JP2000275208A - 電気化学計測用炭素材料およびその製造方法 - Google Patents
電気化学計測用炭素材料およびその製造方法Info
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- JP2000275208A JP2000275208A JP11081459A JP8145999A JP2000275208A JP 2000275208 A JP2000275208 A JP 2000275208A JP 11081459 A JP11081459 A JP 11081459A JP 8145999 A JP8145999 A JP 8145999A JP 2000275208 A JP2000275208 A JP 2000275208A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 不浸透性賦与のための特別な工程を必要とし
ない電気化学計測用炭素材料を提供する。 【解決手段】 熱硬化樹脂の液状組成物中に黒鉛を混合
し、黒鉛を一方向に配向制御しつつ所望の形状に成形
し、不活性雰囲気中で焼成する。
ない電気化学計測用炭素材料を提供する。 【解決手段】 熱硬化樹脂の液状組成物中に黒鉛を混合
し、黒鉛を一方向に配向制御しつつ所望の形状に成形
し、不活性雰囲気中で焼成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気化学検出器、
環境分析用センサー、病理検査用センサー、及び生体系
や食品等の無害、無毒性が厳しく要求される検出用プロ
ーブ電極等に用いられる電気化学計測電極用炭素材料及
びその製造方法に関する。
環境分析用センサー、病理検査用センサー、及び生体系
や食品等の無害、無毒性が厳しく要求される検出用プロ
ーブ電極等に用いられる電気化学計測電極用炭素材料及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気化学的計測を検出手法とする分析法
は、選択性が非常に高く、高感度な測定を簡易かつ迅速
に分析することが可能であるため、近年計測目的成分が
極微量で、多数の化合物が共存する臨床生体試料、環境
試料、食品試料等の分析、評価に使用されている。
は、選択性が非常に高く、高感度な測定を簡易かつ迅速
に分析することが可能であるため、近年計測目的成分が
極微量で、多数の化合物が共存する臨床生体試料、環境
試料、食品試料等の分析、評価に使用されている。
【0003】ところで、電気化学的計測に於ける検出器
の作用電極として、どのような電極材料を選択するか
は、測定物質の定性・定量の可否に大きく影響する。従
来、こうした電気化学計測用電極としては、白金、金、
などの貴金属や、ガラス状炭素、炭素繊維、熱分解黒鉛
などの炭素が使用されてきた。しかしながら、貴金属は
感度が劣るうえ高価であり、そのうち水素発生電位より
負側で使用できないものがあるなど使用電位範囲が狭
い。また、これらの電極はハロゲン化イオンに対して弱
いうえ、金属を素材とするためイオンが溶出するなどの
試料への汚染もある。
の作用電極として、どのような電極材料を選択するか
は、測定物質の定性・定量の可否に大きく影響する。従
来、こうした電気化学計測用電極としては、白金、金、
などの貴金属や、ガラス状炭素、炭素繊維、熱分解黒鉛
などの炭素が使用されてきた。しかしながら、貴金属は
感度が劣るうえ高価であり、そのうち水素発生電位より
負側で使用できないものがあるなど使用電位範囲が狭
い。また、これらの電極はハロゲン化イオンに対して弱
いうえ、金属を素材とするためイオンが溶出するなどの
試料への汚染もある。
【0004】一方、炭素は安価であり、使用電位範囲が
広いうえ溶出により試料を汚染することが無い。しか
し、ガラス状炭素や炭素繊維は、電極反応活性が劣るた
め感度が低く、酸化や研磨などの前処理工程の影響も大
きく、測定の再現性が悪いなどの欠点を有している。ま
た熱分解黒鉛電極は電極反応活性が優れているため高感
度であるが、単独では機械的強度に乏しく組織内に電解
液が浸透するので絶縁性の樹脂や油を含浸する必要があ
るため、電気化学的特性のバラツキが大きく、データの
再現性が得られない。また、有機溶媒が含まれる系では
含浸物が溶出するので使用不可能であるなどの制約もあ
る。
広いうえ溶出により試料を汚染することが無い。しか
し、ガラス状炭素や炭素繊維は、電極反応活性が劣るた
め感度が低く、酸化や研磨などの前処理工程の影響も大
きく、測定の再現性が悪いなどの欠点を有している。ま
