JP2000275215A - ガスセンサ素子 - Google Patents

ガスセンサ素子

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JP2000275215A
JP2000275215A JP11285901A JP28590199A JP2000275215A JP 2000275215 A JP2000275215 A JP 2000275215A JP 11285901 A JP11285901 A JP 11285901A JP 28590199 A JP28590199 A JP 28590199A JP 2000275215 A JP2000275215 A JP 2000275215A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被測定ガス温度が大きく変化する環境におい
て測定誤差が生じ難い,ガスセンサ素子を提供するこ
と。 【解決手段】 被測定ガス室150と,被測定ガス中の
特定ガス濃度を検出するよう構成された検出セル3と,
被測定ガス室150に対し酸素ガスをポンピングするよ
う構成された酸素ポンプセル2と,被測定ガス室150
に被測定ガスを導入するよう構成されると共に上記酸素
ポンプセル2の表面に設けられた少なくとも1つの導入
路100とよりなる。酸素ポンプセル2の表面はガスセ
ンサ素子1の外側に面しており,かつ導入路100を設
けた酸素ポンプセル2の表面を覆うように多孔質拡散抵
抗層10が設けてある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,自動車等の内燃機関の排気系に
設置し,排ガス中のガス成分,特にNOxガス濃度を検
出する,または内燃機関の空燃比(A/F)制御系に設
置する空燃比センサ,酸素ガス濃度を検出するためのセ
ンサにおいて使用することができるガスセンサ素子に関
する。
【0002】
【従来技術】自動車の排気ガス中の有害物質(NOx,
THC,CO等)による大気汚染とともに,CO2によ
る地球温暖化が地球的な規模で現代社会に深刻な問題を
引き起こしている。大気汚染防止の法規制により,有害
物質の排出低減用,排ガス浄化用の触媒コンバータの劣
化検知等への要求が厳しくなっている。一方,地球温暖
化防止対策として,排出CO2の削減,燃費規制もしく
は税制的な優遇措置の導入が検討されている。これらの
自動車市場動向に対して,自動車に対する社会的なニー
ズとして,エミッションの低下と燃費向上との両立要求
がある。
【0003】これらの要望に対し,ガソリンエンジンで
は燃費向上を目的とし,リーンバーンエンジンや直墳エ
ンジン(燃料の気筒内への直接噴射)による希薄燃焼化
が進められている。この時,希薄燃焼ということで,排
出される有害物質の中でNOxの後処理が重要となり,
従来の三元触媒に代わってNOx触媒を用いた排ガス浄
化システムが検討されている。また,ディーゼルエンジ
ンにおいては電子制御化が進められ,ガソリンエンジン
と同様にNOx触媒を用いたDeNOx触媒システムの
開発が進められている。上記システムにおいて,NOx
触媒の浄化率制御やNOx触媒の劣化検知をより正確で
効果的に行うためには,排ガス中のNOxガス濃度を直
接検出可能なガスセンサを設置することが望ましい。
【0004】そして,従来知られた排ガス中のNOxガ
ス濃度を直接検出するためのガスセンサ素子としては,
例えば特開昭64−39545号が挙げられる。上記ガ
スセンサ素子は,(1)Pt電極と固体電解質体とより
なる一組の酸素ポンプセルとセンサセル,(2)Rh電
極と固体電解質体とよりなるもう一組の酸素ポンプセル
とセンサセルとの組み合わせを有し,導入路を介して排
ガスが導かれる被測定ガス室の内外に,固体電解質体と
各電極とを挟んで(1),(2)の酸素ポンプセルを配
設し,また上記被測定ガス室に(1),(2)のセンサ
セルを配設し,それぞれの電流値の差から被測定ガス中
のNOxガス濃度を測定するよう構成されている。
【0005】または,図8に示すようなガスセンサ素子
が挙げられる(特開平8−271476)。上記ガスセ
ンサ素子9は,固体電解質体901,902を有し,両
者の間に配置したスペーサ内に形成した被測定ガス室を
有する。この被測定ガス室は第1室903と第2室90
4を有する。被測定ガスは導入路905を通じて第1室
903に導入される。第1室903の酸素ガス濃度は酸
素センサセル91により検出され,これによって検出さ
れた酸素ガス濃度が所定値となるように,第1酸素ポン
プセル92の駆動電圧がフィードバック制御される。
【0006】酸素センサセル91は固定電解質体902
の表面に設けた電極911,912を大気通路907,
第1室903にそれぞれ露出するよう構成されている。
第1酸素ポンプセル92は固体電解質体901とその両
面の電極921,922とよりなり,電極921は被測
定ガスに,電極922は第1室903に露出形成されて
いる。
【0007】通路906を通じて第1室903に連通す
る第2室904には,第2室904内の酸素ガスを排出
する第2酸素ポンプセル93が設けてある。第2酸素ポ
ンプセル93は固体電解質体902と電極911,93
2とで構成され,第2室904に露出する電極932は
NOxに対する還元性を有する。
【0008】第2室904では被測定ガス中のNOxが
還元分解されて新たな酸素ガスが発生し,第2酸素ポン
プセル93を流れるポンプ電流が増減する。第1室90
3より第2室904に拡散する被測定ガス中の酸素ガス
濃度は一定であることから,このポンプ電流の増減はN
Oxの還元に基づくものである。つまり,これを測定す
ることでNOxガス濃度を測定できる。
