JP2000284240A - コンタクトレンズ用液剤 - Google Patents

コンタクトレンズ用液剤

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JP2000284240A
JP2000284240A JP11090656A JP9065699A JP2000284240A JP 2000284240 A JP2000284240 A JP 2000284240A JP 11090656 A JP11090656 A JP 11090656A JP 9065699 A JP9065699 A JP 9065699A JP 2000284240 A JP2000284240 A JP 2000284240A
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JP
Japan
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contact lens
cationic group
pva
hexamethylene biguanide
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JP11090656A
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Masahiro Nagao
昌浩 長尾
Shigemi Akamatsu
成美 赤松
Tomoko Ohara
智子 大原
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 殺菌作用(消毒作用)、目に対する安全性に
優れ、コンタクトレンズの消毒、保存、すすぎなどに好
適に用いることができるコンタクトレンズ用液剤を提供
する。 【解決手段】 下記の一般式(I): 【化1】 で示されるヘキサメチレンビグアニド誘導体、カチオン
性基を有するポリビニルアルコール系重合体、金属イオ
ン封鎖剤および緩衝剤を含む水溶液からなるコンタクト
レンズ用液剤であって;ヘキサメチレンビグアニド誘導
体を0.01〜50ppm、カチオン性基を有するポリ
ビニルアルコール系重合体を0.001〜5重量%含む
ことを特徴とするコンタクトレンズ用液剤により上記の
課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンタクトレンズ
用液剤に関する。本発明のコンタクトレンズ用液剤は、
殺菌作用(消毒作用)および眼に対する安全性に優れる
ことから、コンタクトレンズの消毒、保存、すすぎなど
に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】現在、コンタクトレンズとしては、装用
感に優れた含水性ソフトコンタクトレンズ、高酸素透過
性を有するハードコンタクトレンズなどが一般に広く用
いられている。これらのコンタクトレンズは、いずれも
装用後に洗浄などの手入れを必要とし、特に含水性ソフ
トコンタクトレンズは、細菌、黴等の微生物による汚染
を防ぐために消毒処理を必要とする。
【0003】含水性ソフトコンタクトレンズを消毒する
方法としては、コンタクトレンズをコンタクトレンズ用
処理液中で煮沸する加熱消毒方法と、過酸化水素や殺菌
消毒剤で消毒する、コールド消毒法と呼ばれる非加熱消
毒方法とがある。しかしながら、これらの方法は、いず
れもその操作および取扱いが煩雑であり、特に非加熱消
毒方法において過酸化水素を用いた場合には、中和処理
を施す必要があり、その操作が煩雑となる。また殺菌消
毒剤を用いた場合には、殺菌消毒剤がコンタクトレンズ
内に浸透し、角膜の損傷、粘膜刺激等の眼障害、アレル
ギーなどを引き起こすことがある。
【0004】殺菌消毒剤のコンタクトレンズ内への浸透
を防ぎ、殺菌消毒剤を用いた場合の上記の問題点を解決
するために、殺菌消毒剤としてビグアニド誘導体を用い
たコンタクトレンズ消毒保存用溶液が提案され(特開昭
49−18043号公報および特開昭61−85301
号公報参照)、普及しつつある。しかしながら、ビグア
ニド誘導体を含有した上記のコンタクトレンズ消毒保存
用溶液においては、ビグアニド誘導体の濃度が高い場
合、コンタクトレンズの種類によっては、コンタクトレ
ンズにビグアニド誘導体が多量に吸着して角膜や眼粘膜
に刺激や損傷を与えることがあり、目に対する安全性が
充分に確保されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、殺菌作用(消毒作用)、目に対する安全性に優
れ、コンタクトレンズの消毒、保存、すすぎなどに好適
に用いることができるコンタクトレンズ用液剤を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、下記の一般式(I):
【化2】 で示されるヘキサメチレンビグアニド誘導体[以下、こ
れをヘキサメチレンビグアニド誘導体(I)ということ
がある]、カチオン性基を有するポリビニルアルコール
系重合体、金属イオン封鎖剤および緩衝剤を含む水溶液
からなるコンタクトレンズ用液剤であって;ヘキサメチ
レンビグアニド誘導体を0.01〜50ppm、カチオ
ン性基を有するポリビニルアルコール系重合体を0.0
01〜5重量%含むことを特徴とするコンタクトレンズ
