JP2000272156A - カーボン膜の成膜方法 - Google Patents

カーボン膜の成膜方法

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film
carbon
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thermal head
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    • C23C16/4407Cleaning of reactor or reactor parts by using wet or mechanical methods

Abstract

(57)【要約】 【課題】気相成膜法によってカーボン膜を成膜するに際
し、ピンホールやクラックの極めて少ない、高品位なカ
ーボン膜を得ることができるカーボン膜の成膜方法を提
供する。 【解決手段】カーボン膜の成膜系内の0.5μmパーテ
ィクル量を1000個立方フィート/min以下とした
後に、成膜プロセスを開始することにより、前記課題を
解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリングや
CVD(Chemical Vapor Deposition) 等の気相成膜法を
用いるカーボン膜の成膜方法の技術分野に属し、詳しく
は、感熱記録を行うサーマルヘッドの保護膜としてのカ
ーボン保護膜の形成に、特に好適に利用されるカーボン
膜の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波診断画像の記録に、フィルム等を
支持体として感熱記録層を形成してなる感熱材料を用い
た感熱記録が利用されている。また、感熱記録は、湿式
の現像処理が不要であり、取り扱いが簡単である等の利
点を有することから、近年では、超音波診断のような小
型の画像記録のみならず、CT診断、MRI診断、X線
診断等の大型かつ高画質な画像が要求される用途におい
て、医療診断のための画像記録への利用も検討されてい
る。
【0003】周知のように、感熱記録は、感熱材料を加
熱して画像を記録する、発熱抵抗体と電極とを有する発
熱素子が一方向(主走査方向)に配列されてなる発熱体
(グレーズ)が形成されたサーマルヘッドを用い、グレ
ーズを感熱材料に若干押圧した状態で、両者を前記主走
査方向と直交する副走査方向に相対的に移動しつつ、M
RIやCT等の画像データ供給源から供給された記録画
像の画像データに応じて、グレーズの各画素の発熱素子
にエネルギーを印加して発熱させることにより、感熱材
料の感熱記録層を加熱して発色させて画像記録を行う。
【0004】このサーマルヘッドのグレーズには、感熱
材料を加熱する発熱体、あるいはさらに電極等を保護す
るため、その表面に保護膜が形成されている。従って、
感熱記録時に感熱材料と接触するのは、この保護膜で、
発熱体は、この保護膜を介して感熱材料を加熱し、これ
により感熱記録が行われる。保護膜の材料には、通常、
耐摩耗性を有するセラミック等が用いられているが、保
護膜の表面は、感熱記録時には加熱された状態で感熱材
料と慴接するため、記録を重ねるにしたがって摩耗し、
劣化する。
【0005】この摩耗が進行すると、感熱画像に濃度ム
ラが生じたり、保護膜としての強度が保てなくなるた
め、発熱体等を保護する機能が損なわれ、最終的には、
画像記録ができなくなる状態に陥る(ヘッド切れ)。特
に、前述の医療用途のように、高品質で、かつ高画質な
多階調画像が要求される用途においては、高品質化およ
び高画質化を計るために、ポリエステルフィルム等の高
剛性の支持体を使用する感熱フィルムを用い、さらに、
記録温度(印加エネルギー)や、感熱材料へのサーマル
ヘッドの押圧力を高く設定する方向にある。そのため、
通常の感熱記録に比して、サーマルヘッドの保護膜にか
かる力や熱が大きく、摩耗や腐食(腐食による摩耗)が
進行し易くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなサーマルヘ
ッドの保護膜の摩耗を防止し、耐久性を向上する方法と
して、保護膜の性能を向上する技術が数多く検討されて
おり、中でも特に、耐摩耗性や耐蝕性に優れた保護膜と
して、炭素を主成分とする保護膜(以下、カーボン保護
膜とする)が知られている。例えば、特公昭61−53
955号および特公平4−62866(前記出願の分割
出願)の各公報には、サーマルヘッドの保護膜として、
ビッカーズ硬度が4500kg/mm2以上のカーボン保護膜
を形成することにより、優れた耐摩耗性と共に、保護膜
