JP2000271670A - スリット付チューブの製造方法及び製造装置 - Google Patents

スリット付チューブの製造方法及び製造装置

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JP2000271670A JP11084359A JP8435999A JP2000271670A JP 2000271670 A JP2000271670 A JP 2000271670A JP 11084359 A JP11084359 A JP 11084359A JP 8435999 A JP8435999 A JP 8435999A JP 2000271670 A JP2000271670 A JP 2000271670A
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slits
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靖 渡辺
Kaname Yasuda
要 安田
Kiyoshi Okubo
潔 大久保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スリット13、13の加工に伴う歪みを僅少
に抑え、しかも加工能率の良い技術を実現する。 【解決手段】 ダイス24にチューブ25を外嵌した状
態で、1対のパンチ29、29の先端部34、34によ
り、上記スリット13、13を打ち抜く。これら各先端
部34、34の先端面35、35は、これら各スリット
13、13の開口端に向かう程、上記チューブ25の中
心軸から離れる方向に傾斜している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明に係るスリット付チ
ューブの製造方法及び製造装置は、自動車用操舵装置を
構成するスリット付チューブを製造する為の技術の改良
に関し、安価でしかも品質の良いスリット付チューブを
実現するものである。尚、このスリット付チューブは、
自動車用操舵装置を構成するステアリングシャフト、或
は中間シャフトを構成するアウターシャフトとして利用
する。
【0002】
【従来の技術】自動車用操舵装置は従来から、例えば図
15に示す様に構成している。ステアリングシャフト1
は、下部ブラケット2及び上部ブラケット3により図示
しない車体に支持するステアリングコラム4の内側に、
回転自在に支持されている。上記ステアリングシャフト
1の後端部でこのステアリングコラム4の後端開口部か
ら突出した部分には、図示しないステアリングホイール
を固定する。このステアリングホイールの動きは、上記
ステアリングシャフト1から、自在継手5、中間シャフ
ト6を介して、図示しないステアリングギアに伝達す
る。
【0003】上述の様な自動車用操舵装置を構成する、
上記ステアリングシャフト1、中間シャフト6及びステ
アリングコラム4は従来から、衝突時に運転者を保護す
る事を目的として、衝撃に基づいて全長を縮める、所謂
コラプシブル構造としている。図16は、この様な目的
で全長を収縮自在としたステアリングシャフト1aの構
造の1例を示している。このステアリングシャフト1a
は、前半部(図16の左半部)を構成するインナーシャ
フト7と後半部(図16の右半部)を構成するアウター
シャフト8とを、全長を収縮自在に組み合わせている。
尚、図15に示した操舵装置に組み込んだステアリング
シャフト1も、衝撃に基づいて全長を縮める構造ではあ
るが、基本構造が本発明の対象となるものとは相違して
いるので、詳しい説明は省略する。又、図16に示した
構造は、インナーシャフト7を前半部に、アウターシャ
フト8を後半部に、それぞれ配置しているが、この配置
は前後逆でも良い。従って、以下に述べるインナー、ア
ウター、前後の記載に就いては、あくまでも図示の例に
限るものであって、本発明を限定するものではない。
【0004】図16に示したステアリングシャフト1a
は、中空円管状のインナーシャフト7の後端部と、図1
7に詳示する、やはり中空円管状のアウターシャフト8
の前端部とを、回転力の伝達自在に、且つ軸方向に亙る
相対変位自在に結合して成る。即ち、上記インナーシャ
フト7の後端部に絞り加工により設けた小径部9の外周
面に雄セレーション10を形成している。又、上記アウ
ターシャフト8の前端部にやはり絞り加工により設けた
小径部11の内周面に、雌セレーション12を形成して
