JP2000270758A - 製パン改良剤およびパン生地 - Google Patents

製パン改良剤およびパン生地

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JP2000270758A
JP2000270758A JP11082830A JP8283099A JP2000270758A JP 2000270758 A JP2000270758 A JP 2000270758A JP 11082830 A JP11082830 A JP 11082830A JP 8283099 A JP8283099 A JP 8283099A JP 2000270758 A JP2000270758 A JP 2000270758A
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JP
Japan
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dough
bread
carboxypeptidase
xanthomonas
gluten
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JP11082830A
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English (en)
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Yoshie Ooshima
良恵 大島
Atsushi Kaneko
敦 金子
Shinsuke Mitsuyoshi
新介 三吉
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Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 それを加熱処理して得られるパンがグルテン
味を有さないかグルテン味が大幅に低減されており、風
味、食味も良好であり、また、生地状態が良好で、生地
を捏ね易く、かつ解凍後の生地ダレを生じないパン生地
の提供。 【解決手段】 カルボキシペプチダーゼを含有する製パ
ン改良剤、および該製パン改良剤またはカルボキシペプ
チダーゼを含有させたパン生地。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製パン改良剤およ
びパン生地に関する。
【0002】
【従来の技術】最近では「焼きたて」パンが好まれる風
潮が高まっているが、製造規模が大きくなるにしたがっ
て、製造品目も増加しその工程の管理は困難になり、そ
れに従事する者の負担も大きくなる。そこで作業の簡便
化を図る目的で冷凍パン生地の使用、開発が盛んに行わ
れている。冷凍パン生地には以下のような問題点があ
る。 冷凍中に小麦粉中のグルテンが部分的に破壊され、解
凍後に生地ダレが生じる。 の生地ダレを防止するため、グルテンを添加して生
地を強化することがよく行われる。しかし、グルテンを
添加すると生地が硬くなり伸展性が悪くなって捏ねにく
くなる。 グルテンを添加すると、加熱処理後の製品にグルテン
特有の好ましくない味や臭い(以下、グルテン味とい
う)が生じ、食味、風味が劣る。 パンの体積が減少する。
【0003】上記の生地ダレを防止するためには、上
記のようにグルテンを添加することがよく行われている
が、グルテンの添加により、、の問題が生じる。上
記の生地の伸展性悪化を防止する方法の一つとして、
乳化剤を添加することが知られているが、乳化剤の添加
は製品に特有のえぐ味が生じやすく、また、最近の天然
志向から乳化剤等の添加物を使用せずに品質を向上させ
ることが望まれている。の生地の伸展性を向上させる
その他の方法として、酵素剤の利用が研究されており、
アミラーゼ、プロテアーゼなどの利用が試みられてい
る。このうち、プロテアーゼは、生地中のグルテンに作
用し生地を捏ねやすくすることが知られている。(『製
パンの科学<2>製パン材料の科学』光琳、平成4
年)。
【0004】しかし、プロテアーゼの利用は、その添加
