JP2000273427A - 2液型接着剤組成物および接着方法 - Google Patents

2液型接着剤組成物および接着方法

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JP2000273427A
JP2000273427A JP11085297A JP8529799A JP2000273427A JP 2000273427 A JP2000273427 A JP 2000273427A JP 11085297 A JP11085297 A JP 11085297A JP 8529799 A JP8529799 A JP 8529799A JP 2000273427 A JP2000273427 A JP 2000273427A
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aqueous solution
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JP11085297A
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Seiji Tanimoto
征司 谷本
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1液と第2液を接触させたときに、室温下
に短時間のうちに反応硬化して高い初期接着強度を有
し、かつ接着を行う場合には、作業性の良好な2液型接
着剤組成物を得ること。 【解決手段】 分子内に1級アミノ基あるいは2級アミ
ノ基を有するビニルアルコール系重合体を含む水性液よ
りなる第1液と、グルタルアルデヒドを含む第2液から
なる2液型接着剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2液型接着剤組成
物およびそれを用いる接着方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、特に初期硬化速度が大きくて、接着時の
作業性に優れる2液型接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、木材製品工業においては生産工程
をコンベアーシステムで連続化することが検討されてお
り、そのため接着速度の大きい接着剤が要望されてい
る。この目的のために、シアノアクリレート系瞬間接着
剤が提案されているが、価格が極めて高く、実用的では
ない。また、ユリヤ樹脂系接着剤を第1液とし、ポリビ
ニルアルコール(PVA)などの高分子化合物の水溶液
に燐酸などの強酸を混合したものを第2液とする2液分
別塗布型の接着剤組成物が提案されている。しかしなが
ら、この接着剤組成物は、強酸を使用していることか
ら、接着剤中に含まれる樹脂成分の老化が生じ易く、し
かも被着材の汚染や劣化などをも生じ易いという欠点が
ある。
【0003】また、分子内にイミド基を有する高分子化
合物(イソブチレン−無水マレイン酸共重合体)の水溶
液、またはこの高分子化合物を含む合成樹脂エマルジョ
ンを第1液とし、アルデヒド化合物の水溶液を第2液と
する2液分別塗布型の接着剤組成物が知られている(特
開昭56−90867号公報)。しかし、この接着剤組
成物は接着強度が低いという欠点がある。また、分子内
にアセトアセチル基を有する高分子化合物の水溶液およ
び/または水性エマルジョンを第1液とし、アルデヒド
化合物又はヒドラジン化合物を含む液を第2液とする2
液分別塗布型の接着剤組成物が知られている(特開昭6
0−202176号公報および特開昭61−78883
号公報)。しかし、この接着剤組成物では、第1液の保
存安定性が悪く、接着性能の再現性に問題がある。
【0004】また、特開平3−281683号公報にお
いては、分子内に1級または2級アミノ基を有する高分
子化合物(ポリアミン)の水溶液、またはこの高分子化
合物と合成樹脂エマルジョンを混合したものを第1液と
し、アルデヒド化合物を第2液とする2液分別塗布型の
接着剤組成物が提案されている。しかし、この接着剤組
成物は、第1液の保存安定性が悪く、アルデヒド化合物
との架橋効率が低いため、十分な速硬化性が得られない
という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術の有する欠点を解消し、室温下に短時間の
うちに硬化して高い初期接着強度を発現して、接着作業
を極めて円滑に、低エネルギーコストで生産性良く行う
ことができる2液型接着剤組成物を提供することであ
る。さらに、本発明の目的は、上記した速硬化性という
特性と共に、保存安定性や機械的安定性に優れていて、
放置しておいても成分の沈降や分離、凝集などが生じに
くく、また搬送時や取り扱い時に外部から揺動、攪拌な
どの作用を受けた場合にも成分の沈降や分離、凝集など
が生じにくく、その接着性能を良好に保持することので
きる2液型接着剤組成物を提供することである。 さらに、本発明の目的は、そのような優れた特性を有す
る2液型接着剤組成物を用いる接着方法を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らが上記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、分子内に1級アミノ基あ
るいは2級アミノ基を有するビニルアルコール系重合体
活性水素を含む水性液を第1液とし、これにグルタルア
ルデヒドを含む液を第2液として2液型接着剤組成物を
調製し、この2液型接着剤組成物を用いて接着を行う
と、特に、第1液を一方の被着面に塗布し、第2液を別
の被着面に塗布して、その被着面同士を密着させると、
室温下に短時間のうちに高い初期接着強度(被着面同士
を密着後概ね10分以内の接着強度)を発現すること、
それにより接着作業を良好な作業性で生産性よく且つ低
いエネルギー消費量で実施できることを、そしてそれに
より得られる被接着物は高い最終接着強度(被着面同士
を密着後概ね24時間以上経過後の接着強度)を発現す
ることを見出した。さらに、本発明者らは、そのような
2液型接着剤組成物は、その第1液および第2液をそれ
ぞれ非混合状態で個別に保存したときに、成分の分離、
沈降、凝集などが生じず安定であること、そして長期間
保存後もその接着性能が低下せず良好に保たれているこ
とを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成
したものである。
【0007】すなわち、本発明は、分子内に1級アミノ
基あるいは2級アミノ基を有するビニルアルコール系重
合体を含む水性液よりなる第1液と、グルタルアルデヒ