【0009】
【解決しようとする課題】しかしながら,ガスセンサ素
子においては導入路から被測定ガス室へと被測定ガスが
拡散するが,この導入路はガスセンサ素子の体格の関係
からピンホール状の貫通穴となるのが一般的である。ま
た,この貫通穴は通常機械加工によって,固体電解質体
となるシートに対し形成される。
【0010】そして,上記機械加工によってシートに形
成されたピンホールの導入路の拡散口径と距離では拡散
するガスの拡散量は温度の1.75乗に比例することが
知られており,従って,従来ガスセンサ素子において,
被測定ガス室に導入される被測定ガス量,また特定ガス
量は外部環境の温度に応じた値となる。このため,出力
電流に温度依存性が生じ,排ガス温度が大きく変化する
場合に測定誤差が生じ易いという欠点があった。なお,
上記問題は,被測定ガス中のO2,HC,CO等の特定
ガス濃度成分を測定するためのガスセンサ素子共通の問
題である。
【0011】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,被測定ガス温度が大きく変化する環境に
おいて測定誤差が生じ難い,ガスセンサ素子を提供しよ
うとするものである。
【0012】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,被測定ガ
スが導入される被測定ガス室と,上記被測定ガス室に対
面するよう配置されると共に基準ガスが導入される基準
ガス室に対面するように配置され,更に被測定ガス中の
特定ガス濃度を検出するよう構成された検出セルと,上
記被測定ガス室に対面するよう配置されると共に被測定
ガス室に対し酸素ガスをポンピングするよう構成された
酸素ポンプセルと,上記被測定ガス室に被測定ガスを導
入するよう構成されると共に上記酸素ポンプセルの表面
に設けられた少なくとも1つのピンホールより構成され
た導入路とよりなるガスセンサ素子であって,上記酸素
ポンプセルの表面はガスセンサ素子の外側に面してお
り,かつ上記導入路を設けた上記酸素ポンプセルの表面
を覆うように多孔質拡散抵抗層が設けてあることを特徴
とするガスセンサ素子にある。
【0013】本発明において最も注目すべきことは,ピ
ンホールより構成された導入路を設けた酸素ポンプセル
の表面を覆うように多孔質拡散抵抗層を設けたことにあ
る。上記酸素ポンプセルの表面はガスセンサ素子の外側
に直接的あるいは間接的に面している。そして,ガスセ
ンサ素子の外側は直接的あるいは間接的に被測定ガスと
接している。被測定ガス室に導入される被測定ガスはガ
スセンサ素子の外部から多孔質拡散抵抗層を経て導入路
の入口から導入され,導入路中を通過し,該導入路の出
口から被測定ガス室に拡散する。この導入路は断面形状
が丸型または多角形のピンホール状の貫通穴等で構成す
ることができ,また,その数は1つであっても複数個で
あってもよい。
【0014】また,上記多孔質拡散抵抗層は酸素ポンプ
セルの表面だけを覆うように設けてもよいし,酸素ポン
プセルを設けた固体電解質体の表面全体を覆うように設
けてもよい。また,上記多孔質拡散抵抗層の表面に,多
孔質拡散抵抗層の目詰まり防止用のトラップ層を設ける
ことができる。このものは,被測定ガス中の被毒物をト
ラップすることができる。また,排ガス中の未燃焼ガス
を平衡化する触媒層を設けることもできる(図1参
照)。
【0015】また,上記酸素ポンプセルは,例えば固体
電解質体と該固体電解質体に設けられた一対の内側ポン
プ電極と外側ポンプ電極とより構成されている。この場
合,上記内側ポンプ電極は上記被測定ガス室に対面する
よう配置され,上記外側ポンプ電極はガスセンサ素子の
外側に配置されているため,上記導入路は上記外側ポン
プ電極に設けることができる(実施形態例1参照)。
【0016】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明にかかるガスセンサ素子において,被測定ガスは多孔
質拡散抵抗層を通過した後,導入路に入り,被測定ガス
室に達する。多孔質拡散抵抗層を通過する被測定ガスの
拡散はクヌーセン拡散と分子拡散とが混じりあった拡散
となるため,温度依存性が小さくなる。つまり,温度の
高低にかかわらず被測定ガスの被測定ガス室に対する拡
散量がほぼ一定となる。
【0017】ところで,本発明にかかるガスセンサ素子
において,上記酸素ポンプセルは被測定ガス室中の被測
定ガスから酸素ガスをポンピングし,該被測定ガス室中
の酸素ガス濃度を一定としたり,被測定ガス室中から酸
素ガスを除去したりするために設けてある。上記検出セ
ルは,被測定ガス室中の特定ガス(NOx)を還元する
ような活性を有しており,この還元作用により特定ガス
から酸素イオンが分離される。発生した酸素イオンによ
るイオン電流を測定することで,被測定ガス室中の特定
ガスの量に応じた出力電流を得ることができる。
【0018】本発明では被測定ガスの拡散量の温度依存
性が小さくなるため,被測定ガス室には温度の高低にか
かわらずほぼ一定の被測定ガスが導入されることとな
る。このため,被測定ガス室中の特定ガスの量が温度の
高低にかかわらず被測定ガス中の特定ガス濃度に比例す
る。このため,本発明によれば,測定精度が温度に依存
しないガスセンサ素子を得ることができる。
【0019】以上,本発明によれば,被測定ガス温度が
大きく変化する環境において測定誤差が生じ難い,ガス
センサ素子を提供することができる。
【0020】また,導入路は酸素ポンプセル上に設けて
あるため,該酸素ポンプセルは導入直後の被測定ガスか
ら酸素ガスをポンピングすることができる。よって,検
出セルに被測定ガスが到着する前に酸素ガスを被測定ガ
スから確実にポンピングすることができ,ガスセンサ素
