JP2000286478A - 磁性体トンネル接合素子 - Google Patents

磁性体トンネル接合素子

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JP2000286478A JP11092034A JP9203499A JP2000286478A JP 2000286478 A JP2000286478 A JP 2000286478A JP 11092034 A JP11092034 A JP 11092034A JP 9203499 A JP9203499 A JP 9203499A JP 2000286478 A JP2000286478 A JP 2000286478A
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    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性体トンネル接合素子において、電圧依存
性を小さくし、MR比を大きくする。 【解決手段】 第1の磁性体電極と、第1の磁性体電極
上に設けられる絶縁層15と、絶縁層上に設けられる第
2の磁性体電極とを具備し、第2の磁性体電極は、鉄、
コバルト、またはニッケルを含む、厚さが5nm以下で
ある第1の薄膜13と、貴金属、銅、またはクロムを含
む第2の薄膜11との積層構造から構成されている事を
特徴とする磁性体トンネル接合素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性体トンネル接
合素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化、及び高速化は、磁
気記録媒体の進歩と並んで、磁気記録装置の進歩、なか
でも磁気記録の書き込み、及び読み出しに用いられる磁
気ヘッドの進歩に負うところが大きい。例えば、大きな
出力が得られる新しいタイプの読み出し用磁気ヘッドと
して、巨大磁気抵抗効果ヘッド(GMRヘッド)の開発
が進められている。GMRヘッドは、従来の磁気抵抗効
果ヘッド(MRヘッド)と比較して磁気抵抗効果比(M
R比)が大きいという、優れた特性を持っている。
【0003】一方、従来の磁気記録媒体は、磁気ディス
ク、すなわちファイルメモリーとして機能し、その情報
は一旦コンピューター本体の、ダイナミックランダムア
クセスメモリー(DRAM)、スタティックランダムア
クセスメモリー(SRAM)等の半導体メモリーに読み
込まれた後、利用される。これらの半導体メモリーは、
多くの優れた特性を持っているが、記憶保持の為に大量
の電力を消費するという欠点がある。近年は、記憶保持
の為の電力が必要ないフラッシュメモリーや、フェロエ
レクトリックランダムアクセスメモリー(FRAM)等
の開発が進められているが、いずれも書き換え回数が限
られるという欠点がある。
【0004】実質的に無限の書き換えが可能な磁気メモ
リーとして、マグネティックランダムアクセスメモリー
(MRAM)の開発も始められているが、その実現の為
には大きなMR比を示す材料やデバイスの構造等の開発
が望まれる。
【0005】そこで、従来のスピンバルブ膜に比べてよ
り大きなMR比を示す素子として、磁性体トンネル接合
素子が注目され、磁性体トンネル接合素子単体、あるい
は磁性体トンネル接合素子とMOS型トランジスターと
を組み合わせる事によって、磁気ヘッドや磁気メモリー
を形成しようという試みが始められている。
【0006】現在では、上記の磁性体トンネル接合素子
は、約数10mV以下の低電圧域で30%程度のMR比
を示すものが得られているが、約数100mV以上の実
用電圧域ではMR比が10%程度に低下してしまうとい
う問題がある。MR比の低下は、トンネル電子が電極中
で磁気励起されたマグノンや、絶縁膜中の局在スピンと
相互作用し、そのスピンが反転する為なのであるが、こ
れらの相互作用の大きさが電圧に依存するからである。
【0007】実用電圧域における磁性体トンネル接合素
子のMR比を増大させる為に、これまでに様々な試みが
なされているが、そのうちの1つはハーフメタルと呼ば
れる磁性体を電極として用いる事である。ハーフメタル
は図5に模式的に示す様に、一方の向き(↑)のスピン