量、作用時間によっては、過剰な生地軟化による生地の
べたつき、解凍後の生地ダレ、加熱処理後の製品の体積
減少、異味、異臭の発生などの悪影響が出る。製パン工
程中に酵素の作用条件を厳密に管理することは困難なた
め、従来はプロテアーゼ単独での積極的な利用は難しか
った。さらに、プロテアーゼとして市販されているもの
の多くは、エンド型プロテアーゼであり、グルテンの結
合をランダムに切断して生地を軟化させる効果は得られ
たとしても、のグルテン味の改善効果、さらには風味
の向上効果があるものは知られていない。
【0005】また、パンの風味改良剤としては、例え
ば、乳酸菌発酵処理した水中油型エマルジョンを生地中
に加える方法(特開昭61−152227号公報)や発
酵乳を用いる方法(特開平2−215334号公報)な
どが試みられているが、パン風味の向上と共にグルテン
味の抑制を目的としたものは知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、それ
を含有させたパン生地を焼成などの加熱処理に付した場
合に、グルテン味を有さないか大幅に低減されたパンを
得ることができる製パン改良剤を提供することにある。
本発明の目的はまた、加熱処理に付した場合に、グルテ
ン味を有さないか大幅に低減されたパンを製造すること
ができるパン生地、特に冷凍パン生地あるいはグルテン
を多く含有するパン生地を提供することにある。本発明
の目的はまた、それを含有させたパン生地を加熱処理に
付した場合に、風味、食味が良好なパンを得ることがで
きる製パン改良剤を提供することにある。本発明の目的
はまた、加熱処理に付した場合に、風味、食味が良好な
パンを製造することができるパン生地、特に冷凍パン生
地あるいはグルテンを多く含有するパン生地を提供する
ことにある。
【0007】本発明の目的はまた、それをパン生地製造
時にパン生地原料に添加した場合に、パン生地製造時の
生地状態が良好で、生地を捏ねやすく、冷凍パン生地に
おいては解凍後の生地ダレが生じない製パン改良剤を提
供することにある。本発明の目的はまた、パン生地製造
時の生地状態が良好で、捏ねやすく、解凍後のダレが生
じないパン生地、特に冷凍パン生地あるいはグルテンを
多く含有するパン生地を提供することにある。本発明の
目的はまた、それを含有させた場合に、エンド型プロテ
アーゼ含有パン生地と比較して、酵素を作用させる時
間、酵素の添加量などの管理が容易で、生地の安定性が
高い、酵素含有パン生地が得られる、製パン改良剤を提
供することにある。本発明の目的は、またエンド型プロ
テアーゼ含有パン生地と比較して、酵素を作用させる時
間、酵素の添加量などの管理が容易で、生地の安定性が
高い、酵素を含有させたパン生地、特に冷凍パン生地あ
るいはグルテンを多く含有するパン生地を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、カ
ルボキシペプチダーゼを含有する製パン改良剤および、
該製パン改良剤またはカルボキシペプチダーゼを含有さ
せたパン生地によって達成された。上記製パン改良剤に
はグルテンを含有させることができ、また上記パン生地
としてはグルテンを添加したパン生地、特にグルテンを
添加した冷凍パン生地が好ましく、上記カルボキシペプ
チダーゼとしてはキサントモナス属菌、特にキサントモ
ナス・キャンペストリスまたはキサントモナス・マルト
フィリアに属する菌が産生するカルボキシペプチダーゼ
が好ましい。なお、「含有させた」は添加含有させるこ
とを意味し、本来含有されていたとしてもそれとは無関
係であることを意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるカルボキシペ
プチダーゼとしては,当該活性を有するものであれば良
く、その起源や精製度は特に制限されない。本発明で使
用されるカルボキシペプチダーゼとして、まず、キサン
トモナス属菌、例えばキサントモナス・キャンペストリ
ス(Xanthomonas campestri
)、キサントモナス・マルトフィリア(X.malt
ophilia)、キサントモナス・シトリ(X.ci
tri)、キサントモナス・キューカーバイテ(X.