を十分に薄くして優れた応答性も実現したサーマルヘッ
ド、およびその製造方法が開示されている。また、特開
平7−132628号公報には、下層のシリコン系化合
物層と、その上層のダイヤモンドライクカーボン層との
2層構造の保護膜を有することにより、保護膜の摩耗お
よび破壊を大幅に低減し、高画質記録が長期に渡って可
能なサーマルヘッドが開示されている。
【0007】カーボン保護膜(カーボン膜)は、ダイヤ
モンドに極めて近い特性を有するもので、非常に硬度が
高く、また、化学的にも安定である。そのため、感熱材
料との摺接に対する耐摩耗性や耐蝕性という点では優れ
た特性を発揮する。しかしながら、カーボン保護膜は、
優れた耐摩耗性を有するものの、硬いが故に脆い、すな
わち靭性が低い。そのため、カーボン保護膜にピンホー
ルやクラック等があると、発熱素子の加熱によるヒート
ショックや熱的なストレス、カーボン保護膜とこれに接
する層との熱膨張係数の違いによるストレス、感熱材料
とサーマルヘッド(グレーズ)との間に混入する異物に
よる機械的衝撃等によって、比較的容易に割れや剥離が
生じてしまうという問題点がある。保護膜に割れや剥離
が生じると、ここから摩耗や腐食、さらには腐食による
摩耗が進行して、サーマルヘッドの耐久性が低下してし
まい、やはり、長期に渡って高い信頼性を発揮すること
はできない。
【0008】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、スパッタリングやCVD等の気相
成膜法によって、炭素を主成分とするカーボン膜を成膜
するに際し、ピンホールやクラックの極めて少ない、高
品位なカーボン膜を得ることができるカーボン膜の成膜
方法を提供することにある。このような本発明は、例え
ば、炭素を主成分とするカーボン保護膜を有するサーマ
ルヘッドの製造に利用することにより、ピンホールやク
ラックやクラックに起因するカーボン保護膜の割れや剥
離を無くして、十分な耐久性を有し、長期に渡って高い
信頼性を発揮し、これにより、長期に渡って高画質の感
熱記録を安定して行うことができるサーマルヘッドを実
現できる。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、気相成膜によってカーボン膜を成膜する
に際し、成膜系内の0.5μmパーティクル量を100
0個立方フィート/min以下とした後に、成膜プロセ
スを開始することを特徴とするカーボン膜の成膜方法を
提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のカーボン膜の成膜
方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に
詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明をサーマ
ルヘッドの保護膜形成に利用した例で行うが、本発明
は、これに限定はされず、磁気ヘッド、プラスチック用
などの金型、工具等の各種の製品や部材等の各種の用途
におけるカーボン膜の形成に利用可能である。
【0011】図1に、本発明のカーボン保護膜の成膜方
法によってカーボン保護膜を成膜したサーマルヘッドの
発熱素子の概略断面図を示す。図示例のサーマルヘッド
10は、例えば、最大B4サイズまでの画像記録が可能
な、約300dpiの記録(画素)密度の感熱記録を行
うもので、保護膜に特徴を有する以外は、感熱材料Aへ
の感熱記録を行う発熱素子が一方向(主走査方向 図1
において紙面と垂直方向)に配列されて形成された公知
の構成を有するものである。
【0012】図1に示されるように、サーマルヘッド1
0(そのグレーズ)は、基板12の上(図示例におい
て、サーマルヘッド10は、上から感熱材料Aに押圧さ
れるので、図1中では下となる)に形成されるグレーズ
層(畜熱層)14と、その上に形成される発熱(抵抗)
体16と、その上に形成される電極18と、その上に形
成される、発熱体16や電極18からなる発熱素子等を
保護するための保護膜とを有して構成される。図示例の
サーマルヘッド10の保護膜は、発熱体16および電極
18を覆って形成される下層保護膜20と、下層保護膜
20の上に形成される中間層保護膜22(以下、中間層
22とする)と、中間層22の上に上層保護膜として形
成される炭素を主成分とする保護膜、すなわちカーボン
保護膜24とからなる3層構成を有する。
【0013】図示例のサーマルヘッド10は、カーボン
保護膜24の成膜に特徴を有する以外は、基本的に公知
のサーマルヘッドと同様の構成を有するものであり、層
構成や各層の材料は公知のものである。具体的には、基
