JP2000266676A - センサ - Google Patents

センサ

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JP2000266676A JP11069250A JP6925099A JP2000266676A JP 2000266676 A JP2000266676 A JP 2000266676A JP 11069250 A JP11069250 A JP 11069250A JP 6925099 A JP6925099 A JP 6925099A JP 2000266676 A JP2000266676 A JP 2000266676A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成が簡単で高感度であると共に耐久性や汎
用性が高いセンサーを提供する。 【解決手段】外部刺激に応じて液体の吸収・放出によっ
て可逆的に膨潤・収縮する高分子ゲル内部に色材や光散
乱部材を含有する刺激応答性高分子ゲル14、15と、
光フアイバー等の光導波路10を備えている。(a)
は、外部の刺激によって高分子ゲル14が収縮した状態
であり、(b)は高分子ゲルが外部の刺激によって体積
変化し、高分子ゲルが膨潤した状態であり、光導波路1
0に入射した光12の光学特性変化を起こし、光感度に
外部刺激を検知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のセンサは、多種多様
な外部刺激に反応し、この外部刺激を光の吸収量変化、
光散乱量変化等の光学的変化として検知できるセンサに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光を利用したセンサに関する技術
は、検知する種類に応じて以下のように多種多様に提案
されているが、それぞれの技術に応じて以下のような固
有な問題を抱えている。例えば、化学物質の存在を検知
する技術としては、以下の公開特許公報などで報告され
ている。特開平5-19123号公報では、光導波路の
一種である光ファイバのコアの表面にキトサン複合膜を
クラッドとして被着させた構成のセンサが提案されてい
る。このセンサは、光が光ファイバ内を通過する際、セ
ンサを取り巻く水/エタノールの溶媒組成比によりキト
サン複合膜の膨潤収縮の程度が変化する性質を持ってい
る。その時のクラッドの密度変化で光の臨界角が変化す
ることにより伝搬光量が変化し、このセンサは溶媒組成
を検知する構成になっている。しかしながら、この技術
は溶媒組成比の変化に対する伝搬光量の変化が小さいの
で、微量な溶媒組成変化の検知感度が低いという問題が
ある。
【0003】特開平10-73509号公報では、光フ
ァイバの外周に接液応答材層が巻き付けてある構成のセ
ンサが提案されている。接液応答材層は、センサを取り
巻く電解質液の組成が変化すると膨潤度を変え、接液応
答層の内側にある光ファイバにかける圧力を変化させ
る。この圧力の程度により光伝送損失等が変化するの
で、このセンサは電解質溶液の組成変化を検知できる構
成になっている。しかしながら、この構成のセンサは圧
力による光伝送損失等の変化が小さいので、電解質溶液
組成変化の検知の感度が低いという問題がある。
【0004】特開平6-220219号公報では、特定
の化学物質に対して膨潤する高分子フィルムと反射率等
を測定する光学機器を組み合わしたセンサが提案されて
いる。このセンサは、高分子ゲルの膨潤度と反射率等が
対応していることから、高分子ゲルの反射率等を測定す
ることで、特定の化学物質に対して検知できる構成とな
っている。しかしながら、反射率等を測定する光学機器
の精度が必要不可欠なので、センサの構成が複雑になっ
てしまう問題がある。
【0005】特開平6−94540号公報ではSiO2
やSi34等の機能薄膜を光ファイバの先端面に設けた
センサが提案されている。このセンサの機能薄膜は、特
定のイオンや液体のpH、イオン濃度等の溶液組成変化
に反応し、光学的特性変化を起こす性質をもっている。
このセンサはこの機能薄膜の光学的特性変化を通して、
センサを取り巻く化学物質環境を検知できる構成になっ
ている。しかしながら、このセンサには、溶液組成変化
に対する機能薄膜の光学的特性変化が微少なので、検知
感度が低いという問題がある。
【0006】特開平8−61988号公報では、光ファ
イバの先端部に孔があいた構造で、この孔に化学物質に
反応して光学特性変化する感応物質を充填したセンサが
提案されている。この感応物質がセンサを取り巻く化学
物質に反応し、その光学特性変化を光ファイバで測定し
化学物質を検知できるようになっている。しかしなが
ら、このセンサは感応物質について具体的に挙げられて
いる材料は、繰り返し使用できないことやその光学特性
変化が微少であるため検知感度が低いことなどの問題を
抱えている。
【0007】特開平6−336509号公報では、化学
物質に応答する試薬を高分子に静電的または化学的結合
で固定した高分子膜から構成されるセンサが提案されて
いる。このセンサは、試薬の光学特性変化を光学装置で
測定することにより、センサを取り巻く化学物質を検出
できるようになっている。しかしながら、このセンサに
は、試薬自体の耐久性が低いために繰り返し多く使用す
ることができないという問題がある。
【0008】温度変化を検知する技術としては、以下の
公開特許公報などで報告されている。特開平7−181
087号公報では、光導波路の温度変化による屈折率や
長さ等の変化によって変化する出力光の強度変化を利用
したセンサが提案されている。このセンサには、温度変
化から起こる出力光の強度変化が小さいために、検知感
度が低いという問題がある。
【0009】特開平9−5174号公報では、界面活性
剤の分散水溶液と光ファイバを組み合わせたセンサが提
案されている。このセンサは、界面活性剤の光吸収・散
乱の温度変化を光ファイバで測定することにより、温度
変化を検知している。しかしながら、このセンサには、
界面活性剤による光吸収・散乱の温度変化が小さいため
に検知感度が低いという問題がある。
【0010】特開平5−142064号公報では、温度
変化により強磁性体と常磁性体に変化する感温磁性体
と、先端に磁性体の微小パイプを取り付けた光ファイバ
を組み合わせたセンサが提案されている。これは、微小
パイプを取り付けた光ファイバの先端部が、温度変化に
よる感温磁性体の変化によって移動し、出力される光量
が変わる構成になっている。このセンサは、この光量変
化を測定することで温度変化を検知できる構成になって
いる。しかしながら、このセンサには、光ファイバの移
動が伴う検知であるので検知感度が低いという問題があ
る。
【0011】特開平7-19968号公報および特開平
6−94540号公報では、光透過性の半導体と光ファ
イバを組み合わせたセンサが提案されている。このセン
サは半導体の温度変化による光吸収変化を光ファイバで
検出することで温度変化を検知できる構成になってい
る。しかしながら、このセンサにも、半導体の温度変化
による光吸収変化が小さいために、検知感度が低いとい
う問題がある。
【0012】磁場変化を検知する技術としては、以下の
公開特許公報などで報告されている。特開平8−219
825号公報等では、偏光子、検光子、磁気光学結晶、
光ファイバを組み合わせたセンサが提案されている。こ
のセンサはこの磁気光学結晶の磁場変化に対する光学特
性変化を光ファイバで測定できる構成になっているの
で、このセンサでこの光学特性変化を通してセンサ付近
の磁場変化を検知できる。しかしながら、このセンサに
も、センサの構成が複雑であるので高価になってしまう
という問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、構成が簡素で高
感度であると同時に耐久性や汎用性が高いセンサを提供
することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明により達成される。すなわち、本発明は、内部に色
材または光散乱部材を含有し、外部刺激に応じた液体の
吸収・放出による膨潤・収縮によって光吸収量または光
散乱量が変化する刺激応答性高分子ゲルと、光導波路と
によって少なくとも構成されてセンサを提供する。。ま
た、該刺激応答性高分子ゲルが収縮した時に少なくとも
刺激応答性高分子ゲルの一部分で該色材の濃度は、飽和
吸収濃度以上になることが望ましい。さらに、該色材が
平均粒子径0.005μm〜1μmの顔料粒子であることが望
ましい。また、該刺激応答性高分子ゲルが収縮した時に
少なくとも刺激応答性高分子ゲルの一部分で該光散乱部
材の濃度は、飽和散乱濃度以上になることが望ましい。
さらに、該光散乱部材が、該高分子ゲルの膨潤・収縮の
際吸収・放出される液体の屈折率と異なる屈折率を有す
る光散乱性材料で形成されることが望ましい。さらに、
該光散乱部材の平均粒子径が0.01μm〜100μmの粒子
であることが望ましい。上記のセンサにおいて、刺激応
答性高分子ゲルが該光導波路の光導波部に少なくとも密
着するもしくは近接する形態で配置されていることが望
ましい。特に、刺激応答性高分子ゲルが光導波部に密着
して配置されている形態として、該刺激応答性高分子ゲ
ルが該光導波部に直接固定されていることが好ましい。
また、刺激応答性高分子ゲルが光導波部に近接して配置
されている形態として、該刺激応答性高分子ゲルを含有
する刺激応答性部材が該光導波部に固定されていること
が特に望ましい。また、該刺激応答性高分子ゲルは、収
縮した時平均粒子径0.1μm〜5mmの粒子であることが
望ましい。さらに、該刺激応答性高分子ゲルが膨潤した
時の体積が、該刺激応答性高分子ゲルが収縮した時の5
倍以上であるが望ましい。また、該外部刺激が、pH変