を持った電子のみがフェルミ準位(EF )の近くに存在
する。図5では、電子が存在するエネルギー準位を斜線
で示した。よって、ハーフメタルを磁性体トンネル接合
素子の電極として用いれば、一方の向きのスピンを持っ
た電子のみがトンネル伝導する為に、原理的には電圧域
を高くしても、無限大のMR比を示す磁性体トンネル接
合素子が得られる事になる。
【0008】しかし、実際には、ハーフメタルを用い
て、室温で、100エルステッド程度の現実的な印加電
場をかけても、大きなMR比を示す磁性体トンネル接合
素子を得る事は容易でないと考えられる。それは、ハー
フメタルは一般にホイスラー合金や、スピネル酸化物等
の複雑な組成や、構造を持つ化合物が多く、磁気特性
が、その組成や結晶構造に敏感なので、結合界面近傍の
組成ずれや結晶歪みにより、容易に特性が劣化してしま
う為である。また、比較的簡単な結晶構造のペロブスカ
イト型酸化物は、キュリー温度が低く、かつ保持力が大
きい為、低磁場での動作が困難である。
【0009】これに対し、接合形成の容易な、Fe、C
o、Ni等の強磁性体金属、またはそれらの合金を、磁
性体電極に用いる方法もある。図6はFe、Co、Ni
等の強磁性体金属、またはそれらの合金を用いた磁性体
トンネル接合素子である。この磁性体トンネル接合素子
は、2つの磁性体電極層61と、これらに挟持される絶
縁層62から成る。
【0010】薄い絶縁層62を2つの磁性体電極層61
で挟持しそれらの間に電圧を印加すると、電子の波の性
質により、トンネル電流が流れる。金属が強磁性体の場
合には、フェルミ面での状態密度がスピンの向きに依存
する為、トンネルする電子の数がスピンの向きによって
異なる。この性質を利用して2つの磁性体電極61の磁
化を、外部磁場で平行、または反平行に制御すること
で、トンネル磁気抵抗(TMR)を得る事が出来る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Fe、Co、
Ni等の強磁性体金属、またはそれらの合金を用いる方
法にも問題がある。これらの金属、または合金中では、
図7に模式的に示すように、局在性電子としてdバンド
と、質量の軽い非局在性電子としてs、pバンドとが共
存しているが、トンネル電流は、主として非局在性電子
によって担われている。よって、図7から分かる様に、
フェルミ準位近くで非局在性電子のスピン偏極率は小さ
く、MR比は、高い電圧域でなくとも、高々30%程度
に留まってしまうという問題が生ずる。
【0012】本発明は、上記問題を解決する為に考えら
れたものであり、高い電圧域で低磁場中においても、高
いMR比が得られる磁性体トンネル接合素子を提供する
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の第1は、
第1の磁性体電極と、第1の磁性体電極上に設けられる
絶縁層と、絶縁層上に設けられる第2の磁性体電極とを
具備し、第2の磁性体電極は、鉄、コバルト、またはニ
ッケルを含む厚さが5nm以下である第1の薄膜と、貴
金属、銅、またはクロムを含む第2の薄膜との積層構造
から構成されている事を特徴とする磁性体トンネル接合
素子を提供する。
【0014】また本発明の第2は、第1の磁性体電極
と、第1の磁性体電極上に設けられる絶縁層と、絶縁層
上に設けられる[ 100] 方向に結晶配向した第2の磁
性体電極とを具備し、第2の磁性体電極は、鉄、コバル
ト、またはニッケルを含む第1の薄膜と、貴金属、銅、
またはクロムを含む第2の薄膜との積層構造から構成さ
れている事を特徴とする磁性体トンネル接合素子を提供
する。
【0015】ここで、本発明の第1と第2において貴金
属とは、金、銀と白金族(Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Pt)の事を言う。また、本発明の第1と第2にお
いて、第1の薄膜の金属は、鉄、コバルト、またはニッ
ケルを含む合金であっても良く、第2の薄膜の金属は、
貴金属、銅、またはクロムを含む合金であっても良い。
【0016】本発明の第1と第2において、磁性体トン
ネル接合素子の第1の薄膜及び第2の薄膜は半導体基板
上に直接またはバッファー層を介して形成されても良い