板12としては耐熱ガラスやアルミナ、シリカ、マグネ
シアなどのセラミックス等の電気絶縁性材料が、グレー
ズ層14としては耐熱ガラスやポリイミド樹脂等の耐熱
性樹脂等が、発熱体16としてはニクロム(Ni-Cr)、タ
ンタル、窒化タンタル等の発熱抵抗体が、電極18とし
てはアルミニウム、銅等の導電性材料が、各種利用可能
である。これらは、真空蒸着、CVD(Chemical Vapor
Deposition) 、スパッタリング等のいわゆる薄膜形成技
術およびフォトエッチング法を用いて形成される薄膜型
発熱素子でも、スクリーン印刷などの印刷ならびに焼成
によるいわゆる厚膜形成技術を用いて形成される厚膜型
発熱素子でもよい。
【0014】下層保護膜20は、絶縁性で、かつサーマ
ルヘッドの保護膜となりうる耐熱性、耐蝕性および耐摩
耗性を有する材料で形成されるものであり、好ましく
は、各種のセラミックス材料が例示される。具体的に
は、窒化珪素(Si3N4) 、炭化珪素(SiC) 、酸化タンタル
(Ta2O5) 、酸化アルミニウム(Al2O3) 、サイアロン(SiA
lON)、酸化珪素(SiO2)、窒化アルミニウム(AlN) 、窒化
ホウ素(BN)、酸化セレン(SeO) 、窒化チタン(TiN) 、炭
化チタン(TiC) 、炭窒化チタン(TiCN)、窒化クロム(Cr
N) 、およびこれらの混合物等が例示される。中でも特
に、成膜の容易性や製造コスト、機械的摩耗や化学的摩
耗に対する耐摩耗性等の点で、窒化物、炭化物が好まし
く、窒化珪素、炭化珪素、サイアロン等が好適に利用さ
れる。また、下層保護膜20には、物性調整のため、金
属等の微量の添加物が含まれてもよい。
【0015】下層保護膜20の形成方法には特に限定は
なく、前述の厚膜形成技術や薄膜形成技術等を用いて、
スパッタリング、特にマグネトロンスパッタリングや、
CVD、特にプラズマCVD等の、公知のセラミックス
膜(層)の成膜方法で形成すればよいが、中でもCVD
が好適に利用される。周知のように、CVDは、反応室
中に導入した気体原料に、熱や光等のエネルギを加え、
種々の化学反応を誘起させて、基板上に物質を堆積被覆
して成膜する技術であるが、下層保護膜20をCVDで
形成することにより、非常に緻密で、しかもクラック等
の欠損部がない下層保護膜20を形成することができ、
その結果、より耐久性に優れ、かつ画質的にも有利なサ
ーマルヘッドを作成することができる。
【0016】図示例のサーマルヘッド10は、このよう
な下層保護膜20の上に中間層22を形成し、その上に
カーボン保護膜24を有する3層構成の保護膜を有す
る。前述のように、下層保護膜20の上層にカーボン保
護膜24を有することにより、長寿命なサーマルヘッド
を得ることができるが、さらに、この中間層22を有す
ることにより、下層保護膜20とカーボン保護膜24の
密着性、衝撃吸収性等を向上し、より耐久性や長期信頼
性に優れた、より長寿命のサーマルヘッドを実現でき
る。
【0017】中間層22としては、周期表4A族(4族
=チタン族)の金属、同5A族(5族=バナジウム族)
の金属、同6A族(6族=クロム族)の金属、Si(珪
素)およびGe(ゲルマニウム)からなる群より選択さ
れる少なくとも1種を主成分とするのが、上層であるカ
ーボン保護膜24および下層である下層保護膜20との
密着性、ひいてはカーボン保護膜24の耐久性の点から
好ましい。具体的には、Si、Ge、Ti(チタン)、
Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)およびこれらの
混合物等が好適に例示される。中でも特に、カーボンと
の結合性等の点で、Si、Moが好ましく、最も好まし
くはSiである。
【0018】中間層22の形成方法には特に限定はな
く、前述の厚膜形成技術や薄膜形成技術等を用いて、中
間層22の形成材料に応じた公知の成膜方法で形成すれ
ばよいが、好ましい一例として、スパッタリングが例示
され、また、プラズマCVDも利用可能である。
【0019】図示例のサーマルヘッド10においては、
この中間層22の上に、炭素を主成分とするカーボン保
護膜24が形成される。なお、本発明において、炭素を
主成分とするとは、50atm%超の炭素を含有するカ
ーボン膜で、好ましくは炭素および不可避的不純物から
なるカーボン膜のことである。本発明のサーマルヘッド
において、カーボン保護膜24を形成する炭素以外の添
加成分としては、水素、窒素、フッ素、Si、およびT
i等が好適に例示される。添加成分が水素、窒素および
フッ素である場合には、カーボン保護膜24中のこれら
の含有量が50atm%未満であるのが好ましく、添加
成分がSiおよびTiである場合には、カーボン保護膜
