JP2000281439A - 高性能圧電セラミックスとその製造方法 - Google Patents
高性能圧電セラミックスとその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来の圧電セラミックスと同等の優れた圧電
特性を有する圧電セラミック材料および当該圧電セラミ
ックスの新規の製造方法を提供する。 【解決手段】 複合ぺロブスカイト型化合物のPb(S
c1/2 Nb1/2 )O3 と単純ぺロブスカイト型化合物P
bTiO3 およびPbZrO3 を主成分とするセラミッ
クスにおいて、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 、PbT
iO3 、PbZrO3 を頂点とする三角座標中、Pb
(Sc1/2 Nb1/2 )O3 をXモル%、PbTiO3 を
Yモル%、PbZrO3 をZモル%とした場合(ただ
し、X+Y+Z=100とする。)、組成(X=90,
Y=10,Z=0)、組成(X=10,Y=90,Z=
0)および組成(X=10,Y=10,Z=80)を頂
点とする三角形内の組成を主成分とする圧電セラミック
ス、および当該固溶体セラミックスの製造方法。 【効果】 優れた圧電特性を示す高純度のPScN−P
T−PZ固溶体圧電セラミック原料粉末およびセラミッ
クスを製造することが可能である。
特性を有する圧電セラミック材料および当該圧電セラミ
ックスの新規の製造方法を提供する。 【解決手段】 複合ぺロブスカイト型化合物のPb(S
c1/2 Nb1/2 )O3 と単純ぺロブスカイト型化合物P
bTiO3 およびPbZrO3 を主成分とするセラミッ
クスにおいて、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 、PbT
iO3 、PbZrO3 を頂点とする三角座標中、Pb
(Sc1/2 Nb1/2 )O3 をXモル%、PbTiO3 を
Yモル%、PbZrO3 をZモル%とした場合(ただ
し、X+Y+Z=100とする。)、組成(X=90,
Y=10,Z=0)、組成(X=10,Y=90,Z=
0)および組成(X=10,Y=10,Z=80)を頂
点とする三角形内の組成を主成分とする圧電セラミック
ス、および当該固溶体セラミックスの製造方法。 【効果】 優れた圧電特性を示す高純度のPScN−P
T−PZ固溶体圧電セラミック原料粉末およびセラミッ
クスを製造することが可能である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センサやセラミッ
クアクチュエータ材料として使用される圧電セラミック
スとその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、
従来の圧電セラミックスと同等に優れた圧電特性を示す
Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 −PbTiO3 −PbZ
rO3 固溶体圧電セラミックス、および当該固溶体セラ
ミックスの製造方法に関する。本発明の圧電セラミック
スは、圧電特性が優れていることから、圧電素子に応用
することによってセンサやアクチュエータ等の性能の向
上が期待できる。
クアクチュエータ材料として使用される圧電セラミック
スとその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、
従来の圧電セラミックスと同等に優れた圧電特性を示す
Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 −PbTiO3 −PbZ
rO3 固溶体圧電セラミックス、および当該固溶体セラ
ミックスの製造方法に関する。本発明の圧電セラミック
スは、圧電特性が優れていることから、圧電素子に応用
することによってセンサやアクチュエータ等の性能の向
上が期待できる。
【0002】
【従来の技術】近年、電気製品や通信機器などの電子産
業の発展にともなって、センサ、アクチュエータ、モー
タ等の小型化とインテリジェント化が要求されており、
これらを実現する材料として圧電セラミックスが使用さ
れている。現在、圧電セラミック材料としては、ぺロブ
スカイト型化合物のPbTiO3 (以下、PTと記載す
ることがある。)とPbZrO3 (以下、PZと記載す
ることがある。)の固溶体であるPbZrO3 −PbT
iO3 固溶体(以下、PZTと記載することがある。)
が主として使用されている。しかし、最近、圧電素子の
応用分野の拡大にともなって一層の圧電特性の向上が望
まれており、圧電特性の向上を目的としてPbZrO3
−PbTiO3 固溶体に第三成分として複合ぺロブスカ
イト型化合物を導入することが研究されている。
業の発展にともなって、センサ、アクチュエータ、モー
タ等の小型化とインテリジェント化が要求されており、
これらを実現する材料として圧電セラミックスが使用さ
れている。現在、圧電セラミック材料としては、ぺロブ
スカイト型化合物のPbTiO3 (以下、PTと記載す
ることがある。)とPbZrO3 (以下、PZと記載す
ることがある。)の固溶体であるPbZrO3 −PbT
iO3 固溶体(以下、PZTと記載することがある。)
が主として使用されている。しかし、最近、圧電素子の
応用分野の拡大にともなって一層の圧電特性の向上が望
まれており、圧電特性の向上を目的としてPbZrO3
−PbTiO3 固溶体に第三成分として複合ぺロブスカ
イト型化合物を導入することが研究されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Pb(Sc1/2 Nb
