最小値[mm]
Dx,ave:位置xにおける、シャフトの外径の平均値[mm]
である)
で求める。
意匠性付与層は、素管の外面に付与され、模様やブランド名などを表示する加飾の役割を担う。通常は、下塗り層、中塗り層などを付与した後、加飾層により装飾を施し、その表面に透明又は半透明の塗料からなるオーバーコート層を形成する方法や、有色のスプレーコートにより加飾を施す方法などが用いられる。本明細書においては、意匠性付与層は、素管の外面に施される、繊維強化樹脂層以外の全ての層を示す。
意匠性付与層中の加飾層の材料としては、金属箔、インク、スプレーなど、美観を向上させ得るものであればいずれの材料を用いても良い。加飾の後に付与されるオーバーコート層や、下塗り層、中塗り層用の材料としては、加飾部分や素管など、隣接する層との密着性が高く、保護被膜の用途に使用され得るものであれば、いずれの種類のものであっても良い。
意匠性付与層は、素管全長に亘って付与されても良く、素管の一部に付与されても良い。
加飾層により装飾を施す方法としては、塗装や印刷によって絵柄などを部品本体上に直接又は金属層を介して設ける方法、裏面に粘着剤層を設けた基材シート上にスクリーン印刷などによって装飾が施されたタイプの粘着シートを、部品本体に貼着する方法、スプレーコートによる方法など、管状体の外面を加飾し得る方法であれば、いずれの方法であっても良い。
(重量)
換算後のシャフト重量MC=M×(Ls/1168)・・・式(4)
M=シャフト重量
Ls=シャフト全長
本発明のシャフトがドライバーである場合は、1168≦Ls≦1219であることが好ましく、フェアウェイウッドである場合は、1067≦Ls≦1092であることが好ましく、ユーティリティである場合は、1016≦Ls≦1067であることが好ましく、アイアンである場合は、902≦Ls≦1016であることが好ましく、パターである場合は、864≦Ls≦915であることが好ましい。
前述のように、本発明のシャフトは、いずれの種類のシャフトでも良いが、本発明のシャフトがドライバーである場合は、32.5≦MC≦89.5であることが好ましく、フェアウェイウッドである場合は、38.3≦MC≦83.2であることが好ましく、ユーティリティである場合は、32.4≦MC≦100.0であることが好ましく、アイアンである場合は、29.7≦MC≦99.6であることが好ましく、パターである場合は、96.2≦MC≦108.1であることが好ましい。
本発明のシャフトの素管の製造方法としては、本発明の素管を製造できれば特に制限されず、公知の製造方法を適用できるが、繊維を一方向に引き揃えてなるシート状の強化繊維に、樹脂組成物を含浸させた繊維強化樹脂層(プリプレグ)を、マンドレルに複数枚巻きつけて、これを加熱後に冷却し、マンドレルを抜き取ることで成形するシートラッピング法が一例として挙げられる。
なお、前記プリプレグは、樹脂組成物に含まれるマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、前記マトリックス樹脂が未硬化の状態であるものを示し、加熱後は硬化が完了しているものとする。
また、本発明のシャフトを構成する繊維強化樹脂層は、前記樹脂組成物に含まれるマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、硬化が完了しているものを示す。
本発明のシャフトの製造方法は、(1)最外層として曲げ剛性に対する寄与率が0.5~15%であるプリプレグを配置する工程(2)プリプレグを加熱後冷却する工程(3)外形を制御して研磨を行う工程、を含む。
プリプレグの加熱は、プリプレグに含まれるマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、硬化が完了するのに十分な温度と時間で行うものとする。前記マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、プリプレグの軟化及び成形に十分な温度と時間で行うものとする。
本実施形態のシャフトは、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、パターなどの、いずれの種類のゴルフクラブ用シャフトでも良い。
ゴルフクラブは、通常、シャフトのチップ端部にヘッドを取り付け、バット端部にグリップを取り付けて組み上げる。ウッド用のゴルフクラブは、通常、クラブとして通常の長さである45inch~46inchになるようにするため、シャフトの両端をカットし、シャフト全長が1100mm~1130mmにしてからヘッドを取り付けて組み上げる。
なお、本発明は、上記実施形態例に限定されない。例えば、バイアス層は1層であってもよく、2層以上あってもよい。また、ストレート層は3層であってもよく、2層でもよく、4層以上であってもよい。
(固有振動数の測定方法)
素管の固有振動数は図6で示す方法で測定した。藤倉ゴム株式会社製ゴルフクラブタイミングハーモナイザーを用い、シャフト1のチップ端部に、ヘッドを模擬した質量196gの錘4を取り付けた。バット端部から固定治具5Aまでの距離を180mmとして、シャフトの固有振動数を測定した。