いる。そして、これら雄セレーション10と雌セレーシ
ョン12とを係合させる事により、上記両シャフト7、
8同士の間での回転力の伝達を自在としている。
【0005】又、上記アウターシャフト8の前端部に設
けた小径部11の前半部には、図17に詳示する様に、
それぞれがこの小径部11の前端縁に開口する複数本の
(図示の例では4本)のスリット13、13を、円周方
向に亙って互いに等間隔で形成している。そして、円周
方向に隣り合うスリット13、13同士の間部分に、直
径方向内方に向く弾力を付与している。従って、上記雄
セレーション10と雌セレーション12とを係合させた
状態では、これら雄セレーション10と雌セレーション
12との係合部ががたつく事がなくなる。これに対し
て、衝突時には上記両シャフト7、8同士が軸方向に相
対変位する事を許容し、上記ステアリングシャフト1a
の全長が縮まる様にする。
【0006】上述の様なステアリングシャフト1aを構
成するアウターシャフト8は、例えば図18〜19に示
す様な工程で、断面が円形の中空管である素材に絞り加
工を施す事により造る。先ず、図18(a)に示す様な
中空円管状の素材14を用意する。そして、第一工程で
この素材14の前半部(図18の左半部)に、プレス押
し込み加工等の縮径加工を施す事により小径部11を形
成し、図18(b)に示す様な第一中間素材16とす
る。この第一中間素材16の小径部11の内径r11は、
上記小径部11の内周面に形成すべき雌セレーション1
2{図18(d)(e)}のピッチ円直径より僅かに小
さく造る。尚、この雌セレーション12の加工方法に関
しては、本発明の要旨とは関係しないし、特願平10−
51880号に詳しく記載してあるので、詳しい説明は
省略する。
【0007】次いで、第二工程として、上記小径部11
の先半部で円周方向等間隔位置に、それぞれがこの小径
部11の先端面に開口するスリット13、13を形成し
て、図18(c)に示す様な第二中間素材17とする。
この様に、スリット13、13を形成する方法が、本発
明の対象となる。次いで、第三工程として、上記第二中
間素材17のうちの上記小径部11の内周面部分に、図
19(a)〜(c)に示す様に、外周面に雄セレーショ
ン状の凹凸形状を有するパンチ18を押し込む事によ
り、図18(d)(e)に示す様な、上記小径部11の
内周面に雌セレーション12を有する、アウターシャフ
ト8とする。上記パンチ18の押し込み作業の際、上記
小径部11は拘束ダイス19に挿入して、外周面を抑え
付けておく。
【0008】尚、上記パンチ18により上記小径部11
の内周面に雌セレーション12を形成する際に、この小
径部11は直径方向外方に逃げようとするが、上記拘束
ダイス19により拘束されている為逃げる事ができず、
上記小径部11の内周面に精密な形状を有する上記雌セ
レーション12を形成できる。上記各スリット13、1
3をプレスによる打ち抜き加工で形成した場合には、加
工時に生じる残留応力の影響で、上記小径部11の形状
が多少なりとも歪んでいる。この歪みが小さい場合に
は、上記雌セレーション12を形成する際に於ける、上
記パンチ18の外周面と拘束ダイス19の内周面との間
での拘束による高い静水圧効果により、上記雌セレーシ
ョン12の形成加工中に矯正される。
【0010】又、上述の様に上記小径部11に上記パン
チ18を押し込む事により、この小径部11の内周面に
上記雌セレーション12を加工すると、加工完了時に於
いてこの小径部11の形状は、図18(d)に示す様に
先細のテーパ状になる。そこで、この小径部11の前端
部を拡径する方向に押し広げて、この小径部11の前半
部の形状及び寸法を矯正する。この様な矯正作業は、こ
の小径部11の前半部のスプリングバック量を見込んで
広げ量を設定する事により行なう。この様にして矯正作
業を行なえば、上記小径部11の前半部の寸法並びに形
状精度を良好にできる。
【0011】上述の様にして得られた、図18(e)に
示す様な形状を有するアウターシャフト8は、別途製作
したインナーシャフト7とセレーション係合させて、自
動車用操舵装置を構成するステアリングシャフト或は中
間シャフトとする。尚、上記雌セレーション12とイン
ナーシャフト7の雄セレーション10とは、隙間がない
状態で組立て、且つ軸方向には相互に摺動できる程度
に、上記アウターシャフト8側にばね力を付与する。こ
の様なばね力は、上記各スリット13、13の間に存在