1/2 )O3 (以下、PScNと記載することがある。)
は、複合ぺロブスカイト型化合物であり、PbZrO3
−PbTiO3 固溶体に固溶させることによって幅広い
固溶体組成において優れた圧電特性を示すことが予想さ
れる。一般に、複合ぺロブスカイト型化合物は、従来の
セラミック製造方法ではぺロブスカイトの単一相を得る
のが困難であり、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 を主成
分とするPScN−PT−PZ固溶体においても、従来
のセラミック製造方法では高純度のセラミックスを得る
ことは困難である。すなわち、従来のセラミックス製造
法で用いられる固相反応は、原料粒子の接触点から固溶
体の合成反応が進行するという不均一な反応である。一
般に、固相中での物質移動速度は気相や液相などの他の
反応場に比べて極端に遅いことから、本質的に均一な固
溶体の合成は極めて困難であり、従来のセラミックス製
造法で製造された粒子には多少の組成変動が生じてい
る。このように、従来のセラミックス製造法で製造され
た粒子では、散漫な組成の分布があり、従来の方法で
は、均一性の高い固溶体粒子を得ることは困難であっ
た。そこで、本発明者らは、PScN−PT−PZ固溶
体の製造方法について鋭意検討した結果、PScN−P
T−PZ固溶体圧電セラミックスの新規な製造方法およ
び従来の圧電セラミックスと同等の優れた圧電特性を有
するPScN−PT−PZ固溶体圧電セラミックスを見
出し、本発明を完成するに至った。
1/2 )O3 (以下、PScNと記載することがある。)
は、複合ぺロブスカイト型化合物であり、PbZrO3
−PbTiO3 固溶体に固溶させることによって幅広い
固溶体組成において優れた圧電特性を示すことが予想さ
れる。一般に、複合ぺロブスカイト型化合物は、従来の
セラミック製造方法ではぺロブスカイトの単一相を得る
のが困難であり、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 を主成
分とするPScN−PT−PZ固溶体においても、従来
のセラミック製造方法では高純度のセラミックスを得る
ことは困難である。すなわち、従来のセラミックス製造
法で用いられる固相反応は、原料粒子の接触点から固溶
体の合成反応が進行するという不均一な反応である。一
般に、固相中での物質移動速度は気相や液相などの他の
反応場に比べて極端に遅いことから、本質的に均一な固
溶体の合成は極めて困難であり、従来のセラミックス製
造法で製造された粒子には多少の組成変動が生じてい
る。このように、従来のセラミックス製造法で製造され
た粒子では、散漫な組成の分布があり、従来の方法で
は、均一性の高い固溶体粒子を得ることは困難であっ
た。そこで、本発明者らは、PScN−PT−PZ固溶
体の製造方法について鋭意検討した結果、PScN−P
T−PZ固溶体圧電セラミックスの新規な製造方法およ
び従来の圧電セラミックスと同等の優れた圧電特性を有
するPScN−PT−PZ固溶体圧電セラミックスを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、以下の技術的手段からなる。 (1)複合ぺロブスカイト型化合物のPb(Sc1/2 N
b1/2 )O3 と単純ペロブスカイト型化合物PbTiO
3 およびPbZrO3 を主成分とするセラミックスにお
いて、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 、PbTiO3 、
PbZrO3 を頂点とする三角座標中、Pb(Sc1/2
Nb1/2 )O3 をXモル%、PbTiO3 をYモル%、
PbZrO3 をZモル%とした場合(ただし、X+Y+
Z=100とする。)、組成(X=90,Y=10,Z
=0 )、組成(X=10,Y=90,Z=0)および
組成(X=10,Y=10,Z=80)を頂点とする三
角形内の組成を主成分とする圧電セラミックス。 (2)上記(1)の圧電セラミックスを製造する方法で
あって、出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸化スカ
ンジウム(Sc2 O3 )、酸化ニオブ(Nb2 O5 )、
酸化チタン(TiO2 )、および酸化ジルコニウム(Z
rO2 )を使用し、上記(1)に示した固溶体のぺロブ
スカイト組成よりも酸化鉛(PbO)が過剰になるよう
に秤量し、湿式混合等によって混合した後、成型して、
大気中で加熱処理を行い、次いで、未反応物を溶解し、
粒子を分離し、得られた粒子を成形した後、焼成して焼
結体を作製することからなるPb(Sc1/2 Nb1/2 )
O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体圧電セラミッ
クスの製造方法。 (3)ぺロブスカイト組成に酸化鉛を過剰に添加し、大
気中で950〜1000℃で1〜2時間加熱処理を行う
方法。
明は、以下の技術的手段からなる。 (1)複合ぺロブスカイト型化合物のPb(Sc1/2 N
b1/2 )O3 と単純ペロブスカイト型化合物PbTiO
3 およびPbZrO3 を主成分とするセラミックスにお
いて、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 、PbTiO3 、
PbZrO3 を頂点とする三角座標中、Pb(Sc1/2
Nb1/2 )O3 をXモル%、PbTiO3 をYモル%、
PbZrO3 をZモル%とした場合(ただし、X+Y+