し、エピタキシャル成長されても良い。ここで、エピタ
キシャル成長とは、気相エピタキシャル成長だけでな
く、液相エピタキシャル成長であっても良い。またスパ
ッタ、蒸着等を行った後、アニール等を行って、結晶配
向するようにしても良い。
【0017】さらに本発明の第3は、第1の磁性体電極
と、第1の磁性体電極上に設けられる絶縁層と、絶縁層
上に設けられる第2の磁性体電極とを具備し、第2の磁
性体電極中の非局在性性電子のうち、一方のスピンのエ
ネルギー準位を離散化し、他方のスピンのエネルギー準
位のみをフェルミ準位に存在させる事を特徴とする磁性
体トンネル接合素子を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定される
ものではない。本発明の第1の実施形態について説明す
る。本実施形態の磁性体トンネル接合素子の断面図を図
1に示す。
【0019】本実施形態の磁性体トンネル接合素子は、
図1のように、2つの非磁性体層11、12と、これら
の非磁性体層11、12に挟持される2つの強磁性体層
13、14、そしてこれらの強磁性体層13、14に挟
持される絶縁層15から成る。本実施形態では、非磁性
体層11として、膜厚約10nmのAuの薄膜を、その
上の強磁性体層13として、膜厚約1.5nmのα鉄
(体心立方構造)の薄膜を、その上の絶縁層15とし
て、膜厚約1.2nmのAlOx の薄膜を、その上の強
磁性体層14として、膜厚約1nmのCoの薄膜を、そ
の上の非磁性体層12として、膜厚がそれぞれ約10n
m、約50nmの、CuとAuを積層してなる。非磁性
体層11、12、また強磁性体層13、14は後述する
ように、[ 100] 方向に結晶配向してなる。尚、非磁
性体層11は、n+ GaAsのバッファー層(図示せ
ず)の上に形成されてなる。
【0020】この磁性体トンネル接合素子について、室
温でn+ GaAs層と第2の非磁性体層12との間、ま
たは第1の非磁性体層11と第2の非磁性体層12の間
に、約1Vの電圧をかけ、磁性体トンネル接合素子面内
に外部磁場を印加して、磁気抵抗の測定を行った。どち
らも、磁化曲線を反映した磁気抵抗特性が見られ、MR
比は約38%と高い値が得られた。また、飽和磁場の下
での接合抵抗の絶対値は約2kΩであった。
【0021】次に、本実施形態の磁性体トンネル接合素
子の製造方法を図1を用いて説明する。この磁性体トン
ネル接合素子はマルチチャンバーの分子線エピタキシャ
ル装置(MBE装置)を用いて、ウエファー(図示せ
ず)上に形成する。
【0022】まず半導体形成用のチャンバー内でウエフ
ァー上に[ 100] 方向に結晶配向したn+ GaAsの
バッファー層を形成し、その上に、スペーサー層とし
て、約5nmのノンドープGaAs層を形成する。走査
型トンネル顕微鏡(STM)、及び反射高速電子線回折
(RHEED)観察により、ノンドープGaAs表面が
Asのダイマーにより終端され、通常の1つのGaAs
結晶格子の大きさに対して、本実施形態の1つの結晶格
子の大きさが一方向に2倍、その垂直方向に4倍に増大
し、2×4構造となっている事を確認した。また、結晶
が段差なく1つの面となって続く幅は、約0.5μmで
あった。
【0023】n+ GaAs層にノンドープGaAs層を
形成したウエファーを金属膜形成用のチャンバーに移送
した後、蒸発源としてクヌーセン・セル(Knudse
n−Cell)を用い、ノンドープGaAs層の上に、
第1の非磁性体層11として、[ 100] 方向に結晶配
向したAuの薄膜を約0.3nm/minの速度で約1
0nmの厚さに形成する。続いて、同様の方法で、Au
の薄膜上に、第1の強磁性体層13として、[ 100]
方向に結晶配向したα鉄の薄膜を約0.1nm/min
の速度で約1.5nmの厚さに形成する。
【0024】さらに、α鉄層の上に、Al膜を約0.3
nm/minの速度で約1.2nmの厚さに形成した
後、酸素中のグロー放電によりAl膜を酸化し、図1に
示すAlOx の絶縁層15とする。
【0025】続いて、第2の強磁性層14として、[ 1
00] 方向に結晶配向したCo膜を約0.1nm/mi
nの速度で約1nmの厚さに形成し、第2の非磁性層1
2として、[ 100] 方向に結晶配向したCuを約0.