用液剤を提供することによって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】上記の一般式(I)において、X
およびYは、それぞれ式:−(CH23NH2で示され
る基または式:−(CH23NHC(=NH)NHCN
で示される基を表し、XおよびYの両方が式:−(CH
23NH2で示される基または式:−(CH23NHC
(=NH)NHCNで示される基を表しても、Xおよび
Yの一方が式:−(CH23NH2で示される基を表
し、他方が式:−(CH23NHC(=NH)NHCN
で示される基を表してもよい。
【0008】ヘキサメチレンビグアニド誘導体(I)と
しては、ヘキサメチレンビグアニドおよびヘキサメチレ
ンビグアニドのポリマーが含まれ、これらは塩酸塩、ホ
ウ酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、スルホン酸塩、酒石酸
塩、クエン酸塩等の塩であってもよい。ヘキサメチレン
ビグアニド誘導体の重合度を表すnは1〜500の範囲
内であり、ヘキサメチレンビグアニド誘導体のコンタク
トレンズ内部への浸透や蓄積を防ぐ観点および充分な殺
菌性能を得る観点から、nは2〜300の範囲内である
のが好ましく、4〜200の範囲内であるのがより好ま
しい。nが500を超えると殺菌性能が低下する。ヘキ
サメチレンビグアニド誘導体(I)としては、例えば、
「Arlagard E」、「Cosmocil C
Q」、「ProxelIB」、「Vantocil I
B」[以上、ゼネカ(株)製、商品名]、「Mikro
kill」、「Mikrokill 20」[以上、ブ
ルックス(Brooks)社製、商品名]などとして市
販されているものを用いることができる。
【0009】本発明におけるヘキサメチレンビグアニド
誘導体(I)の含有量は0.01〜50ppmの範囲内
であり、0.1〜20ppmの範囲内が好ましく、0.
2〜10ppmの範囲内がより好ましく、0.5〜5p
pmの範囲内がさらに好ましい。ヘキサメチレンビグア
ニド誘導体(I)の含有量が0.01ppm未満の場合
には、殺菌作用、静菌作用が充分ではなく、50ppm
を超える場合には目に対する安全性が低下する。
【0010】本発明のコンタクトレンズ用液剤において
は、カチオン性基を有するポリビニルアルコール系重合
体[以下、ポリビニルアルコール系重合体をPVA系重
合体ということがある]を含むことにより、該液剤で処
理されたコンタクトレンズの目に対する安全性が向上す
る。PVA系重合体が有するカチオン性基としては、
式:−NR12(式中、R1およびR2はそれぞれ水素原
子または炭素数1〜20のアルキル基を表す)で示され
る基、式:−N+345-(式中、R3、R4および
5はそれぞれ水素原子または炭素数1〜20のアルキ
ル基を表し、X-はアニオンを表す)で示される基が好
ましい。これらの基におけるR1〜R5がそれぞれ表すこ
とがある炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラ
デシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデ
シル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基
などが挙げられ、これらは分岐していてもよい。これら
のうちでも、PVA系重合体の水溶性の観点から、メチ
ル基、エチル基、プロピル基が好ましい。また、X-
表すアニオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、フッ
素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、酢酸イオ
ン、グルコン酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン
等のカルボン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、p−
トルエンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン、ホウ
酸イオンなどが挙げられ、PVA系重合体の水溶性の観
点から、ハロゲンイオンが好ましく、塩素イオンがより
好ましい。カチオン性基としては、コンタクトレンズ用
液剤で処理したコンタクトレンズの目に対する安全性の
観点から、式:−N+345-(式中、R3、R4
5およびX-は前記定義のとおり)で示される基がより
好ましく、式:−N+(CH33Cl-で示される基がさ
らに好ましい。
【0011】上記のPVA系重合体におけるカチオン性
基の含有量としては、殺菌性能の増強、毒性の抑制、製
造の容易性の観点から、該PVA系重合体を構成する全
単量体単位のモル数に基づいて0.01〜20モル%の
範囲内が好ましく、0.1〜10モル%の範囲内がより
好ましく、0.5〜5モル%の範囲内がさらに好まし
い。
【0012】カチオン性基を有するPVA系重合体は、
ビニルエステルとカチオン性基を有する単量体を共重合
し、これを常法によりケン化することにより製造するこ
とができる。ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カ
プリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティッ
ク酸ビニル等が挙げられ、中でも工業的に安価な酢酸ビ
