JP2000273541A - 合金鋼線材の直接球状化焼なまし方法 - Google Patents
合金鋼線材の直接球状化焼なまし方法Info
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Abstract
し処理で、通常の長時間球状化焼なまし材並の硬さを確
保し、しかもそのバラツキが少なく、また再生パーライ
トの生成もない、合金鋼線材の有利な直接球状化焼なま
し方法を提供する。 【解決手段】 合金鋼線を製造に際し、最終仕上温度:
900 〜1150℃の条件で熱間圧延して線材とし、ついで体
積率で80%以上がベイナイトまたはマルテンサイトの低
温変態組織となる冷却を施した後、 600℃から(Ac1点
+10℃)〜(Ac1点+80℃)まで平均加熱速度:1〜20
℃/sで加熱し、加熱後直ちにまたは同温度で60s以内保
持してから、(Ar1点+50℃)〜 (Ar1点+10℃)まで
1℃/s以上の速度で冷却し、さらにAr1点〜 (Ar1点−
30℃)まで 0.5℃/s以下の速度で冷却し、その温度に 1
20s以上保持する。
Description
化焼なまし方法、とくに直接球状化焼なまし方法に関
し、とりわけ熱間圧延後、直接球状化焼なましを施す場
合に、焼なまし時間の有利な短縮化と、材料特性の安定
化を図ろうとするものである。
切削して成形を行う機械部品は、合金鋼線材のスケール
除去を目的として一次酸洗後に球状化焼なましを行い、
ついで球状化焼なましによる脱炭層とスケール除去を目
的として二次酸洗を行い、さらに寸法精度の向上を目的
として約10%程度の伸線加工を行ったのち、潤滑処理を
施して成形加工される。上記したような合金鋼線材の球
状化焼なましは、成形加工時の材料の硬さを十分に低下
させて加工性を確保する上で不可欠のプロセスであり、
通常は、コイル状態でポット炉に装入し、所定の熱履歴
を付与する。
は、以下に述べるような問題があった。 (1) コイル状態で加熱または冷却する熱履歴を付与する
ため、加熱・冷却に長時間(通常20〜30時間程度)を要
することから、生産性が低く、熱処理コストが高い。 (2) コイル内の各部位で熱履歴が大幅に異なるため、品
質のばらつきが大きい。 (3) 生産性を向上させるためにコイル重量を大きくして
も、大重量のコイルを処理するには、より大型のポット
炉が必要となることから、過剰な設備投資が必要になる
だけでなく、その維持のためのコストが大幅に増大す
る。
63−230821号公報には、 C:0.10〜1.00mass%を含有
する鋼片を熱間圧延し、仕上圧延機群の入側における被
圧延材の温度を 650〜850 ℃となし、仕上圧延機群の出
側における前記被圧延材の最終仕上温度を 750〜900 ℃
となして鋼線材を調整し、次いで、前記鋼線材を2℃/
秒以上の冷却速度で 650℃以下の温度まで冷却し、次い
で、冷却された前記鋼線材を2℃/秒以上の加熱速度で
Ac1〜Ac1+160 ℃の温度域まで加熱し、そして、前記
温度域において5分間以内の時間保持し、次いで前記温
度域に加熱、保持された前記鋼線材を、 1) Ar1〜Ar1−160 ℃の温度まで冷却し、そして、前
記温度域において5〜60分間の時間保持するか、または 2) 任意の冷却速度でAr1の温度まで冷却し、次いで、
前記温度に冷却された前記鋼線材を、 2℃/秒以下の
冷却速度でAr1−80℃の温度まで冷却することを特徴と
する熱間圧延鋼線材の直接球状化処理方法が開示されて
いる。
0821号公報によれば、熱間圧延後、球状化焼なましを行
う前組織として低温圧延により微細なフェライトおよび
パーライト組織を必要とする。しかしながら、低温圧延
は組織的不均一を生じ易く、そのため球状化組織にバラ
ツキを生じ、ひいては達成硬さにバラツキが生じるとい
う問題があった。また、この方法を実施するためには、
新規な球状化焼なまし設備の他に、既存の設備において
も仕上圧延前後の温度をかなり低くする必要があり、仕
上圧延前に冷却ゾーンを設置したり、圧延機の能力を増
大させるといった新規な設備の設置や改造が不可欠であ
るため、設備費が嵩むところにも問題を残していた。さ
らに、亜共析鋼では、球状化処理中に、セメンタイトが
A1 変態点以上では不安定相であることなどを原因とし
て再生パーライトが生じてしまい、冷間鍛造性を著しく
劣化させてしまうという問題があった。
析合金綱を短時間の直接球状化焼なまし処理にて、通常
の長時間球状化焼なまし材並の硬さを確保し、しかもそ
のバラツキが少なく、また再生パーライトの生成もな