化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶液組成変
化、並びに熱、光、電気および磁気によるエネルギー付
与のいずれかであることが望ましい。さらに、本発明の
センサは、該刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高
分子ゲルから放出又は吸収される液体とからなる組成物
を有することが望ましい。
【0015】次に、本発明のセンサの構成と原理につい
て説明する。図1と図2に本発明のセンサの好ましい一
つの例を示す。図1は、刺激応答性高分子ゲル14,1
6が光導波部11に密着して配置されている例で、刺激
応答性高分子ゲルが直接光導波部に固定されているセン
サを示す。図2は、刺激応答性高分子ゲル14,16が
光導波部11に近接して配置されている例で、刺激応答
性高分子ゲル14,16を含有する刺激応答性部材18
が二つの光導波部11、11'に固定されているセンサ
を示す。なお、刺激応答性高分子ゲルが、光導波路10
からの光12が入射できる位置に配置されれば、上記の
二種類の配置に限定されない。また、図1および図2に
は図示していないが、通常、図1においては、反射光を
検出するために光導波路10の一端部に光源が配置さ
れ、刺激応答性高分子ゲル14、16側とは反対側に受
光素子が配置される。図2においては、光導波路10の
一端部に光源が配置され透過光を検出する場合には光導
波路10'の光導波部11'とは反対側に,反射光を検出
する場合には光導波路10と光導波部11とは反対側に
受光素子が配置される。なお,受光素子が刺激応答性高
分子ゲルからの透過光や反射光が入射する位置に配置さ
れれば、上記右記の種類に限定されない。
【0016】本発明のセンサは、以上のように基本構成
として光導波路と刺激応答性高分子ゲルとで構成されて
いるので、非常に簡素な構成となっている。この刺激応
答性高分子ゲルに外部刺激が加わると、刺激応答性高分
子ゲルは膨潤・収縮することで、光吸収量や光散乱量等
の光学特性が変化する。光導波路に入射した光は刺激応
答性高分子ゲルの光学特性変化に応じて変化し、刺激応
答性高分子ゲルからの反射光や透過光等は変化する。こ
の光を、光導波路を通して検知することにより外部刺激
の種類や量などを測定する仕組みになっている。つま
り、本発明のセンサは、刺激応答性高分子ゲルが外部刺
激に応答して変化する刺激応答性高分子ゲルの光学特性
を光学的に検知できる仕組みを持っている。また、刺激
応答性高分子ゲルは少量の外部刺激で膨潤・収縮し、大
きな光学特性変化を起こす(増幅効果)ので、この本発
明のセンサは高感度に外部刺激を検知することができ
る。さらに、刺激応答性高分子ゲルは、外部刺激に対し
て再現よく繰り返し膨潤・収縮するので、このセンサは
繰り返し使用可能で耐久性をもっている。さらに、刺激
応答性高分子ゲルが、pH変化、イオン濃度変化、化学
物質の吸着脱や溶液組成変化、並びに熱、光、電気およ
び磁気等の外部刺激に応答するので、本発明のセンサは
多種多様な物理的変化や化学的変化を光学的に検知可能
で汎用性が高い。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のセンサの基本構成は、外
部刺激に応じて液体の吸収・放出によって可逆的に膨潤
・収縮する高分子ゲル内部に色材または光散乱部材を含
有する刺激応答性高分子ゲルと、光導波路によって少な
くとも構成されているセンサである。ここに、図1と図
2に本発明のセンサの構成例を示した。本発明のセンサ
に使用可能な高分子ゲルとしては、pH変化、イオン濃
度変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成変化、および光、
熱、電気、磁気などのエネルギー付与などの各種刺激に
よって液体を吸収、放出し、可逆的に体積変化(膨潤・
収縮)する高分子ゲルが好ましい。具体的には次に記述
する高分子ゲルが挙げられる。なお、以後「(メタ)」の
意味は、括弧内に記載の化合物名も含むことを示す。
【0018】電極反応などによるpH変化に応答する高
分子ゲルとしては、例えば、電解質系高分子ゲルが好ま
しく、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその金属塩、
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸
アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその金属
塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルなどとの共重合体の架橋物やその金属塩、
ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど
との共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸
の架橋物やその金属塩、ビニルベンゼンスルホン酸と
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど
との共重合体の架橋物やその金属塩、ポリアクリルアミ
ドアルキルスルホン酸の架橋物やその金属塩、アクリル
アミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やそ
の金属塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリ
ルアミドの架橋物やその4級塩、ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの
共重合体の架橋物やその金属塩や4級塩、ポリジメチル
アミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルア
ルコールとの複合体の架橋物やその4級塩、ポリビニル
アルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋
物やその金属塩、カルボキシアルキルセルロース金属塩
の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部
分加水分解物やその金属塩などが挙げられる。
【0019】電界による界面活性剤などの化学物質の吸
脱着によって刺激応答する高分子ゲルとしては強イオン
性高分子ゲルが好ましく、ポリビニルスルホン酸の架橋
物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビ
ニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスル
ホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルなどとの共重合体の架橋物、、ポリアクリルアミ
ドアルキルスルホン酸の架橋物やアクリルアミドアルキ
ルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルなどとの共重合体の架橋物などが挙げられ、
これらとn−ドデシルピリジニウムクロライドなどのア
ルキルピリジニウム塩、アルキルアンモニウム塩、フェ
ニルアンモニウム塩、テトラフェニルホスホニウムクロ
ライドなどのホスホニウム塩などカチオン性界面活性剤
とを組み合わせることで使用される。
【0020】電気による酸化・還元によって刺激応答す
る高分子ゲルとしては、カチオン性高分子ゲルが挙げら
れ、電子受容性化合物と組み合わせてCT錯体(電荷移動
錯体)として好ましく使用される。例えば、カチオン性
高分子ゲルとしてポリジメチルアミノプロピルアクリル
アミドなどポリアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架
橋物、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやポリジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのポリ
(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋
物、ポリスチレンの架橋物、ポリビニルピリジンの架橋
物、ポリビニルカルバゾールの架橋物、ポリジメチルア
ミノスチレンの架橋物などが挙げられる。また、電子受
容性化合物としてベンゾキノン、7,7,8,8-テトラシアノ
キノジメタン(TCNQ)、過塩素酸テトラブチルアン
モニウム、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニ
トロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などが挙げられ
る。
【0021】熱の付与によって刺激応答する高分子ゲル
としては、LCST(下限臨界溶解温度)をもつ高分子
の架橋体や互いに水素結合する二成分の高分子ゲルのI
PN(相互侵入型網目構造体)などが好ましい。前者
は、高温において収縮し、後者は逆に高温で膨潤する特
性をもっている。前者の具体的な化合物としては、ポリ
[N−イソプロピルアクリルアミド]などのポリN−アル
キル置換(メタ)アクリルアミドの架橋物や、N−アル
キル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸
やその金属塩、または(メタ)アクリルアミド、または
(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの二成分以上
の共重合体架橋物、ポリビニルメチルエーテルの架橋
物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導