子の出力電流から酸素ガス濃度の影響を確実に除くこと
ができる。
【0021】次に,請求項2に記載の発明のように,上
記導入路の中心位置と上記外側ポンプ電極先端部との距
離をA,上記外側ポンプ電極の長さをBとすると,両者
の間にはA/B≦0.5という関係が成立することが好
ましい。これにより,酸素ポンプセルの酸素ガス排出作
用を充分得ることができる。即ち,特定ガスがないとき
のオフセット電流の安定化を図ることができる。
【0022】上記A/Bが0.5より大である場合に
は,酸素ポンプセルで酸素ガスが充分排出できないまま
検出セルに酸素ガスが第2拡散通路等を通じて拡散し,
検出セルで残留酸素ガスによる電流が流れるため,特定
ガスがないときのオフセット電流がばらつき,出力に酸
素ガス濃度依存性が生じるおそれがある。また,上記A
/Bは0であってもよい。0の場合は,丁度外側ポンプ
電極先端部に重なるように導入路が設けてある場合であ
る。
【0023】なお,上記外側ポンプ電極先端部とは,図
3の符号219に示すごとく,ガスセンサ素子において
検出セルを設けた位置と反対側の外側ポンプ電極の端部
である。また,上記導入路の中心位置とは該導入路の入
口形状における中心または重心であり,導入路が複数個
存在する場合には,上記ポンプ電極の先端部から最も遠
い導入路の中心位置を本請求項における中心位置として
採用する。上記外側ポンプ電極長さとは,外側ポンプ電
極の一方の端部から他方の端部までの長さである。
【0024】次に,請求項3記載の発明のように,上記
導入路の総断面積は0.02〜0.8mm2であること
が好ましい。これにより,適正なセンサの出力電流を得
ることができる。総断面積が0.02mm2未満の場合
には,導入路の径が小さすぎて,ガスセンサ素子製造に
おいて安定して導入路を形成することができなくなるこ
とと,センサの電流値が小さすぎてノイズ等の影響を受
けるおそれがある。
【0025】0.8mm2より大である場合には,導入
路を通って被測定ガス室に流入する被測定ガスの量が多
く,酸素ポンプセルで充分に酸素ガスをポンピングする
ことができず,検出セルから得られる出力電流が正しく
特定ガス濃度を反映せず,酸素ガス濃度に対する依存性
が生じるおそれがある。
【0026】次に,請求項4の発明のように,上記導入
路は機械加工により形成されていることが好ましい。こ
れにより,製造が簡易でかつセンサの電流値が安定した
ガスセンサ素子を得ることができる。
【0027】次に,請求項5の発明のように,上記多孔
質拡散抵抗層の厚みは0.05〜0.3mmであること
が好ましい。これにより,ガスセンサ素子製造の際の焼
成工程で多孔質拡散抵抗層の割れ防止を図ることがで
き,またガスセンサ素子のセンサ特性の安定化を図るこ
とができる。
【0028】仮に厚みが0.05mm未満である場合に
は,焼成工程での多孔質拡散抵抗層の割れや温度依存性
の悪化が生じるおそれがある。また,厚みが0.3mm
より厚い場合には,被測定ガスの導入路の長さが長くな
りすぎて,応答性の悪化とセンサ出力の低下を招くおそ
れがある。
【0029】次に,請求項6の発明のように,上記多孔
質拡散抵抗層の平均細孔径は200〜2000Åである
ことが好ましい。これにより,センサ特性の安定化を図
ることができる。
【0030】仮に平均細孔径が200Å未満である場合
には,多孔質拡散抵抗層の細孔の孔径が小さすぎてガス
拡散が妨げられるおそれがある。また,被測定ガス拡散
が妨げられ,通過時間がかかりすぎるため,応答性の悪
化とセンサ出力の低下を招くおそれがある。また,20
00Åより大である場合には,被測定ガスの拡散状態が
安定しないため,温度依存性の悪化が生じるおそれがあ
る。また,被測定ガスの導入量が増えて出力に酸素ガス
濃度依存性が生じるおそれがある。
【0031】次に,請求項7の発明のように,上記多孔
質拡散抵抗層の気孔率は3〜20%であることが好まし
い。これにより,安定したセンサ特性を得ることができ
る。仮に気孔率が3%未満である場合には,被測定ガス
の拡散がスムーズに行われないため,応答性の悪化と出
力の低下を招くおそれがある。また,気孔率が20%よ
り大である場合には,ガスセンサ素子製造の際の焼成工
程において多孔質拡散抵抗層の割れが発生するおそれが
ある。また,センサ出力の温度依存性の悪化を生じるお
それがある。また,被測定ガスの導入量が増えて出力に
酸素ガス濃度依存性が生じるおそれがある。
【0032】次に,請求項8記載の発明のように,上記
被測定ガス室は第1固体電解質体及び第2固体電解質体
のそれぞれに対面するように構成され,また上記基準ガ
ス室は第2固体電解質体と対面するように構成され,上
記酸素ポンプセルは第1固体電解質体に,上記検出セル
は第2固体電解質体にそれぞれ設けてあることが好まし
い。これにより,酸素ポンプセルと検出セルとに流れる
電流の干渉を防止することができ,より正確なガス濃度
の測定を行うことができる。
【0033】次に,請求項9記載の発明のように,上記
導入路による拡散抵抗をD1,上記多孔質拡散抵抗層に
よる拡散抵抗をD2とすると,両者の比は0.5≦D2
/(D1+D2)≦0.9であることが好ましい。
【0034】これによりセンサ出力の安定化を図ること
ができる。D2/(D1+D2)が0.5未満である場
合には,ポンプセル上の導入路による拡散抵抗,すなわ
ち分子拡散が支配的となり温度依存性が悪化するおそれ
がある。D2/(D1+D2)が0.9より大である場
合には,多孔質拡散抵抗層での拡散が支配的となり,応
答性が悪化するおそれがある。
【0035】D1,D2は上記二つの拡散抵抗が,内部
空間で形成された拡散抵抗より充分大きい場合,以下の