ニルが一般的に用いられる。
【0013】カチオン性基を有する単量体としては、製
造の容易性の観点から、カチオン性基を有する(メタ)
アクリルアミド系単量体またはカチオン性基を有するア
リルエーテル系単量体が好ましく用いられる。
【0014】カチオン性基を有する(メタ)アクリルア
ミド系単量体としては、(3−アクリルアミドプロピ
ル)ジメチルアミン、(3−メタクリルアミドプロピ
ル)ジメチルアミン、(3−アクリルアミド−3,3−
ジメチルプロピル)ジメチルアミンおよびこれらの4級
アンモニウム塩、例えば、(3−アクリルアミドプロピ
ル)トリメチルアンモニウムクロライド、(3−メタク
リルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライ
ド、(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピ
ル)トリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられ
る。
【0015】カチオン性基を有するアリルエーテル系単
量体としては、(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプ
ロピル)ジメチルアミン、(4−アリルオキシ−3−ヒ
ドロキシブチル)ジエチルアミンおよびこれらの4級ア
ンモニウム塩、例えば、(3−アリルオキシ−2−ヒド
ロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド、
(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)トリエチ
ルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0016】これらの中でもカチオン性基を有する単量
体としては、カチオン性基を有する(メタ)アクリルア
ミド系単量体がより好ましく、(3−アクリルアミドプ
ロピル)トリメチルアンモニウムクロライド、(3−メ
タクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロ
ライドがさらに好ましい。
【0017】本発明におけるカチオン性基を有するPV
A系重合体の含有量は0.001〜5重量%の範囲内で
ある。該PVA系重合体の含有量が0.001重量%未
満の場合には、殺菌性能の増強や目に対する安全性に十
分な効果が得られず、5重量%を超える場合には、殺菌
性能が低下する。殺菌性能の増強とコンタクトレンズ用
液剤で処理されたコンタクトレンズの目に対する安全性
の観点から、カチオン性基を有するPVA系重合体の含
有量は0.005〜2重量%の範囲内であるのが好まし
く、0.05〜1重量%の範囲内であるのがさらに好ま
しい。
【0018】本発明におけるカチオン性基を有するPV
A系重合体の重合度としては、重合度が高すぎると殺菌
性能の増強効果が低下することがあり、重合度が低すぎ
るとコンタクトレンズ用液剤中で該PVA系重合体が析
出することがあるため、50〜5000の範囲内が好ま
しく、100〜3000の範囲内がより好ましく、20
0〜2000の範囲内がさらに好ましい。
【0019】また、カチオン性基を有するPVA系重合
体のケン化度が低すぎると、該PVA系重合体の水溶性
が低下する傾向があり、またケン化度が高すぎると該P
VA系重合体の結晶性が高くなるため、高温で溶解する
必要があるなどの製造上の制限が生じたり、コンタクト
レンズ用液剤中で該PVA系重合体が析出することがあ
ることから、ケン化度としては50〜99モル%の範囲
内が好ましく、75〜97モル%の範囲内がより好まし
く、80〜95モル%の範囲内がさらに好ましい。ここ
で、カチオン性基を有するPVA系重合体の重合度およ
びケン化度とは、それぞれ日本工業規格 ポリビニルア
ルコール試験方法(JIS K6726)に基づいて測
定された平均重合度およびケン化度である。
【0020】本発明におけるカチオン性基を有するPV
A系重合体は、本発明の特徴を損なわない範囲内であれ
ば、ビニルエステルおよびカチオン性基を有する単量体
と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体との共重
合、他のPVA系重合体またはポリビニルエステルとの
反応などにより変性されていてもよい。ポリビニルエス
テルとしては前記したビニルエステルの単独重合体、2
種以上のビニルエステルの共重合体およびビニルエステ
ルと他のエチレン性不飽和単量体との共重合体が含まれ
る。ビニルエステルおよびカチオン性基を有する単量体
と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、
例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテ
ン等のオレフィン類、アクリル酸、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル
酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i
−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデ
シル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−
プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n
−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−
ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル
酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル
酸エステル類、メチルビニルエーテル、n−プロピルビ
ニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチ
ルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブ
チルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステア
リルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン
等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリル等の
アリル化合物、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の
不飽和ジカルボン酸およびそのエステル、無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸の酸無水物
およびそのエステル、エチレンスルホン酸、アリルスル
ホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有化
合物、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合
物、酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
【0021】本発明のコンタクトレンズ用液剤は、涙液
中の多価金属イオンをキレート化するために、金属イオ
ン封鎖剤を含有する。コンタクトレンズの装用時に涙液
中のカルシウムイオンなどの多価金属イオンがコンタク
トレンズに沈着し、汚れの原因となる。沈着した多価金
属イオンがコンタクトレンズ用液剤に含有された金属イ
オン封鎖剤により取り除かれて、コンタクトレンズが清
浄に保たれる。金属イオン封鎖剤としては、眼科的に許
容される化合物であれば特に制限はなく、例えばエチレ
ンジアミン四酢酸、クエン酸、酒石酸等の多価カルボン
酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸およびこれら
のナトリウム塩、カリウム塩等の塩などを挙げることが
できる。中でも、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、
酒石酸等の多価カルボン酸およびこれらのナトリウム
塩、カリウム塩が好ましい。
【0022】本発明のコンタクトレンズ用液剤のpH
は、目に対する安全性の観点から、6.0〜8.0の範
囲内に調整されているのが好ましく、6.5〜7.5の
範囲内に調整されているのがより好ましい。コンタクト
レンズ用液剤のpHを上記の範囲内に保つためには、一
般に、少なくとも1種の緩衝剤が添加されるが、その緩
衝剤としては、特に制限はなく、従来から公知のものの
中から適宜選択される。緩衝剤としては、ホウ酸緩衝
剤、クエン酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、トリス緩衝剤
[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤]、
リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤等が挙げられる。これらの中
でも目に対する刺激が低いことおよびコンタクトレンズ
への影響が少ないことからリン酸緩衝剤が好ましい。リ
ン酸緩衝剤としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸
水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素
二カリウムが、一般に広く用いられており、入手が容易
であるので、本発明において好適に使用される。
【0023】所定量の上記したヘキサメチレンビグアニ
ド誘導体(I)、カチオン性基を有するPVA系重合
体、金属イオン封鎖剤および緩衝剤を滅菌精製水に溶解
させることにより、本発明のコンタクトレンズ用液剤が
得られる。その際に、等張化剤を配合し、コンタクトレ
ンズ用液剤の浸透圧を涙液と同じ程度の浸透圧にしてお
くのが好ましい。等張化剤としては、眼科的に許容でき
る化合物であれば特に制限はなく、塩化ナトリウム、塩
化カリウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩類;グリセリ
ン、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグ
リコール類、これらグリコール類の平均分子量1000
以下の重合体などの非イオン性有機化合物およびこれら
を組み合わせたものが好ましく用いられる。得られたコ
ンタクトレンズ用液剤は澄明であり、さらに必要に応じ