体の架橋体などが挙げられる。一方、後者の化合物とし
ては、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋物とポリ(メタ)
アクリル酸の架橋物からなるIPNおよびその部分中和
体(アクリル酸単位を部分的に金属塩化したもの)、ポ
リ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架
橋物とポリ(メタ)アクリル酸の架橋物からなるIPN
およびその部分中和体などが挙げられる。より好ましく
は、ポリ[N−アルキル置換アルキルアミド]の架橋物、
またはポリ(メタ)アクリルアミドの架橋物とポリ(メ
タ)アクリル酸の架橋物とのIPNおよびその部分中和
体などが挙げられる。
【0022】光の付与によって刺激応答する高分子ゲル
としては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピ
ラン誘導体などの光によってイオン解離する基を有する
親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、ビニル置換ト
リアリールメタンロイコ誘導体とアクリルアミドとの共
重合体の架橋物などが挙げられる。より好ましくは、ビ
ニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体とアクリルア
ミドとの共重合体の架橋体などが挙げられる。磁気の付
与によって刺激応答する高分子ゲルとしては、強磁性体
粒子や磁性流体等を含有するポリビニルアルコールの架
橋物等が挙げられる。ただし、含有される高分子ゲル
は、高分子ゲルの範疇であるものであれば限定されるこ
となく適用できる。
【0023】溶液の組成変化やイオン強度の変化によっ
て応答するものとしては、特に大きな体積変化が得られ
るものとして好ましいものには、前記した電解質系高分
子ゲルが挙げられる。
【0024】本発明のセンサを構成する刺激応答性高分
子ゲルは、色材や光散乱部材を上記の高分子ゲルに含有
させることで作製することができる。高分子ゲルに含有
される色材としては、多くの公知な顔料および染料を使
用可能である。顔料の好適な具体例としては、ブロンズ
粉、カーボンブラックやアントラキノン系、アゾ系、フ
タロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジ
ゴ系などの各種顔料などが挙げられ、特に光吸収係数が
高いものが望ましい。また、顔料の好ましい粒子径は、
一次粒子の平均粒径で0.005μm〜1μmである。また、
特に好ましい粒径は0.01μm〜0.5μmのものである。
これは、粒子径が0.005μm未満では刺激応答性高分子
ゲルからの流出が起こり易く、また、1μmを超えると
発色濃度が低下する恐れが生じるためである。
【0025】これらの顔料において、分子内にカルボキ
シル基やスルホン酸基などの酸基、水酸基、アミノ基、
チオール基、ハロゲン、ニトロ基、カルボニル基など極
性基をもち、刺激応答性高分子ゲル内において顔料濃度
が高い場合に凝集体を形成し易い特性のものも好ましく
使用される。顔料は刺激応答性高分子ゲル中に含有さ
れ、刺激応答性高分子ゲルから流出しないことが好まし
い。顔料の流出を防止するためには、使用する高分子ゲ
ルの網目よりも大きな粒子径の顔料を用いること、ある
いは高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な
相互作用が高い顔料を用いること、表面を化学修飾した
顔料が挙げられる。表面を化学修飾した顔料として例え
ば、表面に高分子ゲルとの化学結合する基を導入したも
のや、高分子材料をグラフトした顔料などが挙げられ
る。
【0026】一方、染料の好適な具体例としては、例え
ば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染
料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイ
ミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベ
ンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染
料、ベリノン染料等などの各種染料などが挙げられ、特
に光吸収係数が高いものが望ましい。また、染料は刺激
応答性高分子ゲル中に含有され、刺激応答性高分子ゲル
から流出しないことが好ましいので、刺激応答性高分子
ゲルと化学結合する基が導入されている反応染料等が特
に望ましく適用される。
【0027】刺激応答性高分子ゲル中に含有される色材
の濃度は、刺激応答性高分子ゲルが収縮した時に少なく
とも刺激応答性高分子ゲルの一部分で飽和吸収濃度の以
上に達することが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上
とは、色材濃度が十分に濃い状態において、単位色材あ
たりの光吸収効率が低下する濃度である。また、飽和吸
収濃度以上という定義を別の表現で表わすならば、特定
の光路長のもとにおける色材濃度と光吸収量との関係が
一次直線の関係から大きく外れるような色材濃度であ
る。刺激応答性高分子ゲルの収縮状態でこのような飽和
吸収濃度以上の状態を達成するためには、色材の粒子
径、屈折率、吸光係数や比重等にも依存するが、乾燥状
態の刺激応答性高分子ゲルに色材を一般的に4重量%以
上含有させること等の必要性がある。一方、色材濃度が
95重量%を超えると、刺激応答性高分子ゲルの膨潤・
収縮が応答よく進行しにくくなり、本センサの応答特性
が悪くなる。したがって、乾燥状態の刺激応答性高分子
ゲルに含有させる色材濃度は、一般に4重量%〜95重
量%の範囲が好ましく、より好ましくは10重量%〜9
5重量%の範囲である。また、乾燥状態の刺激応答性高
分子ゲルに含有させる色材濃度は、飽和吸収濃度以下で
あるが、刺激応答性高分子ゲルが収縮し色材が凝集した
時にこの凝集部分で局所的に飽和吸収濃度以上の色材濃
度が得られるように色材を刺激応答性高分子ゲルに含有
させてもよい。
【0028】前記の高分子ゲルに光散乱部材を含有させ
ても、本発明のセンサを構成する刺激応答性高分子ゲル
を作製することができる。刺激応答性高分子ゲルに含有
される光散乱部材としては、刺激応答性高分子ゲルの膨
潤・収縮挙動に影響を与えない材料等であれば適用でき
るが、特に刺激応答性高分子ゲルの体積変化に用いられ
る液体の屈折率と異なる屈折率を有する光散乱性材料が
好ましい。具体的には、下記の各種の無機材料および有
機材料が適用できる。
【0029】好適な無機材料の具体例として、酸化亜
鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、
白雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンモチモン、鉛
白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイ
カレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シ
リカ、ケイ酸、珪素土、タルク、塩基性炭酸マグネシウ
ム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等の
無機酸化物や、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニ
ウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オ
スミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウ
ム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タ
ングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッ
ケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタ
ル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オー
ステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウ
ム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブ
デン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム
金などの金属材料、ITO(インジウム・スズ酸化物)等の
無機導電性材料などが挙げられる。
【0030】好適な有機材料の具体例として、フェノー
ル樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹
脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキ
ド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ-p-キシリ
レン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プ
ラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテ
ル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネー
ト、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラ
スチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレ
ン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘ
テロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチッ
ク、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の
高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)などの高分
子材料が挙げられる。さらに、上記に列挙した光散乱性
材料を含有した高分子材料を、光散乱部材として適用で
きる。この高分子材料としては、光散乱性材料が有機材
料である場合に列挙された具体例が挙げられる。
【0031】上記の光散乱部材の形状には特に制限がな
く、粒子状、ブロック状、フィルム状、不定形状、繊維
状などの種々のものが使用可能である。なかでも特に、
粒子状の形態は光散乱性が高いことや応用範囲が広いな
どの特徴から特に好ましい。粒子状における形態にも特
に制限はないが、球体、立方体、楕円体、多面体、多孔
質体、星状、針状、中空状、りん片状などのものが適用
できる。また、粒子の場合の好ましい大きさは、平均粒
子径で0.01μm〜500μmの範囲、より好ましくは0.0
5μm〜100μmの範囲である。これは、平均粒子径で
0.01μm未満または500μm以上を超えると、光散乱部
材に求められる光散乱効果が低くなるためである。ま
た、これらの粒子は、一般的な物理的粉砕方法や化学的
粉砕方法によって製造することができる。
【0032】これらの光散乱部材において、分子内にカ
ルボキシル基やスルホン酸基などの酸基、水酸基、アミ
ノ基、チオール基、ハロゲン基、ニトロ基、カルボニル
基など極性基をもち、刺激応答性高分子ゲル内において
光散乱部材の濃度が高い場合に凝集体を形成し易い特性
のものも好ましく使用される。
【0033】光散乱部材は刺激応答性高分子ゲル中に含
有され、刺激応答性高分子ゲル内部から外部へ流出しな
いことが好ましい。光散乱部材の流出を防止するために
は、使用する高分子ゲルの網目よりも大きな粒子径の光
散乱部材を用いること、あるいは高分子ゲルとの電気
的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い光散乱部
材を用いること、表面を化学修飾した光散乱部材が挙げ
られる。表面を化学修飾した光散乱部材として例えば、
表面に高分子ゲルとの化学結合する基を導入したもの
や、高分子材料をグラフトした光散乱部材などが挙げら
れる。
【0034】刺激応答性高分子ゲル中に含有される光散
乱部材の濃度は、刺激応答性高分子ゲルが収縮した時
に、少なくとも刺激応答性高分子ゲルの一部分で飽和散
乱濃度以上の濃度に達することが望ましい。ここで、飽
和散乱濃度以上とは、一つの指標として各々の光散乱部
材同士の平均間隔が十分短くなることで、光散乱部材の
光散乱の働きが1次粒子的なものから、集合体的なもの
に変化し、光散乱の効率が変化する濃度である。このよ
うな光散乱部材が集合体的な光散乱特性を示す状態を、
光散乱部材の濃度が飽和散乱濃度以上にある状態にある
と呼ぶ。また、飽和散乱濃度以上という定義を別の特性
で表現すれば、特定の光路長のもとにおける光散乱部材
濃度と光散乱量の関係が1次直線の関係から大きく外れ
るような光散乱部材濃度である。
【0035】刺激応答性高分子ゲルの収縮状態でこのよ
うな飽和散乱濃度以上の状態を達成するためには、光散
乱部材の粒子径、屈折率、導電率や比重等にも依存する
が、乾燥状態の刺激応答性高分子ゲルに光散乱部材を一
般的に2重量%以上含有させること等の必要性がある。
一方、光散乱部材濃度が95重量%以上を超えると、刺
激応答性高分子ゲルの膨潤・収縮が応答よく進行しにく
くなり、本発明のセンサの応答特性が悪くなる。したが
って、乾燥状態の刺激応答性高分子ゲルに含有させる光
散乱部材濃度は、一般に2重量%〜95重量%の範囲が
好ましく、より好ましくは5重量%〜95重量%の範囲
である。または、乾燥状態の刺激応答性高分子ゲルに含
有させる光散乱部材濃度は、飽和散乱濃度以下である
が、刺激応答性高分子ゲルが収縮し光散乱部材が凝集し
た時にこの凝集部分で局所的に飽和散乱濃度以上の光散
乱部材濃度が得られるように光散乱部材を刺激応答性高
分子ゲルに含有させてもよい。
【0036】高分子ゲルに色材や光散乱部材を含有させ
て刺激応答性高分子ゲルを作製する方法は、架橋前の高
分子に色材や光散乱部材を均一に分散・混合した後に架
橋する方法や、重合時に高分子前駆体組成物に色材や光
散乱部材を添加して分散・混合した後に重合する方法等
が適用できる。重合時において色材や光散乱部材を添加
する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジ
カル)をもつ光散乱部材を使用し、化学結合することも
好ましい。また、色材や光散乱部材は刺激応答性高分子
ゲル中に極力均一に分散されていることが望ましい。特
に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法や
あるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが
望ましい。
【0037】刺激応答性高分子ゲルの体積変化量は大き
いことが好ましく、膨潤状態時および収縮状態時の体積
比が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15
以上のものである。体積比が5未満であると、刺激応答
性高分子ゲルの体積変化による光学特性変化が小さくな
り、センサの感度が不十分になる。
【0038】色材や光散乱部材を含有する刺激応答性高
分子ゲルの形状には特に制限はなく粒子状、ブロック
状、フィルム状、不定形状、繊維状などの種々のものが
使用可能である。なかでも特に、粒子状の形態は、以前
に言及した各種刺激に対する体積変化の速度(応答性)
が速い特徴から特に好ましい。粒子状における形態にも
特に制限はないが、球体、楕円体、立方体、多面体、多
孔質体、星状、針状、中空状などのものが適用できる。
また、粒子の場合の好ましい大きさは、収縮状態時にお
いて平均粒子径で0.1μm〜5mmの範囲、より好ましく
は1μm〜1mmの範囲である。粒子径が0.1μm未満で
あると、粒子の扱いが困難になる、優れた光学特性が得
られないなどの問題が生じる。一方、粒子径が5mmを
超えると、体積変化に要する応答時間が大幅に遅くなっ
てしまうなどの問題が生じる。
【0039】これらの粒子は、刺激応答性高分子ゲルを
物理的粉砕方法によって粉砕する方法や、架橋前の高分
子ゲルを化学的粉砕方法によって粒子化した後に架橋し
て刺激応答性高分子ゲルとする方法、あるいは乳化重合
法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法の一般
的な方法によって作製することができる。その他に、重
合前または架橋前の刺激応答性高分子ゲルを粒子状の型
に注入し、その後重合または架橋することで粒子状の刺
激応答性高分子ゲルとする方法等が適用できる。
【0040】刺激応答性高分子ゲルの各種刺激応答によ
る体積変化速度をより高速にするために、高分子ゲルの
従来技術と同様に高分子ゲルを多孔質化して液体の出入
り易さを向上させることも好ましい。一般に膨潤した高
分子ゲルを凍結乾燥する方法等で多孔質化することがで
きる。
【0041】一方、中空粒子も応答特性の向上に好まし
く適用され、その作製は、主に乳化重合法、懸濁重合
法、分散重合法などの一般的な粒子化重合法、あるいは
高分子溶液を分散液滴化した後に架橋させるいわゆる造
粒法などによって製造することができる。具体的な粒子
化重合操作は、例えば、水溶性モノマーの場合、対象の
モノマー水溶液をW/O型乳化剤の存在下、疎水性溶媒
中、必要に応じて架橋剤の存在下、水溶性ラジカル開始
剤を用いて逆相懸濁重合を行う。重合法は、モノマー水
溶液を反応器内に最初から一括にして仕込んで行う一括
重合方式、あるいはモノマー水溶液を疎水性溶媒中に滴
下する滴下方式等が適用できる。また、懸濁重合法は、
ポリマー微粒子として所望の平均粒径が得られるような
分散方法であれば、特に限定されないが、例えば、上記
のモノマー水溶液、有機溶媒、分散安定化剤、および架
橋剤の混合液を、強力な水流を利用したホモジナイザ
ー、回転羽根と機壁あるいは回転羽根同士のギャップに
かかる高シエアーを利用した連続乳化分散機、超音波分
散機等を用いて分散する方法等が適用できる。
【0042】また、高分子を原材料とする造粒法の一例
としては、対象の高分子水溶液をW/O型乳化剤の存在
下、疎水性溶媒中に分散、造粒後、これに架橋剤を加え
て架橋させる方法がある。これには、高分子水溶液を反
応器内に最初から一括に仕込んで行う方式、あるいは高
分子水溶液を疎水性溶媒中に滴下する滴下方式等が適用
できる。また、造粒方法は、ポリマー微粒子として所望
の平均粒径が得られるような分散方法であれば特に限定
されないが、例えば、上記の高分子水溶液、有機溶媒、
分散安定化剤、の混合液を、強力な水流を利用したホモ
ジナイザー、回転羽根と機壁あるいは回転羽根同士のギ
ャップにかかる高シエアーを利用した連続乳化分散機、
超音波分散機等を用いて分散する方法等が適用できる。
【0043】なお、中空粒子を作製する際には、重合開
始剤や架橋剤はモノマー液滴やポリマー液滴とは別に添
加分散することが好ましい。これは、重合反応や架橋反
応をモノマー液滴やポリマー液滴の外側から内部に向け
て進行させるためである。また、重合法の場合の反応温
度は、加熱によりラジカルを発生させる場合は、50〜