い、合金鋼線材の有利な直接球状化焼なまし方法を提案
することを目的とする。さらに加えて、本発明の目的
は、安価な設備の下で、繁雑な圧延制御を行う必要なし
に実施できる直接球状化焼なまし方法を提案することに
ある。
終仕上温度:900 〜1150℃の条件で熱間圧延して線材と
し、ついで体積率で80%以上がベイナイトまたはマルテ
ンサイトの低温変態組織となる冷却を施した後、 600℃
から(Ac1点+10℃)〜(Ac1点+80℃)まで平均加熱
速度:1〜20℃/sで加熱し、加熱後直ちにまたは同温度
で60s以内保持してから、(Ar1点+50℃)〜 (Ar1点
+10℃)まで1℃/s以上の速度で冷却し、さらにAr1点
〜 (Ar1点−30℃)まで 0.5℃/s以下の速度で冷却し、
その温度に 120s以上保持することを特徴とする合金鋼
線の直接球状化焼なまし方法である。
は、1本通しあるいは数ループ単位で行う方が、加熱お
よび冷却が短時間で済むだけでなく、温度の制御も容易
である。しかしながら、コイル状態あるいは棒鋼でもこ
の発明を適用すれば球状化処理時間の短縮が図れること
は言うまでもない。
験結果について述べる。発明者らは、代表的な亜共析合
金鋼であるクロムモリブデン鋼SCM435(JIS G4105)を
用いて、硬さとそのばらつきにおよぼす初期組織の影
響、並びに引き続いて行われる球状化焼なましのヒート
サイクルの影響を、加工フォーマスターを用いて詳細に
検討した。なお、処理条件は、図1または図2に示すヒ
ートサイクルとした。
ヒートサイクルにおいて圧延仕上温度T1 を低温圧延で
ある 820℃とした場合(処理A)と、通常の 950℃とし
た場合(処理B)で、圧延後の冷却終了温度T2 を種々
変化させた場合の影響について調査した。この時、球状
化焼なまし条件はS2 :8℃/s,T3 :790 ℃, t3:1
0s,S3 :5℃/s,T4 :720 ℃, S4 :0.2 ℃/s,
T5 : 690 ℃, t5 :600 sとした。また、球状化焼な
ましヒートサイクルの影響として、処理B材の球状化焼
なましヒートサイクルを図2のサイクル(処理C)とし
た場合と比較した。この時の球状化焼なまし条件は、処
理Bの徐冷部分を省いたもの、すなわちS2 : 8 ℃/s,
T3 :790 ℃, t3 :10s,S3 : 5℃/s,T4 : 690
℃,t4 : 600 sとした。
らに各試験片より5点硬さを測定し、そのバラツキと平
均値を測定した。またT2 での低温変態相の相分率は、
T2まで処理したサンプルを急冷し、その変態曲線と組
織観察より求めた。得られた結果を図3に示す。図3に
示したとおり、処理Aの低温仕上圧延では、T2 が高温
からフェライト−パーライト変態が生じるため軟化が起
こるが、そのバラツキは大きく、通常球状化焼なまし材
のHv ≦175 をバラツキを含め達成することができない
ことが分かる。この原因の詳細は明らかではないが、初
期組織のフェライト−パーライト組織のバラツキが影響
したものと考えられる。
とほぼ均一な組織になっているにも関わらず、バラツキ
を含め十分な軟化組織が達成できなかった。詳細は明ら
かでないが、成分的バラツキがAr1点のバラツキとな
り、同一条件でも部分的に軟化が達成できなかったもの
と推察される。
下の範囲において、低温変態相の相分率が80%以上にな
ると共に、球状化焼なまし材の硬さをバラツキを含めて
Hv≦175 の範囲に制御することができた。
して加熱から冷却までの処理条件を厳密に制御しない
と、残留炭化物の核が消失してしまい、再生パーライト
が発生して、冷間鍛造性が著しく劣化することが判明し
た。
製造条件を前記の範囲に限定した理由について説明す
る。まず、本発明で対象とする鋼材は、製造工程におい
て球状化焼なましが不可欠な機械部品用鋼材、中でもC
量が亜共晶鋼範囲である鋼材全てに適用可能である。た
とえばその代表鋼として、クロムモリブデン鋼鋼材(JIS
G 4105)やクロム鋼鋼材 (JIS G 4104) などが挙げられ
る。かかる鋼種において、特にC,Crを前記の範囲に限
定した理由は次のとおりである。
す) Cは、固溶して基地を強化し、機械部品としての十分な
強度、耐摩耗性を向上させる有用な元素である。しかし
ながら、含有量が 0.1%未満では、冷間加工前に球状化
焼なましを行う必要がないことから、Cの下限は 0.1%
とした。一方、本発明の特徴である球状化焼なましに厳
密な熱処理が必要となる亜共析鋼のC量の上限として一
般的な値である 0.6%を上限とした。
び安定化に有効な成分であり、本発明では特にA1 点以