24中のこれらの含有量が20atm%以下であるのが
好ましい。
【0020】このようなカーボン保護膜24の成膜方法
には特に限定はなく、目的とするカーボン保護膜24の
組成に応じた、公知の気相成膜方法がすべて利用可能で
あるが、好ましい方法として、スパッタリング、特にマ
グネトロンスパッタリングや、CVD、特にプラズマC
VDが好適に例示される。
【0021】ここで、本発明のカーボン膜の成膜方法
は、気相成膜法を用いて炭素を主成分とするカーボン膜
(カーボン保護膜24)を成膜するものであるが、成膜
系内の0.5μmパーティクル量を1000個立方フィ
ート(ft3 )/min(cubicfeet per minute=cf
m)以下、好ましくは、500個ft3 /min以下と
した後に、成膜プロセスを開始する。成膜系内のダスト
(ゴミ、チリ、ホコリ等)量を0.5μmパーティクル
量で1000個ft3 /minとした後に成膜プロセス
を開始することにより、ピンホールやクラックの極めて
少ない、高品位なカーボン膜を形成することができ、例
えば、図示例のようなサーマルヘッドのカーボン保護膜
の成膜に利用することにより、ピンホールやクラックに
起因するカーボン保護膜の剥離や割れのない、長期にわ
たって高い信頼性を発揮するサーマルヘッドを得ること
ができる。
【0022】なお、本発明において、成膜系内の0.5
μmパーティクル量の下限には特に限定はなく、少ない
ほど好ましいが、経済性や手間、実用性等を考えると、
0.5μmパーティクル量は50個ft3 /min〜1
00個ft3 /min程度を下限とするのが好ましい。
【0023】カーボン膜の成膜系内の0.5μmパーテ
ィクル量を1000個ft3 /min以下とする方法に
は特に限定はないが、例えば、カーボン膜の成膜プロセ
スの開始に先立ち、成膜装置のチャンバ内部を発塵量が
3000個ft3 /min以下個ft3 /min以下、
特に1000個ft3 /min以下、中でも特に300
個ft3 /min以下の布で清掃し、チャンバ壁面等に
付着しているパーティクル等、成膜系内のダストを取り
除く方法が例示される。さらに、この清掃後に、成膜系
内をポンプ等で吸引し、成膜系内に浮遊しているダスト
を除去すると、より好ましい。
【0024】このようなパーティクルの除去作業は、カ
ーボン膜の成膜に先立って行えばよく、カーボン膜の成
膜直前に行ってもよいが、例えば、図示例のサーマルヘ
ッド10の製造であれば、中間層22や下層保護膜20
の成膜に先立って除去作業を行っても良い。なお、中間
層22や下層保護膜20の成膜に先立ってパーティクル
の除去作業を行う場合には、中間層22およびカーボン
保護膜24の成膜や、下層保護膜20〜カーボン保護膜
24の成膜は、真空を大気開放することなく連続的に行
うのが好ましい。
【0025】カーボン保護膜24は、50℃〜400℃
程度、特に、サーマルヘッド10の使用温度に加熱しな
がら形成してもよい。これにより、カーボン保護膜24
と中間層22ひいては下層保護膜20との密着性をさら
に向上でき、ヒートショックや感熱記録中の異物混入に
よる機械的衝撃による割れや剥離、ならびに高パワー記
録によるカーボン膜の変質や消失に対する、より一層優
れた耐久性を得ることができる。なお、加熱は、ヒータ
等の加熱手段を用いる方法や、サーマルヘッド10に通
電する方法で行えばよい。
【0026】カーボン保護膜24の硬度には特に限定は
なく、サーマルヘッドの保護膜として十分な硬度を有す
ればよいが、例えば、ビッカーズ硬度で3000kg/mm2
〜5000kg/mm2程度が好適に例示される。また、この
硬度は、カーボン保護膜24の厚さ方向に対して、一定
でも異なるものであってもよく、厚さ方向に硬度が異な
る場合には、硬度の変化は連続的でも段階的でもよい。
【0027】図示例のサーマルヘッド10において、各
層の厚さには特に限定はないが、下層保護膜22の厚さ
は0.2μm〜20μm、特に2μm〜15μmが好ま
しく、中間層24の厚さは0.05μm〜1μm、特に
0.1μm〜1μmが好ましく、カーボン保護膜26の
厚さは、0.5μm〜5μm、特に1μm〜3μmが好
ましい。中間層24およびカーボン保護膜26の厚さを
上記範囲内とすることにより、中間層24による下層へ
の密着力および衝撃吸収力、カーボン保護膜26の有す
る耐久性等の機能を、安定して、バランス良く実現でき
る。また、中間層を有さない2層構成の場合にも、特に
限定はないが、耐摩耗性と熱伝導性(すなわち記録感
度)とのバランスを好適に取ることができる等の点で、
下層保護膜22の厚さは0.5μm〜50μm、特に、