た熱分解黒鉛電極は電極反応活性が優れているため高感
度であるが、単独では機械的強度に乏しく組織内に電解
液が浸透するので絶縁性の樹脂や油を含浸する必要があ
るため、電気化学的特性のバラツキが大きく、データの
再現性が得られない。また、有機溶媒が含まれる系では
含浸物が溶出するので使用不可能であるなどの制約もあ
る。
【0005】特開平5−155610号公報には、前述
した電極材料の欠点が解決された、すなわち、計測目的
成分が極微量で、多数の化合物が共存する臨床生体試
料、環境試料、食品試料等の各種試料溶液系での分析、
評価に使用でき、電極特性のバラツキが少なく、データ
の再現性があり、特殊な前処理を必要とせず、安定に電
極反応を測定できるなど電極特性の優れた電極材料とし
て、ガラス状炭素のマトリックス中に黒鉛の結晶を、黒
鉛結晶固有の電極反応活性を持つよう一方向に配向させ
た組織で、その最大細孔の直径が150オングストロー
ム以下であり、実質的にガラス状炭素並の電解液不浸透
性を有する黒鉛/ガラス状炭素複合材料である電極用炭
素材料が記載されている。
した電極材料の欠点が解決された、すなわち、計測目的
成分が極微量で、多数の化合物が共存する臨床生体試
料、環境試料、食品試料等の各種試料溶液系での分析、
評価に使用でき、電極特性のバラツキが少なく、データ
の再現性があり、特殊な前処理を必要とせず、安定に電
極反応を測定できるなど電極特性の優れた電極材料とし
て、ガラス状炭素のマトリックス中に黒鉛の結晶を、黒
鉛結晶固有の電極反応活性を持つよう一方向に配向させ
た組織で、その最大細孔の直径が150オングストロー
ム以下であり、実質的にガラス状炭素並の電解液不浸透
性を有する黒鉛/ガラス状炭素複合材料である電極用炭
素材料が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
電極用炭素材料は、固体の材料を、固層状態のまま高度
に剪断力のかけられる混合機・混練機により分散混合
後、黒鉛が高度に配向するよう押出し機により成形する
ものであり、固層状態で不浸透性を賦与し電極特性を向
上させるためにピッチや熱可塑性樹脂を用いているの
で、炭素前駆体化処理が必要であるという問題があっ
た。
電極用炭素材料は、固体の材料を、固層状態のまま高度
に剪断力のかけられる混合機・混練機により分散混合
後、黒鉛が高度に配向するよう押出し機により成形する
ものであり、固層状態で不浸透性を賦与し電極特性を向
上させるためにピッチや熱可塑性樹脂を用いているの
で、炭素前駆体化処理が必要であるという問題があっ
た。
【0007】したがって本発明の目的は、ピッチや熱可
塑性樹脂を混合して炭素前駆体化処理をするといった特
別な工程を経ずとも高分散化可能であり、生産性に優
れ、黒鉛の高度な配向が可能な電気化学計測用炭素材料
及びその製造方法を提供することにある。
塑性樹脂を混合して炭素前駆体化処理をするといった特
別な工程を経ずとも高分散化可能であり、生産性に優
れ、黒鉛の高度な配向が可能な電気化学計測用炭素材料
及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば熱硬化性
樹脂の液状組成物の炭素化により得られるガラス状炭素
と、該ガラス状炭素中に分散しかつ一方向に配向した黒
鉛とを具備する電気化学計測用炭素材料が提供される。
前記黒鉛の粒径が50μm以下であることが好ましい。
樹脂の液状組成物の炭素化により得られるガラス状炭素
と、該ガラス状炭素中に分散しかつ一方向に配向した黒
鉛とを具備する電気化学計測用炭素材料が提供される。
前記黒鉛の粒径が50μm以下であることが好ましい。
【0009】黒鉛の含有割合は5重量%以上75重量%
以下であることが好ましい。本発明によれば、熱硬化性
樹脂の液状組成物中に黒鉛を混合し、混合物を、黒鉛を
一方向に配向制御しつつ所望の形状に成形し、成形物
を、不活性雰囲気、非酸化性雰囲気中、又は真空中で焼
成する段階を具備する電気化学計測用炭素材料の製造方
法が提供される。
以下であることが好ましい。本発明によれば、熱硬化性
樹脂の液状組成物中に黒鉛を混合し、混合物を、黒鉛を
一方向に配向制御しつつ所望の形状に成形し、成形物
を、不活性雰囲気、非酸化性雰囲気中、又は真空中で焼
成する段階を具備する電気化学計測用炭素材料の製造方
法が提供される。
【0010】本発明の電気化学計測用炭素材料では、液
状の熱硬化性樹脂の炭素化により得られるガラス状炭素
で不浸透性が賦与されるので、不浸透性を賦与するため
のピッチ、熱可塑性樹脂の混合および炭素前駆体化処理