て無菌濾過などを行なうことができる。
【0024】このようにして得られるコンタクトレンズ
用液剤中に、コンタクトレンズを浸漬することにより、
コンタクトレンズを消毒および保存することができる。
また本発明のコンタクトレンズ用液剤を用いて、すすぎ
洗い、手指によるこすり洗いなどをすることにより、該
コンタクトレンズのすすぎ、洗浄および消毒を行なうこ
とができる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0026】コンタクトレンズ用液剤に使用したカチオ
ン性基を有するPVA系重合体の重合度およびケン化度
は「日本工業規格 ポリビニルアルコール試験方法(J
ISK6726)」に基づいて測定した、また、コンタ
クトレンズ用液剤の殺菌力および安全性を以下の方法に
したがって評価した。実施例中の%は特に記載のない限
り重量%である。
【0027】[殺菌力の評価方法]米国FDAのガイド
ライン「Guidance for Industry
REMARKET NOTIFICATION(510
(k)) GUIDANCE DOCUMENT FO
R CONTACT LENS CARE PRODU
CTS」の「MICROBIOLOGY APPEND
IX B DISINFECTION EFFICAC
Y TESTING STAND−ALONE PRO
CEDURE FOR DISINFECTING P
RODUCTS」にしたがい、黄色ブドウ球菌に対する
殺菌力(消毒効果)を生菌数の対数減少により評価し
た。以下にその方法を示す。 A.使用した試験微生物および培地:以下に示す微生物
と培地を用いて試験した。 1)微生物:黄色ブドウ球菌(Staphylococ
cus aureus ATCC6538) 2)試験培地:DPBST(0.05%w/vのポリソ
ルベート80を添加したダルベッコ・リン酸緩衝生理食
塩液(宝酒造製))を微生物の希釈剤として、またSC
DLP培地(日本製薬株式会社製)を殺菌成分の中和
剤、SCDLP寒天培地(日本製薬株式会社製)を増殖
用培地として用いた。 B.試験手順 以下の手順で殺菌効果を生菌の対数減少として計測し
た。 1)コンタクトレンズ用液剤10mlを入れた試験管に
微生物数が1.0×105〜1.0×106cfu/ml
となるように微生物(黄色ブドウ球菌)のDPBST懸
濁液を添加し、充分に混和して微生物を分散させた。 2)前記の微生物を添加したコンタクトレンズ用液剤を
20〜25℃で4時間保存した後、この中から溶液1m
lを分取し、SCDLP培地を用いて106倍まで連続
的に10倍希釈を行った。 3)SCDLP寒天培地プレート上にSCDLP培地で
希釈した前記溶液を平板混釈法で展開し、30〜35℃
で2〜4日間インキュベートした後、コロニー数を計測
し、微生物数の対数減少を算出した。
【0028】[コンタクトレンズ用液剤で処理したレン
ズの目に対する安全性]目に対する安全性を評価するた
め、感度の高い代替評価法として細胞毒性試験による評
価法を実施した。含水率38%のポリヒドロキシエチル
メタクリレート(PHEMA)を主成分とするコンタク
トレンズ材料をコンタクトレンズ用液剤に4時間以上浸
漬した後、該液剤を交換し再び4時間以上浸漬した。こ
の操作を30回繰り返した。30回浸漬処理したコンタ
クトレンズ材料を用いて、「医療用具および医用材料の
基礎的な生物学的試験のガイドライン1995解説」
(株式会社薬事日報社発行、厚生省薬務局医療機器開発
課監修)の「細胞毒性試験−医療用具又は材料と細胞と
の直接接触法による試験−」にしたがい、コロニーの形
成率を観察した。以下にその方法を示す。 A.試験に使用した細胞株および培地 細胞株としてV79(チャイニーズハムスター肺由
来)、培地としてME10を使用した。 B.試験方法 1)生理食塩液で膨潤した直径16mm、厚み0.5m
mのPHEMAからなる含水率38%のコンタクトレン
ズ用材料をコンタクトレンズ用液剤3mlに4時間以上
静置・浸漬した後、液剤を新しい液剤と入れ替え、4時
間以上静置・浸漬した。この操作を浸漬回数が30回と
なるまで繰り返し行ったものを試験用試料とした。 2)30回浸漬処理した前記コンタクトレンズ用材料を
12穴プレートに入れ、細胞数が40〜50cellと
なるように細胞株のME10培地液を入れた。 3)プレートを37℃の炭酸ガス培養器内に入れ、7日
間静置して培養した。培養終了後、培地を捨て、平衡塩
類溶液で洗った後、固定液(メタール)で細胞を固定し
た。 4)ギムザ染色液でコロニーを染色し、コロニー数を計
測した。培養用プレートに直接細胞をまいた時に形成し
たコロニー数をコントロールとし、これを100%とし
た時の各コンタクトレンズ材料のコロニー数の割合
(%)をコロニー形成率とした。
【0029】参考例 実施例1で使用するPVA系重合体[分子量:175
0、ケン化度:88モル%、(3−メタクリルアミドプ
ロピル)トリメチルアンモニウムクロライド(以下、こ
れをMAPTACということがある)共重合量:2モル
%]を、酢酸ビニルとMAPTACとの共重合体を常法
によりケン化することにより製造した。以下にその製造
方法を示す。攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷
却器を付した1Lフラスコ中に酢酸ビニル2500g、
メタノール697gおよびMAPTAC12gを仕込
み、フラスコを恒温水槽内に設置し、攪拌しながらフラ