85℃が好ましい。あまり温度が低すぎると反応が遅く
なってしまうが、必要以上に温度が上げることは、不経
済であると同時に中空形状を形成するための反応時間の
制御が難しくなる。一方、還元性物質を添加してレドッ
クス系反応を行う場合は室温で十分である。
【0044】重合法において、本発明の中空粒子を作製
する際には、反応時間や重合開始剤の添加方法等を制御
することにより,重合反応を途中で止めることで内部に
モノマー成分を残し、最終的に中空構造を形成する方法
が好ましく用いられる。このとき、反応時間は、0.1
〜20時間程度であり、長すぎると内部に中空を形成で
きなくなる。したがって、加熱反応の場合、反応時間に
もよるが好ましくは0.5〜4時間、レドックス系反応
の場合、添加する反応促進剤の量にもよるが好ましくは
0.1〜2時間が目安である。また、反応の進行を制御
する上では、加熱による重合反応の方が好ましい。一
方、ポリマー液滴に架橋剤を加える造粒法では、外部か
ら架橋反応が進むことによって体積収縮し、内部に中空
領域を形成することができる。
【0045】また、刺激応答性高分子ゲル同士の凝集を
防ぐために、上記のように作製した刺激応答性高分子ゲ
ルの粒子をマイクロカプセルで覆うことで、マイクロカ
プセル化した刺激応答性高分子ゲルを作製することも好
ましい。このマイクロカプセルのカプセル膜は、高分子
膜であることが好ましく、特に、光透過性を持つ高分子
膜であることが望ましい。このような高分子膜の主材料
として用いることができるものとして、ポリ酢酸ビニ
ル、セルロースアセテートブチレート、スチレン−マレ
イン酸共重合体、ベンジルセルロース、エチルセルロー
ス、ポリエチレン、ポリスチレン、ゴム、ニトロセルロ
ース、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエーテル、ア
ルギン酸、ペクチン、カラギーナン、キサンタン、ポリ
ビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹
脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリアミド、ポ
リウレタン、ポリウレア、多糖類、ポリビニルアルコー
ルが望ましい。また、このような高分子膜材料に、無機
粒子、などの各種フィラーを加えてもよい。
【0046】マイクロカプセルの製造方法として、あら
かじめ調製された刺激応答性高分子ゲルの粒子と液体と
の混合液体、または刺激応答性高分子ゲルの粒子を液体
で膨潤させた膨潤体を、カプセル膜用高分子を含む溶液
中に添加して、コアセルベーション処理することでカプ
セルを形成する方法や、刺激応答性高分子ゲル粒子と液
体およびカプセル用高分子前駆体との混合体を、前記前
駆体と反応する物質を含む溶液に添加し、高分子を不溶
化または架橋することでカプセルを形成する方法などが
挙げられる。
【0047】一般的に刺激応答性高分子ゲルは、これに
吸収可能な液体の存在下において、前記したような刺激
を与えることで体積を種々変化させることができる。例
えば、熱応答性高分子ゲルの場合は、光、熱などの放射
熱の付与によって、電気応答型高分子ゲルの場合は電極
反応によるpH変化や電界によるイオン吸着や静電作用
によって、光応答性高分子ゲルの場合は光の付与による
内部構造変化によって液体を吸収、放出させることで体
積を大きく変化させることができる。
【0048】このとき使用可能な液体としては、好まし
くは、水、電解質水溶液、アルコール類、ケトン類、エ
ステル類、エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニト
リル、プロピレンカーボネートなどや、キシレン、トル
エンなどの芳香族系溶媒およびそれらの混合物が使用で
きる。また、液体には高分子ゲルに吸脱する界面活性
剤、液体のpH変化を促進するためのビオロゲン誘導体
などの酸化還元剤、酸、アルカリ、塩、および界面活性
剤等の分散安定剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安
定剤などを添加しても構わない。さらに、液体を着色す
るために、各種染料や各種顔料の色材を加えることがで
きる。
【0049】液体を着色するための色材は、高分子ゲル
の膨潤・収縮現象に悪影響を与えないものが好ましい。
染料の具体例としては、例えば、アゾ染料、アントラキ
ノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、カ
ルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノ
リン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノ
ン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料等が挙げら
れる。顔料の具体例としては、例えば、カーボンブラッ
ク、アントラキノン系、アゾ系、フタロシアン系、キナ
クリドン系、ペリレン系やインジゴ系の顔料等が挙げら
れる。以上の特性から、本発明のセンサは、刺激応答性
高分子ゲルが液体を吸収・放出できるように、刺激応答
性高分子ゲルを液体の存在下に配置することが望まし
い。つまり、本発明のセンサは、刺激応答性高分子ゲル
と、該刺激応答性高分子ゲルから放出又は吸収される液
体とからなる組成物を有することが望ましい。このと
き、利用可能な液体としては、前記した高分子ゲルが吸
収可能な液体が好ましい。また、高分子ゲルを構成する
高分子が架橋されていない場合、この高分子が溶解可能
な液体も好ましく適用できる。
【0050】次に、上記の刺激応答性高分子ゲルを用い
たセンサの作製方法について説明する。図1と図2のよ
うに本発明のセンサは、上記の刺激応答性高分子ゲルと
光導波路とを組み合わせて構成される。本発明のセンサ
に使用できる光導波路10としては、一般的な光導波路
を適用することができる。例えば、プラスチック光ファ
イバ(POF)や石英系光ファイバなどの光ファイバ、
平面状の誘電体薄膜で構成された薄膜導波路である、ス
ラブ導波路、薄膜導波路や平面導波路などの二次元系導
波路や、二次元系導波路をパターン化処理したパターン
化導波路やチャンネル導波路などの三次元導波路等を挙
げることができる。
【0051】上記の刺激応答性高分子ゲルは、光導波路
の光導波部に少なくとも密着するもしくは近接する形態
で配置されていることが望ましい。つまり、このような
形態で刺激応答性高分子ゲルが配置されると、刺激応答
性高分子ゲルに多くの光を入射することができると同時
に、より多くの刺激応答性高分子ゲルからの反射光や透
過光などを光導波路に入射することができる。このよう
な配置は、刺激応答性高分子ゲルを光導波部に密着して
配置する場合、図1のように光導波部11に刺激応答性
高分子ゲル14,16を直接固定する方法等で実現でき
る。また、刺激応答性高分子ゲルを光導波部に近接して
配置する場合、図2のように刺激応答性高分子ゲル1
4,16を含有する板状の刺激応答性部材18を光導波
部11、11'に固定する方法等で実現することができ
る。また、この方法以外で刺激応答性高分子ゲルを上記
の形態で配置できる方法があれば、適宜にその方法を採
用することができる。
【0052】図1のように光導波部に刺激応答性高分子
ゲルを直接固定した本発明のセンサについて説明する。
このように刺激応答性高分子ゲルを直接固定するには、
接着剤による物理的固定処理や各種固定化剤による化学
的固定処理等で、刺激応答性高分子ゲルを光導波部に接
着する方法等が適用される。この時、物理的固定化で使
用される接着剤としては、例えば、有機溶剤揮散型接着
剤、熱硬化反応型接着剤、湿気硬化反応型接着剤、紫外
線硬化反応型接着剤、縮合反応型接着剤、付加反応型接
着剤、熱溶融型接着剤等の一般的な接着剤が挙げられ、
少なくとも固定時には可視領域で無色の接着剤が好まし
い。
【0053】化学的固定で使用される各種固定化剤とし
ては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートやN,
N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの重合
性不飽和基などを二つ以上有する化合物、エチレングリ
コールジグリシジルエーテルやヘキサメチレンジイソシ
アネートまたは、シランカップリング剤である3,4−
エポキシブチルトリメトキシシラン、[3−グリシドキ
シプロピル]ビス[トリメチルシロキシ]メチルシラン、
[3−グリシドキシプロピル]ジメチルエトキシシラン、
[3−グリシドキシプロピル]メチルジエトキシシラン、
[3−グリシドキシプロピル]メチルジメトキシシラン、
[3−グリシドキシプロピル]ペンタメチルジシロキサ
ン、[3−グリシドキシプロピル]トリメトキシシランや
3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどの
反応性官能基などを二つ以上有する化合物を挙げられ
る。
【0054】物理的固定化処理の具体的方法は、接着剤
を溶媒に溶かした接着剤溶液を調製し、この調製溶液を
光導波部に塗布した後、刺激応答性高分子ゲルを散布し
て加熱処理を施して固定する方法や、刺激応答性高分子
ゲルと粒子状の接着剤の混合物を光導波部に付着させた
後、加熱処理を施して固定する方法等が挙げられる。
【0055】化学的固定化処理の具体的方法は、刺激応
答性高分子ゲルおよび各種固定化剤を塗布、散布や含浸
などの方法により光導波部に付与し、各種固定化剤に固
有の反応温度に加熱して化学結合を形成し固定する方法
等が適用できる。このように作製したセンサは、刺激応
答性高分子ゲルが外部にでているので、外部の液体と接
触できる開放型である。したがって、この密着した形態