ドを含む第2液からなる2液型接着剤組成物である。
【0008】そして、本発明は、上記のいずれかの2液
型接着剤組成物の第1液を第1の被着面に塗布し、第2
液を第2の被着面に塗布し、両方の塗布面同士を密着さ
せて接着を行うことを特徴とする接着方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。まず、本発明の2液型接着剤組成物では、第1液
として、分子内に1級アミノ基あるいは2級アミノ基を
有するビニルアルコール系重合体を含む水性液を用い
る。分子内に有するビニルアルコール系重合体は、分子
内に1級アミノ基あるいは2級アミノ基活性水素を有す
るビニルアルコール系重合体であれば特に制限はない。
分子内に1級アミノ基あるいは2級アミノ基を有するビ
ニルアルコール系重合体は従来公知の方法により合成さ
れる。
【0010】例えば、1級または2級アミノ基を有する
ビニルアルコール系重合体は、(1)1級アミノ基また
は2級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、また
は加水分解等により1級アミノ基または2級アミノ基を
生成しうる官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、
酢酸ビニル等のビニルエステル類とを共重合させた後、
鹸化する方法や、(2)アリルグルシジルエーテルなど
のエポキシ基を有する単量体と酢酸ビニル等のビニルエ
ステル類からなる重合体の側鎖のエポキシ基に、アミノ
基を有するメルカプタンをNaOH等を触媒として付加
反応させた後、鹸化する方法や、(3)従来公知のポリ
ビニルアルコールの水酸基と反応しうる官能基を分子内
に有し、かつ、一級あるいは二級アミノ基を有する化合
物をポリビニルアルコール系重合体にを反応させる方法
等によって得られる。また、(4)メルカプト基を有す
るポリビニルアルコール系重合体の存在下で、一級アミ
ノ基または二級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量
体を重合する方法もあり、この方法ではポリビニルアル
コール系ブロックポリマーが得られる。
【0011】また、1級または2級アミノ基の含有量
は、特に制限はなく、接着剤組成物の用途や使用態様、
第1液や第2液に含まれる成分の種類や量などの各種の
状況に応じて適宜選定することができる。通常は、分子
内に1級または2級アミノ基を有するビニルアルコール
系重合体を構成する全構造単位に基づいて、1級または
2級アミノ基の割合(1級アミノ基、2級アミノ基の両
方を有する場合はその合計の構造単位の割合)が0.1
〜30モル%程度であることが好ましく、0.5〜25
モル%であることがより好ましい。1級または2級アミ
ノ基を有するビニルアルコール系重合体(以下、アミノ
基含有PVAと略記することがある)における1級また
は2級アミノ基を有する構造単位の割合が0.1モル%
未満であるか又は30モル%を超えると初期接着強度や
最終接着強度が十分に高くならない場合がある。
【0012】また、アミノ基含有PVAの重合度は、接
着剤組成物の使用目的、接着剤組成物に含まれる他の成
分の種類や量、接着剤組成物の相形態などに応じて異な
り得るが、通常、その重合度が100以上であることが
初期接着強度や最終接着強度の点から好ましく、200
〜8000であることがより好ましい。また、アミノ基
含有PVAのケン化度についても上記したような種々の
要件に応じて異なるが、一般的にはビニルアルコールに
基づく構造単位の50モル%以上がケン化していること
が水溶性の点から好ましく、80〜99.9モル%がケ
ン化していることがより好ましい。また、アミノ基含有
PVAは、本発明の効果の妨げにならない限りは、ビニ
ルアルコールに基づく構造単位並びに活性水素基を有す
る構造単位と共に、他の構造単位を含有していてもよ
い。
【0013】そして、本発明の2液型接着剤組成物で
は、第1液は、アミノ基含有PVAを少なくとも含み且
つ水を媒体とする水性液であり、接着作業に使用する前
は、成分の分離、沈降、凝集などが生じず、安定な水性
液の状態を保ち得るものであることが望ましい。本発明
の2液型接着剤組成物で用いる第1液の代表例として
は、(a) アミノ基含有PVAを保護コロイドとする
有機重合体水性エマルジヨンから主としてなる水性液
[以下これを「第1(a)液」ということがある];
(b) アミノ基含有PVAと有機重合体水性エマルジ
ヨンとから主としてなる水性液(有機重合体水性エマル
ジヨンにアミノ基含有PVAを直接または水性液にして
混合して得られる水性液)[以下これを「第1(b)
液」ということがある];および(c) アミノ基含有
PVA水溶液から主としてなる水性液[以下これを「第
1(c)液」ということがある];を挙げることができ
る。
【0014】そこで、本発明の2液型接着剤組成物にお
ける第1液として用いられる上記した第1(a)液につ
いて具体的に説明する。本発明の2液型接着剤組成物に
おける第1液として好ましく用いられる上記の第1
(a)液は、一般にアミノ基含有PVAの存在下に不飽
和単量体を乳化重合して得られるアミノ基含有PVAを
保護コロイドとする有機重合体水性エマルジヨンから主
としてなっている。この第1(a)液の調製に用いる不
飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルエ
ステル系不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチル
ヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル
系不飽和単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニル等のハロゲン含有不飽和単量体、スチレン系単量
体、プロピレンなどのオレフィン系単量体、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体など
を挙げることができ、第1(a)液はこれらの不飽和単
量体の1種または2種以上を活性水素基含有PVAの存
在下に乳化重合することによって得ることができる。
【0015】第1(a)液においては、水性液中での分
散質(上記した不飽和単量体の重合により得られる有機
重合体)と保護コロイドであるアミノ基含有PVAとの
比率は各々の状況に応じて調節することができる。しか
しながら、分散質100重量部に対して活性水素基含有
PVAの割合が0.5重量部未満である場合には、ポリ
ビニルアルコール保護コロイド系の特徴である機械的安
定性に優れる実用的な高固形分濃度のエマルジョンが得