する部分のばね効果を利用して得る。従って、車輪から
伝わる振動を、上記雌セレーション12と雄セレーショ
ン10との嵌合部での微小な軸方向の動きにより吸収
し、上記振動がステアリングホイールにまで伝わる事を
防止できる。又、自動車の衝突時に収縮して、運転者を
保護する。
【0012】上述の様なスリット13、13を有するア
ウターシャフト8の様な、スリット付チューブを造るべ
く、素材となるチューブの端部にスリットを加工する作
業は、フライス盤等を使用した切削加工、或はプレスに
よる打ち抜き加工により行なう。このうち、切削加工に
よる場合は、加工に伴う変形を低く抑えて、高品質のス
リット付チューブを得られるが、加工時間を要し、加工
コストが嵩む事が避けられない。これに対して、打ち抜
き加工の場合には、加工コストを低く抑えられる代わり
に、加工に伴う変形が大きくなる。この変形が大きくな
ると、前述の図18(d)(e)、図19に示した様
に、スリット付チューブであるアウターシャフト8の内
周面に雌セレーション12を加工する作業時に、この内
周面とパンチ18との係合状態が不正規になり、品質の
良い雌セレーション12の加工を行なえなくなる。打ち
抜き加工後に変形分を修正する、矯正作業を行なう事は
可能であるが、工程が増えて加工コストが嵩むだけでな
く、変形の程度が著しい場合には、必ずしも品質の良い
スリット付チューブを得られない場合もある。
【0013】そこで、図20(a)に示す様に、アウタ
ーシャフト8の先端寄り部分に、環状部20を残してス
リット13a、13aを形成した後、同図(b)に示す
様にこの環状部20を切断除去して、先端縁に開口する
スリット13、13を得る事が行なわれている。この様
な方法によれば、スリットの打ち抜き加工時に上記アウ
ターシャフト8の先端部の形状が歪む事を防止して、高
品質のアウターシャフト8を得られる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】図20に示す様な方法
で、先端縁側に開口したスリット13、13を加工する
場合には、加工工程の増大によりコストが嵩むだけでな
く、環状部20を除去する分、材料の歩留が悪化する。
この為、スリット付チューブのコストが嵩む事が避けら
れない。本発明のスリット付チューブの製造方法及び製
造装置は、この様な事情に鑑みて、高品質のスリットチ
ューブを低コストで得るべく発明したものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のスリット付チュ
ーブの製造方法及び製造装置は、中空円管状のチューブ
の軸方向端部に、それぞれの一端部をこのチューブの軸
方向端面に開口させたスリットを形成する為に使用す
る。このうち、請求項1に記載したスリット付チューブ
の製造方法は、加工すべきスリットに見合う幅寸法を有
する先端部を備え、この先端部の先端面で上記チューブ
の外周面に対向する面をこのチューブの中心軸に対し、
上記スリットの開口端に向かう程この中心軸から遠ざか
る方向に傾斜させたパンチを、上記チューブの直径方向
に関して外径側から内径側に向け移動させる。そして、
このパンチの先端部によりこのチューブの端部に上記ス
リットを、上記軸方向端面の開口から遠い奥端側からこ
の開口に向け連続して形成する。又、請求項2に記載し
たスリット付チューブの製造装置は、ダイスと、1対の
パンチとを備える。このうちのダイスは、上記チューブ
の軸方向端部にほぼ隙間なく挿入自在で、上記スリット
を打ち抜く事により生じた打ち抜き滓を受け入れ自在な
ダイス孔を直径方向に亙って形成した円柱状である。
又、上記各パンチは、上記ダイスの直径方向に関して両
側に、このダイスを挟む状態で配置され、このダイスに
対する同期した遠近動を自在とされている。そして、上
記各パンチの先端部は、加工すべきスリットに見合う幅
寸法を有し、上記チューブの外周面に対向する先端面を
このチューブの中心軸に対し、上記スリットの開口端に
向かう程この中心軸から遠ざかる方向に傾斜させたもの
である。又、好ましくは、上記チューブの円周方向反対
側の少なくとも2個所位置を同時に打ち抜いて、上記ス
リットを形成する。
【0016】
【作用】上述の様に構成する本発明のスリット付チュー
ブの製造方法及び製造装置によれば、チューブの端部へ
のスリットの加工を、このスリットの奥端側から開口端
側に向け徐々に行なえる。従って、パンチから被加工物