3nm/minの速度で約10nmの厚さ、[ 100]
方向に結晶配向したAuを約50nmの厚さで積層す
る。
【0026】磁性体トンネル接合素子は、電子線ビーム
(EB)レジストとArミリングを用いて、0.5μm
×0.5μmの大きさとする。この後、非磁性体層1
1、12を電極として、配線と接続する。
【0027】本実施形態の比較例として、第1の強磁性
体層13として、[ 100] 方向に結晶配向したα鉄の
薄膜を約10nmの厚さに、第2の強磁性層14とし
て、[100] 方向に結晶配向したCo膜を約10nm
の厚さに形成する以外は、第1の実施形態と同様にして
磁性体トンネル接合素子を作製し、磁気抵抗特性の測定
を行ったところ、MR比は約25%であった。
【0028】この他、強磁性体層の厚さを変化させる事
により、5nmを境に、5nm以下ではMR比が向上
し、スピンの向きに依存したエネルギー準位の離散化の
効果が得られる。
【0029】さて、磁性体トンネル接合では、強磁性体
層と絶縁層との接合面にほぼ垂直に進む電子のみがトン
ネル伝導に寄与する事が知られている。自由電子モデル
では、トンネル電流の電流密度は角度依存し、exp[
−β2sin2 θ] (ただし、β4 =2ms2F 2
[ h2 (EV −E)] )に比例する。θは接合面の法線
と、電子の波数ベクトルとのなす角度であるので、絶縁
膜をトンネルする電子の波数ベクトルは接合面にほぼ垂
直となる。
【0030】一方、Fe、Co、Ni等の強磁性体金
属、またはそれらの合金のフェルミ準位近くのトンネル
電流に寄与できる電子、つまり非局在性電子のエネルギ
ーバンドは、波数kがk=0のときT2gの対称性を持つ
為、T2gバンドと呼ばれているが、その対称性をより詳
しく調べると、これらの金属、または合金のうち[ 10
0] 方向に結晶配向しているものは、スピンの向きによ
って、その対称性が異なっている。つまり、アップスピ
ンのエネルギーバンドはΔ1 の対称性を、またダウンス
ピンのエネルギーバンドはΔ5 の対称性を持つ。
【0031】また、[ 100] 方向に結晶配向してい
る、Au、Ag等の貴金属、または銅のエネルギーバン
ドは、フェルミ準位近くでは強磁性体のアップスピンバ
ンドと同じ、Δ1 の対称性を持っている。
【0032】従って、[ 100] 方向に結晶配向した、
強磁性体薄膜と、前段落中の貴金属、または銅の薄膜の
積層構造を形成する事により、強磁性体薄膜中を[ 10
0]方向に運動する電子のうち、同じΔ1 の対称性を持
つアップスピンバンドの電子は、貴金属薄膜中に入り、
他方で、貴金属薄膜のバンドと対称性の異なるΔ5 の対
称性を持つダウンスピンバンドの電子は、貴金属薄膜中
に入れず、強磁性体薄膜中に閉じ込められる。
【0033】厚さ数nm以下の強磁性体薄膜中に閉じ込
められた電子は、膜厚方向(z方向)の電子の運動が量
子化され、そのエネルギーは E=h2 (kx 2 +ky 2 )/[ 8πm] +Eznzn=h2 /(8πm)(nπ/l)2 となり、状態密度は図2に示すように階段状になる。こ
こでlは膜厚である。図2は薄膜中の電子の状態密度と
エネルギーの関係図である。図2の斜線部が[ 100]
方向、つまり膜厚方向に運動し、トンネル電流に寄与す
る電子である。よって、トンネル電流に寄与できる、ダ
ウンスピン電子のエネルギーはE1 、E2、E3 …とい
うように、離散的になっている。
【0034】磁性体トンネル接合素子のMR比が低下す
る理由としては、トンネル電子のスピン反転現象による
と考えられる。すなわちトンネル電子が電極中で磁気励
起されたマグノンや、絶縁膜中の局在スピンと相互作用
し、そのスピンが反転してしまう為である。また、この
スピン反転現象は、電圧に依存する。従って、高い電圧
域において大きなMR比を示す磁性体トンネル接合素子
を得る為には、このスピン反転現象を抑制する事が必要
となる。
【0035】図3はスピンの方向による、状態密度とエ
ネルギーの関係である。本発明では、図3に示すよう
に、トンネル電子のエネルギーがスピンの向きにより大
きく異なり、一方のスピン方向の電子はフェルミ準位に
存在し、他方のスピン方向の電子はフェルミ準位に存在
しない為に、高い電圧域においてもスピン反転現象が抑