2μm〜20μmが好ましく、カーボン保護膜24の厚
さは、0.1μm〜5μm、特に、1μm〜3μmが好
ましい。
【0028】図2に、本発明の実施、ならびに図示例の
サーマルヘッドの保護膜の形成に好適な成膜装置の一例
の概念図を示す。図示例の成膜装置50は、基本的に、
真空チャンバ52と、ガス導入部54と、第1スパッタ
リング手段56と、第2スパッタリング手段58と、プ
ラズマ発生手段60と、バイアス電源62と、基板ホル
ダ64とを有して構成される。
【0029】この成膜装置50は、系内すなわち真空チ
ャンバ52内に2つのスパッタリングによる成膜手段と
プラズマCVDによる成膜手段を有するものであり、異
なる組成の複数層の成膜を連続的に行うことが可能であ
る。従って、成膜装置50を用いることにより、例え
ば、異なるターゲットを用いたスパッタリングによっ
て、あるいはスパッタリングとプラズマCVDとによっ
て、下層保護膜20、中間層22、カーボン保護膜24
等の形成を、効率よく行うことができる。
【0030】真空チャンバ52は、SUS304等の非
磁性材料で形成されるのが好ましく、内部(成膜系内)
を排気して減圧とする真空排気手段66が配置される。
真空チャンバ52内のプラズマやプラズマ発生用の電磁
波によってアークが発生する箇所は、MCナイロン、テ
フロン(PTFE)等の絶縁部材で覆ってもよい。
【0031】ガス導入部54は、2つのガス導入管54
aおよび54bを有する。一例として、ガス導入管54
aは、プラズマを発生するためのガスを導入し、ガス導
入管54bは、プラズマCVDの反応ガスを導入する。
【0032】なお、プラズマ発生用のガスとしては、例
えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の不活性ガスが用
いられる。カーボン保護膜24を成膜するための反応ガ
スとしては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、ア
セチレン、ベンゼン等の炭化水素化合物のガスが例示さ
れ、中間層22を成膜するための反応ガスとしては、中
間層22の形成材料を含む各種のガスが例示される。さ
らに、下層保護膜20を成膜するための反応ガスとして
は、下層保護膜20の形成材料を含む各種のガスが例示
され、例えば、下層保護膜20として窒化珪素膜を作製
する際には、反応ガスとして、シラン、窒素および酸素
の混合ガス等を用いればよい。
【0033】スパッタリングでは、カソードにスパッタ
リングするターゲット材を配置し、カソードを負電位に
すると共に、ターゲット材の表面にプラズマを発生させ
ることにより、ターゲット材(その原子)を弾き出し
て、対向した配置した基板の表面に付着させ、堆積する
ことにより成膜する。第1スパッタリング手段56およ
び第2スパッタリング手段58は、共に、スパッタリン
グによって基板表面に成膜を行うものであり、第1スパ
ッタリング手段56は、カソード68、ターゲット材7
0の配置部、シャッタ72および高周波(RF)電源7
4等を有して構成され、他方、第2スパッタリング手段
58は、カソード76、ターゲット材70の配置部、シ
ャッタ78および直流電源80等を有して構成される。
上記構成より明らかなように、第1スパッタリング手段
56と第2スパッタリング手段58は、配置位置および
電源が異なる以外は基本的に同じ構成を有するので、以
下の説明は、異なる部分以外は、第1スパッタリング手
段56を代表例として行う。
【0034】第2スパッタリング手段58において、タ
ーゲット材70の表面にプラズマを発生する際には、直
流電源80のマイナス側を直接カソード76に接続し、
スパッタリングのための電圧を印加する。両電源の出力
や性能には特に限定はなく、目的とする成膜に必要にし
て必要にして十分な性能を有するものを選択すればよ
い。例えば、カーボン保護膜24の形成を行う装置であ
れば、最高出力10kwの負電位の直流電源を用い、変
調器によって2kHz〜100kHzでパルス状に変調
できるように構成した直流電源を用いればよい。
【0035】図示例においては、無酸素銅やステンレス
等からなるバッキングプレート82(84)をカソード
68に固定し、その上にターゲット材70をIn系ハン
ダや機械的な固定手段で固定する。なお、下層保護膜2
0の形成に用いられるターゲット材70としては、前述
の各種のセラミックス材料、SiN、SiAlN等が好
適に例示される。また、中間層22の形成に用いられる
ターゲット材70としては、4A族、5A族、6A族の
各金属や、GeやSiの単結晶等が好適に例示される。
さらに、カーボン保護膜24を形成するために用いられ