であるチューブに加わる荷重を低減して、加工に伴うこ
のチューブの歪みを低く抑える事ができる。特に、円周
方向反対側2個所位置を同時に打ち抜けば、上記チュー
ブの歪みをより一層少なく抑える事ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1〜9は、本発明の実施の形態
の1例を示している。先ず、図1にその全体構成を示し
た、本発明のスリット付チューブの製造装置21に就い
て説明する。この製造装置21は、互いに平行に配置さ
れた基板22と天板23とを備える。このうちの天板2
3は基板22の上方に、図示しないガイドロッドにより
案内した状態で昇降自在に支持すると共に、やはり図示
しないばねにより、上方に向く弾力を付与している。こ
の様な製造装置21の使用時には、上記基板22を図示
しないプレス装置のテーブル上に載置し、上記天板23
の上面にこのプレス装置のラム(押圧部)を対向させ
る。
【0018】上記基板22の中央部上面には、ダイス2
4を、この基板22の上面に対し平行に支持している。
このダイス24は円柱状で、被加工物であり端部にスリ
ット13、13(後述する図4〜8参照)を形成すべき
チューブ25(前述のアウターシャフト8に相当する)
に隙間なく挿入自在な外径を有する。又、上記ダイス2
4には、上記スリット13、13を打ち抜く事により生
じた打ち抜き滓26、26(後述する図4、5、8、9
参照)を受け入れ自在なダイス孔27を、直径方向に亙
って形成している。このダイス孔27の幅W27は、上記
各スリット13、13の幅W13よりも僅かに大き(W27
>W13)い。又、上記ダイス孔27は、上記基板22の
上面に対し平行に配置している。
【0019】又、この基板22の上面で上記ダイス24
を直径方向反対側から挟む位置には、1対のガイドブロ
ック28、28を設けている。そして、これら両ガイド
ブロック28、28にそれぞれパンチ29、29を、上
記基板22の上面に対し平行移動自在に支持している。
又、これら両パンチ29、29は、互いに同心に配置し
ている。更に、これら両パンチ29、29の基端部は、
それぞれ被駆動側カムブロック30、30に結合固定し
ている。一方、上記天板23の下面でこれら両カムブロ
ック30、30の上方位置には、駆動側カム31、31
を固定している。そして、これら両駆動側カム31、3
1と、上記各被駆動側カムブロック30、30に形成し
たカム孔32、32とを係合させている。これら各駆動
側カム31、31とカム孔32、32とは、上方に向か
う程互いに近づく方向に傾斜している。従って、上記1
対のカムブロック30、30は、上記天板23の下降に
伴って互いに近づく方向に平行移動し、上記1対のパン
チ29、29の先端同士を互いに近づける。
【0020】これら各パンチ29、29は、上記各ガイ
ドブロック28、28に摺動自在に係合した平板状の基
部33と、この基部33の端部から連続する平板状の先
端部34とから成る。この先端部34の先端面35の幅
35は、前記チューブ25に形成すべきスリット13、
13の幅W13に見合うもので、前記ダイス孔27の幅W
27よりも僅かに小さい(W35≒W13<W27)。又、上記
先端面35は、上記チューブ25の中心軸(外周面)に
対し、それぞれ角度αだけ傾斜している。この先端面3
5の傾斜方向は、上記各スリット13、13の開口端と
なる、上記チューブ25の先端縁に向かう程、上記チュ
ーブ25の中心軸から遠ざかる方向としている。
【0021】尚、前記ダイス24の中間部で、前記ダイ
ス孔27の基端部に対応する部分には、図2、4、6、
8に示す様に、ストッパリング36を外嵌固定してい
る。このストッパリング36の一部で上記ダイス孔27
の端部に整合する位置には、上記各パンチ29、29の
先端部34、34を挿通自在な切り欠き37、37を形
成している。この様なストッパリング36は、上記チュ
ーブ25の軸方向に亙る位置決めを図ると共に、上記各
パンチ29、29による上記スリット13、13の加工
時に、上記チューブ25が軸方向にずれ動く事を防止す
る役目を果たす。
【0022】上述の様な製造装置21を使用して、上記
チューブ25の端部にスリット13、13を形成する作
業は、次の様にして行なう。先ず、第一工程として、図
2〜3に示す様に、チューブ25の端部に形成した小径
部11をダイス24に外嵌し、このチューブ25の先端
縁を上記ストッパリング36に突き当てる。この状態で