られなくなる場合があり、一方アミノ基含有PVAの量
があまり多すぎるとエマルジョンの放置安定性が低下す
るなどの問題を生ずる場合がある。したがって、かかる
点から、第1(a)液におけるアミノ基含有PVAの量
を、分散質100重量部に対して0.5〜300重量部
とすることが好ましく、1〜200重量部とすることが
より好ましい。そして、アミノ基含有PVAを前記した
量にすると、固形分濃度の高い、保存安定性、機械的安
定性に優れるエマルジヨン形態の第1(a)液を得るこ
とができ、しかもその第1(a)液を用いてなる本発明
の2液型接着剤組成物は、特に初期接着強度の大きなも
のとなる。
【0016】また、第1(a)液は、目的を阻害しない
範囲内の量で、アミノ基含有PVAと共に、アミノ基を
持たないポリビニルアルコール(以下これを「PVA」
ということがある)を含有していてもよい。さらに、第
1(a)液は、アミノ基含有PVAや場合により用いら
れるアミノ基を持たないポリビニルアルコール以外に、
その速硬化性という特性やその他の性能を損なわない範
囲で、他の乳化安定剤を含有していてもよい。そして、
第1(a)液では、水性液中における全重合体の合計濃
度が約20〜70重量%であることが、第1(a)液の
分散安定性、接着剤組成物の初期接着強度や最終接着強
度、取り扱い性、接着作業性などの点から好ましく、3
0〜60重量%であることがより好ましい。
【0017】第1(a)液の製造方法は特に制限されな
いが、好ましくは、アミノ基含有PVAの存在下に、上
記した不飽和単量体の1種または2種以上を用いて乳化
重合を行うことにより製造される。乳化重合時の不飽和
単量体と活性水素基含有PVAの使用割合は、重合によ
り得られる第1(a)液における分散質(不飽和単量体
の重合により得られる有機重合体)とアミノ基含有PV
Aとの割合が上記した好ましい範囲になるようにして定
めることが望ましい。乳化重合は、通常の乳化重合反応
におけるのと同様に、水性媒体中でアミノ基含有PVA
の存在下に、上記した不飽和単量体の1種または2種以
上を、ラジカル重合開始剤を使用して重合させることに
よって実施される。その際の重合開始剤としては、例え
ば過酸化水素、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパー
オキシド、キュメンハイドロパーオキシド、t-ブチルハ
イドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、過
硫酸塩(カリウム、ナトリウムあるいはアンモニウム
塩)、過酢酸t-ブチル、安息香酸t-ブチルなどが単独
で、あるいは前記した化合物と亜硫酸ナトリウム、トリ
エタノールアミン、ロンガリット、L- アスコルビン
酸、酒石酸などとのレドックス系触媒が用いられる。
【0018】また、第1(a)液を製造するための具体
的な重合方法も特に制限されないが、例えば、アミノ
基含有PVA、前述の不飽和単量体および水を一括して
仕込んで重合する方法;アミノ基含有PVAを含有す
る水中に不飽和単量体の一部を仕込んで重合を開始し、
次いで残りの不飽和単量体を重合系に逐次添加して重合
させる方法;アミノ基含有PVA、不飽和単量体およ
び水を予め混合しておき、この一部を仕込んで重合を開
始し、残りを重合系に逐次添加して重合する方法;、
アミノ基含有PVAを含有する水中に2種以上の単量体
組成の異なる不飽和単量体を2段階以上に分けて重合系
に逐次添加して多段階で共重合させる方法;などを挙げ
ることができる。
【0019】さらに、本発明では、例えば上記した〜
などの方法により得られるアミノ基含有PVAを保護
コロイドとする有機重合体水性エマルジヨンに対して、
アミノ基含有PVAまたはその水溶液を更に追加添加し
て、それを第1(a)液として用いることもできる。
【0020】本発明の2液型接着剤組成物で用いられる
上記した第1(a)液は、長期間放置しても安定であ
り、エマルジヨン中に含まれる成分の沈降や凝集、凝固
などが生じず、また外部から多少の機械的作用(例えば
攪拌や揺動など)が加えられてもその安定な分散状態が
破壊されず、長期に亙って良好な接着性能を保つことが
できる。
【0021】次に、本発明の2液型接着剤組成物におけ
る第1液として用いられる第1(b)液について説明す
る。この第1(b)液は、アミノ基含有PVAと有機重
合体水性エマルジヨンとから主としてなる水性液であ
り、一般に、予め製造されている有機重合体水性エマル
ジヨンに、アミノ基含有PVAを直接そのまま混合する
か、またはアミノ基含有PVAの水溶液を混合すること
によって得ることができる。その場合の有機重合体水性
エマルジヨンとしては、第1(a)液の調製に用いるの
と同様の不飽和単量体、例えば、酢酸ビニル等のビニル
エステル系不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミ
ド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアク
リル系不飽和単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭
化ビニル等のハロゲン含有不飽和単量体、スチレン系単
量体、プロピレンなどのオレフィン系単量体、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体の1
種または2種以上を、通常の乳化重合に用いられている
のと同様の乳化剤を用いて、上記したのと同様のラジカ
ル重合開始剤の存在下に乳化重合したものを用いればよ
い。
【0022】そして、第1(b)液では、有機重合体
(上記した不飽和単量体の重合により得られる有機重合
体)とアミノ基含有PVAとの比率は各々の状況に応じ
て調節することができるが、第1(a)液の場合と同様
に、有機重合体100重量部に対してアミノ基含有PV
Aの割合を好ましくは0.5〜300重量部、より好ま
しくは1〜200重量部としておくことによって、固形
分濃度の高い、保存安定性および機械的安定性に優れる
エマルジヨン形態の第1(b)液が得られ、しかもその
ような第1(b)液を用いてなる本発明の2液型接着剤
組成物は、特に初期接着強度に優れたものとなる。
【0023】また、第1(b)液も、目的を阻害しない
範囲内の量で、アミノ基含有PVAと共に、アミノ基を
持たないビニルアルコール系重合体を含有していてもよ
い。そして、第1(b)液においても、水性液中におけ
る全重合体の合計濃度が約20〜70重量%であること
が、第1(b)液の分散安定性、接着剤組成物の初期接
着力や最終的な接着力、取り扱い性、接着作業性などの
点から好ましい。