ucurbitae)、キサントモナス・ファセオリ
(X.phaseori)、キサントモナス・フィサリ
ディコーラ(X.physalidicola)、キサ
ントモナス・ピサイ(X.pisi)、キサントモナス
・プルニ(X.pruni)またはキサントモナス・ト
ランスルーセンス(X.translucens)に属
する菌の産生するカルボキシペプチダーゼが挙げられ
る。本発明で使用されるカルボキシペプチダーゼとして
は、また、通常の変異処理、例えばN−メチル−N´−
ニトロ−N−ニトロソグアニジン(通称、ニトロソグア
ニジン)、メタンスルホン酸エチル、p−ジメチルアミ
ノベンゼンジアゾスルホン酸ナトリウム等の化学的変異
剤による処理または紫外線による処理によりカルボキシ
ペプチダーゼ活性が上昇したキサントモナス属菌由来の
カルボキシペプチダーゼが挙げられる。
【0010】本発明で使用するカルボキシペプチダーゼ
として具体的には、キサントモナス・キャンペストリス
HP−4(FERM P−17089)、キサントモナ
ス・キャンペストリスIFO No.13303、13
551、キサントモナス・マルトフィリアNA−62
(FERM BP−4479)、キサントモナス・マル
トフィリアBP−4474、キサントモナス・マルトフ
ィリアIFO No.12020、12690、126
92、13692、13923、14161、キサント
モナス・シトリIFO No.3781、3829、3
835、12213、キサントモナス・キューカーバイ
テIFO No.13552、キサントモナス・ファセ
オリIFO No.13553、13554、キサント
モナス・フィサリディコーラIFO No.1355
5、キサントモナス・ピサイIFONo.13556、
キサントモナス・プルニIFO No.3780、13
557、キサントモナス・トランスルーセンスIFO
No.13558、13559、キサントモナス s
p.FERM BP−4475等の産生するカルボキシ
ペプチダーゼ等が挙げられ、さらにキサントモナス・マ
ルトフィリアNA−62(FERM BP−4479)
のカルボキシペプチダーゼ活性上昇株であるキサントモ
ナス・マルトフィリアS−10(FERM P−170
88)(10倍上昇)の産生するカルボキシペプチダー
ゼが挙げられる。これらの活性上昇株はBP−4479
を公知の変異処理に付すことにより得られた。
【0011】なお、本発明でカルボキシペプチダーゼ活
性が、例えば10倍に上昇した菌株とは、後述の酵素活
性の測定において、測定される酵素活性が親株としての
上記したようなキサントモナス属の野生株、例えばキサ
ントモナス・マルトフィリアNA−62(FERM B
P−4479)に比し、10倍に上昇している菌株を意
味するものとする。さらに、本発明で使用するキサント
モナス属菌がカルボキシペプチダーゼ活性を有すること
は、特開平6−261773号公報に記載されている。
すなわち、本公報にはかかる菌がZ−Pro−Proお
よびZ−Pro−Hypを加水分解してそれぞれPro
およびHypを遊離すること、ゼラチンから種々のアミ
ノ酸を遊離すること等が記載されている。
【0012】本発明で使用されるカルボキシペプチダー
ゼとしてはまた、従来から知られている膵臓由来のカル
ボキシペプチダーゼAおよびカルボキシペプチダーゼ
B、ナツミカンやウンシュウミカン等の日本産柑橘類に
由来するカルボキシペプチダーゼCNやCU、カルボキ
シペプチダーゼC、ピクノポールス(Pycnopor
us)属に属する微生物由来のカルボキシペプチダー
ゼ、ペニシリウム(Penicillium)属に属す
る微生物の培養物中から得られるカルボキシペプチダー
ゼP、パン酵母菌由来のカルボキシペプチダーゼY、小
麦由来のカルボキシペプチダーゼW等が挙げられる。ま
た市販のカルボキシペプチダーゼ、例えばカルボキシペ
プチダーゼW(小麦由来、シグマ社)等も用いることが
できる。
【0013】これらのカルボキシペプチダーゼ中、本発
明の目的・効果をより良く達成する観点から、キサント
