JP2000282394A - 動的水切れ抵抗性及びリサイクル性を有する高速オフセット輪転印刷用紙 - Google Patents

動的水切れ抵抗性及びリサイクル性を有する高速オフセット輪転印刷用紙

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JP2000282394A
JP2000282394A JP9155899A JP9155899A JP2000282394A JP 2000282394 A JP2000282394 A JP 2000282394A JP 9155899 A JP9155899 A JP 9155899A JP 9155899 A JP9155899 A JP 9155899A JP 2000282394 A JP2000282394 A JP 2000282394A
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Hisami Satake
竹 寿 巳 佐
Yukiko Ohira
平 由紀子 大
Toshiyuki Takano
野 俊 幸 高
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 オフセット輪転印刷時の水切れ抵抗性、
すなわち印刷時に湿し水が付着、転移することによる断
紙(水切れ)の抵抗性が高く、且つリサイクル性を有す
るオフセット輪転印刷用紙を提供すること。 【解決手段】 短辺10mm×長辺120 〜320 mmの紙片の中
央部に5μl量の水を付着させ水の付着後、速やかに測
定した引張り強度(水付着時の引張り強度)の、乾燥時
の引張り強度に対する百分率により定義される動的水切
れ抵抗性の値が50%から90%の範囲で、水付着時の引
張り強度が紙片中央部に5μl量の1水滴を付着して測
定した条件で引張り強度が1.0 kN/m 以上の水切れ抵抗
性を有し、且つリサイクル性に必要な離解性を有するオ
フセット輪転印刷用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水抵抗性塗工剤
をゲートロールで高速塗工する高速オフセット輪転印刷
用紙に関するもので、特願平9-309541号に記載した適度
の微量な水付着と同時に引張試験を行う動的水切れ抵抗
性の測定法で測定した水付着後の強度保持率値が50%以
上であって、高い水切れ抵抗性を有し、且つリサイクル
可能なオフセット輪転印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、印刷用紙は或る程度のサイズ性が
必要である。この印刷用紙のサイズ性は、印刷方法によ
って求められる性質が多少異なるが、これまでは紙にペ
ン書きするときのインクが滲む現象を避けるためであっ
た。従って、その測定方法はインクが滲む現象の程度を
評価できる測定方法であればよく、インクの紙層表面で
の広がりや厚み方向への浸透を測定するだけで十分であ
った。そこで、例えば紙表面でのインクの広がりを測定
する方法として、紙の表面抵抗を電気的に測定する大工
試式サイズ度試験方法がある。しかし、紙を連続的に高
速でロール印刷する輪転印刷、特に湿し水を使用する高
速オフセット輪転印刷では、紙への吸水抵抗性が重要と
なる。これは、紙は吸水によって引張強度が低下するた
め、断紙の原因となるからである。すなわち、従来の大
工試式サイズ度試験のようにインクが滲む現象の程度を
表わす測定方法では、高速オフセット輪転印刷における
水切れ抵抗性を正確に評価することが困難であった。
【0003】新聞輪転機は、巻き取り紙を使用して連続
的に高速印刷を行い、裁断し、折り畳む機械である。具
体的には、1)給紙部、2)印刷部、3)色刷り部、
4)折り部、5)レールフレーム部、6)駆動部の各部