で作製したセンサは、刺激応答性高分子ゲルとして、p
H変化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着や溶液組成
変化で応答するものを選択し、測定雰囲気と接触する必
要がある、pHやイオン濃度のセンサ等として用いられ
ることが望ましい。ただし、刺激応答性高分子ゲルがマ
イクロカプセル化されている場合で、そのカプセル膜が
外部の液体を通さない材料で構成されている時は、刺激
応答性高分子ゲルを熱、光、電気や磁場に応答するもの
を選択し、測定雰囲気と直接接触する必要がない熱、
光、電気や磁場のセンサ等として、本発明のセンサを設
計することが望ましい。また、この場合には、刺激応答
性高分子ゲルが膨潤・収縮できるように、刺激応答性高
分子ゲルが放出又は吸収できる液体をマイクロカプセル
内に含有させることが望ましい。
【0056】次に、刺激応答性高分子ゲルを含有する刺
激応答性部材を光導波部に固定した本発明のセンサにつ
いて説明する。この場合に用いられる刺激応答性部材と
しては、具体的には、セル中に刺激応答性高分子ゲルを
含有させた刺激応答性部材、多孔質材料に刺激応答性高
分子ゲルを含有させた刺激応答性部材、繊維質基材に刺
激応答性高分子ゲルを固定した刺激応答性部材や、マト
リックス部材に刺激応答性高分子ゲルを含有させた刺激
応答性部材等を挙げることができる。これらの刺激応答
性部材が光導波部に密着するように接着剤等で接着する
ことで、好適な本発明のセンサを作製することができ
る。
【0057】また、図2のように刺激応答性部材18を
複数の光導波部10,10に密着するように接着しても
よい。このような形態で配置した場合には、刺激応答性
部材の透過光等から測定雰囲気の外部刺激の種類や量な
どを測定することができる。刺激応答性部材を固定する
際用いられる接着剤等としては、例えば、有機溶剤揮散
型接着剤、熱硬化反応型接着剤、湿気硬化反応型接着
剤、紫外線硬化反応型接着剤、縮合反応型接着剤、付加
反応型接着剤、熱溶融型接着剤等の一般的な接着剤が挙
げられるが、少なくとも固定時には可視光領域で無色の
接着剤が好ましい。これらの接着剤を用いた固定化処理
の具体的方法は、接着剤を溶媒に溶かした接着剤溶液を
調製し、この調製溶液を光導波部に付着させて、さらに
刺激応答性部材にその光導波部を付着させて、加熱処理
を施す固定する方法等の一般的な方法が適用できる。ま
た、接着剤を用いずに加熱により刺激応答性部材と光導
波路との熱融着で固定する方法等も適用できる。
【0058】セル中に刺激応答性高分子ゲルを含有させ
た刺激応答性部材は、具体的には、刺激応答性高分子ゲ
ルを一対の基板間にスペーサを介して挟持したセル等が
挙げられる。基板としては、ポリエステル、ポリイミ
ド、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルフォン、ポリカーボ
ネート、ポリエーテル、セルロース誘導体などの高分子
のフィルムや板状基板、またはガラス基板、金属基板や
セラミックス基板などが使用可能である。ただし、刺激
応答性部材は、光導波部からの光が、内部の刺激応答性
高分子ゲルに入射するような構造であることが必要不可
欠であるので、二枚の基板の内少なくとも一方が、光学
的に透明な材料を選択しなくてはならない。
【0059】セル中に刺激応答性高分子ゲルを含んだ刺
激応答性部材を用いた本センサを、pHやイオン濃度の
センサ等として設計する場合、つまり、刺激応答性高分
子ゲルとして、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の
吸脱着や溶液組成変化で応答するものを選択した場合、
測定物質と直接接触する必要がある。したがって、前記
のセルは、外部の液体と接触できるように開放型に設計
する必要がある。例えば、基板として多孔質基板等を選
択、または封止処理をしないセル等の選択が必要であ
る。一方、本センサを、熱、光、電気や磁場のセンサ等
として設計する場合、つまり、刺激応答性高分子ゲルと
して、熱、光、電気や磁場で応答するものを選択した場
合、測定物質と直接接触する必要がないので、閉鎖型が
好ましい。したがって、基板として気密性の高い基板等
を選び、封止処理をしたセル等を選択することが望まし
い。また、あらかじめ封止処理をする前に、刺激応答性
高分子ゲルが膨潤・収縮できるように、刺激応答性高分
子ゲルが放出又は吸収できる液体をセル中に含有させる
ことが望ましい。さらに、本センサで電気を検出する電
気センサを設計する場合には、セル内に、銅、アルミニ
ウム、銀、プラチナなどに代表される金属膜からなる電
極、酸化錫−酸化インジウム(ITO)に代表される金
属酸化物、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリア
ニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類、
ポリアセチレン類に代表される導電性高分子からなる電
極、高分子と前述の金属や金属酸化物の粒子との複合材
料からなる電極を設けることが望ましい。
【0060】多孔質材料に刺激応答性高分子ゲルを含有
させた刺激応答性部材の場合、多孔性材料としては、光
散乱の少ない透明な多孔性材料であれば好ましく、それ
以外は特に制限されることなく適用することができる。
例えば、一般的な多孔性ガラス材料や多孔性高分子材料
等が適用できる。刺激応答性部材は、刺激応答性高分子
ゲルを多孔性材料に含有させることで作製できるが、そ
の含有方法として、例えば、架橋前の高分子ゲル材料に
色材や光散乱部材を均一に分散・混合した時に、この分
散・混合物を多孔性材料に含浸しその後架橋させる方法
や、高分子前駆体組成物に色材や光散乱部材を添加して
均一に分散・混合した時に、この分散・混合物を多孔性
材料に含浸しその後重合する方法等が挙げられる。この
刺激応答性部材は多孔性材料で形成されているので、外
部の液体と接触できる開放型である。したがって、この
刺激応答性部材を採用した場合には、刺激応答性高分子
ゲルとして、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸
脱着や溶液組成変化等で応答するものを選択し、測定物
質と直接接触する必要がある、pHやイオン濃度のセン
サ等として、本センサを設計することが望ましい。ただ
し、刺激応答性高分子ゲルがマイクロカプセル化されて
いる場合で、そのカプセル膜が外部の液体を通さない材
料で構成されている時は、刺激応答性高分子ゲルを熱、
光、電気や磁場等に応答するものを選択し、測定物質と
直接接触する必要がない熱、光、電気や磁場のセンサ等
として、本発明のセンサを設計することが望ましい。ま
た、この場合には、刺激応答性高分子ゲルが膨潤・収縮
できるように、刺激応答性高分子ゲルが放出又は吸収で
きる液体をマイクロカプセル内に含有させることが望ま
しい。
【0061】繊維質基材に刺激応答性高分子ゲルを固定
した刺激応答性部材の場合、繊維質基材としては、例え
ば、合成繊維としてナイロン系繊維、アクリル系繊維、
ポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化
ビニル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維
など、天然繊維として木材パルプ、綿、羊毛など、半合
成繊維としてビスコースレーヨン、アセテート、キュプ
ラなど、無機繊維としてカーボン繊維、チタン繊維など
を適用することができる。これらの中でも、本発明には
特に合成繊維および半合成繊維が特に好ましい。繊維質
基材の形態としては、単なる繊維の集合体の他、織物
状、不織布状、ウエブ状、シート状などの構造体を挙げ
ることができる。
【0062】刺激応答性部材は刺激応答性高分子ゲルを
繊維質基材に固定することで作製できるが、固定化方法
として、機械的固定化、接着剤による物理的固定化、化
学結合などの化学的固定化などが適用できる。なお、化
学結合は、イオン結合、水素結合、共有結合など各種考
えられるが、その中でも安定性の面から共有結合が最も
好ましい。機械的固定化は、主に基材の繊維の網目など
の空間に保持することによるものである。この機械的固
定化は、刺激応答性高分子ゲルを繊維基材に散布して繊
維の網目などの空間に入れる方法等が挙げられる。ま
た、物理的固定化で使用される接着剤は、光導波部に刺
激応答性高分子ゲルを直接固定する際に用いられる接着
剤等が適用できる。物理的固定化は、これらの接着剤を
溶媒に溶かした接着剤溶液を調製し、この調製溶液を繊
維質基材に塗布した後、刺激応答性高分子ゲルを散布し
て加熱処理を施して固定する方法や、刺激応答性高分子
ゲルと粒子状の接着剤の混合物を繊維質基材に散布した
後、加熱処理を施して固定する方法等が挙げられる。ま
た、化学結合などの化学的固定化は、各種固定化剤の反
応による固定化が好ましく適用される。各種固定化剤
は、光導波部に刺激応答性高分子ゲルを直接固定する際
に用いられる各種固定化剤等が適用できる。この各種固
定化剤を用いた化学的固定化は、刺激応答性高分子ゲル
および各種固定化剤を塗布、散布や含浸などの方法によ
り繊維質基材に付与し、各種固定化剤に固有の反応温度
に加熱して化学結合を形成し固定する方法等が適用でき
る。この刺激応答性部材は、繊維質基材で形成されてい
るので、外部の液体と接触できる開放型である。したが
って、この刺激応答性部材を採用した場合には、刺激応
答性高分子ゲルとして、pH変化、イオン濃度変化、化
学物質の吸脱着や溶液組成変化等で応答するものを選択
し、測定物質と直接接触する必要がある、pHやイオン
濃度のセンサ等として、本センサを設計することが望ま
しい。ただし、刺激応答性高分子ゲルがマイクロカプセ