るターゲット材70としては、焼結カーボン材、グラッ
シーカーボン材等が好適に例示される。
【0036】また、図示例の装置は、マグネトロンスパ
ッタリングを行うものであり、カソード68の内部に
は、磁石68a(76a)が配置される。マグネトロン
スパッタリングは、ターゲット材70表面に磁場を形成
してプラズマを閉じ込めてスパッタリングを行うもので
あり、成膜速度が早い点で好ましい。
【0037】図示例の成膜装置50は、マイクロ波とE
CR磁場とによってプラズマを発生させる、マイクロ波
ECR波放電を利用するプラズマCVDでカーボン保護
膜24等の成膜を行うものであり、プラズマ発生手段6
0は、マイクロ波電源86、磁石88、マイクロ波導波
管90、同軸変調器92、誘電体板94、放射状アンテ
ナ96等を有して構成される。マイクロ波電源86は、
カーボン保護膜24等の成膜に必要にして十分な出力を
有するものを適宜選択すればよい。また、ECR磁場発
生用の磁石88としては、所望の磁場を形成できる永久
磁石や電磁石を適宜用いればよい。真空チャンバ52内
へのマイクロ波の導入は、マイクロ波導波管90、同軸
変調器92、誘電体板94等を用いて行われる。
【0038】基板ホルダ64は、サーマルヘッド10
(その本体)等の被成膜材(成膜基板)を固定するもの
である。図示例の成膜装置50は、3つの成膜手段を有
するものであり、基板ホルダ64は各成膜手段、すなわ
ちスパッタリング手段56および58と、プラズマCV
Dを行うプラズマ発生手段60に基板となるグレーズを
対向できるように、基板ホルダ64を揺動する回転部9
8に保持されている。また、基板ホルダ64とターゲッ
ト材70や放射状アンテナ96との距離は、公知の方法
で調整可能にされる。なお、基板とターゲット材70も
しくは放射状アンテナ96との距離は、膜厚分布が均一
になる距離を選択設定すればよい。
【0039】下層保護膜20や中間層22の表面は、密
着性を上げるため、必要に応じてエッチングで粗面化さ
れる。さらに、プラズマCVDで硬質膜を得るために
は、基板に負のバイアス電圧を印加しながら成膜を行う
のが好ましい。そのため成膜装置50では、基板ホルダ
64に高周波電圧を印加するバイアス電源62が接続さ
れる。また、プラズマCVDの際には、高周波の自己バ
イアス電圧を使用するのが好ましい。
【0040】以上、本発明のカーボン膜の成膜方法につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされ
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改
良や変更等を行ってもよいのはもちろんである。
【0041】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。
【0042】[実施例]公知のサーマルヘッドの製造方
法と同様にして、基板12上に蓄熱層14を形成し、そ
の上に発熱体16と電極18をスパッタリングで成膜し
て、フォトリソグラフィーおよびエッチングによってパ
ターンを形成し、保護膜を有さない、基となるサーマル
ヘッドを作製した。得られたサーマルヘッドに、下記に
示されるようにして、厚さ7μmの窒化珪素膜を成膜し
て、下層保護膜20を作製した。
【0043】<下層保護膜20の作製>通常のスパッタ
リング装置によって、2kW〜5kWのRFパワーによ
るマグネトロンスパッタリングで成膜を行った。ターゲ
ット材は、SiN焼結材を用いた。チャンバ内に導入す
るスパッタ用ガスは、キャリアガスとしてArを100
[sccm]、反応ガスとして、窒素ガスを20[sccm]、酸素
ガスを5[sccm]を、それぞれ用い、トータルのガス圧
(チャンバ内の圧力)は5mTorrとした。窒化珪素膜の
膜厚は、あらかじめ成膜速度を求めておき、所定の膜厚
となる成膜時間を算出して、成膜時間で制御した。
【0044】このようにして下層保護膜20を作製した
サーマルヘッドに、以下のような、図2に示される成膜
装置50を用いて、中間層22およびカーボン保護膜2
4を形成した。
【0045】<成膜装置50> a.真空チャンバ52 真空排気手段66として、排気速度が1500L(リッ
トル)/分のロータリーポンプ、同12000L/分の
メカニカルブースタポンプ、および同3000L/秒の
ターボポンプを、各1台ずつ有する、SUS304製で
容積が0.5m3の真空チャンバ52を用いた。ターボポ
ンプの吸引部にオリフィスバルブを配置して、開口度を
10%〜100%まで調整できる。
【0046】b.ガス導入部54 最大流量50[sccm]〜500[sccm]のマスフローコント
ローラと、直径6ミリのステンレス製パイプを用いて、