【0024】また、本発明の2液型接着剤組成物におけ
る第1液として好ましく用いられる第1(c)液は、ア
ミノ基含有PVAの水溶液から主としてなる水性液であ
る。この第1(c)液の調製法は特に制限されず、通
常、上記したアミノ基含有PVAを適当な温度、好まし
くは50〜100℃の温度で水に溶解させることによっ
て調製することができる。第1(c)液におけるアミノ
基含有PVAの濃度は、2液型接着剤組成物の用途や接
着剤組成物中に含まれる他の成分の種類や濃度などに応
じて調節し得るが、一般には5〜20重量%の濃度の水
溶液にしておくことが、保存安定性、取り扱い性、接着
性能などの点から好ましい。
【0025】そして、本発明の2液型接着剤組成物で
は、上記した第1液と共に、第2液として、グルタルア
ルデヒドを含む水性液を用いる。
【0026】グルタルアルデヒドは水に溶解させた状態
にしておくことが、取り扱い性、接着作業を行った際の
初期接着強度の向上などの点から好ましく、通常水溶性
アルデヒド化合物を1〜50%の水溶液の状態にして用
いるのことが好ましい。また、他のホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロトンア
ルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキザール、マロン
アルデヒド、フクシンジアルデヒド、ビメリンジアルデ
ヒド、スベリンジアルデヒド、ジアルデヒド澱粉等のア
ルデヒド化合物を接着速度の調節等のため、同時に用い
ることも可能である。
【0027】また、本発明の2液型接着剤組成物におけ
る第2液にはグルタルアルデヒドに加えて、多価イソシ
アネート化合物を配合することも可能である。例えば、
トリレンジイソシアネート(TDI)、水素化TDI、
トリメチロールプロパン−TDIアダクト(例えばバイ
エル社製:商品名DesmodurL)、トリフェニル
メタントリイソシアネート、メチレンビスジフェニルイ
ソシアネート(MDI)、水素化MDI、重合MDI、
ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネートなどの水不溶性イ
ソシアネート化合物、それらのブロック化物、前記した
水不溶性イソシアネートにポリメトキシエチレングリコ
ール等を付加して水分散性にしたもの(例えば、日本ポ
リウレタン社製:商品名コロネートC−3053)など
が挙げられる。
【0028】さらに、本発明の2液型接着剤組成物にお
ける第1液には、耐水接着力を向上させる目的で、多価
エポキシ化合物を配合することも可能である。多価エポ
キシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールAジβメチルグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラヒ
ドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテル、レ
ゾルシノールジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル、クロル化ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA
ジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオ
キサイド付加物のジグリシジルエーテル、ノボラックグ
リシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシ
ジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペ
ンタエリスリトールジグリシジルエーテル、エポキシウ
レタン樹脂等のグリシジルエーテル型;P−オキシ安息
香酸グリシジルエーテル・エステル等のグリシジルエー
テル・エステル型;フタル酸ジグリシジルエステル、テ
トラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハ
イドロフタル酸ジグリシジルエステル、アクリル酸ジグ
リシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等
のグリシジルエステル型;グリシジルアニリン、テトラ
グリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル
イソシアヌレート、トリグリシジルアミノフェノール等
のグリシジルアミン型;エポキシ化ポリブタジエン、エ
ポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂;3,4エ
ポキシ−6メチルシクロヘキシルメチル−3,4エポキ
シ−6メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4
エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシク
ロヘキサン)カルボキシレート、ビス(3,4−エポキ
シ−6メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニ
ルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエ
ンオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチ
ル)エーテル、リモネンジオキサイド等の脂環族エポキ
シ樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられ
る。
【0029】そして、上記の説明から明らかように、本
発明の2液型接着剤組成物には、 (1) 第1液が第1(a)液であり、第2液がグルタ
ルアルデヒドを含む液である2液型接着剤組成物; (2) 第1液が第1(b)液であり、第2液がグルタ
ルアルデヒドを含む液である2液型接着剤組成物; (3) 第1液が第1(c)液であり、第2液がグルタ
ルアルデヒドを含む液である2液型接着剤組成物; (10) 第1液が第1(a)液と第1(b)液、または
第1(a)液と第1(c)液、あるいは第1(b)液と
第1(c)液、さらには第1(a)液と第1(b)液及
び第1(c)液であり、第2液がグルタルアルデヒドを
含む液である2液型接着剤組成物;などのような種々の
態様の2液型接着剤組成物が包含される。
【0030】また、本発明の2液型接着剤組成物におい
て、その第1液は、必要に応じて、増量と強化の目的で
充填剤を含有していてもよく、充填剤の例としては、炭
酸カルシウム、カオリン、バライタ、木粉、植物穀粉な
