JPH1025521A - 線材の球状化焼鈍方法 - Google Patents
線材の球状化焼鈍方法Info
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- JPH1025521A JPH1025521A JP8178798A JP17879896A JPH1025521A JP H1025521 A JPH1025521 A JP H1025521A JP 8178798 A JP8178798 A JP 8178798A JP 17879896 A JP17879896 A JP 17879896A JP H1025521 A JPH1025521 A JP H1025521A
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- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
となして軟化させることが可能な、炭素鋼や低合金鋼を
母材とする熱間圧延ままの線材の球状化焼鈍方法を提供
する。 【解決手段】母材が、C :0.15〜0.6 %、Mn+Cr:0.8
〜3.0 %を含有する鋼で、熱間圧延後の組織が式及び
を満たすストランド状態の線材を、100 ℃/秒以上の
加熱速度で温度T1 に昇温した後、直ちに温度T2 まで
C1 ℃/秒の冷却速度で冷却し、次いで、温度T3 の炉
中に装入して 3〜30分保持する。ここで、Ae1点+20℃
≦T1 ≦Ae1点+150 ℃、Ae1点−50℃≦T2 ≦Ae1点
+20℃、Ae1点−80℃≦T3 ≦Ae1点−20℃、{(T1
−Ae1点)/30}≦C1 ≦{(T1 −Ae1点)/1.5
}、である。又、{(ベイナイト分率)/(1−フ
ェライト分率)}≧0.2 、フェライト分率≧0.1 。
Description
方法に関し、より詳しくは、炭素鋼や低合金鋼を母材と
する熱間圧延ままの線材の急速球状化焼鈍方法に関す
る。なお、本発明の対象とする線材には、所謂「バーイ
ンコイル」も含む。
435などの低合金鋼を母材とし、ボルトや自動車部品
などの素材に用いられる線材は、通常の方法で熱間圧延
されたままでは、フェライトとパーライトの混合組織
(以下、「フェライト+パーライト組織」という)、フ
ェライト、パーライト及びベイナイトの混合組織(以
下、「フェライト+パーライト+ベイナイト組織」とい
う)、又は、フェライトとベイナイトの混合組織(以
下、「フェライト+ベイナイト組織」という)を有する
ため、強度が高く、靭性は低い。このため、熱間圧延ま
まの線材を、後工程である切断や冷間鍛造、更には切削
などの冷間加工にそのまま供した場合には、成形品や線
材に割れを生じたり、冷間加工のための工具の寿命が大
幅に縮まってしまう。したがって、熱間圧延ままの線材
には、下記(イ)、(ロ)に示すような方法で冷間加工
性を高める処理が施されてきた。
し、10〜25時間かけて球状化焼鈍を施す。
後の冷却速度を遅くすることで、線材の熱間圧延ままの
組織を粗大なフェライト+パーライト組織とする。 しかしながら、(イ)の方法は、繰り返しの球状化焼鈍
を要することが多く、工程が複雑になり処理時間も長く
なることから、コスト面で不利である。加えて、長時間
の熱処理(焼鈍処理)のために、線材の表面には脱炭や
厚いスケールが生成するという問題もある。
通常の方法で熱間圧延したままの線材に比べれば冷間加
工性は高いものの、熱間圧延ままの組織がフェライト+
パーライト組織であるため、球状化焼鈍した線材に比べ
ると冷間加工性は低い。更に、仕上げ温度を下げて熱間
圧延することは、圧延機への負担が大きくなるばかり
か、生産効率を低下させることにもなる。加えて、冷却