ように表される。 Is=(D1+D2)ln{(1−PNOx)/P} ここにIsはセンサ出力,PNOxはNOxの分圧,Pは
全圧である。この時,D1,D2はそれらの幾何学形状
により求まるが,センサを作成して電流値を測定するこ
とで間接的に求めることができる。具体的には多孔質拡
散層を設ける前のものと,設けたものとのセンサ電流値
の違いから求めることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかるガスセンサ素子につき,図
1〜図4を用いて説明する。なお,本例にかかるガスセ
ンサ素子は内燃機関の排気系に設置され,排ガス中のN
Oxガス濃度を測定するガスセンサにおいて使用され
る。
【0037】図1に示すごとく,本例のガスセンサ素子
1は,被測定ガス室15と検出セル3と酸素ポンプセル
2と導入路100とよりなる。上記被測定ガス室15は
被測定ガスが導入される。上記検出セル3は,上記被測
定ガス室15に対面するよう配置されると共に基準ガス
が導入される基準ガス室16に対面するように配置さ
れ,更に被測定ガス中のNOxガス濃度を検出するよう
構成されている。上記酸素ポンプセル2は,上記被測定
ガス室15に対面するよう配置され,被測定ガス室15
に対し酸素ガスをポンピングするよう構成されている。
また,上記導入路100は被測定ガス室15に被測定ガ
スを導入するよう構成されると共に上記酸素ポンプセル
2の表面に設けてある。
【0038】そして,上記酸素ポンプセル2の表面はガ
スセンサ素子1の外側に面しており,かつ上記導入路1
00を設けた上記酸素ポンプセル2の表面を覆うように
多孔質拡散抵抗層10が設けてある。上記多孔質拡散抵
抗層10の厚みは0.1mmで,平均細孔径が1100
Å,気孔率が12%であるアルミナセラミックより構成
されている。また,図2に示すごとく,上記導入路10
0はただ一つ設けてあり,その断面積は0.125mm
2である。また,D2/(D1+D2)の値は0.7で
ある。
【0039】以下,詳細に説明する。本例のガスセンサ
素子1は,図1(a)に示すごとく,第1固体電解質体
11,被測定ガス室用スペーサ12,第2固体電解質体
13,基準ガス室用スペーサ14及びヒータ19が積層
一体化されてなる。上記第1及び第2固体電解質体1
1,13は酸素イオン導電性の部分安定化ジルコニアよ
りなる。スペーサ12,14は絶縁性のアルミナセラミ
ックよりなる。そして,本例のガスセンサ素子1は,酸
素ポンプセル2と検出セル3の二つのセルを持った構造
である。
【0040】上記酸素ポンプセル2は,上記第1固体電
解質体11とここに設けられた一対の内側ポンプ電極2
12及び外側ポンプ電極211より構成され,上記内側
ポンプ電極212は被測定ガス室15に対面するよう配
置され,上記外側ポンプ電極211はガスセンサ素子1
の外側に配置される。
【0041】上記外側及び内側ポンプ電極211,21
2と上記第1固体電解質体11とを貫通するようピンホ
ールが設けられ,該ピンホールにより導入路100が構
成される。この導入路100の入口101は外側ポンプ
電極211に対し開口している。図2に示すごとく,上
記導入路100の入口101と上記外側ポンプ電極21
1,また第1固体電解質体11の表面の一部は多孔質拡
散抵抗層10で覆われている。また,多孔質拡散抵抗層
10の表面は被測定ガス中の被毒物よりこれを保護する
ためのトラップ層199で覆われている。上記内側ポン
プ電極212はPt−Au電極である。外側ポンプ電極
211はPt電極である。
【0042】上記被測定ガス室15は図1(b)に示す
ごとく,酸素ポンプセル2と対面する第1室151と検
出セル3と対面する第2室152とに別れており,両者
は拡散通路150で相互に被測定ガスが行き来可能に接
続されている。
【0043】図1(a)に示すごとく,上記検出セル3
は第2固体電解質体13とここに設けられた一対の測定
電極311と基準電極312とよりなり,上記測定電極
311は被測定ガス室15に対面するよう配置され,上
記基準電極312は第2固体電解質体13と対面するよ
う設けられた基準ガス室16に対面するよう配置されて
いる上記測定電極311及び基準電極312はPt電極
である。
【0044】上記第2基準ガス室16と対面するように
ヒータ19が設けてある。上記ヒータ19はヒータ基板
191とここに設けられた発熱部190及びリード部
と,これら三者を被覆する被覆基板192よりなる。上
記ヒータ基板191,被覆基板192はアルミナよりな
る。
【0045】また,図3に示すごとく,本例のガスセン
サ素子1において,外側ポンプ電極211の先端部21
9と導入路100の中心位置109との距離A=1m
m,外側ポンプ電極211の長さB=10mmであっ
た。よって,A/Bの値は,0.1であった。
【0046】図1(a)に示すごとく,上記外側及び内
側ポンプ電極211,212と導通するよう構成され,
図示を略したリード部,端子部が固体電解質体11等に
設けてある。これらのリード部や端子部を通じて酸素ポ
ンプセル2の駆動に必要な電力が酸素ポンプセル回路2
9を通じて電源291から供給される。また,酸素ポン
プセル回路29には電流計292が接続されている。
【0047】また,上記測定電極311及び基準電極3
12と導通するよう構成され,図示を略したリード部,
端子部が固体電解質体13等に設けてある。これらのリ
ード部や端子部を通じて検出セルに検出回路39が接続
されている。この検出回路39には検出セル3に電圧を
印可する電源391と検出回路39を流れる電流を測定
する電流計392が接続されている。
【0048】次に,上記ガスセンサ素子1の製造方法に
ついて説明する。第1固体電解質体11,第2固体電解