から構成されており、この新聞輪転印刷では給紙部から
印刷部,印刷部から色刷り部,色刷り部から折り部の間
にシートランがあり、このシートランにおいては走行中
の紙の張力をコントロールしなければならない。これ
は、張力が弱くなると、ダブリ、ヨリ等が起こり易く、
強すぎると、シワが発生したり,断紙する場合もあるか
らである。A巻き幅の新聞輪転オフセット印刷の場合、
単色印刷では通常40kgf の張力がかけられるが、多色印
刷ではダブリを避けるために70〜80kgf の張力がかけら
れる。しかし、紙幅から計算して断紙するときの強度
は、ドライの引張強度の1/7〜1/3で生じることから、何
らかの欠陥部分やが水付着があるため断紙すると考えら
れる。一方で、新聞輪転オフセット印刷では刷り上がり
の黒損をできるだけ少なくするために、印刷開始時や版
替え時に過剰の湿し水が使用される。また、ブランケッ
トの継ぎ目の空間に湿し水が溜まり、紙面に湿し水が幅
方向の線上に付着する。
【0004】紙面に湿し水が過剰に付着し、紙層内部に
まで水が浸透すると、印刷用紙の引張強度は著しく低下
し、断紙し易くなると考えられる。そのために、紙のサ
イズ度すなわち吸水抵抗性が必要とされている。特にカ
ラー印刷の場合には一回の印刷で湿し水が4回紙面に接
触する。従って、少量の水が付着しても紙の吸水抵抗性
が低い場合には紙層内部に水が浸透し、引張強度は顕著
に低下すると考えられる。一方、吸水抵抗性が高く、紙
層内部に浸透する水の量が少ない場合は、紙表面に過剰
の湿し水が付着した場合でも引張強度はそれほど低下し
ないと考えられる。しかし、従来のサイズ度の測定方法
では、どの程度のサイズ度(吸水抵抗性)を有する紙が
断紙対策という意味においての高速オフセット印刷適性
を有するかを正確に把握することができなかった。すな
わち、高速オフセット印刷に望ましい印刷用紙とは、ど
の程度のサイズ度(吸水抵抗性)を必要とするのかを数
値化することができなかった。
【0005】従来、紙のサイズ度と強度との両方を測定
する方法としては、JIS P 8135に示されるように紙を蒸
留水に浸漬してから引張強度を測定する湿潤引張強さ試
験がある。この湿潤引張強さ試験は、試験片全体を蒸留
水に浸し、完全にウエットな状態の引張強度を測定する
ものである。しかしながら、この試験方法は、試験条件
が過酷で実際のオフセット輪転印刷時の吸水状態とは異
なるので、新聞印刷用紙のようにサイズ度の低い製品に
ついてまで、この湿潤引張強さ試験を行うことが不可能
であった。従って、特願平9-309541号に記載の出願によ
り、印刷、特にオフセット輪転印刷の浸し水の過剰付着
によって実際に発生する断紙の起こる程度を定量的に測
定することが可能になった。また、特公平2-53560号公
報に記載されているように水切れ抵抗性を上げるため
に、架橋剤などの反応性の内添剤及び塗工剤を使用する
ことが開示されているが、これらの湿潤紙力向上剤は、
架橋反応によって湿潤紙力を向上させるため、吸水抵抗
性とは関係なく、水切れ抵抗性を上げるが、リサイクル
工程において通常の離解性、即ちリサイクル性を悪化さ
せる。したがって、オフセット輪転印刷の高速印刷に適
した望ましい水切れ抵抗性を有し、且つリサイクル可能
な印刷用紙がなく、明確にバランスの取れた最適の印刷
用紙がなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記るるように巻き取
り紙を使用する連続的なオフセット輪転印刷における断
紙トラブルを避けるためには、紙切れに関する紙物性を
有し、特に表面においてのみ紙の吸水抵抗性及びリサイ
クルに必要な離解性をコントロールすることで、その対
処が可能になることがわかった。そこで、本発明はオフ
セット輪転印刷時の水切れ抵抗性、すなわち印刷時に湿