速度を遅くするためには、製造設備の改造を要するので
多額の設備投資が必要であるし、冷却速度が遅い分生産
効率が低下してしまう。
1−15930号公報には、「棒鋼線材をストランド状
態においてAc1点+30℃〜Ac1点+150℃の加熱温
度まで平均加熱速度50℃/分以上で加熱し、5分以内
保持した後、Ar1変態点まで10分以内に冷却し、つい
でAr1点−40℃までの温度域を0.5〜5℃/分の平
均冷却速度で冷却する」棒鋼線材の球状化処理方法が提
案されている。
の棒鋼線材の組織における相の中で、特にパーライトに
着目したもので、棒鋼線材をAc1点以上の温度に加熱す
ることでパーライトを構成する層状セメンタイトの一部
を基地に溶け込ませ、未固溶のセメンタイトを核として
球状化させようとするものである。このため、対象とす
る棒鋼線材について、その母材の成分系に応じて加熱温
度、加熱時間などを正確に制御する必要がある。
ように、目標加熱温度の好ましい温度範囲は、例えば、
機械構造用炭素鋼などの炭素鋼においては、Ac1点+3
0〜Ac1点+50℃、クロム鋼などの合金鋼において
は、Ac1点+40〜Ac1点+80℃であるため、加熱温
度を±10〜20℃の狭い範囲に制御する必要がある。
合、その走行速度は100m/分以上にもなる場合があ
り、このような高速走行時に線材の加熱温度を±(10
〜20)℃に制御することは極めて難しい。特に、目標
とする加熱温度がAc1点近傍の温度域であり、変態によ
る吸熱がおこることとも相俟って厳密な温度制御は難し
い。
金鋼を母材とする通常の熱間圧延線材の場合のようにベ
イナイトを含む組織である場合には、前記公報に記載の
技術では安定した球状化組織が得られないこともある。
び棒鋼の素材を特定条件で熱処理してベイナイト組織に
することによって、迅速球状化が可能な鋼線及び棒鋼の
製造方法が開示されている。しかしながら、線材の製造
においてベイナイトだけの組織とするためには、正確な
制御冷却を行うための設備や、恒温変態に必要な溶融ソ
ルトバスなどの設備が必要なため、経済的な面から問題
がある。更に、球状化焼鈍時間の短縮効果もそれほど大
きくない。すなわち、例えば上記公報中に実施例として
記載されているように、760℃に1時間保持後、60
0℃までを10℃/時間で徐冷した後空冷している。そ
のため、球状化焼鈍処理に11時間以上要している。
の靭性は低い。このため、通常コイル状に巻いて圧延さ
れた線材を巻き戻してストランド状態に矯正することは
極めて困難である。したがって、ベイナイト組織の線材
を、ストランド状態で熱処理することは難しい。
0号公報や、特開昭60−9832号公報に記載の技術
を用いれば、球状化焼鈍時間の短縮は一応は可能であ
る。しかしながら、これらの技術には、製造コスト、生
産効率、球状化焼鈍時間などに依然として問題がある。
鑑みなされたもので、炭素鋼や低合金鋼を母材とする熱
間圧延ままの線材に対して、短時間でセメンタイトの球
状化率を75%以上となして軟化させることが可能な、
線材の球状化焼鈍方法を提供することを目的とする。
観察した時、「その視野におけるセメンタイトに対して
の(短径)/(長径)の比が0.5以上であるセメンタ
イトの割合(%)」を意味する。
Sの用語の「棒状に熱間圧延された鋼で、コイル状に巻
かれた鋼材」のことをいい、既に述べたように、「バー
インコイル」を含むものである。
究を重ねた結果、熱間圧延ままの線材に短時間焼鈍処理
を施して、セメンタイトの球状化率を75%以上にする
ためには、下記の(a)から(f)を満たさねばならな
いことを見いだした。
イトの溶解速度(固溶速度)を遅くするためには、上記
線材の組織中にベイナイトが含まれ、更に、上記線材の
母材中にCr及び/又はMnが適正量含有されている必
要がある。