ル化されている場合で、そのカプセル膜が外部の液体を
通さない材料で構成されている時は、刺激応答性高分子
ゲルを熱、光、電気や磁場等に応答するものを選択し、
測定物質と直接接触する必要がない熱、光、電気や磁場
のセンサ等として、本発明のセンサを設計することが望
ましい。また、この場合には、刺激応答性高分子ゲルが
膨潤・収縮できるように、刺激応答性高分子ゲルが放出
又は吸収できる液体をマイクロカプセル内に含有させる
ことが望ましい。
【0063】マトリックス部材に刺激応答性高分子ゲル
を含有させた刺激応答性部材の場合、マトリックス部材
としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデンやそ
の異種共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリス
チレンやその異種共重合体、ポリメチルメタクリレート
やその異種共重合体、ポリアミド系樹脂、シリコーン系
樹脂、アクリル系やビニル系の熱、紫外線や電子線硬化
性樹脂、シラン系ゾルゲル組成物などの他、セラミッ
ク、ガラス等の無機材料が挙げられる。この中でも、高
分子材料(樹脂)は望ましい。なお、マトリックス部材
は、架橋されたものであってもよい。刺激応答性部材は
刺激応答性高分子ゲルを上記のマトリックス部材に含有
させることで作製できるが、含有方法として、例えば、
放出又は吸収できる液体で膨潤した刺激応答性高分子ゲ
ルを、マトリックス部材の液体溶液中で混合・分散し、
膨潤した刺激応答性高分子ゲルが相分離状に分散した後
に、乾燥させるまたは紫外線や熱を付与する方法等が挙
げられる。この刺激応答性部材は刺激応答性高分子ゲル
がマトリックス部材に閉じ込められているので、外部の
液体と接触できない閉鎖型である。したがって、この刺
激応答性部材を採用した場合には、刺激応答性高分子ゲ
ルとして、熱、光、電気や磁場等に応答するものを選択
し、測定物質と直接接触する必要がない熱、光、電気や
磁場のセンサ等として、本発明のセンサを設計すること
が望ましい。
【0064】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。 (実施例1)光散乱部材を含有する刺激応答性高分子ゲ
ルを用いた本発明のセンサを以下の方法で製造した。高
分子ゲルの前駆体としてカルボキシカルボキシメチルセ
ルロースのナトリウム塩(第一工業製薬社製:BS−
H)5.0gを用い、これに水酸化ナトリウム0.6gおよび
蒸留水50mlを加えて攪拌した。この粘稠溶液に光散乱
部材として一次粒子の平均粒子径が約0.2μmの酸化チ
タン(屈折率2.7)5.0gを添加し、よく攪拌して混合
した。さらに架橋剤としてエピクロロヒドリン0.7gを
混合し、溶液を60℃で5時間加熱し、ゲル化させた。生
成した刺激応答性高分子ゲルをホモジナイザーで粉砕
後、大量の蒸留水中に投入し、これをろ過する操作を繰
返すことで精製を行なった。その後、大量のメタノール
を用いて脱水し、乾燥させた。この得られた刺激応答性
高分子ゲルの粗粒子を、さらに粉砕機を用いて微粒子化
し、粗大粒子を除去することで、乾燥時の平均粒子径が
約10μmの調光材料を得た。この粒子状の刺激応答性高
分子ゲルの蒸留水での吸水量は約200g/gであった。ま
た、本粒子はpH変化、塩や有機溶剤の添加によって可
逆的に膨潤・収縮させることができ、収縮時に比べて粒
子径が約4倍程度、すなわち、体積が64倍程度の変化
が得られた。
【0065】この刺激応答性高分子ゲルを用いて本発明
のセンサを次のように作製した。光導波路として1mm
程度の径の光ファイバを採用し、また、刺激応答性高分
子ゲルを直接光ファイバの先端面に固定するために、固
定化剤として3−イソシアナートプロピルトリエトキシ
シランを使用した。この接着剤1gをトルエン10gに投
入し、十分に溶かして固定化剤溶液を得た。次に、この
溶液を光ファイバの先端面に付着させて、さらに先に作
製した刺激応答性高分子ゲルの粒子にその先端面に付着
させた。刺激応答性高分子ゲルをその先端面に固定する
ために、90℃で24時間刺激応答性高分子ゲル付着面
を加熱しその後冷却した。このようにして、光ファイバ
の先端面に刺激応答性高分子ゲルが固定されたセンサを
作製した。
【0066】次に、このセンサの機能を以下のように評
価した。センサの刺激応答性高分子ゲルが固定された先
端面をpH9の水酸化ナトリウム水溶液につけた。この
時、光ファイバのもう一方の先端面から波長600nm
の光を入射させて刺激応答性高分子ゲルによって反射さ
れる光をフォトダイオードで測定し、反射率を求めた。
この結果、この反射率は約80%であった。次に、pH
3の塩酸に刺激応答性高分子ゲルが固定された先端面を
浸し、同様にして反射率を求めた。この結果、この反射
率は大きく変化し約10%であった。このようにセンサ
から求められる反射率は、pH変化によって大きく変化
することが確認された。また、刺激応答性高分子ゲルが
固定された先端面を、pH9の水酸化ナトリウム水溶液
につけると、再び、反射率は約80%になった。さら
に、pH3の塩酸につけると、再び反射率は約10%に
なった。この操作を複数回繰返しても、同様な反射率が
得られた。上記評価結果から、構成が簡素な本センサの
光ファイバに入射される光の反射率を測定することで、
センサの測定雰囲気のpHを感知することができること
がわかった。さらに、pH変化から大きく反射率が変化
することから、本センサは高感度であることがわかっ
た。また、この反射率測定結果は、複数回繰返しても再
現良く得られることから、本センサは複数回使用できる
耐久性のあるセンサであることがわかった。
【0067】(実施例2)色材を含有する刺激応答性高
分子ゲルを用いた本発明のセンサを以下の方法で製造し
た。まず、センサを構成する刺激応答性高分子ゲルを以
下のように作製した。アクリルアミド10g、架橋剤とし
てN,N'-メチレンビスアクリルアミド0.2gに蒸留水50
g、色材として一次粒子の平均粒子径0.1μmのカーボ
ンブラック10gを攪拌混合した水溶液を調整した。上記
の水溶液をフラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除
いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム1.0gを
添加後、60℃に加熱して10時間、重合を行なった。重
合終了後、試料を粗粉砕し、これを大量の蒸留水で洗浄
することにで精製を行ない、さらに乾燥させて色材を含
有したアクリルアミドゲルを得た。次に、このアクリル
アミドゲルの粗大粒子20gをフラスコに入れ、これにア
クリル酸10g、架橋剤としてN,N'−メチレンビスア
クリルアミド0.02gおよび蒸留水50g、およびアクリル
酸を部分中和させるために水酸化ナトリウム0.03g(ア
クリル酸のうちの5モル%)を加えた。これに窒素置換
後、過硫酸アンモニウム0.04gを添加した。この状態で
1時間放置し、アクリルアミドゲルにアクリル酸系水溶
液を十分に含浸・膨潤させた後、60℃に加熱し、10時
間重合を行ないIPN高分子ゲルを調整した。重合終了
後、生成したIPN高分子ゲル塊をホモジナイザーで粉
砕し、大量の蒸留水中に投入し、これをろ過する操作を
繰返すことで精製を行なった。その後、大量のメタノー
ルを用いて脱水し、乾燥させた。得られた粒子の乾燥時
の粒子径は約20μmであった。この粒子状のIPN高分
子ゲルを大量の蒸留水に加えて膨潤させた。10℃におけ
る平衡膨潤時の吸水量は約3g/gであった。ところが、
これを30℃に加熱するとさらに膨潤し、約150g/gの吸
水量を示すことがわかった。また、相転移点は15〜20℃
の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では
膨潤し、低温では収縮する。この変化は可逆的であり、
膨潤・収縮によって粒子の大きさは約3.7倍すなわち、
体積で約50倍の変化が得られた。
【0068】この刺激応答性高分子ゲルを用いて本発明
のセンサを作製した。具体的には、光導波路として2本
の約1mm径の光ファイバを、刺激応答性部材として上
記で作製した刺激応答性高分子ゲルを含有したセルを採
用し、光ファイバから出射する光がセルを通してもう一
本の光ファイバに入射するように、光ファイバの先端面
をセルの両面に固定したセンサを次のように作製した。
まず、セルに含有する刺激応答性高分子ゲルが液体の吸
収・放出によって膨潤・収縮できるように、刺激応答性
高分子ゲルの粒子0.05gを蒸留水10gに分散し膨潤させ
た組成物を調製した。次に、セルの基板として5mm
角、厚み0.1mmのアクリル樹脂シート2枚を用意し、こ
の2枚の基板を厚さ50μmのスペーサで間隔を設けて重
ね貼りあわせてセルを作製した。このセル間に先に作製
した組成物を注入してさらに封止剤で封止処理を施すこ
とで刺激応答性部材であるセルを作製した。この刺激応
答性部材を光ファイバの先端面に固定する際に用いる接
着剤として、熱硬化反応型接着剤であるビスフェノール
型A系エポキシ樹脂(シェル化学社製、商品名:エピコ
ート828)を使用した。この接着剤7gと硬化剤であ
るジアミノジフェニルメタン1gをトルエン32gに加
えて接着剤溶液を得た。次に、この溶液を光ファイバの
先端面に付着させて、さらに先に作製した刺激応答性部
材のセルにその先端面に付着させた。セルをその先端面
に固定するために、80℃で24時間、セルの接着面を
加熱しその後冷却した。さらに、セルのもう片面に、も
う一つの光ファイバの先端面を固定するために、同様な
作業を行ない、2本の光ファイバがセルに接続されてい
るセンサを作製した。以上の作製作業により、光導波路
が刺激応答性部材に密着する形態のセンサを作製した。
【0069】次に、このセンサの機能を以下のように評