Z=100とする。)、組成(X=90,Y=10,Z
=0 )、組成(X=10,Y=90,Z=0)および
組成(X=10,Y=10,Z=80)を頂点とする三
角形内の組成を主成分とする圧電セラミックス。 (2)上記(1)の圧電セラミックスを製造する方法で
あって、出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸化スカ
ンジウム(Sc2 O3 )、酸化ニオブ(Nb2 O5 )、
酸化チタン(TiO2 )、および酸化ジルコニウム(Z
rO2 )を使用し、上記(1)に示した固溶体のぺロブ
スカイト組成よりも酸化鉛(PbO)が過剰になるよう
に秤量し、湿式混合等によって混合した後、成型して、
大気中で加熱処理を行い、次いで、未反応物を溶解し、
粒子を分離し、得られた粒子を成形した後、焼成して焼
結体を作製することからなるPb(Sc1/2 Nb1/2 )
O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体圧電セラミッ
クスの製造方法。 (3)ぺロブスカイト組成に酸化鉛を過剰に添加し、大
気中で950〜1000℃で1〜2時間加熱処理を行う
方法。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明について詳細に説明
する。上記課題を解決する本発明は、従来の圧電セラミ
ックスと同等の優れた圧電特性を有するPb(Sc1/2
Nb1/2 )O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体圧
電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造方法に関
するものである。この製造方法によって製造された圧電
セラミックスを圧電材料として用いるとセンサ、アクチ
ュエータおよびモータなどの性能の向上が可能となる。
する。上記課題を解決する本発明は、従来の圧電セラミ
ックスと同等の優れた圧電特性を有するPb(Sc1/2
Nb1/2 )O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体圧
電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造方法に関
するものである。この製造方法によって製造された圧電
セラミックスを圧電材料として用いるとセンサ、アクチ
ュエータおよびモータなどの性能の向上が可能となる。
【0006】本発明の方法では、出発原料として酸化鉛
(PbO)、酸化スカンジウム(Sc2 O3 )、酸化ニ
オブ(Nb2 O5 )、酸化チタン(TiO2 )および酸
化ジルコニウム(ZrO2 )が使用される。これらの原
料は、所定の割合、例えば、優れた圧電特性を示すこと
が予想される40mol%PScN−40mol%PT
−20mol%PZ固溶体を合成する場合では6PbO
+0.4Sc2 O3 +0.4Nb2 O5 +1.6TiO
2 +0.8ZrO2 に混合した後、錠剤、角柱等の適宜
の形態に成形して大気中、850℃以上、好適には95
0〜1000℃で1〜2時間加熱処理する。材料の混合
方法としては、乾式混合、湿式混合、また成型方法とし
ては、金型プレス法や湿式プレス法、加熱処理方法とし
ては、大気中での加熱処理が好適なものとして例示され
るが、これらに限定されるものではない。熱処理した材
料は、酸性の水溶液、例えば1Nの酢酸水溶液を用いて
未反応物を溶解し、濾過操作によって粒子を分離する。
次に、得られた粒子を金型プレス機によって成型した
後、PbO雰囲気または大気中、約1300℃で1〜3
時間焼成して焼結体を作製する。焼結手段としては、例
えば、普通焼結法、加圧焼結法等が例示されるが、これ
らに限定されるものではない。
(PbO)、酸化スカンジウム(Sc2 O3 )、酸化ニ
オブ(Nb2 O5 )、酸化チタン(TiO2 )および酸
化ジルコニウム(ZrO2 )が使用される。これらの原
料は、所定の割合、例えば、優れた圧電特性を示すこと
が予想される40mol%PScN−40mol%PT
−20mol%PZ固溶体を合成する場合では6PbO
+0.4Sc2 O3 +0.4Nb2 O5 +1.6TiO
2 +0.8ZrO2 に混合した後、錠剤、角柱等の適宜
の形態に成形して大気中、850℃以上、好適には95
0〜1000℃で1〜2時間加熱処理する。材料の混合
方法としては、乾式混合、湿式混合、また成型方法とし
ては、金型プレス法や湿式プレス法、加熱処理方法とし
ては、大気中での加熱処理が好適なものとして例示され
るが、これらに限定されるものではない。熱処理した材
料は、酸性の水溶液、例えば1Nの酢酸水溶液を用いて
未反応物を溶解し、濾過操作によって粒子を分離する。
次に、得られた粒子を金型プレス機によって成型した
後、PbO雰囲気または大気中、約1300℃で1〜3
時間焼成して焼結体を作製する。焼結手段としては、例
えば、普通焼結法、加圧焼結法等が例示されるが、これ
らに限定されるものではない。
【0007】本発明においては、ぺロブスカイト組成に
あらかじめPbOを過剰に添加することと850℃以
上、好適には950〜1000℃で熱処理することが、
ペロブスカイトの単一相の粒子を生成するために重要で
ある。この場合、850℃を下回ると過剰に添加したP
bOの液相が十分に生成されず、ペロブスカイト相の生
成は主として固相反応によって進行することから、ペロ
ブスカイトの単一相は得られない。また、1000℃以
上で加熱処理するとPbOの液相の粘度が著しく低くな
るため、効率的な粉末製造が困難となり、また、液相か