し水が付着・転移することによる断紙(水切れ)の抵抗
性を定量的に測定した値を有する高い水切れ抵抗性とと
もにリサイクル性を有する高速オフセット輪転印刷用紙
を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、連続的な
オフセット輪転印刷時に起こる断紙は、紙に張力がかけ
られている状態で水の付着による紙の引張強度の低下が
原因である着目し、図1に示されるような特願平9-3095
41号に記載した装置を使用して、実際の印刷条件に近
い、試験紙片への適量の水の付着と引張強度の測定とか
らなるオフセット輪転印刷の動的水切れ抵抗性の測定方
法を検討した結果、短辺10mm×長辺120〜320mmの紙
片の中央部に5μlの水を付着させ、水の付着後速やかに
該紙片の両端より荷重をかけて水付着時の引張強度を測
定すると共に、乾燥時(水の付着前の状態)における紙
片の引張強度を測定し、水付着時の引張強度の乾燥時の
引張強度に対する百分率により動的水切れ抵抗性、すな
わち水付着時の強度低下率を求めれば、連続的なオフセ
ット輪転印刷の実状に適合した断紙の抵抗性を定量的に
評価することが可能な新規な動的水切れ抵抗性の測定方
法となることを究明した。
【0008】また、この動的水切れ抵抗性の測定方法を
実施し、実機印刷時の水切れトラブルシートを測定し
て、水切れトラブルの境界領域を見つけ出し、水付着時
の引張強度の乾燥時の引張強度に対する百分率が、50%
以上100%以下の範囲で、水付着時の引張強度が紙片中
央部に5μl量の1水滴を付着して測定した条件で、引
張強度が1.0kN/m以上の水切れ抵抗性を有し、且
つ、リサイクル工程において通常の離解性、すなわちリ
サイクル性をも持ち合わせた高速オフセット輪転印刷用
紙であればよいことを究明して本発明を完成したのであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で言う動的水切れ抵抗性と
は、紙、特に超軽量化新聞用紙又は比較的低坪量の紙の
巻き取り紙を使用した連続的なオフセット輪転印刷にお
いて、印刷途中で過剰な湿し水が部分的に付着した場合
の水の紙層への浸透に対する抵抗性の目安となるもので
ある。一般に、紙は水を含む状態では顕著に強度が低下
する。この性質によって、また、紙は水中で容易に離解
されるので、容易に再利用が可能である。リサイクルの
観点からは、必要以上にサイズ性、すなわち吸水抵抗性
を付与して湿潤強度を必要以上に向上させることは、紙
の離解性を低下させたり、再生紙を抄造するときにウエ
ットエンド系のサイズ性成分即ち疎水成分が増加し、疎
水成分で白水系が汚染され、ピッチトラブルが起きやす
くなるので、好ましくない。すなわちリサイクル性を考
慮すれば、最小限の量で吸水抵抗性を付与し、適当な離
解性を有するような水切れ抵抗性が好ましい。
【0010】特願平9-309541号に記載した装置を使用し
て測定した動的水切れ抵抗性は、リサイクル工程におい
て適度な離解性を維持した上で連続的なオフセット輪転
印刷時に断紙を起こさない程度の強度を明確にすること
ができる。本発明において試験紙片の大きさは、短辺10
mm×長辺120〜180mmが最も好ましい。通常、機械抄
きの紙の場合、抄紙時の流れ方向(MD方向)が長辺と
なるように試験紙片を調製する。また、本発明の引張強
度試験は、通常引張強度試験として用いられるJIS P 81
13に記載の測定方法を基準にしている。さらに、本発明
の動的水切れ抵抗性は、前述の水付着時の引張強度の乾
燥時の引張強度に対する百分率で評価するもので、下記
の式で表される。
【0011】
【式1】
【0012】動的水切れ抵抗性(%)=(水付着時の引
張強度/乾燥時の引張強度)×100
【0013】すなわち、本発明では、紙片に適度の量の