モナス属菌由来のカルボキシペプチダーゼがより好まし
い。キサントモナス属菌由来のカルボキシペプチダーゼ
は一般にZ−Pro−ProおよびZ−Pro−Hyp
を加水分解してそれぞれProおよびHypを遊離する
活性(以下、単にPro・Hyp遊離活性という)を有
しており、本発明の目的・効果をより良く達成するのに
寄与していると考えられる。本発明で使用するカルボキ
シペプチダーゼ中、本発明の目的・効果をより良く達成
する観点から、キサントモナス・キャンペストリスまた
はキサントモナス・マルトフィリアに属する菌に由来す
るカルボキシペプチダーゼがより好ましく、さらには経
済的観点も加味して、キサントモナス属、特にキサント
モナス・キャンペストリスまたはキサントモナス・マル
トフィリアに属する菌の活性上昇株に由来するカルボキ
シペプチダーゼがより一層好ましい。
【0014】また、本発明で使用されるカルボキシペプ
チダーゼは、精製酵素であっても、パンの製造、品質に
悪影響を及ぼさない程度の他の酵素を含有する粗酵素で
あっても良い。粗酵素としては上記種々の起源からの酵
素液、例えば果汁濾液、臓器摩砕物濾液、穀物摩砕物濾
液、微生物培養濾液、菌体破砕濾液等のカルボキシペプ
チダーゼ含有酵素液から、塩析、溶媒沈殿、限外濾過、
透析、ゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換
クロマトグラフィー、等電点電気泳動法等の精製手段で
精製した精製途中段階の粗酵素が挙げられる。
【0015】本発明はまず、かかるカルボキシペプチダ
ーゼを含有する製パン改良剤、例えばかかるカルボキシ
ペプチダーゼおよび穀物粉を含有する製パン改良剤に関
するが、ここで使用する穀物粉としては、特に制限はな
く、小麦粉、ライ麦粉、澱粉等が例示される。本製パン
改良剤中のカルボキシペプチダーゼの割合については、
本製パン改良剤をパン生地成分と混合する際に、生地中
の穀物粉1kgに対して、カルボキシペプチダーゼとし
て0.1〜500単位とすることができる割合である限
り、特に制限はない。本発明の製パン改良剤にはグルテ
ンを含有させることができる。グルテンを含有させる場
合、その添加量については、本製パン改良剤をパン生地
成分と混合する際に、生地中の穀物粉1kgに対して2
〜50gとすることができる添加量である限り、特に制
限はない。
【0016】次に本発明は製パン改良剤を含有させたパ
ン生地に関する。製パン改良剤の使用量としては、カル
ボキシペプチダーゼとして、パン生地成分混合時に、生
地中の穀物粉1kgに対して0.1〜500単位となる
ように添加することが必要であり、1〜300単位、特
に3〜100単位となるように添加するのが好ましい。
また本発明はカルボキシペプチダーゼを含有させたパン
生地に関する。カルボキシペプチダーゼの使用量として
は、パン生地成分混合時に、生地中の穀物粉1kgに対
して0.1〜500単位となるように添加することが必
要であり、1〜300単位、特に3〜100単位となる
ように添加するのが好ましい。上記カルボキシペプチダ
ーゼの使用量が0.1単位より低いときは本発明の効果
が十分発揮されず、500単位より高いときはべたつき
等が出て作業性に支障を来す恐れがある。ここで1単位
は各カルボキシペプチダーゼによって設定される作用最
適pH・温度条件、基質条件下に、1分間に1μmol
の基質を加水分解する酵素量もしくは1分間に1μmo
lの加水分解生成物を生成させる酵素量と定義される。
市販の酵素の場合にはその取扱い説明書に記載された単
位に従えば良い。
【0017】上記キサントモナス菌属由来の酵素の場合
には、酵素活性の測定は下記の方法で行った。すなわ
ち、酵素液に、最終濃度10mMとなるように市販合成
ペプチドであるZ−Pro−Hyp(Z:ベンジルオキ
シカルボニル基、Pro:プロリン残基、Hyp:ヒド
ロキシプロリン残基)を加え、55℃で10分間反応
後、1規定塩酸を等量加えて反応を停止した。得られた
反応液を遠心分離(4℃、15,000rpm、5分