どを挙げることができ、それらの1種または2種以上を
含有することができる。さらに、第1液は、必要に応じ
て、可塑剤、着色剤、その他の配合剤を含有していても
よい。また、本発明に2液型接着剤組成物における第2
液も、第2液の性能を損なわない範囲で、必要に応じて
着色剤、界面活性剤、粘度調整剤などの1種または2種
以上を適宜含有していてもよい。
【0031】本発明の2液型接着剤組成物において、第
1液と第2液の割合は、接着剤組成物の用途や使用状
況、両方の液に含まれる成分の種類、被着材への接着液
の施し方、被着材の種類などに応じて異なり得るが、通
常は、第1液100重量部に対して、好ましくは第2液
を0.2〜150重量部、より好ましくは第2液を1〜
100重量部の割合で用いるのがよい。
【0032】本発明の2液型接着剤組成物は、接着作業
に使用する前は、第1液と第2液を互いに分離した状態
(非混合状態)にして、容器やその他に入れて、保存、
流通、販売される。そして、本発明の2液型接着剤組成
物を用いて接着作業を行うに当たっては、2液型接着剤
組成物の第1液を第1の被着面に塗布し、第2液を第2
の被着面に塗布し、両方の塗布面同士を密着させて接着
剤組成物を反応硬化させて接着させる方法(すなわち2
液分別塗布方法)、または接着を行う直前に第1液と第
2液とを混合しその混合液を速やかに被着材に施して接
着を行う方法を採用することができるが、本発明の2液
型接着剤組成物では、第1液と第2液を接触させると通
常室温下でも反応硬化が速やかに進行するので、前者の
2液分別塗布方法が好ましく用いられる。そして、本発
明の2液型接着剤組成物を用いて2液分別塗布方法によ
って接着を行うと、その速硬化性、高い初期接着強度な
どの特性が十分に発揮されて、極めて良好な作業性で且
つ低エネルギーコストで、短時間で生産性よく接着作業
を行うことができる。そのため、本発明の2液型接着剤
組成物は、2液分別塗布型の接着剤組成物として特に適
している。
【0033】上記した2液分別塗布方法によって接着作
業を行う場合は、第1液を塗布した被着面と第2液を塗
布した被着面を密着させて、圧締、プレスすると、室温
において極めて短い時間(通常1〜5分以内)で高い初
期接着強度を発現するので、圧締、プレスを短時間で解
放することができ作業時間の短縮、作業工程の簡便化、
装置の簡便化、エネルギーコストの削減などを達成する
ことができる。そして、圧締、プレスによって十分に高
い接着強度を得ることのできた被着体は、圧締やプレス
状態を解放して、放置・養生することによって、充分に
高い最終接着強度を有する被着体を得ることができる。
水を媒体とする従来の接着剤の場合は、一般に、室温下
で長時間の圧締、プレスを行わないと充分な最終接着強
度が得られないが、本発明の2液型接着剤組成物を用い
ると、その速硬化性という特性によって、圧締、プレス
は短時間であっても放置、養生後の最終接着強度の充分
なる接着を行うことができ、かかる点で極めて有用であ
る。
【0034】また、本発明の2液型接着剤組成物を用い
て接着作業を行うに当たっては、第2液を一方の被着面
に予め塗布し乾燥しておいた後に、第1液を他の被着面
に塗布し、両方の被着面を密着貼り合わせて、所望の接
着を行うことができるので、本発明の2液型接着剤組成
物を木工作業などに用いると連続的なコンベアーシステ
ム化が可能である。
【0035】本発明の2液型接着剤組成物を用いて2液
分別塗布方法によって接着を行う場合の被着面への第1
液および第2液の塗布量は特に制限されず、被着材の種
類や状態、接着剤組成物の成分内容などに応じて調節す
ることができるが、一般に、第1の被着面への第1液の
塗布量を10〜500g/m2程度とし、第2の被着面
への第2液の塗布量を5〜100g/m2程度として、
両方の塗布面を密着させて接着を行うのが、第1液およ
び第2液を無駄なく有効に用いながら高い接着強度を得
ることができるので好ましい。
【0036】本発明の2液型接着剤組成物を用いて接着
を行うと、第2液に含まれるグルタルアルデヒドにより
第1液中に含まれるアミノ基含有PVAのゲル化反応が
生じて初期接着強度が向上する。
【0037】本発明の2液型接着剤組成物は、合板、集
成材、MDF、スレート板、硅カル板等の木質材料を作
製、フラッシュパネルの作製、縁貼り、巻き込み接着、
各種の木質材料、メラミン樹脂化粧材、ベークライト、
その他のプラスチック材料;段ボール紙板紙、クラフト
紙などの紙質材料;布帛やその他の繊維製品;無機質板
などの接着に有効に用いることができる。本発明の2液
型接着剤組成物を用いて前記した各種素材の接着を行う
に当たっては、同種の素材同士の接着、および異なる素
材間の接着のいずれにも使用でき、特に木材同士の接着
に適している。しかしながら、勿論それに限定されるも
のではない。したがって、本発明の2液型接着剤組成物
を用いることにより、何ら限定されるものではないが、
例えば、フラッシュパネル、集成材などの平面接着や縁
貼り、ホゾ、ダボ、トメ、ハギ、角木、箱体の製造や組
み立て、靴を製造する場合の接着、その他の組立や接着
作業が、迅速化され且つ省力化され、しかも室温でも良
好に接着できるので省エネルギー下に実施できる。
【0038】
【実施例】以下、実施例と比較例を挙げて、本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定され
るものではない。なお、以下の例中、特に断りのない限
りは、「%」および「部」はそれぞれ「重量%」および
「重量部」を意味する。
【0039】《合成例1》[アミノ基含有PVAの合
成] 公知の方法(特開平4−308269号公報などに記載
された方法)により、ビニルホルムアミドと酢酸ビニル
を共重合した後ケン化して、1級アミノ基含有PVA
(重合度1050、ケン化度98.5%、1級アミノ基
含有量3.0モル%)を合成した。
【0040】《合成例2》[アミノ基含有PVAの合
成] (1) 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管及び温度計を
備えた反応器に、酢酸ビニルモノマー405部、アリル
グリシジルエーテル11部およびメタノール30部を仕
込み、窒素ガスを15分バブリングして脱気した。別
途、メタノール15部に2,2−アゾイソブチロニトリ
ル4.5部を溶解した開始剤溶液を調整し、窒素ガスの
バブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始
し、内温が60℃となったところで、別途調整した開始
剤溶液を添加し重合を開始した。60℃で4時間重合し
冷却して重合を停止した。この時の固形分濃度は54.