質体13を構成するZrO2シート用生シートについて
説明する。 6wt%のY23と94wt%ZrO2とよりなる平均
粒径0.5μmのY2 3部分安定化ZrO2:100部
(重量部,以下略), α−Al23:1部, PVB(ポリビニルブチラール):5部, DBP(ジブチルフタレート):10部, エタノール:10部, トルエン:10部, 以上の材料よりなるセラミック混合物を準備し,該セラ
ミック混合物をボールミル中で混合し,スラリーとな
す。このスラリーをドクターブレード法にて乾燥厚みが
0.2mmとなるように成形し,シート成形体を得た。
【0049】第1固体電解質体用生シートは次のように
して作成した。上記シート成形体を5×80mmの長方
形に切断し,一対の外側及び内側ポンプ電極211,2
12と図示を略したリード部,端子部との導通用のスル
ーホールを設けた。次に,内側ポンプ電極212用の印
刷部を1〜10wt%Au添加Ptペーストを用いてス
クリーン印刷により作成した。また,外側ポンプ電極2
11と図示を略したリード部,端子部用のPtペースト
よりなる印刷部をスクリーン印刷により作成した。その
後,上記印刷部を貫通するように導入路100用のパン
チングマシン等を用いて直径が0.5mm(断面積0.
2mm2)のピンホールを設けた。以下,生シートは焼
成で20%収縮するため,完成品寸法では導入路100
の直径は0.4mm(断面積0.125mm2)とな
る。
【0050】第2固体電解質体用生シートは次のように
して作成した。上記シート成形体を5×80mmの長方
形に切断し,一対の測定電極311及び基準電極312
と図示を略したリード部,端子部との導通用のスルーホ
ールを設けた。次に,測定電極311,基準電極31
2,図示を略したリード部,端子部用の印刷部を,Pt
ペーストを用いスクリーン印刷で形成した。
【0051】次に,被測定ガス室用スペーサ12,基準
ガス室用スペーサ14,ヒータ基板191,被覆基板1
92用生シートについて説明する。 平均粒子径0.3μmのα−Al23:98部, 6wt%のY23と94wt%ZrO2とよりなるY2
3部分安定化ZrO2:3部, PVB(ポリビニルブチラール):10部, DBP(ジブチルフタレート):10部, エタノール:30部, トルエン:30部, 以上の材料よりなるセラミック混合物を準備し,上記セ
ラミック混合物をボールミル中で混合し,スラリーとな
す。このスラリーをドクターブレード法にて乾燥厚みが
0.2〜1mmとなるように成形し,シート成形体を得
た。
【0052】上記シート成形体を5×80mmの長方形
に切断し,先端が閉じたコの字となるように2×75m
mの窓を設けた。これが基準ガス室用スペーサ14用生
シートとなる。また,上記シート成形体を5×80mm
の長方形に切断し,図1(b)に示すごとき,二つの楕
円状の穴を細穴で接続したような窓を設けた。これが被
測定ガス室用スペーサ12用生シートとなる。
【0053】上記シート成形体を5×80mmの長方形
に切断し,90wt%Ptと10wt%のAl23より
なる導電性ペーストを用いて,発熱部190及びリード
部用の印刷部を形成した。これがヒータ基板191用生
シートとなる。また,上記シート成形体を5×80mm
の長方形に切断した。これが被覆基板192用生シート
となる。
【0054】次に多孔質拡散抵抗層10用の生シートに
ついて説明する。 平均粒子径0.5μmのα−Al23:98部, 6wt%のY23と94wt%ZrO2とよりなるY2
3部分安定化ZrO2:3部, PVB(ポリビニルブチラール):10部, DBP(ジブチルフタレート):10部, エタノール:30部, トルエン:30部, 以上の材料よりなるセラミック混合物を準備し,上記セ
ラミック混合物をボールミル中で混合し,スラリーとな
す。このスラリーをドクターブレード法にて乾燥厚みが
0.12mmとなるように成形し,シート成形体を得
た。上記シート成形体を5×30mmの長方形に切断
し,多孔質拡散抵抗層10用の生シートとした。
【0055】そして,上述した各生シートを常温にて感
圧接着性を有するペーストを用いて,図1に示すように
順次積層圧着し,積層体を形成した。この積層体を大気
中1500℃にて1時間で焼成,焼成体を得た。その
後,焼成体における多孔質拡散抵抗層に対し,Al
23:50部,無機バインダー:10部,水:40部か
らなるスラリーをディッピングし,乾燥した。その後,
500℃,1時間で焼きつけ,トラップ層199を形成
した。以上により,本例にかかるガスセンサ素子を得
た。
【0056】次に,本例にかかるガスセンサ素子による
被測定ガス中のNOxガス濃度検出について説明する。
トラップ層199,多孔質拡散抵抗層10を経て入口1
01より導入路100を通過して,被測定ガスが被測定
ガス室15の第1室151に導入される。上記酸素ポン
プセル2は,酸素ポンプセル回路29を通じて電源29
1から電圧が印可されている。そして,上記内側ポンプ
電極212はNOxガスに対してほぼ不活性なPt−A
u電極よりなる。よって,酸素ポンプセル2は第1室1
51中の酸素ガスを印加電圧に応じた分量,ポンピング
してガスセンサ素子1外へ放出する。
【0057】この時の印可電圧は,NOxの分解が殆ど
生じず,かつ酸素ガスを可能な限り被測定ガス室15か
ら排出できるような値に調整されている。なお,この調
整は,ある特定の電圧を印可することにより,酸素ポン
プセル2を流れた電流の大小により制御回路等を利用し
て予め計算しておく。以上により,第1室151から酸
素ガスが殆ど含まれていない状態となった被測定ガスが
拡散通路150を通じて第2室152に拡散する。ま
た,この時に酸素ポンプセル回路29を流れる電流を電
流計292より測定する。この電流計の値はポンピング