価した。センサのセル部(刺激応答性部材)を気温10℃
の空間に入れた。この時、光ファイバに波長600nm
の光を入射させてセルを透過してくる光をフォトダイオ
ードで測定し、透過率を求めた。この結果、この透過率
は約90%であった。次に、センサのセル部を気温50℃の
空間に入れ、同様にして透過率を求めた。この結果、こ
の透過率は大きく変化し約5%であった。このようにセ
ンサから求められる透過率は、温度変化によって大きく
変化することが確認された。また、センサのセル部を気
温10℃の空間に入れると、再び、透過率は約90%になっ
た。さらに、気温50℃に入れると、再び透過率は約5%
になった。この操作を複数回繰返しても、同様な透過率
が得られた。上記評価結果から、構成が簡素である本セ
ンサの光ファイバに入射される光の透過率を測定するこ
とで、センサの測定雰囲気の気温を感知することができ
ることがわかった。さらに、温度変化から大きく反射率
が変化することから、本センサは高感度であることがわ
かった。また、この透過率の測定結果は、複数回繰返し
ても再現良く得られることから、本センサは複数回使用
できる耐久性のあるセンサであることがわかった。
【0070】(実施例3)光散乱部材を含有する刺激応
答性高分子ゲルを用いた本発明のセンサを次のように作
製した。刺激応答性高分子ゲルの主モノマーとしてアク
リル酸10g、水酸化ナトリウム4g、架橋剤としてN,
N'−メチレンビスアクリルアミド0.02gを用い、これ
に蒸留水20g、過硫酸アンモニウム0.1g、光散乱部材
として一次粒子の平均粒子径が約0.2μmの酸化チタン
(屈折率:2.7)10gを添加し、攪拌混合した水溶液を
調整した。ソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬
製:ソルゲン50)1.0gをシクロヘキサン200mlに溶
解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これを先
に調製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて10
分間高速攪拌して乳化させた。乳化後、反応系の温度を
25℃に調節し、さらに溶液を攪拌しながらこれにテトラ
メチルエチレンジアミンの50%水溶液を添加し、重合を
行なった。その後、生成した高分子ゲル粒子を回収し、
水酸化ナトリウム水溶液で中和反応を行なった後に、蒸
留水で繰り返し洗浄を行ない、乾燥させた。得られた粒
子の乾燥時の平均粒子径は約20μmであった。この粒子
の蒸留水における吸水量は約250g/gであった。また、
本粒子はpH変化、塩や有機溶媒の添加によって可逆的
に膨潤・収縮させることができ、収縮時に比べ粒子径が
約5倍程度、すなわち、体積が約125倍の変化が得られ
た。
【0071】この刺激応答性高分子ゲルを用いて本発明
のセンサを作製した。具体的には、光導波路として1本
の約1mm径の光ファイバを、刺激応答性部材として上
記で作製した刺激応答性高分子ゲルを含有したセルを採
用し、光ファイバの先端面をセルの片方の面に固定した
センサを次のように作製した。まず、セルに含有する刺
激応答性高分子ゲルが液体の吸収・放出によって膨潤・
収縮できるように、刺激応答性高分子ゲルの粒子0.05g
を0.005Nの水酸化ナトリウム水溶液10gに分散し膨潤
させた組成物を調製した。次に、セルの基板として5m
m角、厚み0.1mmの両面にITO(インジウム−スズ
酸化物)電極が設けてあるアクリル樹脂シート2枚を用
意し、この2枚の基板を厚さ50μmのスペーサで間隔を
設けて重ね貼りあわせてセルを作製した。なお、基板と
して用いたアクリル樹脂シートは、ITOによって表と
裏とが導通しているシートである。このセル間に先に作
製した組成物を注入してさらに封止剤で封止処理を施す
ことで刺激応答性部材であるセルを作製した。この刺激
応答性部材を光ファイバの先端面に固定する際に用いる
接着剤として、熱硬化反応型接着剤であるビスフェノー
ル型A系エポキシ樹脂(シェル化学社製、商品名:エピ
コート828)を使用した。この接着剤7gと硬化剤で
あるジアミノジフェニルメタン1gをトルエン32gに
加えて接着剤溶液を得た。次に、この溶液を光ファイバ
の先端面に付着させて、さらに先に作製した刺激応答性
部材のセルにその先端面に付着させた。セルをその先端
面に固定するために、70℃で24時間、セルの接着面
を加熱しその後冷却した。このようにしてセルに光ファ
イバが接続されているセンサを作製した。この作製作業
により光導波路が刺激応答性部材に密着する形態のセン
サを作製した。
【0072】次に、このセンサの機能を以下のように評
価した。センサのセル部(刺激応答性部材)を10Nの塩
化ナトリウム水溶液に入れた。この時、光ファイバに波
長600nmの光を入射させてセルを反射してくる光をフ
ォトダイオードで測定し、反射率を求めた。この結果、
この反射率は約80%であった。次に、電解質溶液に10
mAの電流を流して、同様にして反射率を求めた。この
結果、この反射率は約10%であった。このようにセン
サから求められる反射率は、電流変化によって大きく変
化することが確認された。また、電解質溶液に流れてい
た電流を止めると、再び、反射率は約80%になった。
さらに、また電解質溶液に10mAの電流を流すと、再
び反射率は約10%になった。この操作を複数回繰返し
ても、同様な反射率が得られた。上記評価結果から、構
成が簡素である本センサの光ファイバに入射される光の
反射率を測定することで、センサの測定雰囲気の電流を
感知することができることがわかった。さらに、電流変
化から大きく反射率が変化することから、本センサは高
感度であることがわかった。また、この反射率の測定結
果は、複数回繰返しても再現良く得られることから、本
センサは複数回使用できる耐久性のあるセンサであるこ
とがわかった。さらに、上記三つの実施例から、本セン
サは、pH変化、温度(熱)変化や電流(電気)変化と
いう多種多様な外部刺激を検知できる汎用性の高いセン
サであることがわかった。
【0073】
【発明の効果】以上のように本発明のセンサーによれ
ば、多種多様な物理的変化や化学的変化によって光学特
性変化を行う刺激応答性高分子ゲルと光導波路から構成
される本発明のセンサは、構成が簡素で高感度であると
同時に耐久性や汎用性が高いセンサを実現することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 刺激応答性高分子ゲルを光導波路の光導波部
に密着した配置をしたときの本発明のセンサの好ましい
一実施の形態を示し、(a)は刺激応答性高分子ゲルが
収縮した状態を、(b)は刺激応答性高分子ゲルが膨潤
した状態をそれぞれ示す説明図である。
【図2】 刺激応答性高分子ゲルを光導波路の光導波部
に近接した配置をしたときの本発明のセンサの好ましい
他の実施の形態を示し、(a)は刺激応答性高分子ゲル
が収縮した状態を、(b)は刺激応答性高分子ゲルが膨
潤した状態をそれぞれ示す説明図である。
【符号の説明】
10,10' 光導波路 11,11' 光導波部 12 光 14 収縮した刺激応答性高分子ゲル 16 膨潤した刺激応答性高分子ゲル 18 刺激応答性部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/49 G01N 21/49 Z 4J002 21/59 21/59 Z G02B 1/04 G02B 1/04 5/02 5/02 B (72)発明者 明石 量磁郎 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2F103 BA00 CA06 EC08 2G054 AB09 CA03 CA11 CA30 EA04 EA05 EA06 FB01 FB07 GE01 2G057 AA01 AA02 AB06 AB07 AC03 AD01 BA03 BB07 BD03 CA07 CB01 DA15 DB08 DC06 2G059 AA05 BB04 CC20 DD05 EE01 EE02 FF04 GG00 HH02 HH06 JJ17 KK01 2H042 BA01 BA02 BA13 BA16 4J002 AB012 AC012 BB032 BB122 BC032 BC121 BD042 BF022 BG011 BG071 BG102 BG131 BQ001 CC032 CC182 CD002 CF012 CF202 CG002 CH002 CH072 CH122 CK002 CL002 CP032 DA036 DA067 DE107 DE137 DE147 DE237 DG027 DG047 DJ007 DJ017 DJ047 EE056 EP016 EQ016 EU026 FD017 FD096 FD202 FD207 GP00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に色材または光散乱部材を含有し、
    外部刺激に応じた液体の吸収・放出による膨潤・収縮に
    よって光吸収量または光散乱量が変化する刺激応答性高
    分子ゲルと、光導波路とによって少なくとも構成されて
    いることを特徴とするセンサ。
  2. 【請求項2】 前記刺激応答性高分子ゲルが該光導波路
    の光導波部に少なくとも密着または近接する形態で配置
    されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
  3. 【請求項3】 前記刺激応答性高分子ゲルを含有した刺
    激応答性部材が光導波部に固定されていることを特徴と
    する請求項2に記載のセンサ。
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