水を付着させその後、速やかに荷重をかけて引張強度を
測定し、別途測定した乾燥時(水の付着前の状態)にお
ける紙片の引張強度に対する百分率により動的水切れ抵
抗性を評価するのである。本発明の動的水切れ抵抗性の
評価では、紙層内部に水が浸透すれば、紙片の強度は顕
著に低下するので、紙層内部への水の浸透が抑制できれ
ば紙の強度は保持され、乾燥時の強度が保持される。本
発明にかかる動的水切れ抵抗性の測定方法によれば、オ
フセット輪転印刷時の水切れ(断紙)と紙の強度との関
係を簡易なテーブルテストで判断でき、オフセット輪転
印刷と類似した状態の紙の湿し水抵抗性を測定すること
ができる。
【0014】本発明は、オフセット輪転印刷の高速印刷
に適した望ましい水切れ抵抗性を有し、且つリサイクル
可能な印刷用紙である。すなわち、紙片に適度の水を付
着させ、その後速やかに荷重をかけ、測定した引張強度
低下が50%までであり、オフセット輪転印刷の高速印刷
に適しており、90%以下の範囲でリサイクル工程におい
て大量の水の中では容易に紙層内部に水が浸透し、離解
するため、リサイクル性を保持する。従って、印刷時に
紙層内部への水の浸透を抑制することができれば、それ
以上の紙の湿潤強度は必要がないと考えられる。特願平
9-309541号に記載の評価方法及び装置によって、連続的
なオフセット輪転印刷時の水切れと紙の強度の関係を簡
易なテーブルテストで判断することが可能である。本発
明では、オフセット輪転印刷と類似した状態における紙
の動的水切れ抵抗性値を測定でき、離解性は、JAPAN T
APPINO.39 の方法、即ち古紙の脱インキ試験法における
脱墨操作の前処理である離解操作に準拠した方法で判定
できる。
【0015】本発明によれば、同程度の点滴吸水度を有
する試料であってもサイズ付与の方法(内添、外添或い
はその両方)が異なれば、動的水切れ抵抗性が異なるこ
とがあることを前提とするものであるが、その理由は、
外添サイズの場合は紙表面にバリア層が形成されて水が
紙層内部に浸透することを防止しているからであると考
えられる。従って、印刷時のように張力がかかって紙表
面のバリア層が破壊されれば、バリア層の割れ目からサ
イズが施されていない紙層内部にまで水が容易に浸透す
るものと考えられる。これに対して、内添サイズの場合
は、紙層内部までサイズが施されているので、張力がか
かっても紙層内部にまでは水が浸透することが困難であ
るが、白水に添加して繊維とともに歩留まりした内添サ
イズ剤によってのみ効果があるので、過剰に疎水材料を
使用することになる。内添サイズの問題点として、ドラ
イ引張強度の低下が見られ、ウエットエンド系内の内添
サイズ剤、つまり疎水成分の汚染や再離解性が悪化する
傾向が見られる。
【0016】すなわち、リサイクルを含む最適の印刷用
紙とは、表層に最小量の疎水成分で最低限の動的水切れ
抵抗性を付与したものと考えられる。また、張力がかか
っている状態における水の紙層内部への浸透性の違い
が、最適の印刷用紙の要因となっているものと考えられ
る。従って、点滴吸水度が高くともオフセット輪転印刷
時の断紙に対する抵抗性が高いとは一概には言えないの
に対して、本発明で基準となる動的水切れ抵抗性の測定
方法は、紙に張力のかかっている状態における紙層内部
への水の浸透性が評価できるので、実際条件のオフセッ
ト輪転印刷時の紙切れとの相関が高いと考えられる。
【0017】本発明のオフセット印刷用紙とは、水切れ
抵抗性とリサイクル性をバランス良く保持するために、
できるだけ、表層のみで水切れ抵抗性を保持することが
重要である。塗工剤の種類及び塗布量が特定の範囲であ
ることが望ましい。原紙にもよるが、例えば表面にポリ
スチレンアクリル酸アンモニウム及びポリスチレンマレ
イン酸アンモニウムなどのポリスチレン共重合成分を0.