トの形状が速やかに球状に変化する相は、ベイナイトで
ある。そして、一定割合以上のベイナイトを含む場合に
はセメンタイトの球状化が速やかに起こる。
トランド状態に巻き戻して矯正するためには、線材の組
織中に適正量のフェライトが含まれている必要がある。
及びMnをセメンタイト溶解時になるべく拡散させない
ために、Ae1点より高い温度域に線材を長時間保持して
はいけない。
には、加熱速度及び加熱温度に応じた冷却速度で冷却す
れば良い。
させるためには、線材をAe1点直下近傍の温度域で徐冷
するか、前記温度域で保持すれば良い。
材の球状化焼鈍方法を要旨とする。
%、Mn+Cr:0.8〜3.0%を含有する鋼で、熱
間圧延後の組織が式及びを満たすストランド状態の
線材を、温度T1 に100℃/秒以上の加熱速度で昇温
した後、直ちに温度T2 までC1 ℃/秒の冷却速度で冷
却し、次いで、温度T3 の炉中に装入して3〜30分保
持することを特徴とする線材の球状化焼鈍方法。
/1.5}、である。」
する。なお成分元素量における「%」は「重量%」を意
味する。
後、最終工程で焼入れ焼戻しなどの熱処理を施されて、
所望の特性(強度、靭性、耐食性など)を付与される。
この最終製品における特性の付与と、短時間でセメンタ
イトの球状化率が75%以上である球状化焼鈍組織を得
る意味合いから、線材の化学成分としてC量、Mn+C
r量のみを下記の範囲に限定する。
その含有量が0.15%未満では充分な強度が得られな
い。一方、0.6%を超えて含有させても強度上昇効果
は飽和し、加えて焼き入れ時に割れ(焼き割れ)を生じ
やすくなる。したがって、Cの含有量を0.15〜0.
6%とした。
ンタイトを安定化し、加熱時にセメンタイトの溶解速度
を遅くして、セメンタイトを適正量残存させる効果を有
する。更に、Mn及びCrには焼き入れ性を高めて、強
度及び靭性を向上させる作用がある。前記した作用はM
nとCrが単独で含有されるか、複合して含有されるか
を問わず発揮される。すなわち、MnとCrのうちのい
ずれかが0(ゼロ)であっても良い。しかし、MnとC
rの含有量の和が0.8%未満では所望の効果が得られ
ない。一方、MnとCrの含有量の和で3.0%を超え
てを含有させると、球状セメンタイトの成長が著しく遅
くなり、短時間で球状化できなくなる。したがって、M
n+Crの含有量を、0.8〜3.0%とした。
r以外の他の化学成分の組成に関しては、特別な限定を
加える必要はない。最終製品において要求される特性の
付与が可能であり、且つ球状化焼鈍が短時間で完了する
ような成分範囲でありさえすれば良い。
の元素としてSi:0〜2.0%、Cu:0〜2.0
%、Ni:0〜4.0%、Mo:0〜0.5%、V:0
〜0.4%、Nb:0〜0.05%、Ti:0〜0.1
0%、Al:0〜0.10%、N:0〜0.03%、
B:0〜0.005%、S:0〜0.10%、Pb:0
〜0.30%、希土類元素:0〜0.10%、Ca:0
〜0.01%、Mg:0〜0.01%を含有し、残部が
Feと不可避不純物からなり、不純物としてのPが0.
05%以下のものであれば良い。
などを目的に、CとMn+Cr以外の上記した元素を追
加含有させる場合には、Si:0.05〜2.0%、C
u:0.05〜2.0%、Ni:0.3〜4.0%、M
o:0.05〜0.5%、V:0.05〜0.4%、N
b:0.002〜0.05%、Ti:0.005〜0.
10%、Al:0.001〜0.10%、N:0.00
1〜0.03%、B:0.0003〜0.005%、
S:0.005〜0.10%、Pb:0.02〜0.3
0%、希土類元素:0.002〜0.10%、Ca:
0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.