らのPbOの蒸発が著しくなるために製造環境に対して
の負荷が大きくなる。後記するように、ぺロブスカイト
組成にPbOを過剰に添加した試料では、ぺロブスカイ
ト相の収率が増加し、高純度のPScN−PT−PZ固
溶体圧電セラミックスの製造が可能となる。本発明の圧
電セラミックスは、上記方法によって製造され、当該圧
電セラミックスとしては、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O
3 とPbTiO3 およびPbZrO3 を主成分とするセ
ラミックスにおいて、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 、
PbTiO3 、PbZrO3 を頂点とする三角座標中、
Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 をXモル%、PbTiO
3 をYモル%、PbZrO3 をZモル%とした場合(た
だし、X+Y+Z=100とする。)、組成(X=9
0,Y=10,Z=0)、組成(X=10,Y=90,
Z=0)および組成(X=10,Y=10,Z=80)
を頂点とする三角形内の組成を主成分とする圧電セラミ
ックスが好適なものとして使用される。この場合、上記
三角内の組成に特定したのは、PbZrO3 −PbTi
O3 固溶体およびPb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 −Pb
TiO3 固溶体が、幅広い組成において良好な圧電特性
を示すことから、これらの固溶体であるPb(Sc1/2
Nb1/2 )O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体で
は、上記三角付近の組成領域で優れた圧電特性の実現が
期待されるという理由による。上記圧電セラミックスに
は、圧電特性を向上または安定させるために微量の酸化
マンガン(MnO)、酸化ストロンチウム(SrO)、
酸化タングステン(WO3 )、酸化タンタル(Ta2 O
5 )などの添加剤が適宜添加される。本発明の方法で製
造した固溶体は、分散性に優れた0.5〜3μmの立方
体の粒子であり、これを焼結することによって相対密度
93%以上の緻密な焼結体が得られる。この焼結体は、
例えば、PZT固溶体と同等の優れた圧電特性(Kp=
40%程度)を有する。
あらかじめPbOを過剰に添加することと850℃以
上、好適には950〜1000℃で熱処理することが、
ペロブスカイトの単一相の粒子を生成するために重要で
ある。この場合、850℃を下回ると過剰に添加したP
bOの液相が十分に生成されず、ペロブスカイト相の生
成は主として固相反応によって進行することから、ペロ
ブスカイトの単一相は得られない。また、1000℃以
上で加熱処理するとPbOの液相の粘度が著しく低くな
るため、効率的な粉末製造が困難となり、また、液相か
らのPbOの蒸発が著しくなるために製造環境に対して
の負荷が大きくなる。後記するように、ぺロブスカイト
組成にPbOを過剰に添加した試料では、ぺロブスカイ
ト相の収率が増加し、高純度のPScN−PT−PZ固
溶体圧電セラミックスの製造が可能となる。本発明の圧
電セラミックスは、上記方法によって製造され、当該圧
電セラミックスとしては、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O
3 とPbTiO3 およびPbZrO3 を主成分とするセ
ラミックスにおいて、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 、
PbTiO3 、PbZrO3 を頂点とする三角座標中、
Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 をXモル%、PbTiO
3 をYモル%、PbZrO3 をZモル%とした場合(た
だし、X+Y+Z=100とする。)、組成(X=9
0,Y=10,Z=0)、組成(X=10,Y=90,
Z=0)および組成(X=10,Y=10,Z=80)
を頂点とする三角形内の組成を主成分とする圧電セラミ
ックスが好適なものとして使用される。この場合、上記
三角内の組成に特定したのは、PbZrO3 −PbTi
O3 固溶体およびPb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 −Pb
TiO3 固溶体が、幅広い組成において良好な圧電特性
を示すことから、これらの固溶体であるPb(Sc1/2
Nb1/2 )O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体で
は、上記三角付近の組成領域で優れた圧電特性の実現が
期待されるという理由による。上記圧電セラミックスに
は、圧電特性を向上または安定させるために微量の酸化
マンガン(MnO)、酸化ストロンチウム(SrO)、
酸化タングステン(WO3 )、酸化タンタル(Ta2 O
5 )などの添加剤が適宜添加される。本発明の方法で製
造した固溶体は、分散性に優れた0.5〜3μmの立方
体の粒子であり、これを焼結することによって相対密度
93%以上の緻密な焼結体が得られる。この焼結体は、
例えば、PZT固溶体と同等の優れた圧電特性(Kp=
40%程度)を有する。
【0008】
【作用】従来のセラミック製造方法では、PScNを主
成分とする高純度のPScN−PT−PZ固溶体圧電セ
ラミックスを製造することが困難であった。しかし、本
発明者らが開発した製造方法を用いると高純度なPSc
N−PT−PZ固溶体圧電セラミック粉体の製造が可能