された酸素ガス量に比例するため,この値から被測定ガ
ス中の酸素ガス濃度を測定することができる。
【0058】そして,検出セル3における測定電極31
1はNOxに対して活性なPt電極である。検出セル3
は電源391により電圧が印加されており,よって測定
電極311はNOxを窒素イオンと酸素イオンとに分解
する。分解により生じた酸素イオンはイオン電流となっ
て,第2固体電解質体13を経由して基準ガス室16側
にポンピングされる。このイオン電流は検出セル3に接
続された検出回路39上の電流計392により測定され
る。この電流値から被測定ガス中のNOxガス濃度を測
定することができる。
【0059】本例の作用効果について説明する。本例の
ガスセンサ素子1は,導入路100の入口101が多孔
質拡散抵抗層10で覆われている。多孔質拡散抵抗層1
0を通過する被測定ガスの拡散はクヌーセン拡散と分子
拡散とが混じりあった拡散となるため,温度依存性が小
さくなる。つまり,温度の高低にかかわらず被測定ガス
の被測定ガス室15に対する拡散量がほぼ一定となる。
【0060】本例では被測定ガスの拡散量の温度依存性
が小さくなるため,被測定ガス室15には温度の高低に
かかわらずほぼ一定の被測定ガスが導入されることとな
る。このため,被測定ガス室15中のNOxガスの量が
温度の高低にかかわらず被測定ガス中のNOxガス濃度
に比例する。よって,測定精度が温度に依存しないガス
センサ素子1を得ることができる。
【0061】以上,本例によれば,被測定ガス温度が大
きく変化する環境において測定誤差が生じ難い,ガスセ
ンサ素子を提供することができる。
【0062】また,本例のガスセンサ素子1は,中心位
置109と先端部219との距離A,外側ポンプ電極2
11の長さBとの間にA/B≦0.5という関係が成立
する。このため,NOxがないときのセンサ電流である
オフセット電流の安定化を図ることができる。
【0063】なお,本例のガスセンサ素子において被測
定ガス室は第1室と第2室より構成されていたが,図4
に示すごとく,ただ一つの室よりなる被測定ガス室17
を持つこともできる。
【0064】実施形態例2 本例は,実施形態例1に示すごとき本発明にかかるガス
センサ素子の性能を他の試料と共に比較説明するもので
ある。試料1〜5,8〜17にかかるガスセンサ素子
は,実施形態例1に記載したものと同様の構造である。
そして表1に示すごとき多孔質拡散抵抗層や導入路を有
する。
【0065】また,試料6にかかるガスセンサ素子は,
図5に示すごとく,多孔質拡散抵抗層を持たず,その他
の部分の構造は実施形態例1にかかるガスセンサ素子と
同様である。また,試料7にかかるガスセンサ素子は,
図6に示すごとく,第1室851,第2室852,拡散
通路850よりなる被測定ガス室85内が多孔質体にて
充填された構造である。また,導入路100の入口10
1にはなにも設けられてない。それ以外は実施形態例1
と同様の構造である。
【0066】以上にかかる各試料のガスセンサ素子の性
能を次のように測定した。 (1)温度依存性;N2ガスをベースとしてNOガス
(=NOxの一種)を濃度1000ppmで含むモデル
ガスを準備した。このモデルガスを予め所定の流量(ト
ータルで1リットル/分)流した状態で,各試料にかか
る素子の出力電流を,各素子の検出セルに対し0.5V
一定となる定電圧を定電圧電源を用いて印加して,検出
セルに接続された電流計から出力電流を測定した。
【0067】この時,素子の電極中心の温度を800±
20℃で変化させ,最大出力と最小出力とを測定した。
なお,この温度制御は素子と一体化されたヒータへの投
入電流を制御することにより行なった。最大出力と最小
出力の差が±10%未満である場合を○,±10%以上
である場合を×として,結果を表1に記載した。
【0068】(2)焼成割れ;次に,ガスセンサ素子を
作成する際の焼成において,割れが生じたか否かについ
て,素子焼成後の多孔質拡散抵抗層及びその近傍の固体
電解質体におけるクラックチェックをカラーチェックで
行った。その結果,クラックの発生率が1%以下である
場合を○,それ以上である場合を×として,結果を表1
に記載した。
【0069】(3)出力電流;次に,ガスセンサ素子の
出力電流を温度依存性測定と同様にガス流量を調整して
測定した。その結果,被測定ガスとして1000ppm
のNOxガスを含んだガスを使用した場合の出力電流
と,被測定ガス中にNOxガスが含まれていない場合の
出力電流をとを測定し,その差が1μAより大である場
合を○,それ以下である場合を×として表1に記載し
た。
【0070】(4)酸素ガス濃度依存性;次に,ガスセ
ンサ素子の出力電流の酸素ガス濃度依存性について,上
記モデルガスの酸素ガス濃度を1〜20%の範囲で変化
させて測定した。モデルガスのNO濃度は1000pp
mとなるよう流量が調整され,ポンプセルへの印加電圧
はマップ制御用の回路計を用いて制御した。なお,上記
マップ制御は予めポンプセルに流れる電流を測定し,そ
れに応じた電圧を印加することを可能にする。また,ガ
スセンサ素子に対する印加電圧は0.5V一定である。
また,出力電流は電流計で測定した。
【0071】その結果,被測定ガス中の酸素ガス濃度が
1%〜20%の間で変化した場合,出力電流のばらつき
が±10%未満である場合を○,±10%以上である場
合を×として表1に記載した。
【0072】(5)応答性;次に,ガスセンサ素子の応
答性を次のようにして測定した。モデルガスにおいてN
O濃度を1000ppmから100ppmへと変化させ
た時,測定される出力電流がNO濃度が1000ppm
の際の60%まで低下するまでの時間を測定した。この
時間が1s未満である場合を○,1s以上である場合を