01%の含有量とすることが好ましい。更に、不純物と
してのPは0.05%以下とすることが好ましい。
で熱間圧延された線材の組織は、フェライト+パーライ
ト組織、フェライト+パーライト+ベイナイト組織、又
はフェライト+ベイナイト組織のいずれかである。
以上の温度に加熱された時、ベイナイト中のセメンタイ
トは、パーライト中のセメンタイトに比べて溶解速度が
遅く、しかも速やかに球状になりやすい。このため、加
熱後の冷却時にセメンタイト析出の核として有効に働く
ので、球状化焼鈍の短縮に有効である。したがって、熱
間圧延した後の(球状化焼鈍前の)線材の組織を、ベイ
ナイトを含んだものに限定する。すなわち、熱間圧延後
の線材の組織を、フェライト+パーライト+ベイナイト
組織、又はフェライト+ベイナイト組織のいずれかに規
定する。
ためには、後の実施例でも詳しく示すように、下記の式
を満たすことが重要である。
率)が0.2を下回ると、加熱時のセメンタイトの基地
への溶解量が多くなり過ぎて、所望の75%以上のセメ
ンタイトの球状化率が得られない。なお、(ベイナイト
分率)/(1−フェライト分率)の上限は1(すなわ
ち、熱間圧延後の線材の組織がフェライト+ベイナイト
組織)であっても構わない。
ト分率」はそれぞれ、倍率500倍の顕微鏡で5視野観
察した時の、「ベイナイトの面積割合」、「フェライト
の面積割合」を指す。
ランド状態に巻き戻して矯正するためには、線材の組織
中にフェライトが少なくとも10%含まれている必要が
ある。したがって、下記の式を満たすように規定し
た。
要があるので、フェライト分率の上限は0.7程度とす
ることが好ましい。
付与するには、例えば、通常の方法で熱間圧延した後、
適正な冷却条件で冷却すれば良い。この冷却条件は、例
えば、線材の直径と母材の化学組成毎に組織を調査し、
この調査データを基にして決定すれば良い。
での保持時間を短くして、セメンタイト中に濃化してい
るCr及びMnをなるべく拡散させないようにすること
で、セメンタイトの再析出時に球状化を促進しなければ
ならない。このためには、急速加熱処理によって昇温さ
せる必要がある。
ては、以下に示す2方法が知られている。
装入して、所定の時間保持する。
させながら、通電加熱法や高周波加熱法で加熱する。
を均一な温度に加熱するのに数時間要してしまう。この
ため、特に、Cr及びMnが基地であるオーステナイト
中へ拡散してしまうので、セメンタイトの球状化が阻害
されてしまう。したがって、セメンタイトを迅速に球状
化して焼鈍時間を短縮するためには、(ii)の方法で
加熱する必要がある。
熱する際、加熱速度が遅いと生産効率が低くなって、製
造コスト増加の要因となる。そこで、加熱速度の下限を
生産性向上の観点から100℃/秒と規定した。ところ
で、上記の「加熱速度」は、常温(室温)から下記に示
す温度T1 までの平均加熱速度を指す。なお、加熱速度
の上限は特に規定する必要はない。設備的な面からの上
限加熱速度とすれば良く、例えば、通電加熱装置を用い
た10000℃/秒程度の超急速加熱速度であっても良
い。
を急速加熱処理する場合、Ae1点+20℃からAe1点+
150℃の間の温度であるT1 まで加熱昇温させなけれ
ばならない。これは、後の実施例で示すように、加熱温
度T1 がAe1点+20℃未満であれば、加熱後の冷却に
おいて冷却速度を遅くしてもベイナイト中及びパーライ
ト中のセメンタイトが充分には溶解しないため、球状化
焼鈍後にセメンタイトの球状化率を75%以上とするこ
とができないからである。一方、Ae1点+150℃を超
える温度に加熱すれば、加熱後の冷却において冷却速度
を速くしてもセメンタイトがほとんど全て溶解してしま
うため、やはり、球状化焼鈍後の球状化率が低くなる。
る。
Si(%)+16.9×Cr(%)。
めて速い加熱速度で温度T1 まで加熱される。このた
め、この加熱中にベイナイト中及びパーライト中のセメ
ンタイトはほとんど溶解せず、セメンタイトの形状も変
化しない。