スコ内を窒素置換した後、内温を60℃まで上げた。こ
のフラスコ内に2,2−アゾビスイソブチロニトリル
4.5gをメタノール50gと共に添加して重合を開始
した。重合時間3時間の間に滴下ロートに入れたMAP
TACの50%メタノール溶液142gを逐次添加し、
固形分濃度46%で重合を停止した。フラスコ内にメタ
ノールを添加し、減圧下で酢酸ビニルをメタノールと共
沸させ未重合の酢酸ビニルを除去した後、共重合体の4
5%メタノール溶液を得た。この共重合体はMAPTA
C単位を2モル%と酢酸ビニル単位を98モル%有する
ことが1H−NMRによる分析で確認された。共重合
後、未重合の酢酸ビニルを除去した共重合体の45%メ
タノール溶液700gに酢酸メチル154g、メタノー
ル150gを加えてよく混合し、均一化した後、40℃
で攪拌しながら2Nの苛性ソーダメタノール溶液を13
g添加してよく混合し、30分放置した。得られたゲル
状物を粉砕し、メタノールで洗浄後乾燥してPVA系重
合体の粉末を得た。得られたPVA系重合体はMAPT
AC単位を2モル%含有することが1H−NMRから確
認された。また、JISK6726にしたがって測定し
た重合度は1750、ケン化度は88モル%であった。
【0030】実施例2で使用するPVA系重合体は、2
Nの苛性ソーダメタノール溶液を10g使用する以外は
上記した方法と同様の方法により製造した。実施例3で
使用するPVA系重合体は、酢酸ビニル1500g、メ
タノール2250gおよびMAPTAC3.6gを仕込
み、MAPTACの50%メタノール溶液を85g逐次
添加し、固形分濃度23%で重合を停止する以外は上記
した方法と同様の方法により製造した。実施例4で使用
するPVA系重合体は、酢酸ビニル1500g、メタノ
ール2250gおよび共重合モノマーとして(3−アク
リルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライ
ド(以下、これをAPTACということがある)6.7
gを仕込み、APTACの50%メタノール溶液を80
g逐次添加し、固形分濃度30%で重合を停止する以外
は上記した方法と同様の方法により製造した。比較例3
で使用するPVA系重合体は共重合モノマーを使用せ
ず、酢酸ビニルを単独重合し、上記した方法と同様の方
法でケン化することにより製造した。比較例4で使用す
るPVA系重合体は、酢酸ビニル1500g、メタノー
ル2250gおよびMAPTAC3.6gを仕込み、M
APTACの50%メタノール溶液を85g逐次添加
し、固形分濃度29%で重合を停止する以外は上記した
方法と同様の方法により製造した。
【0031】実施例1〜4および比較例1〜4 下記の表1に示した組成のコンタクトレンズ用液剤を調
製し、殺菌力および安全性を評価した。結果を表2に示
す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】上記の表2から、実施例1〜4の本発明の
コンタクトレンズ用液剤は、殺菌力が高く、また細胞毒
性試験におけるコロニー形成率が高く、安全性に優れる
ことがわかる。これに対して、カチオン性基を有するP
VA系重合体を含まない比較例1および比較例2の液剤
は、細胞毒性試験におけるコロニー形成率が低く、毒性
が高いことがわかる。また、カチオン性基を有するPV
A系重合体を含まず、カチオン性基を有しないPVA系
重合体を2重量%含む比較例3の液剤およびカチオン性
基を有するPVA系重合体を6重量%含む比較例4の液
剤は殺菌力が低いことがわかる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、殺菌作用(消毒作用)
および目に対する安全性に優れ、コンタクトレンズの消
毒、保存、すすぎなどに好適に用いることができるコン
タクトレンズ用液剤が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H006 DA09 4H003 BA12 DA16 EA11 EA19 EB12 EB16 EB33 EB38 FA01 FA34

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I): 【化1】 で示されるヘキサメチレンビグアニド誘導体、カチオン
    性基を有するポリビニルアルコール系重合体、金属イオ
    ン封鎖剤および緩衝剤を含む水溶液からなるコンタクト
    レンズ用液剤であって;ヘキサメチレンビグアニド誘導
    体を0.01〜50ppm、カチオン性基を有するポリ
    ビニルアルコール系重合体を0.001〜5重量%含む
    ことを特徴とするコンタクトレンズ用液剤。
  2. 【請求項2】 カチオン性基が、式:−NR12(式
    中、R1およびR2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜
    20のアルキル基を表す)で示される基または式:−N
    +345-(式中、R3、R4およびR5はそれぞれ水
    素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、X-
    はアニオンを表す)で示される基であることを特徴とす
    る請求項1記載のコンタクトレンズ用液剤。
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