が不要である。熱硬化性樹脂は、焼成することにより、
ガラス状の難黒鉛化性炭素を残すものであることが好ま
しい。
状の熱硬化性樹脂の炭素化により得られるガラス状炭素
で不浸透性が賦与されるので、不浸透性を賦与するため
のピッチ、熱可塑性樹脂の混合および炭素前駆体化処理
が不要である。熱硬化性樹脂は、焼成することにより、
ガラス状の難黒鉛化性炭素を残すものであることが好ま
しい。
【0011】黒鉛は、平均粒径50μm以下の黒鉛ウイ
スカー、高配向性熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛、天然黒
鉛、人造黒鉛、フラーレン、黒鉛繊維チョップより成る
群より選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
焼成する段階は、700℃〜2800℃の温度に加熱処
理することを含むことが好ましい。
スカー、高配向性熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛、天然黒
鉛、人造黒鉛、フラーレン、黒鉛繊維チョップより成る
群より選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
焼成する段階は、700℃〜2800℃の温度に加熱処
理することを含むことが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に於いて熱硬化性樹脂の液
状組成物とは、熱硬化性樹脂の初期重合体類や溶剤に溶
解させた一種または二種以上の複合液状体である。熱硬
化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポ
キシ樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メ
ラミン樹脂、アルキッド樹脂、コプナ樹脂等が用いら
れ、加熱により分子間架橋を生じ三次元化して硬化し、
特別の炭素前駆体化処理を行うことなく高い炭素残査収
率を示すものであり、好ましくは、フラン樹脂及びフェ
ノール樹脂である。
状組成物とは、熱硬化性樹脂の初期重合体類や溶剤に溶
解させた一種または二種以上の複合液状体である。熱硬
化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポ
キシ樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メ
ラミン樹脂、アルキッド樹脂、コプナ樹脂等が用いら
れ、加熱により分子間架橋を生じ三次元化して硬化し、
特別の炭素前駆体化処理を行うことなく高い炭素残査収
率を示すものであり、好ましくは、フラン樹脂及びフェ
ノール樹脂である。
【0013】次に本発明において、電気化学計測用炭素
材料の特性向上を目的として用いられる黒鉛微粉末につ
いて説明する。電極反応活性に富み電位窓が大きく前処
理も容易であり経時劣化がなく安定性が高いため、電極
の特性向上の為に用いられる黒鉛粉末としては、黒鉛ウ
イスカー、高配向性熱分解黒鉛(HOPG)、キッシュ
黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛、フラーレン、黒鉛繊維チョ
ップ等の粉末が挙げられる。使用する黒鉛粉末の種類と
量は、目的とする電気化学計測用炭素電極の要求特性、
寸法、形状、等により適宜選択され、単独でも二種以上
の混合体でも使用することができるが、特に電極特性の
向上効果が高いことから、結晶の良く発達した鱗状黒鉛
粉末を使用することが好ましい。黒鉛粉末の粒径は、目
的とする電極特性や寸法、形状によっても異なるが、成
形性及び黒鉛の一方向への配向制御の容易なことから平
均粒径が50μm以下であることが好ましい。
材料の特性向上を目的として用いられる黒鉛微粉末につ
いて説明する。電極反応活性に富み電位窓が大きく前処
理も容易であり経時劣化がなく安定性が高いため、電極
の特性向上の為に用いられる黒鉛粉末としては、黒鉛ウ
イスカー、高配向性熱分解黒鉛(HOPG)、キッシュ
黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛、フラーレン、黒鉛繊維チョ
ップ等の粉末が挙げられる。使用する黒鉛粉末の種類と
量は、目的とする電気化学計測用炭素電極の要求特性、
寸法、形状、等により適宜選択され、単独でも二種以上
の混合体でも使用することができるが、特に電極特性の
向上効果が高いことから、結晶の良く発達した鱗状黒鉛
粉末を使用することが好ましい。黒鉛粉末の粒径は、目