となり、結果として優れた圧電特性を示すPScN−P
T−PZ固溶体圧電セラミックスが発見された。
成分とする高純度のPScN−PT−PZ固溶体圧電セ
ラミックスを製造することが困難であった。しかし、本
発明者らが開発した製造方法を用いると高純度なPSc
N−PT−PZ固溶体圧電セラミック粉体の製造が可能
となり、結果として優れた圧電特性を示すPScN−P
T−PZ固溶体圧電セラミックスが発見された。
【0009】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に
説明する。しかし、本発明は当該実施例によって何ら限
定されるものではない。 実施例 1)方法 本実施例で合成したセラミックスは、複合ぺロブスカイ
ト型化合物Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 と単純ぺロブ
スカイト型化合物であるPbTiO3 およびPbZrO
3 の固溶体、いわゆるPb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 −
PbTiO3 −PbZrO3 固溶体である。この化合物
については、PScNを多く含む組成では通常のセラミ
ック合成方法でぺロブスカイトの単一相を得ることが困
難であり、以下に記述する画期的な製造方法を用いるこ
とによって、比較的簡便な製造手順でぺロブスカイトの
単一相の粒子が得られるようになった。
説明する。しかし、本発明は当該実施例によって何ら限
定されるものではない。 実施例 1)方法 本実施例で合成したセラミックスは、複合ぺロブスカイ
ト型化合物Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 と単純ぺロブ
スカイト型化合物であるPbTiO3 およびPbZrO
3 の固溶体、いわゆるPb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 −
PbTiO3 −PbZrO3 固溶体である。この化合物
については、PScNを多く含む組成では通常のセラミ
ック合成方法でぺロブスカイトの単一相を得ることが困
難であり、以下に記述する画期的な製造方法を用いるこ
とによって、比較的簡便な製造手順でぺロブスカイトの
単一相の粒子が得られるようになった。
【0010】本実施例では、新規に開発した製造方法を
用いてPScN、PScN−PT固溶体及びPScN−
PT−PZ固溶体の粒子を合成するとともに、優れた圧
電特性を示すことが予想される40mol%PScN−
40mol%PT−20mol%PZ組成について焼結
体を作製し、その圧電特性を評価した。
用いてPScN、PScN−PT固溶体及びPScN−
PT−PZ固溶体の粒子を合成するとともに、優れた圧
電特性を示すことが予想される40mol%PScN−
40mol%PT−20mol%PZ組成について焼結
体を作製し、その圧電特性を評価した。
【0011】2)粒子の合成 出発原料としては、試薬特級の酸化鉛(PbO)、酸化
スカンジウム(Sc2 O3 )、酸化ニオブ(Nb2 O
5 )、酸化チタン(TiO2 )および酸化ジルコニウム
(ZrO2 )を用いた。これらを所定の割合に湿式混合
した後、錠剤に成型して大気中、950℃で1時間加熱
処理を行った。熱処理した試料については、1Nの酢酸
水溶液を用いて未反応物を溶解し粒子を分離した。
スカンジウム(Sc2 O3 )、酸化ニオブ(Nb2 O
5 )、酸化チタン(TiO2 )および酸化ジルコニウム
(ZrO2 )を用いた。これらを所定の割合に湿式混合
した後、錠剤に成型して大気中、950℃で1時間加熱
処理を行った。熱処理した試料については、1Nの酢酸
水溶液を用いて未反応物を溶解し粒子を分離した。
【0012】3)焼結体の製造 焼結体については、上記の合成方法によって得られた粒
子を200MPaで直径12mmの円盤状にプレス成形
した後、PbO雰囲気中、1320℃で3時間焼成した
後、焼結体の表面を研磨して厚さ1mmとし、銀電極を
焼結体の両面に焼き付け法によって形成した。その後、
インピーダンスアナライザを用いて圧電特性を調べた。
子を200MPaで直径12mmの円盤状にプレス成形
した後、PbO雰囲気中、1320℃で3時間焼成した
後、焼結体の表面を研磨して厚さ1mmとし、銀電極を
焼結体の両面に焼き付け法によって形成した。その後、
インピーダンスアナライザを用いて圧電特性を調べた。
【0013】4)結果 PScN−PT−PZ固溶体の合成については、まず、
通常のセラミック合成方法ではぺロブスカイトの単一相
が得られにくいPScNについてぺロブスカイトの単一
相粒子の合成を試み、その結果を参考にしてPScN−
PT−PZ固溶体を合成した。以下、PScNの合成結
果について記述する。ぺロブスカイト組成の混合物(4
PbO+Sc2 O3 +Nb2 O5 )を大気中、900℃
で5時間、2回仮焼を繰り返して合成した試料ではぺロ
ブスカイト相の収率は96%であり、ぺロブスカイトの
単一相が得られなかった。一方、ぺロブスカイト組成に
PbOを過剰に添加した混合物を加熱処理した試料で
は、明らかにぺロブスカイトの収率が増加し、例えば、
6PbO+Sc2 O3 +Nb2 O5 混合物を900℃で
1時間加熱処理した後、酸処理するとペロブスカイト相
の収率は約100%であり、ぺロブスカイトの単一相が
得られた。PScNの場合と同様に、PScN−PT固
溶体及びPScN−PT−PZ固溶体についても、あら
かじめ酸化鉛を過剰に添加した混合物を加熱処理後、酸
処理することによってぺロブスカイトの単一相の粒子が