間)し、上清中のZ−Pro濃度を下記条件のHPLC
で定量した。 HPLC条件 カラム:Inertosil ODS−2(GLサイエ
ンス社製) 溶離液:0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
/蒸留水(4/6、v/v)。 流量:1ml/min 検出:UV210nm 酵素活性は、1分間に1μmolのZ−Proを生成さ
せる酵素量を1単位と定義した。
【0018】本発明で使用するパン生地は、上記製パン
改良剤またはカルボキシペプチダーゼを含有させたこと
を除いて、パンの製造に使用される通常のパン生地であ
れば良い。すなわち、食パン用生地であっても菓子パン
用生地であっても良く、また非冷凍パン生地であっても
冷凍パン生地であっても良い。しかしながら、本発明の
効果をより顕著に発揮させるには、本発明で使用するパ
ン生地はグルテンを添加したパン生地、すなわちグルテ
ンを添加した冷凍パン生地、ミキシング安定性(ブレー
クダウンのし難さ)やパン容積の向上を期してグルテン
を添加したパン生地、グルテンを形成し得ないライ麦そ
の他の穀物の粉、レーズン、ナッツ類等を混ぜ込んだパ
ン生地であってグルテンを添加したパン生地であるのが
好ましく、また味覚・臭覚の差がより鋭敏に反映される
食パン用生地であるのが好ましい。なお、本発明で冷凍
パン生地とは冷凍されている状態のパン生地のみなら
ず、冷凍後解凍されたパン生地および冷凍する予定のパ
ン生地も含むものとする。
【0019】上記で通常のパン生地とは、通常のパン生
地成分、すなわち小麦粉、ライ麦等の穀物粉、水、イー
ストを含有し、さらに任意成分として、食塩、油脂(シ
ョートニング、マーガリン、ラード等)、糖類(砂糖、
ぶどう糖、異性化液糖、水あめ等)、乳製品(牛乳、バ
ター、脱脂粉乳等)、イーストフード[無機塩、酸化剤
(臭素酸カリウム、L−アスコルビン酸等)]、酵素剤
(α−アミラーゼ、リポキシゲナーゼ等)、乳化剤(シ
ョ糖脂肪酸エステル等)、グルテン等を含有していても
良いパン生地である。
【0020】上記で冷凍パン生地を包含するパン生地に
グルテンを添加する場合、その添加量は、製パン改良剤
に添加含有させる場合のグルテンも加味して、穀物粉1
kgに対して2〜50g程度が適当である。添加量が2
gより低いと生地の強化等の効果が十分発揮されず、一
方、50gより高くても効果のさらなる向上は期待でき
ない。
【0021】本発明においてパン生地は直捏生地法、中
種生地法、液種生地法、連続生地製造法等のいずれの方
法で調製されたものであっても良い。パン生地はパン生
地成分が混捏・発酵されたものを指称するが、本発明に
おけるパン生地はパン生地成分を混捏したもの、例えば
直捏生地法にあってはパン生地成分が混捏されたもの、
中種生地法にあっては中種および本捏のそれぞれの生地
で混捏されたもの、液種生地法にあっては液種および本
捏のそれぞれの生地で混捏されたものを指称し、さらに
発酵中のもの、仕上げの終了までの段階のものをも含む
ものとする。連続生地製造法にあっては生地混捏直後か
ら、仕上げの終了までのものを含むものとする。
【0022】本発明のパン生地が冷凍パン生地である場
合、冷凍は上記混捏から仕上げに至るいずれの段階で行
われても良いが、通常はベンチもしくはフロアー・タイ
ム終了後、丸め終了後、整形終了後またはほいろ終了後
に行われる。冷凍は常法により行えば良い。
【0023】本発明で使用する製パン改良剤またはカル
ボキシペプチダーゼの添加時期は、特に制限されない。
例えば、直捏生地法ではパン生地成分混合時、中種生地
法では中種への他のパン生地成分添加時、液種生地法お
よび連続生地製造法では液種の他のパン生地成分への添
加時などの時期が挙げられる。また、添加方法も特に制
限されない。予め小麦粉、その他の粉末成分に添加して
均一に含有させる方法、仕込み水に溶解させる方法など
が例示される。
【0024】本発明のパン生地について、混捏、発酵、
仕上げ、焼上げは常法によって行うことができる。