は、前記天板23は図1に示す様に上昇位置にあり、上
記1対のパンチ29、29同士の間隔は、同図に示す様
に互いに十分に離れている。
【0023】上述の様にダイス24にチューブ25を外
嵌したならば、図示しないプレス加工機のラムを下降さ
せて、このラムにより上記天板23を下方に押圧する。
この結果、この天板23の下面に固定した前記1対の駆
動側カム31、31と前記カム孔32、32との係合に
より、前記1対の被駆動側カムブロック30、30が、
互いに近づく方向に平行移動する。そして、これら両カ
ムブロック30、30にそれぞれの基端部を結合固定し
た、上記1対のパンチ29、29同士が互いに近づき合
う。そして、図4〜5に示す様に、これら両パンチ2
9、29の先端部34、34が、上記チューブ25の先
端部の直径方向反対側2個所位置を同時に打ち抜いて、
これら各位置に、それぞれスリット13、13を形成す
る。
【0024】この際、上記各パンチ29、29の先端部
34、34の先端面35、35は上記チューブ25の外
周面に、これら各先端面35、35の全長に亙り同時に
突き当たるのではなく、上記チューブ25の先端縁から
遠い側から順次突き当たる。そして、突き当たった部分
から、順次上記スリット13、13の加工を行なう。従
って、上記各パンチ29、29から被加工物であるチュ
ーブ25に加わる荷重を低減して、加工に伴うこのチュ
ーブ25の歪みを低く抑える事ができる。又、上記チュ
ーブ25の先端部は、スリット13、13の加工の最終
段階まで、円周方向に連続している。この為、スリット
13、13の加工進行に伴い、円周方向に隣り合うスリ
ット13、13同士の間部分が変形するのを有効に防止
できる。この加工時に、このチューブ25には、上記パ
ンチ29、29から、先端側に向くスラスト荷重が加わ
るが、この荷重は前記ストッパリング36が支承して、
上記チューブ25が軸方向にずれ動く事を防止する。
又、図示の様に、直径方向反対側に位置する1対のスリ
ット13、13を同時に加工する場合には、複数のスリ
ット13、13を形成する為に要する加工時間の短縮を
図れる。しかも、加工に伴って上記チューブ25及びダ
イス24に加わるラジアル荷重が相殺されるので、この
ダイス24の支持強度を特に高くする必要がなくなる。
又、上記チューブ25の先端部の変形も、より僅少に抑
える事ができる。
【0025】尚、上記各先端面35、35の傾斜角度α
は、大きい程上記スリット13、13の打ち抜き加工に
要する荷重を低減して、加工に伴う上記チューブ25の
変形を低く抑える事ができる。但し、上記傾斜角度αを
大きくし過ぎると、打ち抜き加工に伴って前記ダイス孔
27内に押し込まれた打ち抜き滓26、26同士が干渉
し(ダイス孔27内でぶつかり合い)、これら各打ち抜
き滓26、26を押圧している上記各パンチ29、29
を損傷する。そこで、上記傾斜角度αは、この様な干渉
が生じない範囲で設計的に定める。ちなみに、この傾斜
角度αは、上記チューブ25の径が大きくなる程、上記
各スリット13、13の長さが短くなる程、大きくでき
る。例えば、一般的なステアリングシャフト或は中間シ
ャフトを造る場合には、上記傾斜角度αは4度程度が適
当であるが、状況に応じて2〜15度程度の値を採用で
きる。
【0026】上述の様にして、上記チューブ25の先端
部の直径方向反対側2個所位置にスリット13、13を
形成したならば、上記各パンチ29、29の先端部3
4、34をこれら各スリット13、13から抜き出す。
この作業は、単にプレス装置のラムを上昇させ、前記天
板23を図示しないばねの弾力により上昇させる事によ
り行なえる。そして、上記各パンチ29、29の先端部
34、34を上記各スリット13、13から完全に抜き
出した後、図6〜7に示す様に、上記チューブ25を9
0度回転させる。これと共に、上記ダイス24のダイス
孔27内に残留する打ち抜き滓26を排出する。そし
て、上記各パンチ29、29の先端部を、このチューブ
25の先端部で、未だスリット13、13を形成してい
ない部分に対向させる。
【0027】次いで、図8〜9に示す様に、再び1対の
パンチ29、29同士を近づけて、先に形成した1対の
スリット13、13同士の間に、新たに1対のスリット
13、13を形成する。この結果、先端部に設けた小径
部11の先半部の円周方向等間隔の4個所位置に、それ
ぞれが先端縁に開口したスリット13、13を形成し
た、スリット付チューブ38を得られる。このスリット