有する線材を球状化させるためには、上記(C)項で示
した条件で加熱した後、直ちにAe1点−50℃からAe1
点+20℃の間の温度であるT2 まで冷却し、その冷却
中にベイナイト中及びパーライト中のセメンタイトの適
正量を溶解させ、残存したセメンタイトを球状に変化さ
せる必要がある。そして、この場合の冷却速度は、前記
した加熱温度T1 に応じた下記の冷却速度C1 とする必
要がある。
{(T1 −Ae1点)/1.5} 後の実施例で示すように、冷却温度T2 がAe1点+20
℃を超える場合には、セメンタイトがほとんど全て溶解
してしまうため、球状化焼鈍後の球状化率が低くなる。
一方、冷却温度T2 がAe1点−50℃未満であると、一
旦溶解していたセメンタイトが、パーライトとして析出
するため、球状化焼鈍後の球状化率が低くなる。したが
って、冷却温度T2 はAe1点−50℃からAe1点+20
℃の間の温度とした。
を冷却速度C1 (℃/秒)、横軸をT1 −Ae1点(℃)
として整理したもので、「○」はセメンタイトの球状化
率が75%以上、「×」はセメンタイトの球状化率が7
5%未満であることを示す。この図1から、冷却速度C
1 が{(T1 −Ae1点)/30}℃/秒から{(T1−
Ae1点)/1.5}℃/秒である時に、セメンタイトの
球状化率が75%以上の所望の球状化組織が得られるこ
とが分かる。
0}℃/秒より遅い場合には、たとえ加熱温度T1 がA
e1点+20℃からAe1点+150℃の間の温度であって
も、ベイナイト中及びパーライト中のセメンタイトがほ
とんど全て溶解してしまうため、球状化率が低くなる。
一方、冷却速度C1 が{(T1 −Ae1点)/1.5}℃
/秒より速い場合には、たとえ加熱温度T1 がAe1点+
20℃とAe1点+150℃の間の温度であっても、セメ
ンタイトが充分には溶解しないため、球状化率は低くな
る。
球状化するには、上記の温度T2 まで冷却速度C1 で冷
却した後、残存したセメンタイトを核として、球状セメ
ンタイトを充分に成長させるために、下記温度T3 の炉
中に装入して3〜30分保持することが必要である。
れば、T2<T3であっても良いし、T2≧T3であっても
良い。
場合には、セメンタイトの析出が完了するまで長時間炉
中に保持することが必要になって、コストが嵩んでしま
う。一方、温度T3 がAe1点−80℃を下回る場合に
は、オーステナイトからフェライトへの変態が低温で速
やかにおこるため、パーライトが生成しやすくなって、
焼鈍後の球状化率が低くなる。したがって、線材を装入
する炉の温度T3 はAe1点−80℃からAe1点−20℃
の間の温度とした。
3分を下回る場合は、球状セメンタイトが充分成長する
前に炉外で速やかに冷却されてしまうため、パーライト
が生成して、球状化率が低くなる。一方、保持時間が3
0分を超えると焼鈍時間が長くなってしまうので処理コ
ストが嵩む。したがって、前記温度の炉中保持時間を3
〜30分とした。
〜30分保持する」というのは、「Ae1点−80℃から
Ae1点−20℃の間にある任意の一定温度T3 に保った
炉中に装入して3〜30分保持」しても良く、「温度T
3 の炉中に装入し、その後、例えば連続的にあるいはス
テップ状に炉温T3 をAe1点−80℃からAe1点−20
℃の間で変化させて、炉中に保持している時間が合計で
3〜30分」であっても良いことを意味する。
て、対象とする線材は、セメンタイトの球状化率が75
%以上の所望の組織となる。このため、前記温度域にお
ける保持後の冷却速度は任意に選んで良い。但し、短時
間化処理のためにはできるだけ速い冷却速度で冷却する
ことが望ましい。
により150kg真空炉を用いて溶製した。表1におけ
る鋼B〜D、G、J、K及びMは本発明方法の対象鋼で
ある。鋼A、E、H及びLは成分のいずれかが本発明で
規定する範囲から外れた比較鋼である。又、鋼F及びN
は後述の熱間圧延後の組織が本発明で規定する範囲から
外れた比較鋼であり、鋼IはCr+Mnの含有量及び後