【0025】本発明の製パン改良剤またはカルボキシペ
プチダーゼを含有させたパン生地を加熱処理して、例え
ば焼成、油揚げ、蒸して、得られるパンは、グルテン味
を有さないかグルテン味が大幅に低減されている。ま
た、本発明のパン生地を加熱処理して得られるパンはま
た、エンド型プロテアーゼ含有パン生地を焼成して得ら
れるパンと比較して、風味が良好である(異味、異臭が
ないか大幅に低減されているかまたは新たに発生せず、
かつ食味が良好である)。また本発明の製パン改良剤ま
たはカルボキシペプチダーゼを含有させたパン生地は、
エンド型プロテアーゼ含有パン生地と比較して、生地状
態が良好で、生地が捏ねやすく、かつ解凍後の生地ダレ
が生じない。さらに本発明で使用するカルボキシペプチ
ダーゼは、上記のように風味改善効果が強く、生地状態
改善効果も良好であるにもかかわらず、過剰な作用は起
こりにくいため、厳密な管理をすることなく容易に品質
の安定したパン生地が得られる。さらに、グルテンを添
加しない本発明のパン生地を加熱処理して得られるパン
も風味が向上し、食味が良好である。
【0026】
【実施例】以下本発明を実施例および参考例を挙げて具
体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるも
のではない。 参考例1 キサントモナス属菌の培養によるカルボキシペプチダー
ゼ粗酵素および精製酵素の製造 (本酵素生産菌の培養)ポリペプトン5w/v%、酵母
エキス0.25w/v%、硫酸マグネシウム0.15w
/v%およびグルコース1.5w/v%、pH7.0の
培地100mlを500ml容三角フラスコに入れ、オ
ートクレーブで121℃、20分滅菌した。この培地に
キサントモナス・キャンペストリスHP−4(FERM
P−17089)を一白金耳植菌し、30℃で24時
間振盪培養し、これを前培養液とした。さらに、上記滅
菌培地5Lを7.0L容のガラス製ジャーファーメンタ
ーへ入れ、0.1w/v%濃度になるように消泡剤を加
えてオートクレーブで滅菌した。この培地に前培養液全
量を加え、通気攪拌培養法により30℃で24時間培養
した。
【0027】(本酵素の精製)培養液を遠心分離し、菌
体を集菌し、超音波破砕により菌体を破砕し、その遠心
上清を50%硫酸アンモニウム分画に付して粗酵素液を
得た。粗酵素液を、さらに、Q−セファロースカラムク
ロマトグラフィー、フェニルスーパーロースカラムクロ
マトグラフィー、ヒドロキシアパタイトカラムクロマト
グラフィー、スーパーデックス200カラムクロマトグ
ラフィー等に付して、電気泳動的に単一な精製酵素品を
得た。
【0028】参考例2 キサントモナス・キャンペストリスHP−4に代えてキ
サントモナス・マルトフィリアS−10(FERM P
−17088)を用いる以外、硫酸アンモニウム分画ま
で参考例1と同様に処理して粗酵素液を得た。
【0029】実施例1−3、比較例1、2およびコント
ロール パン生地およびパンの調製、およびパンの評価(冷凍パ
ン生地、ドッグロールパン) 以下の配合、工程を用いる直捏法によりパン生地を製造
し、1カ月間冷凍保存した後焼成した。プロテアーゼ
は、実施例1として参考例1で調製したキサントモナス
・キャンペストリスHP−4由来の精製カルボキシペプ
チダーゼ、実施例2として参考例1で調製したキサント
モナス・キャンペストリスHP−4由来の粗カルボキシ
ペプチダーゼ、、実施例3として参考例2で調製したキ
サントモナス・マルトフィリアS−10由来の粗カルボ
キシペプチダーゼ、実施例4として市販カルボキシペプ
チダーゼ(カルボキシペプチダーゼW、小麦由来、シグ
マ社)、比較例1として市販アミノペプチダーゼ(ロイ
シンアミノペプチダーゼ、ブタ肝臓由来、シグマ社)、
比較例2として市販エンド型プロテアーゼ(プロテアー
ゼタイプVIII、バチルス属由来、シグマ社)を用い
た。また、プロテアーゼ非添加区をコントロールとし
た。
【0030】
【0031】
【表1】
【0032】[工程] ミキシング :低速3分、中速4分、高速2分、油脂投