制される。よって、トンネル電子の偏極率が増大し、実
用電圧域における磁性体トンネル接合素子のMR比を増
大する事が出来るのである。
【0036】Au、Ag等の貴金属、または銅を用いる
ことにより、ダウンスピンバンドの電子を強磁性体薄膜
中に閉じ込めたが、クロムを用いた場合には、アップス
ピンバンドの電子が強磁性体薄膜中に閉じ込められる。
【0037】離散的なエネルギー間隔は膜厚に依存する
為、本発明の磁性体トンネル接合素子の強磁性体層は、
エネルギー間隔を増大させる様、膜厚を約5nm以下と
すると、上述の特性が得られる。
【0038】さらに、高い配向性を持った強磁性体薄膜
を得る為には、GaAs等の半導体基板上にエピタキシ
ャル成長させる事が好ましい。従って、基板表面を配向
させるのに適した構造とするほか、配向を得るのに適し
たバッファ層を用いる事が好ましい。
【0039】次に、本発明の第1の実施形態の応用例に
ついて説明する。この応用例の磁性体トンネル接合素子
は第1の実施形態と同様、図1を用いて、2つの非磁性
体層11、12と、これらの非磁性体層11、12に挟
持される2つの強磁性体層13、14、そしてこれらの
強磁性体層13、14に挟持される絶縁層15から成
る。本実施形態の構成は、第1の実施形態では第1の非
磁性体層11としてAuを形成したが、その代わりに、
Agを約10nm形成するほかは、第1の実施形態と同
様な構成である。また、この応用例の磁性体トンネル接
合素子の製造方法としては、クヌーセン・セルを用い、
第1の非磁性体層11として、[ 100] 方向に結晶配
向したAgの薄膜を約0.3nm/minの速度で約1
0nmの厚さにエピタキシャル成長する以外は、第1の
実施形態と同様の方法で磁性体トンネル接合素子を製造
する。
【0040】第1の実施形態と同様にして、磁気抵抗特
性の測定を行ったところ、MR比は約35%と高い値が
得られた。次に、本発明の第2の実施形態について説明
する。
【0041】本実施形態の磁性体トンネル接合素子は第
1の実施形態と同様、図1に示すように、2つの非磁性
体層11、12と、これらの非磁性体層11、12に挟
持される2つの強磁性体層13、14、そしてこれらの
強磁性体層13、14に挟持される絶縁層15から成
り、第1の強磁性体層13として、[ 100] 方向に結
晶配向したα鉄の薄膜を約0.1nm/minの速度で
約1nmの厚さに、[ 100] 方向に結晶配向したAu
の薄膜を約0.1nm/minの速度で約1.5nmの
厚さに、[ 100] 方向に結晶配向したα鉄の薄膜を約
0.1nm/minの速度で約1nmの厚さに積層する
以外は、第2の実施形態と同様の方法で磁性体トンネル
接合素子を製造した。
【0042】第1の実施形態と同様にして、磁気抵抗特
性の測定を行ったところ、MR比は約41%と、高い値
が得られた。以上詳細に説明したような磁性体トンネル
接合素子を用いる事により、高密度記憶素子を作製出来
る。上記の実施形態では両方の磁性体電極を非磁性体と
強磁性体の積層構造とし、[ 100] 方向に結晶配向し
たが、片方の磁性体電極が本発明に示す構成になってい
れば良い。
【0043】[ 100] 方向の配向については、膜主
面、つまり、強磁性体層と絶縁層との接合面と垂直方向
に結晶配向している事をいい、言い換えると、膜主面が
〈100〉面に配向したものをいう。この結晶配向は、
RHEEDにより観察する事が出来る。
【0044】また、一方の強磁性体層内にIrMn合金
等の反強磁性固着層を挿入して、強磁性体層の磁化方向
を固着しても良い。なお、上記各実施形態では、Fe、
Au、Ag等と表記したが、各層が数nmと薄い事か
ら、隣接する層、特に下層を構成する材料原子が、上層
に混入する事もある。この場合、互いの磁気特性に損傷
を与えない程度の拡散であれば、本発明の効果は得られ
る。
【0045】図4は本発明の磁性体トンネル接合素子を
用いたMRAMセルの回路図である。磁性体トンネル接
合素子41は、一方の電極はワード線42に接続され、
もう一方はノードNを介してMOS型トランジスタ43
のゲートと、抵抗44へ各々接続される。MOS型トラ
ンジスタ43のソースは接地されており、ドレインはビ
ット線45へ接続されている。
【0046】このMRAMセルへの書き込み、読み出し