述の熱間圧延後の組織ともに本発明で規定する範囲から
外れた比較鋼である。
直径10mmの線材に熱間圧延した後、コンベア上にコ
イル状に巻き落として風冷の強弱によって冷却速度を変
えて400℃まで冷却し、その後は放冷した。
ミクロ組織を、倍率500倍の光学顕微鏡で5視野ずつ
観察してフェライト分率とベイナイト分率を測定した。
表1にこのようにして測定した{(ベイナイト分率)/
(1−フェライト分率)}とフェライト分率を併せて示
す。
延線材を供試材として、表2及び表3に示す種々の条件
で熱処理を行い、熱処理後のセメンタイトの球状化率を
測定した。表2及び表3にセメンタイトの球状化率を併
せて示す。
熱は、コイル状の線材を矯正してストランド状態にして
走行させながら通電加熱して行った。通電加熱によって
所定の温度T1 に加熱した後は、直ちに冷却速度C1 で
温度T2 まで連続的に冷却し、その後、所定温度に加熱
された炉中に装入してコイル状に巻き取り、所定の時間
経過後に炉から取り出して、常温(室温)まで空冷又は
水冷した。上記の炉には、温度がゾーン毎に変えられる
ものを用いた。
後の組織におけるフェライトの分率が0.04と小さい
ため靭性が低く、ストランド状態に矯正したときに、割
れが発生したため熱処理ができなかった。このため、表
2及び表3には鋼Nを用いた場合の試験結果は記載して
いない。
ば、熱処理(焼鈍処理)後にセメンタイトの球状化率が
75%以上の線材が、極めて短時間で得られることが明
らかである。
分、熱間圧延後の組織(焼鈍処理の前組織)又は、熱処
理条件のいずれかが本発明で規定する条件から外れた比
較法の場合には、セメンタイトの球状化率において劣っ
ている。
Ae1点+180℃を上回るため、試験番号14は冷却速
度C1 が{(T1 −Ae1点)/30}℃/秒を下回るた
め、試験番号23は冷却終了温度T2 がAe1点+20℃
を上回るため、それぞれセメンタイトが多く溶解してし
まい、熱処理後の球状化率が低い。
℃を下回るため、試験番号17は冷却速度C1 が{(T
1−Ae1点)/1.5}℃/秒を上回るため、それぞれ
セメンタイトがほとんど溶解しなくなり、熱処理後の球
状化率が低い。
Ae1点−50℃を下回るため、試験番号27、28は炉
の温度T3 がAe1点−80℃を下回るため、試験番号2
9は炉中保持時間が3分を下回るため、パーライトが生
成して、熱処理後の球状化率が低い。
0℃を上回るため、炉中保持時間が30分ではセメンタ
イトが全て析出できないので、熱処理後の球状化率が低
い。
が0.8%を下回るため、セメンタイトが多く溶解して
しまい、熱処理後の球状化率が低い。
が0.8%を下回り、且つ熱間圧延後の組織の{(ベイ
ナイト分率)/(1−フェライト分率)}が0.2を下
回るため、 セメンタイトが多く溶解してしまい、熱処
理後の球状化率が低い。
イナイト分率)/(1−フェライト分率)}が0.2を
下回るためセメンタイトが多く溶解し、更にセメンタイ
トの形状が速やかに球状にならないため、熱処理後の球
状化率が低い。
含有量が3.0%を上回るため、セメンタイトがほとん
ど溶解せず、熱処理後の球状化率が低い。
回るため、試験番号35は加熱速度が100℃/秒を下
回るため、セメンタイトの球状化率は所望の値が得られ
るものの、生産効率の点で劣る。
率は所望の値が得られたものの、これらの球状化焼鈍材
を焼入れした場合の特性が劣るものであった。すなわ
ち、試験番号1は、母材のC含有量が0.15%を下回
るため、焼き入れままの状態でビッカース硬度が400
に達せず、充分な強度を得ることができなかった。一
方、試験番号5は母材のC含有量が0.6%を超えるた
め、焼き入れ時に焼き割れを生じた。
鋼を母材とする熱間圧延ままの線材に対して、短時間で
セメンタイトの球状化率を75%以上となして軟化させ
ることができるので、産業上の効果は極めて大きい。
(℃/秒)、横軸をT1 −Ae1点(℃)として、セメン
タイトの球状化の状況を整理した図である。「○」はセ