入、低速2分、中速3分、高速3分(たて型ミキサー) 捏上温度 :24℃ フロアタイム:20分(25℃) 分割 :40g ベンチタイム:20分(25℃) 整形 :ドックロール型 凍結 :−30℃(60分) 保存 :−20℃ (解凍、焼成) 解凍 :20℃、相対湿度70%、60分 ホイロ :38℃、相対湿度85%、50分 焼成 :200℃、10分
【0033】焼成したパンを6名のパネラーにより、グ
ルテン味低減効果、風味について評価した。また、パン
製造時の生地状態として、捏ね易さ(伸展性)、解凍・
ホイロ後の生地ダレについて評価した。評価基準は以下
の通り。 (パン)グルテン味低減効果 ◎:コントロールよりもグルテン味が低減されている ○:コントロールよりもややグルテン味が低減されてい
る △:グルテン味の低減効果がない ×:コントロールよりもグルテン味が強く感じられる風味 ◎:コントロールよりも風味が良い ○:コントロールよりもやや風味が良い △:コントロールと同程度 ×:コントロールよりも風味が悪い
【0034】(生地状態)捏ね易さ ◎:コントロールよりも捏ねやすい ○:コントロールよりもやや捏ねやすい △:コントロールと同程度 ×:コントロールよりも捏ねにくい作業性 ◎:コントロールよりも作業性が良い(伸展性がある) ○:コントロールよりもやや作業性が良い △:コントロールと同程度 ×:コントロールよりも作業性が悪い(べたつき)ホイロ時のダレ ○:ホイロ時のダレなし △:ホイロ時にややダレる ×:ホイロ時にダレる
【0035】評価結果を表2に示す。表2から明らかな
ごとく、アミノペプチダーゼ、エンド型プロテアーゼ使
用の場合およびプロテアーゼ不使用(コントロール)の
場合にはグルテン味の低減効果が見られなかったのに対
し、カルボキシペプチダーゼ使用の場合にはグルテン味
の低減効果が顕著に見られた。また、風味については、
アミノペプチダーゼ、エンド型プロテアーゼ使用の場合
には異味、異臭が生じたのに対し、カルボキシペプチダ
ーゼ使用の場合には異味、異臭は生ぜず、キサントモナ
ス属菌由来のカルボキシペプチダーゼ使用の場合にはプ
ロテアーゼ不使用の場合よりむしろ風味が良くなってい
た。生地状態については、エンド型プロテアーゼ使用の
場合には1オーダー高い添加量で生地のべたつきが生じ
たのに対し、カルボキシペプチダーゼ使用の場合は概ね
良好であり、キサントモナス属菌由来のカルボキシペプ
チダーゼ使用の場合にはさらに良好であった。
【0036】また、実施例1−1と1−2(キサントモ
ナス・キャンペストリスHP−4由来カルボキシペプチ
ダーゼ使用)、実施例2−1と2−2(キサントモナス
・マルトフィリアS−10由来カルボキシペプチダーゼ
使用)、実施例3−1と3−2(市販カルボキシペプチ
ダーゼ使用)では添加量をそれぞれ1オーダー変えた
が、べたつき等の悪影響は起こらなかった。実生産にお
いては発酵時間の厳密な管理は困難であり、延長されて
しまうことも多いが、このような場合でも生地が過剰に
軟化し難いため、カルボキシペプチダーゼを含有する本
発明生地は扱い易い生地といえる。
【0037】
【表2】
【0038】実施例5−8および比較例3、4およびコ
ントロール パン生地およびパンの調製、およびパンの評価(非冷凍
パン生地、食パン) 以下の配合、工程によりパン生地を製造した後、焼成し
た。プロテアーゼは、実施例5として参考例1で調製し
たキサントモナス・キャンペストリスHP−4由来の精
製カルボキシペプチダーゼ、実施例6して参考例1で調
製したキサントモナス・キャンペストリスHP−4由来
の粗カルボキシペプチダーゼ、実施例7として参考例2
で調製したキサントモナス・マルトフィリアS−10由
来の粗カルボキシペプチダーゼ、実施例8として市販カ
ルボキシペプチダーゼ(カルボキシペプチダーゼW、小
麦由来、シグマ社)、比較例3として市販アミノペプチ
ダーゼ(ロイシンアミノペプチダーゼ、ブタ肝臓由来、
シグマ社)、比較例4として市販エンド型プロテアーゼ
(プロテアーゼタイプVIII、バチルス属由来、シグ