的とする電極特性や寸法、形状によっても異なるが、成
形性及び黒鉛の一方向への配向制御の容易なことから平
均粒径が50μm以下であることが好ましい。
【0014】以下に本発明による電気化学計測用炭素材
料の製造方法を説明する。まず、焼成後に電解液不浸透
性を示すガラス状炭素となる熱硬化性樹脂の液状組成物
と黒鉛粉末とを適宜選択した後、混合機を用いて充分に
分散させる。次にこの混合体を、製膜機や押し出し成型
機のような通常のプラスチック成形を行う際に使用され
ている成形機を用い、黒鉛微粉末を一方向に配向制御さ
せつつ膜形状に成形する。得られた膜形状体は、エアオ
ーブン中で硬化処理を施した後、窒素、アルゴン等の不
活性ガス雰囲気中で昇温速度を制御しつつ焼成すること
で炭素化を終了させ、ガラス状炭素中に黒鉛粉末が一方
向に配向した炭素複合体からなる電気化学計測用炭素材
が得られる。ここで、炭素化は不活性ガス雰囲気もしく
は真空下で700〜2800℃程度まで加熱昇温し行わ
れるが、炭素化時の昇温速度が大きいと賦形体の形状が
変形したり微細なクラックが生じるなどの欠陥が生じ
る。したがって、500℃までは毎時50℃以下、それ
以降も毎時100℃以下で行うことが適切である。
料の製造方法を説明する。まず、焼成後に電解液不浸透
性を示すガラス状炭素となる熱硬化性樹脂の液状組成物
と黒鉛粉末とを適宜選択した後、混合機を用いて充分に
分散させる。次にこの混合体を、製膜機や押し出し成型
機のような通常のプラスチック成形を行う際に使用され
ている成形機を用い、黒鉛微粉末を一方向に配向制御さ
せつつ膜形状に成形する。得られた膜形状体は、エアオ
ーブン中で硬化処理を施した後、窒素、アルゴン等の不
活性ガス雰囲気中で昇温速度を制御しつつ焼成すること
で炭素化を終了させ、ガラス状炭素中に黒鉛粉末が一方
向に配向した炭素複合体からなる電気化学計測用炭素材
が得られる。ここで、炭素化は不活性ガス雰囲気もしく
は真空下で700〜2800℃程度まで加熱昇温し行わ
れるが、炭素化時の昇温速度が大きいと賦形体の形状が
変形したり微細なクラックが生じるなどの欠陥が生じ
る。したがって、500℃までは毎時50℃以下、それ
以降も毎時100℃以下で行うことが適切である。
【0015】本発明によると、単体で電解質等に対する
不浸透性には優れるが、電極応答性の劣るガラス状炭素
中に、電気化学不浸透性は劣るが電極応答性の優れた黒
鉛の結晶端面を均一かつ一方向に配向制御したガラス状
炭素/黒鉛複合体とすることで、従来のガラス状炭素単
体や熱分解黒鉛のような黒鉛単体で成るものよりも電気
化学応答性が格段に向上した電気化学計測用炭素材料を
得ることが可能になった。
不浸透性には優れるが、電極応答性の劣るガラス状炭素
中に、電気化学不浸透性は劣るが電極応答性の優れた黒
鉛の結晶端面を均一かつ一方向に配向制御したガラス状
炭素/黒鉛複合体とすることで、従来のガラス状炭素単
体や熱分解黒鉛のような黒鉛単体で成るものよりも電気
化学応答性が格段に向上した電気化学計測用炭素材料を
得ることが可能になった。
【0016】また本発明では、単体では炭素化や後加工
処理が困難であり耐衝撃性の劣るガラス状炭素と加工処
理の容易な黒鉛との複合体であるため、炭素化工程を簡
易にすることができる上、炭素化処理後の加工も容易と
なるため、電気化学計測用炭素材料を効率よく安価に製
造することが可能である。以下に、実施例によって本発
明を更に具体的に説明するが、本願発明はこの実施例に
よって何等限定されるものではない。
処理が困難であり耐衝撃性の劣るガラス状炭素と加工処
理の容易な黒鉛との複合体であるため、炭素化工程を簡
易にすることができる上、炭素化処理後の加工も容易と
なるため、電気化学計測用炭素材料を効率よく安価に製
造することが可能である。以下に、実施例によって本発
明を更に具体的に説明するが、本願発明はこの実施例に
よって何等限定されるものではない。
【0017】
【実施例】(実施例1)フラン樹脂(日立化成工業
(株)製ヒタフランVF−303)フェノール樹脂(群
栄化学工業(株)製PGグレード)との混合樹脂80重
量部に天然鱗状黒鉛粉末(日本黒鉛工業(株)製 平均
粒度5μm)20重量部を添加して、充分に分散、混合
した後、製膜機を用い黒鉛が膜成形方向に配向するよう
制御しつつフランと黒鉛微粉体との混合体膜を作製す
る。得られた膜は、適宜の平板形状に加工し、次いで加
熱硬化処理を施した。得られた硬化体を、窒素ガス雰囲
気下1000℃まで50時間で昇温し炭素化処理した
後、真空高温炉により2300℃処理を施し炭素複合体