素管のバランスポイントの模式図を図7に示す。シャフトのチップ端部から、シャフトの重心までの距離LGを、素管の全長LSに対する比率で示した。すなわち、
バランスポイント(%)=(LG/LS)×100・・・(式5)
で求められる。
(キックポイントの測定方法)
キックポイントは、フォーティーン社製シャフトキックポイントゲージ「FG-105RM」を用いて、図8に示す方法で測定した。
シャフトの両端を回転可能な固定治具5B、5Cで固定し、一方の治具を移動させることにより、固定治具同士を互いに近づけることでシャフトを圧縮して、両端の距離を短縮させることで湾曲させた。このとき、シャフトの周方向に最も突出した点とチップ端部の距離LK、湾曲時のシャフトの両端を直線で結んだ距離をLBとし、上記LKとLBの比率をキックポイントの値とした。両端から加える圧縮荷重Pは、シャフトの曲げ剛性によって異なるが、両端の直線距離が圧縮前のシャフト長の98.5~99.5%になるようにかけるものとする。すなわち、
キックポイント(%)=(LK/LB)×100・・・(式6)
LK:前記シャフトの両端同士に、前記シャフトの両端の直線距離がシャフト長の98.5~99.5%となるように圧縮荷重をかけることで湾曲させた際の、シャフトの両端同士を結ぶ直線に、前記湾曲の頂点から垂線を引いた際の交点とシャフトのチップ端部との距離
LB:前記シャフトの両端同士に、前記シャフトの両端の直線距離がシャフト長の98.5~99.5%となるように圧縮荷重をかけることで湾曲させた際の、前記シャフトの両端同士の直線距離
で求めた。
[最外層の曲げ剛性に対する寄与率の測定方法]の項に記載の方法で評価を行った。本発明のシャフトの素管は、チップ端部の外径が8.5mm、バット端部の外径が15.2mmとなるように設計、製造した。
[真円度の評価方法]に記載の方法に基づいて評価を行った。素管の外径測定には、オムロン株式会社製レーザ式CCD測長センサZX-TGを用いた。測定位置x(mm)は、チップ端側から100mm、200mm、300mm、400mm、500mm、600mm、700mm、800mm、900mm、1000mmの位置とした。0°、45°、90°、135°の角度で、それぞれの位置で外径を測定し、計40点のデータを得た。これを素管3本について繰り返し行い、計120点のデータを得た。各素管において、それぞれの位置x(mm)で、外径の最大値と最小値の差の、各位置の外径の平均値に対する割合を算出した。
[異方性の評価方法]の項に記載の方法で評価を行った。チップ端部から見て右側を右の変位、左側を左の変位とした。
図5に示す形状の鉄製のマンドレルを用意した。このマンドレルにおける各部分の外径、長さ、テーパー度は以下のとおりである。
P1の外径=4.15mm、P2の外径=、5.9mm、P3の外径=7.65mm、P4およびP5の外径=13.8mm、P1~P2の距離(L1)=200mm、P2~P3の距離(L2)=100mm、P1~P4の距離(L3)=700mm、P1~P5の距離(L4)=500mm、P1~P2のテーパー度=8.750/1000、P2~P3のテーパー度=17.5/1000、P3~P4のテーパー度=8.786/1000
続いて、マンドレルに、図1に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~7)を順次巻きつけて積層体とし、その上に20mm幅、厚さ0.03mmのポリプロピレン製収縮テープを、ピッチ1.5mmで巻きつけて、未硬化の前記積層体を固定した。それぞれのパターンに用いたプリプレグの物性の詳細を表1に、サイズを表5に示す。なお、パターン7には、ガラスクロスプリプレグを使用した。
パターン2は、強化繊維の配向角度が+45°及び-45°となるようにそれぞれ1枚配置して、バイアス層とした。パターン4及び5は、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるように配置して、ストレート層とした。パターン1、3及び6は、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるように配置して、部分ストレート層とした。パターン7は、平織のガラスクロスプリプレグを、経糸がマンドレルの軸方向に対して0°となるように配置した。
使用したプリプレグの種類を表2、サイズを表5に示したように変更し、図2に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~8)を用いた以外は、実施例1と同様にシャフトを製造した。結果を表7~10に示す。
使用したプリプレグの種類を表3、サイズを表5に示したように変更し、図3に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~7)を用いた以外は、実施例1と同様にシャフトを製造した。結果を表7~9、11に示す。