05〜0.1g/m2になるように高速で塗布することによ
り、表面のみ水切れ抵抗性とリサイクル性をバランス良
く、保つことができる。上記の条件において確実に本発
明の高速オフセット輪転印刷用紙を提供できる。
【0018】本発明の自的水切れ抵抗性及びリサイクル
性を有する高速オフセット輪転印刷用紙は、坪量40g/
2以上48g/m2以下の新聞用紙として好適に用いるこ
とができる。また、印刷時に湿し水の付着が多くなるカ
ラー印刷用高速オフセット輪転印刷用紙にも好適に用い
ることができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。ここで、各実施例及び比較例において、それ
ぞれの条件下で前述した特願平9-309541号に記載の動的
水切れ抵抗性の測定装置を使用して本発明にかかるオフ
セット輪転印刷用紙について試験する。その外、適宜、
点滴吸水度、従来法の湿潤引張強度、オフセット輪転印
刷機による水切れ試験、リサイクル試験を行った。
【0020】
【動的水切れ抵抗性】荷重をかける直前に所定量の水を
付着させる以外はJIS P 8113に従った。また、通常の乾
燥時の引張強度をJIS P 8113に従って測定し、水付着時
の引張強度と乾燥時の引張強度とより動的水切れ抵抗性
を算出した。なお、試料はMD方向が長辺となるように
調製した。
【0021】
【点滴吸水度】Japan TAPPI No.33に準じた。すなわ
ち、JIS P 8111に従って前処理した試料に1μlの蒸留
水を静かに滴下し、水が紙層に完全に浸透するまでの時
間を計測し、点滴吸水度とした。
【0022】
【湿潤引張強度】JIS P 8135に従った。試料を20±2℃
の蒸留水に10秒間浸漬した後、3枚に重ねておいた吸い
取り紙の上に載せ、上から1枚の吸い取り紙をかぶせ、
軽く押さえて過剰の水を除き、試料の水分量の変化が起
きないうちに手早くJIS P 8113に従って引張強度を測定
した。
【0023】
【水切れ試験】東芝製オフセット輪転印刷機を用いた。
200rpm で第1胴及び第2胴を通して紙を走行させ、第1胴
までのシートランの張力(X)を42kgf に固定し、第2
胴から操作部までの張力(Y)を5kgf毎に変化させ、断
紙が起こったときの張力を読み取った。このとき、版に
は湿し水設定目盛り最大量の湿し水を供給し、供給開始
から30秒後に走行中の紙にブランケットを当てた。断紙
発生時の張力を水切れ強度とした。
【0024】
【実施例1〜4】新聞印刷用紙の製造;DIP(脱墨パ
ルプ)35部、TMP(サーモメカニカルパルプ)30部、
GP(グランドパルプ)20部、KP(クラフトパルプ)
15部の割合で混合離解し、フリーネスを200に調製した
混合パルプを内添サイズ剤添加しないで、ベルベフォー
マー型抄紙機にて、抄紙速度1100m/分で抄紙し、未サ
イズ、ノーカレンダーの新聞印刷用紙原紙を得た。この
原紙は、坪量43g/m2、密度0.65g/cm3、白色度51
%、平滑度60秒、静摩擦係数0.45、動摩擦係数0.56であ
り、一般の新聞印刷用紙と吸水抵抗性以外の紙質(例え
ば、強度など)は、同等の原紙であった。また、この原
紙は、内添サイズ剤を含まず、吸水抵抗性の程度は、点
滴吸水度法で、5秒であった。ロジン系内添サイズ剤添
加がないので、白水系の汚れは全くなかった。アニオン
性を有するPAMの水溶液に、スチレン・アクリル酸共
重合体(重量平均分子量39000、酸化値230)の水溶液
を、配合比1:1(固形分重量比)で加え、塗布液を調
製した。得られた塗布液を、前述の新聞印刷用紙原紙の
F面に、ゲートロールコーターを用いて、塗工量をかえ
て0.08g/m2、0.16g/m2塗工した。塗布後、スーパ
ーカレンダー処理を行い、新聞印刷用紙を得た。 配合比:PAM/スチレン・アクリル酸共重合体=1/
1 サイズ度の異なる5種類の新聞印刷用紙について、動的
水切れ抵抗性の測定及び水切れ試験を行った。動的水切
れ抵抗性の測定は、試料の大きさを短辺10mm×長辺25
0mm、スパン長180mm、引張速度10mm/分、付着水
量5μlの条件で行った。評価結果を表1に示す。
【0025】
【実施例5】DIP(脱墨パルプ)35部、TMP(サー
モメカニカルパルプ)30部、GP(グランドパルプ)20
部、KP(クラフトパルプ)15部の割合で混合離解し、
フリーネスを200に調製した混合パルプにロジン系内添
サイズ剤添加(対パルプ0.2%)し、ベルベフォーマー