を得た。得られた炭素複合体のガラス状炭素/黒鉛重量
比は59/41であった。
(株)製ヒタフランVF−303)フェノール樹脂(群
栄化学工業(株)製PGグレード)との混合樹脂80重
量部に天然鱗状黒鉛粉末(日本黒鉛工業(株)製 平均
粒度5μm)20重量部を添加して、充分に分散、混合
した後、製膜機を用い黒鉛が膜成形方向に配向するよう
制御しつつフランと黒鉛微粉体との混合体膜を作製す
る。得られた膜は、適宜の平板形状に加工し、次いで加
熱硬化処理を施した。得られた硬化体を、窒素ガス雰囲
気下1000℃まで50時間で昇温し炭素化処理した
後、真空高温炉により2300℃処理を施し炭素複合体
を得た。得られた炭素複合体のガラス状炭素/黒鉛重量
比は59/41であった。
【0018】次に、得られた炭素体から電気化学計測用
に炭素材を切断加工し、電極特性を測定した。電極特性
は、柳本製ポーラログラフィクアナライザー(YANA
COP−1100)を使用し、5×10-3M Fe(C
N)6 4-−1M KCl系中でのフェロ/フェリシアンイ
オンのレドックス反応性を観察した。その結果を図1に
示す。特別な前処理を施さなくても、ブランク電流が小
さく応答性が良いためシャープな酸化還元波のピークが
得られ、ピーク電位の差ΔEpは理論値に近似し経時変
化もほとんど無かった。また、電解液の侵入に伴う電流
値の増加は見られず、実質的にガラス状炭素並の電解液
不浸透性を示した。
に炭素材を切断加工し、電極特性を測定した。電極特性
は、柳本製ポーラログラフィクアナライザー(YANA
COP−1100)を使用し、5×10-3M Fe(C
N)6 4-−1M KCl系中でのフェロ/フェリシアンイ
オンのレドックス反応性を観察した。その結果を図1に
示す。特別な前処理を施さなくても、ブランク電流が小
さく応答性が良いためシャープな酸化還元波のピークが
得られ、ピーク電位の差ΔEpは理論値に近似し経時変
化もほとんど無かった。また、電解液の侵入に伴う電流
値の増加は見られず、実質的にガラス状炭素並の電解液
不浸透性を示した。
【0019】(実施例2)フラン樹脂(日立化成工業
(株)製ヒタフランVF−303)85重量部に高純度
化処理を施した人造黒鉛粉末((株)エスイーシー製
平均粒度5μm)15重量部を添加して、充分に分散、
混合した後、製膜機を用い黒鉛が膜成形方向に配向する
よう制御しつつフランと黒鉛微粉体との混合体膜を作製
する。得られた膜は、適宜の平板形状に加工し、次いで
加熱硬化処理を施した。得られた硬化体を、窒素ガス雰
囲気下1400℃まで70時間で昇温炭素化処理するこ
とで炭素複合体を得た。得られた炭素複合体のガラス状
炭素/黒鉛重量比は67/33であった。
(株)製ヒタフランVF−303)85重量部に高純度
化処理を施した人造黒鉛粉末((株)エスイーシー製
平均粒度5μm)15重量部を添加して、充分に分散、
混合した後、製膜機を用い黒鉛が膜成形方向に配向する
よう制御しつつフランと黒鉛微粉体との混合体膜を作製
する。得られた膜は、適宜の平板形状に加工し、次いで
加熱硬化処理を施した。得られた硬化体を、窒素ガス雰
囲気下1400℃まで70時間で昇温炭素化処理するこ
とで炭素複合体を得た。得られた炭素複合体のガラス状
炭素/黒鉛重量比は67/33であった。
【0020】次に、得られた炭素体から電気化学計測用
に炭素材を切断加工し、電極特性を測定した。電極特性
は実施例1と同様に、柳本製ポーラログラフィクアナラ
イザー(YANACO P−1100)を使用し、5×
10-6M Fe(CN)6 4-−1M KCl系中でのフェ
ロ/フェリシアンイオンのレドックス反応性を観察し
た。その結果を図2に示す。低濃度試料中でもブランク
電流が小さく応答性が良いためシャープな酸化還元波の
ピークが得られ、ピーク電位の差ΔEpは理論値に近似
した。また、電解液の侵入に伴う電流値の増加は見られ
ず、実質的にガラス状炭素並の電解液不浸透性を示し
た。なお、高純度化処理を施さない黒鉛を使用した場合
は、不純物として混入している各種金属の影響で正確な
酸化還元波のピークが得られなかった。
に炭素材を切断加工し、電極特性を測定した。電極特性
は実施例1と同様に、柳本製ポーラログラフィクアナラ
イザー(YANACO P−1100)を使用し、5×
10-6M Fe(CN)6 4-−1M KCl系中でのフェ
ロ/フェリシアンイオンのレドックス反応性を観察し
た。その結果を図2に示す。低濃度試料中でもブランク
電流が小さく応答性が良いためシャープな酸化還元波の
ピークが得られ、ピーク電位の差ΔEpは理論値に近似
した。また、電解液の侵入に伴う電流値の増加は見られ