方法としては、公知の方法で行う事が出来、書き込み方
法としては、磁性体トンネル接合素子41上にワード線
42とビット線45が直交するように配置し、ワード線
42、ビット線45に、同時に電流を流す。2つの電流
により発生する合成磁場を利用して、磁化の向きを変化
させる事により、1つのセルに選択的に書き込みが出来
る。電流の大きさは、磁性体トンネル接合素子41の一
方の強磁性体層の磁化を変化させる程度にすれば良い。
【0047】また、読み出し方法としては、ワード線4
2から磁性体トンネル接合素子41に電圧をかける際
に、磁性体トンネル接合素子41の磁化が平行であるか
反平行であるかによって抵抗が変化する事を利用して、
ゲートがオン、またはオフし、ビット線45に流れる電
流が変化する事によって読み出す。抵抗44は、ノード
Nの電位に、バイアスを与える為に設ける。
【0048】以上の様に磁性体トンネル接合素子を用い
る事により、高感度、かつMR比の高い磁気再生ヘッド
や磁気メモリーを形成する事が出来、ひいては高記録密
度の磁気記録装置、及び高集積の記録装置を提供する事
が可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、MR比が大きく、電圧
依存性の小さい磁性体トンネル接合素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁性体トンネル接合素子の断面図。
【図2】 薄膜中の電子の状態密度とエネルギーの関
係。
【図3】 電子状態密度とエネルギーのスピン依存性。
【図4】 MRAMセル。
【図5】 ハーフメタルのバンド図。
【図6】 従来の磁性体トンネル接合素子の断面図。
【図7】 強磁性金属のバンド図。
【符号の説明】
11…第1の非磁性体層 12…第2の非磁性体層 13…第1の強磁性体層 14…第2の強磁性体層 15…絶縁層 41…磁性体トンネル接合素子 42…ワード線 43…MOS型トランジスタ 44…抵抗 45…ビット線 61…磁性体電極層 62…絶縁層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の磁性体電極と、前記第1の磁性体
    電極上に設けられる絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ
    る第2の磁性体電極とを具備し、前記第2の磁性体電極
    は、鉄、コバルト、またはニッケルを含む厚さが5nm
    以下である第1の薄膜と、貴金属、銅、またはクロムを
    含む第2の薄膜との積層構造から構成されている事を特
    徴とする磁性体トンネル接合素子。
  2. 【請求項2】 第1の磁性体電極と、前記第1の磁性体
    電極上に設けられる絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ
    る[ 100] 方向に結晶配向した第2の磁性体電極とを
    具備し、前記第2の磁性体電極は、鉄、コバルト、また
    はニッケルを含む第1の薄膜と、貴金属、銅、またはク
    ロムを含む第2の薄膜との積層構造から構成されている
    事を特徴とする磁性体トンネル接合素子。
  3. 【請求項3】 前記第1の薄膜及び前記第2の薄膜が半
    導体基板上に直接またはバッファー層を介して形成され
    ている事を特徴とする請求項1または2記載の磁性体ト
    ンネル接合素子。
  4. 【請求項4】 前記第1の薄膜及び前記第2の薄膜がエ
    ピタキシャル成長されている事を特徴とする請求項3記
    載の磁性体トンネル接合素子。
  5. 【請求項5】 第1の磁性体電極と、前記第1の磁性体
    電極上に設けられる絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ
    る第2の磁性体電極とを具備し、前記第2の磁性体電極
    中の非局在性電子のうち、一方のスピンのエネルギー準
    位を離散化し、他方のスピンのエネルギー準位のみをフ
    ェルミ準位に存在させる事を特徴とする磁性体トンネル
    接合素子。
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