型抄紙機にて、抄紙速度1100m/分で抄紙し、未サイ
ズ、ノーカレンダーの新聞印刷用紙原紙を使用し、この
原紙は、内添サイズ剤を最小量含み、吸水抵抗性の程度
は、点滴吸水度法で、15秒であった。前述の新聞印刷用
紙原紙の両面に、実施例1で用いた塗布液を、ゲートロ
ールコーターを用いて、塗工量0.27g/m2 で塗工し
た。塗布後、スーパーカレンダー処理を行い、新聞印刷
用紙を得た。すなわち、実施例5は、内添サイズ+外添
サイズ紙である。ロジン系内添サイズ剤添加が比較的少
ないので、白水系の汚れは少なかった。結果を表1に示
す。
【0026】
【表1】
【0027】実施例1〜5のものは、いずれもピッチト
ラブル、水切れ、離解性において問題がなかった。な
お、表中の各数値は、以下の評価による。 1.白水の汚れ:ベルベフォーマー型抄紙機にて、抄紙
速度1100m/分で抄紙時白水の状況を判断して ほとんど白水の汚れのないもの:◎ ほぼ白水の汚れのないもの:○ 白水の汚れがあるもの:△ 白水の汚れが顕著のもの:× 2.水切れ:印刷試験機によるテスト ほとんど白水の汚れのないもの:◎ ほぼ白水の汚れのないもの:○ 白水の汚れがあるもの:△ 白水の汚れが顕著のもの:× 3.離解性:離解性は、JAPAN TAPPIN0.39 の方法、即
ち古紙の脱インキ試験法における脱墨操作の前処理であ
る離解操作に準拠した方法で行った。具体的には、5l
の容器に50〜60℃の温水、1500±25 ml を入れ、標準離
解機のスイッチを入れ、攪拌しながら資料75gを入れて
12分攪拌し離解の状況を確認する。 完全に離解状態のもの:◎ ほぼ離解状態のもの:○ 離解しにくいものがあるもの:△ 離解状態にならないもの:×
【0028】
【比較例1】実施例1〜4で製造した新聞印刷用紙原紙
にのF面に、実施例1で用いた塗布液を、ゲートロール
コーターを用いて、塗工量を0.08g/m2 以下で塗工し
た。塗布後、スーパーカレンダー処理を行い、新聞印刷
用紙を得た。比較例1は弱外添サイズ紙である。
【0029】
【比較例2】実施例5においてロジン系内添サイズ剤の
添加を対パルプ0.5%に変更して、ベルベフォーマー型
抄紙機にて、抄紙速度1100m/分で抄紙し、未サイズ、
ノーカレンダーの新聞印刷用紙原紙を使用し、この原紙
は、内添サイズ剤を最小量含み、吸水抵抗性の程度は、
点滴吸水度法で、100秒であった。比較例2は内添サイ
ズ紙である。ロジン系内添サイズ剤添加が多いので、白
水系の汚れはひどかった。
【0030】
【比較例3】実施例5においてロジン系内添サイズ剤の
代わりに湿潤紙力剤としてポリアミド・エピクロルヒド
リン樹脂を対パルプ0.5%に添加して、ベルベフォーマ
ー型抄紙機にて、抄紙速度1100m/分で抄紙し、未サイ
ズ、ノーカレンダーの新聞印刷用紙原紙を使用し、この
原紙は、内添サイズ剤を最小量含み、吸水抵抗性の程度
は、点滴吸水度法で、12秒であった。前述の新聞印刷用
紙原紙の両面に、ゲートロールコーターを用いて、ポリ
ビニルアルコールとグリオキザールとを含む塗工液を塗
工量0.2g/m2で塗工した。塗布後、スーパーカレンダ
ー処理を行い、新聞印刷用紙を得た。比較例3は、内添
紙力増強剤(ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂)+
外添架橋剤(ポリビニルアルコールとグリオキザールの
混合物)を含む新聞印刷用紙である。ロジン系内添サイ
ズ剤添加がないので、白水系の汚れは少なかった。
【0031】
【比較例4】(無サイズ紙)実施例1〜4で使用した新
聞印刷用紙原紙をそのまま使用した。この原紙は、内添
サイズ剤及び外添剤を含まない無サイズ紙であり、吸水
抵抗性の程度は、点滴吸水度法で、5秒であった。ロジ
ン系内添サイズ剤添加がないので、白水系の汚れは全く
なかった。
【0032】
【比較例5】実施例5においてロジン系内添サイズ剤の
添加を対パルプ0.5%変更して、ベルベフォーマー型抄
紙機にて、抄紙速度1100m/分で抄紙し、未サイズ、ノ
ーカレンダーの新聞印刷用紙原紙を使用した。この原紙
の吸水抵抗性の程度は、点滴吸水度法で、100秒であっ
た。ロジン系内添サイズ剤添加が多いので、白水系の汚
れは多かった。前述の新聞印刷用紙原紙の両面に、実施
例1で用いた塗布液を、ゲートロールコーターを用い
て、塗工量0.20g/m2で塗工した。塗布後、スーパー
カレンダー処理を行い、新聞印刷用紙を得た。比較例5
は、内添サイズ+外添サイズ紙である。比較例1〜5の