得られた。すなわち、PScN−PT固溶体について
は、PbOがあらかじめ過剰になるように秤量したPb
O+Sc2 O3 +Nb2 O5 +TiO2 混合物を900
℃で1時間加熱処理した後、酸処理するとペロブスカイ
ト相の収率は約100%となり、ペロブスカイトの単一
相が得られた。また、PScN−PT−PZ固溶体につ
いては、PbOをあらかじめ過剰になるように秤量した
PbO+Sc2 O3 +Nb2 O5 +TiO2 +ZrO2
混合物を900℃で1時間加熱処理した後、酸処理する
とペロブスカイト相の収率は約100%となり、ペロブ
スカイトの単一相が得られた。本製造方法で製造された
固溶体は、分散性に優れた0.5〜3μmの立方体の粒
子であり、これらの粒子を焼結すると相対密度93%以
上の緻密な焼結体が得られた。
通常のセラミック合成方法ではぺロブスカイトの単一相
が得られにくいPScNについてぺロブスカイトの単一
相粒子の合成を試み、その結果を参考にしてPScN−
PT−PZ固溶体を合成した。以下、PScNの合成結
果について記述する。ぺロブスカイト組成の混合物(4
PbO+Sc2 O3 +Nb2 O5 )を大気中、900℃
で5時間、2回仮焼を繰り返して合成した試料ではぺロ
ブスカイト相の収率は96%であり、ぺロブスカイトの
単一相が得られなかった。一方、ぺロブスカイト組成に
PbOを過剰に添加した混合物を加熱処理した試料で
は、明らかにぺロブスカイトの収率が増加し、例えば、
6PbO+Sc2 O3 +Nb2 O5 混合物を900℃で
1時間加熱処理した後、酸処理するとペロブスカイト相
の収率は約100%であり、ぺロブスカイトの単一相が
得られた。PScNの場合と同様に、PScN−PT固
溶体及びPScN−PT−PZ固溶体についても、あら
かじめ酸化鉛を過剰に添加した混合物を加熱処理後、酸
処理することによってぺロブスカイトの単一相の粒子が
得られた。すなわち、PScN−PT固溶体について
は、PbOがあらかじめ過剰になるように秤量したPb
O+Sc2 O3 +Nb2 O5 +TiO2 混合物を900
℃で1時間加熱処理した後、酸処理するとペロブスカイ
ト相の収率は約100%となり、ペロブスカイトの単一
相が得られた。また、PScN−PT−PZ固溶体につ
いては、PbOをあらかじめ過剰になるように秤量した
PbO+Sc2 O3 +Nb2 O5 +TiO2 +ZrO2
混合物を900℃で1時間加熱処理した後、酸処理する
とペロブスカイト相の収率は約100%となり、ペロブ
スカイトの単一相が得られた。本製造方法で製造された
固溶体は、分散性に優れた0.5〜3μmの立方体の粒
子であり、これらの粒子を焼結すると相対密度93%以
上の緻密な焼結体が得られた。
【0014】5)焼結体の圧電特性 焼結体については、100℃のシリコン油中、3kV/
mmで30分間分極処理を行った後、電気機械結合係数
(Kp)を測定することによって圧電特性を評価した。
その結果、40mol%PScN−40mol%PT−
20mol%PZ焼結体はKp=40%であった。典型
的な圧電セラミックスとして知られているPbZrO3
−PbTiO3 固溶体は、添加物を加えない状態で最高
Kp=50%程度であることから、本実施例で作製した
焼結体はPbZrO3 −PbTiO3 固溶体と同等に優
れた圧電特性を有していることが分かる。(参考文献:
“セラミック誘電体工学”岡崎清著、(株)学献社、1
992)
mmで30分間分極処理を行った後、電気機械結合係数
(Kp)を測定することによって圧電特性を評価した。
その結果、40mol%PScN−40mol%PT−
20mol%PZ焼結体はKp=40%であった。典型
的な圧電セラミックスとして知られているPbZrO3
−PbTiO3 固溶体は、添加物を加えない状態で最高
Kp=50%程度であることから、本実施例で作製した
焼結体はPbZrO3 −PbTiO3 固溶体と同等に優
れた圧電特性を有していることが分かる。(参考文献:
“セラミック誘電体工学”岡崎清著、(株)学献社、1
992)
【0015】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は従来の圧
電セラミックスと同等に優れた圧電特性を示す圧電セラ
ミックスとその原料粉体の製造方法に関するものであ
り、本発明により、1)PScNを主成分とする高純度
のPScN−PT−PZ固溶体圧電セラミック粉末を比
較的簡便な製造手順で得ることができる、2)従来の圧
電セラミックスと同等に優れた圧電特性を示す圧電セラ
ミックスを製造することができる、3)本発明の圧電セ
ラミックスを圧電材料に用いると、センサ、アクチュエ
ータおよびモータなどの性能の向上が可能であり、その
工業的価値は極めて大きい、という格別の効果が得られ
る。
電セラミックスと同等に優れた圧電特性を示す圧電セラ
ミックスとその原料粉体の製造方法に関するものであ
り、本発明により、1)PScNを主成分とする高純度
のPScN−PT−PZ固溶体圧電セラミック粉末を比
較的簡便な製造手順で得ることができる、2)従来の圧
電セラミックスと同等に優れた圧電特性を示す圧電セラ
ミックスを製造することができる、3)本発明の圧電セ
ラミックスを圧電材料に用いると、センサ、アクチュエ
ータおよびモータなどの性能の向上が可能であり、その
工業的価値は極めて大きい、という格別の効果が得られ
る。
【図1】本発明で規定した三角形内の特定の組成範囲を
示した説明図である。
示した説明図である。
【図2】本発明の実施例の製造方法を示した説明図であ
る。