付チューブ38の、スリット13、13の加工に伴う歪
みは僅少である為、このスリット付チューブ13に特に
矯正を施す事なく、次の加工工程(例えば前述の図19
に示した、雌セレーション12の加工工程)に移せる。
【0028】
【実施例】本発明の効果を確認する為に行なった実験に
就いて説明する。実験は、パンチの形状の違いがスリッ
ト13、13の形成作業に伴うスリット付チューブ38
の歪みに及ぼす影響を知る為、本発明品と比較品とを含
め、3種類のパンチ29、29a、29bを使用して行
なった。使用したパンチ29、29a、29bは、次の
〜の3種類である。 本発明品 前述の図2〜3に示す様に、先端面35の傾斜角度αが
4度であり、スリット13、13の開口端に向かう程チ
ューブ25の中心軸から遠ざかる方向に傾斜したパンチ
29。 比較品1 図10〜11に示す様に、先端面35aの傾斜角度が0
度、即ち先端面がチューブ25の中心軸と平行であるパ
ンチ29a。 比較品2 図12〜13に示す様に、先端面35bの傾斜角度αが
4度であり、スリット13、13の開口端に向かう程チ
ューブ25の中心軸に近づく方向に傾斜したパンチ29
b。
【0029】又、加工条件は次の通りである。 チューブ材質 STKM12B 絞り長さ(小径部11の全長) 70mm 絞り部の内径 18.0mm 絞り部の外径 23.7mm 絞り部の厚さ 3.1mm スリット13の長さ 40mm スリット13の幅 5mm スリット13の数 4本
【0030】上述の様な条件で、上記各パンチ29、2
9a、29bを使用してスリット13、13を形成した
ところ、に示した本発明に属するパンチ29による場
合には、加工後に於ける絞り部(小径部11)の先端開
口部の外径は23.8mmとなった。即ち、スリット1
3、13の加工に伴って、最も変形し易い先端開口部の
外径が0.1mm広がったのみで、続く加工に悪影響を及
ぼす様な変形は生じなかった。これに対して、に示し
た様な、比較例1のパンチ29aによる場合には、加工
後に於ける絞り部の先端開口部の外径は24.7〜25
mmとなった。即ち、スリット13、13の加工に伴っ
て、最も変形し易い先端開口部の外径が1〜1.3mmも
広がり、そのままでは続く加工を行なえない状態となっ
た。更に、に示した様な、比較例1のパンチ29aに
よる場合には、加工後に於ける絞り部の先端開口部の外
径は24.61〜24.65mmとなった。即ち、スリッ
ト13、13の加工に伴って、最も変形し易い先端開口
部の外径が0.91〜0.95mmも広がり、そのままで
は続く加工を行なえない状態となった。
【0031】上記比較例1の場合に変形量が大きくなる
理由は、加工時に一度に大きな荷重が加わる為と考えら
れる。又、上記比較例2の場合に変形量が大きくなる理
由は、スリット13、13がそれぞれの開口端から形成
される為、先に形成された開口端部が、続いて行なわれ
る奥側の加工に伴って変形する為と考えられる。何れに
しても、本発明によれば、これら一連の実験の結果を示
す図14から明らかな様に、品質の良いスリット付チュ
ーブを能率良く造れる。
【0032】
【発明の効果】本発明のスリット付チューブの製造方法
及び製造装置は、以上に述べた通り構成され作用するの
で、高品質のスリット付チューブを能率良く造れて、自
動車用操舵装置等のコスト低減と性能向上とに寄与でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、スリット付
チューブの製造装置の全体構成を示す縦断面図。
【図2】加工の第一工程で加工前の状態を示す、図1の
A−A断面図。
【図3】図2のB−B断面図。
【図4】加工の第一工程で加工後の状態を示す、図2と
同様の図。
【図5】図4のC−C断面図。
【図6】加工の第二工程で加工前の状態を示す、図2と
同様の図。
【図7】図6のD−D断面図。
【図8】加工の第二工程で加工後の状態を示す、図2と
同様の図。
【図9】図8のE−E断面図。
【図10】本発明の効果を確認する為に行なった実験に
比較例1として使用したパンチを示す、図2と同様の
図。
【図11】図10のF−F断面図。
【図12】本発明の効果を確認する為に行なった実験に
比較例2として使用したパンチを示す、図2と同様の
図。
【図13】図12のG−G断面図。
【図14】本発明の効果を確認する為に行なった実験の
結果を示すグラフ。
【図15】スリット付チューブを組み込む装置の1例と
して自動車用操舵装置を示す部分縦断側面図。