メンタイトの球状化率が75%以上、「×」はセメンタ
イトの球状化率が75%未満であることを示す。
Claims (1)
- 【請求項1】母材が、重量%でC:0.15〜0.6
%、Mn+Cr:0.8〜3.0%を含有する鋼で、熱
間圧延後の組織が式及びを満たすストランド状態の
線材を、100℃/秒以上の加熱速度で温度T1 に昇温
した後、直ちに温度T2 までC1 ℃/秒の冷却速度で冷
却し、次いで、温度T3 の炉中に装入して3〜30分保
持することを特徴とする線材の球状化焼鈍方法。 {(ベイナイト分率)/(1−フェライト分率)}≧0.2・・・ フェライト分率≧0.1・・・ ここで、Ae1点+20℃≦T1 ≦Ae1点+150℃、 Ae1点−50℃≦T2 ≦Ae1点+20℃、 Ae1点−80℃≦T3 ≦Ae1点−20℃、 {(T1 −Ae1点)/30}≦C1 ≦{(T1 −Ae
1点)/1.5}、である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP8178798A JPH1025521A (ja) | 1996-07-09 | 1996-07-09 | 線材の球状化焼鈍方法 |
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JP8178798A JPH1025521A (ja) | 1996-07-09 | 1996-07-09 | 線材の球状化焼鈍方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1025521A true JPH1025521A (ja) | 1998-01-27 |
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ID=16054838
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP8178798A Pending JPH1025521A (ja) | 1996-07-09 | 1996-07-09 | 線材の球状化焼鈍方法 |
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JP (1) | JPH1025521A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2003041340A (ja) * | 2001-08-01 | 2003-02-13 | Kawasaki Steel Corp | 等速ジョイントアウター用鋼材 |
JP2003041339A (ja) * | 2001-08-01 | 2003-02-13 | Kawasaki Steel Corp | 等速ジョイントアウター用鋼材 |
JP2008007853A (ja) * | 2006-05-31 | 2008-01-17 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 圧延線材及びその製造方法 |
JP2016037631A (ja) * | 2014-08-07 | 2016-03-22 | 高周波熱錬株式会社 | 炭素鋼の急速軟質化焼鈍処理方法 |
JP2016074939A (ja) * | 2014-10-06 | 2016-05-12 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度低合金鋼 |
CN110042322A (zh) * | 2019-04-23 | 2019-07-23 | 浙江德得贸易有限公司 | 一种替代45模钢的预硬模钢及其制备方法 |
-
1996
- 1996-07-09 JP JP8178798A patent/JPH1025521A/ja active Pending
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