ず、実質的にガラス状炭素並の電解液不浸透性を示し
た。なお、高純度化処理を施さない黒鉛を使用した場合
は、不純物として混入している各種金属の影響で正確な
酸化還元波のピークが得られなかった。
【0021】(比較例1)製膜機を用いてフラン樹脂
(日立化成工業(株)製ヒタフランVF−303)のみ
からなる膜を作製した。得られた膜を、適宜の平板形状
に加工し、次いで加熱硬化処理を施した。得られた硬化
体を、窒素ガス雰囲気下1400℃まで70時間で昇温
炭素化処理することでガラス状炭素体を得た。次に、得
られたガラス状炭素体から電気化学計測電極用に炭素材
を切断加工し、電極特性を測定した。但し、切断加工
時、実施例1,2に比べ切断速度を1/10程度まで減
速しないと切断が困難な上、切断面にノッチが発生し易
く、同一形状体を作製するのが困難であった。電極特性
は、実施例1,2と同様に柳本製ポーラログラフィクア
ナライザー(YANACO P−1100)を使用し、
5×10-3M Fe(CN)6 4-−1M KCl系中での
フェロ/フェリシアンイオンのレドックス反応性を観察
した。その結果を図3に示す。前処理の仕方により電極
特性が異なり再現性が悪い上、実施例1に比べ応答性が
劣るためブロードな酸化還元波のピークしか得られなか
った。ピーク電位の差ΔEpは理論値の倍程度と劣って
いた。なお、電解液の侵入に伴う電流値の増加は見られ
ず、優れた電解液不浸透性は示した。
(日立化成工業(株)製ヒタフランVF−303)のみ
からなる膜を作製した。得られた膜を、適宜の平板形状
に加工し、次いで加熱硬化処理を施した。得られた硬化
体を、窒素ガス雰囲気下1400℃まで70時間で昇温
炭素化処理することでガラス状炭素体を得た。次に、得
られたガラス状炭素体から電気化学計測電極用に炭素材
を切断加工し、電極特性を測定した。但し、切断加工
時、実施例1,2に比べ切断速度を1/10程度まで減
速しないと切断が困難な上、切断面にノッチが発生し易
く、同一形状体を作製するのが困難であった。電極特性
は、実施例1,2と同様に柳本製ポーラログラフィクア
ナライザー(YANACO P−1100)を使用し、
5×10-3M Fe(CN)6 4-−1M KCl系中での
フェロ/フェリシアンイオンのレドックス反応性を観察
した。その結果を図3に示す。前処理の仕方により電極
特性が異なり再現性が悪い上、実施例1に比べ応答性が
劣るためブロードな酸化還元波のピークしか得られなか
った。ピーク電位の差ΔEpは理論値の倍程度と劣って
いた。なお、電解液の侵入に伴う電流値の増加は見られ
ず、優れた電解液不浸透性は示した。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電気化学
計測電極用炭素材料は、特別な前処理をせずとも、再現
良く優れた電気化学応答を得ることができる。またガラ
ス状炭素並の電解液不浸透性を有するうえ、生産性、加
工性がガラス状炭素に比べ優れているため、安価に製品
を提供することが可能である。
計測電極用炭素材料は、特別な前処理をせずとも、再現
良く優れた電気化学応答を得ることができる。またガラ
ス状炭素並の電解液不浸透性を有するうえ、生産性、加
工性がガラス状炭素に比べ優れているため、安価に製品
を提供することが可能である。
【図1】実施例1の炭素材料の電極特性を示すグラフで
ある。
ある。
【図2】実施例2の炭素材料の電極特性を示すグラフで
ある。
ある。
【図3】比較例1の炭素材料の電極特性を示すグラフで
ある。
ある。
Claims (7)
- 【請求項1】 熱硬化性樹脂の液状組成物の炭素化によ
り得られるガラス状炭素と、 該ガラス状炭素中に分散しかつ一方向に配向した黒鉛と
を具備する電気化学計測用炭素材料。 - 【請求項2】 前記黒鉛の粒径が50μm以下である請
求項1記載の電気化学計測用炭素材料。 - 【請求項3】 黒鉛の含有割合が5重量%以上75重量
%以下である請求項2記載の電気化学計測用炭素材料。 - 【請求項4】 熱硬化性樹脂の液状組成物中に黒鉛を混
合し、 混合物を、黒鉛を一方向に配向制御しつつ所望の形状に
成形し、 成形物を、不活性雰囲気、非酸化性雰囲気中、又は真空
中で焼成する段階を具備する電気化学計測用炭素材料の
製造方法。 - 【請求項5】 熱硬化性樹脂は、焼成することにより、
ガラス状の難黒鉛化性炭素を残す請求項4に記載の電気
化学計測用炭素材料の製造方法。 - 【請求項6】 黒鉛が、平均粒径50μm以下の黒鉛ウ
イスカー、高配向性熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛、天然黒