【図16】スリット付チューブであるアウターシャフト
を組み込んだステアリングシャフトの部分切断側面図及
び断面図。
【図17】このアウターシャフトの部分切断側面図及び
端面図。
【図18】このアウターシャフトの加工工程を順番に示
す部分切断側面図及び端面図。
【図19】このアウターシャフトの内周面に雌スプライ
ンを形成する加工工程を順番に示す断面図。
【図20】このアウターシャフトの端部にスリットを形
成する加工工程を順番に示す、断面図或は側面図と端面
図。
【符号の説明】
1、1a ステアリングシャフト 2 下部ブラケット 3 上部ブラケット 4 ステアリングコラム 5 自在継手 6 中間シャフト 7 インナーシャフト 8 アウターシャフト 9 小径部 10 雄セレーション 11 小径部 12 雌セレーション 13、13a スリット 14 素材 16 第一中間素材 17 第二中間素材 18 パンチ 19 拘束ダイス 20 環状部 21 製造装置 22 基板 23 天板 24 ダイス 25 チューブ 26 打ち抜き滓 27 ダイス孔 28 ガイドブロック 29、29a、29b パンチ 30 被駆動側カムブロック 31 駆動側カム 32 カム孔 33 基部 34 先端部 35、35a、35b 先端面 36 ストッパリング 37 切り欠き 38 スリット付チューブ
フロントページの続き (72)発明者 大久保 潔 群馬県前橋市総社町一丁目8番1号 日本 精工株式会社内 Fターム(参考) 3D030 DC39 DF01 4E048 KA02 KA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空円管状のチューブの軸方向端部に、
    それぞれの一端部をこのチューブの軸方向端面に開口さ
    せたスリットを形成する、スリット付チューブの製造方
    法であって、加工すべきスリットに見合う幅寸法を有す
    る先端部を備え、この先端部の先端面で上記チューブの
    外周面に対向する面をこのチューブの中心軸に対し、上
    記スリットの開口端に向かう程この中心軸から遠ざかる
    方向に傾斜させたパンチを、上記チューブの直径方向に
    関して外径側から内径側に向け移動させ、このパンチの
    先端部によりこのチューブの端部に上記スリットを、上
    記軸方向端面の開口から遠い奥端側からこの開口に向け
    連続して形成する事を特徴とするスリット付チューブの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 中空円管状のチューブの軸方向端部に、
    それぞれの一端部をこのチューブの軸方向端面に開口さ
    せたスリットを形成する為に使用する、スリット付チュ
    ーブの製造装置であって、上記チューブの軸方向端部に
    ほぼ隙間なく挿入自在で、上記スリットを打ち抜く事に
    より生じた打ち抜き滓を受け入れ自在なダイス孔を直径
    方向に亙って形成した円柱状のダイスと、このダイスの
    直径方向に関して両側に、このダイスを挟む状態で配置
    され、このダイスに対する同期した遠近動を自在とされ
    た1対のパンチとを備え、これら各パンチの先端部は、
    加工すべきスリットに見合う幅寸法を有し、上記チュー
    ブの外周面に対向する先端面をこのチューブの中心軸に
    対し、上記スリットの開口端に向かう程この中心軸から
    遠ざかる方向に傾斜させたものであるスリット付チュー
    ブの製造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2016190460A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 シバタ精機株式会社 金型の冷却構造

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JP2016190460A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 シバタ精機株式会社 金型の冷却構造
CN105414306A (zh) * 2015-12-17 2016-03-23 衢州峥嵘环保科技有限公司 一种管件多位置切口的方法和装置
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