評価結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】なお、表中の評価の基準は、実施例におけ
ると同様である。比較例1〜5のものは、いずれもピッ
チトラブル、水切れ及び離解性を同時に満足するものは
得られず、本発明の評価方法の優れていることが確認で
きた。
【0035】
【発明の効果】以上に詳述した如く、従来、オフセット
印刷時の紙切れの程度を予測することは不可能であった
ものが、本発明における、連続的なオフセット輪転印刷
の実状に適合した吸水状態となるように、所定範囲の大
きさの紙片の中央部に水を付着させ水の付着後速やかに
該紙片の両端より荷重をかけて水付着時の引張強度を測
定すると共に、乾燥時(水の付着前の状態)における紙
片の引張強度を測定し、水付着時の引張強度の乾燥時の
引張強度に対する百分率により動的水切れ抵抗性を評価
することによって、オフセット印刷時の紙切れ程度の予
測が可能となった。また、本発明によって、リサイクル
の観点から水中で容易に離解される適当な離解性を有し
ているのもかかわらず、高速オフセット印刷に望ましい
印刷用紙として必要なサイズ度(吸水抵抗性)範囲であ
れば、最適の印刷用紙を提供できるので、本発明の測定
方法で得られたオフセット印刷用紙は紙分野及びオフセ
ット輪転印刷分野に貢献する工業的価値は非常に大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法を実施するための装置
【符号の説明】
1;表示部 2;自動水付着装置部分 3;試験紙片 4;可動チャック 5;測定台 6;固定チャック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高 野 俊 幸 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4L055 AG63 AG71 AG73 AG89 AH13 BE08 EA07 EA08 EA10 EA14 EA15 EA19 EA26 FA13 FA19 FA30 GA16 GA19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短辺10mm×長辺120〜320mmの紙片の
    中央部に5μlの水を付着させ水の付着後、速やかに該
    紙片の両端より荷重をかけて水付着時の引張強度及び、
    乾燥時(水の付着前の状態)における紙片の引張強度を
    測定し、水付着時の引張強度の乾燥時の引張強度Bに対
    する百分率により動的水切れ抵抗性を評価した値が50%
    から90%の範囲で、水付着時の引張強度が紙片中央部に
    5μl量の1水滴を付着して測定した条件で引張強度が
    1.0kN/m以上の水切れ抵抗性を有し、且つリサイク
    ルに必要な易離解性を有することを特徴とする高速オフ
    セット輪転印刷用紙。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のオフセット印刷用紙
    が、坪量40g/m2以上48g/m2以下の新聞用紙である
    ことを特徴とするオフセット輪転印刷用紙。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のオフセット印刷用紙の表
    面にポリスチレン共重合成分を0.05〜0.1g/m2になる
    ように1000m/min以上の高速で塗工し、且つリサイク
    ル可能なことを特徴とする高速オフセット輪転印刷用
    紙。
JP9155899A 1999-03-31 1999-03-31 動的水切れ抵抗性及びリサイクル性を有する高速オフセット輪転印刷用紙 Pending JP2000282394A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006223351A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Oji Paper Co Ltd 滅菌紙及び滅菌袋
JP2007262587A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Daio Paper Corp 印刷用紙

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