プラズマ発生ガス用と反応ガス用の2つのガス導入管5
4aおよび54bを形成した。
【0047】c.第1スパッタリング手段56および第
2スパッタリング手段58 永久磁石68aおよび76aとしてSm-Co 磁石を配置し
た、幅600mm×高さ200mmの矩形のカソード68お
よび76を用いた。バッキングプレート82および84
として、矩形状に加工した無酸素銅を、カソード68お
よび76にIn系ハンダで張り付けた。また、カソード
68および76内部を水冷することにより、磁石68a
および76a、カソード68および76、ならびにバッ
キングプレート82および84の裏面を冷却した。な
お、RF電源74としては、13.56MHzで最大出
力10kWのRF電源を、直流電源80としては最大出
力10kWの負電位の直流電源を、それぞれ用いた。ま
た、直流電源80には、変調器を組み合わせ、2kHz
〜100kHzの範囲でパルス状に変調可能とした。
【0048】d.プラズマ発生手段60 発振周波数2.45GHz、最大出力1.5kWのマイ
クロ波電源86を用いた。マイクロ波は、マイクロ波導
波管90で真空チャンバ52近傍まで導き、同軸変調器
92で変換後、真空チャンバ52内の放射状アンテナ9
6に導入した。プラズマ発生部は、幅600mm×高さ2
00mmの矩形のものを用いた。さらに、ECR用磁場
は、磁石88としてSm-Co 磁石を複数個、誘電体板94
の形状に合わせて配置することで形成した。
【0049】e.基板ホルダ64 回転部98の作用により、保持した基板(すなわち、サ
ーマルヘッド10)を第1スパッタリング手段56およ
び第2スパッタリング手段58に配置されたターゲット
材70、ならびにプラズマ発生手段60の放射状アンテ
ナ96に対向して保持する。以下に示す、スパッタリン
グによる中間層22およびカーボン保護膜24の成膜時
には、基板とターゲット材70の距離は100mmとし
た。さらに、エッチング用の高周波電圧が印加できるよ
うに、サーマルヘッドの保持部分を浮遊電位にした。さ
らには、基板ホルダ64表面にはヒータを設け、加熱し
ながら成膜を行えるようにした。
【0050】f.バイアス電源62 基板ホルダ64に、マッチングボックスを介して高周波
電源を接続した。高周波電源は、周波数13.56MH
zで、最大出力は3kWである。また、この高周波電源
は、自己バイアス電圧をモニタすることにより、負の1
00V〜500Vの範囲で高周波出力が調整可能に構成
されている。なお、このバイアス電源62は、エッチン
グ手段を兼ねている。
【0051】<中間層22およびカーボン保護膜24の
作製>このような成膜装置50において、発熱素子(下
層保護膜20)が第1スパッタリング手段56のターゲ
ット材70の保持位置に対向するように、基板ホルダ6
4に前記基となるサーマルヘッドを固定した。なお、サ
ーマルヘッドの中間層22の形成部分以外にはマスキン
グを施しておいた。
【0052】また、成膜プロセスの開始に先立ち、発塵
量が300個ft3 /minの布を用いて、真空チャン
バ52の内壁面を清掃し、付着しているパーティクル等
を除去した。続いて、真空掃除器によって吸い取りを行
い、真空チャンバ52内に浮遊しているパーティクル等
を系外に排出した。その後、真空チャンバ52内部の
0.5μmパーティクル量をレーザパーティクルカウン
タ(Met One社製 Model 237B)で測
定したところ、500個ft3 /minであった。
【0053】真空排気手段66によって真空排気を行い
ながら、ガス導入部54によってアルゴンガスを導入
し、ターボポンプに設置したオリフィスバルブによっ
て、真空チャンバ52内の圧力が5.0×10-3Torrに
なるように調整した。次いで、基板に高周波電圧を印加
し、自己バイアス電圧−300Vで10分間、下層保護
膜20(窒化珪素膜)のエッチングを行った。
【0054】エッチング終了後、ターゲット材70とし
てSi単結晶を第1スパッタリング手段56のバッキン
グプレート82に、また、焼結グラファイト材を第2ス
パッタリング手段58のバッキングプレート84に、そ
れぞれ固定(In系ハンダで張り付け)した。その後、
真空チャンバ52内の圧力が5×10-6Torrになるまで
真空排気した後、圧力が5×10-3Torrとなるようにア
ルゴンガス流量およびオリフィスバルブを調整し、シャ
ッタ72を閉じた状態でターゲット材70に高周波電力
0.5kWを5分間印加した。次いで、真空チャンバ5
2内の圧力を保ったまま、供給電力を2kWの高周波電
力としてシャッタ72を開いてスパッタリングを行い、
厚さ0.2μmのSi膜を中間層22として形成した。