×として表1に記載した。
【0073】同表によれば,実施形態例1にかかる構造
を持ったガスセンサ素子,つまりガスセンサ素子の外側
に面した導入路の入口が多孔質拡散抵抗層で覆われてい
るものについては,温度依存性について○であった。つ
まり,出力電流が温度によって殆ど変わらないことが分
かった。一方,試料6にかかる多孔質拡散抵抗層を持た
ないガスセンサ素子は,温度と共に出力電流が大きく変
化することが分かった。
【0074】また,多孔質拡散抵抗層を被測定ガス室内
に設けた試料7のガスセンサ素子は,温度依存性につい
ては試料1〜試料5等と同様の結果を得たが,ガスセン
サ素子を作成する際の焼成において,固体電解質体にク
ラックが発生してしまうことが分かった。これは,アル
ミナよりなる多孔質拡散抵抗層とジルコニアよりなる固
体電解質体との熱膨張率の違いが原因である。また,試
料7は,被測定ガス室85内が多孔質拡散抵抗層にて充
填され,被測定ガスの拡散が妨げらるため,センサ出力
も小さかった。センサ出力が小さい場合,例えば車に搭
載して使用する際にはノイズ等による誤差でセンサ素子
の検出精度が悪くなるおそれがあり,実用に耐えないこ
とがある。
【0075】また,表1より知れるごとく,試料10,
試料11,試料12,試料14,試料16は導入路にか
かるA/Bの値,導入路の断面積,抵抗層の厚み,平均
細孔径及び気孔率について好ましい条件を満たしてお
り,出力の温度依存性が小さい以外にも,焼成割れが生
じず,センサ出力も大きく,出力の酸素ガス濃度依存性
が小さく,更に応答性も早い,優れたガスセンサ素子で
ある。
【0076】試料8は,多孔質拡散抵抗層が厚く,被測
定ガスの拡散が遅れるため,応答性が低かった。試料9
は,A/Bが大きく,ポンプセルで酸素ガスを充分排出
する前に検出セルに被測定ガスが到着してしまうため,
酸素ガス濃度の変動により出力電流が変動することが分
かった。そのため,酸素ガス濃度が大きくなった場合の
測定精度が低下するおそれがあった。試料13は導入路
の断面積が大きく,大量の被測定ガスが導入されるた
め,酸素ポンプセルによる酸素ガスの排出が不充分とな
りやすく,出力に酸素ガス濃度依存性が生じた。試料1
5は多孔質拡散抵抗層の気孔率と平均細孔径が小さく,
充分な被測定ガスが取り込めず,出力や応答性が低い。
また,試料17は多孔質拡散抵抗層の気孔率と平均細孔
径が大きく,被測定ガスが大量に取り込まれやすく,酸
素ポンプセルによる酸素ガスの排出が不充分となりやす
く,出力に酸素ガス濃度依存性が生じた。
【0077】
【表1】
【0078】実施形態例3 本例は酸素ポンプセルと検出セルの他に,酸素センサセ
ルを設けたガスセンサ素子について説明する。
【0079】図7に示すごとく,本例のガスセンサ素子
1は,被測定ガス室15と,該被測定ガス室15に被測
定ガスを導入するよう構成された導入路100と,検出
セル3と,酸素ポンプセル2とよりなる。また,被測定
ガス室15の酸素ガス濃度が測定可能となるよう構成さ
れた酸素センサセル4が設けてある。また,上記導入路
100の入口101は多孔質拡散抵抗層10で覆われて
いる。
【0080】以下,詳細に説明する。本例のガスセンサ
素子は,第1固体電解質体11,被測定ガス室用スペー
サ12,第2固体電解質体13,基準ガス室用スペーサ
14及びヒータ19が積層一体化されてなる。
【0081】上記酸素ポンプセル2は,第1固体電解質
体11と内側ポンプ電極212及び外側ポンプ電極21
1とより構成され,内側ポンプ電極212は被測定ガス
室15の第1室151に対面するよう配置され,外側ポ
ンプ電極211はガスセンサ素子1の外側に配置され
る。
【0082】上記検出セル3は第2固体電解質体13と
一対の測定電極311と基準電極312とよりなり,上
記測定電極311は被測定ガス室15の第2室152に
対面するよう配置され,上記基準電極312は第2固体
電解質体13と対面するよう設けられた基準ガス室16
に対面するよう配置されているまた,上記第2基準ガス
室16と対面するようにヒータ19が設けてある。
【0083】上記酸素センサセル4は,第2固体電解質
体13と,該第2固体電解質体13に設けられた電極4
11と,上記検出セル3を構成する測定電極311とよ
りなる。また,上記電極411は第2室152を挟んで
対面する位置にある。
【0084】上記外側及び内側ポンプ電極211,21
2と導通するよう構成され,図示を略したリード部,端
子部が固体電解質体11等に設けてある。これらのリー
ド部や端子部を通じて酸素ポンプセル2は,電源29
1,電流計292を持った回路29に接続される。
【0085】また,上記測定電極及び基準電極311,
312と導通するよう構成され,図示を略したリード
部,端子部が固体電解質体13等に設けてある。これら
のリード部や端子部を通じて検出セルは,電源391,
電流計392を持った回路39に接続される。そして,
上記酸素センサセル4も,図示を略したリード部や端子
部等を通じて,回路49に接続され,この回路49には
電圧計492が接続されている。
【0086】本例にかかるガスセンサ素子1では,酸素
ポンプセル2により第1室151の酸素ガスのポンピン
グし,また,検出セル3によりNOxガス濃度を検出す
る。そして,上記酸素ポンプセル2のポンピングにより
正確に酸素ガスが排出されるように,回路49の電圧計
492で電極411と電極311との間の電圧を測定す
る。この電圧は,ネルンストの式に基づいた起電力が発
生し,よって第2室152の酸素ガス濃度に比例する。
【0087】よって,適当なフィードバック制御回路を
回路49と回路29との間に設けて,確実に酸素ガスの
ポンピングが行われるように回路29の電源291を制