上に加熱時の炭化物の安定化のために重要な役割をはた
す。しかしながら、含有量が0.25%未満ではA1 変態点
以上で炭化物が安定せず急速に分解してしまうため、再
生パーライトが生じてしまい良好な球状化組織が得られ
ず、軟化を困難にするばかりか、冷間鍛造性をも著しく
劣化させる。一方 1.6%を超えると切削性の低下および
化学組成からみてコストアップとなるので、Cr量は0.25
〜1.6 %の範囲で含有させるものとした。
発明では、これら2成分が上記の範囲を満足していれ
ば、その他の成分については特に限定されることはな
く、各鋼材において必要とされる特性値に応じて適宜含
有させることができる。
球状化焼なまし条件を前記の範囲に限定した理由につい
て説明する。 (1) 最終仕上温度:900 〜1150℃ 最終仕上温度が 900℃に満たないと、圧延後の冷却中に
鋼全体に均一な低温変態相が形成されず、フェライトや
パーライトが不均一に形成されるため、安定した球状化
焼きなまし組織を得ることが難しくなる。また、熱間圧
延時の変形抵抗が増大し、圧延機の増強や冷却能力の増
強が必要になるなど、設備投資が必要となることから、
最終仕上温度の下限は 900℃とした。一方、仕上圧延温
度が1150℃を超えると脱炭量が多くなり、また表面欠陥
が急増するため、1150℃を上限とした。
≧80% 安定して球状化焼なまし組織を得るためには、熱延後、
球状化焼なまし処理を行う前に、組織をオーステナイト
から一旦変態させる必要がある。このとき均一な球状化
焼なまし組織を得るためにはベイナイトやマルテンサイ
トを主とする低温変態組織としなければならない。その
ためには、冷却速度もさることながら、熱延後の冷却停
止温度を適正温度とすることが重要で、この温度制御に
よって、低温変態組織の体積率を80%以上とする必要が
ある。この冷却停止温度は、線材の成分組成によって幾
分変化するけれども、500 ℃以下程度とするのが好適で
ある。
点+80℃)まで平均加熱速度:1〜20℃/sで加熱、その
後直ちにまたは同温度で60s以内保持し、同温度から
(Ar1点+50℃)〜 (Ar1点+10℃)まで1℃/s以上の
速度で冷却 球状化焼なまし後の硬さは、残留炭化物の数に依存し、
数が少なくなるにつれて軟らかくなる傾向にある。この
ため硬さを低下するためには、加熱の段階から炭化物の
個数を減らす必要がある。すなわち、炭化物の不安定な
Ac1点以上に加熱して変態させ、炭化物の分解を十分に
行う必要がある。一方、A1 変態点以上の高温に長時間
加熱すると、亜共析鋼では炭化物が不安定となるため、
残留炭化物が完全に分解してしまい、その結果、冷却時
に炭化物の核が無くなって、球状化自体が達成されず、
再生パーライトが析出することになる。
生パーライトの析出の抑制には、加熱から冷却まで密接
に関係しているため、総合的に評価し厳密に制御する必
要がある。そのため、加熱速度と加熱温度範囲、および
その温度での保持時間、さらには冷却速度と冷却温度範
囲を種々変化させて、硬さ変化および再生パーライト析
出の有無を調査した。その結果、少なくとも 600℃から
(Ac1点+10℃)〜(Ac1点+80℃)まで平均加熱速
度:1〜20℃/sで加熱し、加熱後直ちにまたは同温度で
60s以内保持したのち、(Ar1点+50℃)〜 (Ar1点+
10℃)まで1℃/s 以上の速度で冷却する必要があるこ
とが究明された。
から(Ar1点) 〜 (Ar1点−30℃)まで 0.5℃/s 以下
の速度で冷却し、その温度に 120s以上保持する 一般に工程的な製造においては、偏析などによる局所的
な成分のバラツキや製造上の温度のバラツキをなどが生
じる。本発明においても、Ar1変態点まで1℃以上の速
度で冷却すると、得られる硬さに局所的なバラツキが生
じることが判明した。この問題を解消するには、変態点
近傍を徐冷することが有効で、これにより均一に軟化可
能であることが判明した。そこで、本発明では、(Ar1
点+50℃)〜 (Ar1点+10℃)から(Ar1点) 〜(Ar1
点−30℃)まで 0.5℃/s 以下の速度で徐冷し、その温
度に 120s以上保持することにしたのである。
な不均一の解消が望めないので、冷却速度は 0.5℃/s
以下に限定した。より好ましくは 0.2℃/s 以下の速度
である。また、(Ar1点−30℃)以下まで徐冷すると、
球状化が進行しないばかりか、再生パーライトを析出す
る問題を生じるため、徐冷処理を施すべき温度範囲の下
限は(Ar1点−30℃)とした。また、徐冷の終了温度が