マ社)を用いた。また、プロテアーゼ非添加区をコント
ロールとした。
【0039】
【0040】
【表3】
【0041】[工程] (中種) ミキシング :低速3分、中速1分(たて型ミキサー) 捏上温度 :24℃ 発酵 :28℃、4時間 (本捏) ミキシング :低速3分、中速3分、油脂投入、低速2
分、中速3分(たて型ミキサー) 捏上温度 :28℃ フロアタイム:20分(28℃) 分割 :400g ベンチタイム:20分(28℃) 整形 :ワンローフ型 ホイロ :38℃、相対湿度85%、60分 焼成 :210℃、25分
【0042】焼成したパンを6名のパネラーにより、風
味について評価した。また、パン製造時の生地状態とし
て、捏ね易さ(伸展性)、作業性、ホイロ時の生地ダレ
について評価した。評価基準は実施例1と同様。評価結
果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4から明らかなごとく、カルボキシペプ
チダーゼを使用した場合には、風味が向上していた。ま
た、生地の捏ね易さ、作業性も向上した。さらに、ホイ
ロ時のダレも見られなかった。一方、アミノペプチダー
ゼやエンド型プロテアーゼを使用した場合には、異味、
異臭が生じた。また、生地の捏ね易さは向上するもの
の、生地にべたつきなどが生じ、作業性を悪くする傾向
があった。さらに、ホイロ時にダレてしまうものもあっ
た。
【0045】
【発明の効果】本発明のパン生地を加熱処理して得られ
るパンはグルテン味を有さないかグルテン味が大幅に低
減されている。さらに、本発明のパン生地を加熱処理し
て得られるパンは風味、食味が良好である。また本発明
のパン生地は、エンド型プロテアーゼ含有パン生地と比
較して、生地状態が良好で、生地を捏ね易く、かつ解凍
後の生地ダレを生じない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三吉 新介 茨城県つくば市桜1−16昭和産業株式会社 総合研究所バイオ研究センター内 Fターム(参考) 4B032 DB01 DB36 DK21 DK51 DP37

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシペプチダーゼを含有する製パ
    ン改良剤。
  2. 【請求項2】 グルテンを含有する請求項1記載の製パ
    ン改良剤。
  3. 【請求項3】 カルボキシペプチダーゼがキサントモナ
    ス属菌が産生するカルボキシペプチダーゼである請求項
    1または2記載の製パン改良剤。
  4. 【請求項4】 キサントモナス属菌がキサントモナス・
    キャンペストリスまたはキサントモナス・マルトフィリ
    アに属する菌である請求項3記載の製パン改良剤。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の製パン改良剤ま
    たはカルボキシペプチダーゼを含有させたパン生地。
  6. 【請求項6】 パン生地がグルテンを添加したパン生地
    である請求項5記載のパン生地。
  7. 【請求項7】 パン生地がグルテンを添加した冷凍パン
    生地である請求項5記載のパン生地。
  8. 【請求項8】 カルボキシペプチダーゼがキサントモナ
    ス属菌が産生するカルボキシペプチダーゼである請求項
    5〜7のいずれかに記載のパン生地。
  9. 【請求項9】 キサントモナス属菌がキサントモナス・
    キャンペストリスまたはキサントモナス・マルトフィリ
    アに属する菌である請求項8記載のパン生地。
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JP2014023449A (ja) * 2012-07-25 2014-02-06 Unitika Ltd 含硫システイン化合物の製造方法

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