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月20日(2000.4.2
0)
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複合ぺロブスカイト型化合物のPb(S
c1/2Nb1/2 )O3 と単純ぺロブスカイト型化合物P
bTiO3およびPbZrO3 を主成分とするセラミッ
クスにおいて、Pb(Sc1/2 Nb1/2)O3 、PbT
iO3 、PbZrO3を頂点とする三角座標中、Pb
(Sc1/2 Nb1/2 )O3をXモル%、PbTiO3 を
Yモル%、PbZrO3をZモル%とした場合(ただ
し、X+Y+Z=100とする。)、組成(X=90,
Y=10,Z=0)、組成(X=10,Y=90,Z=
0)および組成(X=10,Y=10,Z=80)を頂
点とする三角形内の組成を主成分とする圧電セラミック
スを製造する方法であって、出発原料として、酸化鉛
(PbO)、酸化スカンジウム(Sc2O3 )、酸化ニ
オブ(Nb2 O5 )、酸化チタン(TiO2)、および
酸化ジルコニウム(ZrO2)を使用し、前記した固溶
体のぺロブスカイト組成よりも酸化鉛(PbO)が過剰
になるように秤量し、湿式混合等によって混合した後、
成型して、大気中で加熱処理を行い、次いで、未反応物
を溶解し、粒子を分離し、得られた粒子を成形した後、
焼成して焼結体を作製することからなるPb(Sc1/2
Nb1/2 ) O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体圧電セラミックスの製造方法。
c1/2Nb1/2 )O3 と単純ぺロブスカイト型化合物P
bTiO3およびPbZrO3 を主成分とするセラミッ
クスにおいて、Pb(Sc1/2 Nb1/2)O3 、PbT
iO3 、PbZrO3を頂点とする三角座標中、Pb
(Sc1/2 Nb1/2 )O3をXモル%、PbTiO3 を
Yモル%、PbZrO3をZモル%とした場合(ただ
し、X+Y+Z=100とする。)、組成(X=90,
Y=10,Z=0)、組成(X=10,Y=90,Z=
0)および組成(X=10,Y=10,Z=80)を頂
点とする三角形内の組成を主成分とする圧電セラミック
スを製造する方法であって、出発原料として、酸化鉛
(PbO)、酸化スカンジウム(Sc2O3 )、酸化ニ
オブ(Nb2 O5 )、酸化チタン(TiO2)、および
酸化ジルコニウム(ZrO2)を使用し、前記した固溶
体のぺロブスカイト組成よりも酸化鉛(PbO)が過剰
になるように秤量し、湿式混合等によって混合した後、
成型して、大気中で加熱処理を行い、次いで、未反応物
を溶解し、粒子を分離し、得られた粒子を成形した後、
焼成して焼結体を作製することからなるPb(Sc1/2
Nb1/2 ) O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶体圧電セラミックスの製造方法。
【請求項2】 ぺロブスカイト組成に酸化鉛を過剰に添
加し、大気中で950〜1000℃で1〜2時間加熱処
理を行う請求項1記載の方法。
加し、大気中で950〜1000℃で1〜2時間加熱処
理を行う請求項1記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、以下の技術的手段からなる。 (1)複合ぺロブスカイト型化合物のPb(Sc1/2N
b1/2 )O3 と単純ペロブスカイト型化合物PbTiO
3およびPbZrO3 を主成分とするセラミックスにお
いて、Pb(Sc1/2 Nb1/2)O3 、PbTiO3 、
PbZrO3を頂点とする三角座標中、Pb(Sc1/2
Nb1/2 )O3をXモル%、PbTiO3 をYモル%、P
bZrO3をZモル%とした場合(ただし、X+Y+Z
=100とする。)、組成(X=90,Y=10,Z=
0 )、組成(X=10,Y=90,Z=0)および組
成(X=10,Y=10,Z=80)を頂点とする三角
形内の組成を主成分とする圧電セラミックスを製造する
方法であって、出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸
化スカンジウム(Sc2O3 )、酸化ニオブ(Nb2 O5
)、酸化チタン(TiO2)、および酸化ジルコニウム
(ZrO2)を使用し、前記した固溶体のぺロブスカイ
ト組成よりも酸化鉛(PbO)が過剰になるように秤量
し、湿式混合等によって混合した後、成型して、大気中
で加熱処理を行い、次いで、未反応物を溶解し、粒子を
分離し、得られた粒子を成形した後、焼成して焼結体を
作製することからなるPb(Sc1/2Nb1/2 )O3 −
PbTiO3 −PbZrO3固溶体圧電セラミックスの
製造方法。 (2)ぺロブスカイト組成に酸化鉛を過剰に添加し、大
気中で950〜1000℃で1〜2時間加熱処理を行う
上記(1)の方法。
明は、以下の技術的手段からなる。 (1)複合ぺロブスカイト型化合物のPb(Sc1/2N
b1/2 )O3 と単純ペロブスカイト型化合物PbTiO
3およびPbZrO3 を主成分とするセラミックスにお
いて、Pb(Sc1/2 Nb1/2)O3 、PbTiO3 、
PbZrO3を頂点とする三角座標中、Pb(Sc1/2
Nb1/2 )O3をXモル%、PbTiO3 をYモル%、P
bZrO3をZモル%とした場合(ただし、X+Y+Z
=100とする。)、組成(X=90,Y=10,Z=
0 )、組成(X=10,Y=90,Z=0)および組
成(X=10,Y=10,Z=80)を頂点とする三角
形内の組成を主成分とする圧電セラミックスを製造する