8%であった。続いて30℃、減圧下にメタノールを時
々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行
い、ポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(濃度4
4.5%)を得た。このメタノール溶液の一部をエーテ
ル中に投入してポリマーを回収し、アセトン/ エーテ
ルで2回再沈精製した後、40℃で減圧乾燥した。この
精製ポリマーについて、CDCl3を溶媒にしてプロト
ンNMR(日本電子株式会社製「GSX- 270」)測
定を実施したところ、アリルグリシジルエーテル単位
(エポキシ基)を2.1モル%含有するポリ酢酸ビニル
共重合体であった。
【0041】(2) 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管
及び温度計を備えた反応器に上記(1)で得られたエポキ
シ基を有する重合体のメタノール溶液(濃度44.5
%)100部を計り取り15分間窒素ガスをバブリング
した後、2−アミノチオフェノール8.0部と水酸化ナ
トリウム0.03部をメタノール48部に溶解したもの
を仕込んだ。攪拌しながら50℃で2時間反応させた
後、40℃に冷却してから10%濃度の水酸化ナトリウ
ムのメタノール溶液を40部添加しケン化を行った。4
0℃で5時間放置した後粉砕し、酢酸8部を加えて中和
してからソックスレー抽出器を用いてメタノールで48
時間以上洗浄し、60℃で20時間以上乾燥して、アミ
ノ基含有PVAを得た。アミノ基含有PVAのIRおよ
びプロトンNMR(d6-DMSO)を測定したところ、
エポキシ基は完全に消失しており、2.1モル%のアニ
リン基の導入が確認でき、ビニルアルコール含量は9
7.0モル%であった。また、このアミノ基含有PVA
の重合度は900であった(以下これにより得られたア
ミノ基含有PVAを「アミノ基含有PVA」とい
う)。
【0042】《合成例3》[アミノ基含有PVAの合
成] 公知の方法(特開平4−308269号公報などに記載
された方法)により、メチルビニルアセトアミドと酢酸
ビニルを共重合した後ケン化して、2級アミノ基含有P
VA(重合度990、ケン化度98.2%、2級アミノ
基含有量2.2モル%)を合成した。
【0043】《合成例4》[アミノ基含有PVAの合
成] 末端にメルカプト基を有するPVA(重合度1010、
けん化度98.0モル%、メルカプト基含量1.43X
10-5当量/g)10部を水100部に添加し、95℃
で加熱溶解した。これに0.5N塩酸を加えてpH3に
調整した後、予め窒素置換したアリルアミン塩酸塩10
部を加え60℃に昇温し、次いで水溶性アゾ系開始剤
(和光純薬製「V−50」)0.05部を水5部に溶解
した水溶液を全量添加して共重合を開始した。共重合は
2時間で完了し、重合率100%、固形分濃度16.0
%のPVAとアリルアミンのブロック共重合体(以下
「アミノ基含有PVA」という)の水溶液を得た。
【0044】《製造例1》[第1(a)液−(I)の製造] 合成例1で得られたアミノ基含有PVA5部に水10
0部を加えて95℃に加熱してアミノ基含有PVAの
水溶液を調製した。そのアミノ基含有PVAの水溶液
の全量を耐圧オートクレーブに仕込み、酢酸ビニル10
0部を添加して、窒素置換後、エチレンを40kg/c
2 まで圧入した。次いで、内温を60℃に上げ、水溶
性アゾ系開始剤(和光純薬製「V−50」)の1%水溶
液を逐次添加して共重合を行った。共重合は3時間で完
了し、固形分濃度53.0%、粘度1120mPa・ s
の、アミノ基含有PVAを保護コロイドとする安定な
酢酸ビニル−エチレン共重合体水性エマルジョン[以下
「第1(a)液−(I)」という]を得た。
【0045】《製造例2》[第1(a)液−(II)の製造] 合成例2で得られたアミノ基含有PVAを用いた以外
は製造例1と同様にして、固形分濃度52.5%、粘度
1200mPa・ sの、アミノ基含有PVAを保護コ
ロイドとする安定な酢酸ビニル−エチレン共重合体水性
エマルジョン[以下「第1(a)液−(II)」という]を得
た。
【0046】《製造例3》[第1(a)液−(III)の製
造] 合成例1で得られたアミノ基含有PVA3部と合成例
3で得られたアミノ基含有PVA3部に水100部を
加えて95℃に加熱してアミノ基含有PVAの水溶液を
調製した。得られたアミノ基含有PVA水溶液の全量を
耐圧オートクレーブに仕込み、酢酸ビニル60部、アク
リル酸2−エチルへキシル20部およびメタクリル酸メ
チル20部を添加して、窒素置換後、エチレンを30k
g/cm2 まで圧入した。次いで、内温を60℃に上
げ、水溶性アゾ系開始剤(和光純薬製「V−50」)の
1%水溶液を逐次添加して共重合を行った。共重合は3
時間で完了し、固形分濃度52.0%、粘度1200m
Pa・ sの、アミノ基含有PVAとアミノ基含有PV
Aを保護コロイドとする安定な酢酸ビニル−アクリル
酸2−エチルへキシル−メタクリル酸メチル−エチレン
共重合体水性エマルジョン[以下「第1(a)液−(II