御する。これにより,本例のガスセンサ素子によればよ
り精密なNOxガス濃度の測定が可能となる。その他
は,実施形態例1と同様の作用効果を有する。
【0088】なお,以上の実施形態例は被測定ガス中の
NOxガス濃度を測定するガスセンサ素子について説明
したが,HC,CO等の特定ガス濃度成分を測定するた
めのガスセンサ素子の場合も同様の構造とすることで,
被測定ガス温度が大きく変化する環境において測定誤差
が生じ難いガスセンサ素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,(a)ガスセンサ素子
の要部断面説明図(図2におけるA−A矢視断面図),
(b)ガスセンサ素子における被測定ガス室の構造を示
す説明図。
【図2】実施形態例1における,ガスセンサ素子の平面
図。
【図3】実施形態例1における,ガスセンサ素子におけ
る,導入路の中心位置と外側ポンプ電極先端部との距離
A,外側ポンプ電極の長さB,導入路の中心位置と測定
電極先端部との距離Lを示す説明図。
【図4】実施形態例1における,被測定ガス室がただ一
つの空間よりなるガスセンサ素子の説明図。
【図5】実施形態例2における,試料6にかかる多孔質
拡散抵抗層を持たないガスセンサ素子の(a)断面説明
図,(b)平面図。
【図6】実施形態例2における,試料7にかかる被測定
ガス室が多孔質体により充填されてなるガスセンサ素子
の(a)断面説明図,(b)平面図。
【図7】実施形態例3における,酸素センサセルを持っ
たガスセンサ素子の(a)断面説明図,(b)平面図。
【図8】従来技術にかかるガスセンサ素子の(a)平面
図,(b)断面説明図。
【符号の説明】
1...ガスセンサ素子, 10...多孔質拡散抵抗層, 100...導入路, 101...入口, 2...酸素ポンプセル, 3...検出セル,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 富夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 今村 晋一郎 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定ガスが導入される被測定ガス室
    と,上記被測定ガス室に対面するよう配置されると共に
    基準ガスが導入される基準ガス室に対面するように配置
    され,更に被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するよう
    構成された検出セルと,上記被測定ガス室に対面するよ
    う配置されると共に被測定ガス室に対し酸素ガスをポン
    ピングするよう構成された酸素ポンプセルと,上記被測
    定ガス室に被測定ガスを導入するよう構成されると共に
    上記酸素ポンプセルの表面に設けられた少なくとも1つ
    のピンホールより構成された導入路とよりなるガスセン
    サ素子であって,上記酸素ポンプセルの表面はガスセン
    サ素子の外側に面しており,かつ上記導入路を設けた上
    記酸素ポンプセルの表面を覆うように多孔質拡散抵抗層
    が設けてあることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記導入路の中心位
    置と上記外側ポンプ電極先端部との距離をA,上記外側
    ポンプ電極の長さをBとすると,両者の間にはA/B≦
    0.5という関係が成立することを特徴とするガスセン
    サ素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において,上記導入路
    の総断面積は0.02〜0.8mm2であることを特徴
    とするガスセンサ素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記導入路は機械加工により形成されていることを特徴
    とするガスセンサ素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
    上記多孔質拡散抵抗層の厚みは0.05〜0.3mmで
    あることを特徴とするガスセンサ素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
    上記多孔質拡散抵抗層の平均細孔径は200〜2000
    Åであることを特徴とするガスセンサ素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項において,
    上記多孔質拡散抵抗層の気孔率は3〜20%であること
    を特徴とするガスセンサ素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一項において,
    上記被測定ガス室は第1固体電解質体及び第2固体電解
    質体のそれぞれに対面するように構成され,また上記基
    準ガス室は第2固体電解質体と対面するように構成さ
    れ,上記酸素ポンプセルは第1固体電解質体に,上記検
    出セルは第2固体電解質体にそれぞれ設けてあることを
    特徴とするガスセンサ素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか一項において,
    上記導入路による拡散抵抗をD1,上記多孔質拡散抵抗
    層による拡散抵抗をD2とすると,両者の比は0.5≦
    D2/(D1+D2)≦0.9であることを特徴とする
    ガスセンサ素子。
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