鉛、人造黒鉛、フラーレン、黒鉛繊維チョップより成る
群より選ばれた少なくとも一種である請求項4に記載の
電気化学計測用炭素材料の製造方法。 - 【請求項7】 焼成する段階が、700℃〜2800℃
の温度に加熱処理することを含む請求項4に記載の電気
化学計測用炭素材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11081459A JP2000275208A (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | 電気化学計測用炭素材料およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11081459A JP2000275208A (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | 電気化学計測用炭素材料およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000275208A true JP2000275208A (ja) | 2000-10-06 |
Family
ID=13746995
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11081459A Withdrawn JP2000275208A (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | 電気化学計測用炭素材料およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000275208A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005088288A1 (ja) * | 2004-03-10 | 2005-09-22 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | カーボンナノチューブバイオセンサ |
US7264756B2 (en) | 2003-10-27 | 2007-09-04 | Mitsubishi Pencil Co., Ltd. | Optical measurement substrate and fabrication method for the same |
CN106187192A (zh) * | 2016-07-18 | 2016-12-07 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 一种玻璃炭制品的制备方法及玻璃炭制品 |
-
1999
- 1999-03-25 JP JP11081459A patent/JP2000275208A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7264756B2 (en) | 2003-10-27 | 2007-09-04 | Mitsubishi Pencil Co., Ltd. | Optical measurement substrate and fabrication method for the same |
WO2005088288A1 (ja) * | 2004-03-10 | 2005-09-22 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | カーボンナノチューブバイオセンサ |
JPWO2005088288A1 (ja) * | 2004-03-10 | 2008-01-31 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | カーボンナノチューブバイオセンサ |
CN106187192A (zh) * | 2016-07-18 | 2016-12-07 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 一种玻璃炭制品的制备方法及玻璃炭制品 |
CN106187192B (zh) * | 2016-07-18 | 2019-01-29 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 一种玻璃炭制品的制备方法及玻璃炭制品 |
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