I)」という]を得た。
【0047】《製造例4》[第1(a)液−(IV)の製造] 合成例4で得られたアミノ基含有PVAの水溶液31
部に水64部を加え、50部の酢酸ビニル、アクリル酸
n−ブチル25部およびメタクリル酸メチル25部を添
加し、窒素置換後、過硫酸アンモニウム0.5部を水5
部に溶解させた水溶液を添加し、70℃で共重合を開始
させた。2時間30分で共重合は完了し、固形分濃度5
0.0%、粘度1350cpの、アミノ基含有PVA
を保護コロイドとする安定な酢酸ビニル−アクリル酸n
−ブチル−メタクリル酸メチル共重合体水性エマルジョ
ン[以下「第1(a)液−(IV)」という]を得た。
【0048】《製造例5》[第1(a)液−(V)の製造] 合成例1で得られたアミノ基含有PVA4部とポリオ
キシエチレン(20モル付加物)ノニルフェニルエーテ
ル(三洋化成製「ノニポール200」)2部に水100
部を加えて95℃でPVAとノニポール200を加熱溶
解させて水溶液を調製した。前記で得られた水溶液に1
0部のスチレン及び10部のアクリル酸n−ブチルを添
加し、窒素置換後、水溶性アゾ系開始剤(和光純薬製
「V−50」)0.05部を水5部に溶解させた水溶液
を添加し、70℃で共重合を開始した。次に、スチレン
40部とアクリル酸n−ブチル40部を混合し、2時間
で重合系に逐次添加した。3時間で共重合は完了し、固
形分濃度50.1%、粘度570cpの安定な、アミノ
基含有PVAを保護コロイドとするスチレン−アクリ
ル酸n−ブチル共重合体水性エマルジョン[以下「第1
(a)液−(V)」という]を得た。
【0049】《製造例6》[第1(b)液−(I)の製造] エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン((株)クラレ製
OM−4200固形分55%)100部に対して、合成
例1で得られたアミノ基含有PVAの15%水溶液3
0gを配合して、第1(b)液−(I)を製造した。
【0050】《製造例7》[第1(b)液−(II)の製造] 製造例6で用いたアミノ基含有PVAの代わりに、ア
ミノ基含有PVAを用いる他は製造例6と同様にして
第1(b)液−(II)を製造した。
【0051】《製造例8》[第1(b)液−(III)の製
造] 製造例6で用いたアミノ基含有PVAの代わりに、ア
ミノ基含有PVAを用いる他は製造例6と同様にして
第1(b)液−(III)を製造した。
【0052】《製造例9》[第1(b)液−(IV)の製造] 製造例6で用いたアミノ基含有PVAの代わりに、ア
ミノ基含有PVAを用いる他は製造例6と同様にして
第1(b)液−(IV)を製造した。
【0053】《製造例10〜13》[第1(c)液−(I
〜IV)の製造] 合成例1〜4で得られたアミノ基含有PVA〜を各
15%水溶液に調整し、第1(c)液−(I〜IV)を製造し
た。
【0054】《実施例1〜13》[2液型接着剤組成物
の調製および接着試験] (1) 製造例1〜13で得られた第1(a)液、第1
(b)液、第1(c)液の各々100部に対して、炭酸カル
シウム(東洋ファインケミカル製;商品名P−30)5
0部を配合して第1液をそれぞれ調製した。 (2) 一方、15%グルタルアルデヒド水溶液を第2
液として準備した。 (3) 上記で調製または準備した第1液と第2液を組
み合わせて、2液型接着剤組成物とした。 (4) 縦×横×厚さ=25×25×10mmの2片の
試験片(カバ材、マサ目)からなる被着材対を、各接着
剤組成物ごとに1組当たり5対ずつ用意した。1対の被
着材の一方の試験片の接着面に上記(1)で調製した第
1液を塗布し(塗布量約200g/m2 )、もう一方の
試験片の接着面に上記(2)で準備した第2液を塗布し
(塗布量約50g/m2)、両塗布面を貼り合わせて圧
締した(圧締圧力約10kg/cm2 )。次いで、各被
着材対ごとに、表1中に示す時間に亙って圧締し、各圧
締時間後に解圧し、それぞれを5分間または24時間養
生した後に、その接着強度を、JIS K−6852
「接着剤の圧縮せん断接着強さ試験方法」に準じた方法
で測定して、5対の平均値を採って、接着強度(圧縮せ
ん断接着強さ)とした。
【0055】また、上記した24時間養生後の接着強度
の試験時に、被着体の接着塗布面で接着剥離が生じず
に、被着材の部分で破壊が生じた割合[破壊率(%)]
を同時に求めて、下記の表の括弧内に併記した。破壊率
の値が高い程、接着剤組成物の接着強度が大きいことを
示す。なお、上記の接着操作および試験は全て20℃の
雰囲気中で行った。その結果を下記の表1に示す。
【0056】《比較例1〜13》[接着試験] 第2液のグルタルアルデヒド水溶液を用いずに第1液の
みを用いて接着を行った他は、実施例1〜6と同様の接
着試験を行い、接着強度を測定すると共に被着材の破壊
率を求めた。その結果を表1に示す。
【0057】《比較例14》[接着試験] 実施例1で用いた15%グルタルアルデヒド水溶液の代
わりに15%グリオキザール水溶液を用いる他は実施例
1と同様に行った。結果を合わせて表1に示す。
【0058】《比較例15》[2液型接着剤組成物の調