なお、Si膜の膜厚は、あらかじめ成膜速度を求めてお
き、所定の膜厚となる成膜時間を算出して、成膜時間で
制御した。
【0055】次いで、回転部98によって発熱素子を第
2スパッタリング手段58のターゲット材70(焼結グ
ラファイト材)に向け、真空チャンバ52内の圧力が
2.5×10-3Torrとなるようにアルゴンガス流量およ
びオリフィスバルブを調整し、シャッタ78を閉じた状
態でターゲット材70に直流電力0.5kWを5分間印
加した。次いで、真空チャンバ52内の圧力を保ったま
ま、直流電力を5kWとしてシャッタ78を開いてスパ
ッタリングを行って、厚さ2μmのカーボン保護膜24
を形成し、下層保護膜20、中間層22およびカーボン
保護膜24の3層構成の保護膜を有するサーマルヘッド
10を作製した。なお、カーボン保護膜24の膜厚は、
あらかじめ成膜速度を求めておき、所定の膜厚となる成
膜時間を算出して、成膜時間で制御した。
【0056】<性能評価>得られたサーマルヘッド10
のカーボン保護膜24の表面を光学顕微鏡で観察したと
ころ、確認された欠陥の大きさは、すべて10μm以下
であった。また、このサーマルヘッド10を用いて感熱
記録材料にベタ画像を記録したところ、25000枚の
記録を行った後でも、カーボン保護膜24の剥離等の損
傷は認められなかった。
【0057】[比較例]カーボン保護膜24を成膜する
前の真空チャンバ52内壁面の清掃を発塵量3000個
ft3 /minの布を用いて行った以外、および布によ
る清掃を行わずに真空掃除器によって吸い取り蚤を行っ
た以外は、前記実施例と同様にして、下層保護膜20、
中間層22およびカーボン保護膜24の3層構成の保護
膜を有するサーマルヘッド10を作製した。なお、実施
例と同様に、排気掃除器によるパーティクル排出後の真
空チャンバ52内部の0.5μmパーティクル量を測定
したところ、5000個ft3 /minの布を用いた例
では5000個ft3 /min、真空掃除器によるパー
ティクル排除のみの例では8000個ft3 /minで
あった。
【0058】得られたサーマルヘッド10のカーボン保
護膜24を光学顕微鏡で観察したところ、最大で100
μm程度の大きさの欠陥が確認された。また、実施例と
同様にして、感熱記録材料にベタ画像の記録を行ったと
ころ、5000枚の記録を終了した時点で、25μm以
上のサイズの欠陥部からカーボン保護膜24の剥離が確
認された。以上の結果より、本発明の効果は明らかであ
る。
【0059】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、ピンホールやクラックの極めて少ない、高品位
なカーボン膜を形成することができ、例えば、図示例の
ようなサーマルヘッドのカーボン保護膜の成膜に利用す
ることにより、カーボン保護膜の剥離や割れのない、長
期にわたって高い信頼性を発揮するサーマルヘッドを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を利用して作製されたサーマルヘッド
の発熱素子の構成を示す概略図である。
【図2】 本発明を実施する成膜装置の一例の概念図で
ある。
【符号の説明】
10 サーマルヘッド 12 基板 14 グレーズ層 16 発熱(抵抗)体 18 電極 20 下層保護膜 22 中間層 24 カーボン保護膜 50 成膜装置 52 真空チャンバ 54 ガス導入部 56 第1スパッタリング手段 58 第2スパッタリング手段 60 プラズマ発生手段 62 バイアス電源 64 基板ホルダ 66 真空排気手段 68,76 カソード 70 ターゲット材 72,78 シャッタ 74 RF電源 80 直流電源 82,84 バッキングプレート 86 マイクロ波電源 88 磁石 90 マイクロ波導波管 92 同軸変換器 94 誘電体板 96 放射状アンテナ 98 回転部 A 感熱材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C065 JF01 JF04 JF05 JF16 JH08 JH11 5F058 BA04 BB06 BD01 BD10 BD18 BF07 BF12 BF26 BJ10

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気相成膜によってカーボン膜を成膜するに
    際し、成膜系内の0.5μmパーティクル量を1000
    個立方フィート/min以下とした後に、成膜プロセス
    を開始することを特徴とするカーボン膜の成膜方法。
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