Ar1点近傍では、その温度に達しても直ぐには変態が完
了しないため、球状化を完了させるためにはある程度の
時間保持する必要がある。この場合、変態の完了には少
なくとも 120sを必要とするので、保持時間は120 s以
上とした。
で溶製し、連続鋳造法にて 400×560 mmのブルームとし
た。ついで、表2に示す製造条件(図1のヒートサイク
ル)で 8.0mmφの線材とした。なお、ブルームの一部
は、通常の熱間圧延により 8.0mmφの線材とし、コイル
に巻き取って室温まで放冷したのち、通常条件の長時間
徐冷法で球状化焼なましを行った(従来法)。上記した
8.0mmφの線材のD/4における硬さを測定した。ま
た、顕微鏡観察試料を採取し、ピクラールにて腐食後に
ミクロ組織の観察を行い、再生パーライトの有無を調査
した。さらに、T2 での組織状態は、圧延途中で試験片
を一部抜き取り、その変態挙動と組織より、低温変態相
の相分率を求めた。得られた結果を表3に示す。
1250℃とこの発明範囲より高い(No.17, 25, 32)場合に
は、脱炭量が大きく、表面疵が発生した。また、T1 が
低すぎたり(No.16) 、T2 が高くオーステナイトのまま
だった場合(No.18) は、低温変態相の相比率が低く、十
分な軟化が達成できなかった。さらに、前組織が適正で
あっても、製造条件がこの発明範囲外では、硬さが従来
材より高いか、再生パーライトの析出が見られ、いずれ
も十分な特性が得られていない。これに対し、本発明に
処理した場合はいずれも、低温変態相の相比率が90%以
上で、再生パーライトの析出もなく、しかも安定してH
v ≦175 が達成されている。
を低下させる必要なく、また短時間で球状化組織を安定
して得ることができ、その結果、設備の増大等を招くこ
となしに、生産性を格段に向上させることができる。
ルを示した図である。
イクルを示した図である。
そのばらつきにおよぼす影響を示したグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】C:0.1 〜0.6 mass% Cr:0.25〜1.6 mass% を含有する組成になる合金鋼線を製造するに当たり、最
終仕上温度:900 〜1150℃の条件で熱間圧延して線材と
し、ついで体積率で80%以上がベイナイトまたはマルテ
ンサイトの低温変態組織となる冷却を施した後、 600℃
から(Ac1点+10℃)〜(Ac1点+80℃)まで平均加熱
速度:1〜20℃/sで加熱し、加熱後直ちにまたは同温度
で60s以内保持してから、(Ar1点+50℃)〜 (Ar1点
+10℃)まで1℃/s以上の速度で冷却し、さらにAr1点
〜 (Ar1点−30℃)まで 0.5℃/s以下の速度で冷却し、
その温度に 120s以上保持することを特徴とする合金鋼
線の直接球状化焼なまし方法。
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JP07501699A JP3772581B2 (ja) | 1999-03-19 | 1999-03-19 | 合金鋼線材の直接球状化焼なまし方法 |
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---|---|---|---|---|
KR100722395B1 (ko) | 2005-12-26 | 2007-05-28 | 주식회사 포스코 | 고성형성 미세 구상화 고탄소강판 및 그 제조 방법 |
JP2008088448A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-04-17 | Sanyo Special Steel Co Ltd | Crを含有する低炭素鋼の焼鈍方法 |
CN113151654A (zh) * | 2021-04-26 | 2021-07-23 | 东南大学 | 一种中碳合金钢的加工方法 |
CN114622064A (zh) * | 2022-02-23 | 2022-06-14 | 大冶特殊钢有限公司 | 一种MnCr系列低碳齿轮钢的球化退火方法 |
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1999
- 1999-03-19 JP JP07501699A patent/JP3772581B2/ja not_active Expired - Fee Related
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