使用したプリプレグの種類を表4、サイズを表5に示したように変更し、図4に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~6)を用いた以外は、実施例1と同様にシャフトを製造した。結果を表7~9、11に示す。
1C 圧縮して湾曲したシャフト
11 チップ端部
12 バット端部
13 シャフト軸
2 シャフトの重心位置
3 シャフトのキックポイント位置
4 ヘッドを模擬した質量196gの錘
5A、5B,5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I 固定治具
6 支柱
7 投光器
8 受光器
9 センサスライド用治具
LS シャフトの全長
LG、LK、LB、LD、LH 長さ
x 長さ
P 荷重
Claims (8)
- 複数の繊維強化樹脂層を有する素管を含むゴルフクラブ用シャフトであって、
前記素管の最外層の繊維強化樹脂層の、前記ゴルフクラブ用シャフトの曲げ剛性に対する寄与率が0.5%以上5%以下であり、前記最外層の繊維強化樹脂層にクロス材を含み、
前記クロス材がガラスクロスであり、前記クロス材の経糸の配向角度が前記ゴルフクラブ用シャフトの軸方向に対して-5°以上+5°以下であるゴルフクラブ用シャフト。 - 前記最外層の繊維強化樹脂層に含有される前記強化繊維の引張弾性率が5GPa以上100GPa未満である、請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 複数の繊維強化樹脂層を有する素管を含むゴルフクラブ用シャフトであって、
前記素管の最外層の繊維強化樹脂層の、前記ゴルフクラブ用シャフトの曲げ剛性に対する寄与率が0.5%以上5%以下であり、前記最外層の繊維強化樹脂層に一方向材を含み、前記一方向材の強化繊維の配向角度が+20°以上+70°以下又は-70°以上-20°以下であるゴルフクラブ用シャフト。 - 前記最外層の繊維強化樹脂層に含有される前記強化繊維の引張弾性率が200GPa以上500GPa未満である、請求項3に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 下記評価方法で評価した水平方向の変位が18mm未満である請求項1~4のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[水平方向の変位の評価方法]
素管の太径端部から180mmより細径端部側が振動しうるように、素管を略水平に把持する。細径端部から314.5mmの位置に、素管の水平方向両側に各一本、合計二本の支柱を設置する。
次いで素管の細径端部に重量196gの錘を装着した状態で、細径端部の変位が60mmになるよう略重力方向に荷重を与えた後、除荷して素管を振動させる。前記二本の支柱の位置をそれぞれ独立に調整し、振動する素管と二本の支柱それぞれとが接した時の、素管軸から支柱の距離を水平方向の変位とする。細径端部側から素管を見た右側の支柱と素管軸との距離を水平方向の変位(右)とし、同様に左側の支柱と素管軸との距離を水平方向の変位(左)とする。 - 下記評価方法によって得られた真円度が0.00~0.39である請求項1~5のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。
[真円度の評価方法]
素管の細径端部側及び太径端部側の内側に治具を差し込んで素管を略水平に固定する。
素管軸を通る任意の平面と、素管の最外面とが成す二本の線のうち一方を、0°線と定める。前記0°線を基準とし、同様に、細径端部側から見て素管周方向反時計回りに45°、90°、135°の線を定める。
外径の測定は、レーザ式CCD測長センサを用い、シャフト全長に亘って任意のm箇所(mは5以上の自然数)で行う。各測定箇所で、0°、45°、90°、135°の線を含む外径を測定し、計4m点のデータを得る。各測定箇所の測定結果をもとに、外径の平均値に対する、外径の最大値と最小値の差の割合を算出する。
すなわち、
真円度=100×(Dx,max-Dx,min)/Dx,ave・・・式(1)
(式(1)中、
x:位置[mm]
Dx,max:位置xにおける、シャフトの外径の最大値[mm]
Dx,min:位置xにおける、シャフトの外径の最小値[mm]
Dx,ave:位置xにおける、シャフトの外径の平均値[mm]である)
で求める。 - 請求項1~6のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフトを備えたゴルフクラブ。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、以下の工程(1)~(3)を含むゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
(1)素管の最外層として、曲げ剛性に対する寄与率が0.5~15%であるプリプレグを配置する工程
(2)前記プリプレグを加熱後冷却する工程
(3)外形を制御して研磨を行う工程
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