方法であって、出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸
化スカンジウム(Sc2O3 )、酸化ニオブ(Nb2 O5
)、酸化チタン(TiO2)、および酸化ジルコニウム
(ZrO2)を使用し、前記した固溶体のぺロブスカイ
ト組成よりも酸化鉛(PbO)が過剰になるように秤量
し、湿式混合等によって混合した後、成型して、大気中
で加熱処理を行い、次いで、未反応物を溶解し、粒子を
分離し、得られた粒子を成形した後、焼成して焼結体を
作製することからなるPb(Sc1/2Nb1/2 )O3 −
PbTiO3 −PbZrO3固溶体圧電セラミックスの
製造方法。 (2)ぺロブスカイト組成に酸化鉛を過剰に添加し、大
気中で950〜1000℃で1〜2時間加熱処理を行う
上記(1)の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/187 H01L 41/18 101E 41/24 41/22 A
Claims (3)
- 【請求項1】 複合ぺロブスカイト型化合物のPb(S
c1/2 Nb1/2 )O3 と単純ぺロブスカイト型化合物P
bTiO3 およびPbZrO3 を主成分とするセラミッ
クスにおいて、Pb(Sc1/2 Nb1/2 )O3 、PbT
iO3 、PbZrO3 を頂点とする三角座標中、Pb
(Sc1/2 Nb1/2 )O3 をXモル%、PbTiO3 を
Yモル%、PbZrO3 をZモル%とした場合(ただ
し、X+Y+Z=100とする。)、組成(X=90,
Y=10,Z=0)、組成(X=10,Y=90,Z=
0)および組成(X=10,Y=10,Z=80)を頂
点とする三角形内の組成を主成分とする圧電セラミック
ス。 - 【請求項2】 請求項1記載の圧電セラミックスを製造
する方法であって、出発原料として、酸化鉛(Pb
O)、酸化スカンジウム(Sc2 O3 )、酸化ニオブ
(Nb2 O5 )、酸化チタン(TiO2 )、および酸化
ジルコニウム(ZrO2 )を使用し、請求項1に示した
固溶体のぺロブスカイト組成よりも酸化鉛(PbO)が
過剰になるように秤量し、湿式混合等によって混合した
後、成型して、大気中で加熱処理を行い、次いで、未反
応物を溶解し、粒子を分離し、得られた粒子を成形した
後、焼成して焼結体を作製することからなるPb(Sc
1/2 Nb1/2 )O3 −PbTiO3 −PbZrO3 固溶
体圧電セラミックスの製造方法。 - 【請求項3】 ぺロブスカイト組成に酸化鉛を過剰に添
加し、大気中で950〜1000℃で1〜2時間加熱処
理を行う請求項2記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8781799A JP3084401B1 (ja) | 1999-03-30 | 1999-03-30 | 高性能圧電セラミックスとその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8781799A JP3084401B1 (ja) | 1999-03-30 | 1999-03-30 | 高性能圧電セラミックスとその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3084401B1 JP3084401B1 (ja) | 2000-09-04 |
JP2000281439A true JP2000281439A (ja) | 2000-10-10 |
Family
ID=13925531
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8781799A Expired - Lifetime JP3084401B1 (ja) | 1999-03-30 | 1999-03-30 | 高性能圧電セラミックスとその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3084401B1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018042946A1 (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 富士フイルム株式会社 | 圧電体膜及びそれを備えた圧電素子 |
-
1999
- 1999-03-30 JP JP8781799A patent/JP3084401B1/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018042946A1 (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 富士フイルム株式会社 | 圧電体膜及びそれを備えた圧電素子 |
JPWO2018042946A1 (ja) * | 2016-08-31 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | 圧電体膜及びそれを備えた圧電素子 |
US10483452B2 (en) | 2016-08-31 | 2019-11-19 | Fujifilm Corporation | Piezoelectric film and piezoelectric element including the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3084401B1 (ja) | 2000-09-04 |
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