製および接着試験] 1級アミノ基および2級アミノ基のいずれをも含有しな
い無変性PVA(重合度1110、けん化度88.3
%)を用いて、製造例1と同様の操作を行って、無変性
PVAを保護コロイドとする酢酸ビニル−エチレン共重
合体エマルジョンを製造した(第1(a)液−(VI))。第
1(a)液−(I)を用いる代わりに、第1(a)液−(VI)を
用いた他は実施例1と同様にして試験を行った。結果を
あわせて表1に示す。
【0059】《比較例16》[2液型接着剤組成物の調
製および接着試験] 1級アミノ基および2級アミノ基のいずれをも含有しな
い無変性PVA(重合度1110、けん化度88.3
%)を用いて、製造例10と同様の操作を行って、第1
(c)液−(V)を製造した。第1(c)液−(I)を用いる代
わりに、第1(c)液−(V)を用いた他は実施例10と同
様にして試験を行った。結果をあわせて表1に示す。
【0060】《比較例17》[2液型接着剤組成物の調
製および接着試験] 1級アミノ基および2級アミノ基のいずれをも含有しな
い無変性PVA(重合度1110、けん化度88.3
%)を用いて、製造例6と同様の操作を行って、第1
(b)液−(V)を製造した。第1(b)液−(I)を用いる代
わりに、第1(b)液−(V)を用いた他は実施例6と同様
にして試験を行った。結果をあわせて表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】上記の表1の結果から、アミノ基含有PV
Aを用いて調製した水性液を第1液とし、グルタルアル
デヒドの水溶液を第2液とする2液型接着剤組成物を用
いて、2液分別塗布法によって接着を行った実施例1〜
13による場合は、圧締時間1分後に既にかなり高い接
着強度を示し接着された被着材対の剥離が生じなくなっ
ており、良好な作業性で接着が行われ得ること、しかも
24時間養生した後は極めて高い接着強度を示し、良好
な接着性能を有していることがわかる。それに対して、
アミノ基含有PVAを用いて調製した第1液のみを用い
て接着を行っている比較例1〜13の場合、およびアミ
ノ基を含有しない無変性PVAを用いて調製した水性液
を第1液とし、グルタルアルデヒドを第2液とする2液
型接着剤組成物を用いて接着を行っている比較例15〜
17による場合は、圧締時間5分後でも接着強度が低い
かまたは漸くある程度の接着強度が発現されているに過
ぎないこと、しかも24時間養生した後でも実施例1〜
13に比べてその接着強度が大幅に低くなっていること
がわかる。また、比較例14の第2液としてグリオキザ
ール水溶液を用いたものよりもグルタルアルデヒド系の
接着強度が高いことが分かる。
【0063】
【発明の効果】本発明の2液型接着剤組成物は、第1液
と第2液を接触させたときに、室温下に短時間のうちに
反応硬化して高い初期接着強度を発現するので、本発明
の2液型接着剤組成物を用いて接着を行う場合には、良
好な作業性や工程性で、且つ低エネルギーコストで接着
作業を行うことができる。特に、本発明の2液型接着剤
組成物を用いて、一方の被着面に第1液を塗布し、もう
一方の被着面に第2液を塗布し、両方の塗布面を密着さ
せる2液分別塗布方法により接着を行うと、その速硬化
性という特性によって、接着作業を極めて円滑に行うこ
とができる。そして、本発明の2液型接着剤組成物を用
いて得られる被着体は高い最終接着強度を有しており、
接着部分が剥がれるなどのトラブルを生じない。さら
に、本発明の2液型接着剤組成物は、保存安定性や機械
的安定性に優れていて、放置しておいても成分の沈降や
分離、凝集などが生じにくく、しかも搬送時や取り扱い
時などに外部から揺動、攪拌などの作用を受けても成分
の沈降や分離、凝集などが生じにくく、その接着性能を
良好に保持することができる。できるという特性を有す
る2液型接着剤組成物、特に2液分別塗布に適する2液
したがって、本発明の2液型接着剤組成物は、上記した
種々の優れた特性を活かして、各種の木質材料、例えば
木材、チップボード、ハードボードの如き材料、スレー
ト板、硅カル板の様な木質材料;メラミン樹脂化粧材、
ベークライト、その他のプラスチック材料;段ボール紙
板紙、クラフト紙などの紙質材料;布帛やその他の繊維
製品;無機質板などの接着に有効に用いることができ、
特に木材の接着に好適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に1級アミノ基あるいは2級アミ
    ノ基を有するビニルアルコール系重合体を含む水性液よ
    りなる第1液と、グルタルアルデヒドを含む第2液から
    なる2液型接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の2液型接着剤組成物の
    第1液を第1の被着面に塗布し、第2液を第2の被着面
    に塗布し、両方の塗布面同士を密着させて接着を行うこ
    とを特徴とする接着方法。
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